バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(シャイー/ゲヴァントハウス管弦楽団)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
リッカルド・シャイー(Riccardo Chailly)(Concductor)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(Gewandhausorchester)
2007年11月22-23日,ライプツィヒ,ゲヴァントハウス
478 2191 (P)(C)2010 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

モダン楽器による演奏。第二番と第四番はリコーダーです。第三番は1パート複数演奏者による演奏です。全体に速めでテンポが良く,洗練された美しさが感じられます。表現はどちらかといえば大人しく尖ったところはありませんが,スタンダード路線の良さを現代的な感覚で追求した好演奏と言えると思います。ピリオド楽器による演奏の占める割合が増えていく中,こういうモダン楽器の優れた演奏は貴重ですね。

録音ですが,やや全体に遠めでこぢんまりとしすぎていて,鮮明さ,各パートの分離感もあまり良くなく,私としてはちょっと残念に思います。また,ソロの捉え方が弱いところもあって,少し欲求不満が残ります。そんなに悪くはないとは思いますが...

[バッハ][協奏曲]

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(マティアス・ミヒャエル・ベックマン)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
マティアス・ミヒャエル・ベックマン(Matthias Michael Beckmann)(Cello)
Summer 2008(I-V), Feb. 2009(VI), Salzburg, Dorothea-Porsche-Saal
MMB 008/10 (P)(C)2010 BeckmannMusik (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: 公式WebサイトBeckmannMusikamazon.de

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,響きが被って音色がかなり影響を受けていますが,直接音主体にしっかりした音の捉え方をしているので明瞭度は思ったより悪くありません。ちょっとばかり濃いめの音です。でもやっぱりもう少しすっきりと録音して欲しいところです。

[バッハ][器楽曲][チェロ]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(ミュラー=ブリュール/ケルン室内管弦楽団)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
ヘルムート・ミュラー=ブリュール(Helmut Müller-Brühl)(Concductor)
ケルン室内管弦楽団(Cologne Chamber Orchestra)
1999年3月&4月 ケルン,ドイツ放送局スタジオ
AVCL-25658,25659 (P)1999 (C)2007 Avex Entertainment Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Online (第一番~第三番icon第四番~第六番icon)

モダン楽器による演奏。第二番と第四番はリコーダーが使われています。スピード感もあるしキレも良い,リズミックで今風の颯爽とした清々しい演奏です。

録音も放送局のスタジオで行われたということで,若干の響きはあるものの明瞭感もヌケもまずまず良く,また各楽器の分離も良いので,かなり好印象です。

avexのベスト・オブ・クラシックスという廉価盤で,通称“500円クラシック”なんていう何とも安っぽい(カバーピクチャーも安っぽい...)名前の付いた盤だったので全然期待していなかったのですが,おぉこれは!思わぬ掘り出し物だ!と思ってしまいました。演奏も録音も万人向けにバランスが取れていると思いますし,何より価格が安いので,ファーストチョイスにもお薦めです。

なお,これはNAXOSから発売されているものと同じ演奏のようです(HNH Internationalからのライセンス盤と書いてありました)。廉価盤,侮れません。

[バッハ][協奏曲]

シベリウス:ヴァイオリン作品集「アイノラの音楽のゆうべ」(クーシスト/カルッカイネン)

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シベリウス:ヴァイオリン作品集「アイノラの音楽のゆうべ」(Musical Soirée at Ainola)
5つの小品 Op.81
4つの小品 Op.78
5つの田園舞曲 Op.106
4つの小品 Op.115
3つの小品 Op.116
ペッカ・クーシスト(Pekka Kuusisto)(Violin)
ヘイニ・カルッカイネン(Heini Kärkkäinen)(Piano)
Recorded at Ainola, Järvenpää 03/2004
ODE1046-2 (P)2004 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

これも拙Webサイトの編集日録 2005年10月11日で取り上げたものです。

このヴァイオリン作品集は「アイノラの音楽のゆうべ(Musical Soiree at Ainola)」と題され,シベリウスがアイノラに移り住んで100年になったことを記念して制作されたものとのことで,シベリウスが住んでいたイェルヴェンパー自宅アイノラで録音され,ピアノもシベリウスが使っていたもので演奏されたということです。

家の一室での録音なので,残響は全くありませんし,部屋自体の響きもほとんど感じられません。コンサートホールや教会の録音とは全く異質の音響です。サロン・コンサート,あるいはホーム・コンサートといった雰囲気です。

このように全く響きのない環境での録音なので,演奏者の発する音の全てがストレートに伝わってきます。音のかすれや弓の震え,ホールや教会の録音ではなかなか聴こえてこないこういった音も,全部大切な音楽,芸術の一部なんだという気がしてきます。親しみ溢れる雰囲気,仲間内で楽しんでいるようなそんな気持ちの良さがあります。室内楽は家族や仲間で気軽に演奏して楽しむための音楽でもあるはずで(もちろんそうでない音楽もあるのですが),改めてそういう音楽の楽しみ方を思い出させてくれる好録音です。

演奏の方ですが,「おぉ,シベリウスでここまでやるんかぁ」と,ポルタメントを多用し,まるでトラッドを聴いているようなフィドルっぽいくだけた箇所もあり,もう少しちゃんと弾いて欲しいなぁ,と思うところも多々あります。このような環境で,粗も音楽として積極的に聴かせる腕前は大したものだと感心しますが,私としてはちょっと馴染めないところもありました。

[シベリウス][器楽曲][ヴァイオリン]

ナイマン:弦楽四重奏曲第一番~第三番(バラネスク四重奏団)

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ナイマン:弦楽四重奏曲第一番~第三番
バラネスク四重奏団(Balanescu Quartet)
THE CHURCH STUDIOS, CROUCH END, November 1991
POCL-1159(433 093-2) (P)1991 The Decca Record Company Limited (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Recordsamazon.com
いわゆるミニマル・ミュージックと位置づけられる音楽です。私はこういった音楽は苦手でよくわからないのですが,解説書から引用すると,「古典的なミニマル・ミュージックが平面的でスタティックな構造を持っているのに対して,より立体的に,またダイナミックに展開するのである。またそこには,楽器の音色や音階に対する斬新な感覚やポップ的な感性,美しい音響を見いだすことも出来る。」という風に,ナイマンの音楽はミニマル・ミュージックといってもこういった特徴を持っているようです。

実際,特に第一番と第二番を聴いていると,まるでロックを聴いているようにノれるのです。そういったところに強く惹かれています。少なくとも私が苦手とする分野の音楽といった感じではありません。

第一番はアルデッティ四重奏団の委嘱によって作曲された作品(当時,アレクサンダー・バラネスクが第二ヴァイオリンを弾いていたとのこと)。のっけからすごいテンションで始まるのですが,テンションが高いまま最後まで行ってしまうすごい曲です。とても弦楽四重奏とは思えない分厚く複雑な和音の響きも圧巻です。

第二番は南インドのリズムに根ざした舞踏のための作品からの展開で,6楽章で構成され,4ビート,5ビート,6ビート,7ビート,9ビート,そして終楽章はいろいろなビートのリズム・サイクルに支配されているということです。確かにリズム構造が複雑なのですが,それでも気持ちよくノれるのが不思議です。

第三番はアレクサンダー・バラネスクの出身国のルーマニア救済コンサートのために作曲されたということで,ややほの暗いレクイエムのような雰囲気が全体を覆っていて,これはちょっと苦手です。

録音ですが,若干響きはあるものの,あくまで直接音が主体で,バラネスク四重奏団のシャープな演奏をシャープに捉えた好録音です。

曲も演奏も録音も気に入っている,そして元気を出したいときによく聴く愛聴盤です。

現役盤があるのかどうかわかりませんが,amazon.comなどには出ていますので,今のところ入手困難ではありません。(→再発売されたようです!参考欄参照ください 2012/12/02)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第十四番,シューベルト:弦楽四重奏曲第十四番「死と乙女」(ジュリアード四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第十四番 嬰ハ短調 作品131
シューベルト:弦楽四重奏曲第十四番 ニ短調 D.810 「死と乙女」
ジュリアード四重奏団(Juilliard String Quartet)
28.III.1960; 1 & 4.IV.1960, RCA Studio B, New York City (ベートーヴェン)
5-6.II.1959 & 27.V.1959, Academy of Arts and Letters (シューベルト)
SBT 1373 (P)(C)2005 TESTAMENT (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

ジュリアード弦楽四重奏団が1960年前後に一時期RCAに移籍していた頃の録音ということで,同レーベルから4枚ほど発売されており,これはその中の1枚です。1960年 RCAスタジオBでの録音とのことです。なお,ここで触れるのはベートーヴェンの方の録音です。

このCDは以前,拙Webサイトの“編集日録 2005年10月5日”で紹介したものです。演奏ももちろん良いのですが,とにかく録音が素晴らしい!! 今改めて聴いてみて私の“好録音”に対する考え方を如実に示す好例であると思い,ここに再び取り上げます。

この録音は1960年のものということで,初期のステレオ録音に属すると思います。当然ながら現代の録音に比べれば,オーディオ品質で劣る面があるということは否めません。また,マスターテープの保存上の問題か,部分的に音質劣化が見られたり,テープの再生ノイズにムラが感じられるところもあります。正直言って古くさい音です。オーディオ品質の観点では「良い録音」とは言えないです。ただ,周波数帯域,ノイズレベル,歪み感など,鑑賞上の障害にならない最低限のレベルはクリアしていると思います。高域のヌケの良さなどは現代の録音と比べても遜色ありません。

この録音の特徴は,残響がほとんどないというところと,まるで生録のような実在感のある音の捉え方にあります。RCAのスタジオで録音されたものということで,音楽の録音環境としてはかなりデッドな空間で録音されたものと想像します。強奏の後の無音部でかすかにスタジオの響きが感じられる程度で,楽器音そのものに影響を与える残響は皆無です。適度な距離に設置されたマイクで直接音だけねらって収録する,そんな録音の仕方です。その録音された音は,コンサートホールや教会で録音されたものとは全く異質です。

下の写真は解説書に載っていた録音風景で,これがそのスタジオかどうかはわかりませんが,おそらくこのような環境であったのでしょう。

juilliard_sq_beethoven_string_quartet_no14_recording.jpg

それで,この録音のどういうところが好きなのか。それは,演奏者が楽器に託して発する音の全てが聴こえてくる(ような気がする)ところです。何も足されることなく,そして,何も引かれることなく,ありのままストレートに伝わってくる,素顔のままというか,素肌の肌触りというか,良いところも悪いところも全て感じ取れそうな質感,そして,自宅のリスニングルームで,間近で演奏を聴かせてもらっているような,そんな妙なリアルさ,親密感がたまらなく好きなのです。私が持っている弦楽四重奏曲のディスクの中でも,録音が最も好きなものの一つに挙げられます。

私の考える“好録音”は,音がマイクに入るまでが勝負だということをつくづく感じます。

[ベートーヴェン][室内楽曲][弦楽四重奏]

マリナ・シシュ:バッハを読んで ~バッハから近代へ,そして...

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バッハを読んで ~バッハから近代へ,そして...
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第一番 BWV1001
イザイ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第四番 Op.27-4
ベッファ:バッハを読んで...無伴奏ヴァイオリンのための
プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.115
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番 BWV1004
マリナ・シシュ(Marina Chiche)(Violin)
2006年11月10-12日 IRCAM(フランス音響音楽研究所)
INTRA034 (P)(C)2008 Intrada (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

バッハの演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,残響を伴っているものの,楽器の直接音が主体なので,明瞭感に優れ,ヌケの良さ,音色の自然さ,ニュアンスの聴き取りやすさなど,かなり良いと言えます。このような録音であれば,響きが必要と思っている方もまずまず満足できるでしょうし,響きに楽器音を邪魔されたくない私もそれなりに納得がいきますので,そういう意味でちょうど良いバランスの録音と言えそうです。

[バッハ][器楽曲][ヴァイオリン]

クリスティーナ・グスタフソン:マイ・ムーヴ

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マイ・ムーヴ(My Move)
クリスティーナ・グスタフソン(Christina Gustafsson)
PCD 099 (P)(C)2009 PROPHONE RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

クリスティーナ・グスタフソンはスウェーデンの女性ジャズ・ヴォーカリスト。バックはギター2本,ベース,ドラムス,というアコースティック中心の構成です(一部エレクトリック・ギターも使われていますが)。

ジャズは私の守備範囲外なので滅多に聴くことはないのですが,あるオーディオ雑誌(オーディオ・ベーシックだったかな?)に載っているのを見て不覚にも聴いてみたくなってしまいました。いわゆるジャケ買いですね(^^;。で,実際にジャケットを見てみると...目つきがすごく不気味...(^^;

という事情なので,あまりコメントのしようがないのですが,ジャズが苦手の私でも聴きやすい曲がいくつかありましたので,しばらく聴いてみようと思います。

それで録音の方ですが,オーディオ誌で紹介されていただけあって,Hi-Fi志向の(でも極端に走っていない)クリアな録音でした。爽やかなサウンドですねぇ。レンジ感も十分にあります。ヴォーカルの距離感も近すぎず遠すぎず,ごく自然な感じです。録音としての不満は全く感じません。申し分ないです。

上にも書いたようにジャズはほとんど聴きませんので,これが特に優れた録音なのかどうか私にはわかりませんが,ジャズといえばこのような音の捉え方をする録音が一般的というイメージで受け止めています。同じ音楽,同じ生楽器なのになんでジャズとクラシックでこんなにも録音のアプローチが違うのか,当たり前なのかもしれませんが,それが私には理解が出来ません。どなたかクラシックの室内楽をジャズを録るように録音してくれないでしょうか。あぁ,ジャズファンがうらやましい...

なおこのCDですが,今日時点HMV Onlineiconでは入手困難になっています。私はamazon.co.ukから入手しました。。

[ジャズ][女性ヴォーカル]

タグ: [★★★★★] 

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(パトリック・デメンガ)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
パトリック・デメンガ(Patrick Demenga)(Cello)
Enregistrement numérique réalisé en 1992 à Blumenstein (Thun) par le Pr. Jakob Staempfli.
ACCORD 202192 (P)1992 MUSIDISC (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: amazon.fr

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,かなりボディ感たっぷりにしっかりと楽器音を捉えているにも関わらず,響きの取り込みも多いため,音色がかなりくぐもった感じになってしまっています。これはちょっと残念な録音です。もう少しヌケよく捉えてくれていると,ずっと聴きやすくなったと思うのですが。

Webを検索すると,パトリック・デメンガ氏は,トーマス・デメンガ氏のご兄弟という情報がいくつか見つかりましたが,この演奏者がその当人なのかどうかはわかりませんでした。

[バッハ][器楽曲][チェロ]

斎藤明子:スペイン

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スペイン
斎藤明子(Akiko Saito)(Guitar)
Recorded at DEN-EN HALL ELLORA in November 27-29, 1991
SRCR-8854 (P)(C)1992 Sony Music Entertainment(JAPAN), Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: 公式ブログSony Music Shop

ギタリスト斎藤明子さんのデビューCD。表題の通り,グラナドス,リョベート,マラッツ,アルベニス,タレガといったスペインの作曲家の作品が収録されています。私はあまりスペイン色の強い曲はそれほど好きではないのですが,この中ではリョベートの“14のカタロニア民謡”の中の“聖母の御子”や“盗賊の歌”などは,その色が濃くなく気に入っています。なかなかの名曲ですね。

録音ですが,少し残響が楽器音に被って音色が曇ってしまっていてヌケが悪く,残念ながらあまり良い印象ではありません。クラシックギターという楽器はそもそも元々の音色自体が地味ですし,それに輪をかけるように曇った音にする必要がどこにあるのか,私には理解できません。それよりも弦を弾く位置,爪の使い方による微妙な音色のニュアンスの変化をしっかりとクリアに捉えるべきと思います。

古い話ですが,1992年頃にNHK BS2で『セレナーデ(小夜曲)』という番組がありました。当時の若手女性演奏家の演奏を紹介する30分の音楽番組で,斎藤明子さんのほか,吉野直子さん,久保田巧さん,長谷川陽子さんなども出演されていました。

akiko_saito_serenade3.jpg NHK BS2 セレナーデ(小夜曲)より

この番組で演奏されたリョベートの曲がとても良かったのでこのCDを買ったのですが,放送された音声と比べて音質が今ひとつだったので,結局専らビデオの方ばかりを見ていました。このビデオは今でも私の宝物として楽しんでいますし,音声をCD化して聴いています。

上の写真のように,収録はスタジオで行われていて,マイクもそれなりに近くに設置され,比較的デッドな環境で響きを抑えて直接音主体に録音されているので,明瞭感も音のヌケもよく,演奏のニュアンスがストレートに伝わってきます。アナログビデオの音声なのでクオリティは良くありませんが,それでもCDよりもはるかに演奏をよく伝えてくれます。メディアのクオリティ以前に音源としての質がどれほど大切かということを痛感します。

なお,このCDはすでに廃盤になっているようです。

[器楽曲][ギター]

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲,ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(堀米ゆず子,他)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ロッスム:ヴァイオリン協奏曲 作品37
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第一番 ト長調 作品78,第三番 ニ短調 作品108
堀米ゆず子(Yuzuko Horigome)(Violin)
ジョルジュ・オクトール(Georges Octors)(Conductor)
ベルギー国立管弦楽団(The National Orchestra of Belgium)
ジャン=クロード・ヴァンデン・エインデン(Jean-Claude Vanden Eynden)(Piano)
1980年5月30日 ブリュッセル,パレ・デ・ポーザール (ヴァイオリン協奏曲) (ライヴ録音)
1980年11月14,15日 ゲント,ストイヤバウト・スタジオ (ヴァイオリン・ソナタ)
PROC-1016/7 (P)1981 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.8 (タワーレコード企画盤)
好録音度:★★★★(協奏曲),★★★☆(ソナタ)
参考url: 公式Webサイトタワーレコード

シベリウスとロッスムのヴァイオリン協奏曲は,1980年にベルギーのブリュッセルで開催されたエリザベート王妃国際音楽コンクール優勝時の最終選考のライヴ,ブラームスのソナタは同年のデビュー録音とのことです。

特にシベリウスのヴァイオリン協奏曲が感動ものです。コンクールといういわば極限の状況からしか生まれてこないような鬼気迫る渾身の演奏! いろいろと傷があるのは事実ですし,コンクールはスタート点に過ぎないということも感じてしまうのですが,そんなことはこの演奏を聴き進んでいくにつれて吹っ飛んでしまいます。

この協奏曲の録音がまた素晴らしい。ソロが本当にクリアに捉えられていて,堀米さんの魅力あるヴァイオリンの音を余すところなく伝えてくれます。ソロの音の捉え方についてはほぼ不満はありません。オーケストラのフォルテシモで音がつぶれてしまうところが何カ所かあって,これだけが残念なところです。

このコンクールのファイナルでは,このコンクールのために作曲された未知の協奏曲を演奏しなければならないそうですが,それがロッスムのヴァイオリン協奏曲です。譜読みと練習にどれくらいの時間をもらえるのか知りませんが,こんな難曲を短期間でこれほどまでの完成度で弾けるとは,トップクラスの演奏家の能力は想像をはるかに超えているとただただ感心してしまいます。

ブラームスのソナタは,スタジオ録音だけあってか,非常に良くまとまっています。堀米さんの豊潤な魅力ある音が堪能できます。録音は,若干残響のまとわりつきがあり,演出臭さがあって,私の好みではありませんでしたが,まあ目くじら立てるほど悪くはありません。

それにしても,タワーレコード,今回も貴重な演奏の復刻,やってくれました。今後にも期待します。

(Side Bからの移行記事) [シベリウス][協奏曲][ブラームス][室内楽][ヴァイオリン]

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(曽根麻矢子)(2008年録音)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲
曽根麻矢子(Mayako Sone)(チェンバロ)
2008年9月6日~8日 パリ音楽院スタジオ
AVCL-25441 (P)2009 AVEX ENTERTAINMENT INC. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

曽根麻矢子さん10年ぶり2回目の録音です。この演奏ですが,私には生理的に合わないような気がしてきました。ところどころでごく微妙な『ため』が入るのですが(例えば1拍目の裏拍や2拍目などに),これがどうも私には駄目なようです。心の中でリズムを,呼吸を感じながら音楽を聴いているのですが,その『ため』によって感じているリズムと微妙にずれるため,「うっ」と胸が詰まりそうになってしまいます(本当に胸が苦しくなります)。残念ながら音楽を楽しむ以前に身体が音楽を受け付けてくれません。それほど大きな『ため』ではないため(西山まりえさんのゴルトベルク変奏曲に比べれば全く普通です),BGMのようにボーッと聴いている時には大丈夫なのですが,真剣に聴き始めると駄目なのです。

私が日頃聴いているバッハの無伴奏ヴァイオリンや無伴奏チェロでは,もっとはるかに大きな『ため』や緩急が入ります。しかし,これらで胸が苦しくなることはまずありません。それらは大抵自然な呼吸や運弓の都合で入るものであり,これは私にも感覚的に理解できますので,問題なく心の中で合わせることが出来るのだと思います。私は鍵盤楽器演奏の呼吸や演奏の都合などはよくわかりませんが,今まで少ないながらも聴いた演奏の中ではこのような苦しくなるということは西山まりえさんのゴルトベルク変奏曲以外にはほとんどなかったと記憶しています。

私にとって音楽を聴くという行為は,演奏者とのアンサンブルだと思っています。こういう自然な呼吸から外れる『ため』や間合いが入るとアンサンブルが難しくなります。残念ながら私は曽根さんのこの演奏とはうまくアンサンブルが出来ません。 こういう聴き方自体が間違っているのでしょうか?(でも身体に染みついた聴き方なのでどうしようもありません...)

私のような聴き方をしない人にはきっと何の問題もない好演奏なのでしょう。1回目の録音と聴き比べると,この録音までの10年間の音楽的な深まりは明らかで,2回目の録音をされた理由がわかる気がします。ただ,それと私の好みとは(身体が受け付けてくれるかどうかを含めて)また別の問題です。

チェンバロは打鍵での強弱が付けにくい楽器なので,リズムの伸縮や装飾で個性を出そうという傾向があるのかもしれません。チェンバロは決して嫌いな楽器ではないのですが,このようなことから私と相性が悪いのかもしれません。

録音ですが,大いに期待していたのですが,残念ながら期待外れでした。「旬の音本舗 福田屋セレクション」に納められていた平均律クラヴィーア曲集の録音と聴き比べると,かなり落差があります。平均律の直接音主体に楽器自体の響きを極めて美しく捉えた録音に比べ,明らかに間接音比率が高く,高域の伸び感がなく音がくすんで全く冴えません。録音環境の雰囲気を捉えているといえばそう言えるかもしれませんが。しかし,なぜ平均律であれほど良い録音をしておきながら,ゴルトベルク変奏曲でこの録音なのか,納得いきません。チェンバロという楽器は本来もっと澄んだ響きがするはずです。

ということで,私としては,演奏・録音とも本当に残念なCDでした。辛口コメントで申し訳ありません。

さて最後にリピートに関して。曽根さん自身が解説書で「おまけ話」として,「繰り返し」を全て録音したが,CD1枚に収まりきらないことがわかったのでところどころカットした,と書いておられます。ちょっと唖然とするのですが,リピートをきちんと演奏することよりもCD 1枚に収めることの方が優先されるのですね... ちなみに収録時間は69:42でした(カットしすぎじゃないですか?)。私が「リピートの省略について思うこと」で書いた説明責任は果たしてもらっているのですが,こんな説明ならない方が良かった...

(Side Bからの移行記事) [バッハ][器楽曲][チェンバロ]

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(曽根麻矢子)(1998年録音)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲
曽根麻矢子(Mayako Sone)(チェンバロ)
1998年12月 パリ17区,パロワーズ・リュテリエンヌ・ドゥ・ラサンシオン
WPCS 10152 (P)1999 WARNER MUSIC JAPAN INC. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: amazon.co.jp

曽根麻矢子さんはゴルトベルク変奏曲を2回録音されていますが,その1回目です。速めのテンポでストレートに弾ききっているという印象です。素直な演奏なので,素直に楽しめます。こういう演奏,私は好きです。

なお,リピートについてはちゃんと確認できていませんが,気がついたところは全てリピートされていました。トータルの演奏時間は73:21です。

録音ですが,楽器自体の響きに加えて録音環境の響きも積極的に取り入れているようで,音色の色づけというか癖とヌケの悪さ,すっきり感のなさが気になるものの,楽器自体の響きを中心にそこそこの解像感をもって捉えています。こういう録音は好きではありませんが,まずまずではあると思います。録音レベルが高めなのも好ましいです。

(Side Bからの移行記事) [バッハ][器楽曲][チェンバロ]

村治佳織:ポートレイツ

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ポートレイツ(Portraits)
村治佳織(Kaori Muraji)(Guitar)
2009年6月 イギリス,ポットン・ホール
UCCD-9763 (P)(C)2009 Decca Music Group Limited. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

このCDもカヴァティーナと同じくアンドリュー・ヨーク作曲の“サンバースト”を聴きたいがために買いました。11年を経てどんな演奏に変貌したかに注目です。なおこの演奏には本題に先立ってイントロダクションが付いています。

で,聴いてみての感想。なるほど,11年という年月はこういう風に演奏を変えたのか,とある意味納得。若さあふれる勢いは影を潜め,とんがりは丸くなり,より陰影のある味わい深い演奏になったという印象です。技術的にも派手さはなくなったものの,技術力をより深い音楽表現につなげていく方向に進歩したと実感できる出来だと思います。

しかし正直なところ,今の私はカヴァティーナの“サンバースト”の方が好きです。あのはち切れそうなピチピチしたところが好きなんです(^^;。こちらの方も良いのですが今ひとつ心躍らないというか... もしこちらの演奏に先に出会っていたら,ここまでこの曲を好きになっただろうか? もう少し歳を取ったらこちらの良さがわかってくるのでしょうか? それにしても,「円熟」という音楽的成長と引き替えに失われていくものも大きいとつくづく思います。

録音ですが,実はそんなに悪くないと思うのですが,響きが若干楽器音に被ってクリアさ,ヌケの良さが損なわれ,その結果,楽器の質感が大きく失われ,カヴァティーナに比べると一歩も二歩も譲ってしまう結果になってしまっています。元々,演奏自体が丸くなり,音からトゲがかなり抜かれているので気がつきにくいのですが,本来の音はもっとニュアンス豊か,質感豊かなはずです。この点でも残念と言わざるを得ません。

なおこのCDには,ショパンの夜想曲第2番のビデオ・クリップを収録したDVDが付属しているのですが,半分はアイドルのイメージビデオのようなシーンで占められており,肝心の演奏しているところをじっくりと鑑賞することができず,中途半端でちょっと落胆しました。私は彼女の『音楽』を楽しみたいのです。

[器楽曲][ギター]

村治佳織:カヴァティーナ

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カヴァティーナ(Cavatina)
村治佳織(Kaori Muraji)(Guitar)
Recording in June 1998 at EGLISE NOTRE DAME DU BON SECOURS, paris and September 1998 at KUSATSU INTERNATIONAL CONCERT HALL
VICC-60134 (P)(C)1999 Victor Entertainment, INC. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

1曲目に収められているアンドリュー・ヨーク作曲の“サンバースト”,この1曲を聴きたいがためだけにこのCDを買いました。相当昔にレンタルCDで借りてこの曲を知り,もう何百回も聴いたんじゃないかというくらい気に入ったのでいつかCDを買おう買おうと思っていたのですが,結局今まで買いそびれていました。ということで,この曲だけコメントします。

テクニックが完璧で安定しきっていることは言うまでもありませんが,それでいてなおかつ弾けんばかりの若いエネルギーに満ちている,これは本当にすごい! 何度聴いても感動します。解説書によると,“サンバースト”とは雲間から強く照りつける太陽の光のことだそうですが,まさにそのイメージ通りの演奏です(そういえばギブソンのレス・ポールにもサンバーストモデルがありますが,これもそんなイメージですね)。次のフレーズに向かってなだれ込む,曲の最後に向かって勢いが増していく,この推進力は何とも言えません。ブリッジ寄りで弾く鋭くアタック感のある音色もすごくいいです。最高です。

それで録音ですが,余計な響きや付帯音を排除し,この素晴らしい演奏,楽器の鳴り,撥弦のニュアンスを余すことなく捉え,収めています。録音レベルも高く,めいっぱいに音楽情報を詰め込んでいる感じです。もうほとんど文句ありません。最高の演奏を最高の録音で収めた好録音盤です。

なお,私が手に入れたのはビクターのXrcd2盤です。これの効果がどの程度あるのかは比較していないのでわかりません。

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(アンジェラ・イースト)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
アンジェラ・イースト(Angela East)(Cello)
Suites nos. 1, 3, 5 & 6 recorded in the Francois-Bernier concert hall at le Domaine Forget, Saint-Irenee (Quebec), Canada in May 2001. Suites nos. 2 & 4 recorded in Troy Savings Bank Concert Hall, near New York in February 2004.
RP006 (P)(C)2009 Red Priest Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: 公式WebサイトRed Priest RecordingsHMV Onlineicon

演奏については「CD試聴記」にてコメントしていますので,そちらをご参照ください。

録音ですが,残響音はそれなりに入っていて,多少の影響はあるものの,直接音の方が割合が高く,楽器の質感などもそこそこ感じられて悪くありません。

イースト氏はレッド・プリースト(Red Priest)という4人組のバロック・アンサンブルのメンバー。このアンサンブルも過激なことで知られているそうです。それにしても,どこのレスラーがチェロ弾いてるんだ?と思ってしまうようなカバー・ピクチャーですねぇ。

(記2009/11/19)


2/20にHMV Onlineiconでも発売になるようです。
(2010/01/11追記)
[バッハ][器楽曲][チェロ]

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第三番,マルティヌー:ヴァイオリン協奏曲第二番(ショルツ/ランク=レッシンク/ハンブルク交響楽団)

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サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 作品61
マルティヌー:ヴァイオリン協奏曲第二番 H.293
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin)
ゼバスティアン・ランク=レッシンク(Sebastian Lang-Lessing)(Conductor)
ハンブルク交響楽団(Hamburger Symphoniker)
Hamburg, Friedrich-Ebert Halle, 3/2000
BERLIN Classics 0017112BC (P)(C)2000 edel records GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆

サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲は今まであまり聴いてこなかった曲ですが,ショルツ氏の力強くかつ美しい演奏でその良さを再認識しました。第二楽章などもうこれ以上何を望むことがあろうか,思うほどですし,激しいところでさえもその音色の美しさに魅了されてしまいます。

マルティヌーは今ひとつ曲の面白さがわかりませんでした...。

録音ですが,ソロに関しては残響などの付帯音の被りはほとんどなく,ショルツ氏の美しいヴァイオリンの音色,質感をよく伝えてくれます。オーケストラは多少の残響感を伴っていますが,音のヌケは悪くなく,またソロとのバランスも程良く収められており,協奏曲としてまずまずの好録音と言えます。

良い音楽,良い演奏,良い録音に出会うと,もっといろいろな演奏を聴いてみたくなる曲と,もうこれがあれば満足と思ってしまう曲があります。例えばベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは後者の方で,オイストラフの演奏があればもうそれで満足してしまっているのですが,同様にサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲もこれで満足かなと思っています。

[サン=サーンス][協奏曲][ヴァイオリン]

ハイドン:弦楽四重奏曲全集より第3集,第4集,第9集(フェシュテティーチ四重奏団)

このエントリを書いた後,他のセットも購入し,全集を揃えました。全集のエントリを新たに起こしていますので,併せてご参照ください。


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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品20 「太陽四重奏曲集」
(ハイドン:弦楽四重奏曲全集 第3集)
フェシュテティーチ四重奏団(Quatuor Festetics)
2005年9月29日~10月5日,ブダペスト,ハンガリー国立フィルハーモニーホール練習室
Arcana A 413 (P)2006 (輸入盤) 輸入販売元:株式会社マーキュリー
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品33 「ロシア四重奏曲集」
ハイドン:弦楽四重奏曲 作品42
(ハイドン:弦楽四重奏曲全集 第4集)
フェシュテティーチ四重奏団(Quatuor Festetics)
2006年4月28日~5月3日,ブダペスト,ハンガリー国立フィルハーモニーホール練習室
Arcana A 414 (P)(C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
ハイドン:弦楽四重奏曲 作品77 「ロブコヴィッツ四重奏曲」
ハイドン:弦楽四重奏曲 作品103
(ハイドン:弦楽四重奏曲全集 第9集)
フェシュテティーチ四重奏団(Quatuor Festetics)
1996年4月8-12日,1997年5月1-3日,1997年8月28-31日 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 419 (P)1998 (輸入盤) 輸入販売元:株式会社マーキュリー
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

ピリオド楽器による演奏。ピッチはA=421Hz。ガット弦の素朴な音色が独特の魅力を放っていますが,ピリオド楽器だよと言われなければ気がつかないほど自然です。テンポを揺らしたりリズムを崩したりするようなことはほとんどなく,そのためもあってか縦の線が綺麗に合っています。16分音符が連続するようなところでも一つ一つの音をちゃんと意識できるほどに見事にアンサンブルが決まっています。それでいて,とても表情が豊かでどこかほのぼのとしたところも感じさせるのがとてもいいですね。充実感のある素晴らしい演奏だと思います。

それで録音なのですが...これがまた本当に素晴らしかった! 特に2005年にホールの練習室で録音された第3集が最高です! この練習室がどういう部屋なのかよくわかりませんが,残響はほとんどと言っていいほどなく,全く演出臭のない,自然で親近感のある,室内楽としてはもうこれ以上望めないんじゃないかと思うくらい文句なしの録音です。第9集は図書館で録音されたということで,これもホールの響きはほとんどありませんが,ほんの僅かに曇った感じがあって第3集の素晴らしさには及びません。とはいえ基本コンセプトは変わらず,これも室内楽の録音としてなかなかの出来だと思います。でもこちらも第3集と同じ録音だったら...と思うと残念でなりませんが。

残りのセットがどこで録音されたのか気になるところです。情報が得られればまた追記していきたいと思います。

それにしても,この素晴らしい演奏と録音で全集が出ているというのが本当にうれしいのですが,残念ながら安くないのでなかなか手が出ません。ぼちぼちと揃えていけたらなぁと思ってはいますが。

なお,団体名は“フェステティチ四重奏団”と表記されることもあるようです。HMV Onlineではそう表記されていました。
(2009/12/25追記)


いつもお世話になっているK.N.さんから情報をいただきました。レコード芸術誌に付属の「レコードイヤーブック」によると,Op.33がブタペストフィルハーモニーホールリハーサル室,Op.9, 17, 50, 64がブタペスト技術産業大学図書館ということでした。同じOp.20と同じ場所はないようです。Op.33のリハーサル室での録音は気になるところです。

それにしても,このOp.20の録音は,室内楽に必ずしも残響は必要ではないこと,むしろ,こういう残響のない環境で録音することの価値を見事に証明していると思います。これを見習う録音が増えて欲しいものです。

(2009/12/26追記)


コメントで情報をいただきました。有り難うございます。Op.20とOp.33+Op.42は,どちらも同じ場所での録音とのことです(Salle de Répétition de la Philharmonie)。時期が少し違うので,同じ音質かどうかはわかりませんが,期待が持てるかなと思います。

ところで,第9集の解説書を読み直していたのですが,「前半・後半の繰り返し記号については,今回参照した正統的な楽譜資料の記述通りを守って弾いている。」とありました。確かに,「おやっ,こんなところにリピートがあったのか」と思うところもありました。そういう点でも新鮮な発見のある演奏でした。

(2009/12/27追記)


第4集 作品33, 作品42を加えました。結局,やっぱりご教授の通り録音場所は第3集と同じでした。録音時期が違うせいか第3集と比べてほんの僅かに録音レベルが低く,また,よりドライな感じが強くなっています。しかし,それでも十分に素晴らしく★★★★★に値する期待通りの好録音でした。

この素晴らしい録音のお蔭で,今まであまり聴いてこなかった比較的初期の作品も聴くのが楽しくなってきました。録音が良いことがいかに大切かを改めて感じています。

(2010/01/09追記)
[ハイドン][室内楽曲][弦楽四重奏]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番(ツィンマーマン/サヴァリッシュ/ベルリン・フィル)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第三番 ト長調 K.216
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
フランク・ペーター・ツィンマーマン(Frank Peter Zimmermann)(Violin)
ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)(Conductor)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
16.1.1995(Mozart), 19-21.1.1995(Brahms)(Live), Berlin, Philharmonie
7243 5 55426 2 5 (P)(C)1995 EMI Electrola GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

真面目で爽やかな好青年の演奏という印象です。キレのある引き締まった正統的な表現がいいですし,音も透明感があり大変美しいです。ポルタメントはやや多めのように思いますが,使いどころが上手くツボにはまっているので,上記の印象を損ねることはありません。

録音は誠にEMIらしいというか,もしかしたらEMIにしては良い方かもしれませんが,どこかくすんでいてソロも引っ込みがちであまり良くないのが残念です。どちらかといえばモーツァルトの方が若干ましです。録音がもう少し良ければ愛聴盤になったかもしれないのに...もったいないです。

(Side Bからの移行記事) [ブラームス][協奏曲][ヴァイオリン]

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編曲 弦楽三重奏版)(ゲーデ・トリオ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編曲 弦楽三重奏版)
ゲーデ・トリオ(Gaede Trio)
Recorded in 1998, Festeburgkirche Frankfurt / Main
(a) TACET 70 (P)(C)1998 TACET (輸入盤) (*CD 2枚組)
(b) TACET S 70 (C)1998 (P)2005 TACET (輸入盤) (*SACDハイブリッド 1枚)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Online (CD盤iconSACDハイブリッド盤icon)

シトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版。ただし第20変奏はシトコヴェツキー版ではなく原曲に近い独自の編曲と思われます(シトコヴェツキー版では原曲とはかなり異なった編曲にされていました)。他のシトコヴェツキー版の演奏ではいつもこの変奏にくる度に違和感を感じていただけに,この独自編曲はうれしいです。シトコヴェツキー版も改訂してほしいものです。

演奏ですが,スタッカートとスラーの対比や,持続音での微妙な表情付けといった弦楽器の特徴を積極的に活かす表現に努められているように思います。快活さ,穏やかで温もりのあるトーン,など,変奏によってうまく使い分けられています。また緊張感とは無縁の気楽な明るさが感じられるのも魅力です。

録音ですが,ごくわずかに響きを伴っているものの,直接音主体にしっかりと楽器音を捉えているので,楽器の質感も音色もまずまず良好と言えます。TACETとしては残響がかなり控えめで,私としてもこれくらいなら十分許容範囲です。

ところで...この演奏ではリピートがすべて行われているようで,演奏時間が90分4秒になっており,CDは2枚組なのですが,SACDはなぜか1枚です。不思議に思ってよく見てみると...なんとSACD層は90分04秒なのですが,CD層は68分14秒しかありません。けしからんことに,アリアおよびすべての変奏において,CD層は後半のリピートが省略されていました! 90×0.75=67.5なので,ほぼ計算が合います。CDプレーヤしか持っていない場合はSACD盤は買ってはいけません(怒!)。せめてCDの最大時間である80分に収まる最小限のカットにとどめて欲しかった。

[バッハ][室内楽曲]

チャイコフスキー,ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ(ウィーン弦楽ゾリステン)

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ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ウィーン弦楽ゾリステン (Wiener Streicher Solisten)
30-31 May, 1-2 Jun 2002, Angelika Kaufmannsaal (Schwarzenberg, Bregenzerwald, VORARLBERG AUSTRIA)
fontec FOCD3499 株式会社フォンテック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

解説書によると,ウィーン弦楽ゾリステンは1974年の結成で,ウィーン・フィルの首席奏者を中心として構成されているということです。編成は3-3-2-2-1の11人構成で,同曲演奏のぎりぎりのミニマム編成というところでしょうか。アンサンブルの良さ,音の美しさはさすがです。このあたりにミニマム編成の良さが出ています。

しかし,たとえばヴァイオリンは弦楽合奏的に響くのですが,チェロは室内楽のように単独の楽器の音が聴こえてきたりして少しアンバランスな印象で,ミニマム編成の弱点も見えてしまいます。ヴィオラ・チェロをヴァイオリンと対等に増やすか,あるいは弦楽八重奏にして思いっきり室内楽的に振るか,そういったなにか一工夫が欲しいところです。

録音ですが,残響を控えめにして各楽器を明瞭度高く捉えています。音色も自然ですし,各楽器の質感もそれなりにうまく収められています。

[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。新年の挨拶がすっかり遅くなってしまい失礼しました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

ブログを始めてから約半年弱になりました。ここまで続けることが出来たのもひとえにアクセスしてくださる皆様のおかげと感謝しております。

今後,どのくらいのペースで継続していけるかはわかりませんが,末永く,気長にお付き合いいただけるとうれしく存じます。