モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ショルツ/ベルリン室内管弦楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ヴァイオリン協奏曲第一番~第五番,アダージョK.261,ロンドK.373,ロンドK.269
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Berlin, Christuskirche, 10, 11/1997
BERLIN Classics 0184002BC (P)1998 (C)2006 edel records (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ハイドンのヴァイオリン協奏曲があまりに良かったので,モーツァルトもきっと良いはずだ!と思って聴いてみました。結果,大当たりでした! ハイドンと録音時期は異なりますが,受ける印象はほぼ同じです。ショルツ氏の音色は輝いていて本当に美しいです。

演奏も素晴らしいのですが,録音も負けず劣らず素晴らしいです。残響を伴っていて若干音色に影響を及ぼしているので完璧に満足しているわけではないのですが,好録音度としてはあえて五つ星としました。ソロの音色の透明感,輝きがほとんど損なわれず極めて美しく聴こえてくること,そして,小編成オーケストラの内声の動きまで明瞭に聴こえてくる見通しの良さ,この二点に尽きます。オーディオクオリティもそこそこ高く,残響の質も悪くはないので,「優秀録音」としても通用するかもしれません。

めでたく愛聴盤の一枚に追加されました。

なおカデンツァは,第一番~第三番がショルツ氏自身,第四番・第五番がヨアヒムとのことです。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(カート・ラダーマー)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲
カート・ラダーマー(Kurt Rodarmer)(Guitar)
Recording: 1994.6-1996.1, Highland Studios, Los Gatos, California
Sony Classical SRCR-2230 (C)(P)1996 Pangaea Production (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

この曲の演奏のために特注された2本のギター(リチャード・シュナイダー氏製作)を使い,多重録音(最大4重?)で実現された録音。ラダーマー氏は,この編曲のために10年の歳月を費やしたとのことです。

同曲のギターによる演奏は,1本で演奏されたものがいくつかありますが,編曲の点でも演奏の点でもかなり無理があると言わざるをえません(もちろんその挑戦意欲は認めます)。ラダーマー氏はこの問題を解決するために2本の特注ギターと多重録音という,クラシック音楽の録音では邪道とも思える手段を選択されました。しかし,その代わりに編曲と演奏には一切の妥協がありません。私が聴いた限りでは「ここは妥協したな」と思えるところはただの一カ所もありませんでした。ギターでは難しかろうというところでも果敢に鮮やかに弾ききっていますし,多重録音で余力が出来たところを音楽表現に振り向けられていますので,単にギターで弾いたということにとどまらない聴き応えのある音楽になっています。

この難曲をここまで立派な音楽に仕上げられた執念とその成果を素直に讃えたいと思います。

さて本題の録音についてですが,全く残響のない環境で直接音だけ捉えています。多重録音で音質を落とさないための措置ではないかと思いますが,それが功を奏し,極めてクリアで明瞭度・解像度の高い録音になっています。クラシック音楽の録音としては恐らく異端児であり,拒絶反応を示される方もきっとおられると思いますが,私にとっては非常に好録音度の高い素晴らしい録音です。

また,「優秀録音」と言えるかどうかはわかりませんが,オーディオ的なクオリティも十分に満足できるレベルです。

ということで,発売以来の愛聴盤になっています。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(諏訪内晶子)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
二つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
諏訪内晶子(Akiko Suwanai)(Violin and Conductor)
ヨーロッパ室内管弦楽団(Chamber Orchestra of Europe)
Henry Wood Hall, London, 8-10 August 2005
Philips 475 693-4 (P)(C)2006 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: オフィシャルWebサイトHMV Onlineicon

モダン楽器によるスタンダードな演奏で,個性を強く主張するような表現こそないものの,節度があり,また清々しく心地よい好演奏であると思います。二つのヴァイオリンのための協奏曲の第三楽章で突如として長いカデンツァが入るのに驚かされますが,これもなかなか面白い趣向です(カデンツァはJoseph Hellmesberger作)。

録音ですが,中低域の厚みのあるややこってりした音の捉え方をした録音で,若干響きが多めに取り入れられていることもあって,少し高域のヌケの悪さがあるように思います。それでもソロの明瞭感はある程度確保されているので印象は悪くありません。「優秀録音」なのかもしれませんが,私としてはちょっと濃厚で圧迫感を感じるので,もう少し全体にすっきりと見通しよくして欲しかったかなと思っています。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(ヒラリー・ハーン)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
二つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
ヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)(Violin)
ジェフリー・カヘイン(Jeffrey Kahane)(Conductor)
ロサンゼルス室内管弦楽団(Los Angeles Chamber Orchestra)
ロサンゼルス,2002年10月(BWV1042,BWV1043), 2003年1月(BWV1041,BWV1060)
UCCG-1161 (P)2003 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: オフィシャルWebサイトHMV Onlineicon

バッハのヴァイオリン協奏曲でここまで技巧を誇示する攻撃的 (^^; な演奏をするとは! 彼女のキャラクターがストレートに出ていると思います(特に両端楽章)。評価する人と評価しない人とが真っ二つに分かれるのではないでしょうか。私も最初はどうかなと思いましたが,病みつきになる魅力があるように思います。美しく歌い上げる緩徐楽章は文句なしです。

さて,肝心の録音ですが,残響感がほとんどなくソロもバックも明瞭で,高域の伸び感も十分あります。「好録音」の観点から言うとかなり良いと思います。全体のバランスとしては中高域寄りで低域の量感はあまりありません。強いて言うと,ポピュラー音楽的な音作りというか,明瞭なのに実在感が薄い感じがするところが惜しいところで,こういう録音もそう簡単なことではないということを改めて感じてしまいます。

好録音度

本ブログでは「好録音度」を★で示しています。だいたいの目安は下記の通りです。

  ★★★★★ 素晴らしい!大好きな録音
  ★★★★  なかなか良い
  ★★★   良くもないが悪くもない
  ★★    あまり良くない,好みではない
  ★     全く良くない,全く好みではない

例示していませんが,☆は★の半分を示すと思ってください。なお,あくまでも私の主観であり,その時点の印象で付けています。評価は次第に変わっていく可能性もあり,都度付け直しますのでその点ご了承下さい。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(ユリア・フィッシャー)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
二つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
ユリア・フィッシャー(Julia Fischer)(Violin)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Academy of St Martin in the Fields)
St Paul's Deptford, London, 2-4 June 2008
DECCA 478 0650 (P)(C)2009 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

この類のCD,何かすごく爽やかな演奏が聴けるような気がしてついついふらふらっと手を出してしまいます(^^;; その意味でこのCDは期待通りでした。表現に特徴があるとか個性的であるとか,そういったところはなく,なぜ今バッハなのかな?と思うところはありますが,そういったことを抜きにして,音楽として純粋に素直に素晴らしいと思える内容です。

録音は,少し残響を伴っているものの,楽器音がそれなりにきちんと捉えられているので,明瞭さや音色にそれほど不満はなく,全体的な印象も悪くありません。バランス的にはもう少しソロにフォーカスして明瞭さを確保し,バックに対してもう少しくっきりと浮かび上がるようになっていればなお良かったと思います。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ショルツ/ベルリン室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4, イ長調 Hob VIIa:3
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Jesus-Chistus-Kirche, Berlin-Dahlem, 30.06./01.07.2003
BERLIN Classics 0017652BC (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ヴァイオリンの音色がものすごく魅力的! 惚れ込んでしまいました。清らかでふくよかで甘美だけど品を失わない...モダン楽器の魅力がいかんなく発揮されています。バックのオーケストラも引き締まっていてアンサンブルも良いと思います。

録音がこれまた良くて,多少の響きを伴っていますが,ほとんど楽器音を濁していません。美しいヴァイオリンの音が全く自然に伝わってきます。響きを取り入れるならこういう風にやって欲しいと思います(個人的にはもう少し響きを抑えて欲しかったとは思っています)。オーケストラもすっきりとしており,ソロとのバランスもよく,この点も協奏曲の録音として好ましく思います。

演奏の美しさ,録音の良さから,ハイドンのヴァイオリン協奏曲集の中で最も気に入った一枚になりました。

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(アバド/モーツァルト管弦楽団)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
モーツァルト管弦楽団(Orchestra Mozart)
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)(音楽監督・指揮)
ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン),ミカラ・ペトリ(リコーダー),マリオ・ブルネロ(チェロ),アイロス・ボッシュ(コントラバス),ラインホルト・フリードリヒ(トランペット),オッターヴィオ・ダントーネ(チェンバロ),他
2007年4月21日 イタリア,レッジョ・エミリア,ヴァーリ市立劇場
Euroarts 2056738 (輸入盤) (DVD)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Online
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ミカラ・ペトリが演奏しているところを見たくて手に入れたDVD。私は特にアバドのファンというわけではありませんし,モーツァルト管弦楽団もどんな団体か全然知りませんでしたので,正直言って演奏自体は全然期待していませんでした。でもこれは本当に素晴らしかった! 演奏もいいし録音もいい! 大きな大きなうれしい誤算でした。

この演奏,いわゆる「ピリオドアプローチ」ということです(その言葉の意味するところを正しく理解しないまま使っています...)。ピッチは440Hz付近でしょうか。楽器はモダンとピリオドが入り交じっているように見えて何となく統一感がありません。しかし,この演奏の面白さはそんな楽器や奏法云々を越えたところにあるように思います。それぞれの奏者の芸人魂を感じます。とにかく理屈抜きに楽しいんです。音楽が生き生きと躍動しています。

録音がこれまた最高です! ホールでのライヴ録音ですが,奏者の前にマイクが立てられていて楽器の音が明瞭かつ自然な音で捉えられています。響きは多少あるものの,音楽を全く邪魔していません。(普通に録音すればこんな風に録音できると思うのですが,なんでみんなこんな風に普通に録音してくれないのかなぁ...と愚痴を言いたくなる今日この頃...)

演奏はもちろんのこと,録音も含め,何枚か持っている同曲の演奏の中で最も気に入った一枚になりました。あまりに気に入ったので,音声トラックをCD化して日常的に聴いています(実は映像の方はほとんど見ていないんです。CDでもぜひ発売して欲しい。絶対に買います!)。アンコール(第二番第一楽章)ではミカラ・ペトリがリコーダーをソプラニーノ・リコーダーに持ち替えて演奏しています。ペトリのソプラニーノ・リコーダーが好きな私にとってこれもちょっとしたプレゼントでした。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(イルマ・イサカーゼ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
イルマ・イサカーゼ(Irma Issakadze)(Piano)
2004年8月19-21日,トーランス,メディアハイペリウム・スタジオ
OEHMS Classics BVCO 38057-58
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

私の中では,不本意ながら(^^; グールド新盤に並ぶ愛聴盤になりつつあります。ピアノの音と録音に惚れ込んでしまった,というのが最大の理由です。小気味よいハキハキした演奏でとても楽しい,というのがその次の中くらいの理由で,(おそらく)全てのリピートを律儀に行っている,というのがその次の小さな理由です。「不本意」と書いたのは,胸が苦しくなるようなリズムの崩しがいくつかの変奏でみられたり,装飾音符でリズムが崩れたりするのがあまり好きではないからです。

どのような環境で録音されたのかはよくわかりませんが,鬱陶しい残響は全くなく,適切な距離感で非常にクリアにピアノの音を捉えています。そしてこのピアノの音! 豊潤さはありませんが,音の芯がはっきりとしていて付帯的な響きによる雑味がほとんどなく非常にすっきりしています。粒立ちもとても綺麗です(解説書によると楽器はカワイ製ということです)。このあたりはグールド新盤を彷彿とさせます。オーディオ的なクオリティが優れている分,こちらの方が良いかもしれません。

このような優れた演奏が,ほぼ理想的な録音で現れたことをとてもうれしく思います。このディスクをきっかけに,このような良い音の録音がもっと増えてくること願っています。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(グレン・グールド新盤)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
グレン・グールド(Glenn Gould)(Piano)
1981年録音
Sony Classical SRCR 9239 (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

グールドのゴルトベルク変奏曲新盤(1981年録音)です。ご多分に漏れず私もこれが最も好きな演奏です。演奏については今更何も言うことはありませんが,強いて不満を挙げるなら,リピートの省略が多いことくらいでしょうか。テンポは意外なほどに整然としていて不自然に感じる揺らぎや『ため』はほとんどないことに改めて気がつきました。不自然なテンポの崩しは嫌いなのですが(身体が受け付けない),最初に聴き込んだのがこの演奏だったからかもしれません。

それで肝心の録音なのですが,これがまた素晴らしいのです。スタジオでの録音なので,楽器音を濁す残響はほとんどなく,ドライで粒立ちのはっきりしたピアノの音を適切な距離感でクリアに捉えています。私にとってはほとんど理想的で,私の所有しているピアノのCD(数は少ないですが)の中でも最も好きな録音の一つです(最も好きだといっても過言ではありません)。オーディオ的なクオリティは完全に満足レベルにまではなっていませんが,それでもまずまず良いと言えると思います。

こんなに録音が良いのに,その良さに言及したレビューがほとんどないのは不思議でなりません。それに,こんなに素晴らしい超名盤のお手本があるにもかかわらず,残響にまみれた不鮮明な録音がこれほどまでに横行しているのはなぜなのか,これも不思議でなりません。この演奏が名盤として君臨しているのは,この録音もそれなりに寄与していると思うのですが,そう思うのは私だけでしょうか? 録音という面でも改めて評価し見習って欲しい,そして,このような好録音が主流になって欲しいと切に願っています。といってもこの録音が発表されてからすでに30年弱,なんら状況が変わっていないことを考えると,この望みはかないそうにないですね...

ブログ開設にあたって

日々聴いている音楽のメモを残していこうとブログを開設しました。溜まる一方の未聴CDを一つ一つ聴いていく動機付けという意図もあります。新譜・旧譜・ジャンルにこだわらず取り上げられればと思っています。

本ブログでは特に「録音」に重点を置いて書いていきたいと考えています。私の録音に対する考え方については追って説明したいと思っています。

実は以前より「CD試聴記」というWebサイトで「Side B … 日々の鑑賞メモ 走り書き」という頁をやっていたのですが,これをブログ化し,さらに,もう少し内容を録音中心にしていこうと考えています。当面は前述のサイトの記事の移行から始めます(従って,移行記事は内容が録音中心でない場合もありますがご了承下さい)。

ではよろしくお願い致します。