シベリウス:交響曲全集(レイフ・セーゲルスタム指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他
レイフ・セーゲルスタム指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
ペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (Violin)
1996年(Violin Concerto), 2002~04年(Symphonies) Finlandia Hall, Helsinki
ODE 1075-2Q (P)2005 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

セーゲルスタムは1990年代前半にデンマーク国立交響楽団と全集を録音していました(→こちら)。2回目の全集と思われます。前回の全集同様スケール感のある雄大なシベリウスですが,同時に繊細さも兼ね備え,全体の印象としては随分とオーソドックスにまとめたように思いました。私の聴きたいシベリウスの音楽が見事に再現されており,何の抵抗もなくすんなりと受け入れられました。オーケストラもベルグルンドの全集に比べると精度が上がっているように思いました。良い意味で裏切られた感があります。良い全集だと思います。

録音ですが,残響はあるものの控え目であり,そこそこ楽器の質感も感じられ,音色も自然で伸びがあります。すごく良いということはありませんが,欠点が少なく,鑑賞を阻害する要素もほとんどなく,オーケストラの録音としてまずまず良好だと思います。

この全集にはペッカ・クーシストがソロを務めるヴァイオリン協奏曲が併録されています。これについてはまた機会を改めて。

いい歳をして今更「けいおん!!」にはまる...

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放課後ティータイム
PCCG-00962 ポニーキャニオン
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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放課後ティータイムII
PCCG-01071 ポニーキャニオン
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

本ブログの読者様にはこんな記事で大変申し訳なく思っております(^^;。ご勘弁を。いい歳をして,そして今更ですが,ここ最近「けいおん!!」にはまっておりまして,恥ずかしい思いをしながらレンタルビデオを借りて少しずつ観ています(まだ半分くらい...)。そしてCDも手に入れてしまいました。この2枚でアニメの中で歌われる代表曲はほとんど入っているようです。(オープニングとエンディングがないのが残念ですが)

もうこればかりは理屈をこねても仕方ありません。好きなものは好き,それだけ。Jポップは全く聴かないのですが,これはいい! アニメの設定がギター2本,ベース,キーボード,ドラムスというベーシックな構成で,当然ながらこれらのアルバムの曲の演奏もその範囲で行われています。シンプルで力強いロックサウンドと他愛もない歌詞に可愛らしい歌声のミスマッチが何とも言えず楽しいですね。

また「放課後ティータイム」ではStudio Mixに加えてLive Mixが,「放課後ティータイムII」では部室で演奏をラジカセでカセットに録音するという設定のCasette Mixが収録されており,特にこのCasette Mixの録り方,雰囲気が秀逸です。ファン心理をよく理解して作られてますね(ただ,設定は良いのですが,カセットを意識した音質の落とし具合が少し落としすぎかなと思いますが)。同じ曲がいくつもありますが,どれも捨てがたいです。

やっぱりこの中では「ふわふわ時間」「わたしの恋はホッチキス」の2曲が抜きん出て良く,次いで「ぴゅあぴゅあはーと」ですかね。他の曲も良く穴がありません。

アニメの方もあのユルさが楽しいですね。色恋沙汰なし,エロなし,暴力なし,ドロドロした人間関係なし,男子が全く出てこない,悪役が全く出てこない,悩みなしの天然キャラ...安心してこの世界に浸れるのが良いのです。はい。(そういう点でラブライブもほとんど同じですね) もう少し演奏シーンが欲しいなとはおもいますけどね。

失礼しました...あぁ,お恥ずかしい...(^^;

タグ: [アニメ] 

ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集(ルーシー・ホルシュ/アムステルダム・ヴィヴァルディ・プレーヤーズ)

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ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集
ルーシー・ホルシュ Lucie Horsch (Recorder)
アムステルダム・ヴィヴァルディ・プレーヤーズ
2016年7月 アムステルダム,ゲラルドゥス・マイェッラ教会
4830896 (P)(C)2016 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ハ長調RV.443が収録されているのでこれは聴かなければなりません! 同曲はミカラ・ペトリの素晴らしい演奏が私のリファレンスとなっており,特にフィリップス盤は録音も良くもう何百回聴いたかわかりません(→レビュー記事)。演奏者は17歳! どのような演奏を聴かせてくれるのか興味津々。

それでこの曲,なんでト長調って書いてるのかと思ったらソプラニーノじゃなくってソプラノで吹いているからなんですかね。テクニックの巧さ,安定感はさすがメジャーレーベルに登場するだけのことはありますし,音色の美しさも格別ですね。素直でかつ若々しく弾ける音楽が魅力的です。ミカラ・ペトリのように長く第一線で活躍出来る奏者に育って欲しいですね。それにしても...この曲はやっぱりソプラニーノで聴きたかった!

バックは小編成のバロックアンサンブルで,古楽の雰囲気が強く香ります。ヴィヴァルディなので当たり前と言えば当たり前なのですが,個人的にはもう少しモダンな感じで聴けたらうれしいのになぁと思ってしまうのはやっぱりミカラ・ペトリの印象が強すぎるからでしょうか。

さて録音ですが,少し残響は多めで楽器音に被り,わずかに音色を曇らせていますが,影響はそれほど大きくなく,リコーダーの透明感のある音色は十分に楽しめますし,バックの個々の楽器の質感もそこそこ感じられて印象は悪くありません。よくある古楽の優秀録音の録り方ですね。もちろんもう少し響きを抑えてクリアに録って欲しいのですけどね。

ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年第1稿版)(シモーネ・ヤング指揮/ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年第1稿版)
シモーネ・ヤング指揮/ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団
2007年12月1-3日 ハンブルク,ライスハレ
OC629 (P)(C)2008 Oehms Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ご承知の通り,私はブルックナーとマーラーはほとんど聴きません。辛うじてこのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」は学生の時に演奏したことがあって親しみがあるという理由だけでたまに聴く程度です。ということで久しぶりにこの曲を聴いたのですが,この第1稿,よく知っている版と全然違うので戸惑いの連続でした。別の曲?と思うくらい違う楽章もありますね。確かに興味深いのですが,その後の版を聴いたあとでは,整理されてないというか,落ち着かないというか,やっぱり改訂後の方が良いかなと思いますね。

さて録音なのですが,ブルックナーの録音としては残響は抑え気味,マイクポイントは少し遠いのか楽器の質感は弱めですが,左右の広がり感,スケール感がそこそこあり,分離も悪くないので,全体のサウンドの作りの印象は良いです。音色も曇ったりせずバランスも良好です。私の好きな録音とは少し違うのですが,これならまあ良いかなと思います。

分売ではSACDハイブリッドでリリースされていましたが,つい先日CD版ですが実売4,500円程度で全集がリリースされたんですね(→Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online)。手に入れるかちょっと迷っています。でも手に入れても結局ろくに聴かずに終わってしまいそうな気もするし...(^^;

シベリウス,ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲(イダ・ヘンデル(Vn)/パーヴォ・ベルグルンド指揮/ボーンマス交響楽団) タワーレコードDefinition Series

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
イダ・ヘンデル Ida Haendel (Violin)
パーヴォ・ベルグルンド指揮/ボーンマス交響楽団
7, 8 July 1975(シベリウス), 12, 13 June 1977(ウォルトン) Guildhall, Southampton
TDSA-31(WQGC-43) (P)2016 Warner Music japan (国内盤) TOWER RECORDS Definition Series
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

歴史的名盤をSACDハイブリッドで復刻するタワーレコードの企画盤 Definition Series。このシベリウスもイダ・ヘンデルの代表盤で,シベリウスの協奏曲の演奏としても名盤として有名ですね。すでにCDを持っていたのですが,これは聴いてみなければと思い,入手しました。

この復刻は,「本国より取り寄せた96kHz/24bitのWAVデータを基本にSACD層用としてDSDに変換した後,マスタリングを行い,それとは別にCD層用としてもPCMでマスタリングを行いましたので,SACD層,CD層,それぞれ独立したマスタリングとなっております。」とのことで,CDやSACDの特徴を重視した個別のマスタリングが行われているそうです。なお今回の試聴はCD層です。

従来のCD(2002年に発売されたもの)と比較すると,中域の癖のある音色が軽減され,中低域の厚みが増し,より自然な音色となっていました。また,雑味が少なくなり滑らかになっており,クオリティの改善もなされているように思いました。

しかし... 元々の録音自体が良くないですね。さすがEMIという音質です。1975年といえばアナログ録音は十分成熟している時期ですが,それでこの音質はちょっと残念としか言いようがないです。名盤が可能な限り良い状態で残されるということは喜ばしいことに間違いなく,この点はタワーレコードに感謝したいと思うのですが,いくらリマスタリングを頑張っても素材の品位はカバーできないですね。

モーツァルト:フルート四重奏曲全集(ジャン=ピエール・ランパル,アイザック・スターン,サルヴァトーレ・アッカルド,ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ)

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モーツァルト:フルート四重奏曲全集
ジャン=ピエール・ランパル Jean-Pierre Rampal (Flute)
アイザック・スターン Isaac Stern (Violin)
サルヴァトーレ・アッカルド Salvatore Accardo (Viola)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ Mstislav Rostropovich (Cello)
March 12 & 13, 1986 Studio Cle d'Ut, Paris
SICC 30108 (P)(C)1987 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

Twitterでどなたかが紹介をしておられたのを見つけ,この顔合わせなら聴くしかない!と入手したディスク。というのも,ランパル,スターン,ロストロポーヴィチが演奏したハイドンのロンドン・トリオが演奏も録音も大好きな愛聴盤で,このモーツァルトでもその演奏が聴けるに違いない,と思ったからです。

そして,演奏はその期待を裏切られませんでした。巨匠たちによる肩肘張らないお気楽な室内楽。このモーツァルトの作品はこういう雰囲気が本当に似合います。

で,残念だったのが録音。先に触れたロンドン・トリオの録音は残響のないスタジオで親近感のわく音づくりが曲とぴったりとマッチして最高に良かったのですが,この録音もスタジオで録音されているにもかかわらず演出がきつく生の音がしません。CMに使われそうな作り物の音になってしまっています。せっかくの楽しい演奏を台無しにする録音に落胆しました。残念です。

蛇足ですが,ロンドン・トリオのディスクは廃盤になって久しく,AmazonやApple Musicでも配信されていません。あまりにもマイナーなディスクなので仕方ないかもしれませんが残念です。Amazon.co.jpで中古が辛うじて入手可能です。ご興味があれば是非聴いてみてください。

タグ: [室内楽曲] 

リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」,他(ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団)

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リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
バラキレフ:イスラメイ
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
2001年11月 サンクトペテルブルク
UCCD 50010 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

くるみ割り人形が良かったので別の曲もと思い聴いてみました。この怒濤のごとく押し寄せる凄まじいサウンドは圧巻! ですが,この密度の高い濃厚な音響はかなり人工的な印象を受けます。残響もどこか不自然であり,まるでコンプをかけて音圧を稼いだような無理矢理詰め込んだ強奏部はすごく圧迫感があり,広がりを感じません。

この曲らしい絢爛なサウンドを目指したのかもしれませんが,これはちょっとやり過ぎだと思いました。残念。HMV OnlineiconAmazon.co.jpのレビューも見てみましたが,録音に関して賛否両論ですね。

タグ: [管弦楽曲] 

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」全曲(ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団)新旧録音比較

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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
1998年8月 バーデン=バーデン,祝祭劇場
UCCD 2120 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
2015年6月16日,12月30日(くるみ割り人形) 2015年6月10日,9月29日(交響曲第4番)
MAR0593 (P)2016 State Academic Mariinsky Theatre (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ゲルギエフは1998年に全曲版を録音していましたが,17年ぶりに再録音されました。オーケストラは同じマリインスキー劇場管弦楽団。このくるみ割り人形はマリインスキー劇場の委嘱で作曲され,1892年に初演されたそうで,これはその125周年の記念として録音されたとのことです。

1998年の録音は全曲にも関わらずCD 1枚に収録されています。このテンポで本当にバレエが踊れるのだろうかというくらい速い曲もあり,全体にちょっと落ち着かない感じはあるものの,そういうことを抜きにして音楽そのものは推進力,勢いがあります。

一方今度の新しい録音はそれと比べると随分と落ち着いたテンポであり,音楽自体も角が取れて随分と柔らかく優しい印象を受けます。同じ指揮者,オーケストラの顔合わせとは思えないくらい変わっています。新しい録音の方が実際に踊るバレエ音楽として適切なんだろうな,と思います。実演を繰り返し積み重ねて作り上げられた音楽ということでしょうね。

さて録音ですが,1998年録音は残響控え目で個々の楽器の質感を比較的強めに捉え,明瞭でくっきりしています。質的には少し粗い気もしますし,やや音色が刺激的ですが,このような録り方なのでそう聴こえるのかもしれません。少し誇張された感はありますが,好録音です。

一方新しい録音の方ですが,ホールのちょうど中央あたりで聴いているような印象を受ける音場感を持った録音です(残響量はそれほど多くありません)。直接音と間接音のバランスが絶妙で,響きが音色に影響を与えているにも関わらず悪い印象を受けないのは,ホール感の自然さ故ではないかと。また音が滑らかで,いまどきの優秀録音という感じがします。録音レベルが少し低めであり,また,音場型の録音ということもあって,少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴けます。このような音場型録音は私の好みからは少し外れますし,音のヌケ,高域の伸びがもう少し欲しいとは思いますが,これならまあ良いのではないかと思います。

私の好みからすると演奏も録音も1998年の方が好きですかね。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(アンジェラ・ヒューイット) 新旧録音

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
Henry Wood Hall, London, on 28 August - 1 September 1999
CDA67305 (P)2000 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
2015年12月14日~17日 キリスト教会(オーバシェーネヴァイデ,ベルリン)
CDA68146 (P)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アンジェラ・ヒューイットのゴルトベルク変奏曲の1999年の録音は名盤としての地位を獲得していると思いますが,それから16年,同じハイペリオン・レーベルでの再録音盤が発売されました。

彼女の演奏は,全体として控え目で落ち着いた上品さが美点だと思っています。そしてピアノという楽器の特徴を活かした細やかで豊かな表情。各声部がそれぞれ別の表情を持ちながら絡み合っていくところが素晴らしく思いました。旧録音と新録音は,演奏の基本的な解釈や表現のスタイルは大きく変わっていないと思います。ちょっと聴くと,あれっ?すごく似ているなと。しかし,まるで個々の指が個別の意志を持っているかのごとく,一つ一つの音の弾き分けがより細やかにコントロールされ,より深みのある音楽へと進化しているように感じられました。16年の積み重ねがこういったところに顕れているのでしょう。

さて録音ですが,旧録音の方は残響の被りですこしモヤッとした不明瞭さが気になるものの,それでも比較的すっきりとした音響でまとめられていると思います。対して新録音の方は,ピアノの音をより豊潤に,濃い音で捉えています。残響も多めに入っているために音色が少しぼってりとしつこい感じがします。いずれも一長一短であり,もっとすっきりとクリアに透明感のあるヌケの良い音色で録って欲しいものです。せっかくの素晴らしい演奏が,この録音では最大限には活きてこないと思います。惜しいです。

最後にリピートですが,新録音も旧録音も最後のAria da capo以外は実行されていて,この点でも全く問題ありません。新録音は収録時間が82分を越えていますね。最近は82分越えも当たり前になってきたように思います。私の環境では再生に全く問題はありませんでした。

演奏時間 約79分(1999年録音) 82分14秒(2015年録音)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集(ルドルフ・ブッフビンダー)

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder (Piano)
2010年9月19日~2011年3月27日 ドレスデン,ゼンパーオパー
88697875102 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment Austria (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はピアノ曲は特定の曲を除いてほとんど聴いてきませんでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタもほとんど聴いてこなかった曲に入ります。特に理由はないのですが,ここらでちょっと聴いてみようかと思い(^^;,Apple Musicで新しめの録音で,演奏も録音も良さそうな全集を物色して選んだのがこの全集です。最近のApple Musicは曲名で検索しても対象が全ては出てこず,限られた中での選択でしたので,特に録音に関して満足が得られるものを選べたかというと必ずしもそうではないのが少々残念なところではあるのですが。まあ価格も安い部類に入るので良しとしました。

この全集は,およそ半年にわたって7回に分けて行われた全曲演奏会のライヴ録音とのことです。まだ全てを聴けてはいないのですが,テクニックのキレが素晴らしく,また比較的速いテンポで甘さを廃した淀みのない音楽が私の好みには合いそうでした。

そして肝心の録音なのですが,少し癖のあるホールの響きが付帯音としてまとわりつき音色に影響を与えてはいるものの,その影響は少なめで,芯のあるピアノの音色が良く伝わってきます。正直言うともう少し近めでクリアで透明感ある音で録って欲しかったところですが,まあストレスなく聴けるので許容範囲に入るかなとは思います。少し甘い評価ですが四つ星半です。7回に渡る演奏会のライヴということですが,統一感は確保されています。

探せばもっと気に入るものはあるだろうとは思いつつ,まずは曲をよく知るところからということで,この全集をしっかりと聴いてみようと思います。

ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」(イシュトヴァン・ケルテス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
イシュトヴァン・ケルテス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1961年 ウィーン
Apple Musicでの試聴
好録音度:★★★★★
参考: Apple MusicTower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

本ブログをご訪問くださる皆様であればすでにご存じと思いますが,ステレオサウンド紙の企画盤であるStereo Sound リファレンスレコード オーディオ名盤コレクション クラシック編の第1弾として,このケルテスの「新世界より」が10月1日に発売されました。すでにいろいろなサイトでレビューがなされており,私も興味をもって拝見しております。私自身はこのディスクに興味を持ちながらも「新世界より」は聴き比べするほど好きな曲ではないため,入手をためらって今に至っており,まだ手にはしておりません。

しかし,このようにオーディオ専門誌に取り上げられるほどの録音であれば,以前から発売されているディスクでも素晴らしい音で聴けるはずだと思い,まずはApple Musicで聴いてみました。(参考に挙げたディスクはこれと同等と思われるものです)

おぉ,確かにこれは録音が良いですね! それぞれの楽器の生々しさ,音色の自然さ,質感の良さ,分離勘の良さ,いずれも素晴らしいです。1961年の録音なのでちょっと歪みっぽさがありクオリティは時代なりのところはあるものの(Apple Musicの圧縮だから,というのも少しはあるかもしれませんが),このストレートに迫ってくるサウンドは圧巻ですね。ステレオサウンドが独自に復刻を手がけるのも納得がいく素性の良さをこの録音は持っていますね。Apple Musicでもそれは十分に伝わってきます。これは俄然ステレオサウンドのディスクを聴きたくなってきました。(でも我慢我慢...)

それにしても,何度もしつこくて申し訳ないのですが,このような素晴らしい録音のお手本があるのに,現代の録音がそれを無視するかのような腑抜けたものばかりというのが本当に納得いきませんね。

NPR Music Tiny Desk Concertでレイチェル・バートン・パインがバッハ無伴奏を演奏!

NPR Music Tiny Desk Concertからもう一つ。彼女は今年の春に全集をリリースしていますね(記事はこちら)。演奏曲は以下の3曲。

J.S. Bach: "Tempo di Borea" (from Partita No. 1)
J.S. Bach: "Largo" (from Sonata No. 3)
J.S. Bach: "Fuga" (from Sonata No. 1)

タグ: [YouTube] 

NPR Music Tiny Desk Concertにジョシュア・ベルが出演!

時々紹介しているNPR Music Tiny Desk Concertですが,これにジョシュア・ベルが出演していました。このコンサートの録音は,以前“「録音」に望むこと ~ 最近の無伴奏ヴァイオリン/無伴奏チェロを聴いて”というエントリで述べさせていただいたように私にとってかなり理想に近い「好録音」のものが多いのです。そのエントリで紹介させていただいたヒラリー・ハーンの動画がその最たるものです。

このジョシュア・ベルの動画も理想に近い好録音です。こういうコンサートを聴いてみたいものです。

Brahms: Violin Sonata No. 3, IV. Presto agitato
Schumann: Romance, Op. 94, No. 2
Brahms (arr. Joachim): Hungarian Dance No. 1

タグ: [YouTube] 

グレン・グールド 日本企画の音匠仕様SACDハイブリッド盤 ~ ベートーヴェン,ブラームス,ワーグナー編曲

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」,第14番「月光」,第23番「熱情」
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1966年(第8番),1967年(第14番,第23番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10199 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:間奏曲集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1959年, 1960年 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10204 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ワーグナー:グレン・グールド編によるピアノ・トランスクリプションズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌(オリジナル編成による演奏)(*)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
グレン・グールド指揮/トロント交響楽団員(*)
1973年 トロント・イートン・オーディトリアム,1982年 トロント,セントローレンス・ホール(*)
SICC 10205 (P)1990 (C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先日紹介したモーツアルト:ピアノ・ソナタ全集バッハ録音と同じシリーズです。バッハは2012年の発売でしたが,こちらはモーツァルトと同じ2014年の発売でした。

ブラームスが1959年から1960年,ベートーヴェンが1966年から1967年,ワーグナー編曲が1973年の録音と,上記3枚の録音時期は離れていますが,今までの紹介でも触れてきたように,録音のポリシーは一貫しており,全てスタジオでの録音,残響は全くなくピアノの音色を極めて明瞭に捉えた私にとって最高のピアノ録音です。さすがにブラームスはクオリティ面で若干落ちますが,ほとんど気になりませんし,ワーグナー編曲の録音はもう全くクオリティ面で問題ありません。

グールドは一部のバッハ録音以外はあまり聴いてこなかったので,じっくりと楽しませてもらおうと思います。

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76より「五度」「皇帝」「日の出」

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76より「五度」「皇帝」「日の出」
ザ・サンライズ・クヮルテット The Sunrise Quartet
1998年3月13,14日 Xavier Chapel, Melbourne, Australia
PRCD-5282 (P)(C)1998 VICTOR ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

ザ・サンライズ・クヮルテットは,オーケストラ・アンサンブル金沢の名誉コンサートマスター,マイケル・ダウスが率い,坂本久仁雄(2nd Vn),石黒靖典(Va),大澤明(Vc)が参加しています。きっちりした安定感,安心感のあるアンサンブルはさすがというところですが,音楽作りとしてはちょっと守りに入っているような気がします。緩徐楽章の歌心ある叙情的な表現は良いのですが,両端楽章はあっさりとしていてもうひと味欲しいのと,テンポが落ちつきすぎてワクワク感に欠けます。上手いんですけどね。オーケストラと違ってもう少し個々の楽器の魅力が強く聴こえてきて欲しいですね。

録音ですが,残響は低域の響きを中心に少し多めに取り入れられていますが,直接音がそれなりに感じられるので,ぎりぎり許容範囲というところです。音像が全体にこぢんまりとしていて分離感がなく,もう少し左右の広がりを持たせて分離感とスケール感を持たせて欲しいところです。音色と雰囲気の自然さはあるので惜しいと思います。

この団体,今でもまだ活動を続けておられるのか,よくわかりませんでした。また余談ですが,サンフランシスコ交響楽団のメンバーで構成されるSunrise String Quartetという全く別の団体がありますね...

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品20 Nos 1-3(キアロスクーロ四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品20 Nos 1-3
キアロスクーロ四重奏団 Chiaroscuro Quartet
February 2015 at hte Sendesaal Bremen, Germany
BIS-2158 (P)(C)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲集となれば聴かざるを得ません(^^;。このカルテットは,ピリオド奏法を現代的な感覚で取り入れた演奏が特徴ではないかと思っているのですが,それがこのハイドンでも遺憾なく発揮されています。ただあまりにも流麗で美しすぎるこの演奏はハイドンを聴いているという感じではなく,ちょっと違うかなという印象です。あくまで個人的嗜好で,それがこの演奏の良さでもあるとは思うのですが。

さて録音なのですが,ややオフマイクで残響豊かに録っていて,直接音比率が低めで明瞭感が低く,また音色も残響の影響で冴えず曇りがちです。せっかくの美しい演奏がこれでは台無しです。そんなに悪くはないと思うのですが,このカルテットの魅力を半減させています。もったいないです。BISへの初めての録音とのことですが,BISはこういう録音が多くあまり好きなレーベルではなく,これでは先が思いやられます。

全くの余談ですが,“Chiaroscuro”というと,ブルーグラスの大御所,フィドラーのダロル・アンガーとマンドリン奏者のマイク・マーシャルが1985年にウィンダム・ヒル・レーベルから発表したニューエイジの名盤のタイトルが“Chiaroscuro”でした。私にとって“Chiaroscuro”というとこちらの印象が強いです。Apple Musicでも聴くことができますので,よろしければ一度聴いてみてください(^^)。