ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番,第12番(ウェールズ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番,第12番
ウェールズ弦楽四重奏団 Verus String Quartet
January 20 & 21, March 31, 2017, Kanagawa Prefectural Lake Sagami-ko Exchange Center
FOCD9752 (P)(C)2017 FONTEC Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ウェールズ弦楽四重奏団は2006年に桐朋学園の学生により結成され,2016年で結成10周年,現在メンバーは30歳代というまだまだ若い四重奏団です。技術力が高く,アンサンブルが整っており,和音の響きもとても美しいです。演奏にキレがあり,さらに情感豊かで,そういう点で今回のディスクの中では第12番の第2楽章が特に印象に残りました。とはいえ真面目一本槍で音楽がまだまだちょっと堅苦しいようにも思います。

録音ですが,残響は少しあるものの控え目であり,直接音主体に明瞭に録っています。特に優れているとは思いませんが,欠点もなく弦楽四重奏曲の録音としてまずまず良好と言えると思います。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集に向けての第1弾とのことで,今後の録音も楽しみに待ちたいと思います。

R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」,ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」(エマニュエル・クリヴィヌ指揮/ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
エマニュエル・クリヴィヌ指揮/ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
2015年録音
ALPHA 236 (P)2015 (C)2016 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

録音のみのコメントです。このディスクはまずまずの好録音でした。邪魔になる残響が少なく,各楽器の明瞭感,分離勘が良く,音の伸び,透明感も良好です。低域も伸びているのですが量感は少なめでもう少しあっても良いかなとは思います。こういうキレの良い録音は聴いていて気持ちが良いですね。

ツェムリンスキーの人魚姫は「アンデルセンの童話による全3楽章の幻想曲」という副題が付いているようで,初演後出版されずに約80年間埋もれており,1980年に楽譜が発見されたとのことです。このあたりの経緯がHMV Onlineの曲目紹介で詳しく触れられていましたので,ご興味があればご参照ください。もっと気味の悪い音楽かと思ったのですが,意外に聴けました。好きになれるかどうかは別ですが(^^;。

ハイドン:交響曲第90番,ベートーヴェン:交響曲第7番(鈴木秀美指揮/オーケストラ・リベラ・クラシカ)

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ハイドン:交響曲第90番ハ長調Hob.I:90
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
鈴木秀美指揮/オーケストラ・リベラ・クラシカ
Ishibashi Memorial Hall, Ueno Gakuen, Tokyo, October 17th, 2015
ADJ-052 (P)(C)2017 Arte dell' arco (国内盤)
好録音度:★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

こういう躍動感のある演奏は好きです。ハイドンの悪戯にまんまと引っかかる聴衆を聴けるのも面白いです。でも録音がひどすぎます。残響過多で直接音が希薄,明瞭感に乏しく音色も楽器本来の美しさが感じられません。まあでもここまでは良いとして(良くはありませんが),低域の響きの取り込み方が下品すぎます。低音楽器が鳴り始めると汚い響きで混沌としてよくわからなくなりますし,音楽自体が粗野で乱暴に聴こえてしまいます。音楽の喜びより録音への怒りが勝り聴き通すのが苦痛でした。こんなに演奏の品位を貶める録音,久しぶりです。残念です。

このレーベルはほとんど聴いた記憶がないのですが,どれもこんな録音なのでしょうか? ちょっと大げさに書いてしまいましたが,抗議の意味を込めてきつめの評価とさせていただきました。改善を望みます(といってももうこのレーベルは買うことはないかもしれません...)。

タグ: [交響曲] 

天上的な美しさ! アネルセン:マニフィカト(トロンハイム・ソロイスツ/ニーダロス大聖堂少女合唱団/他)

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アネルセン:マニフィカト
カーニス:天上の音楽(弦楽オーケストラのための)
ヤイロ:ツンドラ
ヤイロ:普遍者の歌
トロンハイム・ソロイスツ/ニーダロス大聖堂少女合唱団/他
2013年5月,2014年1月,5月 ノルウェー,トロンハイム,ニーダロス大聖堂
2L-106-SABD (C)2014 Lyndberg Lyd AS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

AV Watchの【匠のサウンド百景】という特集の中で,エミライ/OPPO Digital Japanの島 幸太郎氏が紹介されていた6曲の中の一つです。リリース当時に話題になったとのことですのでご存じの方も多いと思います。2Lというノルウェーのレーベルは高音質で有名なので幾つかは聴いたことがあるのですが,このディスクは初めてでした。私は全く声楽曲を聴かないのですが,この天上的な響きの美しさにちょっとばかり感激してしまいました。残響を豊富に取り込んでいますが,これはもう音楽の一部として欠かせないものですし,この音楽の美しさを損なうことなく取り込まれていますので問題ありません。

パッケージとしてはSACDとBlu-rayで構成され,ハイレゾの2chステレオのほか,マルチチャンネルの音声も収録されています。私は2chステレオで聴きましたがそれでも十分にこの美しい音楽を楽しむことが出来ました。

モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番,第19番「不協和音」,ディベルティメントK.136(ヴァン・カイック四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番K.428,第19番「不協和音」K.465
モーツァルト:ディベルティメントニ長調K.136
ヴァン・カイック四重奏団 Quatuor Van Kuijk
ALPHA 246 (P)(C)2016 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.co.jpe-onkyo

勢いがあり,躍動感に溢れるとともに,技術的にもキレがありコントロールも行き届いていて表情が細やかです。音楽の喜びを素直に表現した若々しいフレッシュな演奏だと思います。音色の美しさも特筆できます。惜しむらくは楽節の切れ目で恣意的な「ため」が入って呼吸が乱されることで,せっかく音楽に気持ちよく乗っていたのにここで「うっ」と息苦しくなってしまいます。これがなかったら最高なのに...本当にこれだけはクラシック音楽の大嫌いなところです。

録音ですが,わずかに残響感があるものの,それぞれの楽器を明瞭に,透明感のある伸びのある音で美しく捉えています。距離感も適度であり,各楽器の分離感もまずまず良好です。弦楽四重奏の録音として欠点がほとんど見あたりません。オーディオ的な品質も良好です。私としてはもう少し生々しさを出して欲しいかなとは思いますが,これでも十分に好録音です。

この団体は全く知らないのですが,演奏も録音も素晴らしいので,今後もこの調子で録音を続けていって欲しいですね。期待しています。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)(セバスティアン・シュレル(Vn),ポール・ラデ(Va),オレリアン・サブレ(Vc))

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)
セバスティアン・シュレル Sébastien Surel (Violin)
ポール・ラデ Paul Radais (Viola)
オレリアン・サブレ Aurélien Sabouret (Cello)
2015年4月 Au Théâtre Saint Bonnet, Bourges
LP16-01 PolyChrone (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

見つけるとついつい手を出してしまうシトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版です。室内楽の演奏で良く思うのは,優秀なアンサンブルが求められるのは当然ながら,個々の奏者がどれだけそれぞれの魅力を発しているかが成否の鍵を握っているということで,この三重奏ではそれが見事なバランスで達成されていると思います。最近リリースされた同曲同編曲版のなかでも出色の出来ではないでしょうか。歌心に溢れ,テンポも良く楽しく聴くことが出来ました。

さて肝心の録音なのですが,残響はあまり取り込まれておらず,それぞれの楽器の捉え方もほぼ適正な感じなのですが,高域の伸びがなく少し音が曇ってモゴモゴしています。基本的な録り方は悪くないと思うので,この音質はすごく残念です。本当に惜しいと思います。

最後にリピートですが,ゆったりと演奏されることの多い第13変奏,第25変奏の後半のリピートと最後のAria da capoで省略されていますが,まあこれなら許容範囲です。ディスク1枚に収めるためにやむなくカットされたのかなと思います。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

演奏者はパリ・オペラ座管弦楽団やフランス国立管弦楽団等で活躍しており,いずれもパリ国立高等音楽院の出身で卒業当初から共演を重ねられているとのことです。

タグ: [室内楽曲] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(リカルド・オドリオゾラ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
リカルド・オドリオゾラ Ricardo Odriozola (Violin)
Herdla Church Askøy, Norway, March 27th 2004 - September 30th 2006
品番なし Amethyst Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amethyst Records

CD試聴記」からの転載記事です。

意欲がよく伝わってくる,勢いのある演奏。 技術的にものすごく上手いというわけではありませんが, 自己の技術の限界を見極めて破綻寸前まで攻めてぎりぎりで踏みとどまっているという感じで, その結果なかなか聴き応えのある音楽に仕上がっています。 パルティータ第3番は弾き込み不足なのか少し粗が目立つのが残念ですが,それ以外の曲は良いと思います。

録音ですが,残響のまとわりつきがやや気になるものの, オンマイク気味で直接音が支配的なためニュアンスもしっかりと聴き取れるまずまずの好録音です。ただしオーディオ的な品質は「並」です。

リカルド・オドリオゾラ氏の詳細はよくわかりませんが現在ノルウェーにお住まいのようです。 自主制作盤のようで,Amethyst Recordsから注文して入手しました(支払いはPayPalのみ)。 ノルウェーからご本人の名前(サイン入りの送り状も同封)で送ってきました。

ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」(久石譲指揮/ナガノ・チェンバー・オーケストラ)

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ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」
久石譲指揮/ナガノ・チェンバー・オーケストラ
2016年7月16日,2017年2月12日 長野市芸術館メインホール
OVCL-00633 (P)(C)2017 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ナガノ・チェンバー・オーケストラは2016年に誕生した「日本で,世界で活躍するトップクラスの演奏家たちが集結した夢のオーケストラ」とのことで,作曲家の久石譲氏が音楽監督を務めておられます。久石氏自身が解説書で「我々のオーケストラは,例えればロックのようにリズムをベースにしたアプローチで誰にでも聴きやすく,それでいて現代の視点,解釈でおおくりすることができます。」と述べられています。著名な作曲家とはいえ基本的にクラシック畑の人に軽々しく「ロック」という言葉を持ち出して欲しくはないのですが(軽々しくではないかもしれませんが,上から目線に感じられる),そしてその音楽を聴いてみて私自身は「ロック」を感じなかったのですが,この淀みなく推進されるベートーヴェンは結構好きかなと思いました。今後の録音も楽しみにしたいと思います。

そしてこの録音なのですが,第1番と第3番でだいぶ印象が異なります。第1番は各楽器を分離よく左右の広がりをもって捉えられていますが,低音の量感がやや多く響きに締まりがないために中高域に被りがちなのと,木管を少々うるさく捉えすぎています。第3番は少し距離感があって第1番に比べるとややこぢんまりしていますし残響の影響が強くなっています。各楽器の捉え方も少し弱くなっていて,まとまりはあるものの音楽の力強さが削がれ,迫ってこない感じがします。とはいえ,これらの点はオーケストラの録音としてはまあ良いかなと思います。

しかし,この録音にはもっと重大な欠点があります。残響が多いのはまだ許すとしても,その残響のピークが明らかに拍から遅れてやってくるのです(特に第3番)。指揮者とオーケストラがリズムを重視した音楽を展開しようとしているのに,この残響はそのリズムを崩し,弱める効果しかありません。録音エンジニアが演奏の意図を理解していないとしか思えません。この録音はこの演奏の魅力を半減させています。演奏者の意図を理解していれば,もっとシャープに引き締まった音響で録るはずです。今後の録音では改善を望みたいと思います。

タグ: [交響曲] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ステファノ・モンタナーリ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ステファノ・モンタナーリ Stefano Montanari (Violin)
13-16 agosto 2011, Auditorium Modernissimo, Nembro
AMS 108-2/109-2 (P)(C)2012 PARAGON (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.it

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 かなり好き勝手にやっています。 意欲的に攻める演奏で,即興的にいろいろな表現を試しているのは良いのですが,正直ちょっとやり過ぎと思うところもあります。 面白いとは思うのですが,あまり好きになれる演奏ではありませんでした。 技術的にはかなり上手いと思います。

録音ですが,楽器音に残響がやや多めに被って音色を損なっており,中域の癖が強く, 高域に伸びない割に妙にキンキンしているなど,あまり好ましく思えませんでした。 まあそんなに悪くはないのですが,私の好きな録音ではありません。 もう少しすっきりと透明感のある音色で録音して欲しいものです。

Élite Amadeusというイタリアの雑誌の付属CD。いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Bar(シャコンヌ狂時代)で知ったディスク(有り難うございました)。海外のアマゾンで買えるとのことでしたので,早速Amazon.itに注文し,無事に入手しました。現時点で品切れになっているのでぎりぎり間に合ったようです。 ラッキーでした。