ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」,第4番,第5番「運命」(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団) *Special Edition Wiener Symphoniker Japan Tour 2017

philippe_jordan_wiener_symphoniker_beethoven_symphonies_1_3_4_5.jpg
ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」,第4番,第5番「運命」
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
Musikverein Wien, Vienna. 25/26 February and 8/9/10 March 2017
WS019 (P)(C)2017 WIENER SYMPHONIKER, VIENNA (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

この2枚組の1枚目は昨年取り上げていました(→こちら)。2枚目の第4番,第5番はレギュラー盤は半年後に発売されるそうなのですが,2017年の日本ツアーのスペシャル・エディションとして1枚目とともに日本向けに製造されたとのことです。1枚目の出来が素晴らしかったので,半年を待ちきれずに購入してしまいましたが,こういう発売の仕方は正直あまり有り難くないですね... 勿体ぶらずにさっさとレギュラー盤で発売して欲しいものです。

第4番,第5番についても感想は1枚目と変わらず,演奏も期待通り,録音も良好でした。全集に向けての今後のリリースがますます楽しみになりました。

第1番,第3番についてはe-onkyoでも96kHz/24bit(FLAC or WAV)の音源が発売されていました。

日本向けということで,ジャケ写に漢字(しかも明朝体)で収録曲が記載されているのが新鮮です(^^;。解説書はありませんが,曲名や演奏者も日本語の記載があります。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アンナ・ゴッケル)

anna_gockel_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アンナ・ゴッケル Anna Göckel (Violin)
Église du Bon Secours, Paris, in May 2017
FF003 (P)(C)2018 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.frApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

端正で美しい好演奏。 音色も伸びやかで透明感があり,爽やかな響きをもたらしていて印象的です。 表現自体はオーソドックスで強く主張する演奏ではありませんが, 気持ちよく聴ける良い演奏でした。 技術的にも全く問題ありません。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に影響しているものの, 音の抜けや伸びは保たれていますし,楽器の質感やニュアンスも感じ取れるので, 十分良好と言える録音です。

アンナ・ゴッケルは1992年生まれ,フランスのヴァイオリニスト。

ディスクはまだ日本では取り扱いがないようですが,Apple Music等のサービスで聴くことが出来ます。

ワーグナー:管弦楽曲集(若杉弘指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

hiroshi_wakasugi_staatskapelle_dresden_wagner_ouverturen.jpg
ワーグナー:管弦楽曲集
若杉弘指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
1984年12月 ドレスデン,ルカ教会
Berlin Classics 0300923BC (C)2017 EDEL GERMANY GMBH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これは上質というか品格のあるワーグナーですね。引き締まった造形で響きも美しく,誇張のない誠実な表現がとても良いと思います。

録音ですが,ルカ教会での録音としては残響がかなり控え目に抑えられ,直接音主体にシャープかつ透明感のある音で録られているのが好印象です。中低域は昨今のワイドレンジな録音と比較するとかなり薄く,下支えが少々足りない感じはありますが,帯域バランスを崩しているということはないので問題はありません。

[収録曲]
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「リエンツィ」序曲
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァージニア・ルケ)(ギター編曲版)

virginia_luque_bach_goldberg_variations_for_guitar.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ギター編曲版)
ヴァージニア・ルケ Virginia Luque (Guitar)
Recorded at Kaleidoscope Sound
IPCD007 beria productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: CD Baby演奏者Webサイト

私はギターについて技術的限界がどのあたりにあるのかよくわかっていないのですが,多重録音することなくギター1本だけで演奏しているなら大健闘で,1本で弾いているとは信じがたいところがしばしば現れます。正直なところやはりギター1本ではかなり無理があり,技術的困難が発音やリズムの崩れを引き起こしスムーズな演奏とは言い難いのは確かなのですが,それでもここまでやれるというのが私には驚異的に思えます。なので,CD 2枚組で演奏時間約98分に及ぶ演奏であっても全く退屈しませんでした。この困難な挑戦に拍手! ギターに興味のない方には全くお勧めしませんが,好きな方はサンプルを聴いてみて欲しいと思いました。

ギターによるゴルトベルク変奏曲は,カート・ラダーマーの特別仕様ギター多重録音による演奏は別格として,マルコ・サルチートのギター1本による演奏がありました。サルチートの方が安定感があり崩れの少ない演奏でしたが,原曲に対する忠実度はこちらの方が上のような気がしました。(もちろんかなり変更されていますが,相対的な印象としてということです)

録音ですが,スタジオでギターの前にマイクを1本だけ立てて録音したような誇張・演出感のない生録的な自然さが良いです。クラシック・ギターの録音としてほぼ不満はありません。結局こういう何もしていない録音が一番音楽を素直に伝えてくれますし,楽しめます。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されています。完璧です。

演奏時間 約98分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

エルガー:ヴァイオリン協奏曲,ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番(レイチェル・バートン・パインVn/アンドルー・リットン指揮/BBC交響楽団)

rachel_barton_pine_elgar_bruch_violin_concertos.jpg
エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調作品61
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
レイチェル・バートン・パイン Rachel Barton Pine (Violin)
アンドルー・リットン指揮/BBC交響楽団
2017年1月9日-11日 BBCメディア・ヴェール・スタジオ(ロンドン)
AVIE AV2375 (P)(C)2018 RBP Music (輸入盤) 国内流通仕様
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ブルッフはバートン・パインの濃厚でエモーショナルな表現がこの曲に良く合っていると思います。一方エルガーの協奏曲は...何枚かディスクを持っているのですが,今ひとつ掴み所がわからず,いまだに面白さを理解できていないのでちょっとコメントが難しいです(すみません(^^;)。

録音ですが,ソロ,オーケストラともに残響は控え目で直接音主体にクリアに録音されています。オーケストラは締まりとキレがあり,弦楽器主体に密度感のあるサウンドで構成されている点も好印象。ソロはその上にややフォーカスされて乗ってくるので聴きやすいバランスになっていると思います。協奏曲の録音としてほぼ不満がなく,かなり良いと思います。

最初Apple Musicで試聴して録音が良さそうだったので,この演奏・録音でエルガーをじっくりと聴いてみようと思い,ディスクを入手しました。それにしても...このエルガーの協奏曲,重厚長大で真剣に聴き出すと相当消耗しますね...(^^;。時間が半分くらいだともっと聴くと思うのですが。

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オフ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

neville_marriner_asmf_bach_brandenburg_concertos_1971_tower_records.jpg
バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(サーストン・ダート版)
バッハ:管弦楽組曲全曲
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー・オフ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

1971年1月30日-2月12日 ウェンブリー,プレント・タウン・ホール(協奏曲)
1970年12月7-10日 ロンドン,セント・ジョンズ・スミス・スクエア(管弦楽組曲)
PROC-2056/8 (P)1971 Decca Music Group (国内盤) タワーレコード企画盤
*TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION +plus Vol.24
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records

マリナーとASMFのブランデンブルク協奏曲は全部で3回録音されていて,これは1回目の録音です。あとの2回の録音は以前取り上げていました(2回目3回目)。今回はブランデンブルク協奏曲のみのコメントです。

このブランデンブルク協奏曲では,アイオナ・ブラウン(Vn),デイヴィッド・マンロウ(Rec),バリー・タックウェル(Hr),サーストン・ダート(Chem),レイモンド・レパード(Chem),といった名手が参加しています。また,サーストン・ダートが編纂した版を用いているという点でいろいろと特徴のある全集となっています。

このサーストン・ダート版に基づくこの録音は,「いわゆるブランデンブルク候への献呈稿(バッハ自身による改訂)より以前のケーテン時代の版による「First Version」として,ダートのよる仮説を含めた校訂が行なわれたのがこの音源です。第1稿の形で再演を試みようと進められたプロジェクトでした。」(以上,Tower Recordsの解説より)とのことです。

気づいただけでも通常演奏されるものと次のような差異があります。

第1番: 通常,第3楽章としてAllegro,第4楽章としてMenuetto - Trio I - Polacca - Trio IIと演奏されるものが,第3楽章Menuetto,第4楽章Allegro,第5楽章Polaccaとなっている。
第2番: トランペットではなくホルンが使用され,リコーダーがアルトではなくソプラノ(?)・リコーダーが使われている。
第4番: リコーダーはソプラニーノ・リコーダーが使用されている。
第5番: チェンバロのソロが65小節ではなく19小節の短いものになっている。

細かく見るともっとあると思います。1970年の初めの演奏でこのような試みがなされていたとはちょっと驚きです。

録音ですが,響きを抑え気味にして各楽器をくっきりと明瞭に捉えているのが良いです。ややスタジオ録音的で録音会場の自然な雰囲気は感じられないものの,音の抜けの良さ,音の伸びなど申し分なく,十分に好録音と言えます。この頃のPhilips(ですよね?→※)の良さが出ていますね。こういう録音,好きです。

このような貴重な録音を復刻してくれたタワーレコードに感謝!

※原盤がフィリップスであることを,いつもお世話になっている友人が古い資料を掘り起こして確認してくださいました。有り難うございました。(2018/1/30追記)

スメタナ:わが祖国(イルジー・ビエロフラーヴェク指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

jiri_belohlavek_smetana_ma_vlast_2014.jpg
スメタナ:連作交響詩「我が祖国」全曲
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
2014年5月12-14日 プラハ,スメタナ・ホール
483 3187 (P)2017 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

この曲はこのように演奏するのです,と見本を示されているような気がしました。これが本場の演奏,という感じは私自身はしないのですが,確信をもって力強く堂々と演奏されていて,しかも大仰なところがないのが良いところだと思いました。

録音は残響多めですが,ウェットにならず,むしろドライで締まりもあり,変な癖もなく演出感も少ない素直で自然な音響が良いです。好きなタイプの録音とは少し違いますが,これは良いかなと思いました。最初聴いたときはちょっと冴えない地味な録音だなと思いましたが,そんなに悪くはないという印象です。少々オマケですが四つ星半としました。人により評価は分かれるとは思います。

指揮者のビェロフラーヴェク氏は2017年5月に71歳で亡くなられたとのことです。

ベートーヴェン:交響曲全集(ジャン=フィリップ・トランブレ指揮/フランコフォニー管弦楽団)

jean-philippe_tremblay_orchestre_de_la_francophonie_beethoven_symphonies.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集
ジャン=フィリップ・トランブレ指揮/フランコフォニー管弦楽団
July 21 to 24 2009 at Salle Raoul-Jobin, Palais Montcalm, Québec
AN 2 9975-9 (P)2010 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

時折縦の線が乱れて混沌とすることがあり,オーケストラの力量に不安を感じる箇所が散見されるとはいえ,この生き生きと弾む音楽は大変魅力的です。テンポは総じて速く,メリハリのある躍動的な演奏が良いです。このオーケストラはカナダのフランコフォニー(フランス語を話す人)の学生を中心に若手プロも加わったユース・オーケストラとのことで,この荒削りながらフレッシュな演奏はそういうことだったのかと納得。

録音ですが,残響はありますが響きに締まりがあり音離れがよく楽器音をあまり邪魔しません。各楽器が比較的分離良く明瞭に聴き取ることができます。音色も自然であり,演出感も少なくライヴの雰囲気を良く伝えてくれます。まずまずの好録音です。

他人にお勧めはしませんが,私自身は演奏も録音も結構気に入りました。

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」,チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,ボロディン:弦楽四重奏曲第2番(エッシャー弦楽四重奏団)

escher_string_quartet_dvorak_tchaikovsky_borodin_string_quartets.jpg
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調作品96「アメリカ」
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2017年3月 ドイツ,ノイマルクト,ライツターデル
BIS-2280 SACD (P)(C)2017 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

チャイコフスキーとボロディンは,私の好きなボロディン四重奏団の演奏に近い印象ですが,さらに若々しく溌剌として勢いがあり音楽が躍動しています。技術的にも大変優れていて隅々までコントロールが行き届き音楽に多彩なニュアンスを与えています。これはなかなか良いと思いました。

そして録音もBISにしては良好です(^^;。残響感はあるものの直接音を主体に濃厚に捉えています。明瞭感も良好ですし個々の楽器の質感も良く感じられます。少々捉え方が濃すぎる感があり残響ももう少し控え目にすっきり録った方が良いとは思いますが,これでもまずまず良いと思います。

このディスク,収録時間が約82分で名曲が3曲収められているというのもうれしいですね。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(フランク・ペーター・ツィマンマーマン Vn/ベルリン・バロック・ゾリステン)

frank_peter_zimmermann_bach_violin_concertos.jpg
バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
フランク・ペーター・ツィマンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
ベルリン・バロック・ゾリステン
2017年4月 イエス・キリスト教会
HC17046 (P)(C)2017 hänssler CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

このディスクでは,ヴァイオリン協奏曲第1番BWV 1041,第2番BWV 1042と,原曲がヴァイオリン協奏曲とされるチェンバロ協奏曲第1番BWV 1052をヴァイオリン協奏曲として再構築したもの,ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲BWV 1060を2つのヴァイオリンに編曲したもの,が収録されています。最後の曲は息子のセルゲ・ツィンマーマンとの共演とのことです。

スピード感のあるキレの良いスリリングな演奏ですねぇ。バッハの演奏としてはちょっと刺激的すぎる感はありますが,この痛快な演奏は結構好きです。こういうモダン楽器バリバリ(死語?(^^;)の演奏もアリじゃないかと。

録音ですが,残響はあるものの直接音主体に明瞭に録られた好録音です。まるでスタジオで録られたような感じであり,少々実在感が薄いようにも思いますが,残響で曇った録音よりははるかに良いと思います。このシャープな録音が演奏のキレの良さをさらに際立たせていますね。密度が高く息苦しい感じもあるので,もう少しすっきりと見通しが良かったら言うことなしなのですが,まあそれでもかなり良い方だと思います。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(ジャン=フランソワ・エッセール(弾き振り)/新アキテーヌ室内管弦楽団)

jean-francois_heisser_beethoven_piano_concertos.jpg
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
ジャン=フランソワ・エッセール(弾き振り)/新アキテーヌ室内管弦楽団
2014年11月, 2015年3月
MIR374 (P)2017 Mirare (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴。国内での輸入盤発売は1月末のようですが,Apple Musicで公開されていましたのでフライングで聴いてみました。今回は録音のみのコメントです。

室内管弦楽団との協奏曲ということですが,録音を聴いてみると室内管弦楽団とは思えないスケール感で捉えられています。しかし,そういう録音に仕立てるためか,比較的楽器の近くにマイクが設置されているようで,各楽器の質感が分離感良く聴こえてきます。残響が多めで響きに癖があり少しうるさく聴こえるのは好みとは異なりますが,サウンドも比較的締まっていてトータルの印象は悪くありません。ピアノももう少し響きを整理してすっきりしたサウンドにして欲しいところですが,まあ許容範囲です。少しオマケですが四つ星半です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ミリアム・フリード) ※2016年録音

miriam_fried_2016_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミリアム・フリード Miliam Fried (Violin)
Jerusalem Music Center, December 2016
Nimbus Alliance NI 6351 (P)(C)2017 Wyastone Estate Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

同氏20年ぶり2回目,70歳での録音。 速めのテンポで淡々と淀みなく演奏される点は1回目と同様ですが, ニュアンスが多彩な円熟した味わい深い音楽に仕上がっています。 技術的にも衰えはほとんど感じさせず,正確で安定しています。 インパクトはありませんが,聴く度に感銘を受ける好演奏です。 音楽的な深化と技術の衰えが交差するベストタイミングを狙って録音されたのでしょうね。

録音ですが,残響の影響でわずかながら音色にくすみが感じられるものの, 直接音が主体で細部も聴き取れますし,楽器の質感も感じられます。 もう少し透明感,ヌケの良さがあると良かったのですが,これでもまずまず良好です。少々オマケですが四つ星半です。

なお,本ディスクはレーベル公式のCD-R盤です。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(リサ・ジェイコブス Vn/ザ・ストリング・ソロイスツ)

lisa_jacobs_the_string_soloists_haydn_violin_concertos.jpg
ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
リサ・ジェイコブス Lisa Jacobs (Violin)
ザ・ストリング・ソロイスツ
April 19 & 21, 2017 Cunerakerk, Rhenen, The Netherlands
COBRA 0061 (C)2017 Cobra Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ハイドンのヴァイオリン協奏曲も見つけると手に入れてしまう好きな曲の一つです。リサ・ジェイコブスはオランダの若手ヴァイオリニスト。このハイドンの愛らしい曲をモダン・ヴァイオリンで美しく奏でているのですが,ちょっと控え目で大人しく枠にはまりすぎている気もします。協奏曲なのでもう少しはじけても良いのではと思います。なおカデンツァはすべて本人によるものとのことです。

録音ですが,ソロは少し残響を伴っていてまとわりつきが気になりますが,透明感があり音の抜けもまずまず良好で悪くありません。バックのアンサンブルはさらに残響が多いのですが,直接音と分離しており,響きが周囲にふわっと広がり空間性を上手く演出していて,残響が多い割に印象は悪くありません。残響を取り込むならこんな風にして欲しいという好例です。ソロがもう少し前に張り出してくれるとなおよかったのですが,まあこれでも十分に良好です。

シベリウス:交響曲全集(尾高忠明指揮/札幌交響楽団)

takaaki_otaka_sapporo_so_sibelius_symphonies_no1_3.jpg
シベリウス:交響曲第1番,第3番
尾高忠明指揮/札幌交響楽団
2013年2月28日, 3月1,2日 札幌コンサートホールKitara
FOCD6036 Fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

takaaki_otaka_sapporo_so_sibelius_symphony_no2.jpg
シベリウス:交響曲第2番,組曲「恋人」
尾高忠明指揮/札幌交響楽団
2014年2月28日, 3月1日 札幌コンサートホールKitara
FOCD6040 Fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

takaaki_otaka_sapporo_so_sibelius_symphonies_no4_5.jpg
シベリウス:交響曲第4番,第5番
尾高忠明指揮/札幌交響楽団
2014年2月28日, 3月1日,2015年2月13,14日 札幌コンサートホールKitara
FOCD6048 Fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

takaaki_otaka_sapporo_so_sibelius_symphonies_no6_7.jpg
シベリウス:交響曲第6番,第7番,アンダンテ・フェスティーヴォ
尾高忠明指揮/札幌交響楽団
2015年2月13,14,17日 札幌コンサートホールKitara
FOCD6049 Fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ベートーヴェンの交響曲全集が演奏も録音も良かったので,これも買うのを躊躇していたシベリウスの交響曲全集も思い切って聴いてみました。定期演奏会の録音とのことなのでライヴ録音だと思いますが,セッション録音並みに丁寧で落ち着きがあります。やはりベートーヴェンと同じくオーソドックスなアプローチなのでその点で物足りなさを感じることもありますが,全体として高水準な仕上がりであり,何度も聴き返したくなる魅力を備えていると思います。

そして,やはりこれも録音の良さがこの全集をさらに魅力的なものにしています。個々の楽器の音色を明瞭に質感高く分離良く捉えていて気持ちよく聴くことができます。ややデフォルメされた感はありますが,こういうのは歓迎です。

日本人指揮者と日本のオーケストラによるシベリウスの交響曲全集は,渡邉暁雄指揮日本フィルハーモニー交響楽団の新旧2種以来ということです。

ブラームス:交響曲第1番,悲劇的序曲(ピエタリ・インキネン指揮/日本フィルハーモニー交響楽団)

pietari_inkinen_jpo_brahms_symphony_no1.jpg
ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:悲劇的序曲作品81
ピエタリ・インキネン指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
2017/5/20, 4/22 横浜みなとみらいホール
NYCC-27305 (P)(C)2017 Naxos Japan Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

同顔合わせのシベリウス交響曲全集が演奏も録音も良かったのでこれも聴いてみました。拍手の入るライヴ録音です。オーソドックスなアプローチなので驚くようなところはありませんが充実感のある密度の濃い演奏で好印象でした。ライヴということもあってか事故?と思うところはあるのですが,気になりませんでした(←いやいやめっちゃ気にしとるやんけ(^^;)。

録音ですが,脚色のない生のライヴの雰囲気を伝えてくれる録音で,楽器の音色も自然であり,個々の楽器の質感も良く分離感もあり,左右の広がり,ステージ感も良好です。特に優秀録音ということはないと思いますが,地味ながら欠点の少ない好録音だと思います。前述のシベリウスに比べるとやや弦楽器の質感が弱いかなという気はしますが,欠点ではありません。こういう録音は好きな方です。

今後ブラームスの録音が続くのかわかりませんが,他の3曲の録音も期待したいです。

ベートーヴェン:交響曲全集(尾高忠明指揮/札幌交響楽団)

tadaaki_odaka_sapporo_so_beethoven_the_complete_symphonies.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集
尾高忠明指揮/札幌交響楽団
2011年9-12月 札幌コンサートホールKitara
FOCD6023/7 fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

札幌交響楽団の50周年記念事業のまとめとして開いた「ベートーヴェン・ツィクルス」のライヴ録音と本番前日のセッション録音をまとめたものとのことです。札幌交響楽団の演奏は以前聴いたディスクでの技術面での不満があったのと,価格が1万円以上と高価なことから躊躇していたのですが,このたび清水の舞台から飛び降りる思いで入手しました(崖じゃないですよ(^^;)。

さて最も心配していた技術面ですが,全く問題ありませんでした。オーソドックスで特筆すべき特徴はないものの,速めのテンポで小気味よく引き締まった好演奏でした。起伏やニュアンスは乏しく感じられることもありますが,無理のない素直な演奏と受け取りました。50周年記念事業の記録としてふさわしいと思います。

そして録音なのですが,残響はそれなりに多く入っているものの,個々の楽器の直接音を主体に全体の音作りがされていて明瞭感,分離感があり,また中低域のサウンドも締まりがあって良好です。音色も癖がありません。弦楽器を中心に組み立てられているのにも好感を持ちます。個々の奏者の音が溶けあいすぎず,ザクザク?とした質感が感じられる点も好きです。すっきりしたサウンドではありませんし,オーディオ的にも標準的で特に良いとは思わないのですが,演出感が少なく楽器の音を大切に扱っているので私としては結構気に入りました。

演奏も録音も良好で,これはなかなか良い全集であったと満足しました。思い切って正解でした。

シューベルト:交響曲第7番「未完成」,第8番「グレート」(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団)

philippe_jordan_wiener_symphoniker_schubert_symphonies_no7_8.jpg
シューベルト:交響曲第7番「未完成」,第8番「グレート」
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
2015年4月11-12日(グレート),2014年11月15-16日(未完成) ウィーン,ムジークフェラインザール
WS009 (P)(C)2015 Wiener Symphoniker (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ベートーヴェンの交響曲第1番,第3番が良かったので,同顔合わせのこのシューベルトもApple Musicで聴いてみました。

この演奏もベートーヴェン同様のダイナミックで引き締まった演奏で期待通り。録音はベートーヴェンに比べると少し残響を控え目ですが同傾向であり,私の好きな録音とは少し違うのですが悪くありません。こういう録音であれば残響があってもストレスなく聴けるので,残響を多めにするならせめてこのように録って欲しいと思いますね。

ベートーヴェンを含め,今後の録音も楽しみにしたいと思います。

蛇足ですが,このディスクではグレートが先で未完成が後に収録されているのですが,グレートを聴いたあとに未完成はちょっと...と思うので,未完成を先に収録して欲しかったと思いました。もっとも自分で曲順を入れ替えて再生すれば良いだけの話だけなのですが。

また,参考サイトでは未完成が第8番,グレートが第9番と紹介されているのですが,ジャケット上では未完成が第7番,グレートが第8番となっていました。世界的に後者のナンバリングが一般的になったということでしょうか。まあどっちでも良いのですが,今は混在しているので副題や調性等を見ないと曲が判別しづらい状況というのはちょっと面倒ですね。

ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団)

philippe_jordan_vso_beethoven_symphonies_no1_3.jpg
ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
2017年2月25,26日 ウィーン,ムジークフェラインザール
WS013 (P)(C)2017 Wiener Symphoniker (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

Apple Musicでの試聴です。ウィーン交響楽団の自主制作レーベルでしょうか(製造販売はSony Music)。フィリップ・ジョルダンのベートーヴェンはパリ・オペラ座管弦楽団との全集(Blu-ray/DVD)がありました。HMV Onlineの解説によるとウィーン交響楽団はベートーヴェンの交響曲全集の録音がないそうで,その穴を埋めるべく録音を開始した第一弾とのことです。

ジョルダン氏のベートーヴェンには前記のパリ・オペラ座管弦楽団との演奏で良い印象だったのですが,このウィーン交響楽団との演奏は,快速で小気味よい引き締まった演奏を維持しつつ,オーケストラのパワー感をもう少し前面に出し伝統的な演奏との折衷的な解を見いだそうとしているようにも思います。そしてそれが上手くいっているように思います。ウィーン交響楽団も指揮者の要求に的確に応じています。編成の大きなオーケストラでこの機動性の発揮された演奏は見事です。

録音ですが,かなり残響は多めに取り入れられているのですが,それが各々の楽器の音色にあまり影響せず,明瞭感,音色の自然さ,ヌケの良さと残響による豊潤な音響とがバランス良く成り立っているという印象です。このような録音は私の好きな録音とは方向性が違いますが,そんな私でもストレスなく聴くことが出来ました。積極的に支持はしませんが(^^;,良いと思います。

全集の完成が楽しみです。

ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(モザイク四重奏団)

quatuor_mosaiques_beethoven_late_string_quartets.jpg
ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
モザイク四重奏団 Quatuor Mosaïques
2014年~2016年
V5445 (P)2016 Naïve (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

モザイク四重奏団のベートーヴェンとあらば聴かないわけにはいきません。注文しているのですが,注文先で発売延期になってしまい,待ちきれずにApple Musicで試聴しました。(なおAmazon.co.jpではすでに在庫があります)

モザイク四重奏団は10年ほど前に初期弦楽四重奏曲を分売で発売していましたが,それから長い期間が空いたのでもうベートーヴェンは録音しないのかと思っていたところでこのリリースは大変うれしいです。ピリオド楽器での演奏ですが,あまりそれが意識されませんし,そして彼らが弾く後期弦楽四重奏曲集は全く突き詰めたような厳しさがなく良い意味でユルく明るく楽しいのです。彼らならではの清々しい演奏ですね。

そして録音がまた良いのです。残響はあるものの控え目で付帯音が少なくすっきりしており,直接音主体に明瞭で自然でヌケの良い音色が気持ち良いです。残響があってもこういう素直ですっきりした仕上げにしてもらうと音楽に集中出来るんですけどね。何も特別なことはせずともそれぞれの楽器の音色を大切に扱って録音すればこういう素直で良い録音になると思うのです。

これは発売が楽しみです。

なお,HMV Onlineなどの解説では,第13番作品130と大フーガ作品133について,大フーガを終楽章に据えるのではなく,別の作品として単独で演奏しているように書かれていますが,少なくともApple Musicでは第13番の第6楽章が収録されておらず,第5楽章のあとに大フーガが置かれています。私としても大フーガは別に単独で演奏される方がどちらかといえば好きなので,この収録の仕方は残念です。Apple Musicだけがこうであって,ディスクには第6楽章が収録されていることを期待したいのですが...まあ収録されているとは思えないですけどね...

バッハ:音楽の捧げもの,14のカノン,他(鈴木雅明,バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバー)

masaaki_suzuki_bach_musikalisches_opfer.jpg
バッハ:音楽の捧げもの BWV 1079
バッハ:アリア~ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
バッハ:14のカノン(ゴルトベルク変奏曲の主題に基づく) BWV 1087
バッハ:フルート,ヴァイオリン,通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV 1038
鈴木雅明(cemb),菅きよみ(fl),寺神戸亮(vn),山口幸恵(vn,va),エマニュエル・バルサ(vc)
2016年8月 オランダ,ハーグ,旧カトリック教会
BISSA2151 (P)2017 BIS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

バッハの音楽の捧げものは曲調が渋く,また聴きどころが今ひとつ掴めていないためあまり聴かない曲なのですが,寺神戸さん等が演奏されているということで聴いてみたくなり,まずはApple Musicで聴いてみました(こういうときにApple Musicは有り難い)。ということで,今回は録音についてのみコメントします(スミマセン(^^;)。

教会での録音ということで,教会内で響く残響はやや多めに取り入れられているものの,直接音もそこそこしっかりと捉えられているため,楽器の質感も十分に伝わってきますので印象は悪くありません。各楽器の音像がやや近めに感じられ,楽器が重なってしまうため多少音像の大きさと位置に違和感がありますが,明瞭感はあるのでそれほど気になりません。私の好きなタイプの録音ではありませんが,楽器の音がリアルであるという点を評価して四つ星半です。

BISの録音はあまり好きでないのが多いのですが,これはまずまずでした。

モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集(ライプツィヒ弦楽四重奏団)

leipziger_streichquartett_mozart_early_string_quartets_vol3.jpg
モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.3
収録曲: KV 158, 160, 172, 171
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
10.04.-12.04.2017 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 2044-2 (P)(C)2017 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

待望のVol.3が発売されましたので追記します。これで初期弦楽四重奏曲集が完成しました。弦楽四重奏曲全集としても完結しましたね。基本的に演奏・録音ともにVol.1, 2と変わりません。この素晴らしい作品をゆっくりと楽しみたいと思います。



leipziger_streichquartett_mozart_early_string_quartets_vol1.jpg
モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.1
収録曲: KV 80, 155, 159, 169, 170
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
20.06.-22.06.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1975-2 (P)(C)2016 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

leipziger_streichquartett_mozart_early_string_quartets_vol2.jpg
モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.2
収録曲: KV 156, 157, 168, 173
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
21.11.-23.11.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1976-2 (P)(C)2017 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

モーツァルトの初期の弦楽四重奏曲から9曲です。まだ4曲ありますのでVol.3が近いうちに出ると思いますが,とりあえずこの2枚のレビューです。ライプツィヒ弦楽四重奏団のモーツァルトはハイドン四重奏曲とプロシア王四重奏曲はすでに発売されています。ホフマイスターは第14番~第23番まで収録したセットには収録されているようでした(これは1枚ずつ買い揃えてきた者としては少々腹立たしいですが)。初期のVol.3がリリースされれば全集が完結すると思います。

この四重奏団は結成からの歴史も長く,常に安定したスタンダード路線の高水準の演奏を聴かせてくれていますが,この演奏も同じ路線であり,個性を主張するようなところはなく,曲そのものの魅力を誠実に,そしてサラッと爽やかに表現して聴かせてくれます。長く付き合えそうな演奏で私は好きですね。

そしてこの録音がまた良いのです。残響感はそれなりにあり音場感もありますが,直接音が主であり,クリアで透明感のある音色が堪能できます。過去リリースされてきたモーツァルトのディスクよりも一段良くなっています。室内楽の録音として標準的な印象であり,その中で上手くまとめた好録音だと思います。

Vol.3のリリースが楽しみです。

(記2017/06/25)

モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570(マリア・ジョアン・ピリス)

maria_joao_pires_mozart_piano_sonatas_k331_310_545_570.jpg
モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires (Piano)
1974年1月~2月 東京,イイノ・ホール
COCQ-85349 (P)2017 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

1974年に日本で録音されたモーツァルトのピアノ・ソナタ全集から4曲をセレクトされています。およそ15年後に録音された2回目の全集と比べるとずいぶんと素直でストレートであり,これはこれで若い時代のピリスの魅力に溢れています。また,これを聴くと,2回目の録音がいかに音楽的に進化を遂げているかがわかるという点でなかなか興味深いなぁと思いながら聴き入ってしまいました。

録音ですが,ホールで録音されていますが,ホールトーンは控え目であり,直接音を主体に比較的近い距離のイメージで親近感のある録り方をしています。ピアノ以外の余計な響きがほとんど感じられない点に好感を持ちます。こういう録り方をするならもう少し思い切って生々しさを出して欲しかったと思いますが,これでもまずまず良好と思います。2回目の全集と比べると,こちらの方が私の好みには合うかなと思います。

なお本ディスクですが,「このCDは,COCO-73105の原盤による再発売商品です。」と記載されていますが,UHQCD(Ultimate Hi Quarity CD)仕様で製造されているとのことです。

ベートーヴェン:交響曲全集(ブルーノ・ヴァイル指揮/ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ)

bruno_weil_tafelmusik_bo_beethoven_symphonies.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集
ブルーノ・ヴァイル指揮/ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
録音 2004~2016年
好録音度:★★★★~★★★★☆
ANALEKTA TMK 1034CD (P)(C)2017 Tafelmusik Media (輸入盤)
参考: Amazon.co.jpApple Music

2004年から2016年という完成までに長い時間がかかった全集。第1番・第2番が2013年,第3番・第4番が2012年,第5番・第6番が2004年,第7番・第8番が2008年,第9番が2016年です。録音はカナダで行われており,会場は第5番~第8番がGeorge Weston Recital Hall, Toronto Centre for the Arts(以上[A] Analekta),それ以外がKoerner Hall, TELUS Centre for Performance and Learning(以上[B] Tafelmusik Media)で,録音会場毎にスタッフが異なります。

録音から先に述べますと,[A][B]とも大まかには似ているので全集としての統一感を阻害するほどの差はありませんが,それでも少し傾向が異なります。[A]はやや残響を多く取り込み,響きを重視した録音ですが,[B]はもう少し直接音が主体となって個々の楽器の明瞭感,分離感が向上していますし,音の伸びもあります。いずれもライヴ録音で特に[B]はライヴとしては良好な部類に入ると思います。ただ,どちらもホールの響きを活かす方向での録音のため,音色が少し犠牲になっているのは否めません。もう少し生々しく録って欲しかったところです。

バロックオーケストラで編成も室内管弦楽団程度なのですが,けっこう大きなスケール感で鳴っており,音色は中規模のそれなのに,サウンド自体は大編成かと思うほどなので,そのギャップがややアンバランスな印象をもたらします。せっかくのバロックオーケストラの特徴を活かした録音になっていないような気がします。もう少し響きを絞り,すっきりと締まった見通しの良い録音であればもっとこの演奏が生きてくると思うのですが。

演奏自体はバロック楽器であるという以外はノーマルな印象です。オーケストラもキレがありアンサンブルも良く技量に全く問題はありません。推進感のある快活で躍動的な演奏はなかなか良いと思いました。

シューベルト:弦楽四重奏曲集第12番「四重奏断章」,第13番「ロザムンデ」,第14番「死と乙女」,第15番(メロス四重奏団)

melos_quartet_schubert_string_quartets_tower_records.jpg
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番D804「ロザムンデ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番D810「死と乙女」
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番D703「四重奏断章」
シューベルト:弦楽四重奏曲第15番D887,弦楽四重奏曲断章D103
メロス四重奏団 Melos Quartet
1974/12,1975/2 シュトゥットガルト,リーダーハレ,モーツァルトザール
PROC-2096/7 (P)(C)2017 Universal Music (国内盤)
※Tower Records Vintage Collection +plus メロス弦楽四重奏団の芸術より
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower Records

〈タワレコ限定〉VINTAGE COLLECTION+plus特別編 メロス弦楽四重奏団の芸術から。

メロス四重奏団はドイブ・グラモフォンで1971-75年に全集を完成させていました(下記ディスク)。タワーレコードの復刻はその中から有名な後期の作品をセレクトしています。このシリーズの他のディスク同様,この時期の録音の復刻はアナログ・マスターに遡ってマスタリングされていますね。下記の全集に比べて概ね鮮明さが増していることが確認できました。

元々の録音は曲によって多少のばらつきが感じられ,特に「死と乙女」はマスターテープの劣化なのか,少しギスギスとしていて音色がキツい感じがしますが,その他の曲はモーツァルトの後期弦楽四重奏曲集と同様,概ねこの時期の良好な録音の部類に入りますね。

それにしてもこのの気合い,集中力は尋常じゃないです。特に第14番「死と乙女」と第15番。正統路線を突き詰めるとこんな演奏になるんですね。

melos_quartet_schubert_complete_string_quartets.jpg
シューベルト:弦楽四重奏曲全集
メロス四重奏団 Melos Quartet
1971-1975年録音 Stuttgart, Liederhalle, Mozartsaal
463 151-2 (P)1973, 1975 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ポーツ・オブ・コール(アラスデア・フレイザー fiddle/ナタリー・ハース cello)

alasdair_fraser_natalie_haas_ports_of_call.jpg
ポーツ・オブ・コール PORTS OF CALL
アラスデア・フレイザー Alasdair Fraser (Fiddle)
ナタリー・ハース Natalie Haas (Cello)
CUL125D (P)(C)2017 Culburnie Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

スコティッシュ・フィドラーのアラスデア・フレイザーとチェリストのナタリー・ハースのデュオ。おそらく5枚目のアルバム。今までの4枚もすべて取り上げてきました(→1枚目2枚目3枚目4枚目)。最初のアルバムが2004年なので,もう13年以上も続いているのですね。

一つ前のアルバムが少しポップな仕上がりになっていたのに対し,今回はデュオ中心にトラッドの香りの強い本来の姿に戻ったのではないかと思います。じっくり聴かせる曲が多いように思います。好きですね~こういうの。甘美な旋律を奏でるフィドルとキレの良いリズムを刻むチェロ,たまりませんなぁ。クラシック演奏家に比べると腕前はたかが知れていますが,そんなことはこの楽しい音楽の前ではほんとどうでも良くなります。

こういう音楽で録音云々はあまり意味がないようにも思いますが,スタジオ録音なので当然ながら邪魔になる残響や,響きによる音色の曇りはなく,楽器音をストレートに堪能できます。ちょっと人工的な響きは付け加えられているようですが問題ありません(もちろんない方が良いのですが)。クラシックと同じ生楽器なのになんでこうも違うんでしょうね。

alasdair_fraser_natalie_haas_ports_of_call_pic2.jpg


最後に,収録曲ではありませんが,最近のYouTube動画から演奏を紹介します。

R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」,「死と浄化」(ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団)

kent_nagano_gso_r_strauss_ein_heldenleben.jpg
R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40
R. シュトラウス:交響詩「死と浄化」作品24
ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団
2016年2月15-20日,2016年6月9-11日
B108092 FARAO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

先日取り上げたケント・ナガノ指揮によるアルプス交響曲に続く第二弾。メディアの発売はまだですが一足先にApple Musicで聴いてみました。

録音はアルプス交響曲同様で,音色を損なう邪魔になる残響はほとんど感じられず,各楽器が明瞭に分離良く聴こえますし,中低域のタイトな響きも良いと思います。ちょっと詰まった感じがあるのでもう少し音に伸びがあればと思うのですが,ほんのわずかなことで,十分好録音ですね。

発売が楽しみです。

モーツァルト:後期弦楽四重奏曲集(メロス四重奏団)

melos_quartet_mozart_die_spaten_streichquartette.jpg
モーツァルト:後期弦楽四重奏曲集
メロス四重奏団 Melos Quartet
1976年-1983年 シュトゥットガルト,リーダーハレ,モーツァルトザール
PROC-2092/5 (P)(C)2017 Universal Music (国内盤)
※Tower Records Vintage Collection +plus メロス弦楽四重奏団の芸術より
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower Records

〈タワレコ限定〉VINTAGE COLLECTION+plus特別編 メロス弦楽四重奏団の芸術から。メロス四重奏団のモーツァルトはドイツ・グラモフォン盤を所有していて以前レビューしています(→モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」,「プロシア王」,弦楽五重奏曲集(メロス四重奏団))。演奏はど真ん中の直球だし,録音も一部を除いて大変良かったので愛聴盤にしているのですが,プロシア王の一枚が経年劣化のためか,正常に再生できず残念な思いをしていました(→CDの経年劣化?)。なので,このタワーレコードの企画盤での復刻は大変うれしく,発売を心待ちにしておりました。ホフマイスターとプロシア王は国内盤初発売のようです。一部の曲を除いてオリジナル・アナログ・マスターからのハイビット・ハイサンプリングによる復刻とのことで,音質改善も期待して入手しました。

さてその音質なのですが,曲によって多少の差はありますが,音圧レベルは同等,旧盤の方がやや音色は明るく派手めですがややざらつきを感じます。一方今回のリマスター音源は音色は地味になったものの,ざらつきがなくなり滑らかで上質になっておりました。一瞬艶やかさが薄れるような感じがするのであれっ?と思うのですが,やはりリマスター音源の方が緻密であり,よりクリアで透明感があって好ましく感じられました。ただ,よりオリジナルに近いのは後者であるのは間違いないと思うものの,こういう差だと好みにより評価が変わるかもしれないですね。

なお通常だとハイドンセットで3枚,ホフマイスターとプロシア王で2枚ということになると思いますが,今回のセットではホフマイスターがハイドンセットの1枚に曲順を変えて無理矢理押し込められ(82分のディスク!),プロシア王3曲が1枚に収められて,4枚組となっています。

R. シュトラウス:アルプス交響曲(ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団)

kent_nagano_goteborges_so_r_strauss_eine_alpensinfonie.jpg
R. シュトラウス:アルプス交響曲
ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団
2014年11月 エーテボリ・コンサート・ホール
B108091 FARAO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2014年から同楽団の首席指揮者を務めているケント・ナガノ指揮によるR. シュトラウスの第一弾。第二弾はこの11月に「英雄の生涯」,「死と浄化」,第三弾は来年秋に「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」,「家庭交響曲」が予定されているとのことです。

このディスクは特に録音が気に入りました。残響を抑え,直接音主体に各楽器を分離良く明瞭に捉えていますし,中低域のタイトで締まった響きも良いと思います。R. シュトラウスの音楽を大きなスケールで克明に聴かせてくれる好録音です。

ツァラトゥストラが予定に入っていないのが個人的には残念。

シューマン:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)※映像作品

paavo_jarvi_deutsche_kammerphilharmonie_bremen_schumann_symphonies_dvd.jpg
シューマン:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2012年 ブレーメン,ピール2
711908 (C)(P)2012 C Major (輸入盤) ※DVD
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

HMV Onlineの解説によると,この映像作品の収録会場ピール2は,ブレーメン港にあるかつて造船所であった建物で,現在はロックコンサートなどが行われるイベントスペースで,ロックやポップス,ミュージックビデオで育った人々を感動させるドキュメンタリーを制作することを目的としたとのことです。

映像作品としてはテレビ番組でのスタジオライヴ的な撮り方で,一般的なクラシックのコンサートビデオとは趣がかなり異なります。カメラもアームで大きく移動させながら撮影するなど,その目的に合わせた撮り方をされているようです。凝ってはいますが,個人的にはちょっと落ち着いて鑑賞できないのであまり良いとは思いませんでした。

一方録音に関しては,邪魔になる残響がほとんどなく,直接音主体に明瞭感に優れ力強く締まっていて,そして,演出感のない極めて自然で生の質感を大切にした録音に好感が持てました。ライヴの録り方としてはかなり好みです。しかし一方でオーディオ的なクオリティはあまり良くなく,特にバックグラウンドのノイズのレベルが相当高く,弱音部ではブーンというハムノイズにも似たノイズが気になります。これはクラシックコンサートの会場でない以上仕方がないかもしれませんが,もう少し配慮が欲しかったところです。録り方が良いだけに惜しいと思います。

演奏は中規模の室内管弦楽団の機動力を活かしキビキビとしていると同時に,ダイナミックで躍動感があり,また,技術的にも申し分なく,心躍る素晴らしい出来だと思います。同時期に録音されたセッション録音よりも,録音含めたトータルとしてはこちらの方が好きかもしれません。

こういうのをセッション録音でキチッと録って欲しいものです。

paavo_jarvi_schumann_at_pier2.jpg

なお,このボックスセットにはドキュメンタリーのディスクも同梱されていました(未視聴です)。なお,私が入手したのはDVDですが,Blu-rayディスクもありました。

Biber: Sonatas Appropriate To The Altar Or The Court (Sonatae Tam Aris Quam Aulis Servientes)

purcell_quartet_sonatae_tam_aris_quam_aulis_servientes.jpg
Biber: Sonatas Appropriate To The Altar Or The Court (Sonatae Tam Aris Quam Aulis Servientes)
パーセル・カルテット Purcell Quartet
好録音度:★★★★☆
参考: Apple Music

Apple Musicで偶然見つけたアルバム。弦楽器数本とオルガン,トランペット2本の室内アンサンブル。今ではあまり一般的ではない編成ですが,バロックの時代には普通にあったのですかね。違和感がありません。これがどういう音楽なのか全く知らないのですが(^^;,気持ちの良い清々しいバロック音楽にただただ聴き入ってしまいました。ご興味があればぜひ聴いてみてください。

録音もまずまずで,適度な響きが心地よい空間を作っています。そして楽器音を邪魔せず,綺麗で透明感のある響きを形作っています。個人的にはもう少し楽器の質感が強めでも良いかなと思いますが,これはこれで趣があって悪くありません。