ベートーヴェン:交響曲第2番,第8番(小澤征爾指揮/水戸室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第2番,第8番
小澤征爾指揮/水戸室内管弦楽団
2015年1月,5月 水戸芸術館
UCCD-1421 (P)2015 Universal Classics (国内盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
小澤征爾指揮/水戸室内管弦楽団によるベートーヴェンの第2弾。第1弾は第4番,第7番でした。

今回は録音についてのみコメントします。というのも,録音があまりにも残念すぎて音楽に集中できず楽しめなかったからです。第4番,第7番の録音と傾向は同じですが,さらに悪化しています。音色が濁り,くすみ,透明感も伸びも輝きもなく,まったく精彩のない音です。それぞれの楽器の音色はもっともっと魅力的なはずなのに,まったく伝わってきません。分離感もスケール感も全然なく団子状態です。

“DECCA”のレーベルを冠してこの録音とは... 小澤征爾さんの貴重な貴重なライヴをこんなショボい録音で出すとは... 怒りを通り越して悲しくなってしまいました。素晴らしい音楽を台無しにする録音,残念でなりません。

(記2015/08/25)


上記のように本録音は私にとってはまったく良くない好録音とは程遠いものでしたが,レコード芸術誌およびSTEREO誌10月号を拝見すると,どちらも優秀録音として賞賛されていました。おそらく他の雑誌でもこのような評価がなされるのでしょう。私がまったく感心しなかったアルティ弦楽四重奏団のベートーヴェンも優秀録音として取り上げられていたほか,安田謙一郎さんのバッハ無伴奏チェロのマイスター・ミュージックの録音も確か優秀録音と扱われていたと思います。

このような録音が雑誌等において優秀録音と持ち上げられる限り,少なくとも私にとって国内の録音は絶望的な状況だと思わざるを得ません。今に始まったことではありませんが,何ともやるせない気持ちでいっぱいです...

(記2015/09/21)


いつも参考にさせていただいているClassical CD Information & Reviewsを運営されている加藤さんよりコメントをいただきました(有り難うございます)。本ディスクの音源はe-onkyoでも配信されており,CDと比較してDSDの音質は大変素晴らしいとのことでした。CDの感想もアップされていますので,併せてご参照いただければと思います。

(記2015/09/30)

タグ: [交響曲] 

メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第8番,第9番,第10番(オルフェウス室内管弦楽団)

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メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第8番,第9番,第10番
オルフェウス室内管弦楽団
Performing Arts Center, State University of New York at Purchase, 12/1991
437 528-2 (P)1993 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
オルフェウス室内管弦楽団のディスクをもう一つ。メンデルスゾーン12歳から14歳の間に作曲されたという作品。全部で13曲あり,その中の3曲を収録しています。中学生くらいの年齢でこれだけ優れた作品を作曲したというのが信じられないですね。

これらの曲をオルフェウス室内管弦楽団はキレよく,小気味よく演奏しています。この曲はオルフェウス室内管弦楽団くらいの編成のシャキッとした,そしてノリの良いアンサンブルで聴くのが最高ですね。全曲録音されなかったのが本当に残念です。

録音ですが,シャハムやガロワのヴィヴァルディ協奏曲集と同様,弦楽器の魅力ある美しい音色を綺麗に質感良く捉えています。高域の伸びもあり,中低域も引き締まっています。各楽器の分離も良く見通しも良好です。実に気持ちの良いサウンド! 同楽団の良好な録音の一つと言えると思います。

しかしこの素晴らしい曲集は復刻もされず,Apple Musicにもアップロードされず,入手しづらい状態になっているのは残念です。(タワーレコードさん,出番ですよ(^^;)

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(アリーナ・イブラギモヴァ(Vn)/ジョナサン・コーエン指揮/アルカンジェロ)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
アリーナ・イブラギモヴァ Alina Ibragimova (Violin)
ジョナサン・コーエン指揮/アルカンジェロ
2014年8月8日-10日 ヘンリー・ウッド・ホール,ロンドン,イギリス
CDA 68068 (P)2015 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon
収録曲は下記の5曲で,チェンバロ協奏曲からの編曲(reconstructed versionと書いてあります)が3曲入っています。

ヴァイオリン協奏曲 第1番イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲 第2番ホ長調 BWV1042
ヴァイオリン協奏曲 イ長調 BWV1055(チェンバロ協奏曲第4番の再構築版)
ヴァイオリン協奏曲 ト短調 BWV1056(チェンバロ協奏曲第6番の再構築版)
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV1052(チェンバロ協奏曲第1番の再構築版)

かなり古楽スタイルに寄った演奏です(というかそのものか)。バックも古楽アンサンブルでリュートも入って独特の響きを出しています。イブラギモヴァのヴァイオリンは古楽奏法を駆使しつつも独自のスタイルを確立していますね。こういうチャレンジは歓迎。でもちょっと抑制的すぎるというか,楽器を響かせずレガートに背を向けたデッド?な弾き方はヴァイオリンという楽器の長所をあえて抑え込んでいるような気がして個人的にはちょっと苦手かなと思います。もう少し伸びやかで開放的に弾いてくれたらなと思うのですが。特に第1番,第2番の2曲。

一方でチェンバロ協奏曲からの編曲の3曲は,初めて聴くということもあってか上記の点はあまり気にならず,また演奏自体が上記2曲よりも前向きに力強く演奏されているため,こちらの方が私としては楽しめました。編曲もかなり意欲的ですし(特にBWV1052)。

録音ですが,残響はやや多めながら,直接音比率が高いため残響量の割には明瞭で音色も自然に保たれていて印象は良いです。ソロは一段残響を抑えてより明瞭に捉えていますが,若干ガチャガチャしたバックに比べてやや控えめなバランスで収録されているので,もう少しソロにフォーカスして誇張しても良かったのではないかと思います(バックはもう少しすっきりと)。ちょっと濃すぎる録音かなとは思いますが,全体として楽器の音色を大切に扱っていてまずまず良好な録音だと思います。ちょっとオマケですが四つ星半です。

パガニーニ:ヴァイオリンとギターの音楽第1集(ジエルジ・テレベジ(Vn)/ソーニャ・プルンバウアー(G))

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パガニーニ:ヴァイオリンとギターの音楽第1集
ジエルジ・テレベジ György Terebesi (Violin)
ソーニャ・プルンバウアー Sonja Prunnbauer (Guitar)
1973~74年頃の録音
WPCS-12552 (P)1974 (C)2002 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
いつも参考にさせていただいている音工房Zのメールマガジンで優秀録音として紹介されていたディスクです。パガニーニというと超絶技巧を駆使した曲というイメージがあるのですが,ここに収録されているヴァイオリンとギターの曲は「貴族や上流階級のサロン用に作曲された」ということで,技巧を凝らした曲ではなく甘美な旋律を朗々と歌うものが中心となり,ギターは伴奏が主体です。内容的には少々食い足りなさを感じるものの,気軽には楽しめますね。

さて肝心の録音なのですが,ヴァイオリンの音は若干の残響を伴いつつも直接音が主体で極めて明瞭であり,音色も自然,音の伸びも申し分ありません。ギターも同様ですが,残響による音色の変化はヴァイオリンよりも気になりません。ヴァイオリンもギターも楽器の魅力を存分に伝えてくれます。確かに優秀録音ですね。私としては残響によるわずかな音色変化がやっぱり気になりますが,でもとても気持ちよく楽しめます。

なお本ディスクは「ワーナークラシックス名盤SACD」としてSACDハイブリッドで復刻されたものということです。ワーナーの直販サイトではすでに購入不可となっているので,流通在庫のみかもしれません。(→10/3現在,Amazon.co.jpだけはどんどん入荷していますね...)

P.S. 私もつい最近Amazon.co.jpで購入したのですが,今見ると700円以上安くなっている...ちょっとショック(涙)...

ベートーヴェン:交響曲第4番,第7番(カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調作品60
カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団
1982年5月3日 バイエルン国立劇場
C 100 841 B (P)1984 ORFEO International Music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団
1982年5月3日 バイエルン国立劇場
C 700 051 B (P)(C)2005 ORFEO International Music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
今更ですが,クライバーのベートーヴェンです。久しぶりに聴きたくなって取り出してきました。第4番はLPの時代から随分と話題になりよく聴いてきました。第7番の初出は2006年でしょうか。いずれも1982年5月3日の同日のコンサートのライヴです。定評のある盤なので演奏についてはもう私から付け加えることはありませんのでここでは省略します。

録音ですが,オーディオ的観点では決して良いとは言えません。帯域が狭く,高域の伸びがありませんし,音色のバランスも崩れています。楽器の分離もあまり良くありません。メディアでのリリースを目的にした録音というよりは,演奏会の記録として残していたものではないかというような録音ですね(本当のところは存じませんが...)。

しかし,私は結構この録音が好きなのです。理由は2つ。まず第一に演出感が全くなく作為的な音作りもされておらず演奏会の生の雰囲気がそのまま収められていること,第二に残響の取り込みが少なくサウンドがタイトで締まっており,特に弦の質感がそこそこ上手く捉えられていること,です。オーディオ的な魅力に欠けるのが本当に惜しいと思います。

なお,後に発売された第7番の方が音の鮮度が高く,第4番の方がやや落ちます。第4番は少し前にシングルレイヤーSACDでリマスター盤が出たようですが,通常のCDでのリマスター盤はないのでしょうかね? 第7番と同じくらいには鮮度を上げられると思うので,ぜひ通常CDまたはSACDハイブリッドで再リリースして欲しいものです。

クライバーのベートーヴェンのライヴ盤としては,あと第6番(→Tower Records)があります。これはまだ聴いていないので一度聴いてみようと思っています。そのほか,1983年のコンセルトヘボウ管とのライヴDVD(→Tower Records)もありますね。これはちょっと思案中(^^;。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(アルカン四重奏団)

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ベートーヴェン:初期弦楽四重奏曲集
アルカン四重奏団 Quatuor Alcan
録音 2007-2010年 カナダ,ケベック
ACD2 2491 (P)2007-2010 (C)2014 Disques ATMA inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ベートーヴェン:中期弦楽四重奏曲集
アルカン四重奏団 Quatuor Alcan
録音 2008-2011年 カナダ,ケベック
ACD2 2492 (P)2008-2011 (C)2015 Disques ATMA inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
アルカン四重奏団 Quatuor Alcan
録音 2007-2012年 カナダ,ケベック
ACD2 2493 (P)2015 Disques ATMA inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
アルカン四重奏団はカナダの団体,1989年の結成で,2014年に結成25周年,これに合わせて全集を録音されました。初期・中期と順次発売され,この度後期が発売されて全集として揃いました。以前に一度初期・中期を取り上げていましたが,改めて取り上げます。

とても良くバランスの取れた演奏をする団体です。表現は至ってオーソドックス。技術力もありますしアンサンブルもとても良く安定感があります。あまりに素直で強い主張がないために少し印象が薄いのですが,曲に対する誠実さを感じる良い演奏であることは間違いありません。特に後期は策を弄せずよりシンプルですっきりと表現されていてかえってこれが良い効果を生んでいます。地味ですが良い全集が出来上がったなと思います。

録音ですが,数年にわたって少しずつ録音されていてばらつきがあります。一部の録音は残響が適度に抑えられてすっきりと聴きやすいのですが,残響が多めで癖のある響きが被って明瞭感と音色に影響し高域のヌケが今ひとつでスカッと気持ちよく聴くことが出来ないものもあります。それほど悪い録音ではないのですが,良い方の録音に統一されていれば良かったのにと少し惜しく思います。

Apple Musicでオルフェウス室内管弦楽団のヴィヴァルディ協奏曲集を聴く

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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
ギル・シャハム Gil Shaham (Violin)
オルフェウス室内管弦楽団
1993年12月 ニューヨーク州立大学
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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ヴィヴァルディ:フルート協奏曲集作品10
パトリック・ガロワ Patrick Gallois (Flute)
オルフェウス室内管弦楽団
1992年12月 ニューヨーク
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
オルフェウス室内管弦楽団の録音は演奏も録音も比較的私の好みに合うものが多いこともあってよく聴きます。この2つのヴィヴァルディの協奏曲集は聴いたことがなく,たまたまApple Musicにあるのを見つけたので聴いてみました。

これらのディスクでは,ギル・シャハムとパトリック・ガロワという一流のソリストが主役ですが,私にとってはオルフェウス室内管弦楽団が主役。そして,その期待に見事に応えてくれています。バロックの名曲をモダンな感性で新たな生命を吹き込んで聴かせてくれます。(といってももう20年以上前の録音なんですね... 最近モダン楽器でこういうバロックの録音をしてくれる団体がほとんどないのが本当に残念です。)

そして録音がまた秀逸なのです。残響感はありますが,具体的なホールをイメージさせるものではなく,音楽に潤いを与える役割を担っています。ほとんど音を濁しておらず,マイナス要素が少ない残響の取り入れ方になっています。明瞭感,解像感,楽器の分離,見通しの良さ,どれを取ってもそこそこ良好。そして何より音が綺麗なのが良く,引き締まったサウンドと相まって魅力的な音響を実現しています。

一方で演出感,誇張は多少あり,自然さに欠け実在感が希薄な面はあるかもしれません。しかし,楽器の音色は大切に扱われており,そういった欠点を覆い隠すのに十分な魅力を備えていると感じました。間違いなく好録音です。

なお,シャハムの四季はまだディスクを入手しやすいようですが,ガロワのフルート協奏曲集の方は現役盤がないようです。Apple Musicがなければこの音楽に接することはなかったであろうと思います。Apple Musicいいですね。役に立ってます。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(郷古廉(Vn)/上田晴子(P))

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
郷古廉 Sunao Goko (Violin)
上田晴子 Haruko Ueda (Piano)
Paris, 27th-30th December 2013
NS12 (C)2013 NASCOR (P)2015 Ysaÿe Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
落ち着いた演奏ですが表現のスケールが大きく,また,伸びやかで透明感のある美しい音色が本当に素晴らしいと思います。大器の片鱗を見せていますね。これからの活躍が楽しみです。まっすぐ成長して欲しい。

さて録音ですが,残響は控えめなものの,録音場所の響きがわずかに被って音色を濁しているのが少々気になります。それほど悪くはないのですが,この響きは音色を濁すだけで何の役にも立っておらず,せっかくの美音が気持ちよく楽しめません。何ともすっきりしない録音で残念に思います。

R. シュトラウス:英雄の生涯,「影のない女」組曲(大植英次指揮/ミネソタ管弦楽団)

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R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
R. シュトラウス:「影のない女」組曲 作品65
大植英次指揮/ミネソタ管弦楽団
10/1997, Orchestra Hall, Minneapolis, Minnesota
RR83 (P)(C)1998 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
HMV Onlineで特価で紹介されていたReference Recordingsicon,「キース・ジョンソン博士が30年以上もチーフ・ エンジニアを務めている高音質レーベル。」ということで興味が湧いたので,その中の一つを聴いてみました。今回は録音のみのコメントです。

まず自然な音色で誇張もなく演出感もない音作りに好感を持ちました。直接音が主体で明瞭であり,個々の楽器の分離もまずまず良好で,残響は少しありますがあまり気になりません(ヴァイオリンのソロは少し残響の影響が気になります)。そして一番感心したのはフォルテシモの鳴り方です。一般的な録音では飽和感がありやたらうるさく混沌とすることが多いのですが,この録音では大きな音量で鳴っているにも関わらず飽和感もありませんし,まったく破綻することなくそれぞれの楽器の音がしっかりと見通しよく存在感を持って鳴っているのです。

こういう録音にはなかなか出会いません。優秀録音といっても良いのではないでしょうか。18年くらい前の録音ですが,こんなに良い録音のお手本があるのです。見習って欲しいですね。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(D. シトコヴェツキー編 弦楽三重奏版)(トリオ・エクナトン)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(D. シトコヴェツキー編 弦楽三重奏版)
トリオ・エクナトン Trio Echnaton
Germany, 7/2000
COV 50101 (P)(C)2007 Coviello Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
見つけると買ってしまうシトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版。見つけたときに記憶のないジャケットだったので持ってないと思ってしまったのですが,以前に買っていたものと同じものということに今気がついて少しショックを受けています(^^;。ジャケットが違うので気がつきませんでした... ディスクの管理を諦めてから久しいのですが,最近この手の事故が急増してます(^^;。

気負わない自由闊達な気楽な感じの演奏が楽しいです。技術的にも上手いですし,アンサンブルも良好です。もう少し個々のプレーヤーの音色に魅力があればなお良かったと思いますが,それでも十分に楽しめる演奏でした。リピートの省略が多いのが少々残念です。

録音ですが,残響感が少しあり若干音色をくすませていますが,明瞭感はまずまず良好で,それぞれの楽器の質感も保たれています。マイク距離が少し遠いのか,やや分離感は落ちます。生録的で演出感が少ない点は良いと思います。もう少しすっきりと見通し良く録って欲しかったですね。

演奏時間 約68分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ○○
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ×× Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ×× Var.24 ○○
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ○○
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ: [室内楽曲] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(マリー・カンタグリル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番,第3番
マリー・カンタグリル Marie Cantagrill (Violin)
Saint-Serge Church, Angers, France
(a)Ref. AB1/1 (P)(C)2009 ABP Musique Classique Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番,パルティータ第1番
マリー・カンタグリル Marie Cantagrill (Violin)
Combelongue Abbey, Rimont, France
(b)Ref. AB1/2 (P)(C)2011 ABP Musique Classique Productions (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考:Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,第3番
マリー・カンタグリル Marie Cantagrill (Violin)
Malliac Castle, Montreal du Gers, France
(c)Ref. AB1/3 (P)(C)2014 ABP Musique Classique Productions (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考:Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music
CD試聴記」からの転載記事です。2015年に(c)が発売され,全集として揃ったので再レビューします。

(a)(b)については比較的遅めのテンポでじっくりと演奏されています。 特にパルティータ第二番。 シャコンヌだけでほぼ18分,パルティータ第二番全体で約37分あります。 一方(c)は全体にもう少し速めのテンポで前向きです。

いずれにしても丁寧で真摯なところが良いと思いますが, 音色は若干固めで無機的な感じもあるので,もう少し色が欲しいかなと思います。 技術的には安定感がありまったく不安はありません。

録音ですが,3枚のディスクは全て違う場所で録音されたようですが,いずれも教会のようです。 (a)(b)は残響が少し多めです。 (c)は響きはあるもののドライな感じがします。 いずれも残響や響きによって音色はくすみがちですっきりせずあまり良いとは言えません。 中では(a)がややマシかなと思いますが, 全体通してやはり少々残念な録音です。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァイオリン&ピアノ版)(ゾーイ・ブラック(Vn)/ジョー・チンダモ(P))

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァイオリン&ピアノ版)
ゾーイ・ブラック Zoë Black (Violin)
ジョー・チンダモ Joe Chindamo (Piano)
2013/7/2-3 メルボルン,イワキ・オーディトリアム,ABCスタジオ
ALFI15002 (P)2015 Alfi Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
ジョー・チンダモはオーストラリアのジャズ・ピアニスト。チンダモの編曲によるヴァイオリンとピアノによるゴルトベルク変奏曲。“The New Goldberg Variations”というタイトルです。ピアノは楽譜通りに近いのですが,その上でゾーイ・ブラックのヴァイオリンがオブリガートのように装飾をふんだんに取り入れた即興的で自由な旋律を奏でます。ゴルトベルク変奏曲原曲の旋律が薄まり,自由気ままなヴァイオリンの旋律が前に出てくるので,ゴルトベルク変奏曲を聴いているという感じではなくなってきますね。まあこれは堅いこと言わずに素直に楽しめばいいかなと思います。

録音ですが,わずかに残響感があり,音色に癖のある色がついているようにも感じられます。ややピアノの音の捉え方がバランス的に弱い気がします。スタジオで録音しているにしては少しキレがなく焦点の甘い録音のように思います。クリアさ,透明感ももう少し欲しいところです。と少々辛口に書きましたが,まあ許容範囲ですかね。

蛇足ですが,Apple Musicでも配信されていますが,Aria da capoのトラックを再生すると,第30変奏がもう一度再生されます。Aria da capoが抜けてますね。私だけかもしれませんが,音楽配信でのこういうミスの遭遇確率が結構高いです。ほんといい加減ですね。アーティスト側もチェックしてないんですかね?こういうのが放置されているというのが不思議でなりません。

タグ: [室内楽曲] 

早く廃止して欲しいオクタヴィア・レコードのCD新パッケージ

ご存じの方も多いと思いますが,オクタヴィア・レコードの今年の5月の新譜からCDのパッケージが変更になっています。オクタヴィア・レコードのホームページでも発表されていますね。私が最近買ったものでは,横山奈加子さんのバッハアルティ弦楽四重奏団のベートーヴェンがこのパッケージです。

5月新譜より、弊社発売CDのパッケージ仕様が変更になります」(オクタヴィア・レコード)

上記のページの説明画像を引用します。プラケース自体は今までのものと同じですが,使い方を変えています。
shin_setsumei_200a.jpg

上記のように使い方が変わっただけで,今まで無意識にケースを開けられたものが開けられなくなってしまいました。試していただければわかりますが,ジャケット面を見ながら今までと同じように左手で上下を押さえ右手で中央部を押さえて開こうとしても開きません。これから聴こうと取り出そうとするとき,ディスクを仕舞おうとするときに,スッとケースが開けられないのでいちいちイラッとしてしまいます。気持ちよく聴き始めることが出来ません。

CDパッケージの使い方は世界的に統一されています。その世界標準の使い方からあえて外すなら,少なくともそれによるメリットがデメリットをはるかに上回らなければ価値がないと思います。少なくとも私にとってこのパッケージの仕様変更はメリットゼロ,デメリットしかありません。

些細なことで誠に恐縮なのですが...早くこの仕様を廃止して元に戻して欲しいです。以前この件をTwitterで書いたところ,1990年代にRCAが同仕様を採用して不評のためすぐにやめたという返信をいただきました。世の中もやっぱりこの仕様を別に望んでいないということだと思います。(このパッケージを良いと思われている方がおられましたら申し訳ございません。)

なお,通常のパッケージとは上下逆さまに入っていることが扱いにくい原因になっているので,これを通常と同じ上下の向きに入れ直すことで取り扱い時のイライラはだいぶ解消しました。同じようにイライラされている方がいらっしゃいましたらお試しください。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番(アルティ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番
アルティ弦楽四重奏団
2015年3月25-27日 水戸芸術館 コンサートホールATM
EXTON OVCL-00575 (P)(C)2015 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
京都府立府民ホール“アルティ”の開館10周年を記念して1998年に結成された,豊嶋泰嗣,矢部達哉,川本嘉子,上村昇,という錚々たるメンバーの弦楽四重奏団。すでに第1弾としてベートーヴェンの第14番,第16番のディスクをリリースしており,これが第2弾となります。

基本的に第1弾から変わらず,オーソドックスで堂々とした演奏ながら,奥ゆかしさというか,慎ましさというか,日本人の美徳が感じられ,それがこの曲によくマッチしています。技術的にも安定していますし,アンサンブルも申し分ありません。強い主張がないところが好き嫌いの分かれるところだと思いますが,私は好きです。昨今こういう演奏はあまり多くないと思いますし。この調子で残りの曲も録音して欲しいですね。

さて録音ですが,前回と同じくホールの響きのキャラクターに支配され,演出色が強いです。やはり残響の取り入れ方が半端で,心地よい響きに至らず,音色を濁し明瞭感,質感を損なってしまっています。やはり今回もせっかくの素晴らしい演奏をまったく活かさない録音でとても残念です。

ところで,やはり今回もアルティでの録音ではないですね...(^^;。