ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(仲道郁代/有田正広指揮/クラシカル・プレイヤーズ東京)

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ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番
仲道郁代(Ikuyo Nakamichi)(Piano)
有田正広指揮(Masahiro Arita)(Conductor)
クラシカル・プレイヤーズ東京(Classical Players Tokyo)
2010年8月2日~6日 東京芸術劇場大ホール
DENON COGQ-49 (P)2010 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ピアノは1841年製オリジナル・プレイエルでショパン愛用の楽器と同じモデル,オーケストラもオリジナル楽器使用でA=427,総勢38名という編成です。さらにピアノ独奏の部分では室内楽編成で演奏されているということです。内容に関しては上記の参考URLにも記載があるので省略します。

実はショパンのピアノ協奏曲はディスクを1枚も持っておらず,これが初めてとなります。いつも書いているようにオリジナル楽器はどちらかといえば苦手なのですが,上記の内容に惹かれて聴いてみたくなり手に入れました。元々ピアノ協奏曲自体をあまり聴かないのと,ショパンの協奏曲は初めてということもあって,演奏については今回はコメントしません。

以下,録音についてコメントします(あくまで「録音」について,です)。最初にこのディスクを再生して出てきた音を聴いたとき,「うげっ,なんちゅうひどい音! コンプレッサーをかけたような音やな」というのが第一印象でした。しかし,慣れというのは恐ろしいもので(というのとだんだん録音の素性が見えてくるので)何度も聴いているうちにだんだんと「そんなに悪くないかも」と思う瞬間も出てくるようになったのですが,とにかく聴く度にマシに聴こえたり悪く聴こえたりとコロコロと印象が変わるのです。でも結局のところトータルとしてはあまり良い印象ではないというのが今の正直な感想です。

で,最近発売されたレコード芸術誌を見てみると,なんと優秀録音盤として取り上げられているではありませんか! ...これを見て,あえて否定的なコメントをすることにしました(^^;。(あくまで録音に対してですよ!)

何が気に入らないか。一つ目。せっかくの小編成オーケストラなのに,一体どんな大編成なんだ?というくらいスケールの大きな音の録り方になっています。フォルテはかなりの轟音でうるさい感じです。でもやっぱり弦楽器の音など小編成のものなので,そのミスマッチもあるし,見通しの良さも感じられなければ小気味よさ,軽快さも感じられません。小編成の良さを活かそうという気がないようです。

二つ目。残響を多めに取り入れているにもかかわらず,普通だったら中域が盛り上がってウェットな音になるはずなのに,逆に中域を意図的にイコライザで凹ましたような変な周波数バランスに感じられることです。響きの癖が感じにくくなるのは良いのですが,変にドライで弦楽器の音にも潤いが感じられずカスカスの音に感じられます(言葉が悪くてすみません)。

三つ目。上記とも関係ありますが,ピアノの音を含めて妙に演出がかっていて,メロドラマのBGMみたいな安っぽいものにしてしまっています。せっかくの好演奏なのに,この録音がその演奏の品位を損ねてしまっています。

このディスクはオリジナル・プレイエルという特別な楽器を使っていることが売りではないのか? なぜその本当の良さをストレートに伝えようとしないのか。全く理解に苦しみます。

「それはあんたの機材がショボいからだ」と言われるかもしれません。まあその通りなので反論しようがないのですが,一部の良い機材を持った人だけが良い音で聴ける優秀録音よりも,多くの人が持つ一般的な機材でも良い音で音楽を楽しめる好録音であってほしいと思うのです(そういう録音は良い機材でももちろん良い音で鳴るのですから)。

(記2011/01/26)


コメントを受けて,上記の取り消したところを考え直しました。ショボい装置で良い音がするからといって,良い装置で良い音がするとは限らないですね。

言いたかったのは,良い装置でも普通の装置でも良い音で楽しめる録音も可能であるし,そういう録音と良い装置でしか良い音で聴けない録音と聴き比べることが出来たとしたら,私は間違いなく前者の方が良いと思うことでしょう,ということです。

しかし,結局はそれぞれの人の良い音に対する価値観次第であり,今の多くの録音を聴く限り,私のような考え方は少数派でしかないということなのでしょう。

(記2011/02/05)