ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集,チェロ協奏曲集(クリスティアン・テツラフ/トゥルルス・モルク)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲,チェロ協奏曲
ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
チェロ協奏曲 チェロ協奏曲 ハ長調 Hob. VIIb:1,ニ長調 Hob. VIIb:2(*)
クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)(Violin)
ハインリヒ・シフ指揮(Heinrich Schiff)(Conductor)
ノーザン・シンフォニア(Northern Sinfonia)
トゥルルス・モルク(Truls Mork)(Cello)(*)
アイオナ・ブラウン指揮(Iona Brown)(Conductor)(*)
ノルウェイ室内管弦楽団(The Norwegian Chamber Orchestra)(*)
All Saints Church, Newcastle upon Tyne, XII.1990 & II.1991
Uranienborg Church, Oslo, 25-28.IX.1991(*)
7243 4 82115 2 1 (P)(C)2005 EMI records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Onlineicon

テツラフのヴァイオリン協奏曲の演奏,ブラームスのヴァイオリン協奏曲でも書きましたが,今ひとつ私に合わないというか,しっくりきません。このハイドンに関してはなぜそうなのかもよくわかりません。普通に良い演奏だと頭では思いつつ,でもなぜかグッとくるところがないのです。単にやっぱり「合わない」としか言いようがありません。

モルクのチェロ協奏曲は明るく溌剌としていてすごく良いと思います。たっぷりとニュアンス豊かに歌いつつも重くなったり大げさになったりしないあたりはこの人の上手いところなんでしょうね。

録音はどちらも同傾向で,残響を豊潤に取り入れつつも音が曇ることがなくまずまず聴きやすく仕上がっています。ソロについてはヴァイオリン協奏曲の方は若干引っ込み気味,チェロ協奏曲の方がソロをしっかり捉えていて聴きやすいと思います。良くも悪くも標準的,私としてはもっとすっきりと見通しよく明瞭に捉えられている方が好きなので優良可で言えば「可」くらいでしょうか。客観的にはそんなに悪くないかもしれません。

モーツァルト:交響曲集(レヴァイン/ウィーン・フィル)

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モーツァルト:交響曲集
交響曲第25番 ト短調 K.183
交響曲第29番 イ長調 K.201
交響曲第31番 ニ長調 K.297 「パリ」
1985年6月,1986年6月 ウィーン
F00G 27052 (P)1986 Polydor International GmbH, Hamburg (国内盤)
好録音度:★★★★☆

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モーツァルト:交響曲集
交響曲第31番 ニ長調 K.297 「パリ」
交響曲第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」
交響曲第39番 変ホ長調 K.543
交響曲第40番 ト短調 K.550
交響曲第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」
1985年6月,1986年12月,1987年12月,1989年6月 ウィーン
POCG-9629/30 (P)1986-88 Polydor International GmbH, Hamburg, (P)1990 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆

ジェームズ・レヴァイン指揮(James Levine)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Vienna Philharmonic Orchestra)

参考url: HMV Online (No.40, 41icon), (No.25, 38icon)

幻想交響曲に続き,レヴァインのモーツァルトです。HMV Onlineなどのレビューを見ていても,あまり評判が良くないようです。モーツァルトの交響曲は今までこの演奏の他にはあまり聴いてこなかったのですが,最近になって少し他の演奏も聴くようになって,なるほどなぁ...と思うようになってきました。ちょっと元気が良すぎるというか威勢が良いというか,確かにストレートすぎてエレガントではないようにも思います。でもこれはこれで私は好きなのですが。

DGのレヴァインの録音は総じて良好なのですが,これもその良好なものの一つに挙げられると思います。弦楽器の艶やかさ,質感が良く捉えられていて気持ちよく聴くことが出来ます。後期の方は若干残響が多めに取り入れられていてすっきりさが少し落ちるのですが,それでもまずまずの出来だと思います。

ベルリオーズ:幻想交響曲,他(レヴァイン/ベルリン・フィル)

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ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
ベルリオーズ:王の狩と嵐(歌劇「トロイアの人々」第四幕より)
ジェームズ・レヴァイン指揮(James Levine)(Conductor)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
1990年2月 ベルリン
POCG-1487(431 624-2) (P)1991 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
好録音度:★★★★☆

レヴァインが好きな指揮者かと言われると,それはよくわからないのですが,前にも触れましたがレヴァインの録音は好録音が多い(ような気がする)ので,そういう理由でよく聴きます。このベルリオーズの幻想交響曲もそういう中の一つです。

フォルテシモの音量がすごく大きく,相対的に平均音圧レベルが下がってしまっているのは少し残念なのですが,響きは抑え気味で全体がすっきりとしていること,弦と管のバランスが絶妙に取れていること,弦楽器の質感がそこそこちゃんと捉えられていることから,ほぼ文句のない録音と言えます。そのほか,バスドラムがブーミーにならずタイトで締まった低音を聴かせてくれたり,ハープの音がアクセントとして要所でちゃんと聴こえてきたり,良い点がいろいろとあります(全てに納得しているわけではありませんが)。

残念ながらHMV Onlineでは現役盤を見つけることが出来ませんでした。amazon.comのマーケットプレイスには中古が多く出ているので入手困難ではありませんが。私はこのディスク,演奏もそれなりに気に入っているのですが,一般的な評価はあまり高くないんですかね?

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ロエル・ディールティエンス)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ロエル・ディールティエンス(Roel Dieltiens)(Cello)
January 14-16, 1991, 'Vereenigde Doopsgezinde Kerk', Haarlem (Netherlands)
ACC 9171/72 (C)ACCENT (輸入盤)
好録音度:★★

CD試聴記」からの転載記事です。

ディールティエンス氏1回目の録音。バロックチェロなのですが,あまりそれを強調しない自然な演奏です。バロックチェロとしてはもはやオーソドックスな部類に入るのではないでしょうか。明るくおおらかで,また,やや軽めの弓運びで楽しげに弾いているところがこの演奏の良いところです。

録音ですが...全く良くありません。指板を叩く音が聞こえてくるくらいの距離感で捉えていながら,ほとんど間接音しか聴こえてきません。音が曇って不鮮明極まりなく,質感もほとんど失われてしまっています。せっかくの好演奏が台無しです(怒)。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

ベートーヴェン:交響曲全集 ~ ロイヤル・フィルと6人の指揮者たち

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ベートーヴェン:交響曲全集 ~ ロイヤル・フィルと6人の指揮者たち
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
バリー・ワーズワース指揮(Barry Wordsworth)(第一番,第四番,第七番)
ジェイムズ・ロックハート指揮(James Lockhart)(第二番,第八番)
ギュンター・ヘルビッヒ指揮(Gunther Herbig)(第三番)
クレール・ジボー指揮(Claire Gibault)(第五番)
マルク・エルムレル指揮(Mark Ermler)(第六番)
レイモンド・レッパード指揮(Raymond Leppard)(第九番)
録音1993~1995年
Documents 224051-383 (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考url: HMV Onlineicon

どういう企画盤なのかよくわかりませんが,ロイヤル・フィルを6人の指揮者が振って全集を完成させています。レッパード以外は聴いたことのない指揮者ばかりで,また,すごい廉価盤なのでちょっと心配しましたが,どの演奏もスタンダード路線から大きく外れることなく(無難といえば無難),高い水準の演奏が揃っているので安心して聴くことが出来ました。こういうのを聴くとホッとします。あまり特徴はありませんが,時たまこういうベーシックな演奏に戻りたくなります。

録音ですが,オーケストラ録音としてはまずまずで,残響を取り込みながらも直接音に大きく被ることはなく,音色を大きく悪化させていないので印象は悪くありません。私としてはもう少し響きを抑えてすっきりと捉えて欲しかったところですが,まあ十分許容できますし,客観的にも平均レベルよりは良いのではないかと思います。

それにしても粒の揃ったベートーヴェンの全集が1,000円台前半で買えるとは! 良い時代になったものです。

タグ: [交響曲] 

チャイコフスキー:交響曲第六番「悲愴」,弦楽セレナーデ(若杉弘/ケルン放送交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第六番 ロ短調 「悲愴」 作品74
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
若杉弘指揮(Hiroshi Wakasugi)(Conductor)
ケルン放送交響楽団(Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester)
1979年10月13日(悲愴),1980年11月28日(弦楽セレナーデ) ライヴ録音
ALT188 (P)WDR 1979/80 (C)2010 Tomei Electronics “Altus Music” (国内盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

若杉弘さんのディスクを聴くのは恐らく初めてです。その風貌から何となく真面目で手堅そうとイメージでしたが,聴いた感じもやっぱりそうでした。必要以上に大げさに表現することなく正統的にまとめてきているという感じです。「悲愴」としてはちょっと淡泊ですっきりしすぎているようにも思いますが,悪い印象ではありません。

弦楽セレナーデも同様の演奏ですが,大編成を活かした豊潤な響きが素晴らしく,また弾き方や縦の線も良く揃っていて気持ちがよいです。ただし,音程にはちょっと幅があり,良くも悪くも大編成なんだなと感じます。

録音ですが,良く言えばとても自然で作為的なところがない,悪く言えば音に全く魅力がない。まるで吊りマイクだけで録ったんじゃないかというような感じです(あくまでも印象ですが)。中域の充実感はあるのですが,帯域が狭く全く冴えません。空間性もあまり感じられず,音場も狭いです。録音時はディスクとして発売することを想定していなかったのではないでしょうか。

ということで,若杉弘さんのファン向けのアイテムと言えそうです。録音があまり良くないのでファン以外の方にはあまりお勧めしません。

ハイドン:チェロ協奏曲集(イッサーリス/ノリントン/ヨーロッパ室内管弦楽団)

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ハイドン:チェロ協奏曲集
ハイドン:チェロ協奏曲 ハ長調 Hob. VIIb:1,ニ長調 Hob. VIIb:2
ハイドン:交響曲第13番 ニ長調 Hob. I:13
ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Hob. I:105
スティーヴン・イッサーリス(Steven Isserlis)(Cello)
ロジャー・ノリントン指揮(Roger Norrington)(Conductor)
ヨーロッパ室内管弦楽団(Chamber Orchestra of Europe)
Recorded at Watford Colosseum, England, February 1996
RCA Red Seal 8 86977 04462 5 (P)1998 (C)2010 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

前のエントリで「今のところはヴァイオリン協奏曲の方が気に入って聴いています。」と書きましたが,実はチェロ協奏曲の方はほとんど聴けていません(^^;。なので演奏に関してのコメントはまたの機会にしたいと思います。

ちなみにこのディスクを手に入れようと思ったのは,彼のバッハ無伴奏チェロ組曲が素晴らしかったことと,ヨーロッパ室内管弦楽団がバックを担当している,という二つの理由からでした。ヨーロッパ室内管弦楽団は,ベルグルンドとのブラームスシベリウスを聴いて以来,気になる団体の一つになっています。

録音ですが,何となくモゴモゴしているというかモワモワしているというかくすんでいてすっきりしません。残響が少し多めに取り入れられていてオーケストラやソロに被って癖のある音色になり,また響きがうるさく感じられてしまうのが要因だと思います。パッと聴いた感じ何が悪いのかわかりにくく,だんだんイライラが募ってくる感じです。そんなに悪くないとは思うのですが,響きの質,取り入れ方があまり良くないためにだいぶ損していると思います。せっかくの室内管弦楽団の透明さ,見通しの良さが生きていません。また,もう少しチェロにフォーカスしている方が聴きやすいバランスになるのではないかと思います。

タグ: [協奏曲]  [チェロ] 

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ハーデリッヒ/ミュラー=ブリュール指揮/ケルン室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
アウグスティン・ハーデリッヒ(Augustin Hadelich)(Violin)
ヘルムート・ミュラー=ブリュール指揮(Helmut Müller-Brühl)(Concductor)
ケルン室内管弦楽団(Cologne Chamber Orchestra)
2007年5月15-17日 ドイツ,ケルン,ドイツ放送室内楽ザール
8.570483 (P)2007 (C)2008 Naxos Rights International Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

ハイドンの協奏曲はどちらかといえばチェロ協奏曲の方が有名だと思いますが,今のところはヴァイオリン協奏曲の方が気に入って聴いています。もっと聴かれても良い曲だと思うのですが。

で,この演奏,モダン楽器らしい歯切れの良さ,切れ込みの鋭さがあり,カデンツァも技巧的,ハイドンらしいかは別としてその潔さが気に入りました。ピリオド的に傾いていないのも私としては○です。

録音は,オーケストラが残響多めなのですが嫌な響き方をしていないので許容範囲,ソロはもう少しフォーカスされていて楽器の質感も感じられるので印象は悪くないです。オーケストラがもう少しすっきりとしていればもっと良かったのですが,ソロとのバランスも悪くなく,まあいいかという感じです。

Solo.Waka (高橋和歌 ヴァイオリン作品集 Vol.1)

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Solo.Waka(高橋和歌 ヴァイオリン作品集 Vol.1)
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第一番,シャコンヌ
バルトーク:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ Sz.117
高橋和歌(Waka Takahashi)(Violin)
秋川きららホール Nov. 10-11, 2009
EGPF-005 (P)2010 VIVID productions (国内盤)
好録音度:★★☆
参考url: HMV Onlineicon公式Webサイト

CD試聴記」からの転載記事です。

厳しくバッハに接している演奏です。緩急や強弱も最小限。そのひたむきさが心に響いてきます。技術的にも安定していて安心して音楽に浸ることが出来ます。

録音ですが,オーディオクオリティという面ではかなり良いと思います。きめが細かくなめらかで,情報量の多さも特筆できます。しかし,明らかに残響過多で間接音成分が支配的,残響のまとわりつきが鬱陶しく,音色はくすみ(そして変にキンキンしている),微妙なニュアンスや楽器の肌触り,質感はすっかり失われしまっています。情報量が多いといっても音楽的情報が失われた残響成分で占有されているに過ぎません。せっかくのオーディオクオリティが泣いています。残念でなりません。

これを優秀録音とする方もおられるようですが,私は全くそうは思いません。

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集(ヒロ・クロサキ/ウィリアム・クリスティー)

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ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集
ヒロ・クロサキ(Hiro Kurosaki)(Violin)
ウィリアム・クリスティー(William Christie)(Harpsichord, Organ)
Recording: Chapelle de Jesus Enfant (Paroisse Sainte Clotilde), Paris, 4-6 September 2002
7243 5 45554 2 8 (P)(C)2003 EMI Records Ltd./Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

コピーコントロールCDで思い出したので久しぶりに取り出して聴きました。以前「CD試聴記」でも取り上げていますので,そちらも合わせてご参照いただければと思います。

そのレビューでも述べていますが,伸びやかで瑞々しい演奏は本当に素晴らしいです。私はピリオド楽器による演奏はどちらかというと苦手ですが,この演奏はそういう苦手意識があることをすっかり忘れさせてくれます。
また録音も響きが若干ありながらも至極明瞭で細かいニュアンスまで良く聴き取れる好録音です。ヴァイオリンもチェンバロもどちらも良い音で入っています。私の好みの録音かというと少し違うとは思うのですが,それでも音が出た瞬間におぉっと鳥肌が立つようなそんなすごさがあります。

ということで,演奏も録音も揃ったヘンデルのヴァイオリン・ソナタ集として愛聴盤の一枚となっています。

で,残念なことにコピーコントロールCDなんですよね,これが。私が手に入れたのは輸入盤なのですが,国内盤がどうであったか,通常のCDのものがあったかどうかなどもう記憶が定かではありません。現在現役盤はないようなのですが,もし入手される場合はコピーコントロールCDなのか違うのかを確認されることをお勧めします。

モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(古典四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン四重奏曲」
古典四重奏団(Quartetto Classico)
2003年11月(K464, K465), 2004年4月(K387, K421), 2004年6月(K428, 458) 神奈川県立相模湖交流センター
AVCL-25031-3 (P)(C)2004 AVEX INC. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

古典四重奏団という団体,国内の弦楽四重奏団としてはトップレベルなんだろうと思うのですが,CDを聴く度に上手いと思ったり思わなかったりで,私の中ではなかなか定まらないのですが,この団体の一つの売りになっているビブラートのコントロール(→Wikipedia 今ひとつしっくりこないビブラート控えめ奏法?)がその要因であり,他の団体とは一線を画すこの団体の重要な個性の一つになっていることは間違いないと思います。そして,そこからくる独特の素朴さが気に入っています。ちなみに,古典四重奏団という団体名からピリオド楽器による演奏かと思っていましたが,モダン楽器のようです(少なくともピッチはモダンピッチ)。

解説書によると楽譜は自筆総譜を使用しているとのことです。またリピートも全て実行されているように思います。思いがけないところでリピートされて(多くの演奏では省略されていると思われる),おぉっと思うところが何カ所かありました。

録音ですが,少し残響感はあるものの,明瞭で音色も自然,音も伸びやかです。距離感も適切で各楽器の質感も程良く感じられ,ほとんど文句ありません。

さてこのディスクですが,SACDハイブリッドなのですが,CD層はこともあろうかコピーコントロールCDです。コピーコントロールCDはご存じの通りとっくに廃れてしまいましたが,通常のCDに戻されることなくそのまま発売され続けています。

これがコピーコントロールCDとわかって購入するかどうかさんざん迷ったのですが,私と同じように迷ったあげく購入しなかった方がおられるのではないかと想像します。元々不正コピーを防ぎ,CD販売が伸びることを期待されての導入だったはずですが,結局ユーザー側だけでなく制作者側にも何のメリットももたらさなかったようです。そもそもこのようなマニアしか買わないようなCDが不正コピーで売り上げ減となることは考えにくく,それよりもコピーコントロールCDであることによって敬遠される影響の方がはるかに大きいことは容易に想像出来たはずなのに,なぜこのディスクでこれを採用したのか,全く理解に苦しみます。

単純に普通のCDに戻して価格を3000円台くらいにすれば,ずっと売り上げが上がると思うのですが(定価8,400円はいくらなんでも高すぎます!),もはやそんな気もないのですかね?

ついでにもう一点不満を。付属の解説書の文字が薄い黄緑色で非常に読みづらいです。読んで欲しいと本気で思っているならこんな視認性の悪い印刷にしないはずです。同団体のベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集はもっとひどかったのですが,それにしてもこの団体のユーザビリティ意識はあまりに低すぎると思います。

後半は文句ばっかりになってしまいましたが,演奏も録音もかなり気に入っていますので,念のため付記しておきます。

管弦楽名曲集(ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

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ムラヴィンスキー:管弦楽名曲集
グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
ムソルグスキー:モスクワ河の夜明け
リャードフ:鬼婆(ババ・ヤガ)作品56
グラズノフ:フラグメント第10番
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
シベリウス:トゥオネラの白鳥 作品22-2
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮(Evgeni Mravinsky)(Conductor)
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(Leningrad Philharmonic Symphony Orchestra)録音:1965年2月 モスクワ音楽院大ホールにて
VDC-1115 (P)1986 ビクター音楽産業株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★☆

グリンカの歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲を聴きたいがために買ったCDです。この演奏がすごいということでLPの時代からこの演奏を聴いてきました。相当前から有名なのでご存じの方も多いと思います。「背徳のクラシックガイド」(鈴木淳史著)でも触れられていますが,最初にこれを聴いたら他の演奏はちんたらとしていてとても聴けない,というのは本当です。

それにしてもこの演奏は本当にすさまじいです。もう言葉では言い表せません。尋常ではありません。しかもこれだけ爆発していてオーケストラは全く乱れません。これぞ真の爆演と言えるのではないでしょうか。

しかし,フィガロの結婚までこの調子なのはどうなんでしょう? 嫌いではないですが。(その他の曲はあまり聴いていません)

録音ですが,ライヴであまり状態は良くありません。しかし,どの楽器も比較的明瞭に聴こえるのと弦楽器がしっかりと聴こえてくるので我慢の範囲です。というよりもこの圧倒的な演奏の前に,録音のことなど忘れてしまいます。

このCD自体はもう廃盤になっています。今現役盤がどれなのかよくわかっていません。これかなと思うのですが定かではありません(→HMV Onlineicon)。違ったらごめんなさい。

ウクレレによるバッハ作品集(ジョン・キング)

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ジョン・キング:ウクレレによるバッハ作品集
無伴奏チェロ組曲第一番よりプレリュード,サラバンド,ジーグ
無伴奏チェロ組曲第六番よりガヴォット
無伴奏チェロ組曲第五番よりガヴォット
無伴奏チェロ組曲第四番よりブーレ
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第三番(全楽章)
平均律クラヴィーア曲集第1巻よりプレリュードBWV846
カンタータ第147番より「主よ人の望みの喜びよ」
ジョン・キング(John King)(Ukulele)
Recorded 1996-98 at Paul Oldack Productions
6 287406 40326 NALU Music & Compact Discs (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpNALU Music(J.キング氏の公式Webサイト?)CD Baby

「背徳のクラシックガイド」(鈴木淳史著)(→HMV Onlineicon)で取り上げられているのを見て,久しぶりに聴きたくなりました。ウクレレという楽器の表現力,ポテンシャルの高さに改めて驚かされました。

(追記) 記事を書いた後,いろいろとWebを見ていると,ジョン・キング氏の訃報を伝えるブログ記事を見つけました。2009年4月に亡くなられたようです。このブログ記事では,氏がソプラノ・ウクレレでバッハの無伴奏チェロ組曲第一番プレリュードを弾いているYouTube動画が紹介されています。

以下,2006年に書いていた「CD試聴記」からの転載です。


ウクレレによる演奏。一瞬,ハープかと思うほどの美しい響き!(メロディーのそれぞれの音を違う弦で弾く「カンパネラ・スタイル」という奏法?による効果らしい)。ウクレレがこれほど美しい響きを発する楽器だとは想像もしませんでした。ちょっとした衝撃を受けました。

演奏も実にしっかりとしています。撥音が力強く躍動感に富み,また,ときにふと繊細な表情をも見せる,その表現レンジの広さがこれまた素晴らしい。個々の音の粒立ちもよく揃っていますし,難しいところでも余裕をもって表現する技術力の高さにも脱帽です。

しかし,実はカップリングで収められている無伴奏チェロ組曲の方がより溌剌としており数段出来が良く感じられます(特に第六番のガヴォット! これは4.0点を付けたい)。無伴奏ヴァイオリンの方は全体に表現が小粒で遠慮がちなのが残念です。

楽器の音域やカンパネラ・スタイルのためか,音型に大きく手が入れられていますが,違和感を感じることはほとんどありません。むしろ高域の美しい響きを積極的に活かした編曲部分もあって楽しく聴くことが出来ます。無伴奏ヴァイオリン,無伴奏チェロのどちらもこの演奏で全曲を聴いてみたい...ほんと!

録音ですが,撥弦音を明瞭にとらえ,かつ楽器の響きをバランス良く取り入れた好録音です。残響の取り入れも少なからずあるように思いますが,この録音においてはプラスに働いています。残響が嫌いな私としては積極的に認めたくはないのですが...ただ,ウクレレやギターのような撥弦楽器では比較的気にならない場合が多いように思います。もちろんあくまで直接音が主体で残響が楽器の響きを助ける補助的な取り入れ方がされている場合に限りますが。

(記2006/10/13)

タグ: [器楽曲] 

バディアロフ氏自身によるスパッラでのバッハ無伴奏チェロ組曲

寺神戸亮シギスヴァルト・クイケンにヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを製作して提供しているディミトリー・バディアロフ(Dimitry Badiarov)氏自身もスパッラで演奏した(たぶん...)バッハ無伴奏チェロ組曲のCDをリリースするようです。amazon.deに出ていました。ここでは9月9日の発売となっています。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ブダペスト四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
ブダペスト四重奏団(Budapest String Quartet)
ジョセフ・ロイスマン(Joseph Roisman)(Violin I)
アレクサンダー・シュナイダー(Alexander Schneider)(Violin II)
ボリス・クロイト(Boris Kroyt)(Viola)
ミッシャ・シュナイダー(Mischa Schneider)(Cello)
録音 1958-1961年 30th Street Studio, New York City
SICC 828-35 Sony Music Japan (国内盤) (8枚組)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon,(再発売 HMV Onlineicon

ブダペスト四重奏団による2回目の全集で,全てステレオ録音です。最初に断っておきますが,古い録音なのでアナログ録音特有のヒスノイズや歪みなどが結構大きいですし,録音レベルが高すぎて飽和しているようなところもあり,オーディオクオリティは決して良いとは言い難いです。

しかし,直接音主体に明瞭感を確保しつつ,背景にふわっと広がるように絶妙なバランスで残響が取り入れられた,オーディオクオリティのハンデをカバーするのに十分な「好録音」です。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はいくつか聴きましたが,その中でもかなりの好録音の部類に入ります。音色は残響によって少し色づけされてしまっているものの,高域が曇ることはなくヌケの良さも確保されています。

中では1958年に録音された初期と1961年に録音された後期が特に良いように思いました。中期はすこし音の捉え方が濃くてうるさい感じが若干ありますが,それほど大きな差はありませんでした。

演奏は,現代の技術レベルの高い四重奏団に比べると精度という面でわずかに落ちるきらいはありますが,この時代独特の味を楽しむことが出来ます。「好録音」であることも手伝って,トータルとしてなかなか印象の良い全集でした。

(記2009/08/19)


この全集の再発売のアナウンスがありました(→HMV Onlineicon)。しかもこの値段...再発売をうれしく思いつつもなんだか悲しい複雑な気持ちです(^^;。

(記2010/08/08)

タグ: [室内楽曲]  [弦楽四重奏]  [★★★★☆] 

ベートーヴェン:交響曲第三番「英雄」,第八番/第四番,第七番(パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル)

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ベートーヴェン:交響曲第三番「英雄」,第八番
August 27-29, 2005(No.3), August 26-28, 2004(No.8), at Scoring Stage Berlin/Deutsches Filmorchester
88697 00655 2 (P)(C)2006 BMG Japan (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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ベートーヴェン:交響曲第四番,第七番
August 24-26, 2005(No.4), January 18-19, 2004 & September 3-4, 2006(No.7), at Scoring Stage Berlin/Deutsches Filmorchester
88697 129332 (P)(C)2007 BMG Japan (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

パーヴォ・ヤルヴィ指揮(Paavo Järvi)(Conductor)
ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ・カンマーフィル)(The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)

モダン楽器の室内管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲です。全9曲が発売済みですが,そのうちの2枚です。同楽団はハインリヒ・シフともベートーヴェンの交響曲を4曲録音していますが,こちらは全集として揃っています。

傾向としてはハインリヒ・シフとの演奏に似ていて,小編成の機動力を活かした快速演奏ですが,小編成ながら軽量級ではないスケールの大きさが感じられます。アンサンブルも緻密で素晴らしいです。こういうきびきびした演奏は大好きなのですが,ピリオドアプローチ的なところが見え隠れするのが私としては不満です(^^;。

録音ですが,ぱっと聴いた感じは悪くありません。多少残響があるものの,あまり影響を受けておらず,曇った感じも少ないです。しかし,遠目で明瞭感や鮮明さがなく,楽器の質感も希薄になり,何とももどかしい録音になってしまっています。

演奏が良いだけにこの録音は残念でなりません。全集を揃えようかと思ったのですが,この2枚を手に入れたところでやめてしまいました。

小編成の(ピリオドアプローチでない)モダンオーケストラで,演奏も録音も良いベートーヴェンの交響曲全集を探しているのですが,なかなか満足のいくものに巡り会いません(というほどたくさん聴いているわけではないのですが)。まだまださまよいそうです...

タグ: [交響曲] 

ドヴォルザーク:交響曲第八番,第九番「新世界より」(カラヤン/ウィーン・フィル)

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ドヴォルザーク:交響曲第八番ト長調作品88
1985年1月 ウィーン,ムジークフェラインザール
F35G 20114(415 971-2) (P)1987 Polydor K.K. (国内盤)
好録音度:★★★★

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ドヴォルザーク:交響曲第九番ホ短調作品95「新世界より」
スメタナ:交響詩「モルダウ」
1985年2月, 5月 ウィーン,ムジークフェラインザール
F35G 20041(415 509-2) (P)1985 Polydor K.K. (国内盤)
好録音度:★★★★

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮(Herbert von Karajan)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)

参考url: HMV Onlineicon

どうしても先入観を持って聴いてしまうのですが,雄壮でスケールの大きな演奏はやっぱり魅力的です。カラヤンのディスクは多くは持っていませんが,持っている中では一番よく聴きます(特に第八番)。

実は録音も好きなんです。響きの被りが強めで不満がないわけではなく四つ星にはしていますが,特に弦楽器の質感が他ではなかなか聴けない良さがあるのです。うまく表現できないのですが,弦楽器のそれぞれのパートについて,溶け合って一つのまとまった音として聴こえるのではなく,一人一人の奏者の音が主張を持っていて,溶け合うことなく集合体というか大きな塊として迫ってくるのです。まずこの質感がいいのです。

そして,タイトでキレの良いパンチの効いた迫力のあるサウンド! このサウンドと質感,これぞカラヤン・サウンドだと勝手に思っています。響きの被りがなければ最高なのですが,ちょっと残念に思います。

このディスク,品番からして国内盤のレギュラーCDが3,500円していた頃(恐らく20年以上前)に買ったものです。今やこれが1枚に収まって1/4以下の値段で買えるとは...(→HMV Onlineicon)。有り難い時代になったものです。

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第一番,第五番「春」,第九番「クロイツェル」(メラ・テネンバウム/リチャード・カップ)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第一番,第五番「春」,第九番「クロイツェル」
メラ・テネンバウム(Mela Tenenbaum)(Violin)
リチャード・カップ(Richard Kapp)(Piano)
Recorded at ICN Polyart Studio, January 7 & 8, 2002
ESSAY CD1083 (P)(C)2004 S. A. Publishing Co., Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: amazon.com

メラ・テネンバウムはバッハ無伴奏ヴァイオリンの全集も録音しています。あまり知らないのですが,中堅ヴァイオリニストではないかと思います。この演奏も手堅い感じのするしっかりした好演奏ですが,深く大きなヴィブラートをどんな短い音でもかけてくるあたりが特徴的です。最近このようなヴィブラートをかけるヴァイオリニストが少なくなった気がするので,かえって新鮮に聴こえたりします。

録音ですが,比較的近い距離で楽器の質感を良く捉えていますが,響きもそれなりに取り入れられていて少し音がくすんですっきりしません。客観的にみて悪くはないと思いますが,私の好みからすると少し惜しい感じです。

このCDをどこから手に入れたのか記憶が定かではないのですが,amazon.comのマーケットプレイスで出品されているのを見つけました。