バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ディエゴ・アレス)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ディエゴ・アレス Diego Ares (Harpsichord)
2017年3月 Lisztentrum, Raiding (Autriche)
HMM 902283.84 (P)2018 harmonia mundi (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

チェンバロでの演奏。速すぎず遅すぎず落ち着いたテンポで比較的穏やかに弾き進められます。酔っ払いのようにリズムを崩して弾くのは好みではありませんが,オクターブ上げて弾いたり,リピートの後半はけっこう自由に装飾を付けたりして,いろいろと仕掛けが多く楽しめる演奏でした。

そして何といってもこの録音が良いです。多少の残響はありますが,それよりも楽器そのものの響きが美しくそして妙にリアルなところが素晴らしいです。鍵盤から手を離したときの爪の戻る音?なども含め楽器の質感がよく捉えられています。まさに間近で聴いているような,手を伸ばせば楽器に触れられそうな,そんな錯覚に陥る実在感のある好録音です。Hi-Fi調ですが,嫌みな感じはありません。楽器の響きを大切にするような弾き方もこの録音とマッチしていると思います。

これは私が今まで聴いたチェンバロ録音の中で最も録音の良いものの一つに挙げられると思います。

最後にリピート表です。すべてのリピートを実行されていました。完璧です。

演奏時間 約87分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

R. シュトラウス:アルプス交響曲,他(ヴラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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R. シュトラウス:アルプス交響曲作品64
R. シュトラウス:「サロメ」より7つのヴェールの踊り
R. シュトラウス:「影のない女」管弦楽曲集
ヴラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
30 April 2016, 19 January 2013, 26 September 2012, Southbank Centre's Royal Festival Hall
LPO-0106 (P)(C)2018 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

今回は録音のみのコメントです。ユロフスキ指揮ロンドン・フィルの録音は今までにも何度か取り上げてきましたが,いずれもなかなかの好録音でした(例えばチャイコフスキー交響曲第4番,第5番)。なのでこのディスクも期待して聴いてみましたが,期待を裏切りませんでした。

残響感はあまりなく,各楽器が適度にフォーカスされて明瞭で自然な音色であり,また伸びも十分にあります。演出感もほとんどなく実在感があります。高域にも低域にもレンジ感があり,特に低域は響きが締まっていて中高域への被りも皆無。ものすごく良いというわけではありませんし,オーディオ的に優れているかというとそうでもないかもしれませんが,私としてオーケストラ録音としてはほぼ欠点が見当たらない,マイナスポイントのない好録音だと思った次第です。

今後の録音にも期待します。

ベートーヴェン:交響曲全集(ヘルベルト・ケーゲル指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ヘルベルト・ケーゲル指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
1982~1983年 ドレスデン,ルカ教会
N 50 001 (P)2015 DELTA MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon

往年の巨匠の名演奏の廉価盤。演奏は至極オーソドックスですが,1980年代前半の録音ですが,もう少し前の時代のような印象も受けます。

録音ですが,少し残響が多めですが,弦楽器を中心に据えた録音は聴きやすく,この当時のオーケストラ録音としては標準的な部類に入ると思います。

演奏も録音もまずまず良いのですが,オーソドックスすぎて少し印象が残りにくいかなと思いました。

タグ: [交響曲] 

ドビュッシー,ラヴェル:弦楽四重奏曲(ラサール弦楽四重奏団)

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ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調作品10
ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
ラサール弦楽四重奏団 LaSalle Quartet
1971年6月 スイス
PROC-1100 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol. 11
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records

TOWER RECORDSで復刻されたラサール弦楽四重奏団の名盤の一つ。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集でも述べましたが,技術面だけで言えば現代にはもっと巧い四重奏団はあるので,古いモノクロ写真を見ているような感覚を持ってしまうのですが,真摯で学究的とも思えるストイックなアプローチはそれはそれで心を打たれます。何度も聴いているとこの団体が到達した境地に少しずつ近づくようにも感じられました。

そして録音なのですが,残響は控え目に抑えられていてそれぞれの楽器を明瞭に分離よく捉えた好録音です。少し演出感があって実在感が薄いようにも思いますが,その点はまあ問題ありません。1970年代のドイツ・グラモフォンの弦楽四重奏曲録音はこのような録り方をしているものがけっこうあると思います。この録音は結構好きなのですが,最近このような録り方が少ないのが残念に思います。

それにしてもTOWER RECORDSさんはいつも良い仕事をしてくれます。感謝!

ブラームス:交響曲全集,セレナーデ第1番,第2番(マリオ・ヴェンツァーゴ指揮/タピオラ・シンフォニエッタ)

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ブラームス:交響曲全集
ブラームス:セレナーデ第1番,第2番
マリオ・ヴェンツァーゴ指揮/タピオラ・シンフォニエッタ
9-15 January 2016 (Symphony No.1, Sereades), 17-19 February 2017 (Symphony No.2), 19/20 September 2015 (Symphony No.3), 30 January - 5 February 2015, at Espoon kulttuurikeskus, Tapiola, Finland
19075853112 (P)(C)2018 Sony Music Entertainment Switzerland (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

タピオラ・シンフォニエッタは小編成のオーケストラで,ブラームスの交響曲第4番を初演したマイニンゲン宮廷管弦楽団とほぼ同じ規模であり,ピリオド奏法を取り入れて演奏されています。小編成での演奏やピリオド奏法を取り入れた演奏は今やそれほど珍しいものではなくなってきていますが,ここで聴けるサウンドは単にピリオド奏法を取り入れたというような枠にとどまらない,今までのブラームスの印象とはずいぶん違う新しい表現を切り拓くことに成功しているように思いました。

演奏にキレとスピード感があるにも関わらず,とにかく良い意味でユルく力が抜けていて軽く,そして響きが透明で美しいのです。青春の息吹を感じますね。勿体ぶらない指揮も良いと思います。こういう演奏なので第2番やセレナーデが良いのはもちろんですが,渋いイメージのある第4番なども今まで持っていたイメージとは全く異なる世界を作ることに成功しているように思います。これは小編成にしかできない,小編成を真に活かした好演奏と言えるでしょう。私はピリオド奏法は苦手な方ですがこれは全く気になりませんでした。好き嫌いははっきり分かれるかもしれませんが,私は大変気に入りました。

さて録音ですが,小編成の場合,どうしても弦が弱くなりがちなのですが,この録音ではその弱点が出ないよう,そしてバランスが崩れないギリギリのところまで弦楽器を大きめに捉え,弦楽器がサウンドの中心に据えられているという点でまず好感を持ちました。残響はそれなりにあるのでやや不明瞭で楽器の輪郭がぼやけるきらいはありますが,それでも個々の楽器は分離よくしっかりと捉えられているので悪い印象ではありません。正直なところもう少しすっきりと透明感と質感を大事に小編成をもっと活かす録り方をして欲しかったとは思いますが,まあこれでもまずまずの好録音かなとは思います。すこしオマケですが四つ星半です。

バッハ:6つのパルティータ(エヴァ・ポブウォツカ)

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バッハ:6つのパルティータ
エヴァ・ポブウォツカ Ewa Poblocka (Piano)
Warsaw Philharmonic Hall, March - May 2000
VICC-60217-8 (P)2000 Victor Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp

録音でそう聴こえるという面も多々あると思いますが,大変情感豊かでロマンティックな演奏ですね。タッチが柔らかく上品に響かせているのが印象的です。ピアノという楽器の表現力を活かしていて良いと思います。

録音ですが,残響をかなり多めに取り込んでいるので私の好みからは少し外れるのですが,音色の曇りはあまり感じられず,響きの美しさを強調するような録り方なので,残響が好きではない私でもなんとか許容できますし,残響を許せる方なら全く問題ない録音だと思います。ちょっと演出感は強すぎるかなと思いますが。

メンデルスゾーン:交響曲全集(クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団)

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メンデルスゾーン:交響曲全集
クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団
1984年2月18日-20日(第2番,第3番),10月5日-10日(第1番,第4番,第5番) ロンドン
UCCG-4326/8 (P)1985 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

持っているはずなんだけどどこにしまい込んでしまったんだろうと長い間行方不明で探し続けていたディスク。先日車のトランクの中から発掘されました(^^;。

本全集は同曲のスタンダートとしての地位を確立した名盤ですね。端正で品格のある安定した曲運びに安心して音楽に没入できます。こういう巧さはさすがですね。

録音ですが,この頃のドイツ・グラモフォンの録音らしくすっきりと整っていますし,残響感も適度であり,音色も綺麗です。あえて言うならやや楽器の質感に乏しく,生楽器の現実感が希薄で人工的に作り込まれたような不自然さを感じるところでしょうか。まずまずの好録音だとは思いますが,もう少し生々しさを残して欲しかったところです。

バッハ:6つのパルティータ,2声のインヴェンション(ヴラディミール・フェルツマン)

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バッハ:6つのパルティータ,2声のインヴェンション
ヴラディミール・フェルツマン Vladimir Feltsman (Piano)
1999年9月8-11日 モスクワ音楽院ボリショイ・ホール
CMCD-15042-3 (C)2005 CAMERATA TOKYO (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

すごく明晰なバッハですね。一つ一つの音の歯切れ良さ,粒ぞろいも良いですし,タイミングが正確で声部の描き出しも的確に思います。それでいて音楽が活き活きと躍動しているところが素晴らしく思います。他の録音も聴いてみたくなりました。

録音ですが,ややホールトーンを伴っているものの,直接音主体で明瞭感はそれなりにあり,音色も自然な範囲なので好印象です。

フェルツマンの録音は,Nimbus AllianceのCD-R盤でも発売されており,パルティータ(例えばこちら→Tower Records)は録音日が同じことからこのカメラータのディスクと同じ録音のようです。

プレインズ(ジョージ・ウィンストン)

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プレインズ PLAINS
ジョージ・ウィンストン George Winston (Piano)
MUSIC CAMP MCV 3003 (P)(C)2010 Dancing Cat Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

2010年頃に制作されたと思われるアルバム。ノーマークでした。たまたま立ち寄ったタワーレコードのクラシックフロアのピアノ曲の試聴コーナーにあり,試聴して気に入ったのでそのまま手に取って購入しました。彼らしいおおらかで温かなピアノ作品集。

そして特筆したいのはこの録音。以前,“Winter Into Spring”を好録音として紹介しましたが,それよりも若干劣るかもしれませんが,これもなかなか良い録音だと思いました。若干の音の加工とポピュラー音楽的演出は感じられるものの,音色を濁す残響や人工的なリバーブもあまり感じられず,ピアノという楽器の音の美しさをけっこう素直に伝えてくれていると思うのです。

クラシックのピアノではまずこのような録音はしないと思いますが,もしやったらどんな風に聴こえるのか,一度聴いてみたいものです。個人的にはけっこう気に入るのではないかと思っているのですが...こればかりは実際に聴いてみないとわからないですね。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(桜井大士)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
桜井大士 Taishi Sakurai (Violin)
2018年1月30日,31日,2月1日 岩舟文化会館コスモスホール
LPDCD101-102 (C)2018 Laplace Records (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

「CD試聴記」からの転載記事です。

一つ一つの音に思いを込めて丁寧に紡いでいく, 起伏を付けず一定の緊張感で弾き進めていく, 日本語が聴こえてくる気がします(多分に先入観が入っていますが(^^;)。 技術的にもキレがあります。 バッハの音楽に対する真摯で謙虚な姿勢が伝わってきます。 今どきの演奏ではない古めかしさも感じますが,これはなかなか聴かせますね。

録音ですが,残響はやや多めで,音色の曇り,明瞭度への影響は少ないものの, 透明感,美しさは失われています。 残響の音楽性への寄与もあまり感じられません。 まあこの録音なら問題ないと思う方も多いとは思いますが, やはり得るものよりも失うものの方が大きいと思います。