書籍:クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])

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クラシック名録音106究極ガイド
嶋護[著]
ステレオサウンド刊 2011年5月31日発行
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

いつもお世話になっている友人から「こんな本があるよ」と紹介されて入手しました。まださわりしか読んでいませんが,私にとっても興味深い話がいろいろとありそうです。いくつか持っているディスク,すでに紹介済みのディスクもいくつかあります。この本を読みながら改めて聴いてみたいと思っています。

なお,大部分がアナログ時代の録音で,紹介自体もアナログ盤がほとんどです。

以下,本書に記載されているもので私が以前紹介したものです。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(グレン・グールド)
バッハ,クライスラー,イザイ(アルトゥーロ・デルモーニ) (CD試聴記)
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(ライナー指揮/シカゴ交響楽団) (CD試聴記)
チャイコフスキー:交響曲全集(メータ指揮/ロサンゼルス・フィル)
「ヴァイオリン」(アーロン・ロザンド) (CD試聴記)

アルテミス弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集 ボックス化

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
アルテミス四重奏団 (artemis quartet)
参考: HMV Online (2011/10/17発売予定)

アルテミス四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲は,今まで分売で少しずつ発売されてきましたので,発売される毎に購入して取り上げてきました(→記事)。演奏も録音も良いので全集の完成を楽しみにしていたのですが... 今年発売された第3番,第5番,第16番のディスク発売のHMV Onlineの解説に「全集シリーズの最後を飾る」と書いてあって,第10番がまだなのに最後とはどういうことだろうと思っていたら,第10番未発売のまま全集ボックス化?!

これはいったいどういうことなのか。第10番が聴きたかったら全集ボックスを買えということなのか? 発売される毎に購入して応援してきたファンを裏切るこの発売の仕方に怒りを覚えています。

最近文句が多くてすみません。でもこれはちょっと頭に来たので。(といいつつ全集ボックスはやっぱり買ってしまいそうです...)

ベートーヴェン:交響曲全集(クラウディオ・アバド指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)(※ライヴ)

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ベートーヴェン:交響曲全集
クラウディオ・アバド指揮 Claudio Abbado (Conductor)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker
(Nos.1-8) Accademia Nazionale di Santa Cecilia, Rome, February 2001, (No.9) Berlin Philharmonie, Grosser Saal, April-May 2000
00289 477 5864 (P)2008 EuroArts Music International/Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(Nos.1-8), ★★★★(No.9)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

この全集の成り立ちに関してはHMV Onlineにも記載があります。1999年から2000年にかけてセッション録音で全集を完成させていますが,この全集の第1番から第8番はその後に収録された映像作品の音声トラックをCD化したもので,第9番だけは映像作品ではなくセッション録音の全集から持ってきているとのことです。

私はベルリン・フィルというと,一人一人の奏者の個性がぶつかり合ってあのサウンドが成り立っている,そしてアンサンブルは時々信じられないくらいに崩れる,という“カラヤン/ベルリン・フィル”の印象が強すぎて,実はあんまり良い印象は持っていないのですが,この全集は,ベルリン・フィルの良い面をうまく引き出し,アンサンブルをきちっとまとめていてなかなか良い感じに仕上がっていると思います。

全体に速めで推進力があり,そして生き生きとして躍動感がある。旧来の重厚なベートーヴェンではなく,かといって今風にピリオドに傾きすぎてもいない,アバドらしいスタンダード路線でありながら新鮮さもある,なかなか良い全集だと思いました。

録音ですが,第1番から第8番までのライヴ録音が良い出来です。残響感はかなり控えめでそれぞれの楽器の質感を大切にされていますし,ライヴとして演出臭くなく自然な捉え方であることも特筆できると思います。音のヌケも悪くありません。突出して良い録音というわけではありませんが,私としてもほとんどストレスを感じずに聴くことの出来る好録音と言えると思います。第9番の録音はそれに比べるとやや鮮明さに欠け少し落ちます。

まあ賛否いろいろとあるとは思いますが(酷評する方もおられるようですが),スタンダードで録音もまずまず良好な全集としてお薦めできるかなと思っています。私自身はウィーン・フィルとの全集よりも演奏・録音のトータルとしてはこちらの方が気に入っています。

藤原浜雄さんのバッハ:無伴奏ヴァイオリンの残響付加加工

先日取り上げた藤原浜雄さんのバッハ無伴奏ヴァイオリンの再発売盤(というより復刻盤か?)で,各曲の最後の楽章の最後の一音にリバーブが付加されている件,あまりわかりやすいとは言えませんが,せっかく図を作ったので載せておきます。

下記の図は,ソナタ第3番の終楽章,allegro assaiの最後の一音の部分の波形を比較しています。上が(a)東芝EMI盤(旧),下が(b)SONARE盤(新)です。赤線より右が最後の音で,(b)はこの赤線以降でリバーブがかけられています。そして弾き終えてからの音の減衰の具合が異なることが見て取れると思います。

fujiwara_bach_sonata_no3_allegro_assai_last.jpg
(※画像をクリックすると原画像を表示します)

赤線より以降のリバーブのかかった音が明らかに変で違和感があります。

貴重な文化的記録の改竄とも言える許されがたい行為と私は思っています。(大げさな(^^;)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(藤原浜雄)

cover picture (a) cover picture (b)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
藤原浜雄 Hamao Fujiwara (Violin)
1985.6.5 イイノホール
(a) PCDZ-1543/44 (P)1997 東芝EMI(株) (国内盤)
(b) SONARE 1007-8 (P)1986 (C)2011 Sonare Art Office (国内盤)
好録音度:(a)★★★★★ (b)論外!(怒)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です(編集・追加あり)。

(a)は元々はLPレコードとして発売されていたものがCD化されたもの,(b)はレーベルを変えて再発売されたものです。

ライヴらしい気迫に満ちあふれた演奏です。即興的な感じがほとんどなく,バッハの音楽に鋭く迫ろうとするような姿勢が感じられます。全体的に速めのテンポで力強さがあり,また音色にも非常に張りがあって聴き応えがあります。演奏上の傷はいろいろとありますが,そんなことが全く気にならないほどの好演だと思います。基本的にリピートが省略されており,この点が非常に残念でなりません。

解説書によれば「当初は記録目的であったが内容が良かったのでレコード化した」とのことで,それも十分に納得できます。

録音ですが,ライヴ録音ながらかなり近接マイクで収録されているようで,残響が全くといって良いほど無く,非常に鮮明に,かつ,生々しく収録されているところが素晴らしいです。演奏者の芸術性が本当にストレートに伝わってきます。ライヴ録音としてはこれ以上望むのは無理といっても過言ではないと思います。オーディオ的な音質,バッグクラウンドノイズ,アナログテープの転写(?)など,オーディオクオリティでは今一歩という感じはしますが... 私の好みという点ではまさに理想に近い録音です。

で,(a)は「至高のバッハ・リサイタルを完全収録したライヴ・アルバム!!」というだけあって,入場時の拍手から調弦まで収録されています。一方(b)は,拍手や調弦は全てカットされています。波形を比較する限りディジタルデータはそのまま流用されているように思われますので,音質は同等と思って良いと思います。

しかーし!! こともあろうか(b)は各曲の最後の楽章の最後の一音に人工的なリバーブが付加されています。これは(a)にはなかった処理で,(a)では響きが残らずそのまま拍手につながっていくのですが,(b)は拍手がなくいかにも人工的な響きだけが残ります。さらにそれだけでなく,最後の一音が変な音に変わってしまっています。これは全くいただけません。この一音でそれまでの素晴らしい演奏の余韻を全てぶち壊しています。全くもって腹立たしい。こんな残響処理でごまかそうなんぞ,音楽愛好家をバカにするな!と言いたい(激怒)。この素晴らしい演奏にこんなごまかし処理をする必要など一つもないのだ。

実は(b)のCD,待望の新録音だ!と何の疑いもなく買ってしまったのでした。なぜそう思ってしまったのか。次の写真を見ていただきたい。

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これは(a)のケースの裏の写真です。実に若々しい。一方(b)のジャケット写真,これは近年の写真ではないかと思われます。ジャケット写真に使う写真の年齢があまりにも違いすぎます。十分に確認せずに買った方も悪いですが,新録音と勘違いさせるようなジャケット写真は少し不誠実ではないかと思います。

元の演奏・録音が良いだけに,今回のこの処理とジャケット写真には少々頭に来ましたので苦言を述べさせていただきました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,第3番,パルティータ第2番(前田朋子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,第3番
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
前田朋子 Tomoko Mayeda (Violin)
Recorded November 2010, at Studio Glanzing, Vienna
Gramola 98883 (P)(C)2011 Gramola (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

非常にキレの良い,現代的でクールな演奏。技術的な冴え,正確さ,安定感は特筆できます。キレの良さに加え伸びと粘りのある弓運びで音のつながりが絶妙,隅々まで神経が行き届いた細やかな表現も素晴らしいです。

録音ですが,残響がやや多めです。楽器音がしっかりと捉えられていますが,この残響のためかなり鮮明さと音色が失われています。それなりに楽器の質感は感じられるものの,あまり良いとは言えません。