かつての名機Sennheiser MX500のハウジングを使った廉価版イヤホンを買ってみました

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左:WOOeasy Qian25(amazon) 右:K’S 64ohm(amazon)

またまたオーディオ小ネタです(^^;。もう十数年前になりますがSennheiserからMX500という音質の良いイヤホンが発売されていて,私はいまだに使っているのですが,販売終了してからもうかなりの時間が経っています。以前からこのMX500のハウジングと同じ金型?を使ったと思われるイヤホンが発売されていて,いくつか購入して評価したことがあります(→Venture Electronics VE ASURAVE MONK+)。

私はMX500を使って以来,これを越えるイヤホンを探し続けていろいろと試していたのですが,それに代わるMX365を見つけてからはそれを探す必要はなくなりました。でもやっぱり気になるので買ってしまうのです(^^;。なおMX365は最近国内正規品が流通し始めて2,000円台で購入できるようになりました(→amazon)。

それで今回購入してみたのが上記写真の2つです。写真左が999円,右が1,599円でした。いずれもWOOeasyというブランドでした。どちらもハウジングはプラスチックの安っぽいもので,これはまあこんなもんでしょう。ケーブルは左の安い方はさすがに細くて頼りないですね。

肝心の音質ですが,音の傾向はMX500に似ていて,これはやはりハウジングで決まる部分なのでしょう。左の方は少しナローレンジですが,右の方はレンジ感も十分あり,まずまずです。いずれもオープン型のイヤホンなので低音は弱いですが,付属のスポンジカバーを付けることで密閉度が少し上がって低域がわずかながら伸びます。全体のバランスも良くなり,少なくとも私としては右側のモデルは使用に耐えうる音質でした。

ということで,カナル型のイヤホンが苦手の方は選択肢としてご参考にしてください。といいつつ,この値段ならMX365をお勧めしますけどね(^^;。

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Sennheiser MX500をBluetoothレシーバー用に加工してみました

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オーディオ小ネタです(^^;。少し前に会社でSkype for Businessが導入され,PCでSkype会議に参加したり,内線電話をPCで受けたりすることも増えてきました。PCで使用するヘッドセットとしてBluetoothレシーバーとイヤホンを使っているのですが,レシーバーを胸元に付けるとイヤホンのケーブルが長すぎて鬱陶しいので長すぎるケーブルを巻き付けて短くする部品なども使ってみたのですが,それでも鬱陶しいことに変わりがありませんでした。そこで,古くなってVolume部分がダメになったSennheiserのMX500というイヤホンを加工してレシーバー用に仕立ててみました。

加工といってもケーブルを切ってM3プラグを付けるだけなのですが,半田付けが苦手な私にはこれが意外に難しい。しかもケーブルがリッツ線といって,ものすごく細いエナメル線を束ねたもので出来ているのでエナメルの被覆が邪魔をして半田がなかなか乗らず苦労しました。それで出来たのが上の写真です。ちょっと短すぎたかなと思いましたが,これくらいがちょうど良い長さでした。

最近はマイク付きのBluetoothヘッドホンが多いのでこんなことする必要は普通はないのですが,周囲の音が普通に入ってきて周囲の人の声も通話相手の声も両方がちゃんと聞こえるオープン型のイヤホンのものがあまりないので重宝しています。こういうのが普通に売ってたらいいんですけどね。

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CDの保護層の薄さを体感する

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もう一つCDネタです。CD-Rのレーベル面の保護層の厚さは薄いのでタイトル等を書くときには記録層を傷めないように気をつけないようにしないといけませんが,では実際にどれくらい薄いのか,ついつい忘れがちなので,その薄さを改めて体感してみました。

書き込みに失敗したCD-Rを使用し,レーベル面の一部に少し傷を付けてテープ等を張ってはがすと,写真のように簡単に金属蒸着膜と保護層をはがすことができます。上の写真でわかるとおり,ペラペラのフィルム状で保護層は塗装膜で出来ているように見えます。

実際に保護層側を傷めることは滅多にないのですが,これを見るとやっぱり取り扱いには注意しないといけないなと思いますね。

以上,小ネタでした。

CDの経年劣化?

最近中古で2枚組のCDを購入したのですが,そのうちの1枚が「プツプツ」とか「ジャッジャッ」というようなノイズがCD全体にわたって常に発生して正常に再生できませんでした。CDの記録面は傷がほとんどなく綺麗だったのですが,次の写真のようにレーベル面が透けて見えていました。

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Fig. 1 2枚組のノイズが発生する方のディスク

背面から光を当てずにこれだけ見えているので金属の反射層そのものが劣化したか,保護層が劣化して反射層に影響を与えたか,いずれにせよ何らかの経年劣化でこのような正常に読み取りが出来ないようになったのではないかと想像します。レーベル面から見ても少し黄色がかった色に変色しているように思います。

なお,正常に再生できるもう1枚の方は次の写真のように,わずかに透けているだけで,だいぶ状態が異なりました。

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Fig. 2 2枚組のノイズが発生しない方のディスク

これはMade in West GermanyのDeutsche Grammophonのディスクで,そういえばDeutsche Grammophonの古いディスクの中にはちょっと黄色く変色したものを時々見かけるよなぁと思います。それらを記録面から確認したことはほとんどないのですが,中にはこんなふうに劣化して正常に再生できなくなっているものもあるかもしれません。(なおこのディスクの製造年はいまいちよくわかりません)

ちなみにノイズは発生するのですが,時間軸上のサンプル数は維持されているようで,音飛びではなく,補間によって正確なデータを再生できていないために発生しているように思います。

いずれにせよ古いディスクは少し注意した方が良さそうです。特にMade in West GermanyのDeutsche Grammophonのディスク... 店頭で中古を購入する際にディスクを確認したことはなかったのですが,古いDeutsche Grammophonの場合は記録面から透け具合を見ておいた方が良いかな,と思いました。(多分面倒だからやらないと思うけど)


上でMade in West Germanyと書きましたが,ディスクレーベル面にはMade in U. K. の記載がありました。プレスはイギリスのようです。イギリスプレスが要注意?なのかどうかわかりませんが,同様のものがあれば注意して見ておきたいと思います。

(2017/07/30追記)

ダイソーの200円イヤホンを聴けるレベルにEQで調整してみました

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前の記事で,測定結果が比較的マシだったダイソーの200円イヤホン カップカナルタイプですが,マシといっても実際にはものすごく中域に癖を持っていて,とても聴こうと思える音質ではありません。ただ癖はあるものの音圧は全帯域でそれなりに出ているので,イコライザで調整することで聴けるレベルに持って行けるのではないかと思い,試しにやってみました。

イコライザはAndroidのOnkyo HF Playerという音楽プレーヤソフトに搭載されているものを使いました。すなわち,このHF Playerで再生するとき限定になります。このHF PlayerにはEQカーブを任意に設定できる機能がありますので,それを使います。

調整は聴感に頼ってもなかなか適切にならないので,HF Playerでピンクノイズを再生し,その再生音をスペクトル分析し(1/24オクターブバンド),その特性カーブをリアルタイムに見ながらEQカーブを調整するという方法を採りました。スペクトル分析はARTA Softwareという音響分析ソフトを使いました。そして,次は実際に音楽をHF Playerで再生して音楽を聴きながら微調整します。調整前(EQ=OFF)と調整後(EQ=ON)の特性は次の図のようになりました。

eq_compensation_daiso_k-15-p12_t023_200_yen_earphone_lch-2.png


低域から中域にかけて大きくゲインを落として中域の癖のある音を緩和し,全体としていわゆるドンシャリ特性にしてみました。この図だけを見ると2kHz付近はもう少し落としても良いように見えますが,反対側のチャンネル(右)は2kHzがディップになっており,これ以上の周波数はばらつきでピークディップが変わってくる可能性があるので,あまり触っていません。この調整で随分と聴きやすい音質になりました。

HF PlayerのEQ設定は次の図のようになっています。

eq_setting_for_daiso_200yen_earphone_hf_player.png


目盛りがないのでわかりづらいですが,グラフ上端が+12dB,下端が-12dBになっています。1kHz付近を大胆に落としています。ディップの深さを稼ぐために全体をややプラスゲインに振っていますので,レベルの高い曲ではクリップ歪の発生の可能性はありますが,幾つか聴いた範囲では問題ありませんでした。

なおこのEQ設定は私が持っている個体にだけ有効であり,同じ製品でも違う個体ではばらつきにより合わない可能性があるということはご承知おきください。

音質が良くないイヤホンを救うためにイコライザで特性を整えるというのは,イコライザの本来の使い方だと思います。ただ,聴感に頼っての調整は意外に難しいというのが正直なところです。聴感だけでは1kHzを-12dB落とすという大胆な調整は出来なかったと思います。

とはいえ,普通測定はできないので,100均イヤホンで中域に癖を感じたら,まずは1kHz付近を大胆にイコライザで落としてみる,というのを試してみてはどうでしょうか。

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測定してはっきりした100均イヤホンの本当の実力(というか問題点)

家電量販店やコンビニで売っているイヤホンは安くても1,000円くらいからだと思いますが,そのイヤホンを税抜100円で提供するというのはある意味驚異的です。その実力についてはPhile-webでもレビューされていますし,Webを検索すれば掲示板などでいろいろと情報が拾えます。まあ100円なのですからまともな音を期待する方が間違っているというのはその通りだと思うのですが,でもじゃあいったいどれくらいの実力なのか明らかにしたいという使命感から(^^;,幾つかのモデルを測定してみました。

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評価したのはこれらの5機種で,上段左から,

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)

(c)と(d)は,近所のスーパーの中にあるmeetsという100均ショップで購入しましたが,セリアなど他店でもあったと思います。

(e)は200円ですが,ダイソーで手に入る比較的音質の良いイヤホンという評判でしたので,評価に加えました。すべてカナル型です。

次に実際に測定してみた結果を示します。測定方法は「ヘッドホン・イヤホン周波数特性測定結果」のページの「使用機材と構成」で紹介していますので,併せてご確認いただければと思います。なお測定電圧は1mW相当にすべきですが,面倒でしたので0.17V(1mW@32Ω)に統一しました。また,イヤーピースは本来は付属のもので測定すべきですが,シリコンチューブにうまく挿入できないものが多かったため,すべて(d)に付属のイヤーピースに交換して測定しました。

グラフは音圧特性のみを示しています。L(青線)が左チャンネル,R(赤線)が右チャンネルです。

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
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(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
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(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
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(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
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(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)
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測定結果を見て特性の悪さは想定内でしたが,ばらつきによる左右差がこれほど大きいというのは正直想定外でした。初めは測定ミスかと思いましたが何度やっても変わらなかったので,間違いはありません。音が出た瞬間に走る強烈な違和感はこの左右差が原因と思われます。これだけ激しくばらつくと,もはや機種固有の音質などはないに等しく,当たり外れなんていうのも同様にないに等しいと思います。業者の方には申し訳ない言い方ですが,これは単に音が出るだけの商品であり,音楽観賞用としては買ってはいけないレベルの品質だと思います。

(e)の200円イヤホンは何とか使えそうなレベルです。100円と200円の差はものすごく大きいですね。ただ,これはたまたま当たりだっただけかもしれませんが。

ということで,100均のイヤホンは,単に音質が悪いのは仕方がないとしてもばらつきが大きすぎるのが問題ですね。100円という値段を達成するために造りも悪く検査もしていないのでしょう。そのあたり割り切って使うしかない商品ですね。

なお繰り返しになりますが,今回の測定結果は私の購入した個体の特性であって,このばらつき具合から考えて,別の個体は全く違う特性である可能性が高いということをご承知ください。

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ノイズキャンセリングヘッドホンの性能測定を試みる

ノイズキャンセリング機能を持ったヘッドホンが市場で増えつつあるので,一度その性能を測定してみようと思いチャレンジしてみました。ノイズキャンセリングヘッドホンの測定方法は,JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の規格「RC-8142 ノイズキャンセル型ヘッドホン及びイヤホン」でその測定方法が規定されています(→JEITA規格書のページ)。

本文は無料で公開されているので閲覧してみたところ,環境騒音模擬ノイズを使うとか,そのノイズを充満させた拡散音場で測定するとか,HATS(ダミーヘッド)を使うとか,94dBのノイズ(これはほとんど爆音)を発生させて測定するとか,・・・ とても素人には規格通りに測定出来そうにありませんでした。とはいえ,まあ規格通りということにこだわらなければ簡易的な方法でも出来そうだと思ったので,やってみることにしました。

まず音源ですが,これはまあピンクノイズで良いでしょう。最近の製品では周囲ノイズの特性に応じてキャンセル特性を自動的に変えるようなものもあるようなので適切かどうかは微妙ですが,ノイズには違いないのでとりあえず良しとします。

次にノイズを充満させた拡散音場ですが,これが一番困りました。自宅でピンクノイズの爆音を鳴らそうものなら家族はおろか近所迷惑にもなるので爆音を鳴らせる環境を探さなければなりません。カラオケボックスなども考えたのですが,追い出されるリスクが高くこれもだめ。で,結局,車の中でカーオーディオでピンクノイズを鳴らし,測定することにしました。車の外に盛大に音が漏れるのでやはり場所選びに苦労しましたが,周囲が静かでかつ人通りが少なく怪しまれにくい場所を見つけました。

そしてHATSですが,車の中ではいつも使っているファンタム電源が必要なマイクを内蔵した測定治具が使えないので,プラグインパワーのマイクを内蔵した治具を作って測定しました。下の写真がその治具です。のりパネというスチロールボードと発泡スチロールのブロックを使って本体を構成しています。マイクはPanasonic WM-62CUというコンデンサマイクです(部品で1個100円程度)。これをオーディオI/Fのマイク入力に接続します。恐ろしいほど稚拙な治具で誠にお恥ずかしいのすが,一応これでも機能します(^^;。

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今回試しに測定したBOSEのQuietComfort 35を取り付けると次の写真のようになります。これを車に持ち込みました。

mic_fixture_with_bose_qc35.jpg


マイクで拾ったノイズ信号はオーディオI/FでA/D変換してPCに取り込み,ARTA SoftwareのARTAという測定ソフトのスペクトラム分析機能を用いました。これで1/3オクターブバンドのスペクトラム分析をします。ノイズはカーオーディオでピンクノイズを鳴らします。デジタルで-3dBのピンクノイズをCDに焼き再生,音量を最大にして騒音計で約92dBの音圧のノイズが得られました。爆音です(^^;。

測定手順は次の通りです。

(1) ノイズを止めた状態で,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズフロアを確認)
(2) ノイズ発生を発生させ,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズ量を測定)
(3) ヘッドホン装着を装着し,ノイズキャンセリング機能オフで測定(遮音性能を測定)
(4) さらにノイズキャンセリング機能をオンにして測定(アクティブキャンセル性能を測定)

得られたデータから,(3)-(2)で遮音性能を,(4)-(3)でアクティブキャンセル性能を,(4)-(2)でトータルのノイズキャンセル性能を,それぞれ算出してグラフ表示します。

この方法で試しに測定したBOSEのQuietComfort 35の結果を次に示します。左チャンネル,右チャンネルそれぞれ測定しています。各グラフの上半分が測定した音圧値,下半分が性能を評価した結果です。

bose_quietcomfort35_nc_performance_lch.png


bose_quietcomfort35_nc_performance_rch.png


興味深いのは,およそ700Hz以上はほとんど遮音性能で決まり,200Hz以下の遮音性はほとんどないこと,そしてアクティブキャンセルは,およそ700Hz以下しか効かず,1kHzから2kHzあたりは逆にノイズを増やしてしまっているということです(増えた分は遮音でカバー)。トータルとしては遮音とアクティブがうまくクロスして効果を出し,全帯域で15~30dBの低減効果が得られています。

アクティブで1~2kHzがかえって悪化しているのは,このあたりの周波数が性能的な限界で,位相のコントロールが出来ていないためではないかと推測します。遮音で低域のノイズがかえって増えているのは,高音圧のノイズでヘッドホンと治具が揺さぶられ,タッチノイズのようなノイズが発生しているためのようです。

またこの測定治具ですが,加工のしやすさを優先して軽い素材を用いたのですが,治具自体がノイズ音圧で振動し,その振動がマイクを直接伝わって結果を悪化させている可能性があると考えています。ただ,このような貧弱な治具でもそれなりにノイズ低減効果を数値として確認できたので,まあ一定の成果はあったと思っています。治具の防振対策は今後の課題です(まだやるつもりなんかい!(^^;)。

最後に蛇足ですが... 私の車のカーオーディオの周波数特性ってだいたいこんな感じだったんですねぇ... というのもわかりました。

関連ページ: ヘッドホン BOSE QuietComfort 35 周波数特性

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ヘッドホン BOSE QuietComfort 35 周波数特性

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ヘッドホン BOSE QuietComfort 35

オーバーヘッド(アラウンドイヤー)型 密閉・ダイナミック型,ノイズキャンセリング対応,Bluetooth対応
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

特性はフラット基調でやや低域を持ち上げた音づくりになっています。このあたりはBOSEらしいと言えますが,持ち上げ方は意外に控え目でそれほど強調されたようには聞こえません。

電源オフでも音は出ますが,ピークディップがかなり大きいです(図のグレーのライン)。電源オン時にかなり電気的に補正をかけて整えていることがわかります。

Bluetooth時の特性はトランスミッターを持っていないので測定できませんでした...

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図1 BOSE QuietComfort 35 周波数特性(有線/電源ON)
■SPL ■SPL[1] ■2次歪 ■3次歪 ■Impedance ■Impedance[2]
[1]電源OFF時 / [2]電源OFF時 / 測定環境 / 入力0.2Vrms


関連ページ: ノイズキャンセリングヘッドホンの性能測定を試みる

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Sony XBA-300の周波数特性と<疑似>自由音場補正周波数特性

久しぶりの測定記事です。ソニーのバランスド・アーマチュア型イヤホンXBA-300の周波数特性と測定してみました。ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

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図1 Sony XBA-300 周波数特性
■SPL ■2次歪 ■3次歪 ■Impedance / 測定環境


それで,どちらかといえば次が本記事の本題になるのですが,このイヤホンをサンプルに,自由音場補正周波数特性の測定にチャレンジしてみたので,その結果を報告します。<疑似>としているのは,その測定方法を完全に実施出来ているわけではなく,幾つものエクスキューズが付いた「真似してやってみました」レベルだからです。その点,ご了承いただきたく思います。

「自由音場補正周波数特性」とは,一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下JEITA)が発行する規格 “RC-8140B-1 ヘッドホン及びイヤホン(追補)(2016年3月発行)”の中で定義された周波数特性です。 この周波数特性の意味するところは,規格を推進されたJEITAの委員へのインタビュー記事「各社バラバラに計測「ヘッドホンのハイレゾ測定法」がついに統一? JEITAの新規格を聞く(Phile-web 2016/6/10)」で詳しく解説されていますので,そちらをご参照ください(手抜きですみません)。

上記のインタビュー記事ではハイレゾ測定にフォーカスされていますが, イヤホンの特性をスピーカの特性のように読みやすくするという意味で可聴帯域でもそれなりに意味があります(つまりフラット特性を一つの基準にデータを見ることが出来る)。

しかし,規格通りに測定するのは,測定器が高価すぎて個人レベルではほぼ困難です。 そのため今回の方法には,①規格に沿った測定器を用いていない, ②自由音場補正のためのデータが使用した測定器の実測値に基づくものではない,という二つの大きな問題があります。 これが<疑似>の大きな理由です。

上記のように,データの信頼性は残念ながら全くありませんが, とにかくやってみなければ何もわからないということで今回チャレンジしてみました。 上記①については,上記の測定でも使用しているシリコンチューブを使った自作カプラーを使用し(測定環境をご参照ください), 上記②については,ITU-T勧告P.58で定義されているHATSの自由音場特性の値を適用しました。 測定はARTA Softwareのオクターブ分析機能を用い,ピンクノイズ1mW相当の入力に対し1/3オクターブバンドで分析して値を出しています。

ということで,こういった幾つものエクスキューズを念頭に次のデータを見ていただければと思います。

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図2 Sony XBA-300 <疑似>自由音場補正周波数特性
■SPL ■SPL(after free field compensation) ■ITU-T P.58 Free field frequency response


私はこのXBA-300について,少し低域が多すぎるけど高域がシャキッとして結構好きな周波数バランスだと思っていました。この特性を見ると,まあその印象に近いデータが得られたような気もしています(^^;。まあいずれにしても参考の参考の参考くらいにしかなりませんが...

ということで,個人レベルでは規格に沿ったまともな測定は困難で,得られるデータも信頼性に乏しいので,これ以上続けてやるかどうかは微妙ですが,機会があればまた試してみたいと思います。

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イヤホン BOSE SoundTrue in-ear / SoundSport in-ear

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Bose SoundTrue in-ear headphones
インイヤータイプ,インピーダンス不明(実測約45Ω),ケーブルY型長さ不明(実測約1.2m),ストレートプラグ,発売2014年秋
参考: Amazon.co.jp

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Bose SoundSport in-ear headphones
インイヤータイプ,インピーダンス不明(実測約45Ω),ケーブルY型長さ不明(実測約1.2m),ストレートプラグ,発売2015年秋
参考: Amazon.co.jp

BOSEのインイヤー型のイヤホンで,一見カナル型のようにも見えますが,カナル型のように押し込む必要がなくイヤーチップの羽のような部分(StayHear tipというそうです)を耳にはめ込んで安定させるので,差し込む部分に隙間ができ密閉されません。このため装着時の圧迫感もありませんし,耳の穴への負担も全くなく,外の音も全く遮られることなく自然に聞こえます。装着感はオープン型のイヤホンと変わりなく,長時間付けていても全く負担がありません。すごく快適です。カナル型で問題になるタッチノイズも全く気になりません。

BOSEというと低域が強調されたデフォルメされた迫力あるサウンドが特徴のように言われている,というイメージがあったのですが,このイヤホンに関しては全くそんなことはなく,癖のないフラットな音で聴きやすいです。低域は,イヤーチップの効果か,オープン型に比べると伸びている感じがありますが,やはり密閉されていないのでカナル型ほどの量感はありません。しかし私にとってはこれくらいがちょうど良く足りないという感じはありません。

高域は印象としては8kHz以上がやや落ちている感じがあってわずかに音の輝きが弱いと思うことはありますが,伸び感が不足したり曇ったりということはほとんど感じないので,実使用上は十分許容範囲です。

音漏れに関しては,密閉されないことと,背面に音抜きの穴があることから,カナル型に比べると大きいのではないかと思います。外での使用は少し注意した方が良いかもしれません。

製品の質感は,少し表面の耐久性が不安かなと思うような材質であり,劣化しなければ良いのだけれどとちょっと心配はあります。プラグがストレートで根本の断線対策も今ひとつ十分ではなさそうなので,取り扱いは注意しないとすぐに痛めてしまいそうです。ハウジングが少し大きめなので装着したときの存在感が結構あるのがちょっと恥ずかしいですね。もう少し小さく作って欲しいところです。

SoundSportの方はスポーツ用の防滴仕様ということで少し外観も含めてSoundTrueとは違いますが,音の印象はほとんど同じで,ほぼ同等の音質と思います。

ということで,普段使用するイヤホンのレパートリーが一つ増えました。このモデルはすでに生産されていないようで,現在は流通在庫のみのようです。新しいモデルはイヤーチップの形状が変わり,密閉される構造になっているようです。店頭で装着してみましたが,カナル型のように密閉されるので,このモデルにあった密閉されない良さは全てなくなっていました。残念なことです。

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イヤホン Shenzhen Paiaudio π3.14 Audio Earbuds

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Shenzhen Paiaudio π3.14 Audio Earbuds
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス32Ω,ケーブルY型1.25m ストレートプラグ
参考: Amazon.co.jp

私はカナル型イヤホンが苦手なので,イヤホンは専ら開放型を使っているのですが,このタイプのイヤホンは選択肢が極めて少なく,音質的にも満足できるものが少ないというのが実情です。いろいろ使ってみたのですが,今も使い続けているのは結局,古いモデルですがSennheiser MX500,おそらく日本には正式輸入されていないSennheiser MX365,このタイプのイヤホンとしてはべらぼうに高いVenture Electronics VE ASURAで,MX500とVE ASURAは外観形状がそっくりです。

そして音の出口の開口部の構成が異なりますが,ハウジング形状がそっくりなモデルを見つけたので購入してみました。日本での取り扱いはWiseTechですね。

音質は想定通りでMX500やVE ASURAに極めて近い印象を受けます。開放型なので低域は全く出ませんが,中高域の音色のバランスは整っていて癖がなく,音のヌケ,高域の伸びも十分です。製品にはスポンジのパッドが付属していて,これを装着すると低域の量感が少し改善します。この音質ならまあ合格です。

ハウジングが透明なのはまあ良いとして,黒のリングにこの真っ赤なケーブルはデザイン的にはいまいちでちょっと使いたくないですね(^^)。そして少し細いので頼りなく取り回しに気を遣います。プラグがストレートというのもポータブルで使うには断線が心配で,出来ればL字にしてほしいところです。

ということで,音質は良いのですが... 私の選択肢からは外れますかねぇ,これは。いろいろと残念なモデルです。

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イヤホン Venture Electronics VE MONK+ を使ってみた!

Venture Electronics VE MONK+
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス64Ω,ケーブルY型1.2m OFC,ストレートプラグ
参考: Juice Barフジヤエービック(取扱店)

先日レビューしたVE ASURAに続いて,廉価版のVE MONK+を入手して聴いてみましたので,簡単にレビューします。価格はフジヤエービックで1,500円(税込)でした。VE ASURAが13,000円(税込)だったので,約1/10の値段です。

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左:VE MONK+   右:VE ASURA


外観は下の写真の通り,形状はVE ASURAと区別がつかないくらい似ています。同じ金型を使っているのではないかと思います。ハウジングの樹脂も価格差ほどの質感の差はありません。ケーブルも見た目はそれほど違いがありません。ASURAがいかに安っぽいかがわかりますね(^^;。

そして肝心の音質ですが,基本的な音質はASURAに似ていますが,中低域が弱く高域寄りのバランスであり,ヌケは良いものの,少し高域が強すぎる印象を受けました。付属の目の粗いイヤーパッド(スポンジ)を付けて密閉度を上げると,帯域のバランスは改善します。しかし,やはりASURAの中低域の密度感と解像感には及ばないです。とはいえ,価格差ほどの音質差があるわけでもなく,MONK+のコストパフォーマンスの高さはなかなかのものだと思います(逆にASURAはコストパフォーマンスが悪いと言えますね)。

ということで,音質は価格なりのところはありますが,それでもコストパフォーマンスに優れる良いモデルですね。このタイプのイヤホンとしてはお勧めできると思います。

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イヤホン Venture Electronics VE ASURA を使ってみた!

Venture Electronics VE ASURA
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス150Ω,ケーブルY型1.2m 4N-OFC,L字プラグ
参考: Juice Barフジヤエービック(取扱店)

ve_asura.jpg


私はカナル型イヤホンが苦手で,専ら開放型インナーイヤータイプのイヤホンを使っています(専門的にはイントラコンカ型(intra-concha type)と呼ぶそうです)。主に使っているのは,だいぶ前に生産終了したSennheiser MX500や,最近ではSennheiser MX365です。後者は現役機種ですが日本には正規ルートで入ってきていないようです。このタイプのイヤホンはまだ市場でなくなってしまったわけではありませんが,音質的に満足できるものがほとんどなく,選択肢が極めて限定されてしまうという残念な状況です。

そんな中で見つけたのがこのVenture Electronics VE ASURAです。ご存じの方はすぐにわかると思いますが,実は外観形状がSennheiser MX500と全く同じです。同じ金型を使っているのではないかと思うくらい全く同じです(ということはFostexのODM製品かも)。そして驚くべきことに価格が13,000円もします(2016年7月現在 フジヤエービック)。このタイプのイヤホンとしてはべらぼうに高い価格ですが,選択肢が限られる中,試してみる価値はあるだろうと,清水の舞台から飛び降りる覚悟で入手しました(「崖」からではないですよ(^^;)。

MX500との比較になりますが,ハウジングは安っぽい半透明プラスチックでMX500と大差なく,とても13,000円の商品には見えないです。ケーブルは多少太めのものが使われているのでまだマシです。N50というグレードの高いネオジム磁石が使われているとのことです(N52が普通手に使える最高グレード)。LRの表示が刻印になっているのは助かります(MX500はすぐに剥げてわからなくなる)。

そして肝心の音ですが,MX500に比べて低域も高域も伸びていて帯域のバランスもフラットですし癖がほとんどありません。なにより密度が高く力があり,緻密なのが良いと思います。音のグレードはMX500よりもかなり高いと思いました。インピーダンスが150Ωとかなり高めで,Xperia Z3 Compactでぎりぎり何とか鳴らせているレベル。WalkmanやiPhoneであればまあ問題ない音量が得られそうです。

ということで,音質的には満足できるものでした。ただ,これがこの価格に見合う価値があるかというと微妙で,お勧めできるものではありませんが,私としては良かったかなと思います。

なお下位モデルとしてVE MONK+というモデルがこの7月に発売されるとのことで,価格も1,500円とリーズナブルであり,発売されたらこちらも試してみようかと思っています。それにしてもこの価格差ありすぎ...中間のモデルが欲しいところです。

オマケですが,本体に印刷されているURL(52ve.cn)にアクセスしてみると... メーカーのホームページのようで詳しく説明があるようですが... 中国語なのでわかりません(^^; インピーダンスが320Ωの高級モデル?もあるようですね。

[追記]メタラーのヘッドホンブログで,もう少し安く買えるAliExpressという海外の通販サイトが紹介されていました。ASURAはUS$78ですね。このブログを信じると,最上位モデルのZENは私の好みではないように思います。逆にMONK+は期待できそうです。

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書籍:オーディオトランスデューサ工学 - マイクロホン,スピーカ,イヤホンの基本と現代技術 - (大賀寿郎著)

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オーディオトランスデューサ工学
マイクロホン,スピーカ,イヤホンの基本と現代技術
日本音響学会編 音響テクノロジーシリーズ17
大賀寿郎(著)
コロナ社 2013年3月 ISBN978-4-339-01118-0
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineiconコロナ社

【目次】
1. オーディオトランスデューサの基礎知識
2. 種々のオーディオトランスデューサ
3. トランスデューサの機械音響振動系と回路
4. 電気音響変換器の理論と定量化
5. 感度と周波数特性
6. トランスデューサの音場と音響放射
7. 音波の伝送
8. 音波の反射と回折
9. 多点送受音と指向性の制御
10. オーディオトランスデューサの設計技術
11. オーディオトランスデューサの測定
12. オーディオトランスデューサを用いる音響システム

本書は,マイクロホン,スピーカ,イヤホンといったオーディオトランスデューサ(電気音響変換器)に関する基本的な技術および音響工学の基礎を体系的に広く浅く学べる入門書です。エンジニアがこれらの技術的な内容を理解する取っかかりとしてなかなか上手くまとめられていると思います。理系でない方には少々専門的すぎるとは思いますし,書かれている数式まではなかなか理解できるものではありませんが,概念を把握したり基本原理をざっと理解するには良い書籍だと思いました。このあたりは枯れたローテクのアナログ技術ですが,奥深さを感じますね。

著者の大賀寿郎氏は,大学卒業後は日本電信電話公社や富士通の研究所に在籍された後,現在は,芝浦工業大学名誉教授,東京電機大学講師,日本音響学会代議員,電子情報通信学会フェロー,IEEE(米国電気電子学会) Fellowとのことで,この分野の権威ですね。

コロナ社の音響テクノロジーシリーズは興味をそそられる書籍が多くあります。以前紹介した超広帯域オーディオの計測もシリーズは違いますがコロナ社でした。機会があればまた読んでみたいと思います。

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エントリーモデルのヘッドホンでもう少し良い音で音楽を楽しみたい ~ Sony MDR-ZX310の場合

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知り合いから,音質があまり好きになれないのだけど...と相談を受けたSony MDR-ZX310。そう言われてもなぁ,どうしようもない,と思いつつ借りて聴いてみました。実売が2,300円前後というエントリーモデルなので音質は目をつぶらざるを得ません。低音は良く出ているものの,高域の伸びが全くなく,モゴモゴする音質です。

いつもの通り,測定をしてみました(測定方法はこちら)。下記の図で,青線が1mW入力時の音圧周波数特性です(橙線が2次歪,黄緑線が3次歪,インピーダンスは割愛)。確かに伸びがなくモゴモゴするような特性です。

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ではどうするか。製品としてのクオリティが良くなるわけではありませんが,周波数特性を改善してやれば少しでも聴きやすくなるだろうということで,イコライザーを使って周波数特性を整えてみました。使用したのはOnkyoのHF Player。これにはグラフィック・イコライザー機能がありますので,これを使いました。

周波数特性を見ながらフラットになるように大まかにイコライザを設定し,あとは聴感で微調整しました。次図が調整したHF Playerのイコライザー設定です。メモリがないのでわかりにくいですが,±10dBの範囲で設定が出来るようになっています。4kHz以上を大きく持ち上げることによって高域特性を改善しフラット化するとともに,モゴモゴ感の原因となっている500~1kHzを少し落としています。

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HF Playerで再生したときの特性も確認しました。次図において,青線がイコライザーOFF,赤線がイコライザーONです。HF Playerでホワイトノイズを再生し,Wave Spectraで300回平均測定しました。

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帯域バランスが大きく改善され,軽いドンシャリ特性となり,だいぶ聴きやすくなりました。まあ少し過補正気味かもしれません。音がドライで硬くなりました。調整量を半分くらいにしても効果は十分に感じられたので,それくらいにしておいた方が良いかもしれません。なお,イコライザーでプラス方向に調整するとクリップして音が歪む場合があるので,プラス方向に大きく調整したときは全体の音量を少し下げた方が良いかもしれません。

これだけ大きな信号処理を加えることには若干の抵抗を感じますが,モゴモゴした音で聴き続けるよりはずっと良いと思いました。ただ,測定データなしで聴感だけに頼って適切に調整するのはかなり難しいと感じました。モゴモゴした音を改善したい場合には,4kHz以上をプラスに持ち上げ,500~1kHzを少し下げる調整をしてみて,あとは好みに合わせて少しずつ調整を重ねていく,というところでしょうか。こればかりはヘッドホン毎に特性が異なるため何とも言えませんが。

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ヘッドホン Sony MDR-1ABT 周波数特性

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ヘッドホン ソニー Sony MDR-1ABT

密閉・ダイナミック型,インピーダンス24Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2015年発売,Bluetooth対応
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

同社の代表機種MDR-1Aの兄弟機種で,Bluetooth対応のモデル。 同社が開発したBluetooth用のコーデック“LDAC”によって,Bluetoothでのハイレゾ対応を謳っています。 ここでは有線接続時のみの評価です。

音質の傾向は兄弟機種だけあってMDR-1Aに似ています。 しかし,能率がMDR-1Aよりも低く,また,低域の質感が異なります。 こちらの方が低域に締まりがあり,逆に量感は控えめに聞こえます。 能率の低さと低域の量感の差によって,MDR-1Aよりも大人しめの音に感じられます。 また,このシリーズの特徴である解像感の高さもわずかに落ちるように感じられ, クオリティ面ではMDR-1Aに一歩譲るように思います。 個人的には音のバランス,低域の締まり具合から,MDR-1Aよりもこちらの方が好みかなと思いますが。

装着感ですが,Bluetoothモデルなので若干重いのは仕方ないとして, イヤーパッドがMDR-1Aよりも少し薄く,あの軽く柔らかい装着感はこのモデルではあまり感じられません。 決して悪くはないですが,MDR-1Aには及ばないです。

MDR-1Aの兄弟機種ですが,音質面でも装着感の面でもだいぶ異なるという印象です。

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図1 Sony MDR-1ABT 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン Sony MDR-1A 周波数特性

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ヘッドホン ソニー Sony MDR-1A

密閉・ダイナミック型,インピーダンス24Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2014年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ソニーの密閉型オーバーヘッドヘッドホンの代表機種なので今更説明の必要もないですね。 音質は低域が豊か,かつ高域が強い,いわゆるドンシャリですが, 全体に破綻のない完成度の高い良好な特性をしています。 少し低域が緩めであり,これがこの機種の音質を特徴付けていると思います。 もう少し締まっている方が私の好みなのですが...

そしてこの機種のもう一つの特徴が,とても軽く快適な装着感でしょう。 柔らかめのイヤーパッドのフィット感が心地よく,また,緩い側圧のため, 長時間のリスニングも比較的楽です。 重量も軽めです。 イヤーパッドの内径が少し狭いので若干耳が触れるので少し気になります。 この点が惜しいところです。

さすがソニー,良くできたモデルです。

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図1 Sony MDR-1A 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン audio-technica ATH-MSR7 周波数特性

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ヘッドホン オーディオ・テクニカ audio-technica ATH-MSR7

密閉・ダイナミック型,インピーダンス35Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2014年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

2016年2月時点の実売価格がおよそ2万円ということで,密閉型アラウンドイヤーのヘッドホンとしては中級クラスです。 ソニーのMDR-1Aが競合というところでしょうか(デザインも似ていますし・・・)。 オーソドックスで,ヘッドホンらしいヘッドホンです。

音質はフラット基調で極めてクリア,ハイが少々きついくらいです。 音源が少し曇った音質でもスカッとヌケよく聴かせてくれます。 低域は量感は控えめですが,十分に出ていますし,締まっているので不満はありません。

装着感ですが,イヤーパッドは耳の大きさぎりぎりですが,耳に触って不快になるということはありません。 側圧がややきつめで,かなりしっかりと装着できますが,一方で, アラウンドイヤーにも関わらずやはり長時間は少し疲れてつらいです。 イヤーパッドは密閉度が良いので,遮音性もまずまず良好,音漏れも少ない方だと思います。

造りも値段なりにしっかりとしています。 真面目な音作りで,かつ,高域のヌケの良さが魅力的な機種だと思います。

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図1 audio-technica ATH-MSR7 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン ゼンハイザー HD700 周波数特性&レビュー

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheiser HD700

オープン・ダイナミック型,インピーダンス150Ω,ケーブル両だし(着脱可) 3m 6.3mmストレートプラグ,2012年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ゼンハイザーのHD650と高級機のHD800との間の位置づけ?のモデルで価格的にも確かに中間的です。 どうも中途半端な印象が拭えず,また,デザインも魅力を感じなかったので今まで注目してこなかったのですが, 重い腰を上げて聴いてみました。

音質は想像以上にニュートラルで癖がなく,また,HD800には及ばないにしても十分に広い音場感が得られます。 フラットですが,高域が少し強めのチューニングになっているため,クリアーで音の伸びが良く,音色にも輝きがあります。 上品でおとなしい(そして軽めの)音質であり,このクラスにふさわしいクオリティを備えていると思います。

装着感ですが,イヤーカップの大きさが十分大きく,イヤーパッドの開口も大きいため, 耳介に全く何も触れずに装着できるため極めて快適です。 重量も十分に軽く,長時間の使用も全く問題ありません。

さすがにゼンハイザーの上級モデルだけあって,音の良さは素晴らしいですね。 HD650とHD800との音質の差別化も絶妙になされているのはさすがです。 デザインはやっぱり好きになれませんが,見直しました。 なお,開放型のため音漏れはものすごくあります。 ホームユースなので問題はありませんが。

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図1 Sennheiser HD700 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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音圧競争の功罪を体感する ~ 「シルエット」(松田聖子)Stereo SoundのSACD Edition

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シルエット Silhouette
松田聖子
Recording Date: March, April 1981
SSMS008 (TDGD-90028) (P)(C)1981 Sony Music Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Stereo Sound STORE

ステレオサウンド誌がリマスタリングを行ったSACDハイブリッド盤。ご存じの方も多いと思います。前から気になっていていたのですが,先日行われた音展でたまたま見つけてようやく手にすることが出来ました。

解説書によると,このディスクはオリジナルの2トラック38cm/秒テープからのマスタリングとのことです。CD層はDSDで取り込んだものをPCM変換して収められています。マスタリングでは若干の低域の補強を行い,それによって音像イメージの立体感を著しく増すことが出来た,とあります。

私はこの中の「チェリーブラッサム」と「夏の扉」を,2011年に発売されたベスト盤“SEIKO STORY 80's HITS COLLECTION”で聴いていたので,このSACD盤と聴き比べてみました。パッと聴いた印象では,ベスト盤の方がメリハリのある元気な音であり,一方SACDの方は何だかショボい音だな...でした。しかし,SACDの方の音量を少し大きめにしてベスト盤と同じ音量感で揃えると,全く印象が違ってきました。

ベスト盤の方は明らかに音が硬く,歪みっぽくて濁っているのに対し,SACDの方は音に透明感と伸びがあり,輝きが感じられるのです(なおCD層でも同じ印象でした)。SACDがショボく聴こえたのは,単に平均音量が小さめになっているためでした。

次の図は,SACDハイブリッドのCD層(上)とベスト盤(下)の波形を比べたものです。ベスト盤の方はリマスタリング時にいわゆるコンプ(コンプレッサー)がかけられ,ダイナミックレンジを圧縮して平均音圧を上げたであろうことがわかります。一方,SACDハイブリッドのCD層はそのような処理がなされずに収録されていることがわかります。

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ダイナミックレンジを圧縮すると,インパクトのある音になることはわかります。しかし,その代償に失うものも大きいということがこれでよくわかりました。

なお解説書には次のような記述がありました。

お願い:本ディスクでは,SACD層とCD層を問わず,マスターテープに収められたダイナミックレンジを大切にするマスタリングを行っています。そのため,通常のボリュウム位置ではラウドネス効果により音の精彩を欠くように感じることがありますので,出来るだけボリュウムを上げてお聴きください

まさにその通りのことを体感した次第です。

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寺神戸亮さんのコレッリ:ヴァイオリン・ソナタ作品5の初期盤のエラーと再発売盤

寺神戸さんのディスクは1990年代よりDENONのAliareシリーズで多くのタイトルが発売されてきました。先のエントリーで紹介したコレッリのヴァイオリン・ソナタ集もその中の一つです。

このAliareシリーズですが,CDの規格の仕様の一つである「プリエンファシス」をかけたものが多くありました。プリエンファシスというのは,簡単に言うと,あらかじめ高域を強調して録音しておき,再生時に強調された高域を下げて元に戻すことにより,ヒスノイズなどのノイズの影響を少しでも低減しようというものです。磁気テープなど主にアナログ録音をするときのノイズ低減に効果のある方法ですが,CDにも取り入れられていました。なお細かい話ですが,録音時に高域を強調する処理をプリエンファシス,再生時に戻す処理をディエンファシスと言います。

もう少し細かい話をすると,プリエンファシスで録音されたCDは,プリエンファシスがONであるというフラグが立てられているので,再生するCDプレーヤは,このフラグを見て,フラグがONの時には,ディエンファシスフィルタをONにして再生することで,正しい音に戻しています。このフラグは,CDのTOC(Table of Contents = 管理情報)と音声データに付随するサブコードの2カ所に記録されています。

しかし,1990年代に発売されていたディスクの中で,プリエンファシスで録音されているにも関わらず,このフラグが正しく記録されていないエラーディスクのものがありました。この寺神戸さんのコレッリもその一つです。具体的には,音声データに付随するサブコードのフラグは正しくONとなっているのに,TOCのフラグがONになっていない,というエラーです。

このエラーの具体的な影響は,「PCで正しくリッピング出来なくなる」です。CDプレーヤは通常はサブコード側のフラグも参照するため,TOCの情報が間違っていても正しく再生できます。しかし,通常,PCではサブコードは読み取らずTOC情報だけを頼りとするので,これが間違っているとディエンファシスをかけ損ねて正しい音でリッピング出来なくなります(もちろんリッピングするソフトの仕様にもよるとは思いますが)。実際このディスクをリッピングしてみると高域が変に強調されたおかしな音になります。

このディスクが発売された1995年当時はPCでリッピングすることはなかったため,エラーがあっても実質的に問題はなかったので,このようなエラーディスクが見過ごされていたのだと思います。

このディスクは何度か復刻されていますが,2002年に再発売されたバージョンでは,TOCのフラグが正しくONに修正され,エラーディスクではなくなりました。

さらに,先のエントリーで取り上げた2010年に再発売されたバージョンでは,音声自体がプリエンファシスされていないものに変更されていました。デジタルであるCDではプリエンファシス自体ほとんど効果がないこと,TOCのフラグを無視して正しい音でリッピング出来ないソフトへの対策,で仕様変更されたのではないかと思います。

ちなみにiTunesはTOCのプリエンファシスのフラグを参照し,リッピング時にディエンファシスフィルタをフラグに応じて適用しているようです。

ディスクについて整理すると以下のようになります。

・1995年発売 COCO-78820 プリエンファシスON ★TOC情報エラーあり
・2002年発売 COCO-70459 プリエンファシスON
・2010年発売 COCO-73075 プリエンファシスOFF

モニターヘッドホン Sony MDR-CD900ST 周波数特性 & レビュー

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ヘッドホン Sony MDR-CD900ST

密閉ダイナミック型,インピーダンス63Ω,ケーブル2.5m片だし,ステレオ標準プラグ
参考: SonyAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去にも測定データを公開していましたが,今回,新しい治具での再測定しましたので再度掲載し,レビューを追記しました。

プロの現場でも最も使われている有名な定番モニターヘッドホンなので,ご存じの方が多いと思います。 ソニーとソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同開発品とのことで,ソニーのWebサイトには製品情報がありません。 「原音(この場合は信号に含まれている音)を出来るだけ忠実に再現する」ことに注力されており, 「録音のノイズや粗を見つけるのに最適であり,音楽鑑賞には向かない」と一般的には言われているようです。

確かに聴いてみると,音が耳のすぐ近くで鳴っているようで,音場は広くありませんし,圧迫感が強く開放感はほとんどありません。 聴感上はフラットで,密閉型にしてはこもった感じもなく,中高域が極めてクリアで音の輪郭がくっきりしています。 低域は,量感はありませんがレンジが広く,空気の振動,圧力変化まで感じ取れるようで,空気感がリアルに感じられます。 こういった音質がスタジオモニターとして好まれる要因なのでしょう。

全体の質感は,良いとは言えませんが,いかにも実用本位という感じです。 イヤーパッドの表面の材質が薄く安っぽい人工皮革?というのが今ひとつです。 また,プラグが標準プラグのみというのもプロ用らしいですね。

イヤーパッドが薄めで,大きさもそれほど大きくないため,耳が少し押さえつけられ, 側圧はそれほど強くないにも関わらず長時間装着していると耳が痛くなります。 私の場合,連続使用は1時間程度が限度です。 位置決めも,しっくりくるポイントがなかなか見つからず苦労します。 装着感は残念ながら少なくとも私にとっては最悪の部類です。

一時期,装着感の悪さを我慢して使っていたのですが,フラット感があるとはいえ, ほんのわずかな中域の癖が気になって次第に使わなくなってしまいました。 私自身はこの音質は音楽鑑賞に向いていないとは思わないのですが...

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図1 Sony MDR-CD900ST 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン Sennheiser HD239 周波数特性 & レビュー

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheser HD239

オープン・ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル片だし1.4m ストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去に一度レビューしていました(2014年6月8日)。併せてご覧いただければと思います。今回,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。
2015年6月時点の実売価格が約9,150円(Amazon.co.jp)。 ゼンハイザーとしては入門クラスの音楽用開放型ヘッドホンです。

小型のオンイヤーで側圧も緩く,耳にあたるスポンジも極めて柔らかく, とても軽くて着けていることを忘れてしまいそうなくらいの快適な装着感が最大の特長ではないでしょうか。 これは本当に魅力的です。

そして音質ですが,とても整ったフラットな音質です。 このサイズでこの低域の量感が出るのは少し驚きました。 高域は少し大人しい感じがするのと,ソースによっては少しモゴモゴ感があるものの,大きな不満はありません。 この小さなオンイヤーで,また,1万円を切る価格帯でこのバランスの良い,破綻のない音作りをするとは,さすがゼンハイザーです。 当然ながらHD650にクオリティは及ばないものの,大きな音質の傾向はHD650の流れを汲んでいるように思います。

オープン型なので音漏れは盛大にありますので,外での使用は注意が必要です。 逆に,外の音もほとんど遮られずに入ってくるため,閉塞感が全くないのも良い点です。 造りは価格相応かと思いますが,ポータブル用途を意識してかだいぶ細く頼りないのは仕方ないところでしょうか。

地味なヘッドホンですが,好きな機種の一つです。

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図1 Sennheiser HD239 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン Sennheiser Momentum 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン Sennheiser Momentum

ケーブル1.4m,片出し,プラグストレート着脱式,18Ω
標準プラグアダプター付属
Apple用マイク付きリモコンケーブル付属
参考: SennheiserAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去2回レビューしていました(2013年7月7日2014年1月12日)。併せてご覧いただければと思います。今回,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。
2015年5月時点の実売価格が約27,500円の,ゼンハイザーとしては中級の音楽用密閉型ヘッドホンです。 発売当初より評価が高く,雑誌等で様々な賞を受賞しています。 無骨なものが多いゼンハイザーの中では,珍しくデザイン性にも配慮されたモデルですね(^^;。

このヘッドホン,未だにオンイヤーなのかアラウンドイヤーなのかよくわからない中途半端なイヤーパッドサイズで, どう装着するのが良いか未だに迷います。 そのため,私にとってはやや装着感に難があります。 “On-Ear”という名称のついた一回り小さなモデルがありますので,これはオンイヤーではないとは思うのですが。

音質は典型的なドンシャリです。 私には低域が強すぎて,ややモゴモゴするところが気になります。 ただ,高域がしっかりと出ているため救われています。 低域が強いヘッドホンが好きな方にはこの音質は良いのではないかと思います。

若者にも受けそうな音作りであり,遮音性もまずまず良く音漏れも少ない,良くできたヘッドホンだと思います。 しかし,上記のように低域が強すぎること,装着感が合わないことから,私にはイマイチ合いませんでした。

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図1 Sennheiser Momentum 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン DENON AH-D1100 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン DENON AH-D1100

密閉ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル1.3m Y字型,3.5mmミニプラグ(ストレート/金メッキ)
参考: DENONAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。2014年1月13日のエントリーでレビューしていましたが,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。

DENONのClassicというシリーズの上位モデルで定価18,000円もするモデルです。 見かけはチープで軽いので少々安っぽいのですが,よく見ると作りは比較的きっちりとしていて悪くありません。 ケーブルも決して太くはありませんが弱々しくはありません。 質感が定価に見合うかというとちょっとどうかなとは思いますが, Amazon.co.jpでは6,500円程度で出ていますので,これなら価格相応で十分納得できます。

装着感ですが,軽くてアラウンドイヤーなので耳に負担が少なく良好です。 イヤーパッドがやや固めでぴったりとフィットする感じはあまりなく,密閉型ですが隙間が出来やすいように思います。

そして肝心の音ですが,低域がやや強めですが,ブーミーでなくキレがあります。 全体に癖がなく良くバランスが取れていると思います。 高域もストレスなく綺麗に伸びています。少しきついと思われる方もいると思いますが, 私にはちょうど良いです。密閉型ですが閉塞感も少なく音場も広めです。 大人しくインパクトには欠ける音ですが,フラットで圧迫感も少ないのでとても聴きやすいです。

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図1 DENON AH-D1100 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


周波数特性ですが,低域が非常に強く出ていますが,実際に聴くとそれほどでもなく丁度良い程度です。 おそらく測定時は密閉度が高く,実際に聴いたときには隙間があって密閉度が下がり,低域が弱まったのではないかと思います。 これは私にとっては結果的に良い方向となり,丁度良いバランスの音に落ち着きました。 密閉度が高い状態では少し低域が強すぎると感じるかもしれません。 ピークディップが結構ありますが,聴感はフラットで大人しいです。 癖のある音につながりやすい3~4kHzが弱いのも良好な結果につながっていると思います。

DENONは正直ノーマークでしたが,これはなかなか良かったです。 実売6,500円であれば,同価格帯の中ではかなり良い部類に入ると思います。

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ヘッドホン HiFiMAN HE-560 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン HiFiMAN HE-560

オープン・ダイナミック型,インピーダンス35Ω(実測58Ω),ケーブル両だし2m 6.3mmストレートプラグ
参考: 輸入代理店(TOP WING)サイトメーカーサイトフジヤエービック

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

薄い振動板の上に回路を形成し,棒状の磁石をこの振動板に近接させて磁気回路を構成して振動板全体を均一に駆動する平面駆動型磁気ドライバーを使ったヘッドホンです。 振動板全体が駆動されるため,高域のクオリティを落とす原因となる分割共振が起きにくい方式です。 ただ,回路の巻数が少なく,磁束密度の利用効率も悪いためか,能率が低いのが欠点で,高い出力電圧の取れる据え置き型のヘッドホンアンプがないと十分な音量が取れない方式です。

以前から知り合いが所有しているHE-500を何度か聴かせてもらい,その素直で澄んだ音色,自然で圧迫感のない音場感に惚れ込み,手に入れたいと思っていました。 HE-500はすでに手に入りにくいのと重量が結構あり(約500g)長時間の使用はつらいため,現在辛うじて入手可能で,重量も375gに軽量化されたHE-560を選択しました。 10万円近くするため購入をだいぶ長い間躊躇していたのですが,思い切って手に入れた次第です。

音質は期待通り極めて自然な鳴り方で,中高域のヌケの良い繊細で輝きのある音色,響きの美しさが素晴らしいです。 解像感も申し分ありませんし,高域はやや強めですが,破綻のないなめらかな音なので「刺さる」ようなことはありません。 キレとスピード感のある低音も魅力的です。 量感はありませんが,必要十分に出ています。

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図1 HiFiMAN HE-560 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


周波数特性を見ると,基本的にはフラットなのですが,2kHz付近に少しディップがあります。 聴感上はかなりフラットに感じられるので,このディップの影響は限定的のようです。 高域は10kHz前後でやや強めという,私にとってはかなり理想的な特性です。 この高域特性がヌケの良さ,繊細さ,解像感の高さにつながっていると思います。 また低域が見事にフラットですが,それ以上に低域の歪みの少なさが突出しています。

装着感は,イヤーパッドの肌に触れる部分がベロアとなっており,またパッド自体が柔らかめでしかも接触面積が大きいため快適です。 側圧はやや強めですが,このイヤーパッドのためそれほどきついということはありません。 ケーブルは布巻で取り扱いはしやすいのですが,ヘッドホン側のコネクタがSMA-P型という特殊なものでねじ込みがやりにくく,この部分に関しては良いとは言えません。

なお,取扱説明書にはインピーダンスが35Ω,音圧レベルが90dB/mWとあるのですが, 実測してみるとインピーダンスは58Ω,音圧レベルが85dB/mW(58Ω)しかありません。 インピーダンスが高めで能率が低い,出力の大きいヘッドホンアンプが必要になるはずです。 しかし,それにしてもカタログスペックとあまりにも違いすぎて,この会社,本当に大丈夫だろうか,と思ってしまいます(^^;。

メイン機としてSennheiser HD580を,サブにbeyerdynamic T90 Jubileeを使っていますが, 開放的な音像と音色のバランスの良さでこの2機種を上回っているのではないかと思うほどで, メイン機をこれに置き換える可能性が出てきました。 なお,取扱説明書にはバーンインに150時間かかると書いてあり,まだそこまで使い込んでいないので, もし音質に変化が出るようであればまたレポートしたいと思います。

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ヘッドホン ゼンハイザー HD650 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン ゼンハイザー HD650

オープン・ダイナミック型,インピーダンス300Ω,ケーブル両だし3m 6.3mmストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

誰もが認めるリファレンス機の代表格,ゼンハイザー HD650。 私はこの2世代前?のHD580を2台も持っていて, 今でも現役でメイン機として全く不満なく活用しているので,HD650を手に入れるかどうか長い間迷っていました。 少し低域が強くなっているという評判も躊躇させる要因でした。 しかし,やはりこの機種は聴きたいという思いが強く,とうとう入手した次第です。

周波数特性の測定結果です。

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図1 Sennheiser HD650 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


音質ですが,低域が強くなっているという評判は確かにその通りでしたが,その増加量はわずかでしたので, HD580からの音質の変化は最小限であり,聴感上はほぼ同等という印象です。 周波数特性からもわかる通り,聴感的にもフラットであり,まさにリファレンス機としてふさわしい性能を有していると言えるでしょう。 軽いドンシャリ傾向ではありますが,全く強調されたものではありません。 むしろ,beyerdynamic T90 Jubileeと比べると, 中域の充実感がずっとあります。

周波数特性を見ると,高域の特性の暴れが驚くほど見事に抑えられていることがわかります。 全帯域にわたって上品で刺激的にならない音作りとなっています。 個人的にはもう少し10kHz前後の音圧が高い方が好みなのですが,リファレンスとしてはこれで良いと思います。 少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴ける特性です。

装着感ですが,少し固めのベロアのイヤーパッドは感触も良く快適です。 側圧ややや強めなので長時間は少ししんどいかもしれませんが,大型のイヤーパッドで圧力が分散されるため意外に疲れません。 ヘッドバンドのスライダーはちょっと固めで合わせにくいのですが, 一度決めてしまえば動かすことはほとんどないため実用上はあまり問題ではありません。 ケーブルも柔軟性があり癖も付きにくく,取り回しも良好です。

ということで,改めてこのモデルの完成度の高さを思い知りました。 値段分の価値は十分にありますね。 さすがです。 よくクラシックやジャズには向くけど,ロックやポップスには向かない,というような評を見ますが, 要は単にその人の音の好みを言っているだけであって, 私としてはジャンルに関係なく素晴らしい音を聴かせてくれるモデルだと思っています。

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Sennheiser MX365 (インイヤー型イヤホン) レビュー

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Sennheiser MX365

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ゼンハイザー・ジャパンのサイトに載っていないので,まだ日本には正規ルートでは入ってきていないようです。MX300番台で本国では€14,90とのことなので,Amazon.co.jpの並行輸入品 2015年4月時点の価格およそ4,000円は少々高いですね。正規ルートで輸入されればMX375と同じ2,000円台前半の価格でしょう。

音質ですが,付属のイヤーパッドを付けていないと低域はかなり弱いのですが,それを除けばほぼフラットという印象です。高域の伸び感,綺麗さについてはMX585に一歩譲る感じですが,不満に思うことはありません。イヤーパッドを付けると低域の量感が増し,かなり良いバランスになります。これであれば低域を含めてほぼ不満がなくなります。このあたりのバランスの良さはさすがゼンハイザーです。出来ればイヤーパッドなしでこのバランスを実現して欲しいところです。

造りはさすがにMX300番台なので安っぽさはありますが,値段相応だと思います。ケーブルは柔らかくて滑りも良いので取り回しは楽です。ヨレっとしていて少し癖は取れづらいです。これもまた値段相応ですね。

ゼンハイザーのイヤホンは,高域に関しては値段に比例しているところはあるかもしれませんが,音作りのバランスは安いモデルでも関係なく良好という印象です。MX500が生産中止になったあとしばらくはあまり音の良いと思うモデルがありませんでしたが,最近のものは平均的に良くなっているように思います。これもしばらく使ってみようと思います。

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Sennheiser MX585 (インイヤー型イヤホン) レビュー

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Sennheiser MX585

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω,Vol付き
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

私はカナル型が苦手なので,イヤホンは専らインイヤー型を使っています。もう10年以上前からSennheiser MX500を愛用していますが,市場から消える前に入手したストックが5台ほどあるものの,そろそろMX500に代わる機種を見つけたいと常々思っています。気になる機種を見つけるたびに試してみるのですが,なかなかMX500を超えるものが見つかりません。インイヤー型は選択肢が少ないので本当に困ります。

このMX585は,品番からするとMX500の後継にあたる機種だと思います。後継といっても形状や造りが全く異なるので,供給しているベンダーも違うかもしれません。音質的には低域は弱く高域寄りのバランスです。高域はかなり綺麗でこの点はすごく良いのですが,中域に少しだけ癖のある響きがあります。全体のまとまりもバランスもまずまず良く,何より高域のヌケが気持ちよいので継続して使ってみようと思うのですが,中域の癖のためMX500を超えるとまではいかないのが惜しいところです。イヤーパッドを付けると低域が改善されて全体のバランスが整うかと思いましたが,やってみるとあまり耳にフィットしなかったためにほとんど変わりありませんでした。インイヤー型イヤホンでは耳にフィットするかどうかで音質が大きく左右されるので重要ですね。

ハウジングは大きめで私の耳には少し合わないのですが,付属の環状のイヤーアダプタを付けると収まりが良くなります。ケーブルは柔らかく癖が付きにくいのは○ですが,少し滑りが悪いのが惜しいです。Volが付いているのは何かと便利なのですが,スライダーが重く,また手探りで場所を探しにくいため,使い勝手が良くありません。こんなに操作しづらいVolは初めてです。

ということで,MX500には今一歩及ばず置き換え候補にはなりませんが,しばらく使ってみようと思えるくらいには良い機種でした。

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XperiaのWalkmanアプリのギャップレス再生を確認する(訂正記事)

昨年の7月4日のエントリーで,Xperia Z1fのWalkmanアプリでギャップレス再生の確認結果を掲載したのですが,その確認結果に誤りがありました。申し訳ございません。

そのエントリーでは,AACとMP3でギャップレス再生が出来たと報告をしたのですが,確認用に使ったテスト音源ファイルではギャップレス再生が出来たことは間違いなかったのですが,CDリッピングした音源ではギャップレスにはなっていませんでした。完全な確認不足でした。

改めて確認しましたので,ここにその結果を載せます。

確認機種
  Xperia Z1f (Android 4.4.2, ビルド番号 14.3.B.0.310, Walkman 8.5.A.2.7)
  Xperia Z3 Compact (Android 4.4.4, ビルド番号 23.0.1.A.1.49, Walkman 8.5.A.2.10)

ギャップレス再生確認結果
  ○WAV
  ○FLAC(Media Go)
  ○Apple Lossless(iTunes) ※Z3 Compactのみ(Z1fは再生できず)
  ×AAC(Media Go, iTunes)
  ×MP3(Media Go, iTunes)

上記の通り,非圧縮とロスレスのみギャップレスが出来ていました。なお,Z3 CompactはApple Losslessが再生出来ましたが,Z1fは再生できませんでした。WalkmanではなくGoogle Play Musicでも同じ結果だったので,Walkmanアプリも差ではなく,Androidプラットフォーム自身の対応の差ではないかと思われます。

今回の結果は間違ってはいないと思うのですが,もしご確認された結果,違うようでしたらご指摘をいただけると助かります。

間違った報告をしてしまっていたこと,改めてお詫び申し上げます。