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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(カリドル弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
カリドル弦楽四重奏団 Calidore String Quartet
2022年2月4-8日 アメリカ,ゴア・リサイタル・ホール
SIGCD733 (P)(C)2023 Signum Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

カリドル弦楽四重奏団はニューヨークを拠点に活動する若手の四重奏団。2016年のM-Prize国際室内楽コンクールで優勝し,その後も様々な受賞の実績があるようです。今回は全集録音の第一弾とのことで,第一弾でいきなり後期を取り上げるとはチャレンジャーですね。

演奏はとても上手いですね。表現に癖はなくこの四重奏団の個性はあまり感じられないかもしれませんが,技術レベルも高く,アンサンブルにも隙がなく,この曲自体の魅力を十分に伝えてくれる水準の高い演奏だと思いました。

そして録音がまた素晴らしいです。残響はほぼありません。楽器音だけがストレートにニュアンス豊かに質感高く聴こえてきます。各楽器の分離感,音像の立体感もまずまずですが,録り方の関係で少し近いのですが,圧迫感はありません。私としては弦楽四重奏の録音としてほぼ理想的な好録音と思いました。

演奏面でも録音面でも今後のリリース,全集の完成がとても楽しみです。期待して待ちたいと思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ四重奏団))

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集I
第4番,第5番,第6番,第7番,第9番,第11番,第15番,第16番,大フーガ
ベルリン弦楽四重奏団 Suske-Quartett Berlin
1967年-1979年 ドレスデン・ルカ教会
KICC 1530-3 (P)2020 King Record (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集II
第1番,第2番,第3番,第8番,第10番,第12番,第13番,第14番
ベルリン弦楽四重奏団 Suske-Quartett Berlin
1968年-1980年 ドレスデン・ルカ教会
KICC 1534-7 (P)2020 King Record (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ四重奏団)のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集は名盤中の名盤なのでご存じの方も多いと存じます。大好きな全集でだいぶ前ですが取り上げていました(→こちら)。久しぶりに聴きたくなりディスクを探したのですが見つからず,2020年にリマスター盤が発売されていたのを見つけましたので,入手して聴いてみました。

演奏の感想は以前のレビューと変わりません。以下引用します。

「これは本当に素晴らしい全集です! 音楽の歓び,愛情に満ちています。 各奏者の腕前もたいしたものですし,アンサンブルも完璧,実はものすごくキレの良い演奏なのですが, そんな技術力先行のイメージをみじんも感じさせないところがすごいです。 そして,個性を売り物にするようなところも全くなく,このベートーヴェンの弦楽四重奏曲の普遍的な魅力を最大限に表現しようとする姿勢が, さらにこの全集の価値を高めているように思います」

昨今,同曲の素晴らしい全集がいくつもリリースされていますが,今もってこの全集が最高峰の一つであることに変わりがないと再認識しました。

録音ですが,以前のディスクと比較が出来ない状態なのでリマスターの効果がわからないのですが,全体に残響が多めではあるものの,直接音がそれなりに捉えられているのでまずまず良好と言えます。録音が多年にわたっておりクオリティにばらつきがあったり,やや演出感が強めであったりして,時代を感じさせるところは多々ありますが,この演奏の良さを十分に伝えてくれていると思います。

そういえば,最近SA-CDのシングルレイヤーのリマスター盤が発売されていました。SA-CDプレーヤを持ってないのでこれは購入できませんが,SA-CDの長時間収録を活かして3枚組となっているようです。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ドーヴァー四重奏団)

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ベートーヴェン:初期弦楽四重奏曲集作品18
ドーヴァー四重奏団 Dover Quartet
2018年11月30日-12月3日, 2019年9月23-26日 Sauder Concert Hall, Goshen College Music Center, Goshen, Indiana, USA
CDR 90000 198 (P)(C)2019 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

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ベートーヴェン:中期弦楽四重奏曲集作品59, 作品74, 作品95
ドーヴァー四重奏団 Dover Quartet
2019年12月16-18日, 2020年7月10-12日, 8月7-9日 Sauder Concert Hall, Goshen College Music Center, Goshen, Indiana, USA
CDR 90000 206 (P)(C)2021 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集作品127, 130, 131, 132, 133, 135
ドーヴァー四重奏団 Dover Quartet
2021年1月16-19日, 5月14-16日, 7月21-24日 Sauder Concert Hall, Goshen College Goshen, Indiana, USA
CDR 90000 215 (P)(C)2022 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ドーヴァー四重奏団は米国の若手の弦楽四重奏団で,2013年のバンフ国際弦楽四重奏コンクールで優勝し,ワシントンDCのケネディセンターにおける史上初のカルテット・イン・レジデンスを務めるなどの活躍をしているとのことです。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はこれまで初期と中期がリリースされていて取り上げていました(→こちら)。今回後期が発売になり全集として完成しました。

演奏は初期・中期と同様で,ダイナミックでキレがあり溌剌として躍動感があります。そして現代的でスマートです。演奏に癖がなくスタンダードな路線を極めた完成度の高い演奏だと思います。この四重奏団の独自性はあまり強調されていないと思いますので少し印象は薄いかもしれませんが,結局はこういう楽曲そのものの良さを追求したような演奏が長く楽しめるのではないでしょうか。とても良いと思いました。

録音ですが,残響は少し多めに入っていますが,楽器音への被りが少なく,音色への影響も少しありますが許容範囲です。キレのある演奏を阻害しない好録音と言える出来と思います。

これは前回も触れましたが,ラズモフスキー第3番の終楽章の速さには驚きました(→ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!)。タイム5:22で現時点でエマーソン四重奏団,グァルネリ四重奏団に次ぐ第四位です! この速さで一糸乱れぬ快速演奏は痛快です。(下記のプロモーションビデオで一部が聴けます)


初期弦楽四重奏曲集のプロモーションビデオ



中期弦楽四重奏曲集のプロモーションビデオ



後期弦楽四重奏曲集のプロモーションビデオ

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(エベーヌ四重奏団) 2020年ライヴ映像

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
エベーヌ四重奏団 Quatuor Ébène
2020年10月-12月 フィラルモニ・ド・パリ
9029644812 Warner Erato (輸入盤) DVD 6枚組
好録音度:★★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

エベーヌ四重奏団のベートーヴェンといえば,2019年4月から2020年1月にかけて行われたワールドツアー「ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド」の各ツアーの最終公演をライヴ録音した全集が発売されており,以前取り上げていました(→こちら)。これは演奏も録音も良く素晴らしい全集でした。

今回のディスクは,上記のワールドツアーのあと,パリに戻りフィラルモニ・ド・パリにて行われたベートーヴェン生誕250年記念の全曲演奏会収録したものということです。6枚組のDVDで,2020年10月に行われた2枚分の収録は有観客で行われ,その後の収録はコロナウィルス感染再拡大で無観客で行われました。

ワールドツアーからそれほど間を開けずに収録されているので,演奏の内容はワールドツアーの演奏と同等で素晴らしいと思いました。クオリティの高い演奏の映像が観られるというのは本当にうれしいことです。なお第13番はフィナーレを大フーガに置き換えて演奏されていますので,出版時のフィナーレは省略されています。

録音ですが,残響はほとんど取り込まれておらず,直接音主体に適切な距離感で明瞭に自然な音質で捉えられているのがとても良かったです。ワールドツアーの録音も良かったのですが,それよりも残響は少なくダイレクト感があって私はこちらの方が好みの録音でした。録音の品質は多少のばらつきがありましたが,有観客で収録されたものの方が若干良くほぼ文句なしでした。

それにしてもなんでDVDでの発売でBlu-rayがないのでしょう... これだけの素晴らしい演奏なのでBlu-rayでの発売もあって良いのにと思いました。

2020年10月に収録された第7番,第13番,第1番,第10番,第9番(収録順)は有観客で行われました。

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それ以降の収録は無観客で行われました。下記の写真のように観客席に背を向けるようにして演奏されていました。

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ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

※2022/1/31 エベーヌ四重奏団(2020 パリライヴDVD(5:31)を追加。ワールドツアーから9秒もタイムを縮め第8位に食い込みました!



ブランデンブルク協奏曲第3番第3楽章 快速ランキング!」に続き,おバカ企画第二弾! ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品59-3「ラズモフスキー第3番」終楽章 快速ランキング! です(^^;。


■ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

5:16 ニュー・ミュージック四重奏団(1950年代前半)
5:20 エマーソン四重奏団(1994-95)
5:21 グァルネリ四重奏団(1966 1回目)
5:22 ドーヴァー四重奏団(2020)
5:28 ウィーン・ムジークフェライン四重奏団(1990-92)

5:28 上海クァルテット(2008)
5:30 ジュリアード四重奏団(1964-70)
5:31 エベーヌ四重奏団(2020 パリライヴDVD)
5:32 ライプツィヒ弦楽四重奏団(1995-2006)
5:34 カルミナ四重奏団(1998)
5:35 メロス四重奏団(1983-1986)
5:37 ミロ・クァルテット(2012)
5:37 ベルチャ四重奏団(2012ライヴ)
5:39 ジュリアード四重奏団(1982)
5:39 オライオン四重奏団(2006-08)
5:39 タカーチ四重奏団(2001)
5:40 ヴォーチェス四重奏団(1998)
5:40 エベーヌ四重奏団(2019-2020 ワールドツアー)
5:41 ベルチャ四重奏団(2011,12)
5:41 グァルネリ四重奏団(1987-92 2回目)
5:43 東京クヮルテット(2005新録音)
5:46 ウィハン四重奏団(1996-2005)
5:48 ファイン・アーツ四重奏団(1969?)
5:48 ゴールドナー四重奏団(2004)
5:48 東京クヮルテット(1990-92旧録音)
5:48 プラジャーク四重奏団
5:49 アルテミス四重奏団(1998)
5:52 サイプレス弦楽四重奏団(2012-2014)
5:53 クリーヴランド四重奏団(1991-1995)
5:54 アルバン・ベルク四重奏団(1978-83旧録音)
5:54 ウィハン四重奏団(2007-2008)
5:55 エンデリオン弦楽四重奏団(2005-2008)
5:56 ヴラフ四重奏団
5:58 ゲヴァントハウス四重奏団(2002)
5:58 クス四重奏団(2019)
5:59 ロータス・カルテット
6:00 アマデウス四重奏団(1959-63)
6:00 アウリン四重奏団(2002-04)
6:02 シネ・ノミネ四重奏団
6:03 コロラド四重奏団(2001)
6:04 アリス四重奏団(2017)
6:04 バルトーク四重奏団(1969-72)
6:05 フィルハーモニア・クァルテット・ベルリン
6:05 ターリヒ四重奏団(1977-81)
6:06 アルバン・ベルク四重奏団(1989新録音)
6:07 フェルメール四重奏団(1983-91)
6:10 ヴァンブルー四重奏団(1996)
6:10 アルカン四重奏団(2008^2011)
6:11 ケッケルト四重奏団(1953-56)
6:36 クァルテット・エクセルシオ(2014)
6:38 ズスケ四重奏団(1967-80)
6:39 レナー四重奏団(1926)
6:40 メディチ弦楽四重奏団(1988-90)
6:40 ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団(2018)

HMV Onlineによると,ニュー・ミュージック四重奏団がものすごく速いということで,YouTubeにアップされている音源を実測してみました。5:17で今のところやはり最速でした。(YouTube情報有り難うございました)→CDを入手し実測し直しました。5:16でした。

今後も聴いて実測できたものがあれば随時追加していきます。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番,大フーガ(クァルテット・エクセルシオ)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番,大フーガ
クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
2020年9月16,18日 千葉県・浦安音楽ホール
Live Notes WWCC-7959 (P)2021 NAMI RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第12番,第16番第7番~第9番「ラズモフスキー四重奏曲」第1番~第6番第11番「セリオーソ」,第15番第10番「ハープ」,第14番に続く第六弾で,これでベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集として完結しました!

全集を通してオーソドックスですが,優れたアンサンブルで細やかでニュアンス豊かな表現が隅々まで行き届き,高い水準で仕上げられています。日本人演奏家による優れた全集がここに完成したことを喜びたいと思います。

録音ですが,これも全集を通してほぼ印象が変わりません。わずかに残響というか響きの被りがあって音色のくすみが感じられます。もう少しクリアに透明感のある音で録ってくれていたらなぁと思います。ただ好録音というには少し物足りないものの,そんなに悪いわけでもないので,残響や響きが許せるのであれば問題ないと思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集(エーネス・クヮルテット)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番, 大フーガ
エーネス・クヮルテット Ehnes Quartet
Neva Langley Fickling Hall, Mercer University, Macon, Geogia, USA, August 2020
ONYX 4199 (P)(C)2021 PM CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番, 第14番
エーネス・クヮルテット Ehnes Quartet
Neva Langley Fickling Hall, Mercer University, Macon, Geogia, USA, August 2020
ONYX 4215 (P)(C)2021 PM CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」, 第11番「セリオーソ」
エーネス・クヮルテット Ehnes Quartet
Neva Langley Fickling Hall, Mercer University, Macon, Geogia, USA, August 2020
ONYX 4216 (P)(C)2021 PM CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

当代最高のヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストの一人,ジェームズ・エーネスの名前を冠する弦楽四重奏団のベートーヴェンの弦楽四重奏曲集。2020年8月に第10番作品74以降を一気に録音したとのことで,現在第三弾まで発売されています。残りは第15番,第16番で近いうちに発売になることを期待します。

手練れ揃いということですが,やはりエーネスの力量が一段抜きん出ているので彼のキャラクターが強く出ていますね。軽々と余裕で歌う明るいベートーヴェンは彼ならではという気がします。やや派手な感じがするので中後期の奥深さは陰を潜めているようにも思いますので好き嫌いは分かれそうです。私はこれはこれで良いと思います。

録音ですが,少し残響感がありますがそれぞれの楽器は明瞭に捉えられていますので良好と言えます。少し演出感が強いので,もう少し自然な生々しさがあれば良かったのに,とは思います。エーネス・クヮルテットの録音としてはシューベルトの死と乙女,シベリウスの親愛なる声が素晴らしかったので,それと同じように録ってくれたら良かったのに,と思います。

ベートーヴェン:初期・中期弦楽四重奏曲集(ドーヴァー四重奏団)

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ベートーヴェン:初期弦楽四重奏曲集作品18
ドーヴァー四重奏団 Dover Quartet
2018年11月30日-12月3日, 2019年9月23-26日 Sauder Concert Hall, Goshen College Music Center, Goshen, Indiana, USA
CDR 90000 198 (P)(C)2019 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

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ベートーヴェン:中期弦楽四重奏曲集作品59, 作品74, 作品95
ドーヴァー四重奏団 Dover Quartet
2019年12月16-18日, 2020年7月10-12日, 8月7-9日 Sauder Concert Hall, Goshen College Music Center, Goshen, Indiana, USA
CDR 90000 206 (P)(C)2021 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ドーヴァー四重奏団は米国の若手の弦楽四重奏団で,2013年のバンフ国際弦楽四重奏コンクールで優勝し,ワシントンDCのケネディセンターにおける史上初のカルテット・イン・レジデンスを務めるなどの活躍をしているとのことです。

歴史的録音の復刻かと思うような渋いアルバムのアートワークですが,演奏はさにあらず。ダイナミックでキレがあり,現代的なスマートさカッコいいです。技術的にも優れ,アンサンブルもスキが全くありません。

録音ですが,残響は少し多めに入っていますが,楽器音への被りが少なく,音色への影響も少しありますがなんとか許容範囲です。キレのある演奏を阻害しない好録音と言える出来と思います。

これはどうかなと思って入手しましたが私としては大当たりでした。後期弦楽四重奏曲集が俄然楽しみになってきました。

蛇足ですが,ラズモフスキー第3番の終楽章の速さには驚きました(→ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!)。タイム5:22で現時点でエマーソン四重奏団,グァルネリ四重奏団に次ぐ第四位です! この速さで一糸乱れぬ快速演奏は痛快です。(下記のプロモーションビデオで一部が聴けます)


初期弦楽四重奏曲集のプロモーションビデオ



中期弦楽四重奏曲集のプロモーションビデオ

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」,ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第10番(アルミーダ四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番作品59-1「ラズモフスキー第1番」
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第10番変イ長調作品118
アルミーダ四重奏団 Armida Quartett
録音不明
4260085533688 (P)(C)2016 Bayerischer Rundfunk/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

アルミーダ四重奏団のディスクをもう一つ。ベートーヴェンのみのコメントです。第1楽章冒頭から速いテンポで流麗にサラッと音楽が流れていくのが大変魅力的です。若い今どきの弦楽四重奏団らしくスマートですね。

録音は,残響はあるもののスッと消えて楽器音に被っていないのでスッキリとしています。少し距離感があって個々の楽器の質感は少し弱めでニュアンスを感じ取りにくいところがあるので,もう少し寄って録ってくれていたらと思いますが,これでも良好と言えます。先に取り上げたモーツァルトVol.3よりもこちらの方が録音としては好きですね。

この団体のベートーヴェンの演奏はもう少し聴いてみたくなりました。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」,第14番(クァルテット・エクセルシオ)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」,第14番
クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
2019年12月18,19日 武蔵ホール(埼玉)
Live Notes WWCC-7939 (P)2021 NAMI RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第12番,第16番第7番~第9番「ラズモフスキー四重奏曲」第1番~第6番第11番「セリオーソ」,第15番に続くベートーヴェン・シリーズの第五弾。

ここに来て第2ヴァイオリンが交代されたとのことですが,今までの演奏と変わりないクオリティの高さ,完成度を達成していると思いました。個性的な演奏ではありませんが,日本人らしい(という言い方はあまり良くないかもしれませんが)生真面目さ,素直さ,そして技術力の高さが,曲の持つ本来的な美しさを最大限に引き出しているように思いました。

録音についてもこれまでと同様で,やや残響が多めに取り入れられ,楽器音に被って音色をくすませています。改善されることを望みましたが,許容範囲内ではあるので,まあここまで来たらこの録音で統一というのも全集としては良いかもしれません。

全集としては,いよいよ第13番と大フーガを残すのみとなりました。楽しみに待ちたいと思います。

クス四重奏団のクラウドファンディング(Kickstarter)出資へのリターンが届きました!

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先日取り上げたクス四重奏団の弦楽四重奏曲全集の収録にあたりクラウドファンディング(Kickstarter)で資金集めされており(→Kuss Quartett - The Beethoven Recording),私も€100出資しておりました。リターンである全集のボックスセットは今年1月発送予定でしたが一向に届かないので問い合わせてみたところ,新型コロナウイルスの影響で発送が遅れているとのことでした。それが先日ようやく届きました!

包装の箱はボコボコにへこんでいましたが,中身は無事でした。サントリーホール前で撮影されたポストカードが同封されていて,直筆で出資へのお礼の言葉が記されていました。

到着を待ちきれず購入してしまっていましたが,出資に対する約束が果たされたのでちょっとホッとしています。

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
クス四重奏団 Kuss Quartet
2019年6月2-13日 東京,サントリーホール,ブルーローズ(小ホール)
RCD1045 (P)2020 Kuss Quartet (C)2020 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon,Apple Music(初期, 中期, 後期)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(エベーヌ四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
エベーヌ四重奏団 Quatuor Ébène
2019-2020年
0190295339814 (C)2020 Parlophone Records/Warner Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

2019年4月から2020年1月にかけて行われたワールドツアー「ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド」の各ツアーの最終公演をライヴ録音した全集。

収録曲と収録地は下記の通りです。

第1番,第14番 (2019年5月6日 フィラデルフィア,キメル・センター)
第7番,第8番 (2019年6月11日 ウィーン・コンツェルトハウス,モーツァルトザール)
第9番,第13番,大フーガ (2019年7月16日 東京,サントリーホール,ブルーローズ)
第6番,第12番 (2019年9月18日 サンパウロ,サーラ・サンパウロ)
第2番,第10番,第11番 (2019年10月30日 メルボルン・リサイタル・センター)
第4番,第5番,第16番 (2019年12月8日 ナイロビ,Alliance francaise de Nairobi)
第3番,第15番 (2020年1月27日 フィルハーモニー・ド・パリ)

演奏ですが,集中力の高さと緊張感,そしてライヴの熱気と勢いに圧倒されます。技術のキレも抜群です。表現はどちらかといえば直球勝負してくる感じなのですが,ビシッビシッと決めてくるのが痛快です。しかしとにかくテンションの高い演奏なので聴いている側も緊張を強いられます。こういう演奏に久しぶりに出会った気がします。

そして録音なのですが,多くの会場に分かれているにも関わらず,全体的に統一感のある音作りになっています。オンマイク気味に各楽器の音を明瞭に捉えている一方で,残響の取り入れも多く,音色に影響しているほか,密度が高く暑苦しい感じがします。質感やニュアンスはよく捉えられているのですが。私としてはもっとすっきりと録って欲しかったと思いますが,まあ許容範囲ギリギリということで,ちょっとオマケですが四つ星半としました。

エベーヌ四重奏団が現代のトップクラスの団体であることがよくわかる素晴らしい全集でした。

なお,第13番は大フーガを終楽章に据えたバージョンで演奏されています。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(クス四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
クス四重奏団 Kuss Quartet
2019年6月2-13日 東京,サントリーホール,ブルーローズ(小ホール)
RCD1045 (P)2020 Kuss Quartet (C)2020 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon,Apple Music(初期, 中期, 後期)

2019年6月に行われた「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2019」のライヴ録音。この録音された時期(ちょうど昨年の今頃ですね...)にクラウドファンディング(Kickstarter)で資金集めされていました(→Kuss Quartett - The Beethoven Recording)。サイトを見ると,39人が支援し,€6,136を集めたとあります。何を隠そう,私もその中の一人で€100出資しました(^^;。ディスクは2020年1月に発送,とされていたのですが,今日現在(6月7日)もまだ届いていません。4月初旬に問い合わせをしたところ「発売したんで今から送ります。」と連絡があったのですが,その後「新型コロナウイルスの影響で送れる状況ではなくなった。ちょっと待って欲しい。」とのことでした。そろそろ落ち着きを取り戻しつつあると思いますので,また状況を聞いてみようと思います。

で,結局待ちきれずに購入して聴いているわけですが...

輸入元情報によるとクス四重奏団は「1991年のドイツ,ベルリンでの結成以来,欧州を中心に世界を席巻し続けている世界屈指の弦楽四重奏団」とのことで,私自身はよく知らなかったのですが,実際にこのディスクを聴いてみると,その実力の高さと幅広い表現力に納得してしまいました。緩急強弱を駆使した大胆な表現から,細かい仕掛けまで,独自の表現を追求し,それを高い技術力とアンサンブル力で,隅々まで神経の行き届いた演奏を実現しています。拍の感じ方が合わないところがあって「ウッ」となる瞬間はありますが,個人の好みの範囲です。

録音ですが,ホールトーンの被りで音色への影響が少し気になるものの,演出感の少ない自然な雰囲気を残したライヴ録音としてまずまず良好と思いました。個人的にはもう少し寄って個々の楽器の質感と分離感を確保して欲しかったとは思いますが。不満は残るもののギリギリ好録音と言って良いかなと思います。

ということで,これはなかなか聴き応えのある素晴らしい全集でした。

ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(ブロドスキー四重奏団)

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
ブロドスキー四重奏団 Brodsky Quartet
2017-2019年 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20114(3) (P)(C)2020 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

エルガーの弦楽四重奏曲でも紹介したとおりブロドスキー四重奏団は1972年結成のベテランの四重奏団。ベートーヴェン生誕250周年記念録音とのこと。後期ですが第11番「セリオーソ」も収録されています。

力強く熱のこもった演奏なのに滋味深くどこか優しく聴こえるのはベテランの味,一昔前のスタイルによるものでしょうか。こういう演奏にホッとするのは歳のせいかもしれません。

録音もエルガーの弦楽四重奏曲とほぼ同じで,少し距離感を感じるものの,残響は抑えられており,スッキリした聴きやすい録音です。明瞭感もまずまずなのですが,距離感があるので楽器の質感は少し弱めです。まあもう少し寄って各楽器の質感を強めに分離良く録ってくれればとは思います。だいぶオマケでの四つ星半です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※2回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1987-1992 American Academy and Institute of Arts & Letters, New York, USA
93323 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

グァルネリ四重奏団の2回目の全集。1回目は1966-69年の録音で,先日レビューしました(→こちら)。原盤はPhilipsでブリリアント・クラシックスが廉価盤で復刻していたものを入手しました。これも確かPhilips盤を分売でコツコツ買い集めていたはずなのですが...どこにしまい込んだんだっけ(保管している意味全くなし(^^;)。

演奏は1回目に比べると随分と表現の幅が広がり,ニュアンスもとても豊かになり,推進力も普通になりました(^^;。失われたものもありますが,獲得されたものの方が多く,正常進化と言えるのではないでしょうか。(もちろん1回目はあれはあれでとても良かったと思います)

一方録音ですが,響きが少し被り気味で,音色が少し濁って聴こえるのが残念なところですが,明瞭感,楽器の質感もまずまずであり,音像感も違和感が少なく,悪くありません。四つ星半の好録音としましたが,私としては残響感と音色に不満が残るので少しオマケではあります。音の捉え方は1回目の全集の方が好きですが,クオリティ面を含めた全体的な出来としてはこの2回目の方が良いかもしれませんし,一般的にも受け入れられやすいと思います。

この全集,現在現役盤がないように思います。良い全集だと思いますので復刻して欲しいものです(→タワーレコード様)。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※1回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1966年11月-1969年12月 ニューヨーク,ウェブスター・ホール
19075971162 (P)2003 (C)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

グァルネリ四重奏団は1964年結成,2001年まで同じメンバーで活躍したとのことで,同一メンバーによる弦楽四重奏演奏の記録保持者でもあるということです。この全集は結成から数年後に録音された1回目の全集です(1987-1991年にPHILIPSレーベルに2回目の全集録音)。

演奏は力強くそしてとても丁寧です。細部まで表現が練り込まれていますが基本的には素直でストレートです。ですが躍動感はあるのに推進力に乏しくちょっとおっとりしている?という何とも言えない独特な演奏になっています。音楽に謙虚に向き合っている姿がその音楽に現れているように思います。私としてはもう少し前に前に進んでいく演奏だったらなと思いました。

録音ですが,マルチマイクでそれぞれの楽器をきちんと捉えたような音作りになっていて,明瞭感や分離感,楽器の質感は申し分ないです。残響感はほとんどなくほんのわずかに音色がくすんだ感じがするものの許容範囲です(ただ中期は少し相対的にやや劣る感じでした)。また,マスターテープの劣化ではないかと思われる音の揺らぎも感じられました。このあたりの品質はやっぱり1960年代の録音ですね。音像はあまり自然さがあまりありませんが私としては気になりません。それぞれの楽器の音が引き締まっていてストレートに音楽が届くのが気持ちよい好録音でした。ちょっと迷いましたが四つ星半です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ミロ・クァルテット)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
ミロ・クァルテット Miró Quartet
2004年-2019年
好録音度:★★★★☆
PTC 5186 827 (P)2019 Pentatone Music (輸入盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ミロ・クァルテットのベートーヴェンは,作品18と作品59が既発売でレビューしていました(→こちら)。その後ずっと続きを待っていたのですが,またいきなり全集化かよ!と思ったら,実はMiro Quartet Mediaという自主レーベルで少しずつ発売されていたようです。完全に見逃していました。

録音データは下記の通りです。

作品18 2004年10月7-22日 アメリカン・アカデミー・オブ・アーツ&レターズ(ニューヨーク)
作品59 2012年5月12-25日 テキサス大学オースティン構内イエッセン講堂(テキサス)
作品74, 95 2015年3月15-19日 ペナロヤ・ホール内イルズリー・ポール・ノドストローム・リサイタル・ホール(シアトル)
作品12 2019年2月17-20日 パスタ大学構内パスタ・チャペル(ケンモア)
作品13 2017年9月26-29日 同上
作品14, 15 2016年9月28日-10月6日 同上
作品16 2018年10月8-12日 同上

ということで,約15年かけて全集を完成させています(ベートーヴェンが作曲した年齢に近い年齢で録音したいということだったので,もっとかかると思っていました(^^;)。

作品74以降を初めて聴きましたが,演奏は一貫しています。現代的で洗練された演奏ですが,基本的にはオーソドックスです。しかし,とてもキレの良い高い技術力で緻密なアンサンブルを形成していますし,ダイナミックで推進力があり,何のためらいもなく自信たっぷりに攻めてくる演奏は心にグッと突き刺さってきます。

そして録音の良さがこの演奏をさらに引き立てています。残響は最小限に抑えられ,直接音中心に,楽器の質感,ニュアンスをダイレクトに伝えてくれます。音色も自然ですし,音の伸びも十分にあります。

演奏も良く,録音の良さも兼ね備えた,最近聴いた中では特に感動した素晴らしい全集だと思いました。間違いなく同曲の愛聴盤の一つになるでしょう。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番~第6番 作品18

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番,第2番,第3番
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2015年6月29日-7月1日 トロント,グレン・グールド・スタジオ
CORO COR16164 (P)(C)2018 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番,第5番,第6番
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2016年10月10-13日 トロント,グレン・グールド・スタジオ
CORO COR16174 (P)(C)2019 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

アイブラー四重奏団は「ターフェルムジーク・バロック管弦楽団や,ヘンデル&ハイドン・ソサエティ(HHS)で活躍する名手たちによって2004年に結成され,カナダ,トロントを拠点として活動しているアンサンブル」(輸入元情報)とのことです。

演奏はかなり速いテンポで駆け抜けていくのですが,何というか,軽くて可愛らしいのです(^^;。ピリオドスタイルでありながらモダンというか新しさがあります。以前,同四重奏団のハイドンのロシア史重奏曲を取り上げましたが,だいぶ印象が異なります。一皮むけたというか,独自のスタイルを確立してきているなと思います。

そして録音ですが,スタジオ録音ということもあってか,残響はほぼなし,楽器音が極めて明瞭に,分離感よく,見通しも良く,質感高く捉えられていて,私としては申し分ありません。特に第1番~第3番が良く,第4番~第6番も悪くはないのですが,わずかに雑味が感じられて少し落ちる印象です。

演奏も録音も良く,このままベートーヴェンの録音を継続して欲しいと願っています。(録音は第1番~第3番と同じでお願いしたい)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品59「ラズモフスキー」(ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品59「ラズモフスキー」
ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団 Nicolai Quartet
2018年5月13日~19日 スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)
CMCD-15147-8 (P)(C)2018 Camerata Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ウィーン・フィルのメンバーで構成された2012年創設の弦楽四重奏団による演奏。若い演奏家たちの演奏ですが,その演奏スタイルはどちらかといえば古風で伝統的と言えるのではないでしょうか。ある意味ウィーン・フィルのカラーを受け継いでいるようにも思います。推進力やキレのある演奏ではありませんが,丁寧で落ち着いた佇まいにどこかホッとさせる温かさを感じます。

録音ですが,少し残響が多めで音色への影響と演出感の強さにつながっているものの,響きの癖は少なく,また楽器音の捉え方がしっかりとしていて明瞭感と質感はそれなりに保たれているので印象は悪くありません。私の好きな録音とは少し違いますが,まあこれならぎりぎり許せます。少しオマケですが四つ星半です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」,第15番(クァルテット・エクセルシオ)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番ヘ短調作品95「セリオーソ」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番イ短調作品132
クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
録音 19-20, April, 2018 Cualtual Centre of Fujimi City KIRARI☆FUJIMI
Live notes WWCC-7888 (P)2019 NAMI RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第12番,第16番第7番~第9番「ラズモフスキー四重奏曲」第1番~第6番に続くベートーヴェン・シリーズの第四弾。シリーズも佳境に入ってきました。

基本的な演奏の姿勢はシリーズ通して一貫していると思いますが,今回の第11番,第15番は少し攻めていると思います。より起伏に富み,熱を帯びています。個々人の技量,アンサンブルともに申し分ないのも変わりませんね。

録音ですが,これも今までの録音同様で,残響が多めで音色のくすみが気になりますし,まるで風呂屋のように比較的狭い空間しか感じられないのも良くないと思う点です。許容範囲内ではありますが,う~ん,この録音はちょっと残念です。

全集まであと第10番,第13番,第14番を残すのみ。録音を改善してくれることを切に望みます。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集よりVol.5, 6(エリアス弦楽四重奏団)

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Vol. 5
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番,第9番「ラズモフスキー」,第14番
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 10 January 2015
WHLive0092/2 (P)(C)2018 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazom.co.uk

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Vol. 6
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番,第8番「ラズモフスキー」,第16番
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 7 March 2015
WHLive0093/2 (P)(C)2018 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.uk

エリアス弦楽四重奏団のベートーヴェンはすでにVol. 4までレビューしていました(こちら)。これで全集として完結です。Vol. 4までは国内のショップで普通に購入できたのですが,これらVol. 5, 6はまだ日本にディスクが入ってきていないようです。仕方なく英Amazonから購入しました。

演奏はVol. 4までと変わりません。大胆で大げさな表現が聴きものです。それが結構痛快に決まっていてワクワクするのです。ライヴ録音の熱気が伝わってくるのも良いところです。これが全集として一貫しているのがいいですね。

録音もVol. 4までと同様です。ライヴ録音として自然であり,高域まですっきりと伸びていて悪くありません。若干音色に癖があるものの許容範囲です。好録音というには少々物足りなさはありますが,まずまず良好です。

皆さんにお勧めするものではありませんが,私としては全集として結構気に入りました。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番,第16番(ストラーダ四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番,第16番
ストラーダ四重奏団 Quatuor Strada
DEAUVILLE LIVE 2015
LBM004 (P)(C)2016 B Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴。拍手の入るライヴ録音(だだし拍手が入るのはなぜか第15番のみ)。全く知らない四重奏団ですが,演奏はオーソドックスで充実しており技術的にも問題なく,ベートーヴェンの最後期の名曲を普通に楽しめました。

録音ですが,少し多めに響きを取り入れていますが,直接音が主のためまずまず良好ですが,低域から中域にかけての響きがやや被っていて締まりがなくモワッとしています。これがなければかなり良かったと思うのですが。惜しいです。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番,他(ツェートマイアー・カルテット)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調作品135
ブルックナー:弦楽四重奏曲ハ短調
ハルトマン:弦楽四重奏曲第2番
ホリガー:弦楽四重奏曲第2番
ツェートマイアー・カルテット Zehetmair Quartett
2002年4月,2010年4,5月 チューリッヒ
ECM 2195/96 (P)(C)2013 ECM Recoreds (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。ツェートマイアーはなんとなくクセ者のイメージが強いのですが,どんなベートーヴェンなのk興味が湧いたので聴いてみました。(なのでベートーヴェンのみのコメントです)

で,聴いてみて...やっぱり一癖も二癖もあるなぁと思った次第。面白いと思うところも多々あるものの,楽器の響きを止めながら表情をコントロールする弾き方にはちょっと欲求不満が溜まりますね。うーん,残念ですがこの演奏はあまり私には合いませんでした。

一方で録音ですが,少し録音場所の癖を意識させるような響きが取り込まれていて音色に影響があるのですが,この程度なら許容範囲で,良いとまでは言いませんが,まずまず悪くないかなと思いました。惜しいです。もう少し各楽器の質感を強めに出して,かつ分離良く捉えて欲しいとは思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番,第8番(ウェールズ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番,第8番
ウェールズ弦楽四重奏団 Verus String Quartet
February 1, 5, 6 & May 1, 2018 Cultural Centre of Fujimi City / KIRARI☆FUJIMI
FOCD9787 (P)(C)2018 FONTEC Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の第二弾(第一弾は第2番,第12番)。第一弾も良かったですが,これも良かった! 現代建築のようなスマートさがあり,透明感のある和音の響きも素晴らしい。若い世代の新しい演奏だなと思いました。技術的にも申し分ありません。

録音ですが,ホールでの録音のようですが,残響感はそれほどなく直接音主体に録られた素直な録音が好印象です。明瞭感,各楽器の分離感,質感も良好ですし,音色にも癖がありません。特徴のある録音ではありませんが,欠点がほぼ見当たらない好録音です。

演奏も録音も良く,第三弾が本当に楽しみです。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」,レオノーレ序曲第3番,フィデリオ序曲(弦楽四重奏版)(ライプツィヒ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」(弦楽四重奏版)
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番作品72b(弦楽四重奏版)
ベートーヴェン:フィデリオ序曲作品72c(弦楽四重奏版)
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
06-08.11.2017 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 2072-2 (P)(C)2018 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ライプツィヒ弦楽四重奏団は堅実な演奏を聴かせてくれるので,新譜を見つけると買ってしまいます。これは編曲ものということで少し悩みましたが。私はピアノ・ソナタは滅多に聴かないので曲をあまりわかっていないのですが,こうして弦楽四重奏で聴いてみると,楽器の違いによる作曲技法や語法(?)の違いも当然あるとは思いますが,それ以上に弦楽四重奏で目指した世界とピアノ・ソナタで目指した世界はだいぶ違うんじゃないかというのが漠然とした感想で,それはピアノ・ソナタのオリジナルを聴いたときにはあまり意識しなかった感覚でした。2曲の序曲も同様です。いつもと違う側面が感じられたという点で面白かったです。

録音ですが,残響が少し多めに取り入れられているものの,楽器音への被りは少なく直接音が主のため明瞭感は良好で,楽器の質感も良く感じられます。好録音です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集Vol. 1(カザルス四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集Vol. 1
第1番,第3番,第4番,第7番,第12番,第16番,作品14-1
カザルス四重奏団 Cuarteto Casals
2015, 2016, 2017, Teldex Studio Berlin
HMM 902400.02 (P)2018 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2020年のベートーヴェン生誕250年に向けて開始された全集録音の第一弾。「インヴェンションズ」というアルバムタイトルが付けられています。作品14-1はピアノソナタ第9番のベートーヴェン自身による編曲です。1997年の結成なので結成から20年,中堅からベテランの域に入ってきた四重奏団ですね。現代的で洗練されたフレッシュな印象を受ける演奏で,技術的にもキレがありアンサンブルも優秀です。

録音ですが,スタジオ録音としては少々残響が多めです。オフマイク気味のためかもしれません。せっかくのスタジオ録音なのでもう少し各楽器に寄って直接音比率を上げて明瞭感と高域の伸び感,透明感を確保して欲しかったところです。音色が濁ったり癖が乗ったりするところまではギリギリいっていないかなと思いますが,これはちょっと惜しいと思いました。オーディオ品質は良いと思います。

今後のリリースも楽しみです。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番作品130,大フーガ作品133(エルデーディ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番作品130,大フーガ作品133
エルデーディ弦楽四重奏団 Erdödy Quartet
Coppice Miyoshi, 12-16 February 2017
ALCD-1171 (P)(C)2018 ALM RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

後期弦楽四重奏曲集に向けての第1弾。差し替えられた終楽章での演奏のあとに大フーガが収められています。終楽章を大フーガで演奏されるケースもありますが,私はこちらのパターンの方が好きですね。そして演奏ですが,気負いのない明るく自由な雰囲気が好印象です。近寄りがたさを感じることもある後期の作品を少し緩めに親しみやすく聴かせてくれていると思います。

録音ですが,残響感はあるものの控えめで直接音主体なので,明瞭で音に伸びがあり楽器の質感もよく感じられます。少し演出感はあるものの,一方で椅子のきしみや演奏者が動くとき音なども入っていて妙に実在感もあったりします。ちょっと音の捉え方が濃い感じはしますが,まずまずの好録音と言えると思います。

これからのリリースも楽しみです。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲作品18(クァルテット・エクセルシオ)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲作品18
クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
2016年5月24,25日 富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ(No.1-3),2017年4月18,19日 相模湖交流センター(No.4-6)
Live Notes WWCC-7867-9(LN 3900-2) (P)(C)2018 NAMI RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

同弦楽四重奏団の第12番,第16番ラズモフスキー四重奏曲に続く,ベートーヴェン・シリーズ第3弾。やはりこれも前2作同様の正統的なスタイルを踏襲した充実した演奏で,シリーズとして一貫している点はもちろん良く私も望ましいと思う一方で,この作品18に関していうと少し真正面からぶつかりすぎている気がしてしまいました。曲運びが少し重いのです(そのためかディスク3枚組になっています)。もう少しスピーディーで軽やかな演奏で聴きたかったかなというのが正直なところですが,これはまあ演奏者の目指すところがそちらの方なのでしょうから仕方ありませんね。技術力があり,アンサンブルも優れている点はさすがです。

そして録音ですが,今回は3曲ずつ異なる会場で録音されているので,それぞれで少し傾向が異なるのですが,少しオフ気味でホールのキャラクターを強めに出している点では同様です。そのため,やはり音の濁り,くすみは避けられず,ニュアンスや美しい音色が損なわれているというのは否めません。まあこの程度であれば全く問題ないと思われる方も多いとは思いますが。第3弾まで同じ傾向の録音できているので全集がこれで統一されてしまうのかと思うと私としては少々残念に思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品18よりNo.1-3(アイブラー四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品18よりNo.1-3
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2015年6月29日-7月1日 グレン・グールド・スタジオ(トロント,カナダ)
COR16164 (P)(C)2018 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

軽やかで小気味よくスピーディーに曲が進行していく清々しい演奏。巧いですしアンサンブルも優秀です。現代的で洒落てます。初期の作品はこういう演奏が良いですね。

録音ですが,少々残響感はあるもののしつこくはなく,直接音もそれなりに感じられることから悪い印象はありません。せっかくのスタジオ録音なのでもっと残響を抑えてキリッと録って欲しいところですが,これならまあ許せます。

想定外に良かったので(失礼!),今後の録音にも期待したいと思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集よりVol.1~4(エリアス弦楽四重奏団)

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Vol. 1
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番,第10番「ハープ」,第13番(大フーガ付き)
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 20 February 2014
WHLive0073/2 (P)(C)2015 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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Vol. 2
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番,第15番
ベートーヴェン:弦楽五重奏曲作品29
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 19 May 2014
WHLive0085/2 (P)(C)2016 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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Vol. 3
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番,第11番「セリオーソ」,第13番
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 9 Oct 2014
WHLive0086/2 (P)(C)2016 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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Vol. 4
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番,第7番「ラズモフスキー第1番」,第12番
エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
Recorded live at Wigmore Hall, London, on 1 Nov 2014
WHLive0089/2 (P)(C)2017 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Vol. 1はほぼ3年前に一度レビューしていました(→こちら)。2014年頃に行われたライヴ録音を順次リリースしており,現在10曲で,全集まであと6曲となりました。第13番は終楽章を大フーガのものと出版通りのものの両方を別々に録音されています。録音のペースからするとすでに全部録音し終わっていると思います。さっさと全部リリースして欲しいものです(^^)。

ここまで聴いて,感想はVol. 1のときと全く変わりません。特に解釈に特徴があるということはないのですが,とにかくやることなすこと大げさです。必殺技を決めるがごとくえいっとばかりに弾くところもあれば,臭ってきそうなくらいコテコテに表現するところもあり,私はこれを「大阪のオバチャン風演奏」だなぁと思って終始ニヤニヤしながら楽しく聴いています(※個人の感想です(^^;)。クールな演奏が多い中,こういうベートーヴェンは録音ではなかなか聴けないだけに,これは面白いということでなかなか良いのではないかと思いました。全集のまでのリリースがまた楽しみです。

録音ですが,多少のばらつきはあるものの,ほぼ揃っています。ライヴ録音でホールの響きがすこし多めに入ってるのでライヴの雰囲気は出ていますが,音色は少々影響を受けています。またマイクが少し遠めに感じられてもう少し寄ってくれたら良いのにとは思いますが,それなりに高域も伸びていて曇ることもなく,また楽器の質感も感じられるので悪くはありません。好録音というには物足りませんが,まあ許容範囲に入る録音です。
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