ヘッドホンの測定で人工耳アダプターを製作して試す

ヘッドホンの測定でもう一つ。一般的にはヘッドホンの測定にはIEC 60318-1で規定されている人工耳を使います。製品としてはBrüel & Kjær社のType 4153などがあります。個人で買えるようなものではありませんので,IECの図面から形を真似て作ってみました。

IECの人工耳は次のような形をしています。

iec_60318-1_ear.jpg
図1 IEC 60318-1 Ear Simurator


マイクの前にくぼみ(V1)があるほか,音響インピーダンスマッチングのためと思われる容積V2, V3があります。V2, V3まで真似て作成するのは大変なので,V1のくぼみだけをマイクの前に取り付けるようにしてみました。図1やBrüel & Kjær社のType 4153を見るとくぼみの外側もテーパーになっていてこのままではヘッドホンが取り付けられないので,実際にはプレートをはめて平らにします。その状態を想定して製作し取り付けたのが次の写真です。

mic5_artificial_ear_adapter.jpg
図2 製作した人工耳アダプターを取り付けた測定治具


雑な工作で恐縮ですが,加工のしやすさを考えてスチロール板を使いました。本当は3Dプリンタなどを使って作ってみたいところですが...で,この人工耳アダプターを付けて測定した結果を示します。

fq_sennheiser_hd580_lch_20140119_ear_simulator.png
図3 Sennheiser HD580 周波数特性
青:音圧(人工耳あり)/灰:音圧(人工耳なし)/橙:2次歪/黄緑:3次歪

fq_sennheiser_amperier_lch_20140119_ear_simulator.png
図4 Sennheiser Amperier 周波数特性
青:音圧(人工耳あり)/灰:音圧(人工耳なし)/橙:2次歪/黄緑:3次歪

fq_sennheiser_hd25-1_II_lch_20140119_ear_simulator.png
図5 Sennheiser HD25-1 II 周波数特性
青:音圧(人工耳あり)/灰:音圧(人工耳なし)/橙:2次歪/黄緑:3次歪


灰色の線が人工耳アダプターなし,青色の線が人工耳アダプターありです。だいたい4-5kHz以上の特性に影響が出ています。こんなちょっとしたことでも大きく特性が変わってしまいます。

こう見てみると,人の耳の形は千差万別ですので,同じヘッドホンを聴いても,実は全然違う音に聴こえている可能性もある,ということがわかりますね。なので,どんな測定をしようが,それはあくまでも一例でしかなく何が正しいかなんていうのは実は何もないということが言えるのかもしれません。

で,その測定した一例が自分の耳の特性と合っているかどうかももちろんわかりませんが,しかし,それでも音の傾向を示すヒントにはなると思いますので,当面は自作の人工耳アダプターの有り/無し両方で測定して示していこうと思っています。

タグ: [ヘッドホン] 

■ この記事へのコメント

■ コメントの投稿

:

:

:

:

:

管理者にだけ表示を許可する