マーラー:交響曲第9番(ベルナルト・ハイティンク指揮/バイエルン放送交響楽団)

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マーラー:交響曲第9番
ベルナルト・ハイティンク指揮/バイエルン放送交響楽団
2011年12月15,16日 ミュンヘン,ガスタイク・フィルハーモニー
BR Klassik 900113 (P)(C)2012 BRmedia Service (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
いつもお世話になっている友人からご紹介いただいたディスクです。

これはライヴ録音ですが,ライヴ録音とは思えない(いや,ライヴ録音だからこそ出来るのかもしれない)私にとってオーケストラ録音としてほぼ理想的といえる出来です。各楽器の質感,音色の自然さ,高域のヌケの良さ,音のキレの良さ,不満な点がほとんど見つかりません。金管が咆哮するフォルテシモでも音がつぶれず,うるさくならず,汚くならず,美しく高らかに鳴り響きます。低域も伸びているのにブーミーになることなく極めてキレが良く引き締まっています。突出したところがあるわけでもなく,優秀録音として評価されるかどうかもわかりませんが,演出臭くない自然ですっきりした素直な好録音と言えると思います。少しオマケとは思いましたが五つ星としました。

なおマーラーは私の守備範囲外であまり聴かないのですが,録音がよいこのディスクは思わず聴き入ってしまいました。録音がよいということの大切さ(あまりなじみのない曲では特に!)を改めて認識しました。

シベリウス,チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(ユン・ソヨン(Vn)/ピオトル・ボルコフスキ指揮/ゴジュフ・フィルハーモニー)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
ユン・ソヨン Soyoung Yoon (Violin)
ピオトル・ボルコフスキ指揮/ゴジュフ・フィルハーモニー
Gorzow Philharmonic, April 2012
DUX 0336 (P)2012 DUX Recording Producers (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: 公式WebサイトHMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
地に足がついた演奏とでもいいましょうか,攻撃的に走らず,謙虚に抑えすぎず,力のある芯の太い極めて充実度の高い音楽を創り上げています。技術力も抜群です。この曲の本来の魅力を最大限に表現しようとしているかのような普遍的な魅力を感じます。

そして,この素晴らしい演奏を支える素晴らしい録音! 適度にソロにフォーカスし,オーケストラとの絶妙なバランスで録られています。少し誇張された感じはありますが,この方がソロを十分に堪能できるのでむしろ好ましいと思います。わずかに残響を伴っていますが,明瞭感も音色も鮮度も申し分ありません。オーケストラもキレのある音で捉えられていて好ましいです。協奏曲の録音としてほぼ理想的と言えます。少しオマケの感はありますが,五つ星評価としました。

録音が良いと聴いていて本当に楽しいです。

なおこのディスクは読者の方から教えていただいたものです。ありがとうございました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(マイケル・アントネッロ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マイケル・アントネッロ Michael Antonello (Violin)
July 2011 to June 2012, St. Paul's Church in Chicago; The Hemingway Museum in Ork Park Heights, Chicago; Unitarian Church of Mahtomedi, MN.
品番なし (C)2012 MJA Productions (輸入盤)
好録音度:★★★☆ 参考: CD BabyAmazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

お世辞にも上手いとは言い難いです。 破綻するところまではいっていませんが,ぎりぎりのところで踏みとどまっている感じで, 音楽を思うようにコントロールする余裕が全く感じられず,スムーズに流れていきません。 残念ながら技術的に大いに不満の残る演奏です。 気持ちは良く伝わってくるのですが...

録音ですが,残響が少し多めに取り入れられています。 残響過多まではいきませんが,マイクポイントが少し遠いのか,明瞭感に乏しく質感も感じ取りにくいです。 録音レベルも少し低めです。 そんなに悪くはないと思うのですが,もどかしさを感じてしまいます。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(クリーヴランド四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
クリーヴランド四重奏団 Cleveland Quartet
録音 1991-1995年
CD-80475 (P)(C)2007 TELARC (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★☆~★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
明るく明快でわかりやすい音楽が特徴です。刺激的ではありませんが,溌剌として躍動感に溢れ,また,各楽器の音色も甘美で大変魅力があります。アンサンブルも優れています。あまり評価されていない全集かもしれませんが,私はこのどこか温かく親しみのわく音楽がすごく気に入っています。

録音ですが,少しばらつきがあります。録音年や録音場所との相関がいまいちわからないのですが,荒っぽく言うと,中期は今ひとつ良くなく,後期は概ね良好,前期はその中間,という感じです。全体に残響が多めで,中期はそのために明瞭感に劣り,音色もくすみがちです(特にセリオーソが良くないです)。後期は残響があるものの,音色への影響は少なめで,何とか弦楽器の魅力的な音色,質感が保たれています。後期,せめて前期の録音で統一されていれば良かったのですが。



なお,全集といっても,分売されていた8枚のディスクをそのプラケースのまま大きな紙製のケースに入れただけのものです。以下,各分売盤の情報です。こういう全集は嵩張って困りますね。

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, September 23-24, 1993
CD-80382 (P)(C)1995 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, May 17-20, 1993 & May 5 and 8, 1994
CD-80414 (P)(C)1995 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, May 12-16, 1992 and at American Academy and Institute of Arts & Letters, New York City, July 25-30, 1991
CD-80229 (P)(C)1993 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー第2番」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, May 12-16, 1992 and at American Academy and Institute of Arts & Letters, New York City, July 25-30, 1991
CD-80268 (P)(C)1993 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, September 28 - October 2, 1992
CD-80351 (P)(C)1994 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, December 5-8, 1995
CD-80425 (P)(C)1997 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲「大フーガ」
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, September 1-8, 1995
CD-80422 (P)(C)1996 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番
Recorded in Mechanics Hall, Worcester, Massachusetts, December 11-15, 1995
CD-80427 (P)(C)1997 TELARC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(キム・スーヤン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
キム・スーヤン Suyoen Kim 김수연 (Violin)
Evangelische Kirche Honrath, Gerrmany, 2-5 June 2010 & 23-26 March 2011
DG7742 (P)(C)2011 UNIVERSAL MUSIC KOREA (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Universal Music Store (KOREA)
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏としてはオーソドックスのように思います。技術的にも安定感が抜群で,隅々まで神経が行き届き,表情付けも細やかで豊かです。突出したところはないかもしれませんが,真摯で正統的な優れた演奏として好感が持てます。

録音ですが,残響がかなり多く,まとわりつきが鬱陶しく感じられます。明瞭感・音色が損なわれ,細部のニュアンス,質感が感じ取りにくいです。まあもやもやしたりモゴモゴしたりまではいっていないので,客観的にはそんなに悪くはないかもしれませんが,演奏が良いだけに,私としてはこの残響過多の録音は残念でなりません。

このディスクは楽天市場に出店されているソウルライフレコードというオンラインショップを通じて購入しました。レーベルはドイツ・グラモフォンですが,販売されているのは韓国内だけのようです(たぶん...)。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」,他(マキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)/イタマール・ゴラン(P))

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調“クロイツェル”
ヴィニャフスキー:スケルツォ・タランテラ作品16
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調
マキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)/イタマール・ゴラン(P)
Recorded live at Wigmore Hall, London on 5 April 2012
WHLive0056 (P)(C)2013 The Wigmore Hall Trust (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

CD試聴記」からの転載記事です。

この人にしては少し控えめというか慎重というか,部分的には熱気がこもることもありますが,かなり抑えた演奏に聴こえます。しかし,この曲の精神性を追求するかのような演奏かというとちょっと違うように思います。こういう演奏でありながらじんわりと情感に訴えかけてくる,この力量はさすがだと思います。こういうふうにバッハを弾く人が最近少なくなったと思うのは私だけでしょうか。

一方で,カップリングのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」は,人が変わったように覇気に満ちた吹っ切れた快演です。私としてはバッハをこういう風に挑戦的に演奏して欲しかったと少し残念に思っています。

録音ですが,残響はあまり取り入れられておらず,楽器音が主体なのですが,少し距離感があるためか,明瞭感,質感,鮮度に欠けるきらいがあります。もう一歩寄って録って欲しかったところです。惜しいです。

Tommy Emmanuel - Waiting for a Plane - Guitar Lesson

少し前にトミー・エマニュエルのギター教則ビデオのYouTube動画を紹介しましたが,その中でも最近のお気に入りは“Waiting for a Plane”です。再掲します。こういう爽やかでかっこいい曲が良いですね。この曲は“Little by Little”というアルバムに含まれます(こちらはパーカッションが入る)。


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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(フェルメール四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
フェルメール四重奏団 Vermeer Quartet
Teldec Studio, Berlin, 1983-1987(Late), 1988-1989(Middle); Siemensvilla, Berlin, 1990-1991(Early)
2564 61399-2 (P)1984-1991 (C)2004 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
非常にきっちりとした演奏で,私の気持ちよく聴けるテンポより若干遅いかなという曲が多く,また,ストイックに淡々と演奏されるので,ややインパクトには欠けます。しかし,細部まで,一音一音,神経の行き届いた完璧とも思える仕上がりを見せています。じっくりと聴けば聴くほど味わい深さが増していく素晴らしい演奏です。

録音ですが,長期にわたっているため多少のばらつきがありますが,傾向が似ているため違和感はそれほどありません。全体的には響きを抑え気味にして明瞭に質感良く録られていますが,楽器の音色が響き曇りがちになっている曲もあり,惜しいところです。

ケヴィン・バークとミホール・オ・ドーナルのデュオ映像

以前,フィドラーのケヴィン・バークとギタリストのミホール・オ・ドーナルのデュオ・アルバム“Portland”を紹介しましたが,おそらくこの頃のものと思われる映像がYouTubeにアップされていました。アルバムに含まれている曲もあります。いやぁ,この独特の素朴な雰囲気がいいですねぇ。こんな映像が残っているなんて奇跡的です。うれしいですねぇ。

曲は“Paddy's Return/Willy Coleman's/Up In The Air”。大好きな曲の一つです。



[YouTube] Kevin Burke and Michael O'Domhnaill

この二人はともにThe Bothy Bandのメンバーでした。最近では,ケヴィン・バークはPatrick Streetに参加しています。ミホール・オ・ドーナルはNightnoiseで活動していましたが,残念ながら少し前に若くして亡くなられました。

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(イザベル・ファウスト(Vn)/クラウディオ・アバド指揮/オーケストラ・モーツァルト)

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ベルク:ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
クラウディオ・アバド指揮/オーケストラ・モーツァルト
2010年11月 Auditorio Manzoni, Bologna
HMC 902105 (P)2012 harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ご存じの通り,レコード芸術誌の2012年度第50回レコード・アカデミー賞で大賞をを受賞したディスク。その素晴らしさは私がここで触れるまでもありませんので省略します。大賞受賞の記事をみて,そういえば持っていたはず(例によって買うだけ買って聴いていなかった...)と探してやっと発掘しました(^^;。ベルクは苦手なので聴いていません...

録音ですが,残響が多めで明瞭感,楽器の質感が少し失われていますが,高域の伸びは悪くありません。しかし,音色のバランスはやや崩れていて少しわざと高域を持ち上げて補正したような不自然さがあります。少しソロが遠めで質感を感じにくいもどかしさを感じますが,全体としては綺麗なサウンドで,まあ良いのではという印象です。もう少し残響を抑えてすっきりと,そしてもう一歩ソロに近寄ってくっきりと質感良く録って欲しかったとは思いますが。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(クリスティーネ・ブッシュ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
クリスティーネ・ブッシュ Christine Busch (Violin)
Recorded 18-21 December 2011; 8-10 February 2012, Neumarkt in der Oberpfalz, Reitstadel
LPH 008 (P)(C)2012 Outhere (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。アクセントを抑えた吸い付くような弓使いでひたすら丁寧に綿々と音楽を紡ぎ出していきます。ガット弦特有のわずかに雑味を含む硬い音色ながら,弾きはじめのあのガリッという音が全くしません。このような弾き方でありながら過剰なアーティキュレーションの強調もなく極めて素直で自然な表現に好感を持ちます。技術的にも音楽的にも優れていると思います。

録音ですが,録音会場の雰囲気をわずかに感じさせる響きのまとわりつき,音色への影響が気になるものの,響きも比較的すっと消え,楽器音を曇らせることもないため許容範囲というところです。楽器の質感,音の消え際のニュアンスも聴き取れるので,響きがある割には良好と言えるのではないでしょうか。もちろん私としてはもっと楽器音が響きの影響を受けないように透明感ある音で録って欲しいとは思いますが。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(フレデリック・ペラシー(Vn)/ジャック・フランシス・マンツォーネ指揮/チェコ弦楽アンサンブル)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
フレデリック・ペラシー Frédéric Pélassy (Violin)
ジャック・フランシス・マンツォーネ指揮/チェコ弦楽アンサンブル
録音:1992年9月
BNL 112834 (P)(C)1993 SCAM/BNL (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: 公式WebサイトCD試聴記ファンページamazon.fr
ハイドンのヴァイオリン協奏曲集というと,個人的にはこれを外すことができない,という思い入れのあるディスクです。フレデリック・ペラシー氏はフランスのヴァイオリニストで,その音楽性,美しい音色に魅了されて,ディスクを全て集め,ファンページまで作りました。そしてハイドンのヴァイオリン協奏曲の楽しさを教えてくれたのがこのディスクでした。このディスクに出会わなければ,未だにこの曲の素晴らしさに気づくことなく過ごしていたことでしょう。

以下,ほぼ10年前のレビューを転載します。今改めて聴いてみても基本的には感想は変わりません。良くも悪くも若さに溢れていて気持ちの良い演奏だなぁと思いますね。



なんと瑞々しい演奏であることか! 第一楽章,第三楽章の若々しくびのびとした,溌剌とした表現,緩徐楽章のしっとりとした表現, ペラシー氏の美しい音色が活かされ,どこを取っても本当に清々しいです。 弦楽アンサンブルの伴奏(第三番はオーボエ2,ホルン2を追加)もソロに負けず劣らず清々しい演奏を聴かせてくれます。

ペラシー氏の個性がいかんなく発揮された演奏なのに,彼の個性が前面に出てくるのではなく, 純粋にハイドンの音楽そのものが聴き手に届いて来る,そしてペラシー氏と我々聴き手との間でこのハイドンの楽しい音楽を共有している, まさにそういった感じがします。 これぞ音楽の原点! 素晴らしい。 こういう好演がモダン楽器から生み出されたことを本当にうれしく思います。

録音は,各パートの音が明瞭に捉えられ,さらにその上にソロがくっきりと浮き出ており,小編成の協奏曲として非常に好ましい録音です。 各楽器の音の捉え方,音色,ソロとオーケストラのバランス,どれを取っても水準以上だと思います。 一点不満を述べるとすれば,音像がやや右チャネルに偏っており,ヘッドホンでの聴取でわずかに違和感を感じることくらいでしょうか。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番,第5番(矢部達哉/室内合奏団"秀")

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番,第5番
矢部達哉(Violin)/室内合奏団“秀”
2012年5月26-28日 水戸芸術館コンサートホールATM
EXTON OVCL-00482 (P)(C)2012 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
この人は本当に伸びやかで美しい音色を奏でますね。ほれぼれします。音楽の喜びに満ちています。技術力の高さ,安定感も抜群です。これ以上言うことはありません。オーケストラの方は,弦楽器の編成が 5-4-3-2-1 の小編成で,高域寄りのように思いますが,全体のバランスは良いと思います。四方恭子さんがコンサートミストレスを務める指揮者を置かないアンサンブルのようですが,キチッとまとまっていてソロをよく引き立てているのも好印象です。

録音ですが,楽器の質感を良く捉えているものの,若干残響が多めで付帯音としてまとわりつくのが少し鬱陶しく感じられます。少し演出がかって聴こえるのがいやなのと,せっかくの小編成オーケストラを活かす録音ではないというところに不満を感じます。ただ,響きの質は悪くないので心地よいと感じる方もおられると思いますし,優秀録音と評価されても不思議ではない録音ではあると思います。私の好みと方向性が異なるだけです。

シューベルト:交響曲第5番,第8番「未完成」,第9番「グレイト」(サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューベルト:交響曲第5番,第8番「未完成」,第9番「グレイト」
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Sofiensaal, Vienna, June 1981(No.9); September 1984(Nos 5 & 8)
448 927-2 (P)1982,1985 (C)1996 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ショルティ/ウィーン・フィルのシューマン交響曲全集が思いのほか面白かったので,同じ顔合わせのシューベルトも聴いてみました。同じく今ひとつショルティのシューベルトって?と想像があまりつかなかったのですが,彼らしい引き締まった硬派の演奏ながら,シューマンよりはずっとウィーン・フィルの持ち味を活かしているなぁと,半ば残念な気持ちで聴きました(^^;。

録音ですが,残響もほどほどに抑えられ,個々の楽器の質感を良く捉えた明瞭感のある好録音で,突出したところはありませんが,マイナスポイントもほとんどない,普通に良い録音と言えると思います。中低域が締まっていてキレが良いのも特筆できるところです。

ベートーヴェン:交響曲第4番,第7番(ジョシュア・ベル/アカデミー室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第4番,第7番
ジョシュア・ベル/アカデミー室内管弦楽団
May 15-17, 2012, at Air Lyndhurst Studios, London
88725 49176 2 (P)(C)2013 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
2011年6月からアカデミー室内管弦楽団(Academy of St. Martin in the Fields)の音楽監督に就任したヴァイオリニスト,ジョシュア・ベルの弾き振りによるベートーヴェンの交響曲。小編成の機動力を活かした小気味よいベートーヴェンを期待してしまうのですが,ある意味期待通り,しかし,期待を大きく超える驚きもない,至極真っ当な演奏に思いました。アンサンブルも優秀で,それぞれの楽器の動きがよく見える見通しの良さはさすがです。この真っ当な路線で全集化して欲しいものです。

一方で,やっぱり少し弦楽器が相対的に弱く感じてしまうのが残念なところです。編成を大きくすると豊潤で質感が良くなる一方,小気味よさや見通しの良さが失われてしまいがちなので,痛し痒しというところだとは思いますが。

録音ですが,過度な残響もなく見通しの良さが確保された標準的な録音のように思います。私としてはもう少し弦楽器に寄って質感を強めに捉えて欲しかったとは思いますが,おそらくこれがこの編成の自然なバランスなのでしょう。全体にもう少しカリッとした輪郭の明瞭さは欲しかったなと思います。

何となくあまり評価されなさそうな演奏のようにも思いますが,私は結構気に入りました。今後の録音にも期待したいと思います。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(イザベル・ファウスト(Vn)/アレクサンドル・メルニコフ(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
アレクサンドル・メルニコフ Alexander Melnikov (Piano)
Teldex Studio Berlin, 2006年(Kreutzer), 2008年
HMC 902025.27 (P)2009 harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
繊細で柔らかく優しい表現から力強く激しい表現まで,そしてそれが曲想に応じてダイナミックに変化していく,表現の幅の広さに感嘆します。フォルテでは意図的だとは思いますが,音がつぶれ気味になるところまで力を込めていて,このあたりは好みが分かれるところだとは思います。淀みも「ため」もなく前のめりに曲を推進するリズム感もいいですねぇ。

そしてファウストのヴァイオリンと並んでピアノがすごく良いです。対等と言いながらもやはりヴァイオリンが主役というイメージが強いベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタにおいて,これほどの存在感を示すとはなかなかのものです。(この曲でピアノに心動かされるのは初めてかもしれません...)

これはなかなか聴き応えのある素晴らしい全集でした。

録音ですが,残響は控えめなのでまずまずなのですが,少しヴァイオリンが遠めで明瞭感,質感の低下が否めません。細部が見えそうで見えないもどかしさがあります。中では,2006年に録音されたクロイツェルが最も良く,その他の曲は少し落ちる感じです。もう一歩寄って生々しさを出して欲しかったと思います。惜しいです。

トミー・エマニュエルのギター教則ビデオ

アコースティック・ギター奏者のトミー・エマニュエルのYouTubeビデオは以前から何度か紹介してきましたが,また新しい(新しくもないのだが)ビデオを見つけたので紹介します。どうやらTureFireというところから出ているギター教則ビデオのようです。模範演奏が公開されているほか,レッスンそのものも一部公開されているようです。非常にたくさんあって追い切れていませんが,お気に入りの曲である“Harfway Home”,“Locomotivation”,“Papa George”などが揃っていてうれしい限りです。

その中から“Locomotivation”を。



■リンク
[YouTube]トミー・エマニュエル教則ビデオ模範演奏17曲
[YouTube]Tommy Emmanuel - Halfway Home - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Locomotivation - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Waiting for a Plane - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Papa George - Guitar Lesson

タグ: [YouTube] 

エリック・クラプトンの1985年ライヴビデオ

昨日Twitterでつぶやいたことを覚え書きも兼ねて記事にします。

このエリック・クラプトンの1985年のライヴ,その昔NHK-BSで放送していたのを観てからクラプトンを聴くようになりました。このビデオはLeserDiscでも発売されたので,これだ!と思って買い,何度も何度も観ました。ストラトキャスターから繰り出されるクラプトン節,ギターの音色にほれぼれします。選曲も良いですね。

DVDが発売されたら絶対に買うぞとずっと待っているのですが,一向に発売される気配がないのが残念でなりません。彼のビデオは多く発売されているのですが,特別な思い入れのあるこれが観たいのです。

これがYouTubeで観られるのは本当に有り難いことです。

その中から名曲 WONDERFUL TONIGHT を。



■リンク
[YouTube}エリック・クラプトンの1985年ライヴの全14トラックの再生へ
[YouTube]エリック・クラプトンの1985年ライヴの検索結果へ

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(マルク・デストリュベ(Vn)/パシフィック・バロック・オーケストラ)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
マルク・デストリュベ Marc Destrubé (Violin)
パシフィック・バロック・オーケストラ Pacific Baroque Orchestra
November 26-28 2001, St. Philip's Anglican Church, Vancouver
ATMA Classique ACD 2 2287 (P)(C)2002 (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
いつも参考にさせていただいている「ハイドン音盤倉庫」で絶賛されていたディスク。このジャケット写真は強烈なので見覚えが...確か持っていたはず...と,聴かないまま奥にしまい込んでしまっていたディスクを発掘してきました。

ハイドン音盤倉庫の記事でも書かれているとおり,ヴァイオリニストのマルク・デストリュベ氏は,ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラの副コンサートマスターを務めたり,ラルキブデッリに参加したりと,この古楽器の世界ではかなり活躍されている方のようです。

演奏は...おぉぉ,これは確かになかなかいいですなぁ。自然体で素朴な魅力に満ちた温かい好演奏。押しつけがましさが全くなく,ハイドンのヴァイオリン協奏曲のそのものの魅力を存分に伝えてくれます。前記のブログで絶賛されていたのもわかります。なお,古楽器の鮮烈な演奏を求めて聴くと肩すかしを食らいますので,念のため。

さて録音ですが,教会での録音で,教会の響きかなり勝ってしまっています。楽器音もそれなりにしっかりと捉えられているものの,響きの付帯音が多すぎて煩い感じがします。録音会場の雰囲気は十分に出ていると思いますが,私としてはもっとすっきりと見通しよく録音して欲しかったと思います。残響が気にならない(残響を好む)方なら全く問題ないとは思いますが。

なお,私の中では,ハイドンのヴァイオリン協奏曲といえば,モダン楽器のカトリーン・ショルツ盤エリナ・ヴァハラ盤が双璧,次いでピリオド楽器のジュリアーノ・カルミニョーラ盤というところなのですが,その順位は変わりませんでした。