2019/12/08

ロルストン弦楽四重奏団 Rolston String Quartet
2019年1月2-4日, 6月18-20日 ベルギー,ワーテルロー,エリザベート音楽院ホール
Fuga Libera FUG757 (P)2019 Queen Elisabeth Music Chapel (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
国内12月26日発売とのことですが,Apple Musicで公開されていましたので試聴してみました。上記のほか子供のアルバム作品39(ドゥビンスキー編曲)から5曲収録されています。
ロルストン弦楽四重奏団は2013年にカナダのバンフで結成された若い弦楽四重奏団で,2016年の第12回バンフ国際弦楽四重奏コンクール,第31回イエロー・スプリング室内楽コンクールで優勝しているとのことです。
演奏は基本的にオーソドックスですが,響きが美しく溶けあう和音や若々しい溌剌とした表現はなかなかのものですし,例えば第一楽章のテンポの変わり目の入り方など,おぉ!というところもあります。技術的にも上手いですし,アンサンブルも優秀だと思います。チャイコフスキーの室内楽を楽しませていただきました。
録音ですが,やや距離感があり,少し響きが被って音色への影響が感じられるものの,音が曇るほどでもなく,楽器の質感やニュアンスも聴き取れるので,悪くないと思いました。もう少し寄って直接音主体に録ってくれたら良いのにとは思いますが。少々オマケですが四つ星半です。
2019/03/03

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲楽章変ロ長調 op.post
チャイコフスキー:弦楽六重奏曲ニ短調「フィレンツェの思い出」作品70
メッコーレ弦楽四重奏団 Meccore String Quartet
01.05-05-05.2018, National Philharmonic Chamber Hall, Warsaw
MDG 903 2091-6 (P)(C)2018 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
メッコーレ弦楽四重奏団は2007年にポーランドの若手演奏家で結成された若い四重奏団とのことです。フィレンツェの思い出では,アルバン・ベルク四重奏団のイサベル・カリシウス(Va),ヴァレンティン・エルベン(Vc)が参加されているとのことです。
演奏は表情付けが丁寧で美しいですし,また,技術的なキレもあり,速く演奏されるところでも全く乱れず見事です。ロシア的な風情はあまりないかもしれませんが,チャイコフスキーであってもこういう洗練された演奏が好きですね。良いと思います。
録音ですが,残響は抑え気味で直接音主体に適切な距離感,適切な分離感,ステージ感で捉えていて好感が持てます。音色も自然,明瞭感,音の伸びもあり,弦楽四重奏の録音として良好です。突出はしていないにしてもバランスが取れた好録音です。
2018/01/21

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2017年3月 ドイツ,ノイマルクト,ライツターデル
BIS-2280 SACD (P)(C)2017 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
チャイコフスキーとボロディンは,私の好きなボロディン四重奏団の演奏に近い印象ですが,さらに若々しく溌剌として勢いがあり音楽が躍動しています。技術的にも大変優れていて隅々までコントロールが行き届き音楽に多彩なニュアンスを与えています。これはなかなか良いと思いました。
そして録音もBISにしては良好です(^^;。残響感はあるものの直接音を主体に濃厚に捉えています。明瞭感も良好ですし個々の楽器の質感も良く感じられます。少々捉え方が濃すぎる感があり残響ももう少し控え目にすっきり録った方が良いとは思いますが,これでもまずまず良いと思います。
このディスク,収録時間が約82分で名曲が3曲収められているというのもうれしいですね。
2016/12/03

ヒース四重奏団 THE HEATH QUARTET
2015年12月
HMU907665 (P)(C)2016 harmonia mundi usa (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴です。
ヒース四重奏団は2002年に結成された英国の弦楽四重奏団ということでまだまだ若手ですが,英国を代表する四重奏団の一つとのことです。チャイコフスキーの弦楽四重奏曲といえばボロディン四重奏団の1979年の録音が大好きで今でもよく聴くのですが,この演奏があまりに良く,他の団体の演奏を聴いてもあまり良い印象のものがありませんでした。「これくらいやらないとこの曲は面白くないんだよ」というような印象を受けるのが多いのです(もちろんそんな思いで演奏していることはないと思いますが)。
さてこのヒース四重奏団の演奏ですが,実に誠実な演奏だと思います。同曲に対する敬愛の気持ちと謙虚さが感じられます。先に挙げたボロディン四重奏団の演奏との共通点があるように思います。気に入りました。
そして録音なのですが,残響を抑え直接音主体に捉えた明瞭な録音であり,各楽器の分離も良く,楽器の質感もそこそこ感じられます。音色に色づけがなく自然で美しいです。弦楽四重奏の録音としてかなり良いと思います。好録音です。
2009/08/28
ボロディン四重奏団のチャイコフスキーは何種類かあるようですが,そのうちの2つについてコメントします。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第一番,第二番
ボロディン四重奏団
ミハイル・コペリマン(Mikhail Kopelman)(1st Violin)
アンドレイ・アブラメンコフ(Andrei Abramenkov)(2nd Violin)
ドミトリ・シェバーリン(Dmitri Shebalin)(Viola)
ヴァレンティン・ベルリンスキー(Valentin Berlinsky)(Violoncello)
1979年12月(第一番),1978年4月(第二番),モスクワ
VDC-1139 (P)1986 Victor Musical Industries, Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★★
この録音は最高です! 私の持っている弦楽四重奏曲のCDの中でも好録音度最高と言っていいくらいです。響きがうっすらと入っていますが,影響は全くありません。雑味が全くなくクリアなことこの上なし。収録現場の雰囲気や自然な音像という面は確かに希薄かもしれませんが,個々の楽器音の明瞭さが最優先の私にとっては何ら問題ありません。
録音だけでなく演奏も素晴らしいです。音楽の頂点に向かって鮮やかにギアチェンジし,キュッキュッと小気味よく加速していく,4つの楽器がある時は一つの生き物のように溶け合い呼吸し(この響きには本当に惚れ惚れします),ある時は競うように掛け合い,そして,そんな歯切れの良さ,意気を持ちながらも,どこか垢抜けない素朴な魅力に溢れている... チャイコフスキーのこの弦楽四重奏曲にぴったりとはまっています。第一楽章の展開部の頂点へ向かう盛り上がり,コーダでの推進力,うーん,素晴らしい! 感動!
この録音を聴いていると,なぜみんな残響でせっかくの音楽を濁そうとするのか,全く理解出来なくなります。素晴らしい音楽は残響の有無とは無関係に成立するということをこの録音が見事に証明しています。
この録音は過去LPとして全集が出ていて愛聴していました。CD化されたのは私の知る限りこれだけです。演奏も録音も優れているのに現役盤がなく入手性が悪いのは残念でなりません(私が知らないだけ?)。
現在,ボロディン四重奏団のチャイコフスキーで入手容易なのは次の全集です。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲全集
第一番,第二番,第三番,変ロ長調,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
ボロディン四重奏団
ミハイル・コペリマン(Mikhail Kopelman)(1st Violin)
アンドレイ・アブラメンコフ(Andrei Abramenkov)(2nd Violin)
ドミトリ・シェバーリン(Dmitri Shebalin)(Viola)
ヴァレンティン・ベルリンスキー(Valentin Berlinsky)(Violoncello)
1993年1月 TELDEC-Studio, Berlin (第一番,変ロ長調,フィレンツェの思い出)
1993年1月 Snape Maltings Concert Hall (第二番,第三番)
WPCS-10837/8 (P)1993 Teldec Classics International GmbH, (C)2001 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Online
(SHM-CD
)
メンバーは同じです。1979年の録音に比べ,より彫りが深く円熟した印象を受けますが,小気味よさ,推進力は影を潜めてしまっています。録音も音を濁す反射音成分が多く冴えない印象でとても残念です。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第一番,第二番
ボロディン四重奏団
ミハイル・コペリマン(Mikhail Kopelman)(1st Violin)
アンドレイ・アブラメンコフ(Andrei Abramenkov)(2nd Violin)
ドミトリ・シェバーリン(Dmitri Shebalin)(Viola)
ヴァレンティン・ベルリンスキー(Valentin Berlinsky)(Violoncello)
1979年12月(第一番),1978年4月(第二番),モスクワ
VDC-1139 (P)1986 Victor Musical Industries, Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★★
この録音は最高です! 私の持っている弦楽四重奏曲のCDの中でも好録音度最高と言っていいくらいです。響きがうっすらと入っていますが,影響は全くありません。雑味が全くなくクリアなことこの上なし。収録現場の雰囲気や自然な音像という面は確かに希薄かもしれませんが,個々の楽器音の明瞭さが最優先の私にとっては何ら問題ありません。
録音だけでなく演奏も素晴らしいです。音楽の頂点に向かって鮮やかにギアチェンジし,キュッキュッと小気味よく加速していく,4つの楽器がある時は一つの生き物のように溶け合い呼吸し(この響きには本当に惚れ惚れします),ある時は競うように掛け合い,そして,そんな歯切れの良さ,意気を持ちながらも,どこか垢抜けない素朴な魅力に溢れている... チャイコフスキーのこの弦楽四重奏曲にぴったりとはまっています。第一楽章の展開部の頂点へ向かう盛り上がり,コーダでの推進力,うーん,素晴らしい! 感動!
この録音を聴いていると,なぜみんな残響でせっかくの音楽を濁そうとするのか,全く理解出来なくなります。素晴らしい音楽は残響の有無とは無関係に成立するということをこの録音が見事に証明しています。
この録音は過去LPとして全集が出ていて愛聴していました。CD化されたのは私の知る限りこれだけです。演奏も録音も優れているのに現役盤がなく入手性が悪いのは残念でなりません(私が知らないだけ?)。
現在,ボロディン四重奏団のチャイコフスキーで入手容易なのは次の全集です。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲全集
第一番,第二番,第三番,変ロ長調,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
ボロディン四重奏団
ミハイル・コペリマン(Mikhail Kopelman)(1st Violin)
アンドレイ・アブラメンコフ(Andrei Abramenkov)(2nd Violin)
ドミトリ・シェバーリン(Dmitri Shebalin)(Viola)
ヴァレンティン・ベルリンスキー(Valentin Berlinsky)(Violoncello)
1993年1月 TELDEC-Studio, Berlin (第一番,変ロ長調,フィレンツェの思い出)
1993年1月 Snape Maltings Concert Hall (第二番,第三番)
WPCS-10837/8 (P)1993 Teldec Classics International GmbH, (C)2001 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Online
メンバーは同じです。1979年の録音に比べ,より彫りが深く円熟した印象を受けますが,小気味よさ,推進力は影を潜めてしまっています。録音も音を濁す反射音成分が多く冴えない印象でとても残念です。
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