シベリウス:交響曲全集(渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集
渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
1962年 東京文化会館,杉並公会堂,文京公会堂
TWCO-29-32 (P)2012 NIPPON COLUMBIA
(タワーレコード企画盤 COLUMBIA×TOWER RECORDS)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records
これは,世界初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集であったとのことです。プロデューサは相澤昭八郎氏,録音は若林駿介氏。1981年に2回目の全集を同じ日本フィルと完成させているとのことで,これは1回目の録音になります。

それにしても50年以上前に,こんな立派な全集を完成させていたとは正直驚きました。今聴いても表現に違和感はなく,全く古びていません。演奏に粗さがないとは言えませんが,健闘していると思いますし,それらもこの素晴らしい音楽の前では全く問題ではありません。

そしてこの録音がこの全集の価値をさらに高めていると言っても良いのではないでしょうか。やはり50年以上前の録音ということで,機材やメディアのハンディがあり,音色のざらつき,フォルテシモでの飽和感と音の潰れ,高域の伸びの不足,など如何ともし難いところはあります。しかし,弦楽器の音を主体に構成され,生録的で演出感の全くない実在感のある音作り,個々の楽器の分離と質感の良さ,見通しの良さは,前記のハンデをカバーするに余りあります。

昨今の残響まみれ・過剰な演出で実在感の希薄な録音よりはるかに良いと思います。このような録音で聴くと音楽が何倍も楽しくなります。録音のクオリティが格段に上がっている現代でこそこのような録音で音楽をストレートに伝えて欲しいと思いますね。

なお,録音状態としては,杉並公会堂で録音された第2番,第7番が比較的良好,逆に,東京文化会館で録音された第1番,第3番,第4番は強奏部での飽和による音の潰れが散見され少し落ちるように思います。文京公会堂で録音された第5番と第6番はその中間くらいでしょうか。

ブラームス:交響曲全集(朝比奈隆指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
朝比奈隆指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団
1990年(交響曲),1992年(ハイドンVar.) オーチャードホール(ライヴ)
FOCD9035/8 FONTEC (タワーレコード企画盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower Records
朝比奈隆のブラームス交響曲全集は,大阪フィルとの2種(1979-80,1994-95)と,新日本フィルとの2種(1990,2000-01)の4種類があり,本盤は4種中の2番目です。81歳での録音で,ライヴでの収録です(拍手も収録されています)。朝比奈さんのディスクは高価なものばかりでしたので聴く機会がなかったのですが,今回のタワーレコードの企画盤での復刻で\3,240と安価であったため,ようやくその演奏に触れることが出来ました。

今まで手が出なかった理由として,自分の好みとは違う「重い」演奏なんじゃないかという勝手な思い込みもありました。今回聴いてみて,テンポ設定が全体に遅めで典型的な重厚路線でスケールが大きく堂々としている点は想像通り。とはいえ,そんな中で時折見せる躍動的な爆発力は想像を超えていました。これが朝比奈さんのブラームスなのか! もう少しじっくりと聴いて朝比奈さんの芸術に触れてみようと思います。

それで録音なのですが,上記のような演奏のイメージを強調するかのような濃い音作りをしています。残響もそれなりに多いのですが,それ以上に全体を一緒くたに詰め込んだような混沌としたところが少しマイナスです。ステレオ録音なのにステレオ感がなく,楽器の分離感,定位感もありませんし見通しも良くありません。音色自体は言うほど悪くないのですが,私としては不満がやや大きく残念に思います。

タグ: [交響曲] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(イ・ボギョン Bokyung Lee)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
イ・ボギョン Bokyung Lee (Violin)
LEEVÉ ART HALL, June & December 2014
LVAP-15K1404 (P)(C)2015 LEEVÉ Production (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 丁寧ですっきりと整った演奏で,緩急や強弱は控えめですが,速い楽章での淀みのない軽快なテンポ感, 自然な呼吸感に沿った細やかな表情付けが好印象です。 強い印象を残す演奏ではありませんが,技術的にも安定感があり, 無難に上手くまとめていると思います。

録音ですが,残響は控えめですが,音に伸び,精彩がなく,くすんでややモゴモゴした音色です。 高域のヌケ,輝きが感じられないのが残念です。 そんなに悪くはないとはいえ,どっちつかずの半端な音作りで損をしていると思います。

バッハ:半音階的幻想曲とフーガ,イタリア協奏曲,パルティータ第6番(セルゲイ・エデルマン Piano)

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バッハ:半音階的幻想曲とフーガ,イタリア協奏曲,パルティータ第6番
セルゲイ・エデルマン Sergei Edelmann (Piano)
2008年10月7-9日,富山北アルプス文化センター
EXCL-21 (P)2009 EXTON/TRITON (国内盤) ※Apple Musicにて試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
レコード芸術誌2013年度第51回レコード・アカデミー賞特別部門録音受賞ディスクである小菅優さんのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第2巻「愛」のレビューのコメントで教えていただいたディスクです(ご紹介有り難うございます!)。Apple Musicでの試聴で失礼します。

それでその録音ですが,録音会場の響きをわずかに感じさせつつも,ピアノの音色に芯があり,また輪郭もくっきりとしていること,楽器自体の響きも豊かに捉えていることから,コメントをくださった方のおっしゃる通り「良く鳴っている」楽器の音響を上手くバランス良く録っていると思います。この録音であれば私もまずまず納得できますし,多くの方にとっても優秀な録音に入るのではないでしょうか。少なくとも上記の小菅さんの録音よりもピアノの音の素晴らしさをずっと良く伝えてくれると思います(小菅さん,ごめんなさい)。

パガニーニ:24のカプリース作品1(ロベルト・ノフェリーニ)

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パガニーニ:24のカプリース 作品1
ロベルト・ノフェリーニ Roberto Noferini (Violin)
2013年9月 イタリア,ストゥディオ・モナーリ
TC781690 (P)2014 Tactus (輸入盤) ※Apple Musicで試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
いつも参考にさせていただいている音工房Zのメールマガジンで紹介されていたディスクです。現在入手しづらい盤のようなので,Apple Musicで試聴しました。

演奏者のロベルト・ノフェリーニは1973年生まれのイタリアのヴァイオリニスト。グリュミオーやアッカルドにも学んだとのことです。モダンとピリオドの両方を弾きこなし,ここではピリオド楽器とピリオド弓,ガット弦を用いています。そして演奏時間は何とおよそ99分にも及び,12曲ずつの2枚組構成になっています。大抵の演奏はCD1枚に収まっていると思うのですが,この演奏はアグレッシブに攻めていてゆったり弾いていないので,リピートを律儀に全て行っているなどでこの長さになっているのかもしれません(詳しく追求していません。違ったらゴメンナサイ。)。

そしてこの録音なのですが,少し残響を伴っているものの,楽器の直接音が主体の録り方になっているため,明瞭でキレが良く,高域の伸びも良好,ピリオド楽器独特の質感も良く伝わってきます。わずかな残響のまとわりつきが気になるものの,これなら十分に許せますし,好録音であり優秀録音とも言える出来だと思います。

シベリウス:交響曲全集(コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集,クレルヴォ交響曲
コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
2002年9月~2008年7月,バービカン・センター
LSO0191 (P)(C)2009 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第3番,第7番),★★★★(それ以外)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
LSO Liveの録音をもう一つ。コリン・デイヴィスは1970年代にボストン交響楽団と,1990年代にロンドン交響楽団と全集録音を行ってきています。この3回目の全集は2回目とおなじロンドン交響楽団との共演で,ライヴでの全集となります。「シベリウスの演奏をライフワークと位置づけてきた」というだけあってきちんとツボを押さえたダイナミックな演奏で,さらにオーケストラの上手さもあって堅実でライヴながら傷もほとんどなく安心感があります。このあたりはさすがです。

そして注目の録音なのですが,時期とエンジニアがバラバラなので,録音の質にもばらつきがあります。第3番と第7番はやはりデッドでドライながら,楽器の質感がよく捉えられており,スケール感もあるLSO Liveらしい好録音です(録音時期は2003年)。次いで第6番。そしてその他の録音は同じくデッドなのですが,少し遠めで楽器の質感の捉え方が弱いため,こぢんまりしてやや冴えない印象を受けます。

LSO Liveは今まで何度も取り上げてきていますが,最近のものよりも2000年から2003年頃の録音の方がLSO Liveらしい良さが出ているように思います。機会があればもう少しいろいろと聴いてみたいと思います。

ホルスト:組曲「惑星」(コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団)

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ホルスト:組曲「惑星」
コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
2002年6月26-30日,バービカン・センター
LSO0029 (P)(C)2003 London Symphony Orchestra
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団のLSO Liveは比較的録音が私の好みに合うため,今までにもドヴォルザークの交響曲第8番エルガーの交響曲全集を紹介してきました。

このホルストの惑星も同様に残響が極めて少なくデッドでドライな録音です。一般的にはあまり評価されない録音のようで,HMV Onlineのレビューでもあまり評判が良くありません。しかし,残響に邪魔されずクリアでキレの良い,そして各楽器が分離良く克明に聴こえるこの録音はこの曲にマッチしていると思います。生録的な自然さがある点も良いと思います。やはり私はこの録音が好きですね。欲を言うと,もう少し各楽器の質感を強めに出してくれたらなお良い,というところでしょうか。

演奏は数多ある他のディスクに対して突出した特徴があるわけではありませんが,オーソドックスな佳演だと思います。

シベリウス:交響曲全集(ピエタリ・インキネン指揮/日本フィルハーモニー交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集
ピエタリ・インキネン指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
2013年3-4月 サントリーホール,横浜みなとみらいホール(第2番)
NYCC-27286-9 (P)(C)2015 Naxos Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
2013年春のシベリウス交響曲ツィクルスのライヴ録音。演奏後の拍手も収録されています。指揮者の意向で,第6番と第7番は拍手なしに続けて演奏されています。

遅めのテンポで丁寧に,克明に描かれるシベリウスの交響曲の世界。情緒や感情に流れず禁欲的。北欧の作曲家の音楽という側面は強調されず,より普遍的な価値を持つ音楽としてアプローチされているように思います(これは解説書にもそのようなことが書かれています)。個人的にはベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団の3度目の全集とそういう面で近い印象があります。そういうところが良いですし気に入りました。

そしてこの演奏を仔細に伝えてくれる録音がまた素晴らしい。残響はかなり控えめ。各楽器の生の質感が明瞭に分離良く自然な音色で伝わってきます。特に弦楽器の質感が大切に扱われていることに好感を持ちます。セッション録音のような演出感も全くありません。会場の雑音はゼロではありませんが気になりません。リアルなライヴ録音としてかなり上手く録れていると思います。ほぼ不満のない好録音です。

演奏も録音も良い素晴らしい全集で感激しました。愛聴盤候補です。しばらくじっくり聴き続けたいと思います。私の中では今ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団の全集と肩を並べる位置に来ています。録音が気に入っている分,こちらの方が好きになるかもしれません。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ロマンス第1番,第2番(アルテュール・グリュミオー/コリン・デイヴィス指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50(*)
アルテュール・グリュミオー Arthur Grumiaux (Violin)
コリン・デイヴィス指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
エド・デ・ワールト指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(*)
録音 1974年,1971年(*)
468 114-2 (P)1971,1974 Philips Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store

グリュミオーは,ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の録音を3回録音しており,これはその3回目の録音になるということです。甘美で艶やかな彼独特の音色はこの演奏においても存分に発揮され,美しいヴィブラートの効いた輝かしい演奏は本当に素晴らしいです。この点に関してはピカ一です。これも名盤ですね。

録音ですが,残響時間の長い響きがオーケストラの重厚さをより強調し,ソロはそこから一段フォーカスされてくっきりと浮かび上がるように録られているので,協奏曲としてまずまず好ましいバランスだと思います。ソロにも響きがのっていてまとわりつきが気になりますが,輝かしい音色の劣化は少なく,許容範囲です。アナログ期の一番良い頃の録音ではないかと思いますし,残響が許せる方には優秀録音かもしれません。私としてはもう少し残響を抑えたすっきりした録音にして欲しかったと思うので四つ星評価ですが。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(カール・ズスケ/クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
カール・ズスケ Karl Suske (Violin)
クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
1987年9月2日~3日 ライプツィヒ新ゲヴァントハウス
TKCC-30627 (P)1992 徳間ジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
言わずと知れた名盤中の名盤。派手さはありませんが真摯かつ上品で薫り高い正統派の演奏ですね。初出時にレコード芸術誌で特選盤に選ばれたというのも納得です。

録音ですが,残響がかなり多く,また,ソロにも被っているために明瞭感は少し劣ります。また音像も少し遠めです。オーケストラも残響をかなり伴っているために重厚感が増強されています。ホールで聴くバランスに近いと言えるかもしれませんが,少なくともソロはもう一歩寄って明瞭に録って欲しかったところです。多くの方に好まれる録音かもしれませんが,私は少しもどかしく感じます。演奏が素晴らしいだけに少し残念に思います。

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番,第2番(ミネッティ・クァルテット)

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メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番,第2番
ミネッティ・クァルテット Minetti Quartet
2011年4月19-20日,2011年6月7-8日,ウィーン王宮礼拝堂
CD 98 645 (P)(C)2012 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲集ハイドンの弦楽四重奏曲集が素晴らしかったミネッティ・クァルテットのメンデルスゾーン。このメンデルスゾーンも先に取り上げたディスクと同様,現代的な感覚でスマートに演奏されいます。やはり個々の奏者の技術力の高さと音色の魅力が抜きんでており,今の時代のスタンダードを築くような素晴らしい出来だと思います。昨今の若い世代の弦楽四重奏団は本当にレベルが高いですね。今後の録音にも期待したいです。

録音ですが,残響が少しのっているものの明瞭感も高く,音色も自然で伸びがあり,楽器の質感もそれなりに感じられる良好な録音です。録音会場の雰囲気はほとんど感じられず,また,作為的なところや演出感もないためあまり特徴がない録音なのですが,それが良いとも言えます。個人的にはやはりもっと残響を抑えて生の質感を強く出してくれたらと思っていますが,まあこれでも十分納得できますね。

ヨアヒム・ラフの協奏曲を聴く

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ラフ:ピアノ協奏曲作品185, 春への頌歌作品76
ピーター・アロンスキー Peter Aronsky (Piano)
マティアス・バーメルト指揮/ヨスト・マイアー指揮
バーゼル放送交響楽団
TUDOR 7035 (P)1995 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
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ラフ:チェロ協奏曲第1番,第2番,他
ダニエル・ミュラー=ショット Daniel Muller-Schott (Cello)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7121 (P)2004 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
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ラフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番,他
ミハエラ・パエッツチ Michaela Paetsch Neftel (Violin)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7086 (P)2000 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower recordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
弦楽四重奏曲で興味を持ったラフというスイスの作曲家の協奏曲を聴いていました。

ピアノ協奏曲は緩徐楽章の叙情的な曲調が印象的ですし,両端楽章の技巧的で堂々とした音楽も聴き応えがあり,今回試聴した中では一番良かったです。そしてカップリングの春への頌歌作品76(Wikipediaではヴァイオリンと管弦楽の曲とされている)も同様に親しみやすく聴きやすい曲で好印象でした。

次いでチェロ協奏曲。特に第2番が楽しいのですが,どちらも美しい旋律に溢れた佳作だと思います。名手ダニエル・ミュラー=ショットのチェロがこれまた素晴らしい! 深みのある低音から透明感のある高音まで,この人のチェロの音は本当に魅力がありますし,技巧も完璧です。

そしてヴァイオリン協奏曲。どちらも短調ですが,美しい旋律と輝かしい技巧に彩られたこれも良い曲です。録音の加減もあると思いますが,ヴァイオリンがやや線が細く印象が薄いのが残念です。技術的にも上手いのですが。

ラフの音楽は親しみやすいのですが,アクがないため印象に残りにくい面があります。埋もれてしまったのはそのためかもしれません。

録音ですが,ピアノ協奏曲とチェロ協奏曲は,オーケストラのスケール感と,そこから一段浮き上がるソロが心地よく,協奏曲として標準的ながらバランスの良い良好な録音です。

一方ヴァイオリン協奏曲は特にソロが奥まっていて弱く,曲の印象を弱めてしまっています。こぢんまりとして広がり感の弱い点も残念なところです。やはり録音は大切であるということを感じますね。

これらのディスクは入手困難ではないと思いますが時間がかかりそうということもあって,Apple Musicでの試聴しました。こういうマイナーなディスクを聴きたいときに聴けるというのは有り難いです。クラシックファンにとってApple Musicはほんとに宝の山ですね。また,こうやって私たちが聴くことによって,演奏者や著作権者に適正に視聴料が配分され行き渡ることを願いたいです。(→こういうことから,すでに廃盤になったものに関しては,中古ディスクを買い求めるよりもApple Musicで聴く方が良いかもしれない,と考えているところです...)

ベートーヴェン:交響曲第1番~第4番(ラン・シュイ指揮/コペンハーゲン・フィル)

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ベートーヴェン:交響曲第1番~第4番
ラン・シュイ指揮/コペンハーゲン・フィル
2009年~2012年 デンマーク王立音楽院コンサート・ホール
ORC100045 (P)(C)2015 Orchid Music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ラン・シュイ指揮/コペンハーゲン・フィルによるベートーヴェン交響曲全集の第1弾。ラン・シュイは中国系アメリカ人の指揮者で,2007年からコペンハーゲン・フィルの首席指揮者。この演奏ではベートーヴェンの速度指定に従い,ティンパニーと金管楽器は古楽器を使用,中規模の編成による演奏とのことです。

確かに快速テンポで,とくに両端楽章はかなり速いです。そしてオーケストラを完全に掌握して全く乱れを見せないばかりか,ダイナミックで起伏に富んだ演奏を展開しています。かといって刺激的になりすぎず,気持ちよく爽やかに駆け抜ける演奏に仕上げています。ちょっと速すぎて細かい音符が聴き取れないところもありますが,現代的で新鮮な演奏で好きですね。全集の完成が楽しみです。

録音ですが,残響は少し多めですが,それでもサウンドとしては比較的締まっているので印象は悪くありません。やや遠めでスケール感に欠け,こぢんまりとまとまりすぎで,楽器の生の質感が弱いです。また,響きのバランスが中低域に偏っているためか,少しモゴモゴして,細かい音符や弱音が聴き取りづらいところもあります。どちらかといえば良好な部類に入るのですが,それだけにこういった点がもどかしく思います。惜しい録音です。残響が気にならない方には優秀な録音かもしれません。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(チョン・キョンファ/キリル・コンドラシン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
“Kyung-Wha Chung Complete Decca Recordings[19CD+DVD]”より
チョン・キョンファ Kyung-Wha Chung (Violin)
キリル・コンドラシン指揮/ウィーン/フィルハーモニー管弦楽団
1979年9月録音
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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チョン・キョンファがデッカに残した全録音集から聴いたものを少しずつ載せていきたいと思います。まずはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ちなみに,オリジナルのジャケット写真は左のようなものだったそうです。

オーソドックスで個性を強く出そうとする演奏ではありませんが,堂々としているだけでなく,艶めかしささえ感じる薫り高い音色が何とも言えず素晴らしいです。ヴァイオリンという楽器のそのものの魅力が最大限に引き出されています。ヴァイオリン協奏曲はこうでなきゃ,と思わせますね。さすがです。

録音ですが,この当時のデッカ録音の良い例ではないかと思います。かなり多くの残響を伴っているものの,密度が高くタイトでスケール感がありながら明瞭さ,見通しの良さを失わないサウンドが実に気持ちの良い好録音です。ソロとオーケストラのバランスも自然さを失わないぎりぎりのところまでソロにフォーカスしていて聴きやすいです。ソロの響きをもう少し抑えていれば申し分なかったのですが。惜しいところです。残響が気にならない方には全く問題ないでしょう。

ベルリオーズ:幻想交響曲作品14(フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエルク)

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ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエルク
2009/8/30 ラ・コート=サンタンドレ(ベルリオーズ音楽祭ライヴ)
ASM02 (P)2010 Actes Sud (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
古楽器オーケストラによる演奏。古楽器で幻想交響曲はどうかと思いましたが,ビゼーの交響曲の録音が良かったロト指揮レ・シエルクということで聴いてみました。特に弦楽器について古楽器ではちょっと苦しいか,と思うところや音色がモダンの方が合っているよなと思うところがゼロではありませんが,大健闘の熱い演奏で私の心配はほとんど杞憂でした。

そして録音なのですが,音楽祭のライヴ録音ということで,弱奏の部分で周囲のノイズや演奏雑音などが気になることはあるものの(発電機のようなブーンという音が結構気になりますが),それを除けば録音状態はかなり良く,音を濁す残響もほとんどなく,各楽器が自然な音色で明瞭に,分離良く見通しよく録音されています。ライヴのリアルな雰囲気も伝わってきます。といっても残響がほとんどないため会場の空間性はほとんど感じませんが,私にはむしろこれが良い結果になっていると思いました。

元々演奏が良いということもありますが,録音がよいと音楽が何倍も楽しくなるという好例だと思います。

シューマン:交響曲全集(ジモン・ガウデンツ指揮/オーデンセ交響楽団)

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シューマン:交響曲全集
ジモン・ガウデンツ指揮/オーデンセ交響楽団
録音 2011年,2013年
777 925-2 (P)2015 CPO
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Music
いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で取り上げられているのを見て聴いてみたくなったディスクです(有り難うございます)。演奏者に関しては同サイトをご参照いただきたく。

せっかちなくらい速いテンポで颯爽と駆け抜ける気持ちの良い演奏で,新しい時代を開く現代的でスマートな演奏だと思いました。速いからといって決して勢い任せにならず,明晰で細部まで克明に描き出す分析的な演奏でもあると思います。がんばって弾いているのに普通は聴こえてこないシューマンの<素直でない>ヴィオラまで(^^;聴こえてきたりする(聴こえる気がする?)のも面白いです。こういう演奏は大歓迎です。

そして録音なのですが,少し音像が遠めで楽器の質感は弱く,スケール感はやや小さいものの,響きの美しさ,楽器の音色の輝きが感じられる好録音です。低域は弱めですが締まっています。見通しもまずまずです。残響はあるもののウェットにならず,むしろカラッとしているのが良い結果につながっています。私としてはもう少し寄って生々しさと分離感を出して欲しかったと,私の望む録音とは少し方向が違うのですが,まあこの録音ならいいかなと思います。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番,ヴァスクス:ヴァイオリンと弦楽のため協奏曲「遠き光」(ルノー・カピュソン弾き振り/ヨーロッパ室内管弦楽団)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番
ヴァスクス:ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲「遠き光」
ルノー・カピュソン(弾き振り) ヨーロッパ室内管弦楽団
2014年4月発売
(P)2014 Erato/Warner Classics ※Apple Musicでの試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Music
読者の方からご紹介いただいたディスク(有り難うございます)。Apple Musicでの試聴であることをご了承ください。また,ヴァスクスの方は未聴です。

バッハのヴァイオリン協奏曲はバロックながらモダン楽器でも盛んに演奏され,録音もリリースされる,モダン楽器が好きな私にとって貴重な有り難い曲です。このバッハもモダン楽器でなおかつモダンの様式?で演奏されています。カピュソンの演奏はすっきりと清潔感のある好感の持てるものですが,どちらかといえば控えで刺激的ではないのでもの足らないと思われる方もおられるかもしれません。こういうスマートさがいかにもモダンらしくて私は好きですけどね。

さて録音ですが,バックのオーケストラはやや残響を伴い,ソロはそこから一段浮き上がる形でフォーカスされているので,ソロが聴きやすく協奏曲として好ましい録り方です。そして,ソロにフォーカスされすぎず全体としての自然さを保っている点でも良いと思います。オーディオ品質も悪くありません。優秀録音という感じではありませんが,やや地味ながら欠点の少ない好録音です。

イベリカ(アンヌ・ガスティネル(Vc)/パブロ・マルケス(Guitar))

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イベリカ
アンヌ・ガスティネル(チェロ),パブロ・マルケス(ギター)
2009年4月録音
Naïve V5182 (輸入盤) ※Apple Musicでの試聴
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
先日このディスクの感想のリクエストをいただきました。Apple Musicでの試聴であることをご了承ください。

アンヌ・ガスティネルはフランスのチェリスト。ここではファリャ,カサド,グラナドスというスペインの作曲家の音楽をギターとのデュオで演奏しています(ギター独奏も含まれています)。ギターとのデュオというのがこのスペイン音楽にベストマッチです。薫り高く情熱的なガスティネルのチェロを,熱いギターがさらに煽ります。ダイナミックレンジの広い,ニュアンスの豊かな,そして官能的な表情に魅了されます。ハイトーンが多く熱い演奏なのに,この安定感と余裕の表現力,ものすごい技術力です。紛れもないチェロの演奏なのに,チェロであることを忘れて聴き入ってしまいますね。

さて録音なのですが,響きを多めに取り入れ,響きによる雰囲気を重視しているのか,ギターもチェロも少しベールがかかったような演出感があり,ボディ感たっぷりの録音にも関わらず,私としては手が届きそうで届かないもどかしさを感じてしまいます。もう少し近いイメージで楽器の生の質感を大切に録ってくれるとなお良かったのですが。

普段スペイン音楽を聴かない私にとってこのような魅力的なチェロの音楽を聴く機会をくださった読者の方に感謝します。ガスティネルのバッハの録音は以前レビューしたのですが,今改めて聴くとまた違う印象かもしれません。ディスクを発掘できたら再レビューしたいと思います。

ビゼー:交響曲ハ長調,小組曲,シャブリエ:田園組曲(フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエルク)

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ビゼー:交響曲ハ長調,小組曲
シャブリエ:田園組曲
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエルク
(P)2007 Mirare ※Apple Musicで試聴
好録音度:★★★★★
参考: iTunes StoreAmazon.co.jp
Twitterなどで,最近発売されたロト指揮レ・シエルク(古楽器オーケストラ)のシャブリエ「スペイン」などが収録されたディスクの録音が素晴らしいという評価を目にしたので一度聴いてみたいと思っていました。しかし曲にあまり興味がわかなかったので,同楽団の別のディスクを探していたところ行き当たったのがこのディスク。特にビゼーの交響曲が溌剌とした演奏で素晴らしいですね。この曲はほとんど聴いたことがありませんでしたが,こんなに楽しい曲だったのですね。

そしてその録音ですが,響きの透明さとヌケの良さが抜群,残響はあるものの,明瞭感と各楽器の分離感も良く,このキレの良いサウンドは魅力的で申し分ないです。やや演出された仕上がりで実在感や楽器の質感が薄めなので私の求める好録音とは少し方向性が違いますが,これなら十分納得できる録音です。

このディスクはすでに入手が難しくなっているようです。iTunes StoreやAmazonで配信されているのは見つけ手いたのですが,購入は躊躇していました。圧縮音源ですが,Apple Musicでフルに聴けるようになったのは本当に有り難いです。

フィビヒ:弦楽四重奏曲第1番,第2番,他(パノハ四重奏団)

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フィビヒ:弦楽四重奏曲第1番,第2番,他
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
2001年発売
Supraphon SU34702 ※Apple Musicで試聴
好録音度:★★★★
参考: iTunes StoreTower RecordsAmazon.co.jp
マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第8弾です(^^;。Apple Musicでの試聴です。

ズデニェク・フィビヒ(Zdeněk Fibich 1850-1900)(Wikipediaでは「フィビフ」と表記)はチェコの作曲家で,スメタナ,ドヴォルザークとともにチェコ国民楽派の草創期を築いた作曲家とのことです。恥ずかしながらこの弦楽四重奏曲を聴くまで全くその存在すら意識にありませんでした。

この弦楽四重奏曲,美しく親しみやすい旋律に溢れています。民族的な色合いはドヴォルザークに比べると薄いように思います。土臭くないためにかえって存在感が薄くなってしまっているのかもしれません。再評価されても良いのではと思います。

録音は残響が少し多めですが,楽器音もしっかりと捉えているため聴きやすい音質にまとめられています。残響のまとわりつきが気になるものの,印象はそんなに悪くありません。少し演出っぽい音作りとは思いますが。これならまずまず録音を気にせずに音楽を楽しむことが出来ます。残響を入れるなら,せめてこんな風に録って欲しいですね。スプラフォンらしい録音と言えると思います。

このディスクはAmazon.co.jpでプレミア価格が付いていることを見ると,すでに入手が難しいと思われます。Apple Musicでこうやって聴けるのは本当に有り難いことです。そしてこうやって聴くことで演奏者やレーベルに適正に還元されていくことを期待したいですね。

Apple MusicはAAC 256kbps相当のストリーミングとのことで,クラシックを聴くには少々心許ないクオリティですが,実際のところそんなに音質が劣るという印象はありませんでした。それよりもこうやって貴重な音源に触れることが出来るようになったメリットの方がはるかに大きいと感じています。もちろんもっと高音質化できるならして欲しいですけどね。

エルガー,ウォルトン:弦楽四重奏曲(ガブリエリ弦楽四重奏団)

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エルガー:弦楽四重奏曲 作品83
ウォルトン:弦楽四重奏曲 イ短調
ガブリエリ弦楽四重奏団 Gabrieli String Quartet
The Maltings, Snape on February 14 & 15 1986
CHAN 8474 (P)(C)1986 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpiTunes Store
マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第7弾です(^^;。エルガーにしろウォルトンにしろ,マイナーといってもディスクを探すと結構いろんな録音があります。しかし,メジャーな弦楽四重奏団は取り上げていませんね。ウォルトンは今ひとつ掴み所がないのですが,エルガーはいい曲だと思うのですがね。私はよく聴きます。

ガブリエリ弦楽四重奏団の演奏は紳士的な気品のある雰囲気が良いのですが,少し穏やかすぎるというか,もう少し鋭角的で推進力があればなぁと思いました。曲に対する愛情はとても感じられますね。

録音はやや残響多めで明瞭感が少し落ち,音色にも影響していて少し冴えないのですが,室内楽の録音としてはまあ標準的な範囲でしょうか。もう少しヌケの良さが欲しいところです。

このディスクはもう古いので現役盤ではないようです。エルガーはもう少し満足のいく演奏を探してみようかなと気になってきました(^^;。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編 弦楽合奏版)(ドミトリー・シトコヴェツキー指揮・独奏/紀尾井シンフォニエッタ東京)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編 弦楽合奏版)
ドミトリー・シトコヴェツキー指揮・独奏
紀尾井シンフォニエッタ東京

Kioi Hall, Tokyo, 12th-14th February 2015
MM-3051 (P)(C)2015 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ドミトリー・シトコヴェツキー編曲による弦楽合奏版。そして,そのシトコヴェツキーが指揮と独奏を務める。紀尾井シンフォニエッタ東京の編成は,8-7-6-4-2+チェンバロ。シトコヴェツキーは1984年に弦楽三重奏版を録音し,1993年にはニュー・ヨーロピアン・ストリングスと弦楽合奏版を録音しています。これは彼自身の3枚目のディスクだと思います。

弦楽合奏版といってもトップ奏者による室内楽的な部分も組み合わされた多彩な編曲内容になっています。シトコヴェツキーがリードする演奏は自由闊達で,弦楽合奏という演奏形態を存分に生かしたものになっています。原曲がバッハのチェンバロ曲であることを忘れてしまうくらい楽しい仕上がりだと思います。いくつかの変奏はグールドの演奏のように連続的に演奏されます。唯一残念なのは,第20変奏が原曲のイメージとだいぶ異なる編曲のまま今回も改訂されなかったことですね。

弦楽によるゴルトベルク変奏曲の演奏をここまで普及させ,独自の地位を獲得した彼の功績の大きさを改めて感じます。

リピートの実施ですが,次の通り変奏にによってバラバラです。

リピート表 (演奏時間 約59分)
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ○○ Var.05 ○× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○×
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ○× Var.15 ○×
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○× Var.21 ○×
Var.22 ○○ Var.23 ○× Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ○× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ○× Var.30 ○○
Aria da capo ××

さて録音ですが...残響の多い録音ではないのですが,ホールの空間を感じさせる響きが多く,明瞭感を落とし,ヌケの悪いモゴモゴした音質になってしまっています。会場の雰囲気は感じられるとはいえ,この響きは音質を劣化させているだけで音楽性にも心地よさにも全く寄与していません。せっかくの楽しい演奏が台無しで残念でなりません。

やっぱりマイスターミュージックの録音は私には全く合わないです...

タグ: [室内楽曲] 

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ロマンス第1番,第2番(ヘンリク・シェリング/ベルナルド・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50
ヘンリク・シェリング Henryk Szeryng (Violin) ベルナルド・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1973年4月,1970年9月
442 398-2 (P)1971,1974 Philips Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
これも名盤ですね。ハイフェッツとは正反対でまさにスタンダードと言えるのではないでしょうか。真面目で几帳面で誠実,安心して音楽に浸れます。こういうところが逆につまらないと思われる方もおられるようですが。

録音ですが,ソロは残響感がなく明瞭,オーケストラは適度な響きを伴ってソロの後ろに展開し,コントラストがきちんと取られていて協奏曲として聴きやすい録音です。ソロにフォーカスされているため,自然なバランスではありませんが,細部やニュアンス,質感がしっかりと聴き取れるので好ましいと思います。

演奏も録音も良好なスタンダード盤として初めて聴く方にも安心してお薦めできるディスクだと思うのですが,適切な現役盤が見つかりませんでした。何とも残念な状況です。

ベートーヴェン,ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ヤッシャ・ハイフェッツ)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(*)
ヤッシャ・ハイフェッツ Jascha Heifetz (Violin)
シャルル・ミュンシュ指揮/ボストン交響楽団
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団(*)
1955年11月27,28日 ボストン,シンフォニーホール,1955年2月21,22日 シカゴ,オーケストラホール(*)
BVCC-37221 (P)1999 BMG ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★★☆,★★★★(*)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ベートーヴェンが38分,ブラームスが35分,2曲合わせても73分しかないという超快速演奏。この2曲をこんなに余裕でCD 1枚に収められるのはハイフェッツしかいないんじゃないでしょうか。オーケストラを置き去りにして前のめりに突っ走る王様の演奏。指揮者の方も無理に合わせようとせず,自由に弾かせておいて要所で手綱を引いてうまく辻褄を合わせています。結果としてソロが生かされ上手くいっているのでしょうね。賛否は分かれるようですが,これほど協奏曲の醍醐味を堪能できる演奏はそうないという点で気に入っています。

さて録音ですが,何も言われずに聴いたとしてこれが1955年の録音だとは絶対に思わないだろう,というくらい鮮明で音の伸びもある良好な録音です。残響感はあるものの直接音主体で明瞭感は問題なし,音にもキレがあります。ソロにフォーカスされた録音なので誇張された感があり,この面での自然さには欠けるかもしれませんが,協奏曲としてはむしろ好ましいと思います。現代の録音でもこれよりショボい,音楽を楽しめない録音があまりに多いのは本当に残念なことです。

なお録音としてはベートーヴェンの方が良く,ブラームスはソロの鮮明さが落ち,位相操作されたような違和感があって少し落ちます。