ベートーヴェン:交響曲全集(クラウディオ・アバド指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
クラウディオ・アバド指揮 Claudio Abbado (Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker
1985~1988年録音 Wien, Musikverein, Grosser Saal
476 1914 (P)1986,87,88,89 Deutsche Grammophon GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★☆
参考: HMV Online

HMV Onlineのレビューにもあるように「良い意味でのスタンダード」に一票。アバドが人気がある理由がよくわかります。第1番はまるで室内管弦楽団を聴いているかのような小気味よさとまとまりの良さが印象的,第6番は第1楽章が遅く最近の演奏に慣れた耳にはやや後ろに引っ張られる感じがして疲れます。

録音ですが,音色の美しさはレビューにある通りで残響が豊かに取り入れられているにしては音色の崩れが最小限に抑えられていると思います。しかしやはり残響が多いためにそれぞれの楽器の質感には乏しく,美しいがどこか掴みどころがなくもどかしさを感じてしまいます。その中では第1番が最も良く,逆に第3番や第8番などはあまり良くありません。第1番の録音で統一されていたら演奏・録音ともに優れたスタンダード盤として愛聴盤になったと思うのですが...惜しいです。残響が許せる方なら問題ないかもしれません。

少し前は入手しづらく,Amazon.comなどからボロボロの中古盤を2枚ほど手に入れて聴いていたのですが,先日ずっと入手困難になっていた全集が「在庫あり」になり入手した次第(→HMV Online)。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(マルクス・ポシュナー指揮/ブレーメン・フィル)

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ブラームス:交響曲全集
マルクス・ポシュナー指揮 Markus Poschner (Conductor)
ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団 Bremer Philharmoniker
2009年2月22日~26日 グロック,ブレーメン,大ホールライヴ録音
DREYER-GAIDO (1)CD21056, (2)CD21064 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online (1)(2)

演奏後に拍手まで入ったライヴ録音。ポシュナーは1971年ミュンヘン生まれということですので,まだまだ若い指揮者です。

オーソドックスなブラームスだと思いますが,オーケストラが素朴で良い味を出しています。メカニカルな正確さという面での弱さはあるものの,それをカバーするに十分な魅力を持っていますので,あまり気になりません。第1楽章の提示部のリピートが全て省略されているのが残念です(なのに4枚組...うまく組み合わせれば2枚に入るのに...)。

録音ですが,ライヴの自然な雰囲気をうまく捉えています。作為的な音作りや演出がほとんど感じられないのが好印象です。残響も抑えられていてすっきりしています。中低域が弱く下支えがないのでちょっと物足りない感じはしますが,私としては十分許容できます。

第1番 13:23/9:26/4:45/16:37 計45:19 提示部リピート省略
第2番 14:34/9:41/5:01/8:53 計39:12 提示部リピート省略
第3番 9:34/8:07/6:19/8:30 計37:38 提示部リピート省略
第4番 12:52/10:45/6:16/9:18 計40:19

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チャイコフスキー:交響曲全集(ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ/ロンドン・フィル)

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チャイコフスキー:交響曲全集
マンフレッド交響曲,幻想序曲「ロメオトジュリエット」,幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ指揮 Mstislav Rostropovich (Conductor)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 London Philharmonic Orchestra
1976-1977年録音,Kingsway Hall, London
50999 5 19493 2 7 (P)(C)1977 & 1978 EMI Records (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

全体に遅め(第5番は52分!)ですが,個々の楽器の発音がはっきりとしていて音楽自体は弛緩することなくくっきりと明快,遅さを感じさせない充実した内容です。こってりとしているかと思っていたのですが,さにあらず。緩徐楽章の静かに広がる雄大な表現も聴きものです。どちらかといえば好きなタイプの演奏ではありませんが,これはいいと思いました。

録音ですが,EMIらしい帯域の狭さをわずかに感じるものの,密度高く,それでいてうるさくならず,むしろすっきりとした感じさえあります。残響が抑え気味であるのが効いていると思います。録音レベルが高いのも好印象です。不満は残るものの,聴きやすく総合的にはプラスの印象です。

ベートーヴェン:交響曲全集(サー・チャールズ・マッケラス指揮/スコットランド室内管弦楽団,フィルハーモニア管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
サー・チャールズ・マッケラス指揮 Sir Charles Mackerras (Conductor)
スコットランド室内管弦楽団 Scottish Chamber Orchestra (No.1-8)
フィルハーモニア管弦楽団 Philharmonia Orchestra (No.9)
Recorded live at the Edinburgh International Festival by BBC Scotland for BBC Radio 3 in Usher Hall, Edinburgh, in August & September 2006.
CDS44301/5 (P)(C)Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

室内管弦楽団の機動性を活かした機敏でスピード感のある生き生きした演奏がなかなか魅力的です。第九だけフィルハーモニア管弦楽団を起用していますが,演奏がやや乱暴で粗く全集の中では異質で浮いてしまっているのが残念です。考えがあってのことと思いますが,スコットランド室内管弦楽団で統一して欲しかったと思います。

録音ですが,残響感はあまりないものの,中低域がボケ気味で全体的に精彩を欠いています。弦楽器の質感の捉え方も若干弱いのが残念です。そんなに悪くないとは思いますが,良いとも言えません。第九のみ傾向が異なり,ガチャガチャと煩く変に音色にも色が付いていて,これもあまり良いとは言えません。演奏が良いだけにこの録音は惜しいです。

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ブラームス:交響曲第1番(シャルル・ミュンシュ指揮/パリ管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
シャルル・ミュンシュ指揮 Charles Munch (Conductor)
パリ管弦楽団 Orchestre de Paris
8 & 12 January, 1968
TOCE-14002 (P)2007 EMIミュージック・ジャパン (国内盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

私が触れるまでもない,ブラームス交響曲第1番の名盤中の名盤。名曲名盤300選といった企画では評論家先生方の圧倒的な支持を得ていますし,一般的にも高評価を得ていると思います。LP時代に私もよく聴いていました。ちょっと前になぜか聴きたくなってCDを手に入れて久しぶりに聴きました。

のっけから怒濤のごとく押し寄せてくる音の威力は圧巻,終わりまで確かに圧倒されっぱなしです。しかし,少し冷静になって聴いてみると,アンサンブルは粗いし木管の音程も?のところもあり,醒めた目で見ればちょっと勢い任せすぎるんじゃないの?という気もします。結局,良い悪いではなくいろんな意味で突出して「すごい」んだと思います。今の時代にあっては多様な選択肢の一つかなと。

さて録音ですが,1968年の録音にしてはややクオリティが劣る気がします。飽和気味で歪みっぽいのが気になりますが,一方で,めいっぱい音を詰め込んだという密度感があります。この演奏を名盤に押し上げるのに貢献していると思います。ただ,やっぱり私の好みではありません。残念ながら...

第1番 14:43/9:52/5:07/18:17 提示部リピート省略

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ベートーヴェン:交響曲全集(パウル・クレツキ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
パウル・クレツキ Paul Kletzki (Conductor)
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 Czech Philharmonic Orchestra
Recorded at hte Rudolfinum, Prague, in 1964(9), 1965(4, 6), 1967(3, 5, 7, 8), 1968(1, 2)
SU 4051-2 (P)(C)2011 Supraphon a. s. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

アンサンブルがとても良く整っているので一つ一つの音がクリアに聴こえてきて見通しが良いのが特長と言えます。そして何よりもはきはきと明るく楽しげであるところにこの全集の魅力を感じています。モダン楽器の大編成オーケストラですが重くなることはなく,むしろ整然としていて軽快ですし,近年の録音では埋もれがちなことが多い弦楽器の魅力的な質感も感じられるのも良い点です。

もう40年以上前の録音なので少し音の古さや帯域バランスの崩れがあるとはいえ,この演奏の特長が活きる直接音主体の録音も好感が持てます。実際には残響が少し多めに入っていて影響が皆無ではありませんが,許せるレベルです。現代の録音技術でこのような録り方の録音を聴いてみたいものです。

スプラフォンの録音は好感の持てるものが多いような気がしていますが,これもその一つに入ります。演奏も録音も良いので,もう少し聴かれてもよい全集ではないでしょうか。

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チャイコフスキー:交響曲第5番,第6番,他(リッカルド・ムーティ指揮/フィラデルフィア管弦楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32
7243 5 69842 2 6 (P)1992 (C)1997 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★

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チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
スクリャービン:法悦の詩 作品54
7243 5 69843 2 5 (P)1990 (C)1997 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★

リッカルド・ムーティ指揮 Riccardo Muti (Conductor)
フィラデルフィア管弦楽団 The Philadelphia Orchestra
参考: HMV Online

録音年が明記されていませんが,1980年代後半から1990年前半の録音と思われます。フィルハーモニア管弦楽団との全集と傾向的には似ています。オーソドックスで王道をいく演奏とでも言いましょうか,どちらも推進力がありながらも紳士的に抑制の効いた,そして均整の取れた好感の持てる仕上がりになっていると思います。

録音はやはり良くも悪くもEMIらしさがあります。すっきりしないながらも中身の濃い,ほどよく詰め込まれた感じがします。中低域の締まりもあります(ただ,これはフィルハーモニア管弦楽団の方がよかった)。これですっきりと見通しが良ければ文句ないのですが。このあたりがやっぱりEMIです。四つ星はちょっとおまけです(^^;。

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(漆原啓子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
漆原啓子 Keiko Urushihara (Violin)
19-20,September 2010 and 8 & 10, January 2011 at the Ishibashi Memorial Hall, Tokyo
NARD-5035-36 (P)(C)2011 Nippon Acoustic Records, Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

漆原啓子さん,デビュー30周年記念アルバムとのことです。

慎ましく落ち着きのある演奏で,しかも詩情豊か。私だけかもしれませんが,和の風情を感じます。「上手い」を超えてその一歩先へ踏み出していると思います。世界に誇れる素晴らしい和製バッハがまた一つ増えました。うれしい限りです。

録音ですが,若干残響が多めで音色に影響を与えているものの,直接音比率がそこそこ高く楽器の質感も感じられので印象はどちらかといえばプラスです。もちろん私としては残響のまとわりつきのないすっきりした録音が好きなので不満は残りますが,これならまずまず許せる範囲です。

チャイコフスキー:交響曲全集(リッカルド・ムーティ指揮/フィルハーモニア管弦楽団,他)

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チャイコフスキー:交響曲全集
第1番(*),第2番,第3番,第4番,第5番,第6番,マンフレッド,幻想序曲「ロメオトジュリエット」(1975-1981年録音),幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」(1991年録音)(**),序曲「1812年」(1981年録音)(**)
リッカルド・ムーティ指揮 Riccardo Muti (Conductor)
フィルハーモニア管弦楽団 Philharmonia Orchestra
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 New Philharmonia Orchestra(*)
フィラデルフィア管弦楽団 Philadelpia Orchestra(**)
50999 501769 2 2 (P)(C)2007 EMI Music France (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: HMV Online別企画盤),Amazon.co.jp

第4番~第6番を聴きました。第4番と第6番は推進力があり引き締まった好演奏,第5番はやや大人しくよく言えば紳士的にまとめていますが,少し物足りない感じが残ります。とはいえ,ここまでオーケストラをドライブしながら良く統率してまとめ上げています。表現に大げさなところがない正統路線というのも印象が良いです。

録音ですが,EMIらしいどこか冴えないすっきりしない音質ながら,その点を除けば残響感も抑え気味で密度高く音を詰め込んでいる感じです。量感がありながらブーミーになることなく引き締まった低域の質も悪くありません。音色に精彩がないのが本当に惜しいです。

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愛の挨拶/ワルツ・カプリース~ヴァイオリン名曲の花束(カトリーン・ショルツ)

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愛の挨拶/ワルツ・カプリース~ヴァイオリン名曲の花束
カトリーン・ショルツ Katrin Scholz (Violin)
アンナ・ナレット Anna Naretto (Piano)
Recorded at Siemensvilla, Berlin-Lankwitz on March 11-13, 2010
VICC-60768 (P)(C)2010 ビクターエンターテインメント株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

贔屓のヴァイオリニスト,カトリーン・ショルツのヴァイオリン名曲集(曲目はHMV Onlineをご参照ください)。陳腐な邦題が腹立たしいのですが,まあ許しましょう。

ショルツ氏は1989年の日本国際音楽コンクールで優勝,1991年のケルン・クーレンカンプ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなどの実力者で,1995年よりベルリン室内管弦楽団の音楽監督に就任,1998年よりドイツ・ブレーメン音楽大学の教授に就任しているとのことです。

こういう小品を弾かせてもやっぱり上手いです。過度に個性を主張することなくその曲の本質的な良さ,美しさを最大限に聴かせようとする特質はここでも変わりません。ちょっと真面目で堅すぎるかもしれませんが。これが彼女の良いところであり,また,あまりメジャーにならない理由かもしれません。

録音ですが,彼女の美しいヴァイオリンの音色をよく捉えています。残響は抑えられていて明瞭感があり,音色も自然で質感もそこそこ感じられます。ヴァイオリン独奏の録音として,これならほぼ文句ありません。