R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」,交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」,「ばらの騎士」組曲(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」作品35
R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
R. シュトラウス:「ばらの騎士」組曲
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団
2015年10月14,15日 東京,サントリーホール
SICC 19020 (P)2016 Sony Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ドン・キホーテのチェロはトルルス・モルク,ヴィオラは佐々木 亮が担当されています。P. ヤルヴィとN響のR. シュトラウス・ツィクルスは,ドン・ファン,英雄の生涯に続く第2弾ですね。R. シュトラウスはオーケストラの巧さが演奏の出来に直結すると思うのですが,そこはさすがN響です。ちょっと真面目すぎてもう少し茶目っ気があっても良いのかなとは思いますが,そこは指揮者の趣味ですかね(^^;。

録音ですが,ドン・ファン,英雄の生涯と同じ傾向の録音ではあるものの,今回の方が少し残響を抑えてすっきりとさせクリアになっているように思います。演出色が少なく音色も自然なところは好感が持てます。もう少し寄って質感を強めに出して欲しいというのと,ダイナミックレンジを広く取りすぎていて少し大きめの音量で聴かないと物足りなく感じられるというところでしょうか。基本的には良いと思うので,あと一歩頑張ってくれればと思います。次作にも期待!

チェロと弦楽四重奏によるシューマン:チェロ協奏曲,ベートーヴェン:クロイツェル・ソナタ(ズイル・ベイリーVc/イン四重奏団)

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RE:IMAGINED (チェロと弦楽四重奏による演奏)
シューマン:チェロ協奏曲イ短調作品129
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調作品47「クロイツェル」
ズイル・ベイリー Zuill Bailey (Cello)/イン四重奏団 Ying Quartet
2014年10月12-16日 ヴァージニア州ボイス,ソノ・ルミナス・スタジオ
DSO-92204 (P)(C)2016 Sono Luminus (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

シューマンは演奏者自身による編曲,ベートーヴェンは編曲者不詳とのことです。シューマンのチェロ協奏曲はほとんど聴いたことがないのでコメントできないのですが,協奏曲と室内楽の折衷という感じですね。どちらかといえば協奏曲的かなと思います。一方ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタは,ヴァイオリン・パートをチェロで,ピアノを弦楽四重奏で,といった単純な編曲ではないようなので,原曲よりもずっと室内楽的な印象が強く新鮮です。どちらもそれぞれに特徴があって楽しめました。勢いのある覇気に満ちた演奏も良いですね。

そして録音なのですが,残響を抑え,オンマイクでそれぞれの楽器を極めて明瞭に捉えています。やや質感が強く濃すぎるとさえ思えますが,楽器の響きだけを純粋にタイトに捉えた録音は痛快です。ちょっとやり過ぎ感はあり,がちゃがちゃとうるさい面はありますが,間違いなく好録音です。こういう録音好きです。

テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア(ファビオ・ビオンディ)

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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
ファビオ・ビオンディ Fabio Biondi (Violin)
2015年6月18-20日 サンテウヴァミーア教会(ニゴリネ・ディ・コルテ・フランカ,イタリア)
Glossa GCD 923406 (P)(C)2016 note 1 music gmbh (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 かなり自由に装飾や編曲を入れた演奏です。 大胆に変化に富んだ表現を即興的に次々に繰り出してくるところが聴きものです。 技術的にも大変上手く,音色も綺麗だと思います。 ただし,録音の影響でそれが満足に楽しめないのが残念なところです。

録音ですが,残響が多く残響時間も長く,楽器音への被りがかなりあって音色は大きく影響を受け, 明瞭感に乏しく,細部も聴き取りにくく,ヌケも良くありません。 ただ,オーディオ的なクオリティは良く,音は滑らかであり, 残響が許せる方であれば優秀録音なのかもしれません。 ただやはりこれは好録音ではありません。

ベートーヴェン:交響曲全集(アンタル・ドラティ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
アンタル・ドラティ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1975-1976年 ロンドン
PROC-1001/5 (P)1976/1977 Deutsche Grammophon GmbH (国内盤)
タワーレコード企画盤 Tower Records Vintage Collection Vol.8
好録音度:★★★★(☆)
参考: Tower Records

ドラティのこのベートーヴェン,徹底して基本をたたき込まれたような生真面目な正統派の演奏という印象です。そしてコントラストのはっきりした明快な音楽...安心して聴ける演奏です。なかなか良いのではないでしょうか。結構気に入りました。

録音ですが,曲によって残響が少し多めのものがあってばらつきがあるのですが,全体として弦楽器主体の音づくりとなっており,直接音比率を高めにしているために残響による影響も少なめで,そこそこ楽器の質感の感じられる締まったサウンドで印象はまずまず良好です。ただ,少々音色のバランスが崩れているのか,高域の伸び,ヌケはやや悪く,また,音色がだいぶ硬く感じられます。基本的な録り方は悪くないと思うので惜しいです。評価は四つ星か四つ星半か迷うところです。

ドラティのベートーヴェンというと,先日取り上げた,これもタワーレコードの企画盤の交響曲集がありますが,クオリティでは劣るものの音の魅力という点ではそちらの方が上ですね。それと同じように録ってくれていたら良かったのに,と少々残念です。

タグ: [交響曲] 

ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」(パノハ四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.1-3
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1993 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.4-6
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1989 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

Apple Musicでの試聴です。

いつも参考にさせていただいてるハイドン音盤倉庫パノハ四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲集作品55が取り上げられていて,ちょっと聴いてみようとApple Musicで検索してみたところ,作品76も録音されていることがわかり,まずこちらを聴いてみることにしました。

速めのテンポで音楽が全く淀みなく流麗に前に前に流れていくのが良いですね(前のめりすぎる?)。技術的なキレもあります。あまりにもあっさりと音楽が進んでいくのが逆に物足りなく感じられなくもないのですが,変に溜めが入ったり,いじくり回されたりしていない潔さが良いとも言えますね。結構気に入りました。他の演奏も聴いてみたくなります。

さて録音ですが,No.1-3とNo.4-6で少し差があります。前者の方は少し残響が多めでわずかながら音色がくすんでいて明瞭感,音の伸びが劣ります。一方後者は残響が控えめで前者よりもずっと音色がクリアで伸びがあり自然です。音像はどちらも少しこぢんまりしているので,もう少し左右の広がり感,立体感が欲しいところです。質感もほんのわずかに強めだったらなと思います。惜しい面もありますが,少なくとも後者は十分好録音です。スプラフォンは好きな録音が多いのですが,ちょっとばらつきがありますね。

これらのディスクはすでに廃盤になっているのか,少し入手しづらいようです。もったいないですね。Apple MusicやAmazonなどの音楽配信で聴けるのは有り難いことですね。

グレン・グールドのバッハ録音 日本企画の音匠仕様SACDハイブリッド盤

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バッハ:インヴェンションとシンフォニア(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1964年3月18,19日 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10168 (P)1964 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
[第1巻]1962, 63, 65年,[第2巻]1966, 67, 69年 ニューヨーク,30丁目スタジオ/1971年 トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10162-5 (P)1972 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:パルティータ(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1957年(第5番,第6番),1959年(第1番,第2番),1962年(第3番),1962, 63年(第4番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10166-7 (P)1969 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:イギリス組曲(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第2番),1973年(第1番),1974年(第3番),1974, 76年(第4番,第5番),1975,76年(第6番) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10169-70 (P)1977 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:フランス組曲(全曲),フランス風序曲
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第6番),1972年(第1番,第2番),1972, 73年(第3番),1973年(第4番),1971, 73年(第5番,フランス風序曲) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10171-2 (P)1982 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先に紹介したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集と同じ企画盤です。これが発売された2012年は,グレン・グールド生誕80年,没後30年ということでの日本独自の企画盤とのことです。SACDであることに加え,音匠仕様レーベル・コートが採用されています。

これらのバッハの録音は,1957年から1976年という長期にわたって録音をされています。録音機材の進歩に従って音質は徐々に向上しているのはもちろんですが,録音のポリシーは当初からほぼ一貫しているので,聴いた印象がぶれません。1960年代前半までの録音は,さすがに古くて歪み感が気になるものもありますが,1960年代後半以降の録音はクオリティ面でもほぼ不満がありません。

何度も申し上げているとおり,グールドの録音はスタジオで全く残響のない環境でピアノの音色をストレートに克明に質感高く録った超好録音と言えるものです。これらの一貫した録音はグールドが録音に拘り直接コントロールしていたからこそ実現したんですよね。素晴らしい演奏が最高の状態で残されたことに本当に感謝したいと思います。

なぜこのような録り方をする人が出てこないのかほんと不思議でなりません。

グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造 - ZENPH RE-PERFORMANCE

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グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造
- ZENPH RE-PERFORMANCE

September 25-26, 2006 at Glenn Gould Studio, Tronto, Ontario, Canada
SICC 10043 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グレン・グールドの有名なデビュー盤,1955年のバッハ:ゴルトベルク変奏曲の演奏を自動演奏で再現したもの。ちょっと古いディスクですが,久しぶりにグールドのディスクを引っ張り出してきた中にあったので,この機会に取り上げたいと思います。

「ゼンフによる“再演”とは?」ということで,次のように説明が書かれています。

グレン・グールド・スタジオに腰を下ろし,グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」の名演を目の前で聴いている自分を想像してみよう。ゼンフの“再演(Re-Performance)”による本作は,そのような状態をサラウンド・サウンド,ステレオ,またはヘッドホンで体験できるよう工夫を特別に凝らした新録音である。

ゼンフZENPHは録音時の音を精緻に再現することにより,録音物を生演奏へと還元する。ソフトウェア・ベースのこのプロセスは,一つ一つの音符に関し,音量,アーティキュレーション,ペダルの動きなど,演奏時の詳細を抽出し記号化する。その記号化された音を高性能のコンピューターやハードウェアを搭載したアコースティックなグランド・ピアノで再生すると,もとの録音が行われた部屋で聴いているかのような音を体験することができる。この“再演”は最新鋭の録音技術により,当時の様子を改めて録音したものである。その結果,20世紀を象徴する録音を音響的に再発見することができるのだ。

使用されたピアノは,ヤマハのDisklavier Proというグランド・ピアノで,家庭用Disklavierの10倍の精度で再生することが出来るとのことです。ソフトの開発は米の音楽系テクノロジー企業,ゼンフ・スタジオで,ピアノ演奏の録音を解析することによって得られる音楽的属性(音程,音符の長さ,打鍵や離鍵の速度など)を周りの雑音と分離し,その属性をデジタル処理でエンコーディングしたということです。

そしてこのディスクはSACDハイブリッドで,SACD層にはステレオと5.1chマルチ,CD層にはステレオとバイノーラル録音が連続して収録されています。録音にも拘りがみられますね。

それで演奏なのですが,これ本当に自動演奏?というほどオリジナルの演奏をよくトレースしていると思います。何も知らせられずに聴いたら自動演奏とは思わないのではないでしょうか。しかし,グールド自身が残した録音と比較して聴いてみると,やっぱりどこか生気に乏しいというか生き生きとしていないというか,自動演奏の限界も感じてしまいます。多分に先入観もあるとは思いますが,人間特有のゆらぎが表現しきれていないのではないかという気がします。また,やっぱり機械であらかじめ決められたタッチでしか再現できないというのもあるのかもしれません。試みは面白いと思いますし,今後の技術の進化とプログラマの創造力で,“再演”ではなく,グールドを超える架空のピアニストをデビューさせたりといったことが可能になるかもしれないですしね。

さて肝心の録音なのですが,スタジオで録音されているにもかかわらず,なぜか音の濁り・曇りがひどくて全く冴えない音色なのです。スタジオでどうやったらこんな録音になるのか不思議です。グールドが残した数々の録音の方がよっぽど鮮明で音に輝きがあります。グールドが聴いたらきっと許さないに違いない,と思ってしまいます。この企画は録音でこれを提供するというなら録音が命のはずなのに。残念でなりません。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第7番(カルロス・クライバー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》,第7番
カルロス・クライバー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1974年3,4月(第5番),1975年11月,1976年1月 ウィーン,ムジークフェラインザール
UCCG-51003 (P)1975, 1976 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》,第7番
カルロス・クライバー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1974年3,4月(第5番),1975年11月,1976年1月 ウィーン,ムジークフェラインザール
447 400-2 (P)1975, 1976 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

さらにもう一つドイツ・グラモフォン ベスト100 PremiumからSHM-CDでHRカッティングな(^^;ディスクを。

これももう有名なディスクですので,今回は録音に関するコメントだけ。このディスクはOIBPマスタリングのディスクを持っていました。今回のディスクの音質がそれに対してどうなのか,気になったので比較してみました。

正直に言うと微妙です。OIBPマスタリング盤に比べると,歪みが少なく音がなめらかに感じられるものの,力強さが感じられなくなり,また,音色のつやも控え目になっているように感じられました。一長一短があるものの,私の音の好みからいうとOIBPマスタリング盤の方かなと思います。クオリティはわずかに劣るかもしれませんが,音色に魅力があります。微妙な差ですが。

あとから発売される方が良いかというとそうでもない場合もあるなということですね。

タグ: [交響曲] 

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」(フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン放送交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74《悲愴》
フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン放送交響楽団
1959年9月 ベルリン
UCCG-51028 (P)1996 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これもドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiumからの1枚です。

この悲愴はランキング上位の常連盤なので興味を持っていたのですが,1950年代の録音ということもあって何となく今まで避けてきました。これもSHM-CDでHRカッティングな(^^;ディスクということで,この機会に聴いてみようと入手しました。

演奏時間が51分と結構遅めの演奏ですが,遅いという感じはありません。静かに込められた思いの強さが迫ってくる,ある意味凄まじい演奏ではないかと。良いと思うのですが少々しんどいですね。まあ曲自体がそうなので仕方ありませんが。

そして録音なのですが,1959年という古い録音なのでさすがに少々歪みっぽくクオリティ面で厳しいのは仕方ないところですが,曇りがなく意外にクリアですし,低域は薄いものの高域の伸びは不足なく,音色のバランスが崩れてわずかに癖があるもののそんなに気になりません。何より,残響を抑えて個々の楽器の音色をストレートに質感よく捉えているのが良いと思います。こういう録音は好きですね。好録音です。

チャイコフスキー:交響曲第5番(エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1960年11月9-10日 ウィーン,ムジークフェラインザール
UCCG-51027 (P)1961 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

今月発売されたドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiumからの1枚です。

ムラヴィンスキーのチャイコフスキー後期交響曲集については,以前,一度レビューしていますが(→こちら),依然として私の中ではその圧倒的な存在感に変化はありません。この後期交響曲集はOIBPリマスターというリマスタリングが行われているとのことでした。その詳細はよく知らないのですが,今回,SHM-CDでHRカッティングという,これもよくわからない技術(^^; で原盤が作られたディスクということなので,後期の中で最も好きな第5番ということもあって,聴き比べてみました。

結果から申し上げると,わずかに鮮明さが増しているようには感じられるものの,その差は極小でした。これならまああえて買い直す必要はなかったかなと思います。でも買って聴き比べてみなければわからないことですけどね(^^;。

それにしてもこのムラヴィンスキーのチャイコフスキー交響曲第5番は何度聴いても心が揺さぶられます。演奏も素晴らしいですし,録音も素晴らしい。その素晴らしさについては前回のレビュー記事に書いているとおり「音楽のエッセンスが詰まった情報量の多い録音」です。音色は古びていますし歪み感も結構ありますが,この圧倒的な演奏・録音を前にして,そんな欠点はまったく問題ではないと思ってしまいますね。間違いなく好録音です。録音評価は今回少し上げました。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集(グレン・グールド)

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1965-1974年 ニューヨーク,30丁目スタジオおよびトロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10200-3 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

いまさら感が強いのですが...(^^;,グールドは演奏も録音も基本的には好きなので,聴きたい曲については出来るだけ良い状態のものを手に入れておきたいということで,日本独自企画のSACD(Hybrid)をいくつか入手していました。レビューし損ねていたので,この機会に触れておきたいと思います。

解説書によると,グールドは最初期の録音(つまり有名なゴルトベルク変奏曲1955年)から録音に深く関わり,常に最新の録音技術(テクノロジー)を取り入れながら一貫性のある録音をしてきたようです。実際に,1957年あたりの録音からすでに録音のポリシーが確立しており,録音機材の進歩によってクオリティは徐々に向上しているものの,録り方は一貫していて年代による変化はほとんど見られません。グールドの数々の素敵な録音は,グールド自身が築き上げてきたものだったのですね。

このモーツァルトの全集録音は,1965年から1974年という時間をかけて完結されたものですが,1965年にはすでに一定水準以上のクオリティでの録音が可能となっていたためか,全体を聴き通しても録音のクオリティで気になるところはほとんどありません。

全てスタジオでの録音であり,残響は全くなく,音色も極めてクリアで自然であり,帯域感も必要十分,ピアノの粒立ちが素晴らしく,鑑賞を邪魔する要素が全くない,私にとっては完璧なピアノ録音です。

こんな素晴らしいピアノ録音なのに,追随してこのような録り方する人が全くゼロというのは残念でなりません。

シベリウス:交響曲全集(オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第1番,第4番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
May/June 2012 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-1996 (P)(C)2013 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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シベリウス:交響曲第2番,第5番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
June 2011 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-1986 (P)(C)2011 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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シベリウス:交響曲第3番,第6番,第7番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
May/June 2015 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-2006 (P)(C)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

20年ぶり2回目の全集とのことです(1回目はラハティ交響楽団)。今年3枚目が発売され,完結しました。とてもダイナミックで壮大な音楽を聴かせてくれます。第1番は今まで聴いたことのないようなスピード感で疾走し少々面食らいます。どちらかというと地味な第3番も力があり,雄大に表現しています。第2番,第5番も同様ですが,こちらはやや抑え気味。第6番は第1楽章で中だるみするのが惜しい。緩徐楽章はどれも情緒感豊かですね。全体として出来に少々ムラを感じ統一感もあまりないのですが,なかなかユニークな全集で聴き応えが十分にあります。

さて録音ですが,残響は適度であり,音色のバランスも整い,低域から高域までレンジ感も十分にあり,歪み感のない綺麗な音が印象的なのですが,一枚薄いベールが被ったようでわずかにモゴモゴした感じであり,手が届きそうで届かない微妙な質感にもどかしさを感じます。もう少し生々しい質感,鮮明さ,分離感が欲しかったところで,とても惜しいと思います。3枚の中では,第1番・第4番が若干悪く,それ以外がもう少し良好で差があります。評価四つ星はちょっと厳しめです(四つ星半と少し迷いました)。BISの録音は概して残響が多めで好みではないことが多いのですが,これは比較的良かったと思います。

余談ですが,第3番・第6番・第7番のディスクはトータルタイムが82分ジャストで,CDスペックをオーバーしています。1枚に収めるために無理矢理突っ込んだ感じですね。特に再生上問題はありませんでしたが。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,第5番「運命」,第6番「田園」,第7番,他(アンタル・ドラティ指揮/ミネアポリス交響楽団/ロンドン交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,第5番「運命」,第6番「田園」,第7番,他
アンタル・ドラティ指揮
ミネアポリス交響楽団(第3番),ロンドン交響楽団(その他)
1957年(第3番),1962年(第5番,第6番),1963年(第7番)
PROC-1413/5 (P)1958,61,63,64 Decca Music Group (国内盤)
タワーレコード企画盤 アンタル・ドラティの軌跡 Vol.1
好録音度:★★★★(第3番),★★★★☆(第5番,第6番,第7番)
参考: Tower Records

タワーレコードの企画盤です。

ドラティはマーキュリーのリビング・プレゼンスの録音が多数あり,今までにもブラームスの交響曲全集チャイコフスキーの交響曲全集レスピーギのリュートのための古代舞曲とアリアチャイコフスキーのくるみ割り人形全曲,弦楽セレナーデ,を取り上げ,いずれも好録音として紹介してきました。

本ディスクも録音に関しては全く同様です。毎度申し上げていますが,1960年前後の録音なのでクオリティに関しては時代相応であり,また,いわゆるオーディオ的優秀録音とは違うということをあらかじめご了承ください。

この録音の魅力は,そのリアルな生々しさと自然な音色,鑑賞の邪魔になる残響を廃した引き締まったサウンドにあります。楽器の魅力,音楽の鼓動がストレートに,そして身体全体に迫ってきます。一人一人の奏者の存在が見えてくるような分離の良さも特長です。

これも何度も言っていることですが,このような素晴らしい録音のお手本があるのに,なんで現代の録音エンジニアはそれを無視するような録音ばかりするのでしょうかね。ほんと残念でなりません。

なおこの中で第3番は,弦楽器のマイクセッティングが今ひとつ良くないのか,パート全体の音ではなく,一部の奏者の音に偏っているような気がします。これは少々残念なところです。

HR(High Resolution)カッティングでSHM-CDな(^^; ポリーニのショパン練習曲集

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ショパン:12の練習曲作品10・作品25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
UCCG-51087 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

言わずとしれた名盤中の名盤。すでにこのブログでも取り上げていました(→こちら)。このディスクが私にとって特別な存在であることは繰り返し述べてきた通りです。今所有しているディスクがだいぶ古く,少し前から最新のマスタリングのものに買い換えたいと思っていたのですが,買いそびれていました。

たまたま昨日立ち寄ったタワーレコードで,発売日当日のこのディスクを見つけ,これは何かの縁と思って購入しました。DSDマスターということなので,私が持っているものより新しいマスタリングであることは間違いありません。

よく見てみると,SHM-CDというのはまあいいとして,HR(High Resolution)カッティングという聞き慣れない原盤の作り方?をしているようで,DSDマスターから一旦176.4kHz/24bitのマスターを作り,そこからダイレクトに?原盤を作っているようです。どういうことかさっぱり理解できませんが(^^;。

肝心の音質ですが,旧ディスクに比べると,わずかに鮮明さが増し,うっすらとかかっていたベールが取り払われたような音質の向上が感じられました。とはいってもそれはわずかであり,もっと劇的な改善を期待していたのですが,そこまでではなかったです。過剰に期待しすぎました(^^;。とはいえ,音質改善はあったので買い換えて良かったと思います。

なお,前回レビューでは好録音度は三つ星半としていましたが,少し辛すぎたと思い,今回四つ星にしています。やや音質が硬く癖のある音質なのですが,邪魔になる残響等はわずかであり,それほど悪くはないなと再評価しました。

ちなみに,これはユニバーサルミュージックのドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiunの中の一枚で,クライバーのベートーヴェン第5番・第7番ムラヴィンスキーのチャイコフスキー第5番フリッチャイのチャイコフスキー第6番なども聴いてみようと今手配しているところです。名盤揃いなので,もっと手を出してしまいそうです(^^;。入手したらまたレポートしたいと思います。

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ブラームス:交響曲第1番,セーゲルスタム:交響曲第288番(レイフ・セーゲルスタム指揮/トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
セーゲルスタム:交響曲第288番“Letting the FLOW go on...”
レイフ・セーゲルスタム指揮/トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
The Turku Concert Hall on 205 November 2015 & 4-7 January 2016
ABCD 390 (P)2016 ALBA classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ブラームスの4つの交響曲とセーゲルスタムの新作交響曲4曲を収録していくというプロジェクトの第1弾。ちょっと怖いもの見たさで聴いてみました。聴いてみると...予想に反して(^^; 意外にもきわめて真っ当な演奏でした。全体にゆったりしたテンポですが,音楽は緩むことなく充実した響きをオーケストラから引き出しています。特徴があまりないとも言えますが,癖のない中庸な演奏として良いのではないでしょうか。

セーゲルスタムの交響曲は...ノーコメントということでご勘弁を(^^;。

そして録音ですが,個々の楽器の音色を素直に,そして明瞭に質感良く捉えており,残響感はあるものの鑑賞の邪魔になるようなことはなく,トータルとしてよくまとまった好印象の録音です。低域から高域まで自然に伸びており,締まったサウンドが魅力です。少し甘いですが四つ星半です。