バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(サラ・サンタンブロジオ)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
サラ・サンタンブロジオ Sara Sant'Ambrogio (Cello)
(a) Church of the Ascension, New York City(No.1,3,5)
(b) West End United Methodist Church, Nashville, TN (No.2,4,6)
自主制作? 品番なし (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: (a)HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records,(b)Amazon.co.jpAmazon.com

CD試聴記」からの転載記事です。

サラ・サンタンブロジオは,第8回チャイコフスキー国際コンクール(1986年)第3位という実力の持ち主とのことです。

今となっては珍しくなった,ハイテンションでコテコテの濃いバッハ演奏。意欲的でダイナミックで聴いていて面白いのは確かですが,唐突なアクセントにビクッとさせられたり,大げさな表現に聴いている方も少々疲れるかなとも思います。技術力はありますが,音色は少し荒れ気味で美しくないのも少し残念なところです。

録音ですが,楽器音自体はしっかり捉えているものの,響きも多く取り入れているため,明瞭感が損なわれ,高域の抜けも悪くなっています。録音レベルが高めに設定されているのは良いのですが。(b)のNo.2,4,6の方が幾分すっきりしていて聴きやすいです。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

Crooked Still Live

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Crooked Still Live
自主制作? (C)2009 Crooked Still (輸入盤)
 愛聴盤 
参考: 公式WebサイトAmazon.com
フィドラーのブリタニー・ハースの参加するブルーグラスのグループ Crooked Still のライヴアルバム。自主制作ではないかと思います。先日紹介した最新のアルバム Some Strange Country ではちょっと地味に聴こえていたチェロが,このアルバムではチョップ奏法が冴え渡りリズムを引き締める素晴らしい活躍を見せています。特に1曲目の Orphan Girl はポップで格好いい曲です。

ライヴで粗はありますが,こういうグループはライヴでこそ本領を発揮しますね。いやぁ,このアルバムは良かったです。当たりでした。

あまり質の良い映像がなかったのですが,フィドルとチェロのチョップ奏法が楽しめるものを載せておきます。

ハイドン:弦楽四重奏曲 作品20 「太陽四重奏曲集」(ハーゲン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品20「太陽四重奏曲集」
ハーゲン四重奏団 Hagen Quartet
München, Residenz, Max-Joseph-Saal, 11/1992 (No. 3) & 5/1993 (Nos.1 ,5 , 6); Rapperswil, Schloß, Rittersaal, 1/1993 (Nos. 2 & 4)
439 920-2 (P)1994 Deutsche Grammophon GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.co.uk

モーツァルトの弦楽四重奏曲の演奏と同様に,現代的で洗練されたハイドンの演奏はさすがと言えると思います。キレの良さ,スピード感,ダイナミックレンジの大きさ,他の四重奏団ではなかなか味わえません。元々あまり進んで聴かない作品20ですが,この曲の新しい魅力を発見した気がします。

録音ですが,No.1, 5, 6は残響が多めで明瞭感が悪く音もくすみがちです。残りの曲はそれに比べると少し良好ですが,それでももう少しすっきりと透明感のある音で録音して欲しかったと思います。ちょっと厳しめですが三つ星半ですね。

このディスク,以前から注目していたのですが廃盤でAmazon.co.ukなどではプレミア価格が付いていて手が出なかったのですが,先日久しぶりにチェックしてみると,£9.91で出ているではないですか! すかさず注文しました。送料込みでも日本円で1,700円弱,盤の状態も良好でラッキーでした。

それにしても,なんでエルデーディ四重奏曲を録音してくれないんでしょうね!

ベートーヴェン:交響曲第2番,第3番,第6番,第7番(カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第2番,第3番,第6番,第7番
カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団
録音 1983年,1985年
MP 903849 (P)2006 (C)1996 Disky Communications (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: HMV Online
カール・ミュンヒンガーといえばシュトゥットガルト室内管弦楽団のイメージが強いのですが,フルオーケストラを指揮したベートーヴェンの交響曲の録音があったのですね。演奏自体はオーソドックスで堅実。曲の部分部分によってテンポ設定を微妙に変えたりと旧世代に属する演奏なのかなぁと感じるところがあります。終楽章も遅めですが,克明に音を刻んで曲を浮き彫りにするところなどは最近の演奏にはない良さがあると思います。

録音ですが,残念ながら残響が多くもやもやしていて良くありません。高域のヌケも悪く鮮明さがありません。弦楽器と管楽器のバランスは良く弦楽器の充実した音を捉えているだけに残念です。ちょっと信じがたいのですがHMV Onlineによるとデジタル録音のようです。独インターコードに録音したものでEMIからのライセンスを受けているということで,これをEMI録音と言えるのかはわかりませんが,音を聴く限りは「EMI音質」です。

それにしても駅売りの廉価盤のような安っぽいセットです。解説書も付いていませんでした。

アルテミス弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集ボックスセット

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
アルテミス四重奏団 artemis quartet
録音 1998-2011年
50999 0708582 6 (P)2005-2011 (C)2011 Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
10年以上にわたって少しずつ発売されてきたものが全集化されました。少し前のエントリーでも書きましたが,結局分売では発売されず終いだったOp.74がここで追加されています。

演奏については分売のものの紹介で述べたとおりです。Op.74も基本的に変わりません。研ぎ澄まされたスケールの大きな演奏は痛快そのものです。録音は最初の頃の録音で残響が多くあまり良くないものも含まれますが,最近録音されたものは概ね良好です。途中でメンバーが二人交代していますが,演奏は一貫していてぶれていません。良い全集だと思います。

しかし! やっぱりOp.74を分売で出さずにボックスセットで全集を完結させるやり方は納得できません。今までに発売される度に買ってきたファンを裏切るこういうやり方は許せません! 私は彼らのOp.74を聴きたいがためだけにこのボックスセットを購入しました。今までに買ってきた7枚をいったいどうしてくれるんだ(怒)。

ベートーヴェン:交響曲全集(ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
Recording: Lukaskirche Dresden, 1975-1980
Brilliant Classics 99927 (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineBerlin Classics盤),Amazon.co.jpBerlin Classics盤
様々なレビューにて伝統的スタイルのベートーヴェンの最高峰と絶賛される演奏。私としても全く異論はありません。オーケストラを存分にドライヴしつつも端正さを失わない品格の高さ,素晴らしいですね。

録音ですが,多少残響が多めに感じられる曲もありますが,各楽器の質感まで捉えていて概ね良好です。少し中域に癖があり,また,高域のヌケがもう少し良ければと思うところですが,中低域の締まりの良さなどもあり,残響が控えめの曲はかなり好印象です。オーディオ品質的には現代のデジタル録音にはかないませんが,この素晴らしい演奏の前にそういうことは気にならなくなります。

Berlin Classicsの録音は良好なものが多いと思います。

ベートーヴェン:交響曲全集(ギュンター・ヴァント指揮/北ドイツ放送交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ギュンター・ヴァント指揮/北ドイツ放送交響楽団
1986-1990年録音
74321 89109 2 (P)(C)2001 BMG Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
まさに正統路線のど真ん中を行く立派な演奏で,大編成による分厚い響きを引き出しながらも重くなることなくむしろ躍動感をもって前へ前へ推進されるところが素晴らしく,これに見事に応えている楽団も見事で,もう圧倒的としか言いようがない音楽を創り出しています。旧来的なスタイルの延長線上ですが,この路線を極めた感があります。

録音ですが,概して残響過多で私の好みからは外れますが,この残響量からは考えられないほど帯域バランスが整っています。イコライザを使ってバランスを整えたときにみられる独特のザクザクした不自然な質感があるようにも思いますが...気のせいかもしれません。弦楽器主体で質感をそこそこ上手く捉えていてこの点は好印象です。凝縮度が高く大編成の分厚い響きと相まって怒濤のサウンドを形成しています。私としてはやっぱり残響が気になってしまうのですが,これが許せる方なら問題なく楽しめると思います。

2011年10月18日時点でHMV Onlineのユーザーレビューが46件と他の全集と比べると圧倒的なレビュー数で,しかもそのうち42件が五つ星です。実際に聴いてみるとなるほどと思いますが...こんなに絶大なる人気を持った指揮者だったのですね。知りませんでした。スミマセン。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:交響曲全集(ジョン・ネルソン指揮/アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリ)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ジョン・ネルソン指揮/アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリ
Recorded in July 2005 [nos.5-9] and January 2006 [nos.1-4] at lrcam, Espace de projection, Paris (France)
ambroisie AM9993 (5枚組BOX) (P)(C)2006 naïve (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
2007年12月5日の編集日録でも取り上げていました。アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリはパリ室内管弦楽団とも言うそうです。小編成モダン楽器オーケストラによるベートーヴェン交響曲全集。弦楽器は対向配置。この顔合わせでのモーツァルト後期交響曲集もあります。

小編成の機動力を活かした小気味よい演奏で,全体的にテンポは速めで推進力があります。アンサンブルも良く音に透明感があり,すっきりとして見通しも良好です。大編成オーケストラの豊潤な演奏を聴いたあとにこれを聴くとスカスカしてものすごく物足りないように感じられるのはないかと思います。そういう演奏が好きな方には全くお薦め出来ませんが,私はすごく気に入っています。

録音もこの演奏に合わせるように残響を控えめにしてすっきりと録っています。もう少しそれぞれの楽器の質感を強調して録ってくれたほうが良いと思いますが,まあこれでも十分に良好な部類に入ります。

ベートーヴェン交響曲全集の愛聴盤の一つです。

ブラームス:交響曲全集(デヴィッド・ジンマン指揮/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
デヴィッド・ジンマン指揮/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
Recorded: 14,15 April 2010, Tonhalle Zurich, Switzerland
RCA Red Seal 88697 93349 2 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment(輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
機敏で引き締まった演奏で全体にオーソドックスにまとめていますが,オーケストラから柔らかくニュアンスに富む響きを引き出していてこれは素晴らしいですね。ジンマンといえば以前に友人からベートーヴェン交響曲全集を借りて聴いたことがあり,その印象から鮮烈な演奏を期待していたのですが,良い意味で期待を裏切られました。

録音ですが,響きが多めで密度が高くごちゃっとした感じで見通しが良くないので私の好みではないのですが,音色自体にはあまり癖がなく意外に聴きやすいです。弦楽器の質感もまずまず良好で印象は悪くありません。

これは良い全集でした。

第1番 15:24/8:37/4:26/16:30 提示部リピートあり
第2番 20:37/10:11/5:08/9:49 提示部リピートあり
第3番 13:11/7:57/6:15/8:51 提示部リピートあり
第4番 12:41/10:44/6:10/9:42

タグ: [交響曲] 

Some Strange Country (Crooked Still)

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Some Strange Country
Crooked Still
SIG 2029 (P)(C)Signature Sounds Recording (輸入盤)
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jp
以前,オールドタイムのフィドラーとして紹介したブリタニー・ハースの参加するブルーグラスのグループです。ブルーグラスの標準的な編成からギターとフラット・マンドリンを抜き,チェロを追加するという変則編成ですが,音楽に違和感はありません(ヴォーカルのAoife O'Donovanがギターも弾くようですがほとんどの曲はギター抜きのようです)。結構キャリアがあるのか,これが5枚目のアルバムです。全然知りませんでした。

ブリタニー・ハースをオールドタイム・フィドラーとして紹介しましたが,このバンドの音楽はどちらかといえばモダンな感じのするブルーグラスでソロ・アルバムとはかなりイメージが異なります。私としてはもっと前面で活躍して欲しいのですが,ヴォーカル中心の音楽なので仕方ないですね。

アルバムに収められている曲ではありませんが,YouTubeに最近のライヴ映像がアップされていましたので載せておきます。


これはビートルズの曲ですね。


ブリタニー・ハースのフィドル,やっぱり格好いいなぁ...

チャイコフスキー:交響曲第6番,ボロディン:交響曲第2番(ジャン・マルティノン指揮/ウィーン・フィル/ロンドン交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
ジャン・マルティノン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(チャイコフスキー 1958年4月)
ロンドン交響楽団(ボロディン 1960年)
UCCD-7021 (P)1958,1961 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★★(ボロディン),★★★★☆(チャイコフスキー)
参考: HMV Online(SHM-CD)Amazon.co.jp(SHM-CD?)

これもクラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])で紹介されていたものです。チャイコフスキーの方を見てぜひ聴きたいと思い手に入れました。チャイコフスキーは1958年録音で,マスターテープの問題か,音がつぶれるところが散見されることと,若干周波数バランス的に低域が抜けている感じがするものの,残響のほとんどない明瞭な録音が印象的で,オーディオ品質を除けばかなり良好と言えます。

しかし,仰天したのはボロディンの方です。この録音は1960年で,クラシック名録音106究極ガイドに載っているのは1958年録音ですので違うものかもしれませんが,これは本当に素晴らしい! 残響を抑えた極めてキレの良い録音で,弦楽器をはじめ,各楽器の質感もしっかりと捉えられていますし,周波数バランスも申し分ありません(若干高域のヌケが悪いかもしれませんが)。こちらの方はノーマークでした。

ボロディンは初めて聴きましたが,録音の良さにワクワクしながら聴き通してしまいました。こんなに心躍る録音は久しぶりです。音場感や録音会場の雰囲気を再現するといったこと以前に音楽自体をしっかりと収めることがいかに大切かをこの録音は再認識させてくれます。

リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」,他(フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団)

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リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
1956年11月3日(うぐいすの歌),1960年2月8日(シェエラザード)
BVCC-37150 (P)1996 BMG (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
「シェエラザード」の方はクラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])で紹介されていました。「うぐいすの歌」は1956年,「シェエラザード」は1960年の録音で,衝撃的だった「ツァラトゥストラ」「英雄の生涯」の1954年録音よりも後年の録音ですので,当然こちらの方が良いであろうと思ったのですが,う~ん,なぜでしょう? この録音からはあの衝撃を受けることはありませんでした。どちらかといえば1956年の「うぐいすの歌」の方が良く,「シェエラザード」の方は逆に鮮明さが著しく落ちているように感じました(おそらく残響の影響でしょう)。録音の退化はすぐに始まっていたのかもしれません... なんでこうなってしまったのでしょう?

と以上のように書きましたが,実はどちらもそんなに悪くないんですけどね。あのツァラトゥストラとどうしても比べてしまうので,厳しい聴き方になってしまうのです。

キス・アンド・フライ(玲里)

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キス・アンド・フライ KISS AND FLY
玲里 Rayli
XQKH-1001 (P)2011 読売テレビエンタープライズ (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: オフィシャルWebサイトTwitterHMV OnlineAmazon.co.jp
少し前にオーディオ誌に優秀録音として,また,歌唱力のある本格派のシンガーソングライターのデビューとして取り上げられていました。ジャケット写真と目が合って「聴いてくれ...」と訴えかけられているようで...いわゆるジャケ買いというやつですね。

守備範囲外の音楽なので,音楽自体へのコメントは避けておきます(^^;。確かに歌は上手いですねぇ。これからの成長,活躍を期待したいと思います。

録音ですが,曲によって差がありますが,ほとんど無加工のストレートなロック調のバンドのサウンドが良いです。商業主義的ではない,作り物のにおいのしない,演出臭くない,こういうサウンドに久しぶりに出会った気がします。なんだかとても懐かしくなりました。こういう気持ちの良いサウンド,これからも大切にして欲しいですね。

ベートーヴェン:交響曲全集(ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団)(1972-74年録音)

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ベートーヴェン:交響曲全集
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校クラナートセンター 1972年(No.9),イリノイ州メディナ・テンプル 1973,74年(No.1-5,8),ウィーン ソフィエンザール 1974年(No.6,7)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
ショルティ1回目の全集。クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])でも紹介されています。ショルティ/シカゴ交響楽団の硬派そのものの演奏。田園など,一体どこの田園なんだ!?というくらい徹底しています(^^;。ただし推進力のある爆演ではなく,むしろ全ての音をきっちりと弾かせていて実直で頑固な演奏と言った方が合っているかもしれません。

録音ですが,3つの会場を使っていますが,統一感があります。一番状態が良いのが第9番で,響きを抑えて明瞭感と質感を確保し,締まりのある中低域が気持ちよく響くまずまずの録音です。ですが,全体に高域の伸びがなくヌケが今ひとつ,すっきりしないところが残ります。惜しいです。

ペーパー・エアプレーン(アリソン・クラウス&ユニオン・ステーション)

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紙飛行機 paper airplane
アリソン・クラウス&ユニオン・ステーション
0011661066526 (P)(C)2011 Rounder Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online国内盤),Amazon.co.jp国内盤
アリソン・クラウスはこれまでにグラミー賞を27回受賞し「ブルーグラス界の至宝」と呼ばれる存在にまでなったとのことですが,日本ではあまり馴染みのない音楽ジャンルのためかそれほど知名度が高くないように思います(Wikipediaにも日本語のページがない...)。

それで,この最新アルバムなのですが...ある雑誌に優秀録音として取り上げられていたので久しぶりに聴きたくなったのでした。

で,聴いてみたのですが...“I've Got That Old Feeling”が最高と思っている私としてはちょっと微妙だなぁ...という感じなのです。歌い方がそっとささやくようなスタイルで,さすがに20年経つとすっかり大人の雰囲気となり,若々しくピチピチしたところは影を潜めてしまっています。曲調も渋くちょっと暗めです。当たり前といえば当たり前の変化なのですが。

録音ですが,確かに優秀録音と言える良好な録音ではあるのですが,音作りに演出色が濃く出ており,“I've Got That Old Feeling”の超ストレートな録音に比べるとやはり作り物の臭いがしてしまいます。あの素直なサウンドはどこへ行ったのだろう...

音楽にしろ録音にしろ,ちょっと遠いところへ行ってしまったような気がして淋しくなりました。

I've Got That Old Feeling (アリソン・クラウス)

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I've Got That Old Feeling
アリソン・クラウス Alison Krauss
Rounder CD 0275 (P)(C)1990 Rounder Records (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
久しぶりにアリソン・クラウスが聴きたくなって新アルバム「ペーパー・エアプレーン」を聴いたのですが...これを取り上げる前にこちらのアルバムを取り上げておかないと,と思ったので。

このアルバムは1990年に発売されたアリソン・クラウスの3作目。当時19歳でイリノイ大学音楽科在籍中だったとのこと。若々しく躍動的ではち切れんばかり,そして透明で輝きのある美しい歌声! どの曲も素晴らしく穴がありません。明るく楽しいブルーグラスが満喫できる素晴らしいアルバムです。彼女のアルバムを何枚か持っていますがこれが最高に気に入っています。

アリソン・クラウスを知ったのは,NHK-BSで放送していた,1991年に熊本で開催されたカントリー・ゴールドというフェスティバルの録画でした。アリソン・クラウス&ユニオン・ステーションでの出演で,その美しい歌声と味のあるフィドルに感激してファンになったのでした。それで買ったのがこのアルバムです。カントリー・ゴールドで演奏されていた曲も含まれています。

alison_klauss_country_gold_91_large.jpg

ちなみに一番右でバンジョーを演奏しているのがアリソン・ブラウンです。地味だけどすごく上手いなぁと感心して観ていました。有名なバンジョー奏者だということをあとで知りました。このアルバムでも3曲で共演しています。

知ってからもう20年も経つんだなぁと思うとちょっと感慨深いものがあります。

再:Richard Strauss in High Fidelity (フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団)

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R. シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った 作品30
R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
Recorded March 8, 1954(Op.30),March 6, 1954(Op.40)
RCA/BMG 8287661389 2 (P)(C)2004 BMG Music (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp(CD)
クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])でも紹介されていますが,私もCD試聴記の編集日録2007年12月6日および2009年12月2日のエントリで紹介していました。何度聴いても衝撃を受けます。この50数年,録音の機材はものすごく進歩してきましたが,録音そのものはむしろ退化したんじゃないかとさえ思ってしまいます。この当時の録音の方が,明らかに個々の楽器の音,質感を大切に扱っています。多くが認めるこんなに素晴らしい録音が存在するのになぜ倣わないのでしょうか? 全く理解できません。

なお今回,好録音度を五つ星に改めています。

ベートーヴェン:交響曲全集,ピアノ協奏曲全集(ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ/メルヴィン・タン)

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ベートーヴェン:交響曲全集,ピアノ協奏曲全集
サー・ロジャー・ノリントン指揮
ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
メルヴィン・タン (fortepiano)
Recorded No.1 Studio Abbey Road, London, 1986-1989
50999 083423 2 4 (P)1987-90 (C)2011 Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: HMV Online(交響曲のみ),Amazon.co.jp(交響曲のみ)

ピリオド楽器使用。「ため」ることなく,もったいぶることなく,快速テンポでアグレッシブに突き進みます。大胆な表現が至るところで顔を出します。ある意味期待通り。しかし,この録音...

あまり残響を取り入れていないにヌケの悪いくぐもった音質。アビーロードスタジオでの収録にも関わらず,です。まるで典型的なEMI音質。演奏が面白いのにこの録音では残念ながら楽しめません。スタジオでの録音なのですから,もっと個々の楽器に寄って明瞭でヌケの良い録音にして欲しかった。残念。

チャイコフスキー:交響曲第5番(クラウディオ・アバド指揮/ベルリン・フィル)

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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
ムソルグスキー:歌曲集「死の歌と踊り」
クラウディオ・アバド指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1994年2月18-20日 ベルリン・フィルハーモニーにて収録
SRCR 9633 (P)(C)1994 Sony Classical (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online(SACD)Amazon.co.jp(SACD)(CD)

このチャイコフスキーもアバドらしく,ベルリン・フィルをドライヴしつつ紳士的にキチッとスタンダードに仕上げてきています。特徴のある演奏ではないので印象に残りにくい面はありますが,結局こういう真っ当で出来のよい演奏が一番長く聴き続けられますよね。

録音は「ライヴ・レコーディング」とありますが,拍手は入っていません。特筆するようなところはありませんが,平均的な録音として十分に良い部類に入ります。

安心してお薦め出来るあたり,さすがアバドと言えるでしょう。

タグ: [交響曲] 

豊田耕兒の世界2 室内楽セレクション

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豊田耕兒の世界2 室内楽セレクション
豊田耕兒(Violin)/豊田元子(Piano)
[Disc 1]1965年1月 ビクタースタジオ,[Disc 2]1964年
NCS 612-613 (P)(C)2008 TOWER RECORDS (国内盤)
TOWER RECORDS VICTOR HERITAGE COLLECTION
好録音度:★★★★
参考: TOWER RECORDS
【収録曲】
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ 作品1-3, 13, 15
エックレス:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
ヴェラチーニ:協奏ソナタ ホ短調
甲斐直彦:ヴァイオリン・ソナタ
ヴェーベルン:4つの小品 作品7
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント

CD試聴記」のヘンデル:ヴァイオリン・ソナタの頁からの転載記事ですので,ヘンデルについてのみの記載します。

時代を感じさせるモダン楽器の古いタイプのスタイルには違いないのですが,意外にも急速楽章の“ノリ”が良く溌剌としていて胸のすくような気持ちの良い演奏でもあります。これだけでも,あぁ聴いて良かった! と思えます。

録音ですが,かすかにスタジオの残響はありますが,明瞭そのもので好印象です。テープのヒスノイズが大きく,また,若干高域の伸びが不足しているのが残念ですが,音の捉え方が良いのでそれほど気になるものではありません。

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集(フィリップ・ネーゲル)

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ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集
フィリップ・ネーゲル Philipp Naegele (Violin)
Paul Rey Klecka (Harpsichord)
1983年録音
(a) SM 93340/41 DA CAMERA MAGNA (輸入盤) (*LP)
(b) DaCa 77 036 DA CAMERA MAGNA (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online

CD試聴記」からの転載記事です。最近CD化されたものを手に入れましたので,この機会にこちらでも取り上げました。

一所懸命がんばって弾いているのですが,どこかおっとりしていて微笑ましいです。メトロノームに合わせて弾いたようなテンポ感を持った演奏なのですが,全然退屈しません。キレの良い演奏ではありませんが,技術的弱さがほとんど欠点につながっていないと思います。こういったところがヘンデルの面白いところ,と改めて感じさせてくれます。

録音ですが,わずかに残響感がありますが,明瞭感が高く,音色も自然な好録音に思います。ヴァイオリンだけでなく,チェンバロの音もバランス良く,また,楽器そのものの深い響きをくっきりと捉えていて好感を持ちました。

LPジャケットにもCD化された解説書にもソナタ第7番まで記載されていました。第7番とは何か?と思ったら,Op.1-6(HWV364a)でした。最近発売されるソナタ集では第○番と記載されるものはほとんどなくなりました。偽作とされているものも省かれ,代わりに作品1に入っていなかった曲が入れられるようになってきていますね。