ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集(レイチェル・バートン,他)

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ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集
レイチェル・バートン Rachel Barton (Violin)
デイヴィッド・シュレーダー David Schrader (Harpsichord)
ジョン・マーク・ローゼンダール John Mark Rozendaal (Cello)
Recorded December 3-5, 1996 at WFMT Chicago
CDR 90000 032 (P)(C)1997 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏です。Op.1-3, 6, 10, 12, 13, 14, HWV358, HWV359a, HWV408, HWV412を収録しています。要所要所でバロック的装飾が入るものの,全体の印象は極めて現代的です。何といってもそのテンポ感が素晴らしいです。まさに「快速」です(単に速いという意味ではなく,文字通り快い速さということです)。 直線的で前進感があり,若々しく溌剌としており,聴いていて清々しいです。 そして,こういった演奏でありながら,音の隅々にまで神経が行き届いた感じもあって,この点でも好感が持てます。

バロック楽器での演奏が一般的になり,モダン楽器での演奏がほとんど姿を消してしまった今日において,一般に評価される演奏かどうかはわかりませんが,モダン楽器演奏の一つの可能性を示すものではないかと感じます。 興味深い演奏で私はこの演奏が大変気に入っています。

録音ですが,程良い距離感で,残響も少なく,音の捉え方自体は悪くないのですが,高域の伸び感が足りず, どこかすっきりしない,そして自然さに欠ける録音になっているのがとても残念です。

レイチェル・バートンの公式ホームページがあります。楽器はモダン仕様に改造された1617年製の"ex-Lobkowitz" A&H Amati(Stradivari Societyからの貸付品)とのことです。 ジャケット写真を見ると,弓はバロック仕様のものに見えます。

コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ集作品5全曲(エンリコ・オノフリ(Vn)/イマジナリウム・アンサンブル)

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コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ集作品5 Vol.1
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
イマジナリウム・アンサンブル
2012年10月27-30日 カッシーナ・ジャルディーノ(クレマ,イタリア)
UZCL-1027 (P)(C)2014 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ集作品5 Vol.2
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
イマジナリウム・アンサンブル
2013年11月21-25日 カッシーナ・ジャルディーノ(クレマ,イタリア)
UZCL-1028 (P)(C)2014 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。約9年ぶりの更新です(^^)。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。ピッチはA=390Hzで約1音低い高さとのことです。 これぞ正統派ピリオド演奏と言わんばかりの演奏であり, もしかしたらコレッリが聴いていたのは本当にこのような演奏だったのかもしれない, と思える薫り高いピリオド風味が何とも言えません。 ピリオド演奏によくありがちな過度の粘りや鋭角さはあまりなく,軽快で伸びやかであるところが良いと思います。

録音: 残響は多めですが,各楽器の直接音がやや濃いめに捉えられているので明瞭度や高域の伸びがそこそこあり印象は悪くありません。 残響によって音色のくすみはどうしてもあるのですが,これなら許容範囲です。少しオマケではありますが四つ星半とします。

ベートーヴェン:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

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ベートーヴェン:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

2004~2008年 フンクハウス・ベルリン・ナレーパシュトラッセ
SICC-10103/7 (P)(C)2013 ソニーミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
言わずと知れた名盤なので今更ですが... 速いテンポで躍動感のある演奏。クラシックの演奏にありがちなリズム感の悪さがなく,タイトで極めてノリの良い音楽であるという,単に速いということにとどまらないところが特に良いです。新しいベートーヴェン像を見事に打ち立てていると思います。理屈抜きに楽しい,ワクワクする好演奏です。

この全集が完成した後,ライヴのDVDの収録をされていて,基本的には同傾向の演奏でした。

録音ですが,どちらかといえばドライで固い響きの録音です。特に低域がとても締まっていてリズムがキッチリと聴こえるところは良いのですが,高域のヌケが今ひとつでモゴモゴとしています。そして現実感が少し希薄かなとも思います。このようなキレの良い演奏なので,すっきりと見通しよく輝きのある音で録って欲しかったと少々残念に思います。

とまあ録音には不満を感じるものの,これは最高に楽しい演奏でした。ありがとう!

実は先に2枚バラで買っていて,録音に不満があったのでその後買うのをやめていたのですが,やっぱり聴きたくなって高価な国内盤全集を手に入れてしまいました... まあ素晴らしい演奏でしたので後悔していませんが。

タグ: [交響曲] 

シベリウス,チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(チョン・キョンファ(Vn)/ズデニェク・マーツァル指揮/シャルル・デュトワ指揮/フランス国立放送管弦楽団)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35(*)
チョン・キョンファ Kyung Wha Chung (Violin)
ズデニェク・マーツァル指揮/フランス国立放送管弦楽団
シャルル・デュトワ指揮/フランス国立放送管弦楽団(*)
1973年5月16日/1978年10月18日(*) シャンゼリゼ劇場,パリ
CDSMBA011 (P)(C)2015 Spectrum Sound (国内盤)
好録音度:★★★★☆(シベリウス),★★★★(チャイコフスキー)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

スペクトラム・サウンド・レーベルのフランス国立視聴覚研究所提供による音源を使用したコンサート・ライヴ・シリーズ“Belle âme(ベルアーム)”シリーズから。

解説書に「絶頂期」と書いてあるのですが,まさにそのような演奏で,この鬼気迫る,感情の奔流に圧倒されます。特にシベリウス。こんな演奏,ライヴでしか聴けないのではないでしょうか。傷もいろいろとありますが,そんなことは全く気になりません。チャイコフスキーでは第1楽章が終わって拍手が湧き起こるのですが,拍手したくなる気持ちもよくわかります。一聴の価値ありです。

録音はシベリウスが良好で,ヴァイオリンの激しく潰れる寸前の音色を生々しく捉えています。一方オーケストラはやや控えめで少し物足りなさはありますが,かえってソロを浮き立たせてもいるので協奏曲の録音としては悪くないと思います。それに比べるとチャイコフスキーはソロが引っ込み気味で明瞭度も良くなく,ニュアンスが聴き取りにくいです。普通の部類には入ると思いますが,シベリウスの録音が良いだけに,相対的に悪く聴こえてしまいます。少し残念です。

ヘッドホン HiFiMAN HE-560 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン HiFiMAN HE-560

オープン・ダイナミック型,インピーダンス35Ω(実測58Ω),ケーブル両だし2m 6.3mmストレートプラグ
参考: 輸入代理店(TOP WING)サイトメーカーサイトフジヤエービック

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

薄い振動板の上に回路を形成し,棒状の磁石をこの振動板に近接させて磁気回路を構成して振動板全体を均一に駆動する平面駆動型磁気ドライバーを使ったヘッドホンです。 振動板全体が駆動されるため,高域のクオリティを落とす原因となる分割共振が起きにくい方式です。 ただ,回路の巻数が少なく,磁束密度の利用効率も悪いためか,能率が低いのが欠点で,高い出力電圧の取れる据え置き型のヘッドホンアンプがないと十分な音量が取れない方式です。

以前から知り合いが所有しているHE-500を何度か聴かせてもらい,その素直で澄んだ音色,自然で圧迫感のない音場感に惚れ込み,手に入れたいと思っていました。 HE-500はすでに手に入りにくいのと重量が結構あり(約500g)長時間の使用はつらいため,現在辛うじて入手可能で,重量も375gに軽量化されたHE-560を選択しました。 10万円近くするため購入をだいぶ長い間躊躇していたのですが,思い切って手に入れた次第です。

音質は期待通り極めて自然な鳴り方で,中高域のヌケの良い繊細で輝きのある音色,響きの美しさが素晴らしいです。 解像感も申し分ありませんし,高域はやや強めですが,破綻のないなめらかな音なので「刺さる」ようなことはありません。 キレとスピード感のある低音も魅力的です。 量感はありませんが,必要十分に出ています。

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図1 HiFiMAN HE-560 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


周波数特性を見ると,基本的にはフラットなのですが,2kHz付近に少しディップがあります。 聴感上はかなりフラットに感じられるので,このディップの影響は限定的のようです。 高域は10kHz前後でやや強めという,私にとってはかなり理想的な特性です。 この高域特性がヌケの良さ,繊細さ,解像感の高さにつながっていると思います。 また低域が見事にフラットですが,それ以上に低域の歪みの少なさが突出しています。

装着感は,イヤーパッドの肌に触れる部分がベロアとなっており,またパッド自体が柔らかめでしかも接触面積が大きいため快適です。 側圧はやや強めですが,このイヤーパッドのためそれほどきついということはありません。 ケーブルは布巻で取り扱いはしやすいのですが,ヘッドホン側のコネクタがSMA-P型という特殊なものでねじ込みがやりにくく,この部分に関しては良いとは言えません。

なお,取扱説明書にはインピーダンスが35Ω,音圧レベルが90dB/mWとあるのですが, 実測してみるとインピーダンスは58Ω,音圧レベルが85dB/mW(58Ω)しかありません。 インピーダンスが高めで能率が低い,出力の大きいヘッドホンアンプが必要になるはずです。 しかし,それにしてもカタログスペックとあまりにも違いすぎて,この会社,本当に大丈夫だろうか,と思ってしまいます(^^;。

メイン機としてSennheiser HD580を,サブにbeyerdynamic T90 Jubileeを使っていますが, 開放的な音像と音色のバランスの良さでこの2機種を上回っているのではないかと思うほどで, メイン機をこれに置き換える可能性が出てきました。 なお,取扱説明書にはバーンインに150時間かかると書いてあり,まだそこまで使い込んでいないので, もし音質に変化が出るようであればまたレポートしたいと思います。

タグ: [ヘッドホン] 

ケルティック・ハーピスト メイヴ・ギルクライストの最近の動画

ケルティック・ハーピストのメイヴ・ギルクライストの最近の動画をふたつ。

ひとつ目はタップダンサーとの共演ですが,曲が良いですね。



ふたつ目はケルティック・ハープらしい作品です。



そろそろ新しいアルバムを出して欲しいです...

タグ: [YouTube]  [ハープ] 

モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(カンビーニ・パリ四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
カンビーニ・パリ四重奏団 Quatuor Cambini-Paris
2013/1 at the Théâtre Impérial de Compiègne, 2013/12 & 2014/1 at the Galerie dorée/Banque de France
AM213 (P)(C)2014 naïve/ambroisie (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.co.jp(MP3)
ピリオド楽器による演奏。カンビーニ・パリ四重奏団は2007年の結成で,結成からまだ日が浅いですが,メンバーは名だたる古楽の団体で活躍してきた強者揃いとのことです。チェロは日本人の酒井 敦氏が担当しています。

アクセントを微妙に抑制した柔らかで粘りのある音色に特徴があります。いかにもピリオド楽器らしいと言えます。豊潤でふくよかに,どちらかと言えばゆったりと音楽が流れていくのですが,アンサンブルがよく締まっているので沈滞することがありません。このあたりの上手さはさすが強者揃いというだけあります。おそらく全てのリピートを繰り返していて演奏時間が結構長いのですが(不協和音の第1楽章は15分を超える!),至福の時間があっという間に過ぎていく感じですね。後述する録音の良さも手伝って,ピリオド楽器が苦手な私でもこれは楽しめました。

そして,この録音がまた素晴らしいですね。残響は多めなのですが,それにも増して直接音がしっかりと捉えられているため,極めて明瞭に録られています。高域の伸びも申し分ありませんし,音色も自然,各楽器の分離感,立体感も良好です。かなりオンマイクのようで,演奏者の息づかいや演奏雑音なども聴こえてきますが,全く気になりません。音の捉え方がHi-Fi調でやや濃すぎるようにも思いますが,不明瞭になったり残響にまみれたりするよりずっと良いです。好録音であると同時に,優秀録音としても通用するのではないでしょうか。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番,第8番(ライアン・ウィッグルスワース&ヴラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番,第8番
ライアン・ウィッグルスワース指揮(第4番)
ヴラディーミル・ユロフスキ指揮(第8番)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
2013/5/1(No.4),2008/9/24(No.8) ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
LPO-0082 (P)(C)2015 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で紹介されていたディスク(有り難うございます)。ユロフスキ指揮ロンドン・フィルのディスクは好録音が多かったので,期待して手にしました。ヴォーン・ウィリアムズの交響曲は初めて聴いたのですが,まだ掴み所がわからないです...

それで肝心の録音なのですが,残響が控えめで邪魔になる響きがほとんどないのは期待通りなのですが,音像がこぢんまりとしていて立体感があまりなく,そのため各楽器の分離感も今一歩です。また,少しマイク距離が遠いのか,わずかにハイ落ちで楽器の質感も弱まっています。好録音ではあると思うのですが,高域の伸びと空間的なスケール感がもう少しあれば,なおよかったのに,と思います。惜しいです。

モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番~第23番(モザイク四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番~第23番
モザイク四重奏団 quatuor mosaïques
録音 1990-2001年
E8889 (C)2003 NAIVE (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ハイドンセットが1990年から1993年,ホフマイスターとプロシア王が1998年から2001年の録音。気負いのないのびのびとした屈託のない演奏が素晴らしいです。ピリオド楽器による演奏ですが,それを意識させない自然なところも良いと思います。さらに,恐らく全てのリピートを実行している点も評価に値します。こんなところにリピートがあったんだ,と,世の中の多くの演奏で省略されてるんだな,ということがわかります。洗練された演奏でも完璧を目指した演奏でもないと思うので評価が分かれるかもしれませんが,こんな演奏も良いですね。

録音ですが,10年以上にわたって収録されているにも関わらず統一感があり,ばらつきが少ないです。残響がやや多めに取り入れられていますが,高域の音の伸び,ヌケの良さがあるので,印象は悪くありません。もう一歩寄って弦楽器の質感を強めに出していればなお良かったのですが,これでもまずまず良好と言えます。

現在すでにこの盤は廃盤になっており,入手がしづらい状態になっています。少し前にハイドンの弦楽四重奏曲がボックスセットで再発売されましたが,このモーツァルトも同様に復刻されたら良いのですが。

しかしそれにしてもこのジャケット写真はちょっと気色悪く,手に取るのを躊躇してしまいます...ジャポニカ学習帳の表紙から昆虫が消えた理由がわかる気がします(^^;。

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ヘッドホン ゼンハイザー HD650 周波数特性とレビュー

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ヘッドホン ゼンハイザー HD650

オープン・ダイナミック型,インピーダンス300Ω,ケーブル両だし3m 6.3mmストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

誰もが認めるリファレンス機の代表格,ゼンハイザー HD650。 私はこの2世代前?のHD580を2台も持っていて, 今でも現役でメイン機として全く不満なく活用しているので,HD650を手に入れるかどうか長い間迷っていました。 少し低域が強くなっているという評判も躊躇させる要因でした。 しかし,やはりこの機種は聴きたいという思いが強く,とうとう入手した次第です。

周波数特性の測定結果です。

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図1 Sennheiser HD650 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


音質ですが,低域が強くなっているという評判は確かにその通りでしたが,その増加量はわずかでしたので, HD580からの音質の変化は最小限であり,聴感上はほぼ同等という印象です。 周波数特性からもわかる通り,聴感的にもフラットであり,まさにリファレンス機としてふさわしい性能を有していると言えるでしょう。 軽いドンシャリ傾向ではありますが,全く強調されたものではありません。 むしろ,beyerdynamic T90 Jubileeと比べると, 中域の充実感がずっとあります。

周波数特性を見ると,高域の特性の暴れが驚くほど見事に抑えられていることがわかります。 全帯域にわたって上品で刺激的にならない音作りとなっています。 個人的にはもう少し10kHz前後の音圧が高い方が好みなのですが,リファレンスとしてはこれで良いと思います。 少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴ける特性です。

装着感ですが,少し固めのベロアのイヤーパッドは感触も良く快適です。 側圧ややや強めなので長時間は少ししんどいかもしれませんが,大型のイヤーパッドで圧力が分散されるため意外に疲れません。 ヘッドバンドのスライダーはちょっと固めで合わせにくいのですが, 一度決めてしまえば動かすことはほとんどないため実用上はあまり問題ではありません。 ケーブルも柔軟性があり癖も付きにくく,取り回しも良好です。

ということで,改めてこのモデルの完成度の高さを思い知りました。 値段分の価値は十分にありますね。 さすがです。 よくクラシックやジャズには向くけど,ロックやポップスには向かない,というような評を見ますが, 要は単にその人の音の好みを言っているだけであって, 私としてはジャンルに関係なく素晴らしい音を聴かせてくれるモデルだと思っています。

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Sennheiser MX365 (インイヤー型イヤホン) レビュー

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Sennheiser MX365

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ゼンハイザー・ジャパンのサイトに載っていないので,まだ日本には正規ルートでは入ってきていないようです。MX300番台で本国では€14,90とのことなので,Amazon.co.jpの並行輸入品 2015年4月時点の価格およそ4,000円は少々高いですね。正規ルートで輸入されればMX375と同じ2,000円台前半の価格でしょう。

音質ですが,付属のイヤーパッドを付けていないと低域はかなり弱いのですが,それを除けばほぼフラットという印象です。高域の伸び感,綺麗さについてはMX585に一歩譲る感じですが,不満に思うことはありません。イヤーパッドを付けると低域の量感が増し,かなり良いバランスになります。これであれば低域を含めてほぼ不満がなくなります。このあたりのバランスの良さはさすがゼンハイザーです。出来ればイヤーパッドなしでこのバランスを実現して欲しいところです。

造りはさすがにMX300番台なので安っぽさはありますが,値段相応だと思います。ケーブルは柔らかくて滑りも良いので取り回しは楽です。ヨレっとしていて少し癖は取れづらいです。これもまた値段相応ですね。

ゼンハイザーのイヤホンは,高域に関しては値段に比例しているところはあるかもしれませんが,音作りのバランスは安いモデルでも関係なく良好という印象です。MX500が生産中止になったあとしばらくはあまり音の良いと思うモデルがありませんでしたが,最近のものは平均的に良くなっているように思います。これもしばらく使ってみようと思います。

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Sennheiser MX585 (インイヤー型イヤホン) レビュー

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Sennheiser MX585

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω,Vol付き
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

私はカナル型が苦手なので,イヤホンは専らインイヤー型を使っています。もう10年以上前からSennheiser MX500を愛用していますが,市場から消える前に入手したストックが5台ほどあるものの,そろそろMX500に代わる機種を見つけたいと常々思っています。気になる機種を見つけるたびに試してみるのですが,なかなかMX500を超えるものが見つかりません。インイヤー型は選択肢が少ないので本当に困ります。

このMX585は,品番からするとMX500の後継にあたる機種だと思います。後継といっても形状や造りが全く異なるので,供給しているベンダーも違うかもしれません。音質的には低域は弱く高域寄りのバランスです。高域はかなり綺麗でこの点はすごく良いのですが,中域に少しだけ癖のある響きがあります。全体のまとまりもバランスもまずまず良く,何より高域のヌケが気持ちよいので継続して使ってみようと思うのですが,中域の癖のためMX500を超えるとまではいかないのが惜しいところです。イヤーパッドを付けると低域が改善されて全体のバランスが整うかと思いましたが,やってみるとあまり耳にフィットしなかったためにほとんど変わりありませんでした。インイヤー型イヤホンでは耳にフィットするかどうかで音質が大きく左右されるので重要ですね。

ハウジングは大きめで私の耳には少し合わないのですが,付属の環状のイヤーアダプタを付けると収まりが良くなります。ケーブルは柔らかく癖が付きにくいのは○ですが,少し滑りが悪いのが惜しいです。Volが付いているのは何かと便利なのですが,スライダーが重く,また手探りで場所を探しにくいため,使い勝手が良くありません。こんなに操作しづらいVolは初めてです。

ということで,MX500には今一歩及ばず置き換え候補にはなりませんが,しばらく使ってみようと思えるくらいには良い機種でした。

タグ: [ヘッドホン] 

ブラームス:弦楽四重奏曲,ピアノ五重奏曲,弦楽五重奏曲(タカーチ四重奏団)

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ブラームス:ピアノ五重奏曲,弦楽四重奏曲第2番
タカーチ四重奏団 Takács Quartet
2007年5月21-24日 セント・ジョージ教会(ブランドン・ヒル)
CDA67551 (P)(C)2007 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ブラームス:弦楽四重奏曲第1番,第3番
タカーチ四重奏団 Takács Quartet
2008年5月23-26日 セント・ジョージ教会(ブランドン・ヒル)
CDA67552 (P)(C)2008 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ブラームス:弦楽五重奏曲第1番,第2番
タカーチ四重奏団 Takács Quartet
2013年5月19-22日 ワイアストン・コンサート・ホール
CDA 67900 (P)(C)2014 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
現代最高の弦楽四重奏団の一つとも言われるタカーチ四重奏団によるブラームスの弦楽四重奏曲,ピアノ五重奏曲(ピアノ:スティーヴン・ハフ),弦楽五重奏曲(ヴィオラ:ローレンス・パワー)。高度な技術に支えられた演奏で,非常に引き締まっているにも関わらず叙情的で歌心に溢れています。自己主張的な表現はなく,純粋なブラームスの姿が浮かび上がってくるようです。最上級の標準型と呼びたい素晴らしい演奏です。

でも弦楽四重奏はやっぱり地味で渋いです。弦楽五重奏曲の明るくどこか長閑さを感じさせる音楽が良いですね。

録音は標準的で,残響は適度に抑えられ,弦楽器の音色を質感良く捉えていますし,高域のヌケも悪くありません。この中では弦楽五重奏曲が最も良い状態で録られていると思います。

あとはクラリネット五重奏曲と弦楽六重奏曲の録音を期待したいところですが...

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ギル・シャハム)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギル・シャハム Gil Shaham (Violin)
Studio 2, Bayerischer Rundfunk, Munich, Germany in June and July, 2014
CC14 (P)(C)2015 Canary Classics LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

上手い! 本当に上手いです。 技術のキレは抜群で,技術的制約からくるもたつきは皆無です。 優れた技術による演奏でしか得られない快感がこの演奏にはあります。

そしてとても個性的。 どの曲にも彼流の仕掛けが仕組んであります。 曲を完全に支配し,変幻自在に操る。 彼の世界に強引に引きずり込まれてしまいます。 それがまた楽しいのです。

録音ですが,残響は少し多めですが,直接音もしっかりと明瞭に質感豊に捉えられています。 音の伸びもあり,ヌケも悪くありません。 高域が少し刺激的なところはありますが,私にとっては問題ありません。 残響が多くてもこの録音ならまずまず納得出来ます。