バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ルーシー・ファン・ダール)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ルーシー・ファン・ダール Lucy van Dael (Violin)
Recorded in Maia Minor Church, Utrecht, the Netherlands, 2, 9, and 16 April, 1996.
NAXOS (Vol.1)8.554422 (Vol.2)8.554423 (P)(C)1999 HNH International Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online(Vol.1icon, Vol.2icon),Amazon.co.jp(Vol.1, Vol.2),Tower Records(Vol.1Vol.2)

CD試聴記」からの転載記事です。2回目のレビューです。

バロックヴァイオリンによる演奏で,ピッチはA=415Hzです。

曲によっては大胆にリズムを崩す,いわゆる草書体(行書体?)風の演奏で,装飾などの奏法を含め,これぞバロックヴァイオリンという演奏です。全体に速めのテンポで軽いタッチで音楽が流れていくのが気持ちの良い佳演です。バロックヴァイオリンでありがちなジャリジャリした感じがなく,透明感のある音色が美しく,ピリオド楽器が苦手な私でも楽しめます。

録音ですが,鼻息がはっきりと聴き取れるような比較的近い距離感で捉えられていますが,近すぎる感じはありません。残響はそれほど多くはありませんが,少し音色を曇らせているのが惜しいです。それでもまずまず楽器の質感は保たれ,ニュアンスも聴き取れるためまあ良しとします。そんなに気になるものではありませんが,録音場所の遮音が今ひとつなのか,バックグラウンドノイズが若干大きめに入っています。

この演奏および録音,およそ10年前にレビューしたときにはあまり良い印象ではなかったのですが,今改めて聴いてみて,なかなか良いではないか,と見直しました。

シューマン:交響曲全集(サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1967年(No.3, 4),1969年(No.1, 2)
448 930-2 (P)1968,1970 (C)1999 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
1970年前後のショルティのDECCA録音は好録音が多いので手に入れたディスク。それにしてもショルティのシューマンっていったいどんなんだ?と想像がつかなかったのでちょっと期待して聴いたのですが...いやぁ,期待を裏切りませんねぇ...ふふふっ...(^^;。デリカシーのかけらもないと言ったら言い過ぎか。こんなパワフルで吠えまくる,猛進するシューマンって...決してお薦めはしませんが,私は手許に置いておいて,時々取り出して一人ニヤニヤしながら聴いていそうな気が...それにしてもウィーン・フィルからこんなサウンドを引き出すとは,指揮者の統率力は大したものだと改めて思います。

で,肝心の録音ですが,サウンドの質感は期待通り,ただ,少し古くささがあり,鮮度がないというか,わずかながらすっきりしないところが残ります。1960年代後半ならもう少しスキッとした音で残して欲しかったところですが,仕方ないですかね。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(リサ・ヴァティアシヴィリ(Vn)/クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
C. シューマン:ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス(*)
リサ・バティアシヴィリ Lisa Batiashvili (Violin)
クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
アリス=紗良・オット(*) (Piano)
Lukaskirche, Dresden, 6/2012, Musikstudios, Munich, 10/2012(*)
479 0086 (P)2012 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★☆,★★★★(*)
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

この人のヴァイオリンの音色は本当に美しいです。フォルティシモであってもどこまでも冷たいほどに透明。それでかつ艶めかしい。ヴァイオリンの魅力を存分に楽しませてくれます。

しかし,この録音は非常に残念です。残響が多く間接音の方が優勢で明らかに音色を劣化させています。音像も遠めで質感を感じられそうで感じられないもどかしさが常について回ります。なんでこんなに素晴らしい演奏,素晴らしい音色をストレートに楽しませてくれないのか,残念でなりません。残響が気にならない方なら問題ないのかもしれませんが,私にはこの録音は向きません。

ちなみにカデンツァはブゾーニ版を使っています。

一方,珍しいクララ・シューマンの愛らしいピアノとの二重奏は,録音はだいぶマシでこれならそれほど不満はありません。

「CD試聴記」60万アクセスありがとうございます。

本日,姉妹サイト「CD試聴記」のアクセス数が60万を超えました。昨年5月に開設10周年を迎えましたが,更新頻度が低いにも関わらず毎日皆様の多くのアクセスをいただいており,大変感謝をしております。

これからも少しずつマイペースで続けていきますので,今後ともよろしくお願い申し上げます。(毎度同じコメントで申し訳ありません(^^;)

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(レオニダス・カヴァコス(Vn)/エンリコ・パーチェ(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Violin)
エンリコ・パーチェ Enrico Pace (Piano)
The Athens Concert Hall, Sep. 2011, Feb. and Apr. 2012
478 3523 (P)(C)2012 Decca Music Group Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
カヴァコス氏は1967年生まれ,ギリシャ出身のヴァイオリニストで,1985年のシベリウス国際コンクール最年少で優勝した経歴の持ち主。カヴァコス氏の演奏では,BISから発売されているシベリウスのヴァイオリン協奏曲原典版と現行版のディスク(→HMV Online)とバッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番,パルティータ第1番のディスク(→CD試聴記)を聴いたことがありますが,録音が良くなかったこともあってか,あまり印象が残っていませんでした(N響?と共演したシベリウスの協奏曲の放送を見たときに,妙にオッサンくさい人だなぁと思った記憶はありますが...(^^; ジャケット写真では精悍な感じに写っていますね)。

このベートーヴェンですが,控えめながら節回しの巧さが光っていますし,音色も少し細身かなとは思いますが透明感があって美しいです。技術力も高いです。現代的なスマートさを備えた佳演だと思います。

録音も最近のDECCAにしては響きが控えめで明瞭感があり,音の伸びもあって良好です。ヴァイオリンとピアノのバランスも適切です。私としてはもう少しヴァイオリンの質感を強めに捉えて欲しかったとは思いますが,これでも納得はできます。

演奏も録音も優れた良い全集だと思います。これからの録音にも期待したいと思います。

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(アントニオ・メネセス)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
アントニオ・メネセス Antonio Meneses (Cello)
Recorded 2-5 June 2004 at St Martin's Church, East Woodhay, Barkshire, England
AV0052 (P)(C)2004 Antonio Meneses (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。

ブラジル出身のチェリスト,メネセス氏2回目の全集録音です(→1回目)。

モダン楽器として至極オーソドックスですが,ダイナミックかつ繊細に仕上げられた充実感のある演奏です。個性を前面に出さず派手さもありませんが,モダン楽器の表現力を活かし奥行き,深みのある音楽となっています。技術面も申し分ありません。

少し響きはありますが,直接音主体に楽器音をしっかりと捉えているので(鼻息までしっかりと捉えています),明瞭で聴きやすい録音です。音色は響きの影響を少し受けていますが許容範囲ですし,ヌケも悪くありません。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲のまとめページを作りました

CD試聴記のサイトにベートーヴェン:弦楽四重奏曲のまとめページを作成しました。一度覗いてみていただければ幸いです。

好録音探求で取り上げたものを転記しています。ベートーヴェン:弦楽四重奏曲のカテゴリと基本的には同じです。ブログのカテゴリでは何となくまとまっている気がしないので...作ってしまいました。手間ばかり増えて自分の首を絞めてるんですけどね(^^;。

まだまだ取り上げている数が少ないですが,少しずつ更新して増やしていきたいと思っております。

ドヴォルザーク:交響曲第7番,第8番,他(マレク・シュトリンツル指揮/ムジカ・フロレア)※ピリオド楽器

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ドヴォルザーク:交響曲第7番,第8番,他
マレク・シュトリンツル指揮/ムジカ・フロレア
2004年6月17日 チェコ国民銀行コングレス・センター(第7番),2005年11月5日 ルドルフィヌム,ドヴォルジャーク・ホール(第8番)
ARTA F10180 (C)2009 2HP Production (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ピリオド楽器オーケストラによるドヴォルザークの交響曲。他に,交響的変奏曲Op.78,オペラ『ヴァンダ』Op.25 序曲,プラハ・ワルツ,ポルカ『プラハの学生たちのために』Op.53,が収録されています。弦楽器の編成は11-9-7-5-4ですので,室内管弦楽団程度と思われます。

さすがにピリオド楽器だけあって,いつも聴いているモダン・オーケストラによる演奏の響きとは全く違い,新鮮といえば新鮮,しかし,これが良いかというと...ちょっと微妙かなと思います。もっともピリオド楽器が苦手な私だからかもしれませんが。小気味よさはさすがですが迫力の点ではやはり劣ってしまい,ドヴォルザークの交響曲に期待するところを求めてしまうとあまり楽しくありません。ピリオド楽器が好きな人向けの演奏ということで。

それで録音なのですが...これがまったく良くありません。帯域バランスが著しく崩れ,中域から低域のどこかの帯域がすっぽりなくなっているような腰高な音で,妙にやかましいです。明らかに音色が変です。残響も多めで明瞭感も良くありません。せっかくの色モノなのに,こんなに色が付いてしまってたら本来の色が楽しめないじゃないですか!

ということで,私としてはとても残念でした。この顔合わせのブランデンブルク協奏曲はすごく良かったんですけどねぇ。

タグ: [交響曲] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ルドルフ・ゲーラー)※バッハ弓

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ルドルフ・ゲーラー Rudolf Gähler (Violin)
Live Recording: July 1998, Tiroler Festspiele Erl, Austria.
74321 67501 2 (C)1999 (P)1998 ARTE NOVA Musikproduktions GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。2回目のレビューです。

Curved Bow(バッハ弓)による演奏。 弓は普通,スクリューを回して張力を調整しますが,この弓にはスクリューがなくレバーで張力が調整できるようになっていて, 3弦,4弦を同時に弾く場合はこのレバーを調整して張力を弱めて同時に3本以上の弦に当たるようにするようです。 この仕組みで4本同時に発音出来るため, 通常の弓での演奏のように分割して演奏せずとも和音が出せるところが最大の特徴です。

バッハ弓と呼ばれることもありますが,Wikipediaによると, これはノーベル平和賞受賞者にして音楽家でもあるアルベルト・シュバイツァーによって「発明」されたものであり, バッハの時代に使われた事実はないようです。

この弓で弾くと和音がオルガンのように聴こえることもあり,これはこれで面白いと思います。 基本的にはすべての音が均等に鳴るため,これが良い効果になるときもあれば,補助の声部が鳴りすぎて旋律が弱くなったりすることもあって, 一長一短という感じがします。 まあ,この弓での演奏が聴けるということ自体がこの演奏の価値だということで。

ただし,普通の弓を使うのと異なり,和音が連続すると運指が難しいのか音楽のつながりが悪くなったり, 演奏そのものが沈滞してしまうこともあり,これは少し残念なところです。

録音: 残響が多く直接音よりも間接音が支配的のため,音がくすみヌケが悪くなってしまっています。 この弓がもたらす響きを楽しむディスクなのに,それを残響で邪魔していったいどういうつもりなんだ?と思います。 もったいない...

で,残念ながらとっくに廃盤で手に入りづらいようですね...

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ベートーヴェン:中期・後期弦楽四重奏曲集(コロラド四重奏団)

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ベートーヴェン:初期弦楽四重奏曲集
2008-2009年 The Sosnoff Theater of the Richard B. Fisher Center for the Performing Arts, Band College, Annandale-on-Hudson, New York.
PACD 96048/9 (P)(C)2010 Parnassus Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:中期弦楽四重奏曲集
August 2-4, 2001 at the Royal Hall, Conservatory of Music, SUNY, Purchase, NY
PACD 96034/5 (P)(C)2002 Parnassus Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: Amazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
2004-2006年 The Sosnoff Theater of the Richard B. Fisher Center for the Performing Arts, Band College, Annandale-on-Hudson, New York.
PACD 96042/4 (P)(C)2008 Parnassus Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
コロラド弦楽四重奏団(Colorado String Quartet)
公式WebサイトParnassus Records

初期が入手できました。 これで全集になりました。 追加して再レビューします。

コロラド弦楽四重奏団は女性4名で構成され,ニューヨークを拠点に活動されており,中期は結成20周年,後期は25周年の記念としてこの録音をしたとのことです。 初期はその後に録音されています。

この団体は明るく明快な音楽が持ち味だと思います(音を短めにはっきりと切るところからそう感じるのか?)。これがベートーヴェンにふさわしいかどうかは人によって感じ方が違うと思いますが,最初は少し違和感を感じたものの,悪くないと思い始めてきました。技術的にも,アンサンブルにも不満はありません。なかなか上手いです。

なお中期・後期は,カバー・ピクチャーにご丁寧にも“Complete performances with all marked repeats”と記載されています。

録音ですが,中期はやや響きが楽器音に被って明瞭感が良くなく,すっきりしません。 初期と後期は多少の残響はあるものの直接音比率が高く,非常に明瞭で音色も自然です。 それぞれの楽器の質感も良く,分離も良いです。 これはかなり良いです。 少しオマケですが五つ星としました。

もし聴かれるなら初期または後期をお薦めします。 録音も良く楽しく聴くことが出来ました。

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ピーター・マーテンス)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ピーター・マーテンス Pieter Martens (Cello)
Recorded at Endler Hall, Stellenbosch University, South Africa, Sep 7-13, 2009.
TP1039275 (P)(C)2012 TWOPIANISTS RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。

第1番のプレリュードが1:47という快速演奏にのっけから圧倒されるのですが,全体に速いテンポで駆け抜けていきます。とても意欲的で躍動感にあふれ,ニュアンスに富み細部にまで神経の通った気持ちの良い演奏です。楽器の響かせ方も良く雑味の少ない綺麗なトーンがこれまた素晴らしいです。技術的にも音楽的にも優れる好演奏です。

録音ですが,やや残響を伴っていますが,楽器音を主体にしっかりと捉えているためまずまず良好です。しかしやはり残響のまとわりつきの影響が気になります。音を曇らせるほどではないのが救いです。中低域は充実しており,特に低域がブーミーになることなく良く伸びているのが良いと思います。

マーテンス氏は1971年生まれ,南アフリカ出身のチェリスト。公式Webサイトがあります。最近聴いたモダン楽器に寄る演奏の中ではかなり良く,これは思わぬ掘り出し物でした。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

「好録音」の録音評価のスタンスについて

「録音を取り扱うブログなのだから,録音評価に対するスタンスを明示すべき」というアドバイスをいただきました。おっしゃる通りなので,ご理解いただけるかどうかはわかりませんが,ここでそれを表明しておきたいと思います。

■私の好む録音

私の録音へのこだわりについて少し説明をしておきたいと思います。私の好む録音は端的に言うと「演奏者を身近に感じられる録音,演奏者の存在が見えるような録音」です。いわゆる「優秀録音」とは少し視点が異なりますし,一般的に好まれるホール音響を再現するような録音とも異なります。

たとえば家に仲間を呼んでカルテットを演奏する(あるいは招待してホームコンサートを開く),子供がリビングでピアノを弾いているのを横で聴く,こういう場合に耳に入ってくる音・音楽を想像してみてください。これが私が聴きたい音・音楽に最も近いと言えると思います。

演奏者が弦に弓を置くところから最後の消え入る瞬間の音まで,さらに,弦の上を指が滑る音,演奏者の息づかい,などなど,演奏者が音楽に込める極めて微妙なニュアンスまで総て耳に飛び込んできます。こういう音・音楽を録音でも聴きたい,というのが私の望みです。

とはいえ,実際にはこんな録音はないわけで,これをもう少し実際の録音に則して言うと,

  ・楽器そのものが発する音の質感(楽器の肌触り)をストレートに伝えてくれる録音
  ・奏者が楽器を通して発する表現のニュアンスを余さず伝えてくれる録音

といったところでしょうか。具体的には次のような要件を満たしているかどうかということになると思います。

  (a) 間接音(響き・残響)より楽器からの直接音が支配的で純度・明瞭度が高い
  (b) 楽器音を適切な距離感で捉えている
  (c) 個々の楽器が分離よく見通しよく聴こえる
  (d) 高域のヌケがよく,曇りがない
  (e) 音色が自然で(響きなどの外的要因による)色づけがない

私の録音評を読んでいただくと,残響を極度に嫌っているということがわかると思います。一般的にクラシック音楽の録音は,ホールでの音響を再現し,心地よい残響を伴う音楽を提供しようとしているように思います。しかし多くの録音において,この残響は心地よさを演出するよりも,楽器音を濁し音楽の微妙なニュアンスといったとても大切な情報を消し去ってしまう弊害の方が大きい,と感じています。これがその理由です。

こういう点をご理解いただいた上で私の録音評を読んでいただければと思います。

■SACDについて

あともう一点ご承知おきいただいた方が良いであろうSACDの扱いについて説明しておきます。私が取り上げるディスクにはSACDハイブリッドも多くありますが,基本的には評価するのはCD層の音で,SACD層の音は評価しません

SACDの音質の良さ,その価値は私もそれなりに認識していますし価値も認めています。しかし,私が音楽を聴く時間のほとんどはSACD非対応の機器を使っており,残念ながらSACDの音をじっくり聴ける状況にありません。私にとってはCD層こそが大切であり,いくらSACD層の音が良くてもCD層の音作りが悪いものは私にとってほとんど価値がないのです。

という理由から,あえてSACD層を無視してCD層で評価しています,ということをあらかじめご了解いただきたく,よろしくお願いいたします。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(クリストフ・バラティ(Vn)/クララ・ヴュルツ(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
クリストフ・バラティ Kristóf Baráti (Violin)
クララ・ヴュルツ Klára Würtz (Piano)
3-9 Nov. 2011, 24-28 Feb. 2012; Liszt Ferenc Concert Hall
94310 (P)(C)2012 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconTower Records
速いテンポで躍動感にあふれ,颯爽と音楽が流れていく爽やかな現代的快演。ヴァイオリンも良いのですが,ピアノも粒立ちが良くコロコロと気持ちよく転がっていく(!?(^^;)のが気に入りました。数多の優れた演奏と比べても遜色ないのではないでしょうか。

録音ですが,残響はそれほど多くなく演出色も少ない(生録的)のは良いのですが,マイクポイントが少し離れているのか,ヴァイオリンの音は間接音成分でやや濁っていて冴えません。ピアノはそれほど濁っていないのが救いですが。バランスとしてピアノがやや大きめでヴァイオリンが弱いのも不満です。もう少しヴァイオリンを明瞭に質感高く捉えて欲しかったと思います。まあ実はそんなに悪くはないと思うのですが,あまり「こう録りたい」という主張が感じられず,漫然と録ってしまったような印象を受けてしまいます。演奏が良いだけに特に...本当にもったいないです。

ちなみに,バラティ氏はバッハの無伴奏ヴァイオリンを二度録音しています(1回目2回目)。

蛇足ですが,ジャケット写真の二人の目が緑色で写っているので霧の民かと思ってしまいました(^^;。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

CD視聴記は昨年10周年を迎え,本ブログは開設から約3年半になりました(別館のTS noteは約半年)。とても多くの皆様からアクセスをいただき大変感謝しております。皆様のアクセスが大きな励みとなり,ここまで続けられたといって過言ではありません。これからもマイペースで続けていきたいと思いますので,今後ともよろしくお願い申し上げます。