ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」(アウリン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
アウリン四重奏団(Auryn Quartet)
Kirche Honrath 2009
TACET 182 (P)(C)2009 TACET (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

この四重奏団,本当に上手いですねぇ。最初の数小節聴いただけでその上手さが私でもわかります。技術力,アンサンブル力はもとより,自然な表現の範囲の中で豊かな音楽表現を実現しているところにそのすごさを感じます(でも,時々鼻につく表現はありますが...(^^;)。

録音は,直接音成分がそれなりにあって,高域まで伸びている感じはあるものの,それにも増して残響音が取り込まれているため,そのまとわりつきが鬱陶しく,音色も濁って良くありません。TACETらしいといえばらしいかもしれませんし,残響を許せる方ならあまり問題ないかもしれませんが,私は好きではありません(TACETの録音はどちらかというと私には合わない印象です)。良い演奏だけに残念です。

どうでもいい話ですが,このカバーピクチャー,顔に王冠の赤い色が被っていてなんだか気持ち悪いです...

[ハイドン][室内楽曲][弦楽四重奏]

ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」(東京クヮルテット)

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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
東京クヮルテット(Tokyo String Quartet)
CBS 30th Street Studios, New York City, June 7 & 8, 1978, January 15-19, 1979
SB2K 53 522 (P)1981 (C)1994 Sony Classical GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: amazon.comHMV Onlineicon

バリバリというかギンギンというか...そして四角四面! 最近の四重奏団は多分ハイドンでこんな硬派な演奏はしないと思いますが,そこがかえって新鮮! 思わずニヤニヤと笑みがこぼれてしまいます。良いですよ,これは。

録音も直接音主体で明瞭感が高く,かなり良い感じです。オーディオクオリティの面では少し音が粗いように感じますが,音の捉え方が良いのでほとんど気になりません。

演奏も録音も楽しめる好盤でした。残念ながら現在現役盤はないと思います(半分だけならこれ?→HMV Onlineicon)。もったいないことです。

[ハイドン][室内楽曲][弦楽四重奏]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(バッハ・コレギウム・ジャパン 2008年録音)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
バッハ:管弦楽組曲全曲
鈴木雅明(Masaaki Suzuki)(Conductor)
バッハ・コレギウム・ジャパン(Bach Collegium Japan)
June 2008 at the MUZA Kawasaki Symphony Hall, Japan (Brandenburg Concertos)
October 2003 at Kobe Shoin Women's University, Japan (Orchestral Suites)
BIS-SACD-1721/22 (P)2005,2009 (C)2009 BIS Records AB (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

バッハ・コレギウム・ジャパンの2008年の新録音です。バロックピッチだとは思いますが,聴く限り旧録音のA=392Hzよりは高いピッチで演奏されています。この新録音では,ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラが,第二番,第三番,第四番,第六番で使用されています。寺神戸さんのほか,楽器の製作者のドミトリ・バディアロフ氏,ヴァイオリニストのフランソワ・フェルナンデス氏も弾いておられます(第三番は三人で)。といって,特に違和感はありませんでした。

第二番のトランペットは旧録音と同じ演奏者ですが,写真を見る限り小さなホルン形状ではない,トランペットの形をしており,演奏自体も旧録音と比べものにならないくらい安定していて,全く不安なく聴くことが出来ました。

一流の演奏者ばかりでレベルは相当高いのですが,日本人の奥ゆかしさか(^^; 自己主張が控えめで室内楽的な印象がより強くなっています。旧録音同様,ピリオドを強調することもなく,ごくごく自然で大変聴きやすい演奏です。ピリオド楽器によるブランデンブルク協奏曲のスタンダードと言っても良いのではないでしょうか。

そして特筆すべきはその録音の良さです。楽器音を邪魔する響きはほとんどなく,明瞭度・透明度高くすっきりとしています。欲を言えば,もう少し距離感が近ければ良かったのですが,まあそうでなくても十分に満足のいく出来です。

私はBISの録音は昔からあまり好きではなかったのですが,認識を改めなければならないかもしれません。

最後に...日本人主体のアンサンブルにも関わらず,なんで日本語の解説が付いていないの? と文句を言わせていただきます。厚さ4mmはあろうかという分厚い解説書で三カ国語(英独仏)が付いているにも関わらず... 海外レーベルとはいえ,日本人主体のアンサンブルなのですから,日本のファンに対してそれくらいの配慮はして欲しいものです。ぜひご検討を!

なお,管弦楽組曲についてはまた別の機会に。

[バッハ][管弦楽曲][協奏曲]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(バッハ・コレギウム・ジャパン 2000年録音)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
鈴木雅明(Masaaki Suzuki)(Conductor)
バッハ・コレギウム・ジャパン(Bach Collegium Japan)
May 28-June 2, 2000 at the Kobe Shoin Women's University Chapel, Japan
KKCC 2316/7(BIS CD-1151/52) King International Inc. (国内盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

ピリオド楽器での演奏で,A=392Hzというかなり低いピッチが使われています。1パート1人という室内楽的な編成。第二番のトランペットは,小型のホルンのような渦巻き型のものを使用し,演奏は唇の調整のみ,自然倍音以外は唇のベンディングで演奏。2008年の新録音が出たので,こちらは旧録音の位置づけになりました。

ピリオド楽器での演奏としては,ことさらそれを強調することも鮮烈さを前面に出すこともなく,ごくスタンダードで耳に馴染みやすい演奏かなと思います。名手揃いなのでさすがに上手いです。ただ,第二番のトランペットはその努力は認めますが,ちょっと無理があるように感じました。やっぱり高らかに鳴る胸のすくトランペットを聴きたい!と思ってしまいます。

録音は,少し残響が多めで楽器音にも被っているので,明瞭感が損なわれ,音色も冴えません。このくらいなら許容範囲かなとも思いますが,少なくとも好録音ではありません。

[バッハ][協奏曲]

ブラームス:交響曲全集(ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
(a) 交響曲第一番,悲劇的序曲 (CD 93.134)
(b) 交響曲第二番,ハイドンの主題による変奏曲 (CD 93.135)
(c) 交響曲第三番,交響曲第四番 (CD 93.136)
ミヒャエル・ギーレン(Michael Gielen)(Conductor)
南西ドイツ放送交響楽団(SWR Sinfonieorcheser Baden-Baden und Freiburg)
1995.05.17(第一番), 2005.05.25-31(第二番), 1993.05.03-04(第三番), 1989.04.28-05.03(第四番), 1995.12.14(悲劇的序曲), 1996.01.16(ハイドン変奏曲), Hans Rosbaud-Studio Baden-Baden, Konzerthaus Freiburg(第二番のみ)
(P)2005,2006 hänssler CLASSIC/SWR Media GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★(第二番)~★★★☆(それ以外)
参考url: HMV Online (a)icon (b)icon (c)icon

最初の第四番(1989年録音)から最後の第二番(2005年録音)まで15年以上経っていますが,録音時期の差はほとんど感じません。全体に速めで,私にとって非常にしっくりくるテンポで音楽が流れていきます。心の中で描く通りに曲が進む快感があります。良いですねぇ...気に入りました。ただ,第二番の第一楽章の提示部のリピートが省略されているのは本当に残念です(第一番と第三番はリピートあり)。

録音もほぼまずまずのレベルで揃っていますが,2005年録音の第二番が頭一つ出ているかなと思います。第二番は音色が自然で色づけも少なく,艶やかな弦楽器の音色をすっきりと捉えていて好印象です。それ以外の曲はやや音色がくすんですっきりないところが残ります。音像がやや遠目なのも残念な点です。2005年にまとめて録音し直してくれていればまだ良かったのになぁ...

[ブラームス][交響曲]

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(アンドレ・ナヴァラ)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
アンドレ・ナヴァラ(André Navarra)(Cello)
Enregistre en 1977 par Georges Kisselhoff
CAL 3641.2 (P)1987 Arpege (C)1987 Calliope (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,音の捉え方は文句なしなのに,高域の伸びがないためにちょっとくすんでしまっています。演奏が素晴らしいだけに,本当に惜しいと思います。

[バッハ][器楽曲][チェロ]

チャイコフスキー:交響曲第五番(クルツ/ドレスデン・シュターツカペレ)

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チャイコフスキー:交響曲第五番 ホ短調 作品64
ジークフリート・クルツ(Siegfried Kurz)(Conductor)
シュターツカペレ・ドレスデン(Staatskapelle Dresden)
Dresden, Lukaskirche, 1/1978
0014072BC (P)1980 VEB Deutsche Schallplatten Berlin (C)2008 edel CLASSICS GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

あまり粘らない颯爽とした格好いいチャイコフスキーです。ロシア的ではありませんが,推進力のあるなかなか良い演奏だと思います。

録音は,残響音がそれなりにありますが,直接音比率が比較的高めなので,明瞭で見通しの良さがあり,リズムがよりタイトに感じられ,この演奏の特徴を際立たせるのに一役買っています。音域バランスは低域が弱めで中高域よりです。残念なのは音色に中域の癖のある響きが乗っていることで,音の捉え方は良いにも関わらず何かすっきりしません。惜しい録音です。

[チャイコフスキー][交響曲]

掲載ディスク一覧を作成しました

過去の記事が俯瞰しにくかったので,ちょっと面倒だったのですが,CD試聴記のサイト上にブログの掲載ディスク一覧を作成してみました。よろしければ過去記事のご参照に使ってください。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(ヘッツェル/ドイチュ)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
ゲルハルト・ヘッツェル(Gerhart Hetzel)(Violin)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)(Piano)
Recording Date: 23-28 Jan. 1992,ウィーン,カジノ・ツェーゲルニッツ
PCCL-00272 (P)(C)1995 Pony Canyon Inc. (国内盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

ウィーン・フィルのコンサートマスターであったヘッツェル氏が登山中の事故で亡くなられる約半年前に録音されたもので,唯一のソロの録音とのこと。

先入観からかもしれませんが,生粋のソリストからは聴くことのできない種類の音色,味があるような気がします(音色は久保田巧さんのそれの印象に近い? 音程の微妙な取り方も含めて...)。そのひたむきさが心に響きます。

録音は残響が多めで楽器音に被り気味,明瞭感が損なわれているほか,音色にも変な癖がついています。何となくやかましいすっきりしない録音です。あまり良い印象ではありません。

私が持っているのはポニーキャニオンのものですが,EXTONからSACDで再発売iconされています。リマスタリングされているのか,改善されているのかはわかりません。

[ブラームス][室内楽曲][ヴァイオリン]

ブラームス:交響曲全集(シュタイン/バンベルク交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
(a) 第一番,第二番 (AVCL-25480-1)
(b) 第三番,第四番 (AVCL-25482-3)
ホルスト・シュタイン(Horst Stein)(Conductor)
バンベルク交響楽団(Bambergber Symphoniker)
1997年7月(第二番,第三番),9月(第一番,第四番)
バンベルク,ヨーゼフ・カイルベルト・ザールでのライヴ収録
(P)1998 (C)2009 AVEX ENTERTAINMENT INC. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Online(No.1, No.2icon, No.3, No.4icon)

ゆっくりしたテンポの丁寧な演奏で(第一楽章の提示部の繰り返しが全て省略されているにも関わらず,CDが4枚組になってしまう!),推進力も控えめで地味な印象を受けるのですが,何度も聴いているとだんだんその良さがわかってくるスケールの大きさ,味わい深さを持っています。こういう演奏は私の好みではないのですが,不思議と退屈しません。

録音ですが,やや低域に偏ったバランスで,さらに中域がかなり抑えられているため,残響が多いにも関わらず響きの被りによるいやな癖のある音色の変化はほとんど感じられず,この点では印象は悪くありません。ただし,中域が不自然に抑えられすぎているような,潤いのない乾いたカサカサした質感になってしまっています。音源からの距離感,響きの量,そこから想定される音色と実際の音色が食い違ってしまっているような感じです。かえって楽器の質感が感じられそうで感じられないもどかしさがあります。音作りの難しさを痛感させられる録音でした。

[ブラームス][交響曲]

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ファウスト/ポッペン/ミュンヘン室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3, ト長調 Hob VIIa:4
イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)(Violin)
クリストフ・ポッペン(Christoph Poppen)(Conductor)
ミュンヘン室内管弦楽団(Münchener Kammerorchester)
Recorded at Schloss Elmau - Grosser Saal 4/97
pan classics 510 102 (P)(C)1998 Sound Arts AG, Switzerland (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

さすがに上手い。でもちょっと硬く力が入りすぎていませんか。ハイドンなんだからもっと気楽に楽しくやってくれればいいんですが。

録音もそんなに悪くはないのですが,比較的初期の反射音のレベルが高めでダブって聴こえるというか,音が濁ってしまって透明感がないのが残念なところです。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(ローザンド/サング)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
アーロン・ローザンド(Aaron Rosand)(Violin)
ヒュー・サング(Hugh Sung)(Piano)
Recorded at the Curtis Institute of Music, Philadelphia, in January 1992
VOX 7435 (P)(C)1996 THE VOX MUSIC GROUP (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

HMVレビューを見ると,「日本では知名度が低い」とあります。私の勝手な偏見ですが,二流っぽいイメージがつきまとっているのではないでしょうか。一方「ロマンティック・ヴィルトゥオーゾの大きな伝統を継承している最後の演奏家」とも書かれています。このブラームス,ポルタメントが多用されており,その使い方が上手く伊達にそう呼ばれているわけではないなと思いますが,聴く人によっては下品とも取られかねず,そういうところが日本の評論家に受けないのかなという気がします。私は彼のヴァイオリン,とても好きです。キレがあるけど上手すぎず(^^;,ちょっと武骨だけどサービス精神旺盛で親近感の感じられる音楽がとってもいいですね。

録音ですが,残響はほとんどなし,適度な距離感で極めて明瞭に,自然な音色で捉えています。質感,肌触りが良く伝わってきますし,弓を弦に置く瞬間からすっと離す微妙なところまで見えてくるような気がします。ピアノは少し控えめな捉え方ですが,私にとっては問題ありません。ごく普通の録音で,これがいいの?と言われそうですが...これがいいんです! 普通に録音すればこうなると思うのですが,なんでみんな普通に録音してくれないのですかね...

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(ボベスコ/ジャンティ)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
ローラ・ボベスコ(Lola Bobesco)(Violin)
ジャック・ジャンティ(Jacques Genty)(Piano)
Classic Talent DOM 2910 02 (P)(C)1981/1996 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

薫り高い演奏というのはこういうのを言うんだろうな,と思います。近年のヴァイオリニストのスマートで端正な演奏からは聴くことの出来ない味わいがあります。

そして,その味を存分に楽しませてくれるこの良好な録音! オンマイク気味でヴァイオリンの魅力ある音を明瞭に捉えています。ごくわずかに響きが被っているかなと思うものの,ほとんど気にならないレベルです。少し誇張気味で若干自然さを犠牲にした音作りに思いますが,音楽を楽しむという点では,これくらいの方がかえって好ましいと思っています。

[ブラームス][室内楽曲][ヴァイオリン]

ブラームス:交響曲全集(ダヴァロス/フィルハーモニア管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
(a) 交響曲第一番,悲劇的序曲 (ASV CD DCA 729)
(b) 交響曲第二番,ハイドンの主題による変奏曲,大学祝典序曲 (ASV CD DCA 744)
(c) 交響曲第三番,セレナーデ第一番 (ASV CD DCA 745)
(d) 交響曲第四番,セレナーデ第二番,ハンガリー舞曲集より3曲 (ASV CD DCA 746)
フランシスコ・ダヴァロス(Francesco d'Avalos)(Conductor)
フィルハーモニア管弦楽団(The Philharmonia)
Recorded in St. Barnabas Church, Mitcham, July 1990
(P)(C)1990 Academy Sound and Vision Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考url: amazon.co.uk(No.1, No.2, No.3, No.4)

これはまた威勢のよい演奏ですねぇ...せっかちに感じてしまうところもあります(第四番の第一楽章)。渋いとか味わい深いとかとは無縁,私がブラームスの交響曲に望んでいるところともちょっと違うように思いますが,個性的なブラームスとして楽しめる演奏ではあります。

録音ですが,かなり残響が多く,明瞭感はかなり悪いですし,音色もだいぶ影響を受けています。細かい動きや細部はほとんど聴こえず,強奏部になると混沌としてリズム構造などもわからないですし,アンサンブルが出来ているのやらいないのやら,なんだか訳がわからなくなります。これはいくら何でも取り入れすぎだと思います。こういう体育会系(?)の演奏なのですから,それにふさわしい引き締まった録音にして欲しいものです。

国内で流通しているのかよくわかりませんが,私はamazon.co.ukより入手しました。

[ブラームス][交響曲]

ドビュッシー,ラヴェル:弦楽四重奏曲(オルランド四重奏団)

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ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
オルランド四重奏団(Orlando Quartet)
Philips 32CD-25(411 050-2) (P)1983 Phonogram International B.V. (国内盤)
好録音度:★★★☆

一番最初に買ったのがこの演奏で,長い間聴き続けてきた愛聴盤です。頭の中にこの演奏のテンポ,間合い,呼吸の取り方などが刷り込まれて,すっかりこれが私のリファレンスになってしまっています。技術的に優れているだけでなく,決してそれが前面に出ず,叙情的で懐の深さが感じられるところが気に入っています。

録音ですが,それぞれの楽器音はボディ感あるしっかりした捉え方をしていて基本的には悪くないものの,やや響きの取り込みが多くて暑苦しくすっきりしないところがあります。雰囲気はそれなりに感じられるのですが,私の好みではないです。超低域のノイズがあるようで,低域の出る密閉型ヘッドホンで聴くとやや鬱陶しく感じられますが,通常の聴取環境では問題ありません。

このディスクは今は廃盤になっているのでしょうか。HMV Onlineでは見つかりませんでした(amazon.comには中古が出ています)。優れた演奏だと思いますので,再発売して欲しいものです。

[ドビュッシー][ラヴェル][室内楽曲][弦楽四重奏][愛聴盤]

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(アリーナ・イブラギモヴァ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アリーナ・イブラギモヴァ(Alina Ibragimova)(Violin)
2008年12月22-23日,2009年1月17-18日,2009年2月17-18日,ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン)
CDA 67691/2 (P)(C)2009 Hyperion Records Ltd., London (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,ほんのわずかに残響を伴っていますが,極めて鮮明で明瞭度の高い,好録音度の高い録音です。音の伸び,音色の自然さ,どれをとっても満足のいくレベルです。オーディオクオリティもかなり良いと思います。かなり刺激的できついと思われる方もおられるかもしれませんが,私としてはこれくらいの方が良いです。ほんのわずかな響きが微妙に質感を覆い隠していて,その点だけが完璧に納得できないところではあるのですが,そこまで言うのは贅沢かもしれません。

ここまで演奏と録音が共に高い水準で揃ったCDを久しぶりに聴いた気がします。

ブラームス:交響曲第三番,チャイコフスキー:弦楽セレナーデ(スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団)

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ブラームス:交響曲第三番 ヘ長調 作品90
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanislaw Skrowaczewski)(Conductor)
読売日本交響楽団(Yomiuri Nippon Symphony Orchestra, Tokyo)
2008年9月10日 サントリーホール(Brahms),2009年3月21日 東京芸術劇場(Tchaikovsky)
DENON COGQ-39 (P)2009 Columbia Music Entertainment, Inc.
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

前回のブラームスに続いてチャイコフスキーのコメントです。

大きな編成での弦楽セレナーデで,豊かな響きでありながら大味になることなくきちんとしたアンサンブルを聴かせてくれます。ブラームス同様,中庸の良さを感じさせてくれる佳演ですが,あまりにまとまりすぎていてあまり心躍らないというのが不満といえば不満です。大きな編成ゆえにやや小回りが利かないというか,表現が隅々まで行き届かない面があるのは致し方なしというところでしょうか。

録音会場は異なりますが,録音の傾向はブラームスと同じです。ブラームスで出過ぎていたと感じた低音も同傾向ですが,こちらの方が若干ましかなとは思います。

[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]

ブラームス:交響曲第三番,チャイコフスキー:弦楽セレナーデ(スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団)

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ブラームス:交響曲第三番 ヘ長調 作品90
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanislaw Skrowaczewski)(Conductor)
読売日本交響楽団(Yomiuri Nippon Symphony Orchestra, Tokyo)
2008年9月10日 サントリーホール(Brahms),2009年3月21日 東京芸術劇場(Tchaikovsky)
DENON COGQ-39 (P)2009 Columbia Music Entertainment, Inc.
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

まずブラームスのみのコメントです。

わたしは実はスクロヴァチェフスキという指揮者の演奏は聴いたことがなかったのですが,なぜか爆演系の指揮者という先入観を持っていました(風貌と名前から何となく...かな?)。この演奏は全くもって落ち着いており至って常識的でした。わたしの勝手な先入観は脆くも打ち砕かれてしまいました(^^;。

録音はライヴで演奏後の拍手も収録されています。弦楽器の音を質感良く,また自然な音色で捉えていて,また,フォルテのところでも弦楽器が埋もれてしまうことがないので,まずまず良好と言えます。

しかし,この低音の量はあまりにも多すぎます。いったいベースが何人いるんだ?!と言いたくなるくらい入っています。幸い,この量感が中域にまで及んでおらず,中高域がこの低音にマスクされずに済んでいること,ブーミーにならずにそこそこ締まっていることから,それほど悪い印象にはつながっていません。でもやっぱりバランスが悪いと思います。低域の出ない再生装置の方がバランス良く聴こえます。

[ブラームス][交響曲]

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(ニコラ/ボナッタ)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
マリー・アニク・ニコラ(Marie-Annick Nicolas)(Violin)
アンドレア・ボナッタ(Andrea Bonatta)(Piano)
Enregistrement réalisé en octobre 1993 au Théâtre de Poissy.
VALOIS V 4709 (P)(C)1994 AUVIDIS FRANCE (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

バッハの無伴奏ヴァイオリンが素晴らしかったニコラ氏のブラームスです。友人のK.N.さんから欧州土産としていただきました(有り難うございます)。日本でも入手不可能ではありませんが,あまり見かけないCDで,あることすら知りませんでした。

それにしてもこのブラームスは本当に魅力的だなぁ... 気持ちの込め方がすごく上品で,繊細にコントロールされた音色が美しく瑞々しいです。演奏上どうしても入ってしまうポルタメントでさえ気品があって音楽的なんです。ずっとこの音に浸っていたいと思ってしまいます。

録音も良くて,響きを抑え気味にしてすっきりと,そしてこの魅力的なヴァイオリンの質感をしっかりと捉えています。

数多あるブラームスのソナタの演奏の中で,この演奏を特に取り立てて優れていると言うつもりはありませんが,モダン楽器の魅力が存分に発揮され,それが良い録音で収められているということで,すっかり愛聴盤となっています。

[ブラームス][室内楽曲][ヴァイオリン][愛聴盤]

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(久保田巧/グルダ)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
久保田 巧(Takumi Kubota)(Violin)
パウル・グルダ(Paul Gulda) (Piano)
2008年2月20-23日 神奈川・相模湖交流センター
EXTON OVCL-00343 (P)(C)2008 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

久保田さんの演奏は,決して自分から強くアピールしてきません。ひたすら優しく語りかけてくるようです。久保田さん自身はおそらく懸命に弾いておられるのでしょうけど,そういうところでさえ尖ってくることはありません。これが彼女の個性であり長所なのだと思います。これを物足りなく感じるか,静かに感動に浸るかは聴き手次第でしょう。

録音ですが,残響時間は長くないものの,少し多めに響きを取り入れているために,明瞭感が落ち,せっかくのヴァイオリンの質感がかなり失われてしまっています。悪い録音ではありませんが,私にとってはやや不満が残ります。久保田さんのヴァイオリンはこの質感が命だと思っています。それが堪能出来ないのは本当に残念です。

[ブラームス][室内楽曲][ヴァイオリン]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(コッホ/ベルリン室内管弦楽団)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
ヘルムート・コッホ(Helmut Koch)(Conductor)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
1970年,1972年 ベルリン放送局SRKホール
Deutsche Schallplatten KICC 9453/4 (P)1997 King Records Co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

モダン楽器による演奏で,第二番と第四番はリコーダーが使われています。生真面目できっちりしていますが,どこかおっとりしたところのある,旧世代に属する演奏かなと思います。テンポはゆっくりで,かつ,今日の颯爽とした演奏のような推進感,流動感はなく,言い方が適切ではないかもしれませんがいわゆるノリの良い演奏ではありません。一つ一つの音を等価に扱い,裏拍までもきっちりと弾こうとしているからなのでしょうか。古き良き時代の演奏という趣で味わいがあり,何か温かくホッとする雰囲気があります。

録音はそれぞれの楽器の音が分離良く明瞭に聴こえてきます。音像の自然さはあまりないかもしれませんが,個々の楽器の音が大切にされていて全く問題なく音楽を楽しむことが出来ます。オーディオクオリティは1970年頃の録音にしては少しきめの細かさ,透明さが足りない気がしますが,まあこれも十分許容範囲です。

[バッハ][協奏曲]

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(オイストラフ/ロジェストヴェンスキー/モスクワ放送交響楽団)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
シベリウス:ユーモレスク 作品87b
ダヴィド・オイストラフ(David Oistrakh)(Violin)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(Gennady Rozhdestvensky)(Conductor)
モスクワ放送交響楽団(Moscow Radio Symphony Orchestra)
1965年7月12日 モスクワ音楽院大ホール
VICC-2021 (P)(C)1990 ビクター音楽産業株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★ (ちょっとおまけ...)

先日取り上げた同じ組み合わせの演奏は1968年の録音でしたが,これはその3年前の1965年の録音です。演奏自体はほぼ同じ印象で,協奏曲の醍醐味を堪能させてくれる充実した素晴らしいものです。

録音はこちらの方がわずかながら良好かなと思います。響きを伴っていて若干音色に癖が付いていますが,まあ許容範囲です。オーケストラに対してソロを少し大きめのバランスで取り込んでいて明瞭性がきちんと確保されているので,協奏曲の録音として印象は良いです。オーディオクオリティは特に良いとは言えませんが,1965年の録音ということを考えるとこんなもんかなと思います。

LP時代に当時の名盤として有名だったので買った覚えがあります。CD化されるのを待っていたのですが,いつの間にか発売されていて気がついたときには廃盤? 中古を探し回って手に入れました。現在現役盤があるのかどうかわかりませんでしたが(もしかしてこれicon?),これほどの演奏を埋もれさせておくのはもったいないです。復刻して欲しいものです。

[シベリウス][協奏曲][ヴァイオリン]

シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲(オイストラフ/ロジェストヴェンスキー/モスクワ放送交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(Gennadi Rozhdestvensky)(Conductor)
ダヴィド・オイストラフ(David Oistrakh)(Violin)
モスクワ放送交響楽団(The USSR TV and Radio Large Symphony Orchestra)
1974年(第一番),1969年(第二番),1973年(第三番),1971年(第四番),1973年(第五番),1973年(第六番),1974年(第六番),1968年(ヴァイオリン協奏曲)
CDVE44237 (P)(C)2005 Venezia (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

昨日の続きで今日は交響曲全集へのコメントです。

HMV Onlineの解説によると「マニアの間で復活が待ち望まれていた伝説的な快演」「演奏はとにかくパワフルで強烈。…中略… 通常のシベリウス演奏の枠を大幅に上回る力感の誇示には驚かされます。」とあります。ユーザーレビューを見ても,賛否両論です。フェドセーエフのチャイコフスキーと同じ(ですよね?)モスクワ放送交響楽団ながら,同じオーケストラとは思えない力強さ! その鳴り感のすごさに驚きました。

確かに前述の解説やユーザーレビューにあるように凄まじさがあるのは確かですし,ベルグルンドに慣れた耳には相当刺激的で面食らったのは事実ですし,決して上品とは言えないのですが,あくまで統制された中で最大限に鳴らしている,その鳴りっぷりの良さがこの演奏の最大の特長かなと思います。さすがロシアのオーケストラと思いますし,シベリウスも自分たちの領域に引き込んで演奏してしまうところもロシア的と言えないでしょうか。

それで録音なのですが,昨日書いたヴァイオリン協奏曲と基本的には同じ傾向で,音の捉え方はまずまず良いのですが,音色に癖があり高域のヌケに難があるのとマスターテープの問題か強奏部で飽和気味になるのがマイナスポイントです。しかし,意外に楽器音が明瞭で質感・艶も感じられるので,実はそんなに悪くないかもしれんと思って聴いています。

この全集も友人のK.N.さんのご厚意で聴かせていただきました。有り難うございました。

[シベリウス][交響曲]

シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲(オイストラフ/ロジェストヴェンスキー/モスクワ放送交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(Gennadi Rozhdestvensky)(Conductor)
ダヴィド・オイストラフ(David Oistrakh)(Violin)
モスクワ放送交響楽団(The USSR TV and Radio Large Symphony Orchestra)
1974年(第一番),1969年(第二番),1973年(第三番),1971年(第四番),1973年(第五番),1973年(第六番),1974年(第六番),1968年(ヴァイオリン協奏曲)
MOCKBA 2005 (P)(C)Venezia (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

今日はオイストラフとのヴァイオリン協奏曲のみコメントします。交響曲は後日ということで。

この演奏,技術力の誇示,楽器の鳴りのすごさ,圧倒的な表現力,さすが巨匠としか言いようがありません。シベリウスらしくない? それがどうした! という感じです。圧巻です。参りました。

録音ですが,多少の残響感があるものの,基本的な音の捉え方はまずまず良く,ソロもはっきりと聴こえるのですが,いかんせん,音色に癖がありすぎるのと,高域のヌケが良くなくすっきりしない点がマイナスです。協奏曲としては十分に楽しむことが出来るものの,やっぱりこの音は残念です。

[シベリウス][協奏曲][ヴァイオリン]

ブラームス:交響曲全集(アブラヴァネル/ユタ交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
モーリス・アブラヴァネル(Maurice Abravanel)(Conductor)
ユタ交響楽団(Utah Symphony Orchestra)
Recorded May 17-24, 1976, Mormon Tabernacle, Salt Lake City, UT
Vanguard Classics ATM-CD-1184 (P)(C)2003 Artemis Classics, LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

残響はあまりなく,楽器音を素直に捉えた好録音です。個々の奏者の生の音が聴こえてきそうで,こういう奏者の顔が見えてきそうな,明瞭で艶のある音を聴かせてくれる録音は私の好みです。ただし,オーディオクオリティが優れているわけではなく,これのどこが好録音なんだ?と思われるかもしれませんが,私の好録音の観点ではオーディオクオリティは大きなウェイトを占めていないので,その点ご了承いただきたいと思います。

それにしてもこの録音はこの楽団には少々きついかもしれません。音楽がストレートに伝わってくるのと同時に,アンサンブルの精度の悪さ,音程の乱れなどもストレートに伝わってきてしまうからです。上手いオーケストラでこの録音なら文句なしなのですが...でもこれも音楽の一部と思って楽しむことにします。好録音だからこそこんなことも楽しむことが出来るのです。(でもやっぱりお薦めはしません...)

オーディオクオリティに加えて,編集ミスではないかと思うようなところもあります。例えば第三番の終楽章の冒頭がちょん切れていたりします。このあたりはもっとちゃんと作って欲しいものです。

[ブラームス][交響曲]

チャイコフスキー:交響曲全集(フェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲全集
ウラディーミル・フェドセーエフ(Vladimir Fedoseev)(Conductor)
モスクワ放送交響楽団(Moscow Radio Symphony Orchestra)
1981年(第五番,第六番),1984年(第一番,第三番,第四番),1986年(第二番)
VICC-40024-28 ビクター音楽産業株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★☆

ロシアのオーケストラというと,パワフルで荒々しいという先入観を持ってしまっていたのですが,この演奏はそのイメージとは全く異なっていました。パワフルではあるのですが,意外なほどに抑制されていて紳士的なんです。決して安っぽい表現はしないぞ,という強い意志が働いているかのようです。私がチャイコフスキーの音楽に求めるところとは少し違っているかもしれませんが,自分たちの国の音楽に対する誇りと愛情がにじみ出た立派な演奏だと受け止めました。

解説書によると,デジタル録音機材がなかったソビエトにビクターの制作陣・技術陣が機材をモスクワに持ち込んで実現した企画ということです。残響はそれなりに取り込まれているものの,あまり気にならない程度に抑えられてるので,私としてもまずまず良好と思いますが,少し距離感があって鮮明さという点で少し物足りなさも感じます。

この全集は友人のK.N.さんのご厚意で聴かせていただきました。有り難うございました。現在現役盤があるのかよくわかっていません。

[チャイコフスキー][交響曲]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(クレバース/ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ブラームス:悲劇的序曲 作品81
ヘルマン・クレバース(Herman Krebbers)(Violin)
ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink)(Conductor)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(Royal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam)
Concertgebouw, Amsterdam, 9/1973(Op.77), 5/1970(Op.81)
422 972-2 (P)1973,1970 (C)1989 Philips Classics Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: amazon.com

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の第一コンサートマスターであり,オランダのヴァイオリン界の第一人者であったクレバース氏の満50歳,楽壇生活40年にあたり,フィリップスが彼を讃える記念盤として制作したとのことです。

これを聴くとクレバース氏は根っからのソリストではないなという感じがします。丁寧で誠実,清潔感のある演奏なのですが,一流のソリストのように(彼も一流だと思いますが...)格好良く颯爽と弾き去るということをしません。オーケストラとの一体感を重視してのことなのかどうなのかはわかりませんが,これが彼のキャラクターにつながっていると思います。

録音もまずまずで,響きがそれなりに取り込まれているものの,直接音と間接音・響きとの比率がほぼ適切に保たれていますので,音色を大きく損なうことがありません。また,ソロがオーケストラから一歩前に出るように若干ソロを大きめに明瞭に捉えているのも好印象です。万人向けにバランス良く,そつなく録音されていると思います。こういうところはさすがフィリップスというところでしょうか。これなら私もまずまず納得できます。

[ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

ヘンデル:12のソロ・ソナタ集 作品1(アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック)

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ヘンデル:12のソロ・ソナタ集 作品1
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(Academy of Ancient Music)
リチャード・エガー(Richard Egarr) (ハープシコード)
パブロ・ベズノシウク(Pavlo Beznosiuk) (バロックVn)
レイチェル・ブラウン(Rachel Brown) (フルート&リコーダー)
フランク・ドゥ・ブリュイヌ(Frank de Bruine) (オーボエ)
Recorded September 2007 at Potton Hall, Suffolk, England
HMU 907465/66 (P)(C)2009 harmonia mundi usa (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考url: HMV Onlineicon

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。フルートとリコーダーはヴァイオリンよりももっと地味です...

録音ですが,残響というよりホールの癖のある響きをもろに取り込んでいるため,確かに録音している場の雰囲気は出ていますが,その代償として肝心の楽器の音色は著しく損なわれてしまっています。一体何を聴かせたいのだろうかと疑問に思ってしまいます。全く私の好みではありません。残念です。

harmonia mundiの録音はあまり私には向かないのが多いような気がしています。

[ヘンデル][室内楽曲]