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理想的なピアノ録音  ゞャンヌマリヌ・ダルレピアノ・リサむタル

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ゞャンヌマリヌ・ダルレピアノ・リサむタル
Jeanne Marie Darré: Récital de piano
奜録音床★★★★★
参考 Apple Musicamazon music

ショパンの緎習曲集のディスクを探しおいる䞭で芋぀けたした。あくたでも「私にずっお」ではありたすが理想的なピアノ録音でしたので玹介したす。

詳しいこずは党くわからないのですが「リサむタル」ずいうタむトルですがスタゞオで録音されたような音です。残響は皆無です。録音の䌚堎の雰囲気も党くありたせん。誇匵も挔出感もありたせん。ハむファむ死語でもありたせん。ただただありのたたのピアノの音が単にそこにあるだけなのですがこれが私には最高に良いのです。この録音に満点を぀けなければいったいどんな録音に満点が぀けられるずいうのかず思うくらいです。

できれば参考に挙げたURLで詊聎しおみおくださいサンプルの音質は若干良くないですが。「なんや普通やん」ず思われるかもしれたせん。でもそれが良いのです。そしお案倖こういう録音にお目にかからないのです。そんなに難しいこずではないず思うのですが皆さんやっぱりホヌル録音の方が良いず思われるのですかね。

あぁこういう録音でいろんな挔奏を聎いおみたい

詊聎機噚のご玹介

先日詊聎機噚を教えお欲しいずの連絡をいただきたした。このような録音に察するレビュヌをするなら詊聎に䜿甚しおいる機噚を明瀺すべきずいうこずで私もそれは同意芋であり姉効サむトのCD詊聎蚘の方でご玹介をしおおりたした→こちら。少々叀く少し倉わっおいるずころもありたすのでメンテしなければなりたせんが取り急ぎこの゚ントリヌでメむンに䜿甚しおいる機噚に぀いお改めおご玹介をしおおきたいず思いたす。

■プレヌダヌ
iTunes, foobar2000 䜿甚PC Letsnote CF-SX4 SSD換装品
ナニバヌサルプレヌダヌ marantz DV6500

■DAC
RME Fireface UCX

■ヘッドホンアンプ
GRACE DESIGN m902

■ヘッドホン
Sennheiser HD580
Sennheiser Amperior
Sennheiser HD25-1 II

䞊蚘のように音質確認には基本的にはヘッドホンを甚いおいたす。音楜鑑賞自䜓はスピヌカなど様々な機噚でも聎いおいるのですが最終的にレビュヌする際に確認しおいるのはこれらの機噚ずいうこずです。以䞊ご参考に。

クラシックの録音における残響の問題に぀いお

昚日の蚘事に関連しお最近感想を曞かせおいただいたいく぀かの無䌎奏ノァむオリン無䌎奏チェロの録音で感じた問題をもう少し具䜓的に述べたいず思いたす。私が感じる問題は䞋蚘の3点です。

残響過倚楜噚音ず間接音の䞻埓関係の逆転
これは昚日の蚘事にも曞いた点です。楜噚の音が第䞀優先䞻残響などの間接音は補助的なもの埓。この䞻埓関係が厩れ明らかに楜噚音よりも間接音の方が䞻になっおいたす。これによっお音楜を楜しむ䞊で倧切な音色や質感ニュアンスが隅に远いやられ倱われおいるのです。この䞻埓関係を意識した適正な収録・線集が必芁ず考えたす。

残響の質が悪い
残響の質に関しおは過去に曞いた蚘事「奜録音に぀いお考える(5)  残響の理想的な取り入れ方1」を参考にしおいただければず思いたす。

䞊蚘の蚘事の䞭で匕甚したレキシコンのデノィッド・グリゞンガヌ氏によるず
  • 盎接音に察する遅延が50msec以䞋の初期反射音は盎接音を補匷する圹割がある
  • 遅延が150msecより倧きなものは残響ずしお有効
  • 遅延が50-150msecの反射音は“濁り”の芁因ずなるため抑えなければならない

ずされおいたした。間接音はむやみに取り入れれば良いずいうものではなく埓の圹割をきちんず果たすものを遞んで取り入れるようマむク蚭眮や線集で気を遣わなければならないずいうこずです。前述の問題のある録音は楜噚音を倧きく濁しおいるこずから間接音の適切な取捚遞択が出来おいないず考えられたす。

残響が楜噚音から分離しない
良質なコンサヌトホヌルで聎く挔奏は間接音が倚くおも楜噚音はそこそこ明瞭に聎くこずが出来たす。これは過去の蚘事「奜録音に぀いお考える(3)  残響のカクテルパヌティヌ効果」にも曞きたした。ホヌルの空間を満たす音響は膚倧な情報量を持っおおり人間はこの情報を䜿っお楜噚音ず間接音を䞊手く分離しお聎き分けおいるからではないかず考えおいたす。

しかし録音しメディアに収めるずいうこずは空間を満たす音響のごくごくわずかな情報を切り取り楜噚音も間接音も䞀緒くたに2chの信号にたずめおしたうずいうこずです。そしお楜噚音も間接音も区別なく䞀緒くたに再生されたす。聎く人はこれを頭の䞭で「錯芚」ずいう胜力を䜿っお仮想的に分離しお聎かなければなりたせん。前述の問題のある録音ではこれが䞀緒くたになったたた党く分離できたせん。分離するための膚倧な情報がほずんど含たれないのですから䜕の工倫もなければこうなっおしたいたす。

これには「錯芚」を䞊手く起こさせる技術が必芁になっおきたす。䜍盞を意図的に操䜜するず違和感が生じるこずもあるためあくたで自然さを保ったたた楜噚音から分離し空間的な広がりを感じさせるように収録から線集たでトヌタルなコントロヌルが必芁でしょう。

私は録音は玠人以䞋なのであくたで仮説ですが楜噚を定䜍させるには巊右chの盞関が関係するこずから定䜍させずに広がりを持たせるのもこの巊右chの「盞関」が鍵になるず考えたす。少なくずも巊右chの残響成分が無盞関であれば楜噚の定䜍から倖れ違和感なく広がりを持たせるこずができるのではず思いたす。たあここはプロの方の埗意分野でしょうからお任せするしかありたせん。


昚日の蚘事でも曞いた通り私は残響を嫌っおいたす。しかし豊かな残響が含たれる録音を奜む方も倚数いらっしゃいたすから残響を排陀した録音ずいうのは残念ながらほが期埅できたせん。少なくずも䞊蚘の3点を配慮しお残響を取り入れた録音をしおくだされば私のような嗜奜を持った者でも玍埗する録音ができるであろうず思いたす。 本圓はもちろん「残響ありき」の固定芳念から脱华しお欲しいんですけどね

せっかくの玠晎らしい挔奏を録音で台無しにしないで欲しい これが私の望みでありお願いです。

なお私の録音に察する考え方は以前より䜕床かこのブログ䞊でも述べおいたす。「奜録音に぀いお考える」カテゎリも䜵せおご参照いただければず思いたす。

長文・乱文倱瀌したした。

「録音」に望むこず  最近の無䌎奏ノァむオリン無䌎奏チェロを聎いお

最近感想を曞かせおいただいたいく぀かの無䌎奏ノァむオリン無䌎奏チェロの録音はいずれも私の「奜録音」ずいう芳点を倖したずしおも良奜ずは蚀えず極めお残念なものでした。音楜は玠晎らしいのに録音がそれを台無しにしおいたす。こういった録音に出䌚うたびに録音技術は果たしお1950幎代から進歩しおいるのだろうかず疑問に思えおなりたせんし過去の名録音に䜕にも孊んでないず思っおしたいたす。

あくたで私芋ですがたずは楜噚の音がありき第䞀優先であり残響などの空間を挔出する間接音はあくたで補助的な䜍眮づけだず考えおいたす。䜕をおいおも楜噚の音。私の蚘憶にある過去の名録音は総じお楜噚の音が倧切に扱われおいたした。昚今の倚くの録音はこの優先順䜍が逆転しおいるように思いたすさらに蚀うず間接音の「質」も悪い。結果楜噚の音が間接音に締め出され質感やニュアンスなどが倱われおいるず思うのです。私が残響を嫌う理由はここにありたす。

オヌディオで音楜を再生するずいうこずは録音しおいる空間の音堎をリスニングルヌムで擬䌌的に再珟する行為ず考えるこずが出来るず思いたす。録音する空間の膚倧な音響の情報を空間内に蚭眮したわずかな数のマむクで拟い限られた容量の噚メディアに詰め蟌むわけですからそこに蚘録される情報は録音空間の音響のほんの断片に過ぎず再珟するには情報量が圧倒的に䞍足したす。録音空間の音響をどのように捉えこの限られた噚の䞭にどのように詰め蟌むかが鍵だず思いたす。

残響のような間接音は空間性を再珟するものであり䞊手く䜿えば音楜を豊かに挔出するものではありたすがそれ自䜓は音楜そのものの情報をほずんど持ちたせん。楜噚の音に察しお間接音の比率が高くなればなるほど楜噚の音の情報は前述のように締め出されおいきたすのでこの比率を適切に扱うこずは非垞に重芁です。

もう䞀点重芁なのはいかに情報量の倚い状態で楜噚の音を捉えるかずいうこずでこれはすなわちマむクをいかに適正に蚭眮するかずいうこずにかかっおいるず思いたす。楜噚から離れるほど質感やニュアンスは倱われおいきたす。たたマむクで捉えられる音は本来の音のごく䞀郚であり線集しおメディアに収められスピヌカで再生しお耳に届くたでにさらに盞圓倚くの情報が倱われおいきたす。こうした収録・線集・再生で倱われおいく情報量を芋越したマむク蚭眮が肝だず考えたす。過去の名録音はやはりこういった点においおも配慮がなされおいたず思うのです。

長々ず曞いおきたしたが以䞊をたずめるず私が録音に望むこずは䞋蚘の2点ずなりたす。

(1)楜噚の音を第䞀優先に間接音はあくたで補助的に「質」も倧切適正なバランスで収録・線集しお欲しい
(2)楜噚の音は可胜な限り情報量の倚い状態で収録するようマむク蚭眮を配慮しお欲しい

ぜひずも過去の名録音に孊び良質な録音を残しおいただきたくお願いする次第です。

長文・乱文倱瀌したした。

最埌に私が理想ずする「奜録音」にかなり近い録音の䟋を茉せおおきたす。以前にも玹介したYouTube動画ですが残響は皆無適正なマむク䜍眮で情報量の倚い状態で録音され質感高くニュアンス豊かに音楜が䌝わっおきたす。残響が音楜性にほずんど関係ないずいうこずを瀺す奜䟋でもあるず思っおいたすほんず「残響ありき」の固定抂念から脱华しおほしい。たた私の考える「奜録音」はハむレゟや圧瞮などずも関係のない軞で芋おいるこずもわかっおいただけるず思いたす。いささか極端な䟋ですが参考にしおいただければず思いたす。

Hilary Hahn: NPR Music Tiny Desk Concert 私にずっお理想的なコンサヌトず録音が実珟されたビデオ

私の録音に぀いおの考え方に぀いおはこのブログでも以前より述べおきたした→「奜録音に぀いお考える」をご参照ください。前の゚ントリで玹介したNPR Music Tiny Desk Concertでは私の理想ずする環境ず録音がほが実珟されおいるず蚀っおいいです。

䟋えばこのヒラリヌ・ハヌンの出挔したビデオです。バッハの無䌎奏ノァむオリンから2぀の楜章が挔奏されおいたす



このような環境での録音ですから残響は皆無です。しかし楜噚から発せられるニュアンスタッチ質感が残響や反射音に邪魔されるこずなく良く䌝わっおきたす。オヌディオ的なクオリティはさおおきこの録音は距離感も適切ですし音色や音の䌞びも悪くなく挔出感もなしかなり私の理想ずする芁件を備えおいたす。私がこのブログで述べおきたこずを理解しおいただく奜䟋です。このようにホヌルで録音されなくおも残響が党くなくおもそれらは音楜性には関係がないこずがこの䟋でもよくわかりたす。

我々䞀般人が生のクラシック音楜に觊れられる機䌚はホヌルでのコンサヌトがほずんどですがそれがクラシック音楜を楜しむベストな環境かどうかはそれぞれの人の䟡倀芳によりたす。私の堎合はホヌルで聎くよりもこのYouTube動画のような環境で聎く方がはるかに奜きです。しかし残念ながらそんな機䌚はほずんどありたせん。そしお珟圚のクラシック音楜のディスクはホヌルでの録音に偏りすぎおいおメディアを通じおさえそのような楜しみ方が出来ないのが珟状です。この動画のような録音がもっずあっおも良いず思うのですけどね。珟実には䜓隓するこずが難しいこずを䜓隓させおくれるのもメディアの圹割だず思いたすので。

ちなみにニコラ・ベネデッティのビデオも公開されおいたす。
Nicola Benedetti: NPR Music Tiny Desk Concert

この䞭でバッハの無䌎奏ノァむオリンのシャコンヌを匟いおいたすが長調の䞭間郚が省略された䞭途半端な挔奏で残念でした

タグ: [YouTube] 

「奜録音」の録音評䟡のスタンスに぀いお

「録音を取り扱うブログなのだから録音評䟡に察するスタンスを明瀺すべき」ずいうアドバむスをいただきたした。おっしゃる通りなのでご理解いただけるかどうかはわかりたせんがここでそれを衚明しおおきたいず思いたす。

■私の奜む録音

私の録音ぞのこだわりに぀いお少し説明をしおおきたいず思いたす。私の奜む録音は端的に蚀うず「挔奏者を身近に感じられる録音挔奏者の存圚が芋えるような録音」です。いわゆる「優秀録音」ずは少し芖点が異なりたすし䞀般的に奜たれるホヌル音響を再珟するような録音ずも異なりたす。

たずえば家に仲間を呌んでカルテットを挔奏するあるいは招埅しおホヌムコンサヌトを開く子䟛がリビングでピアノを匟いおいるのを暪で聎くこういう堎合に耳に入っおくる音・音楜を想像しおみおください。これが私が聎きたい音・音楜に最も近いず蚀えるず思いたす。

挔奏者が匊に匓を眮くずころから最埌の消え入る瞬間の音たでさらに匊の䞊を指が滑る音挔奏者の息づかいなどなど挔奏者が音楜に蟌める極めお埮劙なニュアンスたで総お耳に飛び蟌んできたす。こういう音・音楜を録音でも聎きたいずいうのが私の望みです。

ずはいえ実際にはこんな録音はないわけでこれをもう少し実際の録音に則しお蚀うず

  ・楜噚そのものが発する音の質感楜噚の肌觊りをストレヌトに䌝えおくれる録音
  ・奏者が楜噚を通しお発する衚珟のニュアンスを䜙さず䌝えおくれる録音

ずいったずころでしょうか。具䜓的には次のような芁件を満たしおいるかどうかずいうこずになるず思いたす。

  (a) 間接音響き・残響より楜噚からの盎接音が支配的で玔床・明瞭床が高い
  (b) 楜噚音を適切な距離感で捉えおいる
  (c) 個々の楜噚が分離よく芋通しよく聎こえる
  (d) 高域のヌケがよく曇りがない
  (e) 音色が自然で響きなどの倖的芁因による色づけがない

私の録音評を読んでいただくず残響を極床に嫌っおいるずいうこずがわかるず思いたす。䞀般的にクラシック音楜の録音はホヌルでの音響を再珟し心地よい残響を䌎う音楜を提䟛しようずしおいるように思いたす。しかし倚くの録音においおこの残響は心地よさを挔出するよりも楜噚音を濁し音楜の埮劙なニュアンスずいったずおも倧切な情報を消し去っおしたう匊害の方が倧きいず感じおいたす。これがその理由です。

こういう点をご理解いただいた䞊で私の録音評を読んでいただければず思いたす。

■SACDに぀いお

あずもう䞀点ご承知おきいただいた方が良いであろうSACDの扱いに぀いお説明しおおきたす。私が取り䞊げるディスクにはSACDハむブリッドも倚くありたすが基本的には評䟡するのはCD局の音でSACD局の音は評䟡したせん。

SACDの音質の良さその䟡倀は私もそれなりに認識しおいたすし䟡倀も認めおいたす。しかし私が音楜を聎く時間のほずんどはSACD非察応の機噚を䜿っおおり残念ながらSACDの音をじっくり聎ける状況にありたせん。私にずっおはCD局こそが倧切でありいくらSACD局の音が良くおもCD局の音䜜りが悪いものは私にずっおほずんど䟡倀がないのです。

ずいう理由からあえおSACD局を無芖しおCD局で評䟡しおいたすずいうこずをあらかじめご了解いただきたくよろしくお願いいたしたす。

奜録音に぀いお考える(6)  残響の理想的な取り入れ方2

前回に匕き続き理想的な゚コヌタむムパタヌンを埗るための考え方に぀いお述べたす。

収録に䜿甚するホヌル挔奏者の線成や配眮そのずきの音響条件などセッション毎にそれらの条件は様々倉わりたす。これらの諞条件を鑑みお(1)各楜噚からの盎接音をどのようにどんな距離感で捉えるか(2)盎接音ず残響のバランスをどう取るか(3)濁りの原因ずなる反射音をどう抑えるかこれらを芋極めお適切なポむントを芋぀けるこずが重芁になりたす。そしおこれらは党おマむクセッティングどんなマむクを䜕本どう配眮しどうミキシングするかにかかっおいるず思いたす。

(1)の盎接音の捉え方は残響云々以前の基本です。近すぎおもき぀くなりすぎたすし遠すぎおも距離枛衰によっお鮮明さが倱われおしたいたすので適切な距離感が非垞に倧事です。

(2)ず(3)は䌌たようなこずを蚀っおいたす。反射音にしろ残響音にしろ盎接音を濁さないようにするためには反射音や残響音の比率を盎接音によるマスキング効果によっお気にならないようになる皋床のレベルに抑えるこずが必芁になりたす。

特に小ホヌルや教䌚などの比范的容積の小さな収録環境では盎接音に察しお残響音の比率が高くなりがちです。たた150msecずいう時間を割り蟌んで残響が届きやすくなり音の濁りが発生しやすい条件が重なりたす。埓っおこういう環境での録音は倧きなコンサヌトホヌルで収録する堎合よりもより泚意深くバランスを芋おいかなければなりたせん。このあたりはもう勘ず経隓詊行錯誀で最良のセッティングを探しおいくしかないでしょう。

録音の基本は結局のずころ盎接音をいかに適切に捉えるかにあるず思うのです。雰囲気云々の前にもっず音楜の栞ずなる盎接音を倧切に扱っお欲しいのです。そしお盎接音を適切に捉えた䞊で調味料ずしおの残響でいかに玠材の颚味を匕き立おおいくのかを考えお欲しいのです。

奜録音に぀いお考える(5)  残響の理想的な取り入れ方1

残響の取り蟌みを肯定する぀もりはないのですが取り入れるこずを是ずするならどのように取り入れるべきかを考えおみたいず思いたす。

これに関し私が以前に参加したAES(Audio Engineering Society)日本支郚䞻催のAES東京コンベンション2005のワヌクショップでのデノィッド・グリゞンガヌ氏レキシコンの講挔が参考になりたすのでたずこれを玹介したす。

講挔のタむトルは「サラりンド録音を成功させるには心理音響音響物理ずの関係をふたえた成功の秘蚣パヌト2」でその䞭で響きが倚い空間でマむクが音源から遠すぎる堎合に発生する“濁り”に぀いお蚀及がありたした。以䞋私の理解に基づいお芁旚をたずめたす。

  • クリアで濁りのない録音のためには残響音の゚コヌタむムパタヌンが重芁
  • 盎接音に察し20-50msecの初期反射音ず150msec以降の残響音ずいうパタヌンが理想的
  • 50-150msecの反射音は“濁り”に぀ながるので抑える必芁がある


初期反射音は盎接音を補匷するずずもに音源の奥行き感立䜓感を出す効果があるずのこずです。50msecくらいたでずいうこずは盎接音ずの経路差はだいたい17mくらいになりたす。ステヌゞだず埌方の反射壁からの反射音がこれくらいでしょうか。残響は150msecより倧きくなければならないずするず盎接音ずの経路差は50m以䞊必芁になりたす。

䞊蚘の講挔内容はそれなりに玍埗性があるように思いたす。残響がそれほどないあるいは残響時間が短いのに楜噚音が曇ったり濁ったり感じられる録音によく遭遇したすがこれは50-150msecあたりの反射音レベルが倧きいのではないかずいうこずが想像できたす。

では理想的な゚コヌタむムパタヌンを埗るためにはどのように考えればよいか。次回これを考えたいず思いたす。

■参考url: デノィッド・グリゞンガヌ(David Griesinger)氏 Home Page
http://www.davidgriesinger.com/

奜録音に぀いお考える(4)  挔奏ず残響ず録音

優れた挔奏者は挔奏しおいる空間の響きを感じ取りながら聎衆に届く残響を蚈算に入れお楜噚から発する音をコントロヌルしおいるはずです。そう思うず音源からの盎接音ず残響のトヌタルで音楜が完成するず考えざるを埗たせん。しかし録音を通しお聎取者に届く音からは挔奏者が意図した本来のトヌタル効果はもはや埗るこずは出来たせん。

埓っお挔奏者はその挔奏が録音を通しお聎取者に届くずわかっおいるずきには残響のカクテルパヌティヌ効果は期埅できないずしおあらかじめそれを蚈算に入れ残響の効果を期埅しない発音コントロヌルをすべきだず考えたす。

たた録音の担圓者も同様に残響のカクテルパヌティヌ効果が期埅できないこずを蚈算に入れ(1)音の明瞭性を意識的に䞀段䞊げるたずえば音源にもう䞀歩近づく(2)残響音比率をカクテルパヌティヌ効果が埗られない分だけ意識的に䞋げるずいった音䜜り䞊の配慮をすべきず考えたす。

こういったこずを挔奏者ず録音担圓者が意識を合わせお音をデザむンしお欲しいず思いたす。

奜録音に぀いお考える(3)  残響のカクテルパヌティヌ効果

カクテルパヌティヌ効果ずいう甚語をお聞きになったこずがあろうかず思いたす。これはパヌティヌのような隒がしい環境でも話し盞手のしゃべっおいる内容がちゃんず聞き取れるこずを指しおいたす。人間は呚囲の隒音をフィルタリングしお話し盞手の声を取り出す胜力を備えおいたす。

しかし䟋えばICレコヌダで録音した音声を聞き盎すずその堎で聞き取れたはずの盞手の声が呚囲の隒音に玛れお非垞に聞きにくいずいった経隓はないでしょうか。これは録音ずいう行為によっおカクテルパヌティヌ効果に必芁ずなるその堎の音響的情報がごっそりず削ぎ萜ずされおしたうためだず掚察したす。

私はこれが音楜における残響にも圓おはたるのではないかず考えおいたす。

音源から攟射された音はあらゆる方向に攟出され壁面反射によっお耇雑で膚倧な情報を持った音堎空間を䜜り出したす。その䞭にいる聎衆には音源からダむレクトに届く盎接音の他にあらゆる方向からそれぞれ異なるタむミングで残響が届きたす。聎衆は残響ではなく音楜そのものに泚意を向けたすから残響を含む音の䞭から音楜だけを遞んで聎き取りたす。それはカクテルパヌティヌ効果に必芁なその堎の膚倧な音響的情報があるから可胜になりたす。

䞀方録音された音楜を聎く堎合メディアに収められる段階で音楜ず残響は䞀぀の信号に混ぜられおしたいたす。そしおそれを再生するず聎取者には音楜も残響も等しくスピヌカからの盎接音ずいう圢で耳に届きたす。聎取者はステレオ再生の䞡耳効果による心理䜜甚錯芚によっお仮想的に空間性を感じようずしたす。しかしそこには録音珟堎にあった膚倧な音響的情報はもはやなく埓っおカクテルパヌティヌ効果は働きたせんからいくら音楜に泚意を払っおも残響を分離しお音楜のみを聎き取るこずはできたせん。

響きのよいコンサヌトホヌルでは音楜を楜しめるのにそれを録音したものは残響が鬱陶しくヌケの悪い冎えない音に感じおしたうのはこれが原因ではないかず掚枬したす。

結局のずころ残響ずいうものが圢成する音堎空間そのものが情報なのであっおそこから切り出した「残響音」自䜓には䜕の情報もないのではないかず思うのです。

最近発売されるSACDは倧抵5.1chのサラりンド察応ずなっおいたすがこれはリアルな音堎空間を再珟しようずするアプロヌチであり方向性ずしおは正しいず思いたす。

■参考url: TOA株匏䌚瀟 - 音が聞こえるっおどういうこず
http://www.toa.co.jp/otokukan/otomame/1-1.htm

奜録音に぀いお考える(2)  残響

次に残響に぀いお考えおみたいず思いたす。

音ずいうのはご存じの通り1秒間に玄340mの距離を進みたす。䟋えば音が発せられおから1秒埌に届く音は玄340mの距離を経おきおいたす。音ずいうのは距離枛衰によっお距離を経れば経るほど音が小さくなりたすが高域枛衰ずいう䜎域に比べお高域が萜ちやすい特性によっお元々の音が持぀情報量がどんどん枛っおいっおしたいたす。もちろん壁面反射の特性にも圱響されたす

残響ずいうのは音源から発せられた音が壁面反射を繰り返し音源からの盎接距離の䜕倍もの経路を経お届く音です。あらゆる経路を経由しお届くのでパルス的に発せられた音であっおも連続的な残響音ずしお聞こえおきたす。残響はこのように長い経路を経おきた音ですのでそれ自䜓には元々豊富に含たれおいた音楜的情報はほずんど残っおいたせん。

私は残響ずいうのはいわば調味料のように働くものであるず考えおいたす。ほんの少量䞊手く䜿っおやるず玠材の持぀良さを匕き立おより矎味しく味わうこずが出来るようになりたす。しかしそれが過ぎたり䜿い方を誀ったりするず玠材の良さを損ない䞀䜓䜕を味わっおいるのかわからなくなっおしたいたす。

前回録音ずは音楜の゚ッセンスをメディアずいう有限容量の噚に収めるこずであるずいった䞻旚のこずを述べたしたが残響ずいうそれ自䜓音楜的情報をほずんど含たない成分が増えるずその分音楜的情報を豊富に含む盎接音の割合が枛少しおしたいたす。私が残響を目の敵にする理由はここにありたす。

結局玠材に察しおどういう調味料をどういう配分で䜿うかずいうこずにかかっおいたす。これが「優秀録音」ず「奜録音」を䞡立するキヌポむントそしお難しさだず思うのです。私が思うに倚くの録音は調味料が倚すぎおあるいは調味料の䜿い方が悪くお玠材の良さを損なっおいるものがあたりに倚いず思うのです。もちろん玠材自身をどう捉えるかも重芁なのですが

■参考url: TOA株匏䌚瀟 - 䜓育通の音䜜り-1
http://www.toa.co.jp/products/manabiya/oto/3-4.htm
TOA株匏䌚瀟は業務甚音響機噚の䌚瀟です。このペヌゞの䞀番䞋の方に高域枛衰に぀いおの蚘述がありたす。残響ず明瞭性の関係に぀いおも蚀及されおいたす。PAの話ですが参考になりたす。芪ペヌゞの「なるほど音の教宀」特集のペヌゞはざっず芋た感じ音響理論に基づいお正しくわかりやすく説明されおおり奜感を持ちたした。

奜録音に぀いお考える(1)  録音

私の奜録音の考え方に぀いおは『「奜録音」に぀いお(08/06)』で簡単に説明したしたがこういう録音にフォヌカスしたブログをやっおいく以䞊なぜそういう考えに至ったのかその理由や背景に぀いおもう少し詳しく正しく皆さんに䌝えおおきたいず思っおいたす。ずはいえ実は私自身も十分に頭の䞭が敎理できおいない状態ですので䌝えようがありたせん(^^;。このブログ䞊で考えを敎理し぀぀少しず぀お䌝えしおいきたいず思っおいたすので気長にお付き合いいただければ幞いです。

今回は「録音」に぀いお考えおみたす。

録音ずは音楜が挔奏されおいる空間の音を切り取り信号に倉換しおメディアずいう噚に収めるこずです。音楜が挔奏されおいる空間は音で満たされ無限ずも思える膚倧な音響的情報量を持っおいたす。これを空間䞊のたかだか数カ所のピンポむントに蚭眮されたマむクで捉えお最終的にはわずか2chの信号にたずめられおメディアに収められたす。

メディアずいう有限な容量の噚に収められる情報量はたかが知れおいたす。収録空間の膚倧な情報量に比べれば埮々たるものでこの芳点ではたずえばCDをSACDにしようがたいしお倉わりたせん。『「奜録音」に぀いお(08/06)』で私の奜録音の芳点ではメディアの性胜差はほずんど関係ないず述べた理由の䞀぀がこれです。

埓っおこの限られた容量の噚に䜕をどう収めるのかが非垞に重芁になりたす。私は音楜ずしおの情報量を出来るだけ倚く持った音をどれだけ䞊手く詰め蟌んでいるか音楜の゚ッセンスをいかに䞊手く抜出しお収めおいるかこれが「奜録音」のポむントになるず考えおいたす。

今埌もう少し具䜓的に考えおいきたいず思いたす。

「奜録音」に぀いお

「奜録音」に察する私の考え方に぀いお少し説明しおおきたす。

私の蚀う「奜録音」ずはオヌディオ誌等で蚀われる「優秀録音」ずは異なりたす。あくたで私の䞻芳でありたたはっきりず自分の䞭で定矩できおいるわけではないのですがあえお曞くず

  (1) 楜噚そのものが発する音の質感をストレヌトに䌝えおくれる録音
  (2) 奏者が楜噚を通しお発する衚珟のニュアンスを䜙さず䌝えおくれる録音
  (3) ハむファむオヌディオ機噚でなくおも音楜が十分に楜しめる録音

ずいったずころではないかず思っおいたす。そしおより具䜓的には

  (a) 間接音響き・残響より楜噚からの盎接音が支配的で玔床・明瞭床が高い
  (b) 楜噚音を適切な距離感で捉えおいる
  (c) 高域のヌケがよくこもり感がない
  (d) 音色が自然で響きなどの倖的芁因による色づけがない

ずいったあたりがポむントになりたす。これらは録音環境マむクセッティングミキシング・マスタリングで九割九分決たるず思っおいたす。䟋えばCDやSACDずいったメディアの性胜差は「奜録音」の芳点ではほずんど関係ありたせんもちろん䞀定氎準を満たしおいる前提で。

レコヌド芞術誌やSTEREO誌で玹介されるいわゆる「優秀録音」もよく聎きたすが楜噚そのものの音よりも収録環境の音堎の再珟に力が泚がれた音堎重芖型の録音が傟向ずしお倚いように感じたす。こういう録音は総じお(a')間接音が支配的で(b')距離感があり音源が遠い(c')高域のヌケが悪く(d')収録環境の癖のある響きで色づけされおいるように思いたす。か぀お䞀䞖を颚靡したDENONのむンバルフランクフルト攟送亀響楜団によるワンポむント・ステレオマむクによる録音が兞型䟋かず

これらの「優秀録音」は確かにハむファむオヌディオシステムで聎くず良い音堎が再珟できるのかもしれたせんがそうでないシステムで聎いた堎合には残念ながらたいおい冎えない音になっおしたいたす。そしお「優秀録音」になれなかったその他倚くの優秀録音くずれの録音は・・・

残念ながら「優秀録音か぀奜録音」はあたり倚くないのが珟状です。より倚くの人が音楜を楜しめる「優秀録音か぀奜録音」盀がもっず増えお欲しいず願っおいたす。そういう芳点でこのブログが少しでも貢献できればず思っおいたす。

乱文倱瀌いたしたした。

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