ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)/ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
フランク・ペーター・ツィンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Concertgebouw Amsterdam on 17-19 & 21 March 2010
RCO17001 (P)2017 RCO Live (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

メディア発売前ですが,一足先にApple Musicで聴いてみました。シューマンのピアノ四重奏曲作品47,ブラームスのピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15とカップリング(SACD 2枚組)ですが,ヴァイオリン協奏曲のみのコメントです。

2010年の録音なので,少し前の録音ですが,ライヴということもあってか,堅実ながらも濃厚で,主張というかアピール力の強い演奏だと思いました。私の中では中堅のヴァイオリニストというイメージがあるのですが,一歩先に踏み出している感じがします。これからも注目していきたいヴァイオリニストの一人ですね。

録音ですが,オーケストラの方は良いとして,ソロが少し距離感があります。自然といえば自然なのですが,明瞭感が今ひとつでニュアンスも感じ取りにくいです。協奏曲の録音としてはもう少しソロに寄って明瞭度を上げてもらった方が楽しめると思うのですが。惜しいです。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(堀米ゆず子/アレクサンドル・ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団,ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(*)
堀米ゆず子 Yuzuko Horigome (Violin)
アレクサンドル・ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(*)
2015年6月12-13日 東京・サントリーホール(ライヴ),2013年8月27-28日 プラハ,ルドルフィヌム,ドヴォルザーク・ホール(セッション)(*)
OVCL-00609 (P)(C)2017 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ブラームスの協奏曲の方は,以前,二重協奏曲とカップリングで発売されていた演奏と同じものです。ブラームスの方はそちらをご覧ください。

ブルッフの方は最後に拍手の入るライヴ録音で,情感豊かで熱く語りかけてくる演奏は近年の充実ぶりを如実に示していると思いますし,高らかに歌い上げる堀米さんらしい節回しが随所にみられて,また大演奏家への道を一歩一歩着実に進まれているなと感じさせる素晴らしい出来だと思います。

さて録音なのですが,レコーディングのプロデューサが江崎氏ということもあってか,EXTONの録音そのままであり,ライヴレコーディングとは思えないセッション的なクオリティの高い音づくりになっています。ただやはり響きを活かした録音でソロまで響き豊かな録り方になっていて残響の付帯音が鬱陶しく感じられ,ライヴの生々しさ,楽器の質感は失われ「商品化された綺麗な音」になってしまっているのが残念です。商品としての出来は良いのかもしれませんが,私が聴きたい堀米さんの音を伝えてはくれませんでした。残念です。

なおブラームスの方は再収録ながらマスタリングは変わっているようで,やや音質は改善されている印象でした。

蛇足ですが,CDパッケージですが,私の大嫌いな新パッケージタイプでした。イライラするのですぐにジャケットと解説書を上下逆さまに入れ直しました。まだこのパッケージ使ってたんですね。私にとってはメリットゼロ。このイライラさせるパッケージ,ほんと早くやめて欲しいです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ユリア・フィッシャー/フランツ・ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団)

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JOHANNES BRAHMS CYCLE
収録曲: ブラームス/交響曲全集,ハイドンの主題による変奏曲,大学祝典序曲,悲劇的序曲,ヴァイオリン協奏曲,ピアノ協奏曲第1番・第2番
ユリア・フィッシャー Julia Fischer (Violin)
イェフィム・ブロンフマン Yefim Bronfman (Piano)
フランツ・ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団
Belvedere Label BELVED08005 (輸入盤) (*DVD)
好録音度:★★★★☆(ヴァイオリン協奏曲)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団による2014年から2015年にかけて収録されたブラームス・ツィクルスのライヴ映像です。クリーヴランド,ウィーン,ロンドンの3つの会場で収録されています。Blu-ray Disc版とDVD版の2種類リリースされており,私が聴いたのはDVD版の方です。

今回はユリア・フィッシャーがソロを務めるヴァイオリン協奏曲へのコメントです。映像で見る彼女の演奏は端正で全く無駄のない動きが美しく,また一点の迷いもなく自信に満ちていて堂々としています。そしてそこから出てくる音は見た目以上に力強く推進力があり,熱がこもったライヴらしい高揚感を持っています。さらに卓越した技術で正確無比に弾ききっています。このような素晴らしい演奏が映像で鑑賞できるというのは本当にうれしいことです。

録音ですが,少し残響を伴いながらも,ソロは明瞭でニュアンスが豊かであり,またオーケストラはステージの広がり感とそれぞれの楽器の質感が良く感じられます。またソロとオーケストラのバランス,分離感も適切に感じられ,協奏曲の録音としてまずまず良好と言えると思います。ライヴ録音としても自然で演出感も控え目であり,映像との違和感もありません。オーディオ的に魅力のある録音ではありませんが,クオリティは悪くないと思いますし,欠点が少ない好録音だと思います。

他の収録曲はまた別途...

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番(ジャニーヌ・ヤンセン(Vn)/アントニオ・パッパーノ指揮/ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団/ロンドン交響楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番Sz.36(*)
ジャニーヌ・ヤンセン Janine Jansen (Violin)/アントニオ・パッパーノ指揮/ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団/ロンドン交響楽団(*)
2015年2月21-24日 ローマ,聖チェチーリア国立音楽院,2014年8月26日 ロンドン,ウォルサムストウ,アセンブリー・ホール
478 841-2 (P)2015 Decca Music Group Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ヴィブラートをたっぷりかけ,ポルタメントを多用して濃厚に歌う,往年の巨匠を彷彿とさせる堂々たる演奏。近年スマートで整った演奏をする人が多くなり,これだけヴァイオリン臭をプンプンさせる演奏になかなか出会えない気がします。そして実にかっこいい! ヴァイオリンはこうでなきゃ,と言わせる強さと魅力を備えていると思います。

一方録音はというと,オーケストラはまあ普通でそんなに悪くないと思うのですが,ソロが引っ込み気味で,ニュアンスが感じ取りづらく,細部が聴こえてきません。イライラが募ります。この録音は本当に残念です。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,交響曲第4番(ダヴィド・グリマル(Vn)/レ・ディソナンス)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ダヴィド・グリマル(Violin),レ・ディソナンス
2012年10月27日(Op.77),2013年2月12日(Op.98)
LD004 (P)2014 Les Dissonances (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ダヴィド・グリマル率いるレ・ディソナンスのディスクは今までにベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲,交響曲第7番交響曲第5番「運命」他を取り上げてきましたが,どちらも素晴らしい演奏でした。このディスクも最後に拍手の入るライヴ録音ですが,この拍手を聴いて初めて,あぁこれはライヴだったのか!と認識するくらい完成度の高い演奏です。グリマルのソロは技術力がないと出来ない独特のクールな節回しが特徴で,透明で美しい音色なのですが,色気のない禁欲的な印象も受けます。一長一短といったところでしょうか。カデンツァはヨアヒム版ではなく,おそらく自作ではないかと思います。

そして期待以上に良かったのが交響曲第4番。コンパクトにキリッと締まった見通しの良い,室内楽的な印象さえ受ける演奏です。大編成のオーケストラの豊潤で深い響きはありませんので,こんなのブラームスじゃないと思われる方もきっと多いのではないかと思いますが,私はこんなのが好きですね。ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のイメージに近いと思います。これは是非全集録音を期待したいところです。

さて録音ですが,残響が少し多めで,ヴァイオリン協奏曲は特にソロが少し遠めなために響きの影響を受けてくすみがちです。これが自然なバランスといえばそうなのかもしれませんが,少なくともソロはもう少しくっきりと質感豊かに録って欲しかったところです。オーケストラも個々の弦楽器奏者の音色が感じられそうな録り方をしているのは良いのですが,やはり響きが被って音色を損ない,クリアさに欠けるのが惜しいです。

それにしても,ヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番,1枚のディスクに収まるんだ,と感心しました。およそ79分でぎりぎりですが。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,弦楽五重奏曲(弦楽合奏版)(アンティエ・ヴァイトハース/カメラータ・ベルン)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:弦楽五重奏曲第2番ト長調作品111(弦楽合奏版)
アンティエ・ヴァイトハース(Voilin),カメラータ・ベルン
2014年12月 ベルン,カジノ(Op.77),チューリッヒ放送スタジオ(Op.111)
4260085533282 (P)2015 Decca Music Group Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ヴァイトハースはアルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者で,1962年に設立された弦楽オーケストラのカメラータ・ベルンの音楽監督も務めているとのことです。ヴァイトハースのヴァイオリンはとてもクールな印象があるのですが,抜群の技術のキレで奏でられるきめ細やかなフレージングに力強く情熱的な表現が加わり,協奏曲としてとても魅力的な音楽に仕上がっています。

カップリングの弦楽五重奏曲第2番は,ヴァイトハースとカメラータ・ベルンのコントラバス奏者ケーティ・シュトイリによる弦楽合奏版とのことで,小編成の弦楽オーケストラの緻密なアンサンブルと,小編成とは思えないスケール感が素晴らしい秀演です。ヴァイオリン協奏曲が目的で聴いたこのアルバムですが,これは思わぬ掘り出し物です。

さて録音ですが,残響感はそれほどないものの,マイク位置が遠いのか,全体に響きが被って音色をくすませているのですが,それでも不思議なことに音は綺麗な印象を保っています。しかし,ソロ,オーケストラとも下支えの希薄でどことなく浮ついた音であり,楽器のとらえ方も弱く,ソロはオーケストラと同化して聴き取りづらく,欲求不満が募る音作りです。少なくともソロはもう少しボディ感・実体感のある音で録って欲しいところです。演奏が素晴らしいだけにこの録音はすごく惜しいと思います。

これに対して弦楽五重奏曲の方はオーケストラを豊潤に,濃く捉えていて,やや残響は多めですが,こちらの方がわずかながら良い印象です。弦楽合奏の録音としてまずまずだと思います。

Johanna Martzy plays Mendelssohn & Brahms

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64*
ヨハンナ・マルツィ Johanna Martzy (Violin)
ギュンター・ヴァント指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団
ハンス・ミュラー=クライ指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団(*)
録音 1964年2月6日,1959年2月5日(*)
CD 94.226 (P)1959/64 Media Services (C)2014 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★(Brahms),★★★☆(Mendelssohn)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

このマルツィの情熱のほとばしるブラームスには思わず興奮してしまいます。ジャケット写真の清楚な容姿から想像する演奏と少し違うのですが,いやしかしそれでも上品で清潔感が保たれているところはさすがです。ライヴということなので多少の傷はありますが,この演奏においてはほとんど気になるものではありません。

このブラームスは1964年の録音ですが放送用音源として録音されたのかモノラルです。モノラル自体は構わないのですが,1964年の録音にしては残念ながら音質がやや貧弱です。1959年に録音されたメンデルスゾーンも同様にモノラルのようですが※1,なぜかこちらの方がずっと音質は良好で,この音質でブラームスの方が残されなかったのが残念でなりません。

ブラームスの方は,実は次のディスクも持っていました。

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64*
ヨハンナ・マルツィ Johanna Martzy (Violin)
ギュンター・ヴァント指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団
オットー・クレンペラー指揮/ハーグ・レジデンティ管弦楽団(*)
録音 1964年2月6日,1954年6月23日(*)
MR2003 Memories Reverence (輸入盤)
好録音度:★★☆(Brahms),★★(Mendelssohn)
参考: Tower Records

こちらのディスクは中域に変なクセのある古臭い音質で,hänsslerの自然な音質よりもかなり劣る印象ですが,音の張り出し,ヴァイオリンの艶はこちらの方が感じられるような気もします。hänsslerは自然な音質と書きましたが,若干無理矢理中域を抑えて整えたようにも感じられ,このせいかヴァイオリンが引っ込みがちです。総合的にはhänsslerの方を取りますが。

ちなみにこちらに収録されているメンデルスゾーンはアナログ盤からの復刻のようで,歪みがものすごくあって残念ながら音質的には相当悪いと言わざるを得ません。なおhänsslerのメンデルスゾーンとは異なる演奏です。念のため。

※1 モノラル音声のはずですが,音声を調べると完全なモノラルではありませんでした。モノラルのテープをステレオのヘッドで再生してそのまま収録したのでしょうか? まあこの方が完全モノラルをステレオ再生したときの違和感は緩和されるので個人的には構わないのですが...

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(堀米ゆず子(Vn)/ヴィヴィアーヌ・スパノゲ(Vc)/ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲作品102
堀米ゆず子 Yuzuko Horigome (Violin)
ヴィヴィアーヌ・スパノゲ Viviane Spanoghe (Cello)
ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音 2013年8月27, 28日 プラハ
talent DOM291099 (P)(C)2014 Dumusic Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

堀米ゆず子さんは好きなヴァイオリニストの一人です。協奏曲の録音は少ないように思うのですが,少ない中でのこのブラームスの協奏曲の録音は本当にうれしいです。堀米さんの真面目で力強くキッチリと弾くキャラクターはブラームスに良く合っていると思いますし,この演奏でもそれが発揮されています。まさに満を持しての録音,素晴らしいです。

録音ですが,ホールの残響が多めに取り入れられつつも,音色のバランスはとれていて悪くはありません。ただ,聴く環境や装置によっては残響の影響で多少モゴモゴと聴こえることがありました。オーケストラとソロのバランスは自然で演奏会で聴けばこれくらいかとは思うのですが,協奏曲の録音としてはもう少しソロにフォーカスしても良かったのではないかと思います。あくまで私の好みとしてですが。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77,他(レオニダス・カヴァコス(Vn)/リッカルド・シャイー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77,他
レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Violin)
リッカルド・シャイー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
Gewandhaus zu Leipzig, 6-11 May 2013
478 5342 (P)(C)2013 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集に続く,DECCA移籍後の第二弾。併録曲は,バルトーク:ヴァイオリンとピアノのための狂詩曲第1番,第2番,ブラームス(ヨアヒム編):ハンガリー舞曲1,2,6,11番(ピアノはペーテル・ナジ)。今回はヴァイオリン協奏曲のみのコメントです。

この人は本当に透明感のある綺麗な音で現代的に洗練された演奏をします。インパクトのある演奏ではありませんし,巨匠的なカリスマ性・アクの強さも感じられませんが,美しい演奏でブラームスの協奏曲の魅力を再認識させてくれます。やや線が細く感じられるのは録音のせいでしょう。

で,その録音ですが,オーケストラは残響があるものの楽器の質感はまずまず良く捉えられているので合格点,ソロはややオフマイクで薄味です。響きで音色も少しくすみがちです。協奏曲の録音としては標準的で自然なバランスだとは思うものの,もう少しソロにフォーカスして力強く質感を強めに出して欲しかったところです。私としては少し欲求不満になります。惜しいと思います。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(リサ・ヴァティアシヴィリ(Vn)/クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
C. シューマン:ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス(*)
リサ・バティアシヴィリ Lisa Batiashvili (Violin)
クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
アリス=紗良・オット(*) (Piano)
Lukaskirche, Dresden, 6/2012, Musikstudios, Munich, 10/2012(*)
479 0086 (P)2012 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★☆,★★★★(*)
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

この人のヴァイオリンの音色は本当に美しいです。フォルティシモであってもどこまでも冷たいほどに透明。それでかつ艶めかしい。ヴァイオリンの魅力を存分に楽しませてくれます。

しかし,この録音は非常に残念です。残響が多く間接音の方が優勢で明らかに音色を劣化させています。音像も遠めで質感を感じられそうで感じられないもどかしさが常について回ります。なんでこんなに素晴らしい演奏,素晴らしい音色をストレートに楽しませてくれないのか,残念でなりません。残響が気にならない方なら問題ないのかもしれませんが,私にはこの録音は向きません。

ちなみにカデンツァはブゾーニ版を使っています。

一方,珍しいクララ・シューマンの愛らしいピアノとの二重奏は,録音はだいぶマシでこれならそれほど不満はありません。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,ベルク:ヴァイオリン協奏曲(ルノー・カプソン(Vn)/ダニエル・ハーディング指揮/ウィーン・フィル)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
ルノー・カプソン Renaud Capuçon (Violin)
ダニエル・ハーディング指揮/ウィーン・フィル
ORF RadioKulturhaus, Vienna, Austria, 19, 21, 22.XII.2011
50999 973396 2 5 (P)(C)2012 EMI/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
Wikipediaによるとカプソンではなくカピュソンと表記するのが正しいということですが,ここではカプソンとしておきます。私はカプソンの演奏をこのディスクで初めて聴きますが,良く歌う天才肌のヴァイオリニストだなぁという印象です。きっちりと弾くというよりも感性の赴くままというように聴こえます。もちろん悪い意味ではありません。カデンツァはクライスラー版が使われています。聴き応えがありますね。

さて録音ですが...さすがEMIというか...何とも冴えない録音ですねぇ。鮮明さが全くなくピンぼけ録音という感じです。締まりのない低域が中高域に大きく被っているためかと思うのですが,それだけではないかもしれません。高域の伸びもなく詰まった感じもあります。これはすごく残念な録音です。聴いていてこんなにイライラする録音は久しぶりです(^^;。こんな風に聴こえるのは私だけでしょうか?

ブラームス,シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(カリーン・アダム(Vn)/アントニー・ヴィット指揮/ポーランド国立放送交響楽団)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
カリーン・アダム Karin Adam (Violin)
アントニー・ヴィット指揮
ポーランド国立放送交響楽団
1991年5月 カトヴィッツ
32CM-219 (P)1992 カメラータ・トウキョウ (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineカメラータ・トウキョウ

昨日のブラームス:ヴァイオリンソナタ全集と一緒に発掘したディスクです。

表現のスケールの大きい意欲的な表現はさすがと言えますが,一方で,これをものすごく丁寧に弾こうとしているため,少しちぐはぐした印象があります。攻めというより守りの演奏。若者の謙虚さが現れていると言えないこともないのですが,少し物足りなさも感じます。

録音も少しソロが引っ込んでいて明瞭感に欠け,鮮度が落ちているという印象です。協奏曲なのでもう少しソロにフォーカスして欲しかったところです。

このディスク,カメラータ・トウキョウのカタログには載っているものの,すでに在庫がないようですね...古いディスクなので仕方ありません。ハイレゾリューション音源の配信はあるようです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,ハンガリー舞曲集(バイバ・スクリデ/サカリ・オラモ指揮/ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団/ラウマ・スクリデ)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:ハンガリー舞曲集全曲(ヨアヒム編)(*)
バイバ・スクリデ Baiba Skride (Violin)
サカリ・オラモ指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
ラウマ・スクリデ Lauma Skride (Piano)(*)
2009年1月29日 ストックホルム,コンサート・ホール
2010年11月7-9日 ミュンヘン,グリュンヴァルト,アウグスト・エファーディング・ザール(*)
C 829 112 A (P)(C)2011 ORFEO International (輸入盤)
好録音度:★★★☆,★★★★(*)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

力のこもった熱演でありながら,決して荒れず乱れず,隅々までコントロールされ計算し尽くされている感じがします。個性の主張を抑え曲の持つ普遍的な魅力を最大限に引き出すような演奏に思います。こういうのを非の打ち所がないというのでしょうか。実際,この演奏を聴いていて不満に思ったり違和感を感じたりするところは皆無でした。素晴らしいです。

で,録音なのですが,これが非常に残念なのです。ヴァイオリン・ソロに響きが被って明瞭感,音色が大きく損なわれているのです。くすんでしまって全く良くありません。こういうのこそ透明感のある,伸びのある音で録って欲しかった。演奏が最高に良いだけに...本当にもったいない! なお,ハンガリー舞曲集の方が幾分ましです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(アラベラ・美歩・シュタインバッハー/ファビオ・ルイージ指揮/ウィーン交響楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
シューマン:交響曲第4番ニ短調作品120(*)
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(Arabella Steinbacher)(Violin)
ファビオ・ルイージ指揮(Fabio Luisi)(Conductor)
ウィーン交響楽団(Wiener Symphoniker)
Musikverein Wien 11. Dezember 2007, (*)Wiener Konzerthaus 30. April/2. Mai 2007
C 752 111 A (P)(C)2011 ORFEO International (輸入盤)
好録音度:★★★,★★★★(*)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ヴァイオリン協奏曲の第1楽章は24:41もあります。かなり遅い部類に入ると思います。推進力のある演奏が好きな私にとっては最初は歯がゆい感じがありましたが,聴き慣れてくるとたっぷりと歌うスケール感のある演奏も悪くないと思い始めました。とはいえ,まだまだ曲に忠実で独自性を出すには至らず,若者らしい謙虚さの方が前に出たというところでしょうか。しっかりした演奏なので,これからが楽しみです。

録音ですが,オーケストラはまずまず良い感じで録られているのに,ソロの方が響きで音色が濁り,奥まってしまって残念ながら全く良くありません。

併録されているシューマンの交響曲第4番は,オーケストラの各楽器を明瞭に捉えていて良い感じです。ただし,少し誇張されすぎている感じもあって少し違和感も残ります。最近の優秀録音と評される録音の傾向とは全く異なります。私の好きな録り方ではあるのですが,ちょっと違う気もします。難しいところです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(イザベル・ファウスト/ハーディング/マーラー・チェンバー・オーケストラ)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:弦楽六重奏曲第2番ト長調作品36
イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)(Violin)
ダニエル・ハーディング指揮(Daniel Harding)(Conductor)
マーラー・チェンバー・オーケストラ(Mahler Chamber Orchestra)
2010年2月 Sociedad Filarmonica de Bilbao(Concerto),2010年9月 Teldex Studio Berlin(Sextuor)
harmonia mundi s.a. HMC 902075 (P)2011 (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ファウストのヴァイオリンは繊細かつ表情豊かで,抑制が効いていて清楚で美しい。奏者の個性よりも曲本来の持つ美しさ,ヴァイオリンという楽器の素晴らしさが前に出てくる,こういうブラームスが聴きたかった! 個性的な演奏は確かに面白いのですが,結局はこういう演奏が聴きたくなってくるのです。

カデンツァはブゾーニ版。聴き慣れないせいかまだあんまりしっくりきません。一般的なヨアヒム版を聴いているときはもっと他のを聴いてみたくなるのですが,いざ違うカデンツァに出会うと,ヨアヒム版で聴いてみたくなる。それだけヨアヒムのカデンツァが良くできているということなのでしょう。この演奏も結局ヨアヒムでないことを残念に思ってしまいます。

この演奏ではハーディングの指揮と室内管弦楽団によるバックの演奏も注目ですが,中編成オーケストラの機敏さが活きているのはもちろん,特にその音の柔らかさが印象に残りました。

肝心の録音ですが,きめが細かくとてもなめらかで,最近の録音のオーディオクオリティの高さを実感する録音です。ただ,音は確かに美しいのですが協奏曲としては今ひとつソロの捉え方が弱い。ヴァイオリンの質感が感じられそうで微妙に手が届かないこのもどかしさ。オーケストラももう少し見通し良くくっきりと捉えて欲しい。これも大型の高級オーディオならば素晴らしく響くかもしれない,という録音で私の考える好録音とは少し方向性が異なります。演奏が良いだけに私としては少し残念に思います。

ブラームス,ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲(ペク・ジュヤン/シェーファー/新日本フィル)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第一番ト短調作品26
ペク・ジュヤン(Ju-Young Baek)(Violin)
ヘンリク・シェーファー指揮(Henrik Schaefer)(Conductor)
新日本フィルハーモニー交響楽団(New Japan Philharmonic)
2009年5月18-19日 東京 すみだトリフォニーホール
OVCL-00422 (P)2009 STOMP MUSIC (C)2010 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:HMV Onlineicon

己を前面に出すことよりも謙虚にしかし熱意をもって真正面から表現することに重点を置いた演奏だと思います。メカニカルな面は完璧,音色も陰影に富みニュアンスが豊かですが,ビブラートがやや神経質でもう少し魅力的であって欲しいところです。今後の成長に期待します。この2曲ではブルッフの方が向いているように思いました。

録音ですが,響きはそれなりに取り込まれているのですが,オーケストラの音はドライで何となくカサカサした感じがします。ソロはオーケストラに比べて一段大きく明瞭に捉えられているので協奏曲録音のバランスとしてはちょうど良いと思います。オーケストラの音が今ひとつ良くないのがもったいないです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,二重協奏曲(レーピン/モルク/シャイー/ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
ワディム・レーピン(Vadim Rapin)(Violin)
トゥルルス・モルク(Truls Mork)(Cello)
リッカルド・シャイー(Riccardo Chailly)(Conductor)
ゲヴァントハウス管弦楽団(Gewandhausorchester)
Leipzig, Gewandhaus, Grosser Saal, 8/2008
00289 477 7470 (P)2008 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ヴァイオリン協奏曲のカデンツァは一般的なヨアヒム版ではなくハイフェッツ版です。全体に軽いといえば少し語弊がありますが,粘らず,熱くならず,鋭角を避け,どちらかといえば優しい感じに仕上がっていると思います。私にはこういうところが少し異色に感じるのですが,恐らく聴く人によってかなり違う感想になるのではないかと。HMV Onlineiconのレビューで評が割れているのはこういった演奏だからでしょう。私は好きですが。

録音ですが,ソロもそこそこの明瞭感があり,オーケストラも過剰な響きは抑えられ質感良く捉えられているので,協奏曲の録音としてほぼ不満がありません。という意味でちょっとおまけの★★★★☆です。最低限これくらいの録音にはして欲しいものです。

ブラームス,ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲(サラ・チャン/マズア/ドレスデン・フィル)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第一番ト短調作品26
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
サラ・チャン(Sarah Chang)(Violin)
クルト・マズア(Kurt Masur)(Conductor)
ドレスデン・フィルハーモニー(Dresdner Philharmonie)
15-16. V and 23-24. VI 2009, Lukaskircheand Kulturpalast, Dresden
9 67004 2 (P)(C)2009 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

これは正攻法の堂々とした好演奏と言えるのではないでしょうか。キレも抜群で隅々まで神経の行き届いた音色は美しくそして躍動的,これぞ協奏曲の醍醐味! 解釈云々ではなく曲を真正面から捉え本質に迫ろうとするようなアプローチがなお良い印象につながっています。

録音もほぼ合格。ソロは明瞭で距離感も適切,オーケストラも豊潤な響きを質感よく捉えています。ソロとオーケストラの比率も良く(ややソロがフォーカスされている),協奏曲として極めてバランスの良い仕上がりと言えます。これがEMIかと耳を疑ってしまうほど上出来です。

ジャケット写真を見て,またコテコテの演奏を聴かされるのかなぁ...なんて先入観を持って聴きましたが(^^;,これはうれしい誤算でした。ブラームスとブルッフとではどちらも素晴らしい出来だと思いますが,ブルッフの方が若干良いかなと思います。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番(ツィンマーマン/サヴァリッシュ/ベルリン・フィル)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番 ト長調 K.216
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
フランク・ペーター・ツィンマーマン(Frank Peter Zimmermann)(Violin)
ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)(Conductor)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
16.1.1995(Mozart), 19-21.1.1995(Brahms)(Live), Berlin, Philharmonie
7243 5 55426 2 5 (P)(C)1995 EMI Electrola GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

真面目で爽やかな好青年の演奏という印象です。キレのある引き締まった正統的な表現がいいですし,音も透明感があり大変美しいです。ポルタメントはやや多めのように思いますが,使いどころが上手くツボにはまっているので,上記の印象を損ねることはありません。

録音は誠にEMIらしいというか,もしかしたらEMIにしては良い方かもしれませんが,どこかくすんでいてソロも引っ込みがちであまり良くないのが残念です。どちらかといえばモーツァルトの方が若干ましです。録音がもう少し良ければ愛聴盤になったかもしれないのに...もったいないです。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番(ラクリン/ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番 ト長調 K216
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ジュリアン・ラクリン(Julian Rachlin)(Violin)
マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons)(Conductor)
バイエルン放送交響楽団(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)
Recorded at Stadthalle Germering, Germany, 12-14 February 2004
2564 61561-2 (P)2004 Kunstagentur Warner (C)2004 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

ブラームスの協奏曲は,濃いというか,野性味溢れるというか,リズムのギクシャク感も独特,ちょっと癖の強い演奏で,私の聴きたいブラームスとはちょっと違うかな...でもよく聴くと彫りが深くて音がなかなか美しいんですけどね。この人のキャラクターが良く出ているといえば出ているのかもしれません。

一方モーツァルトは,これが同じ人の演奏? と思ってしまうほどすっきりと柔らかくニュアンス豊かです。実は結局のところブラームスと同じような弾き方だったりするのですが,曲によってこれだけ印象を変えられるというのはある意味なかなかやるじゃないか,と思います。

録音はソロもオーケストラも響きを抑えて明瞭に捉えているので,良い印象です。ソロとオーケストラのバランスも,若干ソロをフォーカスしていてちょうど良い感じです。協奏曲の録音としてこのレベルであれば,ほぼ不満なく聴くことが出来ます。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス,シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(ショルツ/M. ザンデルリンク/ベルリン室内管弦楽団,ベルリン放送交響楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin)
ミヒャエル・ザンデルリンク(Michael Sanderling)(Conductor)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin) (*Brahms)
ベルリン放送交響楽団(Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin) (*Sibelius)
27-29.06.06(Sibelius), 02-03.07.06(Brahms), Jesus-Christus-Kirche, Berlin-Dahlem
BERLIN Classics 0016102BC (P)(C)2007 Deutschlandradio/edel CLASSICS GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ヴァイオリニストはおおざっぱに二つのタイプに分けられると思っています。一つ目は自分の個性を強く打ち出す天才肌の芸術家タイプ,二つ目はその音楽の持つ普遍的な魅力を最大限に引き出し最高の状態で私たちに提供してくれる職人タイプ。ショルツ氏はどちらかといえば後者のタイプかなと思います。

最初聴いたときは少しこぢんまりとまとまりすぎているじゃないのかと思いましたが,何度も聴いていると,だんだんと味わいが深まっていく,すごく充実した内容を持っているというのが感じられるようになってきました。演奏に目立つ特徴や個性的な表現があるわけではありませんが,音色の美しさ,力強さ,躍動感,どれもが絶妙のバランスで素晴らしい音楽を形作っていきます。こういう演奏は評価されにくいかもしれませんが,私は好きです。

録音ですが,全体にレベルが低めに感じられ,また,ソロの捉え方もやや弱く,音色も少しくすんでいて今ひとつさえません。もう一歩踏み込んでソロのヴァイオリンにフォーカスし,クリアに捉えて欲しかったところです。協奏曲の録音としては標準レベルかと思いますが,私としては物足りなさを感じます。

[ブラームス][シベリウス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ムター/カラヤン/ベルリン・フィル)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
アンネ・ゾフィー・ムター(Anne-Sophie Mutter)(Violin)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan)(Conductor)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
1981年9月22日,ベルリン,フィルハーモニー
F35G 50051(400 064-2) (P)1982 ポリドール (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ムターがまだ十代の時の録音です。これも購入当時評判が良かったということで購入した記憶があります。長い間愛聴盤でしたし,今でも好きな演奏の一つに挙げられます。それにしても濃いですねぇ。深いヴィブラートをかけてこんな濃い音を出す人,最近あんまりいないような気がします。表現は至ってストレートなのですが,この音色のためにずいぶんとこってりとした印象を受けます。まだまだ隅々まで気配りが行き届いていない感はありますが,速いパッセージの鮮やかさ,トリルの粒立ちの綺麗さ(とにかく細かくて揃っている)など,技術面でも際立っており,聴き応えが十分にあります。

録音も,響きを過剰に取り入れることなく比較的バランスの良い音の捉え方のように思います。すごく良い訳ではありませんが,印象は悪くありません。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン][愛聴盤]

ブラームス,ヨアヒム:ヴァイオリン協奏曲(テツラフ/ダウスゴー/デンマーク国立交響楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ヨアヒム:ヴァイオリン協奏曲第二番 作品11
クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)(Violin)
トーマス・ダウスゴー(Thomas Dausgaard)(Conductor)
デンマーク国立交響楽団(Danish National Symphony Orchestra)
Danish Radio Concert Hall, Copenhagen, Denmark
30.XI & 1.XII.2006(Brahms) & 23-24.III.2007(Joachim)
Virgin Classics 50999 502109 2 3 (P)(C)2008 EMI Records Ltd./Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

テツラフ氏の演奏は何となく苦手です。意図が読めないというか何というか... このブラームスの協奏曲ですが,最初はいいのですが,表情が唐突に変わったりして何となくついて行けない感じです。第二楽章など美しさと歌心に溢れていて惹かれるところもあるのですが,全体としての印象はやっぱり少し違和感が残るかなと。

録音も残響が多めでヴァイオリンの音が冴えず,不可とまでは言いませんが,あまり良い印象ではありません。残念です。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,二重協奏曲(フィッシャー/ミュラー=ショット/クライツベルク/オランダ・フィル)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
ユリア・フィッシャー(Julia Fischer)(Violin)
ダニエル・ミュラー・ショット(Daniel Müller-Schott)(Cello)
ヤコフ・クライツベルク(Yakov Kreizberg)(Conductor)
オランダ・フィルハーモニー管弦楽団(Netherlands Pilharmonic Orchestra Amsterdam)
Yakult Hall, Beurs van Berlage, Amsterdam (December 2006, Violin Concerto; December 2005, Double Concerto)
Penta Tone Classics PTC 5186 066 (P)(C)2007 Penta Tone Music (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ヴァイオリン協奏曲の感想です。拍の頭で一切溜めることなく切り込んでいくので,前に前に転ぶように曲が進んでいきます。勿体ぶったところが全くない,推進力ある強気の曲運びが潔いです。若さの特権を使い切ったような(?)勢いのある演奏です。かわいい顔してやってくれますねぇ。

録音も悪い印象はありませんが,若干ソロが小さめで,もう少しヴァイオリンにフォーカスしていてもいいんじゃないかという気がします。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス,コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲(スナイダー/ゲルギエフ/ウィーン・フィル)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ニコライ・スナイダー(Nikolaj Znaider)(Violin)
ワレリー・ゲルギエフ(Valéry Gergiev)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)
Recorded December 12-19, 2006, Musikvereinssaal, Vienna, Austria
RCA RED SEAL 88697103362 (P)2009 (C)2008 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

スナイダー氏は1997年のエリーザベト王妃国際コンクール優勝者で,メニューインが「イザイの後継者」と絶賛したとのことです。恥ずかしながらこのCDを見つけるまで名前すら知りませんでした。

ブラームスの協奏曲ですが,紳士的というか随分と謙虚な印象を受けます。音色はさすがに美しく叙情的で,技術的にも完璧,優等生の演奏と言えると思いますが,推進力には乏しくあまり躍動的ではありません。第一楽章の23:57というのはやや遅めですが,聴いた感じはそれ以上に後ろに引っ張られる感じがしてもどかしいところがあります。出来は相当良いと思うものの,私としてはこの点だけが不満として残ります。

録音はまずまずで,長めの残響はあるものの,くぐもった感じはそれほどありませんので印象は悪くありません。ただ,音像がやや遠めで,残響の影響もあって楽器の肌触りが感じられにくいのはやっぱり私の好みではないです。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(クレバース/ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ブラームス:悲劇的序曲 作品81
ヘルマン・クレバース(Herman Krebbers)(Violin)
ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink)(Conductor)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(Royal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam)
Concertgebouw, Amsterdam, 9/1973(Op.77), 5/1970(Op.81)
422 972-2 (P)1973,1970 (C)1989 Philips Classics Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: amazon.com

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の第一コンサートマスターであり,オランダのヴァイオリン界の第一人者であったクレバース氏の満50歳,楽壇生活40年にあたり,フィリップスが彼を讃える記念盤として制作したとのことです。

これを聴くとクレバース氏は根っからのソリストではないなという感じがします。丁寧で誠実,清潔感のある演奏なのですが,一流のソリストのように(彼も一流だと思いますが...)格好良く颯爽と弾き去るということをしません。オーケストラとの一体感を重視してのことなのかどうなのかはわかりませんが,これが彼のキャラクターにつながっていると思います。

録音もまずまずで,響きがそれなりに取り込まれているものの,直接音と間接音・響きとの比率がほぼ適切に保たれていますので,音色を大きく損なうことがありません。また,ソロがオーケストラから一歩前に出るように若干ソロを大きめに明瞭に捉えているのも好印象です。万人向けにバランス良く,そつなく録音されていると思います。こういうところはさすがフィリップスというところでしょうか。これなら私もまずまず納得できます。

[ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(スヴェンセン/スコットランド室内管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ブラームス:ハンガリー舞曲集より14曲
ジョゼフ・スヴェンセン(Joseph Swensen)(Violin/Conductor)
スコットランド室内管弦楽団(Scottish Chamber Orchestra)
Recorded at the Usher Hall, Edinburgh, UK, from 7th-9th July 2003
LINN CKD 224 (P)(C)2004 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ブラームスの協奏曲としては珍しい弾き振りです。技巧で魅了するタイプではありません(下手というわけではありません,念のため...)。この演奏のいいところは「ヴァイオリンってこんなに魅力的な音を出す楽器だったんだ」と再認識させてくれるところかなと。音がつぶれる寸前の弓使いながら,美しいというか艶めかしいというか,すごく魅惑的な音を出しています。キレは今ひとつでやや線が細いものの,この個性豊かな音色が光っています。この一所懸命さも何となく微笑ましくて好きです。

録音ですが,録音レベルが少し低いためか,音の捉え方自体は濃いめなのに迫力に欠け,音の芯が捉え切れていない感じがします。少なくともソロはもう少し寄ってもっと明瞭に捉えて欲しかったところです。オーディオクオリティは悪くありませんし,全体としてもそれほど悪くないのですが...惜しいと思います。

[ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]