ハイランダーズ・フェアウェル(アラスデア・フレイザー&ナタリー・ハース)

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ハイランダーズ・フェアウェル(Highlander's Farewell)
アラスデア・フレイザー(Alasdair Fraser)(Fiddle)
ナタリー・ハース(Natalie Haas)(Cello)
CUL123D (P)(C)2011 Culburnie Records (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ヴァイオリンとチェロによるスコティッシュ・トラッド・アルバム。以前レビューしたイン・ザ・モーメントがすごく良かったので,つい最近発売されたこのアルバムも聴いてみました。うーん,これもいい! すごく楽しいし元気が出ます。

トラッドとモダンが程良く混じり合った感じで,トラッドながら古臭いこともなければ田舎臭いところも全くありません。アラスデア・フレイザーの流麗なフィドルは冴え渡っていますし,ナタリー・ハースの刻むチェロのリズムも絶妙です。

ナタリー・ハースの妹(?)のブリタニー・ハースもゲスト参加しています。一カ所だけ見事なチョップ奏法を聴かせてくれるところがあります。チョップ奏法が入ると俄然音楽が締まってカッコ良くなります(ダロール・アンガー仕込みか?)。フレイザーがこの奏法を使わないのはちょっと残念です。

で,このアルバムは録音もいいです。恐らくスタジオで録音しています。直接音が支配的で極めて明瞭,音色もまったく色づけされていません。わずかに響きがまとわりついていますがほとんど気になりません。いわゆるポピュラー音楽的な録り方ですが,不自然に感じることはありません。録音が良いと音楽が何倍も楽しくなりますね。

ということでこのアルバムも当たりでした。この二人の組み合わせで7年前にもう一枚出しているので,これもそのうち聴いてみたいと思います。

YouTube映像があったので...このアルバムの4曲目に収められている“Grand Etang/Hull's Reel”。後半をぜひ見てみてください。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ルース・ウォーターマン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ルース・ウォーターマン(Ruth Waterman)(Violin)
2000-2003年 ドイツ
CDE 84595/6-2 (P)(C)2010 Meridian Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: Amazon.co.jpAmazon.co.uk公式Webサイト

CD試聴記」からの転載記事です。

緩急強弱が結構付けられている気持ちのこもった演奏ですが,自然な呼吸感の中で付けられているので嫌みもなくむしろ上品な印象を受けます。緩徐楽章では編曲に近いくらいの装飾が結構あって,これはちょっと馴染めないところはありますが,技術的にもしっかりしていて全体としては良い印象です。

録音ですが,残響が付帯音として少し気になるものの,直接音の方がわずかに優勢のため,楽器の質感,ニュアンスも感じられてどちらかといえば良い印象です。若干高域の伸びに欠けることと録音レベルが低めであることが惜しいところです。

Sir John Alot(ジョン・レンボーン)

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Sir John Alot(1968年)
ジョン・レンボーン(John Renbourn)(Guitar)
CMRCD597 (P)(C)2002 Sanctuary Records Group Ltd. (輸入盤)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ジョン・レンボーンは英国のフォーク・ギタリスト。このアルバムの正式なタイトルは “Sir John A Lot of Merry Englandes Musyk Thynge and ye Grene Knyghte” らしいです。40年以上前の1968年のリリース,私がまだ幼い頃に録音されたということで,そう思うと相当古いよなぁ...と思ってしまいます。このアルバムを手にしたのは20年くらい前だったと記憶しています(例によってなぜこれを手にしたのか記憶にない...)。先日このリマスター盤を発見して,持っているのに思わず買ってしまいました。以前から持っているものと聴き比べてみると...音は確かに良くなっているが...左右が逆だ(なんで?)(^^;。

Wikipediaにもありますが,この人の音楽はフォーク,トラッドをベースにしながらも古楽からジャズ,民族音楽まで非常に幅が広いことに驚かされます。ギターの腕前がすごいという感じではありませんが,独特の味のあるギターが気に入っています。

このアルバムの前半は古楽的で中世の音楽のようなちょっと神秘的な雰囲気を持って,後半はモダンでブルースやジャズに近い音楽です。

録音は音がやっぱりちょっと古臭いですねぇ...でもこれがかえってこの音楽の雰囲気作りに役に立っているのかもしれません。

タグ: [ギター] 

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,他(イザベル・ファウスト/ハーディング/マーラー・チェンバー・オーケストラ)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:弦楽六重奏曲第2番ト長調作品36
イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)(Violin)
ダニエル・ハーディング指揮(Daniel Harding)(Conductor)
マーラー・チェンバー・オーケストラ(Mahler Chamber Orchestra)
2010年2月 Sociedad Filarmonica de Bilbao(Concerto),2010年9月 Teldex Studio Berlin(Sextuor)
harmonia mundi s.a. HMC 902075 (P)2011 (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ファウストのヴァイオリンは繊細かつ表情豊かで,抑制が効いていて清楚で美しい。奏者の個性よりも曲本来の持つ美しさ,ヴァイオリンという楽器の素晴らしさが前に出てくる,こういうブラームスが聴きたかった! 個性的な演奏は確かに面白いのですが,結局はこういう演奏が聴きたくなってくるのです。

カデンツァはブゾーニ版。聴き慣れないせいかまだあんまりしっくりきません。一般的なヨアヒム版を聴いているときはもっと他のを聴いてみたくなるのですが,いざ違うカデンツァに出会うと,ヨアヒム版で聴いてみたくなる。それだけヨアヒムのカデンツァが良くできているということなのでしょう。この演奏も結局ヨアヒムでないことを残念に思ってしまいます。

この演奏ではハーディングの指揮と室内管弦楽団によるバックの演奏も注目ですが,中編成オーケストラの機敏さが活きているのはもちろん,特にその音の柔らかさが印象に残りました。

肝心の録音ですが,きめが細かくとてもなめらかで,最近の録音のオーディオクオリティの高さを実感する録音です。ただ,音は確かに美しいのですが協奏曲としては今ひとつソロの捉え方が弱い。ヴァイオリンの質感が感じられそうで微妙に手が届かないこのもどかしさ。オーケストラももう少し見通し良くくっきりと捉えて欲しい。これも大型の高級オーディオならば素晴らしく響くかもしれない,という録音で私の考える好録音とは少し方向性が異なります。演奏が良いだけに私としては少し残念に思います。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽三重奏版)(ゴルトベルク・トリオ・ルツェルン)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ゴルトベルク・トリオ・ルツェルン編/弦楽三重奏版)
ゴルトベルク・トリオ・ルツェルン(Goldberg Trio Lucerne)
2009年3月30-31日,4月1日,チューリッヒ放送スタジオ
GMCD 7350 (P)(C)2010 Guild GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Online

弦楽三重奏版といえばシトコヴェツキー編曲が有名ですが,「ここで演奏されている『ゴルトベルク変奏曲』はシトコヴェツキー版ではなく,(中略)スイス,ルツェルンの弦楽トリオ,ゴルトベルク・トリオ・ルツェルンによるニューアレンジ! (中略)ピアノ譜,シトコヴェツキー版を参考に,より弦楽三重奏のために適した姿へと再創造したのだとのことです。」とCDの帯に記載されていました。

実際に聴いてみると,確かに細部ではシトコヴェツキー編曲版と違うかなと思うところはあるものの,細部の手直し程度であって全体の印象としてはほとんど変わりませんでした。まあそんなに大きく変えようがないのかもしれません。シトコヴェツキー編曲版で唯一気になった第20変奏はもちろん原曲に近いイメージで編曲されていました。

演奏ですが,まずリピートが全て省略されているのが許せません!(^^;。全部通して42分弱なので聴きやすい長さではありますが,リピートがないことにいちいち引っかかりを感じてしまうので正直楽しめません。演奏自体はテンポ感も軽快でちょうど気持ちいい感じだし技術的にもしっかりしていてなかなか良いのですが(でも一つのフレーズをパートをまたいで引き継いでいくあたりはちょっとスムーズでなかったりするので不満はゼロではありませんが)。

録音は残響控えめなのですが,それぞれの楽器の捉え方が弱く,また録音レベルも低めなので,なんとなくもどかしい感じがします。スタジオ録音のようですが,せっかくのスタジオ録音を全く活かせていません。

全体的に見て決して悪くないのですが,どこを取っても半端な感じがしてだいぶ損していると思います。カップリングにシュニトケの弦楽三重奏曲が収められていますが,他の曲を入れる前にCDの80分を最大限に使ってゴルトベルクに徹底的にこだわって欲しかったと残念に思います。

タグ: [室内楽曲]