バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(Hekun Wu)

cover picture

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
Hekun Wu
Recorded in June, 2008 in Hudson Hall, Rogers Music Center at Willamette University, Salem, Oregon.
MSR Classics MS 1385 (P)(C)2010 Hekun Wu (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Amazon.co.jpAmazon.com

CD試聴記」からの転載記事です。

正直に言うと技術的にはあまりキレがありません。残念ながらちょっと苦しいところが散見されます。ですが,丁寧に丹念に,そして積極性を持って弾かれているので,そういう誠実で温かさの感じられる,好感の持てる演奏です。

録音ですが,奏者の息づかいが感じられるくらいの距離感で捉えているのですが,残響が多く被りが相当あって辛うじて音の芯が感じられるもののやっぱり不明瞭でモゴモゴしてしまっています。低域のバックグラウンドノイズがかなり感じられますが,この点はあまり気になりません。もう少し残響を抑えて明瞭感と質感を出せばかなり良い録音になったのではないかと思うのですが。惜しいと思います。

氏名の日本語表記が全くわかりませんでした。米国オレゴン州のウィラメット大学の准教授とのことです。“The Tao of Bach”(「道」)というタイトルが付いています。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

タイム・ジャンピン(ジョー・ロビンソン)

cover picture

タイム・ジャンピン(Time Jumpin')
ジョー・ロビンソン(Joe Robinson)(Guitar)
ABC Music 2705977 (P)(C)2009 Joe Robinson (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jpプー横丁

これは...ぶったまげました! とにかくすさまじいテクニック! 超高速パッセージも正確無比,一つ一つの音の粒が整然と聴こえてきます。ジミー・ペイジのように速いパッセージをなんとなくテキトーには弾いていません(^^;。全て狙って弾いています。こんな超絶テクニックを持ったギタリストがいたとは... しかもトリッキーなテクニックはほとんど使っていません。そこがまたすごい!

録音もギターの音をストレートに高解像に捉えたHi-Fi調の好録音です。文句ありません。

ジョー・ロビンソンはオーストラリアのギタリスト。15歳の時に録音したというデビューアルバムも聴いてみたい...

YouTubeに動画がアップされていましたので載せておきます。







その他のYouTube動画(YouTubeサイトへ)
Borsolino (Tommy Emmanuel)
Joe Robinson Plays Fleabites
Smokin Joe - Midnight In Nashville
Joe Robinson - Bergeson Fries
Joe Robinson - It's Not Easy
Dixie Maguire (Tommy Emmanuel) - Joe Robinson

Royal Flush - Joe Robinson
Fireflies - Joe Robinson

Joe Robinson - Daddy Longlicks
Joe Robinson - Its Not Easy
Joe Robinson - Misty
Joe Robinson - Bergeson Fries

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(クレーメル/クレメラータ・バルティカ)

cover picture

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ギドン・クレーメル(Gidon Kremer)(Violin)
クレメラータ・バルティカ(Kremerata Baltica)
Recorded live in concert at Haus fur Mozart, Salzburg, August 11, 2006
7559-79886-3 (P)(C)2009 Nonesuch Records Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

レコード芸術誌の2009年度のレコード・アカデミー賞銀賞を獲得した名盤。皆さんの方がよくご存じかもしれません。遅ればせながら聴いてみました。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲といえば,カトリーン・ショルツの全集が一番好きなのですが(そんなにたくさん聴いていませんが),ショルツの演奏はどちらかといえば個性を追求するよりもその曲の持つ本質的な美しさを引き出そうとするようなアプローチでした。対してこのクレーメルの演奏はその対極ともいえるアプローチで,クレーメルだからこそ許される,そして受け入れられる極めて個性的なものですね。正直に言うとまだこの演奏にはついていけないところがあります。

私がこの演奏で気に入ったのはクレメラータ・バルティカのバックの方で,雄壮とも言える気合いと勢いに今までの演奏にない新しさを感じました。クレーメルの偉いところは既成概念にとらわれず常に新たな可能性を追い求めてそれを形にし,こういう超古典にも新たな命を吹き込んでいくところだと思っています。

モダン楽器奏者はクレーメルのようにもっと挑戦的になって欲しい。今はまだまだピリオド楽器奏者の方がずっと挑戦的に思います。作曲家は生みの親,そして演奏家と聴衆は育ての親。作曲家が残した素晴らしい曲という赤ん坊の無限の可能性をいかに引き出し育てていくかが演奏家と我々聴き手の役目ですね。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に若干の曇りが感じられるものの,全体としては比較的すっきりと見通しよく捉えているので印象は悪くありません。もちろん私としてはもっと残響を抑えて透明感ある音でくっきりと捉えて欲しいと思っていますが。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番(コリヤ・ブラッハー)

cover picture

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番
コリヤ・ブラッハー(Kolja Blacher)(Violin)
Recorded at Studio P4/Berlin, November 25/26 and December 9, 2009
PHIL. 06007 (P)(C)2010 Forderverein Klassikwerkstatt (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

元ベルリン・フィルのコンサートマスター,コリヤ・ブラッハー氏によるバッハ無伴奏ヴァイオリンのディスクです。

これはちょっと変わった企画のディスクです。バッハと同時代の詩人の朗読も収められているのですが(朗読はフランク・アルノルト),これが曲の途中に突然割り込んできたり(例えば二部形式AABBのAとAの間,AとBの間に朗読が割り込んでくる),演奏に朗読を重ねてきたりするのです。従って,演奏だけを抜き出して聴くということが出来ません(幸いにもシャコンヌだけは詩の割り込みはありませんでしたが)。意図があってのことと思いますが,ドイツ語が全くわからない上に,バッハの音楽だけを楽しみたい身にはちょっと迷惑な企画です。

演奏自体はオーソドックスでキリッと引き締まった大変立派なもので聴き応えがあります。それだけにこの企画は残念でなりません。いつか全曲を普通に録音してくれることを期待します。

録音ですが,スタジオで収録されているようで,多少の響きを伴っているものの明瞭感があり,音色もまずまず自然で良好な録音です。

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ドミトリー・バディアロフ)(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)

cover picture

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ドミトリー・バディアロフ(Dmitry Badiarov)
Recorded in May 2009 at the church of Notre-Dame de l'Assomption, Basse-Bodeux, Belgium
RAM 1003 (P)(C)2010 Outhere (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

ご自身の製作によるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる演奏。上手いというよりも味わい深いと言う方がしっくりきます。地味ながらニュアンス豊かで,しかも実は結構小気味よいのです。このあたりは楽器の特性を活かしていると思います。

しかし,やっぱりスパッラという楽器そのものに音色の魅力が感じられないのです。演奏自体は小気味よいはずなのに,音の立ち上がりが鈍くもごもごしています(後述しますが,録音の悪さがこれに拍車をかけています)。あの楽器サイズでチェロと同じ音域の低音を出すために機構上相当無理をしていることが音色からもわかります。なぜこの楽器が廃れてしまったのか...それがこの演奏からも感じられて淋しい気分になります。

なお,このディスクはレコード芸術誌(2010年12月号だったかな?)で特選の高評価を得ています。演奏の良さが半分,この楽器を復活させた功績に対する敬意が半分かなと想像します。

録音ですが,残響過多で不明瞭,音色も相当損なわれています。スパッラという楽器の音色をきちんと伝えることがこの録音の命だと思うのですが。なぜこのような録音を選択されたのか,残念でなりません。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

インナーホン audio-technica ATH-CM707のレビュー

audio-technica_ath-cm707.jpg

CD試聴記」のWebサイトのオーディオ製品試用記インナーホン audio-technica ATH-CM707 のレビューを載せました。

参考: Amazon.co.jp

★特性を測定してみました→「オープンタイプのインナーイヤー型イヤホンの特性測定を試みる(その2) audio-technica ATH-CM707」(2012/03/11)

以下,転載します。参考になれば幸いです。


ケーブル0.6m+延長0.6m Y字,プラグ ストレート(延長はL字) 金メッキ,16Ω,約6g

2010年12月10日発売。 定価9,975円で2011年2月時点での実売価格は6,000円前後。インナーイヤー型としては高級機の部類にはいると思います。

音質ですが,フラットで癖が少ないのはオーディオテクニカらしいと言えます。低域は控えめです。どちらかと言えば高域寄りで,かなり硬質の響きが感じられます。中域の盛り上がりは感じられず,嫌な癖のある響きもないので私としてはまずまず気に入っています。音の硬さが許せるかどうか,控えめな低域でも不満がないか,あたりで好みかどうかが決まってきそうです。

ハウジングは若干大きめですが,取扱説明書に書いてある通り耳に上手く載せる感じに装着するとそこそこフィットします。ただ,耳の穴に押しつける感じではなく引っかける感じなので耳穴との間に少し隙間が出来ます。これが低域の弱さにつながっているのかもしれません。

「精密切削アルミ合金と高弾性エラストマー素材のクランクブッシュで優れた装着感」とあり,適度な重量感と質感の良さを持っていて,値段が高いなりのモノとしての魅力を備えています。(冬場は装着したときの冷たさがちょっとつらいですが)

ケーブルは合計で1.2mのはずですが,つなげて実測してみると1.4m近くあります。また,Y字の分かれた後の長さがやたら長く,MX500と比べてみると20cm以上長くてちょっと違和感があります。いつもY字の付け根にダイソーで売っている携帯電話用イヤホンマイクから外したクリップを取り付けているのですが,クリップの位置が下になりすぎるので,二股に分かれてから15cmくらいのところで束ねて取り付けています。また,ケーブルが短いので延長が必須なのですが,継ぎ目が鬱陶しく,また全長もちょっと長くなりすぎるので,使い勝手的には今ひとつです。ケーブルが絡みにくいのだけは助かっていますが。

ということで,使い勝手に少し不満はあるものの,音質は良好なのでしばらく継続して使ってみようと思っています。

チャイコフスキー:後期交響曲集(アバド/ウィーン・フィル/ロンドン交響楽団)

cover picture

チャイコフスキー:後期交響曲集
クラウディオ・アバド指揮(Claudio Abbado)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(第4番,第6番)
ロンドン交響楽団(第5番)
録音データ記載なし
437 401-2 (P)1976(No.4), (P)1972(No.5), (P)1974(No.6) (C)1992 PolyGram France (輸入盤)
好録音度:★★★★(第4番,第6番), ★★★☆(第5番)
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jp

録音データの記載がないのですが,1970年代の録音だと思います。引き締まった推進力のある演奏で,もったいぶったり変にいじくり回さない正攻法の演奏であるところが好印象です。聴き比べる楽しさという点では物足りないかもしれませんが,純粋にチャイコフスキーを楽しむにはやっぱりこういうスタンダード路線の演奏が安心して音楽に浸れます。

録音はウィーン・フィルとの第4番,第6番が楽器の質感も良く捉えていてまずまずの出来(DGのオーケストラ録音として標準的か),ロンドン交響楽団との第5番はヌケが良くなく今ひとつです。ウィーン・フィルで統一されていれば良かったのですが。

タグ: [交響曲] 

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(アバド/モーツァルト管弦楽団)(CD版)

cover picture

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
モーツァルト管弦楽団(Orchestra Mozart)
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)(音楽監督・指揮)
ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン),ミカラ・ペトリ(リコーダー),マリオ・ブルネロ(チェロ),アイロス・ボッシュ(コントラバス),ラインホルト・フリードリヒ(トランペット),オッターヴィオ・ダントーネ(チェンバロ),他
2007年4月21日 イタリア,レッジョ・エミリア,ヴァーリ市立劇場
DG 00289 477 8908 (P)2008 EuroArts Music International GmbH (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jp

このブログを始めた頃に取り上げたDVDのCD版が発売されました。「CDが出たら絶対に買う!」という公約通り(^^; 手に入れました。

こうして改めてCDで聴いてみると,録音の五つ星はちょっと過大評価だったかなと思いつつも,よくあるライヴ録音とは違う演出臭さのない,ある意味至極「普通の録音」というところが気に入っているので評価は変えません。オーディオクオリティは特筆すべきところはないので,「なんでこれが五つ星?」と思われるかもしれませんが。

音楽の良さはDVDの時に書いた通りです。縛りのない緩さ(音楽が緩んでいるということではありません)が伸び伸びした素晴らしく良い雰囲気を出しています。

あれからいくつものブランデンブルク協奏曲を聴いてきましたが,私にとって最も気に入ったセットのうちの一つという地位は揺らいでいません。

なお,DVDに収められていたアンコールがこのCDでは含まれていません。あれはあれで良かったのになぁ...とちょっと残念です。

Born To Sing (SHANTI)

cover picture

Born To Sing
SHANTI
2010年1月22,25日,2月8,9日,2月18日 ワンダーステーション
COCB-53916 (P)2010 Columbia Music Entertainment, Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

このアルバムはオーディオ誌等で優秀録音盤として良く取り上げられていたのでご存じの方も多いと思います。いつも書いているとおりジャズは苦手なのであまり聴かないのですが,そんなに良いのならちょっと聴いてみようと思って入手しました。

ヴォーカルは近接マイクで極めてクリア,演出臭さも最小限で好感が持てます。この音の録り方なら私も納得します。ジャズ系の優秀録音は比較的私の好みに合うものが多くハズレが少ないように思います(逆になんでクラシックはあんなに好みに合わないものばっかりばっかりなんだろう...)。これはリファレンス音源候補かなと。

若いのに妙に艶めかしく色っぽくて,なんだか聴いてはいけないような声を聴いているような気がする曲もあってこっちが照れてしまいます(^^;。バックの演奏もシンプルなギターが中心でなかなか良い感じです。

ブラームス:交響曲全集(オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団)

cover picture

ブラームス:交響曲全集
+ハイドンの主題による変奏曲,大学祝典序曲,ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ,ハンガリー舞曲集
ユージン・オーマンディ指揮(Eugene Ormandy)(Conductor)
フィラデルフィア管弦楽団(The Philadelphia Orchestra)
1966年4月6日(No.2),1967年1月31日&3月13日(No.3),1967年10月25日(No.4),1968年5月19日(No.1),フィラデルフィア,タウン・ホール
SICC 1421-3 (P)2010 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Online(だだしすでに廃盤),Amazon.co.jp

解説書で次のように書かれています。「壮麗なサウンドを基調としながらも,堅固な構築力でブラームスの音楽にふさわしいロマンと重厚さを兼ね備えた演奏を繰り広げている。」 全くその通りだと思います(手抜きモード(^^;)。楽譜に少し手を入れているのか,あれ?と思うところが何カ所かありました(例えば第3番第1楽章の終わり付近でヴァイオリンがオクターブ高く弾いている箇所があるような気がします)。当時は普通に行われていたのでしょうか。それにしても,音の分厚さ,壮麗さは圧倒的ですね。今となっては古い過去のスタイルになってしまった感はありますが,それでもこのサウンドは魅力的です。

録音ですが,残響を多く取り入れているにも関わらず,各パートが比較的はっきりと分離して明瞭に聴こえてきますので,思いの外悪くないです。ただ,オーディオクオリティは残念ながらあまり良くありません。音の伸びがない,ややざらざらしている,というのは録音年代からしてもある程度仕方ありませんが,特に第3番,第4番が飽和したような歪み感があってちょっと聴き苦しいのが残念です。

第一番 13:40/9:53/4:44/17:07 計45:34 提示部リピート省略
第二番 15:10/9:50/5:24/9:26 計40:05 提示部リピート省略
第三番 10:14/9:03/5:49/8:59 計34:16 提示部リピート省略
第四番 12:22/11:54/6:25/10:21 計41:03

タグ: [交響曲] 

イン・ザ・モーメント(アラスデア・フレイザー&ナタリー・ハース)

cover picture

イン・ザ・モーメント(In The Moment)
アラスデア・フレイザー(Alasdair Fraser)(Fiddle)
ナタリー・ハース(Natalie Haas)(Cello)
CUL 122D (P)(C)2007 Culburnie Records (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.com

また脱線します。

アラスデア・フレイザーはスコティッシュ・フィドルのプレイヤー。チェロのナタリー・ハースは先日紹介したブリタニー・ハースの姉であろうと思われます。ヴァイオリンとチェロの二重奏のトラッド,興味津々で聴きました。フィドルの流麗な美音(本当に綺麗な音だ!)とチェロの刻むキレの良いリズムの対比がなかなかの聴きものです。伝統音楽をベースにしながらも古臭くなくちょっとモダンで爽やかなところが気に入りました。

録音が良いのもうれしいです。チェロに若干の響きが伴っているものの,フィドルの方はクリアそのもの。美音を余すことなく捉えています。クラシック的な録音ではありませんが,スタジオでクリアに録音することがどれだけ素晴らしいことかを教えてくれる好録音と言えます。

力量的にはクラシックの演奏家にはやはり及ばないのですが,彼らならではの音楽がこれまた楽しいのです。Amazon.comやiTunes Storeでも試聴出来ますので(後者の方が音が良い),興味を持たれましたらぜひ聴いてみてください。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(仲道郁代/有田正広指揮/クラシカル・プレイヤーズ東京)

cover picture

ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番
仲道郁代(Ikuyo Nakamichi)(Piano)
有田正広指揮(Masahiro Arita)(Conductor)
クラシカル・プレイヤーズ東京(Classical Players Tokyo)
2010年8月2日~6日 東京芸術劇場大ホール
DENON COGQ-49 (P)2010 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ピアノは1841年製オリジナル・プレイエルでショパン愛用の楽器と同じモデル,オーケストラもオリジナル楽器使用でA=427,総勢38名という編成です。さらにピアノ独奏の部分では室内楽編成で演奏されているということです。内容に関しては上記の参考URLにも記載があるので省略します。

実はショパンのピアノ協奏曲はディスクを1枚も持っておらず,これが初めてとなります。いつも書いているようにオリジナル楽器はどちらかといえば苦手なのですが,上記の内容に惹かれて聴いてみたくなり手に入れました。元々ピアノ協奏曲自体をあまり聴かないのと,ショパンの協奏曲は初めてということもあって,演奏については今回はコメントしません。

以下,録音についてコメントします(あくまで「録音」について,です)。最初にこのディスクを再生して出てきた音を聴いたとき,「うげっ,なんちゅうひどい音! コンプレッサーをかけたような音やな」というのが第一印象でした。しかし,慣れというのは恐ろしいもので(というのとだんだん録音の素性が見えてくるので)何度も聴いているうちにだんだんと「そんなに悪くないかも」と思う瞬間も出てくるようになったのですが,とにかく聴く度にマシに聴こえたり悪く聴こえたりとコロコロと印象が変わるのです。でも結局のところトータルとしてはあまり良い印象ではないというのが今の正直な感想です。

で,最近発売されたレコード芸術誌を見てみると,なんと優秀録音盤として取り上げられているではありませんか! ...これを見て,あえて否定的なコメントをすることにしました(^^;。(あくまで録音に対してですよ!)

何が気に入らないか。一つ目。せっかくの小編成オーケストラなのに,一体どんな大編成なんだ?というくらいスケールの大きな音の録り方になっています。フォルテはかなりの轟音でうるさい感じです。でもやっぱり弦楽器の音など小編成のものなので,そのミスマッチもあるし,見通しの良さも感じられなければ小気味よさ,軽快さも感じられません。小編成の良さを活かそうという気がないようです。

二つ目。残響を多めに取り入れているにもかかわらず,普通だったら中域が盛り上がってウェットな音になるはずなのに,逆に中域を意図的にイコライザで凹ましたような変な周波数バランスに感じられることです。響きの癖が感じにくくなるのは良いのですが,変にドライで弦楽器の音にも潤いが感じられずカスカスの音に感じられます(言葉が悪くてすみません)。

三つ目。上記とも関係ありますが,ピアノの音を含めて妙に演出がかっていて,メロドラマのBGMみたいな安っぽいものにしてしまっています。せっかくの好演奏なのに,この録音がその演奏の品位を損ねてしまっています。

このディスクはオリジナル・プレイエルという特別な楽器を使っていることが売りではないのか? なぜその本当の良さをストレートに伝えようとしないのか。全く理解に苦しみます。

「それはあんたの機材がショボいからだ」と言われるかもしれません。まあその通りなので反論しようがないのですが,一部の良い機材を持った人だけが良い音で聴ける優秀録音よりも,多くの人が持つ一般的な機材でも良い音で音楽を楽しめる好録音であってほしいと思うのです(そういう録音は良い機材でももちろん良い音で鳴るのですから)。

(記2011/01/26)


コメントを受けて,上記の取り消したところを考え直しました。ショボい装置で良い音がするからといって,良い装置で良い音がするとは限らないですね。

言いたかったのは,良い装置でも普通の装置でも良い音で楽しめる録音も可能であるし,そういう録音と良い装置でしか良い音で聴けない録音と聴き比べることが出来たとしたら,私は間違いなく前者の方が良いと思うことでしょう,ということです。

しかし,結局はそれぞれの人の良い音に対する価値観次第であり,今の多くの録音を聴く限り,私のような考え方は少数派でしかないということなのでしょう。

(記2011/02/05)

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(クイケン/ラ・プティット・バンド)

cover picture

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
シギスヴァルド・クイケン(Sigiswald Kuijken)
ラ・プティット・バンド(La Petite Bande)
Recorded 19-23.10.2009 at Galaxy Studios, Mol, Belgium
ACC 24224 (P)2009 (C)2010 Accent (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jp

ピリオド楽器による演奏。1パート1人という形態は今や珍しくはなくなりましたが,この演奏の目玉はチェロの代わりにヴィオロンチェロ・ダ・スパッラが全面導入されていることでしょう(従ってチェロは使われていません)。また,管楽器もバルブのないナチュラル楽器と使っているということです。

ピリオド楽器による演奏というとどこか尖りのある刺激的な演奏を想像してしまうのですが,ここで聴けるブランデンブルクは自然そのもので,ピリオド楽器が苦手な私でもすんなりと受け入れられます。スパッラが使われているということですが,私にはほとんど意識されません(単に低域が弱いな...程度(^^;)。いろんな演奏があってクラシックは聴き比べが醍醐味ではあるのですが,結局こういう真っ当な路線で極めた演奏に戻ってくるんだということを感じます。

で,肝心の録音なのですが,これがあまり良くありません。悪い言い方をすれば小学校の体育館で聴いているような音響なのです。その昔,小学校の音楽の鑑賞で体育館で聴かされた演奏を思い出してしまうのです(ある意味でリアルで雰囲気があると言えます)。オフマイクで間接音成分が支配的,なんとか我慢できるぎりぎりではあるのですが,明瞭感も良くないですし,音にも透明感がなくくすんでいてちょっとイライラが募ってきます(ディスク2の方は幾分マシのような気がします)。オーディオクオリティは悪くありませんし,何より演奏が良いので,この音の録り方は本当にもったいないと思います。これを良しとする方もきっと多いと思いますが,私はあまり好きではありません。

タグ: [協奏曲]