モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」,「プロシア王」(ペーターセン弦楽四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
ペーターセン四重奏団 Petersen Quartett
Funkhaus Berlin, 1990/91
08-10 605 (P)1992 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「プロシア王」
ペーターセン四重奏団 Petersen Quartett
録音不明
10 434 (P)1992 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Mujsic

ハイドン・セットはCDで,プロシア王はApple Mujsicで聴きました。ペーターセン四重奏団はベートーヴェンの弦楽四重奏曲も10曲録音しており,現代的で洗練された演奏がなかなか良かったのですが(→レビュー記事),その少し前に録音されたモーツァルトの作品も生き生きとした躍動感のある演奏で聴かせてくれます。有名な団体ではないと思いますが,侮れません。

録音ですが,直接音を主体に録ってはいるものの,残響が少し多めで現実感の希薄な演出された商品の録音になってしまっているのが惜しいです。悪くはないのですが,もう少し生々しさが欲しいと思いました。

ハイドン・セットの方は廃盤になって久しいようで,ディスクの入手は少々しづらいようです。プロシア王の方はまだ少し流通しています。いずれもApple Musicで聴けるのは有り難いことですね。

ハイドン:弦楽四重奏曲作品9,作品17,作品20(ロンドン・ハイドン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品9
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St Paul's Church, Deptford, on 28-31 January and 2 February 2007
CDA67611 (P)(C)2007 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品17
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St George's Brandon Hill, on 6-11 August 2008
CDA67722 (P)(C)2009 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品20「太陽四重奏曲集」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
All Saints' Church, East Finchley, London on 6-10 September 2010
CDA67877 (P)(C)2011 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器での演奏。急速楽章は快活ですが,全体としては柔らかいタッチが印象に残ります。そして美しくロマンティックな節回し。気負いなく素直に表現していて好感が持てます。私の初期の弦楽四重奏曲のイメージを大きく塗り替えてくれました。特に作品17がこんなに魅力的な曲集だったのか!とちょっとうれしくなりました。おそらく全集を目指して作品9から順番に録音をしているのだと思いますが(2017年2月時点で作品55までリリース済み),これは楽しみです。

録音ですが,それぞれ異なる場所で録音されています。作品17が最も良く,残響を控え目に透明感ある美しい音で楽器音を捉えています。次いで作品9で,やや残響感は多めですが,直接音が主体で曇りのない音で録られています。作品20はやや残響が多めでマイクポイントも遠めであり,音色が少し曇っています。許容範囲ですが,作品17のように録ってくれなかったのが残念です。

ハイドン:弦楽四重奏曲作品33「ロシア四重奏曲」(The London Fox Players)

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33「ロシア四重奏曲」第1番~第3番
The London Fox Players
録音不明
好録音度:★★★☆
(P)2006 Classic Fox Records
参考: Amazon.co.jpApple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33「ロシア四重奏曲」第4番~第6番
The London Fox Players
録音不明
(P)2006 Classic Fox Records
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

ディスクでの販売は見あたりません。配信のみと思われます。詳細がよくわかりません。The London Fox Playersという団体も全く情報が見つけられませんでした。弦楽四重奏団なのかどうかさえわかりません。モダン楽器による演奏のようです。技術的にはかなり巧いと思いますが,淡泊です。あまり曲をいじることなく素直にすっきり表現していて嫌いではありません。むしろ他の弦楽四重奏団の演奏にはない独特の味を出しているとも言えるかもしれません。あまり評価される演奏ではないかもしれませんが,私は楽しめました。

さて肝心の録音ですが,少々残響過多で演出が過ぎるように思います。明瞭感に乏しく音色も残響による影響で色がついてしまっています。もっとすっきりと見通しよく録ってほしいものです。

シベリウス:交響曲第2番,第5番,他(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団
1960年3月 ロンドン、キングズウェイ・ホール
WPCS12684 ワーナーミュージックジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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シベリウス:交響曲第5番変ホ長調作品82
シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団
1960年9月,1959年1月 ロンドン、キングズウェイ・ホール
WPCS12685 ワーナーミュージックジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。カラヤン没後25年記念発売盤として発売された20枚のSACDのうちの2枚と元は同じ音源ではないかと思っています(違ったらごめんなさい)。1960年前後のEMI録音ということで,レンジ感や音像感の狭さは仕方がないとはいえ,思ったほど音色に癖はなく聴きやすい録音です。

後のベルリン・フィルとの録音ほどの圧倒的な迫力はないものの,スタンダードな路線でスケールの大きな音楽を構築する技量はこの時期からすでに備えていたことがよくわかる録音だと思います。ベルリン・フィルとの演奏とはまた違うカラヤンの姿をうかがい知ることが出来るディスクですね。良いと思います。

タグ: [交響曲] 

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(堀米ゆず子/アレクサンドル・ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団,ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(*)
堀米ゆず子 Yuzuko Horigome (Violin)
アレクサンドル・ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
ジョアン・ファレッタ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(*)
2015年6月12-13日 東京・サントリーホール(ライヴ),2013年8月27-28日 プラハ,ルドルフィヌム,ドヴォルザーク・ホール(セッション)(*)
OVCL-00609 (P)(C)2017 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ブラームスの協奏曲の方は,以前,二重協奏曲とカップリングで発売されていた演奏と同じものです。ブラームスの方はそちらをご覧ください。

ブルッフの方は最後に拍手の入るライヴ録音で,情感豊かで熱く語りかけてくる演奏は近年の充実ぶりを如実に示していると思いますし,高らかに歌い上げる堀米さんらしい節回しが随所にみられて,また大演奏家への道を一歩一歩着実に進まれているなと感じさせる素晴らしい出来だと思います。

さて録音なのですが,レコーディングのプロデューサが江崎氏ということもあってか,EXTONの録音そのままであり,ライヴレコーディングとは思えないセッション的なクオリティの高い音づくりになっています。ただやはり響きを活かした録音でソロまで響き豊かな録り方になっていて残響の付帯音が鬱陶しく感じられ,ライヴの生々しさ,楽器の質感は失われ「商品化された綺麗な音」になってしまっているのが残念です。商品としての出来は良いのかもしれませんが,私が聴きたい堀米さんの音を伝えてはくれませんでした。残念です。

なおブラームスの方は再収録ながらマスタリングは変わっているようで,やや音質は改善されている印象でした。

蛇足ですが,CDパッケージですが,私の大嫌いな新パッケージタイプでした。イライラするのですぐにジャケットと解説書を上下逆さまに入れ直しました。まだこのパッケージ使ってたんですね。私にとってはメリットゼロ。このイライラさせるパッケージ,ほんと早くやめて欲しいです。

ベートーヴェン:交響曲第1番,第2番,第3番,第7番,他(マルティン・ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調作品35
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調作品36
マルティン・ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー管弦楽団
2014年12月7-9日 オーストリア,ニーダーエスターライヒ宮,ラントハウスザール
ALPHA470 (P)2014 Alpha Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
ベートーヴェン:七重奏曲変ホ長調作品20
マルティン・ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー管弦楽団
2016年5月 オーストリア演劇博物館「Eroica Saal」(旧ロプコヴィツ侯爵邸大広間)
ALPHA474 (P)2016 Alpha Productions (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
ベートーヴェン:ウェリントンの勝利(戦争交響曲)作品91
マルティン・ハーゼルベック指揮/ウィーン・アカデミー管弦楽団
2015年3月10-14日 ウィーン科学アカデミー講堂
ALPHA473 (P)2015 Alpha Productions (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器による歴史的建造物でのレコーディングで,作曲された時代の雰囲気にまで配慮したとのことです。録音に使われた建物はそれぞれディスク毎に違うようです。小編成のようですが,そのサウンドはすごく迫力があり,特に第1番,第2番のアグレッシブな演奏には度肝を抜かれます(第3番,第7番はそこまでのインパクトはありませんでしたが)。ベートーヴェンの時代にこんなド迫力の演奏がなされていたのかちょっと想像がつかないのですが,これはなかなか聴き応えがあります。

しかし,録音が良くありません。第1番,第2番はまだマシですが,特に第3番は録音会場の響きが多く肝心のオーケストラの音を大きく曇らせていて全く楽しめません。歴史的建造物で録ること自体は別に否定はしませんが,音楽そのものが楽しめないような録り方では本末転倒です。せっかくの面白い企画なのですから,建物の響きも活かしつつ音楽もちゃんと楽しめる録音を追求してほしいものです。

タグ: [交響曲] 

シベリウス:交響曲第1番,第2番,第4番,第5番,第6番(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第1番
シベリウス:「カレリア」組曲作品11
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1981年1月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12825 (P)(C)1981 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年12月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12826 (P)(C)1981 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第4番
シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年12月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12827 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第5番
シベリウス:交響詩「伝説(エン・サガ)」作品9(*)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年9,10月, 1976年12月(*) Philharmonie, Berlin
WPCS-12828 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第6番ニ短調作品104
シベリウス:悲しきワルツ作品44-1
シベリウス:「カレリア」組曲作品11(*)
シベリウス:交響詩「伝説(エン・サガ)」作品9(**)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年11月, 1981年1月(*), 1976年12月(**) Philharmonie, Berlin
WPCS-12828 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第2番は先日取り上げたものと同じ演奏です。解説書によると,「当ディスクには,2013年に旧EMIミュージック・ジャパンが,SACDシングルレイヤー盤を発売する際に,新たにマスタリングした音源が使用されている。」とのことで,第2番を旧ディスクと比べてみると,確かに鮮度が向上し,情報量が増え音の厚みも増している印象を受けました。交響曲5曲でディスク5枚というのはいささか効率が悪いように思いますが,初出時のLPのカップリングを再現しているものと思われます(なので,カレリア組曲とエン・サガのダブりもそのまま再現されたようです)。

解説書では,カラヤンがどのようなスタンスでシベリウスの音楽を取り上げ,録音してきたか,そして,これらのディスクの初出時のレコード芸術誌での評について触れられていて,興味深く読ませていただきました。カラヤンが第4番から第7番を好んで取り上げ,第1番~第3番をほとんど取り上げてこなかったというのは何となく知っていたのですが,第2番は演奏会では一度も取り上げられていないないというのは意外でした。

これらの中ではやっぱり第2番と第5番がカラヤン/ベルリン・フィルの本領が全開で発揮された演奏だと思いました。他の曲はそれと比べると少し抑制された感があり,また,第6番はちょっと聴きたい演奏とは違うかなというところですね。

そして肝心の音質ですが,上記の通りリマスタリングで鮮明さが増しているためか,EMIの録音としてはかなり印象が良いです。あの独特の曇った感じはかなり緩和されているのではないかと思います。そして弦楽器をサウンドの中心に据えていることも良い印象の要因になります。リマスタリングの是非はあると思いますが,これはうまく出来ているのではないでしょうか。

タグ: [交響曲] 

ノイズキャンセリングヘッドホンの性能測定を試みる

ノイズキャンセリング機能を持ったヘッドホンが市場で増えつつあるので,一度その性能を測定してみようと思いチャレンジしてみました。ノイズキャンセリングヘッドホンの測定方法は,JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の規格「RC-8142 ノイズキャンセル型ヘッドホン及びイヤホン」でその測定方法が規定されています(→JEITA規格書のページ)。

本文は無料で公開されているので閲覧してみたところ,環境騒音模擬ノイズを使うとか,そのノイズを充満させた拡散音場で測定するとか,HATS(ダミーヘッド)を使うとか,94dBのノイズ(これはほとんど爆音)を発生させて測定するとか,・・・ とても素人には規格通りに測定出来そうにありませんでした。とはいえ,まあ規格通りということにこだわらなければ簡易的な方法でも出来そうだと思ったので,やってみることにしました。

まず音源ですが,これはまあピンクノイズで良いでしょう。最近の製品では周囲ノイズの特性に応じてキャンセル特性を自動的に変えるようなものもあるようなので適切かどうかは微妙ですが,ノイズには違いないのでとりあえず良しとします。

次にノイズを充満させた拡散音場ですが,これが一番困りました。自宅でピンクノイズの爆音を鳴らそうものなら家族はおろか近所迷惑にもなるので爆音を鳴らせる環境を探さなければなりません。カラオケボックスなども考えたのですが,追い出されるリスクが高くこれもだめ。で,結局,車の中でカーオーディオでピンクノイズを鳴らし,測定することにしました。車の外に盛大に音が漏れるのでやはり場所選びに苦労しましたが,周囲が静かでかつ人通りが少なく怪しまれにくい場所を見つけました。

そしてHATSですが,車の中ではいつも使っているファンタム電源が必要なマイクを内蔵した測定治具が使えないので,プラグインパワーのマイクを内蔵した治具を作って測定しました。下の写真がその治具です。のりパネというスチロールボードと発泡スチロールのブロックを使って本体を構成しています。マイクはPanasonic WM-62CUというコンデンサマイクです(部品で1個100円程度)。これをオーディオI/Fのマイク入力に接続します。恐ろしいほど稚拙な治具で誠にお恥ずかしいのすが,一応これでも機能します(^^;。

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今回試しに測定したBOSEのQuietComfort 35を取り付けると次の写真のようになります。これを車に持ち込みました。

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マイクで拾ったノイズ信号はオーディオI/FでA/D変換してPCに取り込み,ARTA SoftwareのARTAという測定ソフトのスペクトラム分析機能を用いました。これで1/3オクターブバンドのスペクトラム分析をします。ノイズはカーオーディオでピンクノイズを鳴らします。デジタルで-3dBのピンクノイズをCDに焼き再生,音量を最大にして騒音計で約92dBの音圧のノイズが得られました。爆音です(^^;。

測定手順は次の通りです。

(1) ノイズを止めた状態で,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズフロアを確認)
(2) ノイズ発生を発生させ,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズ量を測定)
(3) ヘッドホン装着を装着し,ノイズキャンセリング機能オフで測定(遮音性能を測定)
(4) さらにノイズキャンセリング機能をオンにして測定(アクティブキャンセル性能を測定)

得られたデータから,(3)-(2)で遮音性能を,(4)-(3)でアクティブキャンセル性能を,(4)-(2)でトータルのノイズキャンセル性能を,それぞれ算出してグラフ表示します。

この方法で試しに測定したBOSEのQuietComfort 35の結果を次に示します。左チャンネル,右チャンネルそれぞれ測定しています。各グラフの上半分が測定した音圧値,下半分が性能を評価した結果です。

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興味深いのは,およそ700Hz以上はほとんど遮音性能で決まり,200Hz以下の遮音性はほとんどないこと,そしてアクティブキャンセルは,およそ700Hz以下しか効かず,1kHzから2kHzあたりは逆にノイズを増やしてしまっているということです(増えた分は遮音でカバー)。トータルとしては遮音とアクティブがうまくクロスして効果を出し,全帯域で15~30dBの低減効果が得られています。

アクティブで1~2kHzがかえって悪化しているのは,このあたりの周波数が性能的な限界で,位相のコントロールが出来ていないためではないかと推測します。遮音で低域のノイズがかえって増えているのは,高音圧のノイズでヘッドホンと治具が揺さぶられ,タッチノイズのようなノイズが発生しているためのようです。

またこの測定治具ですが,加工のしやすさを優先して軽い素材を用いたのですが,治具自体がノイズ音圧で振動し,その振動がマイクを直接伝わって結果を悪化させている可能性があると考えています。ただ,このような貧弱な治具でもそれなりにノイズ低減効果を数値として確認できたので,まあ一定の成果はあったと思っています。治具の防振対策は今後の課題です(まだやるつもりなんかい!(^^;)。

最後に蛇足ですが... 私の車のカーオーディオの周波数特性ってだいたいこんな感じだったんですねぇ... というのもわかりました。

関連ページ: ヘッドホン BOSE QuietComfort 35 周波数特性

タグ: [ヘッドホン] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(タマーシュ・フェイェシュ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
タマーシュ・フェイェシュ Tamás Fejes (Violin)
4-7, November 2014 and 28-31, October 2015
DMV120 (P)2016 Tamás Fejes (C)2016 Discovery Music & Vision (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器での演奏。オーソドックスで,丁寧に演奏しています。 技術的にも安定感があり,音色も綺麗です。 特徴のある演奏ではありませんが,耳に馴染みやすく安心して聴くことが出来ます。

録音ですが,少し残響が多めで楽器音に被り,まとわりつきが少々鬱陶しく感じられます。 また音色も影響を受けて癖がついており,明瞭感も落ちています。 そんなに悪くはないとはいえ,もう少しすっきりとヌケ良く明瞭に録って欲しいところです。 ちょっともったいないと思います。

タマーシュ・フェイェシュはハンガリー出身のヴァイオリニストで, フィルハーモニア管弦楽団に所属していたことがあり, 最近はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団のアシスタント・リーダー,および, 英国王立スコットランド音楽院の非常勤講師とのことです。

ハイドン:交響曲集Vol.1 第6番「朝」,第17番,第35番(飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団)

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ハイドン:交響曲集Vol.1 第6番「朝」,第17番,第35番
飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団
2015年6月5日 いずみホール(大阪)
OVCL-00610 (P)(C)2016 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2015年にスタートし,8年間かけて交響曲全104曲を演奏・収録するプロジェクト「ハイドン・マラソン」の第1回演奏会のライヴ録音とのことです(ただし拍手は入っていません)。解説書を見ると,弦楽器の人数は8-9-6-4-3で,管楽器,チェンバロを含めて総勢36名というやや絞り込んだ編成のようです。日本のモダンオーケストラで完成される予定の全集はうれしい企画です。楽しみです。

いずみホールの豊かで美しい響きを活かしたクオリティの高い録音も特筆出来ると思います。ホールのキャラクターが出過ぎず,まるでセッション録音のような録り方で,会場や観客のノイズも不自然なくらい全く感じられません。優秀録音と言って良いのではないかと思います。

しかし私はあえてこの録音に苦情を言いたいと思います(^^;。まずこの現実感の薄い商品化されすぎた作り物のようなサウンド。実際のホールでもこのように響いたのかもしれませんが,パッケージメディアを通して聴くと生の風合いは伝わらず,奏者の存在感のない,奏者の顔が見えてこない,綺麗なパッケージに入れられた作り物の音楽のようになってしまっています。

そしてこの残響の多さによって細かなニュアンスはかき消され,個々人の楽器の質感はほとんど感じられなくなっています。フォルテのあとのピアノなども響きに隠れて聴き取りにくいです。確かに響きの美しい録音だしオーディオクオリティも高いのですが,表面的な心地よさよりも,すっきりと見通しよくそして音楽を克明にニュアンス豊かに描き出す録音であって欲しいです。

一般的にみれば優秀録音でしょうし,収録の途中で録音のポリシーを変えることはないと思うので,この録音で全集が統一されると思うのですが,これは私としては大変残念に思います。

タグ: [交響曲] 

ドヴォルザーク:交響曲第8番,他(ラドミル・エリシュカ指揮/札幌交響楽団)

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ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88
ドヴォルザーク:交響詩「水の精」作品107
ドヴォルザーク:序曲「自然の王国で」作品91
ラドミル・エリシュカ指揮/札幌交響楽団
2013年4月19,20日 札幌コンサートホールKitara
DQC-1162 (P)2013 オフィス・プロウチェク (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

札幌交響楽団第558回定期演奏会~ラドミル・エリシュカ/チェコ音楽シリーズvol.6~ から。拍手の入るライヴ録音です。交響曲が終わったあとのブラヴォーの嵐,地元の皆さんから愛されているオーケストラなんですね。

う~ん,ちょっと微妙です。付点のリズムが甘かったり全体にリズム感がないというか,全ての拍の重みが均等過ぎるのか,落ち着きすぎた重い感じです。クラシック演奏家独特のスウィング感,グルーヴ感のないリズム感が出てしまっています。第2楽章,第3楽章は良いのですが,両端楽章が気持ちよく音楽に乗れませんでした。

録音ですが,ライヴの雰囲気をうまく出した素直な録音です。弦楽器の捉え方はまずまず良好で,低弦も内声も聴き取りやすいのが良いと思います。木管が少し弱めでバランスがいまいち良くありません。オーディオ的には少し粗いように思います。締まりのある音響で基本的には私の好きな録音なのですが,四つ星半を付けるには少し物足りない感じがしました。惜しいです。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ピエール・フシュヌレ(Vn)/ロマン・デシャルム(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
ピエール・フシュヌレ Pierre Fouchenneret (Violin)
ロマン・デシャルム Romain Descharmes (Piano)
2015年3月5-9日 フランス,シェルブール,ル・トリデン
AP129 (P)(C)2015 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グリュミオーを想起させる甘美な音色が美しいですねぇ。演奏は謙虚で丁寧,ちょっと大人し過ぎるようにも思いますが,彼の持ち味が活きる演奏ではあると思います。

録音ですが,わずかに残響感はあるものの控え目であり,楽器音に対する影響は少ないです。ヴァイオリンに対してピアノが後方に大きめに広がる点はヴァイオリン・ソナタの録音として適切に思います。ヴァイオリンの捉え方が少し弱めで音色がわずかにくぐもって聴こえるのがすごく惜しいです。もう少しクリアでヌケの良さが欲しかったです。悪くはないのですが...

シベリウス:交響曲第2番,カレリア組曲(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
シベリウス:組曲「カレリア」作品11
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1980年11月,1981年1月
TOCE-7018 東芝EMI (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

カラヤンという指揮者は,ベルリン・フィルの実力を最大限に引き出す技術に長けていたんだなと再認識させられました。このダイナミックでスケールの大きな音楽には本当に圧倒されます。シベリウスらしいかどうかはわかりませんが,もうそういうことを遙かに超えた次元で鳴っている感じです。久しぶりにカラヤン/ベルリン・フィルを聴いて大いに感激してしまいました(^^)。

録音ですが,EMIの録音とは思えないボディ感たっぷりの楽器の鳴りを捉えた録音で,特に弦楽器をしっかりと質感良く聴かせてくれるところが良いと思いました。一方でやはりEMI的音色のくすみは少し感じられて,すごく惜しいなぁと思います。

このディスクそのものはすでに廃盤だと思いますが,一連のシベリウスの録音は2013年のリマスタリングで再発売されているようなので,現在調達中です。入手出来たら聴き比べてまたレポートしたいと思います。

タグ: [交響曲]