バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ヤーノシュ・シュタルケル 1992年 4回目の全集)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1992年6月19,20,22-24日 New York,アメリカ芸術文化アカデミー
BVCC-37662-63 (P)1995 Sony BMG (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの最後,4回目の録音です。 1992年なので,前回からおよそ8年後,68歳くらいでの録音になると思います。 前回の内向きな演奏に比べると,今回の演奏は,何か吹っ切れたような, 外向きの明るい,そして随分と意欲的な演奏にまた変わっています。 ただ,1960年代以前のような強烈なオーラを放つような演奏ではないので, もの足らなく思う方もおられるかもしれませんが,音楽的にはずっと深まっていると思います。 技術的な衰えもほとんど感じられません。

さて録音ですが,マイクポイントが近めで楽器音を暑苦しいくらいに濃厚に捉えており, 録音レベルも高く,この点では好ましく思います。 音色は少し中域に癖があって,もう少し適切な距離感ですっきりとしていれば良かったと思います。 惜しい録音です。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

バッハ:無伴奏チェロ組曲全集(ヤーノシュ・シュタルケル 1984年頃 3回目の全集)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第2番,第3番
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
録音不明(1984年頃?)
SE-CD 300A (P)1984 Sefel Records (輸入盤)
好録音度:★★★★

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バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番,第5番,第6番
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
録音不明(1984年頃?)
SE-CD 300B (P)1984 Sefel Records (輸入盤)
好録音度:★★★★

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの3回目の録音です。 1984年頃の録音で,同氏の60歳の節目で録音されたものと思われます。 カナダのSefel Recordsというマイナーレーベル?への録音です。

2回目の全集の録音からおよそ20年後の録音ということになりますが,前回の録音に比べると全く印象が異なります。 前の演奏は「剛」という印象でしたが,これは正反対の「柔」です。 20年の月日が経っているとはいえ,同じ人の演奏とは思えない変わり様です。 人に聴かせる演奏というよりは,自分との対話という趣で,至極内省的な印象を受けます。 インパクトは全くなく,個性的な表現もありませんが,バッハと正面から向き合った味わい深い演奏だと思います。

録音ですが,残響は控え目に抑えられ,極めて自然な雰囲気と音色で捉えられていて好感が持てます。 どちらかといえば地味で冴えない印象であり,もう少し抜けよく伸びのある音で録って欲しかったとは思いますが, 演奏の内容にはとてもマッチしている録音だとは思います。

マイナーレーベルのためあまり流通していないようで,入手性が良くないのが残念です。 同氏に期待する演奏とは方向性が少し違うのでは?と思うものの,演奏の出来自体はすごく良いと思うので, 何らかの形で復刻されたら良いのに,と思います。 こういうのこそタワーレコードさんの出番だと思うんですけどね(^^;。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

「CD試聴記」80万アクセスありがとうございます。

少し前に姉妹サイト「CD試聴記」のアクセス数が80万を超えました。相変わらず更新頻度が低いのですが,それでも毎日多くのアクセスをいただき大変励みになっております。有り難うございます。

これからも少しずつマイペースで続けていきますので,今後ともよろしくお願い申し上げます。(毎度毎度同じコメントで申し訳ありません(^^;)

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ヤーノシュ・シュタルケル 1963,65年 2回目の全集)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1963年4月,1965年9月
PHCP-20390/1(432 756-2) (P)(C)1991 Philips Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの2回目の録音で,同氏を代表する録音の一つではないかと思います。 ギンギンに楽器を鳴らしてなんの迷いも感じさせない直線的・鋭角的な演奏。 懐の深さや味わいのある演奏ではありませんが,ここまで攻めた演奏をされるとこれはこれで説得力があります。 今となってはこれだけの技術をもってこのような演奏をされる方はほぼおられないのではないかと思うと, これは貴重な歴史の遺産に違いないと思います。

録音ですが,優秀録音で有名なMercuryの録音で,この録音もその生々しい音の捉え方でその一つに数えられると思うのですが, こうして聴いてみると録音場所の響きがやや多めに被っており,マイク位置も離れているようで, 音色はくすみ,ニュアンスも失われているように思いました。 悪くはないとは思うのですが,Mercuryとしてはあまり良くないという印象です。

付属の日本語解説書では次のような記載があります。 「歴史的な録音をCD化するに当たって,制作および技術部門が目標としたのは, オリジナル・テープとフィルム・マスターの音を出来る限り正確に,そして完璧に捉えることだった。 (中略) CD化に当たっては,オリジナルのマスター・テープだけが使用され,実際の録音の時と同じくイコライザーやフィルターを使うことはなく, コンプレッサー,リミターなども一切使われなかった。(後略)」 可能な限りマスターに忠実なデジタル化,CD化が行われたようです。

ちなみに拙ブログの姉妹サイト「CD試聴記」で,1951年の4曲の録音と,1957-59年の1回目の全集録音のレビュー記事を掲載しています。よろしければご参考に。

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1963年4月15日(第2番),1963年4月15,17日(第5番),1965年9月7日(第1番),1965年9月7,8日(第6番),1965年12月21,22日(第3番,第4番) ニューヨーク,ファイン・レコーディング・スタジオ
SSHRS-011/014 (P)1964/1966 Universal International Music B.V. / Stereo Sound REFERENCE RECORD (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Stereo Sound

ステレオサウンド誌の独自企画盤で,音匠仕様レーベルコートのシングルレイヤーのSACD 2枚とCD 2枚の4枚組です。 オリジナルマスターの音を再現することを目指しており,マスターテープから無加工,無修正でデジタル化したもので, そのため,聴きやすくするためのイコライジングやマスターテープに起因するノイズカット,ドロップアウトの修正などもされていないということです。

先に挙げた従来盤と聴き比べてみると,音の鮮度という点では確かに改善が見られました。 また,従来盤にあった左右レベルの微妙なバランス崩れや位相ずれのような違和感も緩和されているように思いました。 一方で,ドロップアウトまでいかないまでもテープの劣化による音の荒れのようなものは逆に目立って聴こえるので一長一短があるようにも思いました。

全体的には改善の方が大きいためこの復刻の価値は十分にあると思いますが, 従来盤もマスターに忠実なデジタル化を目指したものであったため, 改善が明らかとはいえびっくりするほどの差はなく, 従来盤のおよそ4倍程度の値段が妥当かどうかはそれぞれの人の価値観によると思います。 やはりこれはオーディオマニア向けの商品ですね。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(モブセス・ポゴシアン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
モブセス・ポゴシアン Movses Pogossian (Violin)
December 21-23, 2015 and May 28-30, 2016, at the Recording Studio of the UCLA Herb Alpert School of Music
New Focus Recordings FCR178 (P)(C)2017 Movses Pogossian (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。全体に遅めのテンポで音楽が進行していきます(なのでCD 3枚組になっています)。 ところどころ大見得を切るようなところはありますが,どちらかといえば正統派の演奏であり, 技術的にもそこそこの安定感があり,ハーモニーも美しく,充実感があります。 正直言うと中にはテンポが遅すぎてちょっと退屈してくる楽章ないことはないのですが, 全体としては好印象でした。

録音ですが,スタジオでの録音のためか,残響は控え目であり,適切な距離感で, 弦の上を滑る弓の微妙なニュアンスも聴き取ることが出来る好録音です。 オーディオ的にはあまり魅力がない録音かもしれませんが, 地味でもこういう楽器の質感を大事にした録音が良いのです。

ポゴシアン氏はソ連出身のヴァイオリニストで,1986年第8回チャイコフスキー国際コンクール ヴァイオリン部門第7位の入賞歴があります。 現在はアメリカのUCLA Herb Alpert School of Musicのヴァイオリンの教授とのことです。

シベリウス:交響曲全集(渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集
渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
1981年 習志野文化ホール(No. 3, 6),昭和女子大学人見記念講堂(No. 1, 2, 4, 5, 7)
COCO-80410-413 (P)1996 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

1981年のレコード芸術誌のレコードアカデミー賞受賞盤。1962年にステレオ・レコードによる世界初の全集を完成させていましたが,これは同じオーケストラによる約20年ぶりの2回目の全集録音となります。

2回目の全集ということで前回の少し粗削りの印象のあった演奏に比べると,随分と洗練され,テンポ取りも現在の多くの演奏に近いものになっています。オーソドックスで完成度の高い演奏であり,レコードアカデミー賞受賞も頷けます。

一方録音の方なのですが,アナログからデジタルに変わる最初期のデジタル録音だと思います。残響は控え目で演出色のほとんどない素直な生録風録音は好感が持てるのですが,音色は精彩に乏しく地味でモノトーン的であり,また音自体の力強さも感じられず,この演奏本来の魅力を伝えきれていないのではないかと思います。少々残念な録音です。

この全集は発売後何度か再発売をされたようですが,現在は現役盤ではないようです。

タグ: [交響曲] 

ケルティック・ハーピスト メイヴ・ギルクライストの最新動画

大好きなケルティック・ハーピスト,メイヴ・ギルクライスト(Maeve Gilchrist)の動画がYouTubeにアップされていたので紹介します。タップダンサーのニックさんとの共演です。どちらの曲も素敵です。





これは弾き語りです。



長調に転調する後半が大好きなんですよね。

タグ: [YouTube] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番(エンリコ・オノフリ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
2014年12月16日-22日 イタリア,クレマ "Cascina Giardino music hall"
UZCL-1030 (P)(C)2016 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 旧来からの演奏とはかなりアプローチの異なる表現が随所に見られるという点でかなり面白い演奏です。 ある意味バロック楽器による演奏に対する期待を裏切らないと言えます。 ただ,これが好きかと言われると話は別で, 個人的にはバロック楽器の演奏のこういうところが苦手でどうしてもこれが好きにはなれません。 すみません。

録音ですが,録音会場の響きを活かした,そして過剰になることなく高いクオリティで収録しているという点で優秀録音と言えるかもしれない録音なのですが, やはり響きを重視した録音のトレードオフとして楽器音がくすんでおり, 楽器の質感が失われているのが私としては好ましく思えません。 もっと楽器そのものの音色を大事にした録音をして欲しいものです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)/ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
フランク・ペーター・ツィンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Concertgebouw Amsterdam on 17-19 & 21 March 2010
RCO17001 (P)2017 RCO Live (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

メディア発売前ですが,一足先にApple Musicで聴いてみました。シューマンのピアノ四重奏曲作品47,ブラームスのピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15とカップリング(SACD 2枚組)ですが,ヴァイオリン協奏曲のみのコメントです。

2010年の録音なので,少し前の録音ですが,ライヴということもあってか,堅実ながらも濃厚で,主張というかアピール力の強い演奏だと思いました。私の中では中堅のヴァイオリニストというイメージがあるのですが,一歩先に踏み出している感じがします。これからも注目していきたいヴァイオリニストの一人ですね。

録音ですが,オーケストラの方は良いとして,ソロが少し距離感があります。自然といえば自然なのですが,明瞭感が今ひとつでニュアンスも感じ取りにくいです。協奏曲の録音としてはもう少しソロに寄って明瞭度を上げてもらった方が楽しめると思うのですが。惜しいです。

ベートーヴェン:交響曲全集(ヘルマン・シェルヘン指揮/ルガーノ放送管弦楽団(スイス・イタリア語放送管弦楽団))

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ベートーヴェン:交響曲全集
ヘルマン・シェルヘン指揮/ルガーノ放送管弦楽団(スイス・イタリア語放送管弦楽団)
1965年 ルガーノ
ARIOSO 106 (P)2004 arbre Inc. Japan (輸入盤)
好録音度:★★★~★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

う~ん,これは...熱気に満ちた演奏ではありますが暴走と紙一重という気もしますし,これはあまりにもリハーサル不足なんじゃないのと思うくらいグダグダに崩れるところも多々あって,これをどう楽しんだらいいのか正直わかりませんでした。実際にその場で聴いたらこの熱い演奏を楽しめたかも,いややっぱり乱雑な演奏に頭に来ていたかも... 好きな人は好きかもしれませんね。私はちょっと好きになれませんでした。

録音ですが,1965年の録音としては良くありません。帯域が狭く,歪みもかなり多いです。楽器のバランスも今ひとつです。どういう目的で収録されたのかは知らないのですが,記録目的なのか,放送音源として収録されたのか,あたりでしょうか。メディア販売を目的にした録音ではないように思います。

タグ: [交響曲] 

モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」(サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2013年8月 ベルリン・フィルハーモニー
(P)2017 Berlin Phil Media
好録音度:★★★★
参考: Berliner Philharmoniker RecordingsApple Music

ベルリン・フィルのサイトでは48kHz/24bitのハイレゾ音源のダウンロード販売,あとiTunes Storeでのダウンロード販売,Apple Musicでのストリーミングでの提供となっています。パッケージメディアでの提供はないそうです。

ベルリン・フィルらしい力強く推進力のあるスケールの大きい演奏がいかにもというところですが,ちょっとモーツァルトのイメージからは遠い気がします。もう少し優美だったら良いのにと思うのですが,それを期待する方が間違っているのかもしれません。

録音ですが,これは演奏のせいかもしれませんが,中身がぎっしり詰まった密度感はあるのですが,ちょっとごちゃっとしていて暑苦しく,見通しが良くありません。また全体にモヤッとして精彩がありません。最近のベルリン・フィルの独自制作からすると少し質が良くないと思います。

それにしてもこういう音源がApple Musicで聴けるというのは本当に有り難いことです。

タグ: [交響曲] 

グリーグ:ホルベルク組曲,スクームスヴォル:ホルベア変奏(1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他)

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グリーグ:ホルベルク組曲(弦楽合奏版,ピアノ独奏版)
スクームスヴォル:ホルベア変奏(ピアノと弦楽合奏のための)
1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他
2014年1月2-5日,2月24-26日 ノルウェー,スタヴァンゲル・コンサートホール
Simax PSC1332 (P)2014 Grappa Musikkforlag AS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ホルベルク組曲はグリーグの中で最も好きな作品です。このディスクでは,原曲のピアノ独奏版と作曲者自身の編曲による弦楽合奏版,そして,このホルベルク組曲を題材に,ジャズシーンで活躍しているスクームスヴォルが主導して即興的な演奏を試みたという「ホルベア変奏」が収録されています。

ピアノ独奏版は初めて聴いたのですが,これがまたかっこいいですねぇ。前奏曲にワクワクしますし,第3曲のガヴォットとミュゼットも洒落ています。ピアノ曲としては有名ではないと思いますが,弦楽合奏版を知っていれば結構楽しめる曲ですね。弦楽合奏版もスピード感と勢いがあり良いと思います。ホルベア変奏は...少し聴いたのですがあまり興味が湧かずパスしてしまいました(^^;。

録音ですが,弦楽合奏もピアノもまずまずの録音で,残響は適度であり録り方も自然で悪くないのですが,少し雑味というか濁りがあり,透明感や音の伸びに欠けています。録音機材があまり良くないのかもしれません。惜しいと思います。

ハイドン:弦楽四重奏曲作品33,作品50,作品54,作品55(ロンドン・ハイドン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Concert Hall, Wyastone Estate, Monmouth, on 25-30 June 2012
CDA67955 (P)(C)2013 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品50
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 24-28 October 2014
CDA68122 (P)(C)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品54, 作品55
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 5-10 November 2015
CDA68160 (P)(C)2017 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

少し前に作品9,作品17,作品20を取り上げた続きです。全集に向けて録音されているのかはわからないのですが,現在作品番号順に作品55まで発売されています。演奏スタイルはこれまでの録音と変わらず一貫していますが,より大胆に変化を付ける表現が増えているようには思います。技術的にも上手いですし,響きの美しさも特筆できますし,ハイドンとしてはロマンティックで,かつ素直な表現にも好感を持ちました。今後の録音が楽しみです。

録音ですが,作品33と作品50は少し残響が気になるものの,音の透明感,輝き,伸びが感じられ,ストレスなく聴くことが出来る好録音です。一方作品54, 55はややマイクポイントが遠く,音色がくすみがちで楽器の質感も失われてしまっていますし,音場の広がり感も少し希薄です。そんなに悪くはないのですが,作品33, 50と同じ録音で統一して欲しかったところです。惜しいです。今後の録音が元に戻されることを切に希望します。

ダイソーの200円イヤホンを聴けるレベルにEQで調整してみました

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前の記事で,測定結果が比較的マシだったダイソーの200円イヤホン カップカナルタイプですが,マシといっても実際にはものすごく中域に癖を持っていて,とても聴こうと思える音質ではありません。ただ癖はあるものの音圧は全帯域でそれなりに出ているので,イコライザで調整することで聴けるレベルに持って行けるのではないかと思い,試しにやってみました。

イコライザはAndroidのOnkyo HF Playerという音楽プレーヤソフトに搭載されているものを使いました。すなわち,このHF Playerで再生するとき限定になります。このHF PlayerにはEQカーブを任意に設定できる機能がありますので,それを使います。

調整は聴感に頼ってもなかなか適切にならないので,HF Playerでピンクノイズを再生し,その再生音をスペクトル分析し(1/24オクターブバンド),その特性カーブをリアルタイムに見ながらEQカーブを調整するという方法を採りました。スペクトル分析はARTA Softwareという音響分析ソフトを使いました。そして,次は実際に音楽をHF Playerで再生して音楽を聴きながら微調整します。調整前(EQ=OFF)と調整後(EQ=ON)の特性は次の図のようになりました。

eq_compensation_daiso_k-15-p12_t023_200_yen_earphone_lch-2.png


低域から中域にかけて大きくゲインを落として中域の癖のある音を緩和し,全体としていわゆるドンシャリ特性にしてみました。この図だけを見ると2kHz付近はもう少し落としても良いように見えますが,反対側のチャンネル(右)は2kHzがディップになっており,これ以上の周波数はばらつきでピークディップが変わってくる可能性があるので,あまり触っていません。この調整で随分と聴きやすい音質になりました。

HF PlayerのEQ設定は次の図のようになっています。

eq_setting_for_daiso_200yen_earphone_hf_player.png


目盛りがないのでわかりづらいですが,グラフ上端が+12dB,下端が-12dBになっています。1kHz付近を大胆に落としています。ディップの深さを稼ぐために全体をややプラスゲインに振っていますので,レベルの高い曲ではクリップ歪の発生の可能性はありますが,幾つか聴いた範囲では問題ありませんでした。

なおこのEQ設定は私が持っている個体にだけ有効であり,同じ製品でも違う個体ではばらつきにより合わない可能性があるということはご承知おきください。

音質が良くないイヤホンを救うためにイコライザで特性を整えるというのは,イコライザの本来の使い方だと思います。ただ,聴感に頼っての調整は意外に難しいというのが正直なところです。聴感だけでは1kHzを-12dB落とすという大胆な調整は出来なかったと思います。

とはいえ,普通測定はできないので,100均イヤホンで中域に癖を感じたら,まずは1kHz付近を大胆にイコライザで落としてみる,というのを試してみてはどうでしょうか。

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測定してはっきりした100均イヤホンの本当の実力(というか問題点)

家電量販店やコンビニで売っているイヤホンは安くても1,000円くらいからだと思いますが,そのイヤホンを税抜100円で提供するというのはある意味驚異的です。その実力についてはPhile-webでもレビューされていますし,Webを検索すれば掲示板などでいろいろと情報が拾えます。まあ100円なのですからまともな音を期待する方が間違っているというのはその通りだと思うのですが,でもじゃあいったいどれくらいの実力なのか明らかにしたいという使命感から(^^;,幾つかのモデルを測定してみました。

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評価したのはこれらの5機種で,上段左から,

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)

(c)と(d)は,近所のスーパーの中にあるmeetsという100均ショップで購入しましたが,セリアなど他店でもあったと思います。

(e)は200円ですが,ダイソーで手に入る比較的音質の良いイヤホンという評判でしたので,評価に加えました。すべてカナル型です。

次に実際に測定してみた結果を示します。測定方法は「ヘッドホン・イヤホン周波数特性測定結果」のページの「使用機材と構成」で紹介していますので,併せてご確認いただければと思います。なお測定電圧は1mW相当にすべきですが,面倒でしたので0.17V(1mW@32Ω)に統一しました。また,イヤーピースは本来は付属のもので測定すべきですが,シリコンチューブにうまく挿入できないものが多かったため,すべて(d)に付属のイヤーピースに交換して測定しました。

グラフは音圧特性のみを示しています。L(青線)が左チャンネル,R(赤線)が右チャンネルです。

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
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(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
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(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
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(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
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(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)
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測定結果を見て特性の悪さは想定内でしたが,ばらつきによる左右差がこれほど大きいというのは正直想定外でした。初めは測定ミスかと思いましたが何度やっても変わらなかったので,間違いはありません。音が出た瞬間に走る強烈な違和感はこの左右差が原因と思われます。これだけ激しくばらつくと,もはや機種固有の音質などはないに等しく,当たり外れなんていうのも同様にないに等しいと思います。業者の方には申し訳ない言い方ですが,これは単に音が出るだけの商品であり,音楽観賞用としては買ってはいけないレベルの品質だと思います。

(e)の200円イヤホンは何とか使えそうなレベルです。100円と200円の差はものすごく大きいですね。ただ,これはたまたま当たりだっただけかもしれませんが。

ということで,100均のイヤホンは,単に音質が悪いのは仕方がないとしてもばらつきが大きすぎるのが問題ですね。100円という値段を達成するために造りも悪く検査もしていないのでしょう。そのあたり割り切って使うしかない商品ですね。

なお繰り返しになりますが,今回の測定結果は私の購入した個体の特性であって,このばらつき具合から考えて,別の個体は全く違う特性である可能性が高いということをご承知ください。

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ブラームス:交響曲第3番,第4番(トーマス・ヘンゲルブロック指揮/北ドイツ放送エルプフィルハーモニー管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第3番,第4番
トーマス・ヘンゲルブロック指揮/北ドイツ放送エルプフィルハーモニー管弦楽団
16-19 November 2016, Elbphilharmonie Hamburg, Großer Saal
88985405082 (P)2016 Norddeutscher Rundfunk (C)2017 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2017年1月にこけら落としが行われたハンブルグの新ホール「エルプフィルハーモニー・ハンブルク」を本拠地とする北ドイツ放送(NDR)エルブフィルハーモニー管弦楽団(この1月に北ドイツ放送交響楽団から改称)による,この新ホールでの初録音で,ブラームス交響曲全集に向けての第1弾とのことです。第4番は自筆譜に最初書き込まれていた第1楽章の導入部付きで演奏されていて,初めて聴いたときには,かけるディスクを間違えたのかとちょっと慌ててしまいました。

それでこの録音なのですが...残響時間はそんなに長くはないのですが,間接音が強く乗った極めて癖のある音質で,明瞭感がなくモゴモゴとして全く冴えません。音色もくすんで精彩がありません。新しく作ったホールの響きを活かしたかったのかもしれませんが,響きはほとんど音楽に貢献しておらずむしろ逆効果で失敗していると思います。これでは音楽を楽しめません。Sony Musicらしからぬ録音でとても残念です。この録音で全集化されるんですね...

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