書籍:超広帯域オーディオの計測(蘆原郁(編著),大久保洋幸,小野一穂,桐生昭吾,西村明(共著),コロナ社)

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超広帯域オーディオの計測
蘆原郁(編著),大久保洋幸,小野一穂,桐生昭吾,西村明(共著)
コロナ社 2011年8月 ISBN978-4-399-00824-1
参考: Amazon.co.jp

本書で言う「超広帯域オーディオ」とは,一般的なオーディオCDと比較して周波数帯域,ダイナミックレンジが広いデジタルオーディオのことを指す,としています。そして本書の目的は,「高品位オーディオが置かれている現状,課題を整理し,新しい時代のオーディオ技術を切り開くための基礎知識を共有しようというものである」とまえがきに書かれています。

「計測」と書かれていますが,計測や実験,評価を切り口に俗に言うハイレゾオーディオを含めたオーディオ技術に関する概論書となっており,まえがきに書かれている通り,現在のオーディオ技術を俯瞰するのに役に立つであろうと思われます。専門書なので数式なども出てきますが,それを読み飛ばしてもそれなりに知識が得られるように書かれていますが,本書の性格上,あまり深くまで突っ込んだ記述はないですし,いわゆる迷信的なことに対して断定的な言い方は避けられていますので,少し物足りないところはありますが,これはまあ仕方ないと思います。

本書の構成は次のようになっています。

1.超広帯域オーディオまでの道のり
オーディオの技術面からみた歴史について書かれています。

2.サンプリングと量子化
デジタルオーディオの基礎知識となる内容が書かれています。

3.ハイサンプリングのメリットとデメリット
メリットとしては,波形忠実度の向上,量子化雑音レベルの低減,デメリットとしては,非線形ひずみの増大,タイムジッタの影響などが挙げられています。SACDの量子化雑音についてもデメリットの項として述べられています。

4.ハイビットとダイナミックレンジ
ダイナミックレンジの求め方,ハイビット化で何が期待できるのか,などが書かれています。

5.超広帯域のマイクロホン技術
超広帯域マイクロホンを開発するための技術について書かれています。

6.室内音響と超広帯域オーディオ
残響時間や室内音響の周波数特性,騒音,再生環境などについて書かれています。

7.オーディオ信号の劣化およびその計測
オーディオ機器を評価する指標の説明と,これを超広帯域オーディオに適用する場合の課題について書かれています。

8.タイムジッタ
なんとジッタに1章まるまる割いています。しかもかなりのページ数を使っています。インターフェースジッタとサンプリングジッタの説明,また,理論上のジッタ許容量,および音楽信号聴取時のジッタの主観的な検知限に関する近年の研究が紹介されています。

オーディオ機器で発生しうるジッタは,実験で確認された検知限よりもはるかに小さいレベルのようで,メディアの素材の違いなどで発生する音の差はジッタが影響していると言い切れるほど単純なことではないように思いました。

9.聴覚からみたオーディオ周波数帯域
可聴帯域下限,上限に関する実験結果が紹介されています。22kHz以上の高い音を確実に聴き取るには音圧レベルとして80dB以上が必要であることや,音楽信号などの複合音で高レベルの高周波が含まれている場合は,スピーカの非線形性に起因する可聴域の混変調ひずみ音を聴いて違いを感じている可能性の指摘なども書かれています。

10.主観評価実験を行うには
聴取実験による主観評価も重要であるとし,主観評価を行う上での注意点が書かれています。また,ラボノートに記録を残すことの重要性,認知的バイアス(プラシーボ効果やヒツジ・ヤギ効果(これは初めて知りました),盲検法など),有意差検定の注意点などが書かれています。

深く知るには物足りないと思いますが,デジタルオーディオ技術全般の基礎の入り口としては参考になると思いますので,ご興味のある方は読んでみられても良いかと思います。実はまだ斜め読みしかしていないので,もう少しじっくりと読んでみようと思います。

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲,他(アデリーナ・オプレアン(Vn)/ジャスティン・オプレアン(P)/ヨーロピアン・ユニオン室内管弦楽団)

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ハイドン:協奏曲集
アデリーナ・オプレアン Adelina Oprean (Violin)
ジャスティン・オプレアン Justin Oprean (Piano)
ヨーロピアン・ユニオン室内管弦楽団]
録音 1988年10月2日
helios CDH55007 (P)1989 (C)1999 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ヴァイオリン協奏曲2曲(ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4)とヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲ヘ長調Hob XVIII:6を収録しています。ピアノで弾いているのは初めて聴きました。ヴァイオリンが繊細で伸びやか,気品も備わっていてなかなか良いと思います。音色も美しくて聴き入ってしまいました。カデンツァは演奏者のオリジナルのようです。

録音ですが,残響時間が長く残響量もかなり多いのですが,楽器音とは比較的分離されているので音色のくすみは最小限で何とか高域の美しさを保っています。ですがやはりこれだけ響くとまとわりつきがかなり鬱陶しく感じられます。また,この響きが人工的なにおい強いです。もう少し抑えてすっきりと録って欲しかったと思います。残響が許せる方なら問題ないかもしれませんが。

以下蛇足です... カデンツァで「とぉ~れとれぴぃ~ちぴちかに料理~♪」をここでやるんかい!と思わせるようなフレーズが出てきて思わず笑ってしまいました(ちょっと(だいぶ?)違うんですけどね...(^^;)。

The Art of Oscar Shumsky

 更新  4/19 ブラームス:ヴァイオリンソナタ集/ヴィオラ・ソナタ集のコメントを追記しました。


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The Art of Oscar Shumsky
CSM1033 Nimbus Records (輸入盤) ※韓国盤
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon
バッハの無伴奏ヴァイオリンが名盤として有名となりながら一時期入手困難でなかなか聴くことが出来なかったシュムスキーの演奏が,数年前(2010年)にNimbusから再発売となり,入手困難な状況は改善されたものの,CD-Rでの発売だったのがとても残念でした。今回このバッハ無伴奏を含むMusic MastersとNimbusでの録音を集めたボックスが発売になり,プレスCDで入手できるようになりました。有り難いことです。

このボックスセットについては加藤幸弘氏の有名なクラシック音楽CDの雑談の2014年3月21日のエントリーで詳しく解説されています。(いつも参考にさせていただいています。有り難うございます。)

16枚組で,大きく分けて8種類の曲集がありますので,その録音について少しずつコメントを追記していきたいと思います。


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[CD1, CD2]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
Original release (P)(C)1979 Music Masters Inc.
録音は1975年と思われる
好録音度:★★★☆
2003年にCD試聴記で取り上げていましたので,以下コメントを転載します。

まさに入魂の演奏! 武骨で不器用なほどにストレート,かつ,全編に渡って極めてテンションが高く圧倒されます。 ただただひたすら無心に演奏に打ち込んでいる姿が目に浮かんできます。 決して個性の強い演奏ではありませんし(むしろ地味),洗練されているわけでもなく, その気迫が時に息苦しささえ感じさせることもありますが, 無垢の魅力に溢れており,素直に「すごい!」と言える好演だと思います。

録音ですが,やや残響感を伴っているものの,明瞭感,解像感はそこそこあり,この点では好ましいです。 ただ,音色はかなり硬質でギスギスして刺激的,少々聴き疲れします。 また,高域の伸び感が今ひとつで,スカッとしません(こもった感じではありませんが)。 1975年の録音にこのような文句を付けるのもどうかとは思いましたが,やっぱり1975年の録音にしてはちょっと古臭い音質に感じます。 演奏が良いだけに少々残念です。

(記2014/04/06)(元記事2003/10/02)

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[CD3]
バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
スコットランド室内管弦楽団,他
Recorded at the Queens' Hall, Edinburgh, January 1984
好録音度:★★★★
本ブログの2009年9月11日のエントリーで取り上げていたディスクと同じものです。以下コメントを転載します。なお,そのときの録音評価は四つ星半としていましたが,今改めて聴いてみると少し過大評価していたようにも思いますので,今回は四つ星とし,最後に少し追記しました。

シュムスキー氏というと私にとってバッハ無伴奏ヴァイオリンの印象がとても強いヴァイオリニストです(ディスクの入手に苦労したので特に...(^^;)。ピリオド奏法やスマートで洗練された演奏が多くなった昨今の演奏と比べると,いかにも旧世代の真面目で堅くきっちりと弾く(ビブラートもきっちりとかける)スタイルですが,バッハ無伴奏で見せたような厳しさは影を潜め,どことなく優しくおっとりした雰囲気を醸し出していて,これはこれで良いなぁと思います。

Nimbusというと残響過多でモワモワの録音が多いというイメージでしたが,この録音はそのイメージを払拭するものでした。ソロにフォーカスした音の捉え方をしており,オーケストラに対してソロの音量,明瞭度を高めにとってあるため,オーケストラはやや遠く,ソロがしっかり前に出てきます。やや誇張された感じはありますが,協奏曲の録音としてはこれくらいが好ましく,気持ちよく聴けます。(以下,追記)ただ,音色はくすんだ金属のようにやや硬質で1984年のデジタル録音ですが,だいぶ古臭く感じられます。

(記2014/04/06)(元記事2009/09/11)

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[CD4 - CD7]
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
アルトゥール・バルサム Artur Balsam (Piano)
Original release (P)(C)1979 MusicMasters Inc.
好録音度:★★★★~★★★★☆
氏の芯の強い快活で歯切れの良い弾き方が活きています。モーツァルトらしくないと思われるかもしれませんが,こんなモーツァルトもアリだと思います。

そしてこの録音がまたなかなか良いのです。多少のばらつきはあるものの,残響感はほとんどなく自然な音色で明瞭に録られています。弓の毛が弦にぶつかる瞬間のニュアンスまでも感じられます。一方ピアノはヴァイオリンと比較するとやや響きを多めに取り入れています。もう少しクリアに粒立ちを際だたせて欲しかったと思うのですが,バランス的にはこれで良かったのかもしれません。

このボックスセットの中では録音が最も良い部類に入ると思います。これは当たりでした。

(記2014/04/08)

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[CD8]
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番,第5番
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
スコットランド室内管弦楽団,他
Recorded at the Queens' Hall, Edinburgh, April 1983
好録音度:★★★
これもシュムスキー流の巨匠的演奏ですが,他の曲に比べると少しキレに欠けノリが良くない感じがします。しかし,カデンツァでの見得の切り方などとても格好が良く,このあたりはさすがです。

録音ですが,マイクポイントが遠いのか,明らかに間接音が主体になっていて音色を大きく汚しています。明瞭感も良くありません。オーディオ品質以前に録り方が良くなさ過ぎると思います。1983年の録音なのですが... これは残念です。

(記2014/04/09)

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[CD9, CD10]
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集
ブラームス:ヴィオラ・ソナタ集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
レオニード・ハンブロ Leonid Hambro (Piano)
Original release (P)(C)1991 MusicMasters Inc.
好録音度:★★★★~★★★★☆
バッハの無伴奏ヴァイオリンで見せた厳しさは影を潜め,穏やかに音楽が流れていきます。枯れた味わいが深くしみる秀演です。

そしてなによりこの録音が良いです。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタと並んでこのボックスセットの中で最も良い中の一つです。残響がなく極めて明瞭です。ホール音響とは全く異なるのでこの点で少し不自然さはありますが,シュムスキー氏の演奏を何にも邪魔されずに堪能できるので,このような録音を好ましく思います。

特にヴィオラ・ソナタでこの録音が活きています。ただでさえ音色が地味なヴィオラなので,これに少しでも残響が被って音色がくすむともう聴いていらないのですが,この録音はヴィオラの音色をストレートに伝えてくれるので全くストレスを感じることなく聴けるのがうれしいです。

(記2014/04/19)

[CD11]
ブラームス:ハンガリー舞曲集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
フランク・マウス Frank Maus (Piano)
Original release (P)(C)1998 MusicMasters Inc.
※コメントは後日記載予定

[CD12]
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
Recorded at Wyastone Leys, Monmouth, UK on Oct. 16-18, 1982
※コメントは後日記載予定

[CD13 - CD16]
クライスラー作品集
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
ミルトン・ケイ Milton Kaye (Piano)
ウィリアム・ウォルフラム William Wolfram (Piano)
Original release (P)(C)1983, 1984 MusicMasters Inc.
※コメントは後日記載予定

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ヤン・スティグマー(Vn)/クリスティアンサンド室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ヤン・スティグマー Jan Stigmer (Violin)
クリスティアンサンド室内管弦楽団
"Aladdin", Kristiansand, Norway, May and August 2002
IMCD 083 (P)(C)2003 Intim Musik AB (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲を収録。スティグマー氏はスウェーデンのヴァイオリニスト。技術的にも上手く整った美しい演奏なのですが,真面目すぎて遊びがなく教科書的。やや面白味に欠けるのが残念です。

録音ですが,残響が多いという感じではないのですが,オーケストラもソロも響きで雑味が多く濁ってしまっています。響きが全く音楽に寄与していない典型例です。せっかくの美しい演奏が台無しになっています。もったいないです。透明感を失わない録り方をして欲しいものです。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(アルベルト・リジィ(Vn)/カメラータ・リジィ・グスタード)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
アルベルト・リジィ Alberto Lysy (Violin)
カメラータ・リジィ・グスタード Camerata Lysy Gstaad
Kirche Saanen-Gstaad, November 1979 and February 1983
CD 50-8303 (P)(C)1986 Claves Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲を収録しています。リジィ氏はアルゼンチン出身のヴァイオリニストのようです。四角四面と言いますか,まだピリオド奏法が広まる前の世代の演奏です。キチッと生真面目に,力を込めて弾いていますし,ビブラートもしっかりとかけています。時代を感じさせるこの演奏,今となっては逆に貴重かもしれないですね。

録音は中域にやや強い癖を感じ,音色もすこし古くさいのですが,ソロを明瞭に捉えていてこの点では悪くないと思います。しかしやはりこの中域盛り上がりの癖の強い音作りには抵抗を感じます。ちょっともったいないです。3曲目は録音時期が異なるのか,傾向が異なり,残響感がやや多くもう少し印象が落ちます。1979年と1983年の録音ならもう少しすっきりとクオリティ良く録って欲しかったところです。

ロード:24のカプリース(オスカー・シュムスキー)

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ロード:24のカプリース
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
November 1987 New York
ebs 6007 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ヴァイオリンの練習曲集としては有名なロードの24のカプリースですが,全曲録音されたのはこれが初めてだったようです(と解説書表紙に書いてあります)。しかもロード自身が所有していたストラディヴァリウスを使用しての録音とのことです。

もう20年以上も前,通っていたヴァイオリンの先生にこのディスクを貸したところ,そのお嬢さんが「音程悪~い」と偉そうに言っていたと聞き,なんちゅう失礼な!と思ったことがありました(^^;。まあ独特の音程感はあるかもしれませんが...決して悪くないですよ,もちろん。懐かしい思い出です。当時から時々聴くディスクです。私にとってシュムスキーというと,バッハ無伴奏とこのロードが強くイメージされます。いまだ現役盤というのはうれしいことです。

録音は,ややマイクポイントが遠めで,残響感を多めに取り入れていて音色や明瞭度も影響を受けていますが,演奏のニュアンスは感じ取れるので,まあ許容範囲と言えます。一つの音楽作品として録音されているのだと思いますが,ヴァイオリン学習者向けにもっと生々しく録ってくれても良かったのにと思います。

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(レイチェル・マーサー)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
レイチェル・マーサー Rachel Mercer (Cello)
Walter Hall, Tronto, September 22 & 23, 2011
PIPISTRELLE MUSIC PIP1403 (C)2013 Rachel Mercer (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

技術的にそれほど上手いというわけではないのですが, 破綻することなく音楽的に大変よくまとまとめていると思います。 楽器を良く響かせ朗々としていますし,温かく柔らかで大らかな表情が魅力的です。

録音ですが,やや間接音が主体の録り方となっていて音色がくすみがちですが, 演奏者の呼吸が感じられるような間合いで楽器音を太く捉えているので, それほど悪い印象ではありません。 ただやはり私の好きなタイプの録音とは違います。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」,第6番「悲愴」(ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」,第6番「悲愴」
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Festival Hall, London, 22 Oct. 2008(#1), 26 Nov. 2008(#5)
LPO-0039 London Philharmonic Orchestra Ltd (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
ユロフスキ指揮ロンドン・フィルのチャイコフスキーをもう一つ。演奏は第4番,第5番同様に良くコントロールされた好演奏です。録音ですが,残響がやや多めに取り入れられているものの,弦楽器を中心に力強いサウンドで録音されています。金管楽器の音にもキレがあり,フォルテシモでも破綻せず潰れず伸びのある音で響き渡るのは痛快です。第4番,第5番に比べると残響の影響で少し落ちますが,それでもまずまず良いと思います。

ちなみに録音エンジニアはK & A ProductionsのAndrew Langという人で,第4番,第5番とは担当する会社自体が異なるようですが,ここはホルストの惑星を担当したところでもあるようです。良い仕事をしていますね。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(レオニダス・カヴァコス(Vn)/ユジャ・ワン(P))

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Violin)
ユジャ・ワン Yuja Wang (Piano)
Friedrich-Ebert-Halle, Hamburg, 27-30 December 2013
478 6442 (P)(C)2014 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
これは大変美しいブラームスです! ふくよかで透明感のある音色が素晴らしいです。カヴァコスの美質が存分に発揮されていると思います。そしてそのヴァイオリンに寄り添うように,ヴァイオリンを包み込むように奏でられるピアノも良いですね。今まで聴いてきた同曲のディスクの中でも一,二を争う出来です。

録音も残響を抑え,静けさの中で浮かび上がってくる楽器音を透明感のある音で綺麗に収めています。ヴァイオリンとピアノのバランス,距離感も適切です。ほぼ不満なしの好録音です。カヴァコスの鼻息がややリアルすぎるほどに入っているのはご愛敬ということで。

ということで,演奏も録音も素晴らしく,愛聴盤候補になりました。

チャイコフスキー:マンフレッド交響曲(ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:マンフレッド交響曲
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Festival Hall, London, 8 Dec. 2004
LPO-0009 London Philharmonic Orchestra Ltd (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
チャイコフスキーの交響曲第4番マーラーの交響曲第1番の録音が良かったユロフスキ指揮ロンドン・フィルのディスクをもう一つ。しかも録音エンジニアがMike Hatch! で,期待して聴いてみたのですが...

確かに録音は平均水準以上ではありますが,先に挙げた2つに比べるとだいぶ普通です。録音年がだいぶ前ということで,まだまだ今の録音技術を会得出来ていなかったのかもしれません。録音レベルも少し低めです。まあ仕方ないですかね。今後の録音には大いに期待が持てるので,楽しみにしておきたいと思います。

チャイコフスキーのマンフレッド交響曲は,今まであまりじっくりと聴いたことはなかったのですが...ちょっと疲れますね(^^;

タグ: [交響曲] 

Sennheiser BTD 500 USB ゼンハイザーのBluetooth USB トランスミッターを使ってみました

PCの音声をBluetoothで伝送しようとした場合,(a)一旦アナログに変換したあとトランスミッターで再度デジタルに変換して伝送するか,(b)汎用的なUSBのドングルでA2DPに対応したものを使うか,どちらかになると思うのですが,(a)は一旦アナログになるのが気持ち悪いし,(b)は音質が良いaptXなどに対応したものは今ひとつ評判が良くないので,躊躇していました。そういう中で見つけたのがこの製品。音声伝送に特化したUSBドングルでaptXにも対応しているということで,これは試してみなければと思い,少々値段が張りましたが思い切って手に入れました。

特殊なドライバが不要ということで,実際に取り付けてみると,ヘッドセットとして認識されました。A2DPによる音声伝送のほか,Bluetoothヘッドセットと接続すると,おそらく通話も可能です(これは試していません)。ボタンが何もないドングルなのでペアリングはどうするんだろうと思って取扱説明書を見ると,一度ドングルをUSBに接続したあと4秒以内に一旦抜き,再度接続するとペアリングモードに入る,という何とも乱暴な仕様です(^^;。日本のメーカーでは考えられないような仕様ですが,合理的といえば合理的。

同じゼンハイザーのPX210 BTと接続してみるとあっさりつながり,iTunesで再生した音楽がBluetoothで伝送され再生できました。さらにAVRCPにも対応しているようで,ヘッドホンからiTunesに対し,再生/停止,スキップ/バックスキップの制御も効きました。伝送はちゃんとaptXで行われているようでした。aptXのときはインジケータのLEDが紫色に光るのでわかりやすく助かります(SBCのときはBlue)。

ただ,一旦ヘッドホンの接続を解除したあとの再接続がうまくいかなかいことが多いなど,今ひとつ安定感がないというか完成度が足りないというか,微妙な感じです。取扱説明書を見るとHeadsetupというユーティリティが提供されていることがわかったのでインストールしてみたのですが,この症状自体は改善がみられませんでした。まあ,ドングルを抜き差しすれば簡単に再接続できるのでまあいいかと思うのですが,ファームウェアのアップデートなど今後の改善に期待したいと思います。

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BTD 300 Audio
上記のように微妙なところはありますが,PCの再生音をデジタルのまま簡単に伝送できるので,まあ良かったと思います。でも値段はちょっと高すぎますね...しばらく使い込んでみたいと思います。

ちなみに以前,同じゼンハイザーのBTD 300 Audioというトランスミッターを使ったことがあります(左の写真)。これもaptX対応です。アナログ音声をA/D変換して伝送するのですが,接続のためのケーブルが半端な長さでしかも今にも切れてしまいそうなヤワな感じでしたので,何となく使うのが億劫になってあまり出番がありませんでした。ちょっともったいなかったです。音質は悪くなかったんですけどね...今はもう生産が終了しているみたいですね。

タグ: [ヘッドホン] 

ホルスト:組曲「惑星」(ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ホルスト:組曲「惑星」
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Festival Hall, London, 22 May 2009
LPO-0047 (P)(C)2010 London Philharmonic Orchestra Ltd (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
ユロフスキ指揮ロンドン・フィルの録音をもう一つ。ホルストの惑星は今までほぼレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団ばかりを聴いてきましたが,それに勝るとも劣らないと思いました。録音について言うと,理想的だったマーラー交響曲第1番に比べると少し残響感が多く見通しと分離感に劣り,すっきりしないところはありますが,あくまで比較してであって,各楽器の質感,全体の音色のバランスは良好で,まずまずの好録音です。重心が低く密度の高い音響で,この曲の壮大なスケールを表現しているように思います。もう少しシャープさが欲しかったと思いますが,贅沢な要望かもしれません。

マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(花の章付き)(ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団)

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マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(花の章付き)
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Festival Hall, London, 4 December 2010
LPO-0070 (P)(C)2013 London Philharmonic Orchestra Ltd (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
最近ちょっとはまっているユロフスキ指揮ロンドン・フィルのライヴの中でも,チャイコフスキーの交響曲第4番と並んで録音が最も良かったのがこのマーラーの交響曲第1番。音色にほとんど色づけや付帯音がありません。各楽器が極めてクリアで分離が良く,見通しも良く,サウンドに締まりがあります。

残響があまりなくドライなので好みが分かれるとは思いますが,無味乾燥ということはなく色彩豊かで,私にとってはほぼ理想的と言って良い好録音です。

この録音とチャイコフスキーの交響曲第4番の録音との共通点はエンジニアがFloating EarthのMike Hatchという人だというところです。気に入った録音のエンジニアはチェックしておかなければ...

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番,第4番,メンデルスゾーン:八重奏曲(ギル・シャハム/セジョン・ソロイスツ)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番,第4番
メンデルスゾーン:八重奏曲作品20
ギル・シャハム(Violin)/セジョン・ソロイスツ
2009年9月6-7日,2009年6月16-18日
CC08 (P)(C)2010 Canary Classics LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
かなり自由に気の赴くまま弾いているように思います。肩肘張らない気楽さが良いです(元々そういう曲ですが)。気楽と言ってもこの人の技術は大変キレが良く隙がありません。そして素晴らしい美音の持ち主ですね。モダン楽器を活かした好演奏だと思います。

メンデルスゾーンも底抜けに明るく快活で理屈抜きに楽しめます。

録音ですが,ソロにきっちりと明瞭にフォーカスしてバックから浮き立たせ美しい音色を堪能できるよう録っています。ややあざとい感じがしないわけではありませんが,曇ったり引っ込んだりするよりずっと良いです。好き嫌いは分かれそうですが,私としては協奏曲を存分に楽しめる好録音だと思っています。

メンデルスゾーンの方もまるでヴァイオリン協奏曲のように録られていて,これはこれで面白いので私は好きですが,やはりこれもやや不自然に誇張された感じはあります。