バッハ:ゴルトベルク変奏曲(キット・アームストロング)

kit_armstrong_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
キット・アームストロング Kit Armstrong (Piano)
Concertgebouw Amsterdam, 13 March 2016
741704 (P)2017 Artwork & Edition (C)2017 C Major Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

聴きたいと思いながら映像ディスクでちょっと高かったので見送っていたのですが,いつも参考にさせていただいているクラシック音楽の感想で強力に推薦されていましたので,思い切って手に入れて聴いてみました。

なるほど! これは過去様々な演奏が存在する中で,それらの影響を一旦リセットし,先入観にとらわれない新鮮な感性で一つ一つの変奏をじっくりと吟味し,一から組み立て直しているという印象を受けました。折り目正しくずいぶんと落ち着いた,大人びた演奏であり,ピアノという楽器の持つ表現力を控え目ながら上手く活かし多彩な音色を引き出していますし,さらに上品な情緒感も漂わせています。グールドの演奏に慣れた耳にはあまりの方向性の違いに戸惑ってしまうのですが,グールドの演奏が感性を揺さぶる演奏とすれば,この演奏は知的好奇心をくすぐる演奏とでも言いましょうか,いずれにせよ同曲の新たなスタイルを築く画期的で現代的な演奏だと思います。なお,ライヴ収録なので多少の演奏上の傷はあります。

さて録音ですが,残響が多めでホールのキャラクターが少し音色に乗っていますが,ピアノの音自体はしっかりと捉えられており,自然さも損なわれていない,それほど悪い印象ではありません。基本的に私の好みの録音とは少し異なりますが,ホールトーンを活かしたピアノ録音として,また,演出感の少ないライヴ録音として,まずまず良いのではないでしょうか。残響が許せる方なら良好な録音に入ると思います。少々オマケですが四つ星半です。

会場がクラシック音楽専用ホールで綺麗であり,カメラワークも良く映像作品としても楽しめました。プロモーション映像がYouTubeにアップされていましたので紹介しておきます。



最後にリピート表です。Aria da capoを除いてすべてリピートしています。文句ありません。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

Sennheiser MX500をBluetoothレシーバー用に加工してみました

mx500_and_bt_receiver.jpg

オーディオ小ネタです(^^;。少し前に会社でSkype for Businessが導入され,PCでSkype会議に参加したり,内線電話をPCで受けたりすることも増えてきました。PCで使用するヘッドセットとしてBluetoothレシーバーとイヤホンを使っているのですが,レシーバーを胸元に付けるとイヤホンのケーブルが長すぎて鬱陶しいので長すぎるケーブルを巻き付けて短くする部品なども使ってみたのですが,それでも鬱陶しいことに変わりがありませんでした。そこで,古くなってVolume部分がダメになったSennheiserのMX500というイヤホンを加工してレシーバー用に仕立ててみました。

加工といってもケーブルを切ってM3プラグを付けるだけなのですが,半田付けが苦手な私にはこれが意外に難しい。しかもケーブルがリッツ線といって,ものすごく細いエナメル線を束ねたもので出来ているのでエナメルの被覆が邪魔をして半田がなかなか乗らず苦労しました。それで出来たのが上の写真です。ちょっと短すぎたかなと思いましたが,これくらいがちょうど良い長さでした。

最近はマイク付きのBluetoothヘッドホンが多いのでこんなことする必要は普通はないのですが,周囲の音が普通に入ってきて周囲の人の声も通話相手の声も両方がちゃんと聞こえるオープン型のイヤホンのものがあまりないので重宝しています。こういうのが普通に売ってたらいいんですけどね。

タグ: [ヘッドホン] 

シューベルト:交響曲第5番,ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲,他(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

zsolt_kallo_capella_sawaria_schubert.jpg
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
シューベルト:ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調 D.345
シューベルト:ヴァイオリンと弦楽合奏のためのロンドイ長調 D.438
シューベルト:ポロネーズ変ロ長調 D.580
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/1/22-24 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32794 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリーのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集に続いて,同じ演奏者によるシューベルトです。ヴァイオリン独奏の曲は聴いたことのない曲ばかりです。いずれも屈託のない明るさがまるでパガニーニを聴いているようで楽しいです。ヴァイオリニストの個性にも合っていますね。まあ全体にちょっと粗削りのところはあります。

録音も前エントリーのモーツァルトとほぼ同じです。若干残響があり,ソロにも少し被りが感じられますが,楽器の音色はそれほど損なわれておらず響きの美しさを保っています。張りのある力強い録音で良いと思います。やはり少し誇張から不自然さが出てしまうものの,プラス面の方が多いと思います。フンガロトンらしい好録音ですね。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

zsolt_kallo_capella_sawaria_mozart_violin_concertos.jpg
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/9/17-19,2017/2/3-6 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32761 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。ピリオド楽器による演奏で,ハイドンのヴァイオリン協奏曲が録音が良かったので,これも期待して聴きました。演奏はやはり同じように素直で実直で素朴な魅力がある佳演です。なお,この演奏に名手の技量を要求してはいけません(^^;。このあたたかな雰囲気を楽しみたいものです。

それで肝心の録音なのですが,傾向的には前述のハイドンと同じで,ソロはわずかな響きを伴っているものの,きちっとフォーカスされ,明瞭に聴くことができます。オーケストラも同様に残響を抑えた明瞭感のある録音なのですが,少し音色のバランスは崩れているように思います。この点が惜しいです。また,やや誇張された録音のため自然さには欠けますが,私としては十分に許せます。

録音が良いと音楽が活き活きと伝わってきて楽しさが倍増しますね。

メンデルスゾーン:交響曲全集(ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団)

yannick_nezet-seguin_coe_mendelssohn_symphonies.jpg
メンデルスゾーン:交響曲全集
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
Paris, Philharmonie, Grande salle Pierre Boulez, 20, 21 & 22 February 2016
00280 479 7337 (P)(C)2017 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

前エントリのシューマンの交響曲全集に続いてネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団という同じ顔合わせのメンデルスゾーンの交響曲全集です。こちらも同様に小気味の良い,精度の高いアンサンブルで,胸のすく音楽が展開されていきます。メンデルスゾーンの交響曲はごちゃごちゃとせわしない印象を持っているのですが,その音楽を極めて明快に整理した形で聴かせてくれるこの演奏は秀逸で,この団体ならではの特徴を存分に活かしていると思います。

録音ですが,残響は少し多めですが,あまり楽器音に被っているという感じはなく,音色と音のキレを損なわない程度に抑えられているので悪い印象ではありません。もう少し各楽器の質感が強めで分離感がある方が好きなのですが,それでもまずまずの好録音だと思います。

この顔合わせでもっといろいろな交響曲のリリースをしてくれることを期待します。

シューマン:交響曲全集(ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団)

yannick_nezet-seguin_coe_schumann_symphonies.jpg
シューマン:交響曲全集
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
Paris,the Cite de la Musique, November 2012
00280 479 2437 (P)(C)2014 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

中規模の編成によるシューマンの交響曲も珍しくなくなってきましたが,シューマンはこれぐらいの編成がちょうど良いと思う私にとってヨーロッパ室内管弦楽団はうってつけの団体です。そしてこの演奏はその期待を裏切りません。速めのテンポでキレのよい超軽量級の演奏です。ライヴですが演奏の精度も良くこのあたりはさすがです。

一方この演奏からはシューマンの一種独特な病的薄気味悪さはすべて排除されていると言って良いほどに軽く明るく躍動的で,私はこういうのが好きなのですが,シューマンらしさという点では賛否があるかもしれません。

そして録音なのですが,多少の残響はあり,中域に癖のある響きがのって少々うるさく感じられるところはありますが,サウンドにキレもありますし見通しも良好です。不満はゼロではありませんが,この団体の機動力を活かす好録音だと思います。

ブログのテンプレートと設定を変更しました

当ブログにおいてテンプレートと設定を変更し,下記の対応をしました。

・SSL対応
・レスポンシブ対応(スマホ用テンプレートを無効化)

あとCSSで,CSSカスタムプロパティというものを使ってみましたので,非対応のブラウザでは表示がおかしくなるかもしれません。(Windows 7のIEは対応していませんでした...)

前のテンプレートでレスポンシブ対応しようとしたのですが,記述が複雑すぎて私の手に負えなかったので,もっと単純なテンプレートに入れ替えました。なにぶん手作業で対応したのでまだまだ不具合があると思いますが,少しずつ直していきたいと思います。また以前のページをメンテナンスしきれないので,表示がおかしいまま放置というケースもあるかもしれません。何とぞご容赦いただきたくお願い致します。

ブラームス:交響曲全集(スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団)

skrowaczewski_90th_birthday_collection.jpg
ブラームス:交響曲全集
Stanislaw Skrowaczewski the complete oehmsclassics recordings - 90th birthday collectionより
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団
2011年2月,3月, 11月 Großer Sendesaal des SR
OC 090 (P)(C)2013 OehmsClassics Musikproduktion (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

シューマンの交響曲全集に続いてブラームスの交響曲全集です。こちらはシューマンとはやや印象が異なり,オーソドックスに遅めのテンポで重厚な響きを基調にした演奏です。しかし緩むことのない締まった演奏はこの指揮者らしいところなのでしょう。特徴はあまりないかもしれませんが,伝統的「ブラームスらしさ」を堪能できる演奏だと思います。

録音については,基本的にはシューマンと似ていますが,音の鮮度と分離感が改善されています。ただし,音づくりの古くささは変わりません。悪くないのですが,好録音というには今ひとつ物足りなさを感じます。2011年の録音でこの音色はちょっともったいなく思います。

このボックスセットではあと大物としてブルックナーとベートーヴェンの全集があります。ベートーヴェンはすでにレビューしていました(→こちら)。ブルックナーはこれからゆっくりと聴いていきたいと思います。

一応収録曲を再掲しておきます。CD 28枚組のボックスセットです。

ブルックナー:交響曲全集(第00番,第0番を含む)(1991-2001年)
ベートーベン:交響曲全集(2005-2006年)
シューマン:交響曲全集(2007年)
ブラームス:交響曲全集(2011年)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲,ディヴェルティメント(2002年)
ベルリオーズ:幻想交響曲作品14,ロメオとジュリエット作品17~愛の情景(2002-2003年)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(ピアノ:エヴァ・クピエツ)(2003年)
スクロヴァチェフスキ:ミュージック・アット・ナイト,ファンタジー「夜の横笛」,シンフォニー(2005-2008年)

タグ: [交響曲] 

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲,フィンガルの洞窟,交響曲第5番「宗教改革」(イザベル・ファウストVn/パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ)

isabelle_faust_heras-casado_fbo_mendelssohn.jpg
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)」作品26
メンデルスゾーン:交響曲第5番ニ短調作品107「宗教改革」
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ
2017年3月19-22日 バルセロナ,オーディトリウム第1ホール「Paul Casals」
HMM 902325 (P)2017 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器による演奏。ここに収録された協奏曲と管弦楽曲,交響曲,どれも良いですね。この聴き慣れた超有名協奏曲が溌剌とした躍動感に満ちて実に新鮮な印象をもたらしますし,交響曲も快活で引き締まっていて聴き応えがあります。

一方で,特に協奏曲におけるヴァイオリンのソロに関して,フォルテのところでは楽器が悲鳴をあげているような,限界を越えて鳴らそうとしているかのような音のつぶれも感じられ,大ホールにくまなく音を行き渡らせようとするような前提での演奏になっているのではないか,というようなピリオド楽器の限界のようなものも同時に感じました。

これはこれでもちろん素晴らしいと思うのですが,ピリオド楽器がやや苦手な私は,こういう演奏をモダン楽器でやってくれたらなぁ,と毎度のことながら思ってしまいます。

録音ですが,残響はそれなりにあるものの,直接音が主体ですっきりと見通しよく録っているのが好印象です。高域の伸びも申し分ありません。一方で低域は控え目で,全体のバランスとして高域に寄っていて刺激的に感じられるところもありますが,軽量級の演奏を活かす好録音だと思います。

シューマン:交響曲全集(スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団)

skrowaczewski_90th_birthday_collection.jpg
シューマン:交響曲全集
Stanislaw Skrowaczewski the complete oehmsclassics recordings - 90th birthday collectionより
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団
2007年3月20-23日, 11月 Großer Sendesaal des SR
OC 090 (P)(C)2013 OehmsClassics Musikproduktion (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これも出来心で手に入れてしまったボックスセット(^^;。このボックス発売当時はまだご存命で90歳を記念して制作されたようです。以下の曲が収録されています。28枚組です。

ブルックナー:交響曲全集(第00番,第0番を含む)(1991-2001年)
ベートーベン:交響曲全集(2005-2006年)
シューマン:交響曲全集(2007年)
ブラームス:交響曲全集(2011年)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲,ディヴェルティメント(2002年)
ベルリオーズ:幻想交響曲作品14,ロメオとジュリエット作品17~愛の情景(2002-2003年)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(ピアノ:エヴァ・クピエツ)(2003年)
スクロヴァチェフスキ:ミュージック・アット・ナイト,ファンタジー「夜の横笛」,シンフォニー(2005-2008年)

オーケストラはザールブリュッケン放送交響楽団ですが,2007年にカイザースラウテルン南西ドイツ放送交響楽団を吸収合併してザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団という長ったらしい名前になったそうです。シューマンとブラームスの全集は合併してから録音されました。

今回はこの中からシューマンの交響曲全集のコメントです。スクロヴァチェフスキのシューマンってあんまり想像がつかなかったのですが,聴いてみてなるほど!と思う明快で格好のよい男前な演奏でした(多分に先入観の影響はあると思いますが(^^;)。

そして録音なのですが,残響控え目で内声も聴き取りやすい見通しの良さ,音切れの良さを持っているものの,音色はややくすんで冴えず,広がり感,分離感も今ひとつです。ちょっと音づくりが古臭いように思います。楽器音の捉え方がまずまず良いだけに,この音質は2007年の録音としてはいささか残念でした。

タグ: [交響曲]