ベートーヴェン:交響曲全集(ブルーノ・ヴァイル指揮/ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ブルーノ・ヴァイル指揮/ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
録音 2004~2016年
好録音度:★★★★~★★★★☆
ANALEKTA TMK 1034CD (P)(C)2017 Tafelmusik Media (輸入盤)
参考: Amazon.co.jpApple Music

2004年から2016年という完成までに長い時間がかかった全集。第1番・第2番が2013年,第3番・第4番が2012年,第5番・第6番が2004年,第7番・第8番が2008年,第9番が2016年です。録音はカナダで行われており,会場は第5番~第8番がGeorge Weston Recital Hall, Toronto Centre for the Arts(以上[A] Analekta),それ以外がKoerner Hall, TELUS Centre for Performance and Learning(以上[B] Tafelmusik Media)で,録音会場毎にスタッフが異なります。

録音から先に述べますと,[A][B]とも大まかには似ているので全集としての統一感を阻害するほどの差はありませんが,それでも少し傾向が異なります。[A]はやや残響を多く取り込み,響きを重視した録音ですが,[B]はもう少し直接音が主体となって個々の楽器の明瞭感,分離感が向上していますし,音の伸びもあります。いずれもライヴ録音で特に[B]はライヴとしては良好な部類に入ると思います。ただ,どちらもホールの響きを活かす方向での録音のため,音色が少し犠牲になっているのは否めません。もう少し生々しく録って欲しかったところです。

バロックオーケストラで編成も室内管弦楽団程度なのですが,けっこう大きなスケール感で鳴っており,音色は中規模のそれなのに,サウンド自体は大編成かと思うほどなので,そのギャップがややアンバランスな印象をもたらします。せっかくのバロックオーケストラの特徴を活かした録音になっていないような気がします。もう少し響きを絞り,すっきりと締まった見通しの良い録音であればもっとこの演奏が生きてくると思うのですが。

演奏自体はバロック楽器であるという以外はノーマルな印象です。オーケストラもキレがありアンサンブルも良く技量に全く問題はありません。推進感のある快活で躍動的な演奏はなかなか良いと思いました。

シューベルト:弦楽四重奏曲集第12番「四重奏断章」,第13番「ロザムンデ」,第14番「死と乙女」,第15番(メロス四重奏団)

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シューベルト:弦楽四重奏曲第13番D804「ロザムンデ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番D810「死と乙女」
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番D703「四重奏断章」
シューベルト:弦楽四重奏曲第15番D887,弦楽四重奏曲断章D103
メロス四重奏団 Melos Quartet
1974/12,1975/2 シュトゥットガルト,リーダーハレ,モーツァルトザール
PROC-2096/7 (P)(C)2017 Universal Music (国内盤)
※Tower Records Vintage Collection +plus メロス弦楽四重奏団の芸術より
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower Records

〈タワレコ限定〉VINTAGE COLLECTION+plus特別編 メロス弦楽四重奏団の芸術から。

メロス四重奏団はドイブ・グラモフォンで1971-75年に全集を完成させていました(下記ディスク)。タワーレコードの復刻はその中から有名な後期の作品をセレクトしています。このシリーズの他のディスク同様,この時期の録音の復刻はアナログ・マスターに遡ってマスタリングされていますね。下記の全集に比べて概ね鮮明さが増していることが確認できました。

元々の録音は曲によって多少のばらつきが感じられ,特に「死と乙女」はマスターテープの劣化なのか,少しギスギスとしていて音色がキツい感じがしますが,その他の曲はモーツァルトの後期弦楽四重奏曲集と同様,概ねこの時期の良好な録音の部類に入りますね。

それにしてもこのの気合い,集中力は尋常じゃないです。特に第14番「死と乙女」と第15番。正統路線を突き詰めるとこんな演奏になるんですね。

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シューベルト:弦楽四重奏曲全集
メロス四重奏団 Melos Quartet
1971-1975年録音 Stuttgart, Liederhalle, Mozartsaal
463 151-2 (P)1973, 1975 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ポーツ・オブ・コール(アラスデア・フレイザー fiddle/ナタリー・ハース cello)

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ポーツ・オブ・コール PORTS OF CALL
アラスデア・フレイザー Alasdair Fraser (Fiddle)
ナタリー・ハース Natalie Haas (Cello)
CUL125D (P)(C)2017 Culburnie Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

スコティッシュ・フィドラーのアラスデア・フレイザーとチェリストのナタリー・ハースのデュオ。おそらく5枚目のアルバム。今までの4枚もすべて取り上げてきました(→1枚目2枚目3枚目4枚目)。最初のアルバムが2004年なので,もう13年以上も続いているのですね。

一つ前のアルバムが少しポップな仕上がりになっていたのに対し,今回はデュオ中心にトラッドの香りの強い本来の姿に戻ったのではないかと思います。じっくり聴かせる曲が多いように思います。好きですね~こういうの。甘美な旋律を奏でるフィドルとキレの良いリズムを刻むチェロ,たまりませんなぁ。クラシック演奏家に比べると腕前はたかが知れていますが,そんなことはこの楽しい音楽の前ではほんとどうでも良くなります。

こういう音楽で録音云々はあまり意味がないようにも思いますが,スタジオ録音なので当然ながら邪魔になる残響や,響きによる音色の曇りはなく,楽器音をストレートに堪能できます。ちょっと人工的な響きは付け加えられているようですが問題ありません(もちろんない方が良いのですが)。クラシックと同じ生楽器なのになんでこうも違うんでしょうね。

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最後に,収録曲ではありませんが,最近のYouTube動画から演奏を紹介します。

R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」,「死と浄化」(ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40
R. シュトラウス:交響詩「死と浄化」作品24
ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団
2016年2月15-20日,2016年6月9-11日
B108092 FARAO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

先日取り上げたケント・ナガノ指揮によるアルプス交響曲に続く第二弾。メディアの発売はまだですが一足先にApple Musicで聴いてみました。

録音はアルプス交響曲同様で,音色を損なう邪魔になる残響はほとんど感じられず,各楽器が明瞭に分離良く聴こえますし,中低域のタイトな響きも良いと思います。ちょっと詰まった感じがあるのでもう少し音に伸びがあればと思うのですが,ほんのわずかなことで,十分好録音ですね。

発売が楽しみです。

モーツァルト:後期弦楽四重奏曲集(メロス四重奏団)

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モーツァルト:後期弦楽四重奏曲集
メロス四重奏団 Melos Quartet
1976年-1983年 シュトゥットガルト,リーダーハレ,モーツァルトザール
PROC-2092/5 (P)(C)2017 Universal Music (国内盤)
※Tower Records Vintage Collection +plus メロス弦楽四重奏団の芸術より
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower Records

〈タワレコ限定〉VINTAGE COLLECTION+plus特別編 メロス弦楽四重奏団の芸術から。メロス四重奏団のモーツァルトはドイツ・グラモフォン盤を所有していて以前レビューしています(→モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」,「プロシア王」,弦楽五重奏曲集(メロス四重奏団))。演奏はど真ん中の直球だし,録音も一部を除いて大変良かったので愛聴盤にしているのですが,プロシア王の一枚が経年劣化のためか,正常に再生できず残念な思いをしていました(→CDの経年劣化?)。なので,このタワーレコードの企画盤での復刻は大変うれしく,発売を心待ちにしておりました。ホフマイスターとプロシア王は国内盤初発売のようです。一部の曲を除いてオリジナル・アナログ・マスターからのハイビット・ハイサンプリングによる復刻とのことで,音質改善も期待して入手しました。

さてその音質なのですが,曲によって多少の差はありますが,音圧レベルは同等,旧盤の方がやや音色は明るく派手めですがややざらつきを感じます。一方今回のリマスター音源は音色は地味になったものの,ざらつきがなくなり滑らかで上質になっておりました。一瞬艶やかさが薄れるような感じがするのであれっ?と思うのですが,やはりリマスター音源の方が緻密であり,よりクリアで透明感があって好ましく感じられました。ただ,よりオリジナルに近いのは後者であるのは間違いないと思うものの,こういう差だと好みにより評価が変わるかもしれないですね。

なお通常だとハイドンセットで3枚,ホフマイスターとプロシア王で2枚ということになると思いますが,今回のセットではホフマイスターがハイドンセットの1枚に曲順を変えて無理矢理押し込められ(82分のディスク!),プロシア王3曲が1枚に収められて,4枚組となっています。

R. シュトラウス:アルプス交響曲(ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団)

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R. シュトラウス:アルプス交響曲
ケント・ナガノ指揮/エーテボリ交響楽団
2014年11月 エーテボリ・コンサート・ホール
B108091 FARAO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2014年から同楽団の首席指揮者を務めているケント・ナガノ指揮によるR. シュトラウスの第一弾。第二弾はこの11月に「英雄の生涯」,「死と浄化」,第三弾は来年秋に「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」,「家庭交響曲」が予定されているとのことです。

このディスクは特に録音が気に入りました。残響を抑え,直接音主体に各楽器を分離良く明瞭に捉えていますし,中低域のタイトで締まった響きも良いと思います。R. シュトラウスの音楽を大きなスケールで克明に聴かせてくれる好録音です。

ツァラトゥストラが予定に入っていないのが個人的には残念。

シューマン:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)※映像作品

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シューマン:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2012年 ブレーメン,ピール2
711908 (C)(P)2012 C Major (輸入盤) ※DVD
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

HMV Onlineの解説によると,この映像作品の収録会場ピール2は,ブレーメン港にあるかつて造船所であった建物で,現在はロックコンサートなどが行われるイベントスペースで,ロックやポップス,ミュージックビデオで育った人々を感動させるドキュメンタリーを制作することを目的としたとのことです。

映像作品としてはテレビ番組でのスタジオライヴ的な撮り方で,一般的なクラシックのコンサートビデオとは趣がかなり異なります。カメラもアームで大きく移動させながら撮影するなど,その目的に合わせた撮り方をされているようです。凝ってはいますが,個人的にはちょっと落ち着いて鑑賞できないのであまり良いとは思いませんでした。

一方録音に関しては,邪魔になる残響がほとんどなく,直接音主体に明瞭感に優れ力強く締まっていて,そして,演出感のない極めて自然で生の質感を大切にした録音に好感が持てました。ライヴの録り方としてはかなり好みです。しかし一方でオーディオ的なクオリティはあまり良くなく,特にバックグラウンドのノイズのレベルが相当高く,弱音部ではブーンというハムノイズにも似たノイズが気になります。これはクラシックコンサートの会場でない以上仕方がないかもしれませんが,もう少し配慮が欲しかったところです。録り方が良いだけに惜しいと思います。

演奏は中規模の室内管弦楽団の機動力を活かしキビキビとしていると同時に,ダイナミックで躍動感があり,また,技術的にも申し分なく,心躍る素晴らしい出来だと思います。同時期に録音されたセッション録音よりも,録音含めたトータルとしてはこちらの方が好きかもしれません。

こういうのをセッション録音でキチッと録って欲しいものです。

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なお,このボックスセットにはドキュメンタリーのディスクも同梱されていました(未視聴です)。なお,私が入手したのはDVDですが,Blu-rayディスクもありました。

Biber: Sonatas Appropriate To The Altar Or The Court (Sonatae Tam Aris Quam Aulis Servientes)

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Biber: Sonatas Appropriate To The Altar Or The Court (Sonatae Tam Aris Quam Aulis Servientes)
パーセル・カルテット Purcell Quartet
好録音度:★★★★☆
参考: Apple Music

Apple Musicで偶然見つけたアルバム。弦楽器数本とオルガン,トランペット2本の室内アンサンブル。今ではあまり一般的ではない編成ですが,バロックの時代には普通にあったのですかね。違和感がありません。これがどういう音楽なのか全く知らないのですが(^^;,気持ちの良い清々しいバロック音楽にただただ聴き入ってしまいました。ご興味があればぜひ聴いてみてください。

録音もまずまずで,適度な響きが心地よい空間を作っています。そして楽器音を邪魔せず,綺麗で透明感のある響きを形作っています。個人的にはもう少し楽器の質感が強めでも良いかなと思いますが,これはこれで趣があって悪くありません。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(テディ・パパヴラミ(Vn)/フランソワ=フレデリック・ギィ(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
テディ・パパヴラミ Tedi Papavrami (Violin)
フランソワ=フレデリック・ギィ François-Frédéric Guy (Piano)
2016年11月22-26日, 2017年3月1-5日
Evidence EVCD037 (P)(C)2017 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

同レーベルでピアニストが同じベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集が演奏も録音も良かったので,これも期待できるのでは,と思い,Apple Musicで試聴してみました。

パパヴラミのヴァイオリンは少し音色に粗さというかトゲがあるものの,弓さばきは実に見事で緩急強弱が自在,隅々までコントロールが行き届いていて多彩な表情を見せるところがなかなかのものだと思いました。推進力のある曲運びも良いと思います。音色に透明感があればなぁ...惜しい!

そして録音なのですが,3枚組のうち,第1番から第7番までを収めた2枚は少しオフマイク気味で録音会場の響きが被って音色がくすみがちです。3枚目は響きが抑えられ音色のくすみはだいぶなくなり直接音比率が上がってクリアに聴こえます。1,2枚目もこの録音だったら良かったのに,と少し残念に思います。

まあベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集の出来には及ばずちょっと辛口になってしまいましたが,高水準の出来映えであることには違いないと思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アンティエ・ヴァイトハース)

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[Vol. 1]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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[Vol. 2]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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[Vol. 3]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第1番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第4番,第6番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553381 (P)(C)2017 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,力強くキレがあり,速めのテンポを基調に緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 なおVol. 1はやや残響が多めでVol. 2, Vol. 3に比べると少し落ちます。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 Vol. 3でバッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作が完結しましたので,以前の感想と併せて再編しました。

ブラームス:交響曲全集(ジョージ・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ジョージ・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団
1964年10月~1967年1月 クリーヴランド,セヴェランス・ホール
SICC 10240-3 (P)(C)2017 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

新リマスタリングによるSA-CDハイブリッド盤。音匠レーベル仕様。日本独自企画。交響曲の他に,ハイドンの主題による変奏曲,大学祝典序曲,悲劇的序曲が収録されているほか,特別収録として1957年のステレオ録音による交響曲第1番が収録されています。タワーレコード×Sony Classicalの企画盤のようですが,タワーレコード以外でも取り扱いがあります。

この企画の復刻は,これの前にベートーヴェンの交響曲全集が出ていて良好な音質で復刻されていました。このブラームスの交響曲全集も音質が期待できたのですが,あまりに高いので躊躇してしまいしばらく我慢していたのですが,結局入手してしまいました(^^;。

この全集は以前CD化されたものを持っていたので聴き比べて見たところ,音の鮮度,ヌケが明らかに一段改善し,中低域の厚み,密度感も向上し,ベートーヴェンの交響曲全集同様,この名盤が最良の音質で復刻されたと言えるのではないかと思います。

確かベートーヴェンもそうだったのですが「完全生産限定盤」となっていて継続的に販売されないようです。せっかくのリマスタリング音源を眠らせるのももったいないと思います。現役盤として再発売出来ないものですかね? 配信であれば継続可能だと思うのですが。

シューベルト:交響曲第5番,ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲,他(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

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シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
シューベルト:ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調 D.345
シューベルト:ヴァイオリンと弦楽合奏のためのロンドイ長調 D.438
シューベルト:ポロネーズ変ロ長調 D.580
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/1/22-24 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32794 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリーのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集に続いて,同じ演奏者によるシューベルトです。ヴァイオリン独奏の曲は聴いたことのない曲ばかりです。いずれも屈託のない明るさがまるでパガニーニを聴いているようで楽しいです。ヴァイオリニストの個性にも合っていますね。まあ全体にちょっと粗削りのところはあります。

録音も前エントリーのモーツァルトとほぼ同じです。若干残響があり,ソロにも少し被りが感じられますが,楽器の音色はそれほど損なわれておらず響きの美しさを保っています。張りのある力強い録音で良いと思います。やはり少し誇張から不自然さが出てしまうものの,プラス面の方が多いと思います。フンガロトンらしい好録音ですね。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/9/17-19,2017/2/3-6 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32761 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。ピリオド楽器による演奏で,ハイドンのヴァイオリン協奏曲が録音が良かったので,これも期待して聴きました。演奏はやはり同じように素直で実直で素朴な魅力がある佳演です。なお,この演奏に名手の技量を要求してはいけません(^^;。このあたたかな雰囲気を楽しみたいものです。

それで肝心の録音なのですが,傾向的には前述のハイドンと同じで,ソロはわずかな響きを伴っているものの,きちっとフォーカスされ,明瞭に聴くことができます。オーケストラも同様に残響を抑えた明瞭感のある録音なのですが,少し音色のバランスは崩れているように思います。この点が惜しいです。また,やや誇張された録音のため自然さには欠けますが,私としては十分に許せます。

録音が良いと音楽が活き活きと伝わってきて楽しさが倍増しますね。

メンデルスゾーン:交響曲全集(ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団)

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メンデルスゾーン:交響曲全集
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
Paris, Philharmonie, Grande salle Pierre Boulez, 20, 21 & 22 February 2016
00280 479 7337 (P)(C)2017 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

前エントリのシューマンの交響曲全集に続いてネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団という同じ顔合わせのメンデルスゾーンの交響曲全集です。こちらも同様に小気味の良い,精度の高いアンサンブルで,胸のすく音楽が展開されていきます。メンデルスゾーンの交響曲はごちゃごちゃとせわしない印象を持っているのですが,その音楽を極めて明快に整理した形で聴かせてくれるこの演奏は秀逸で,この団体ならではの特徴を存分に活かしていると思います。

録音ですが,残響は少し多めですが,あまり楽器音に被っているという感じはなく,音色と音のキレを損なわない程度に抑えられているので悪い印象ではありません。もう少し各楽器の質感が強めで分離感がある方が好きなのですが,それでもまずまずの好録音だと思います。

この顔合わせでもっといろいろな交響曲のリリースをしてくれることを期待します。

シューマン:交響曲全集(ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
Paris,the Cite de la Musique, November 2012
00280 479 2437 (P)(C)2014 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

中規模の編成によるシューマンの交響曲も珍しくなくなってきましたが,シューマンはこれぐらいの編成がちょうど良いと思う私にとってヨーロッパ室内管弦楽団はうってつけの団体です。そしてこの演奏はその期待を裏切りません。速めのテンポでキレのよい超軽量級の演奏です。ライヴですが演奏の精度も良くこのあたりはさすがです。

一方この演奏からはシューマンの一種独特な病的薄気味悪さはすべて排除されていると言って良いほどに軽く明るく躍動的で,私はこういうのが好きなのですが,シューマンらしさという点では賛否があるかもしれません。

そして録音なのですが,多少の残響はあり,中域に癖のある響きがのって少々うるさく感じられるところはありますが,サウンドにキレもありますし見通しも良好です。不満はゼロではありませんが,この団体の機動力を活かす好録音だと思います。

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲,フィンガルの洞窟,交響曲第5番「宗教改革」(イザベル・ファウストVn/パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ)

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メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)」作品26
メンデルスゾーン:交響曲第5番ニ短調作品107「宗教改革」
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ
2017年3月19-22日 バルセロナ,オーディトリウム第1ホール「Paul Casals」
HMM 902325 (P)2017 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器による演奏。ここに収録された協奏曲と管弦楽曲,交響曲,どれも良いですね。この聴き慣れた超有名協奏曲が溌剌とした躍動感に満ちて実に新鮮な印象をもたらしますし,交響曲も快活で引き締まっていて聴き応えがあります。

一方で,特に協奏曲におけるヴァイオリンのソロに関して,フォルテのところでは楽器が悲鳴をあげているような,限界を越えて鳴らそうとしているかのような音のつぶれも感じられ,大ホールにくまなく音を行き渡らせようとするような前提での演奏になっているのではないか,というようなピリオド楽器の限界のようなものも同時に感じました。

これはこれでもちろん素晴らしいと思うのですが,ピリオド楽器がやや苦手な私は,こういう演奏をモダン楽器でやってくれたらなぁ,と毎度のことながら思ってしまいます。

録音ですが,残響はそれなりにあるものの,直接音が主体ですっきりと見通しよく録っているのが好印象です。高域の伸びも申し分ありません。一方で低域は控え目で,全体のバランスとして高域に寄っていて刺激的に感じられるところもありますが,軽量級の演奏を活かす好録音だと思います。

R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」,交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」,交響詩「ドン・ファン」(グスターボ・ドゥダメル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品35
グスターボ・ドゥダメル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Philharmonie, Großer Saal, Berlin, 4/2012, 1&2/2013
00289 479 1041 (P)2013 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(Zarathustra), ★★★★(Till Eulenspiegels, Don Juan)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

とちらかというとベルリン・フィルにしてはやや控え目な表現に徹しているように思いますが,その分細部まで緻密に作り込んでいるように感じます。私の好みからするともう少しダイナミックで躍動的に演奏して欲しいと思うのですが,ツァラトゥストラならまあこれでもありかなと思います。そういう点でティルとドン・ファンは少しもの足りないかな...

録音ですが,ツァラトゥストラと他の曲では少し異なります。ツァラトゥストラは少し楽器の捉え方が弱く,もう少し質感を強めに出して欲しいとは思いますが,低域から高域までレンジ感があり,音に伸びも感じられます。個人的には弦楽器をもう少し前に張り出すように録って欲しいところです。また密度感があるのも今どきの録音です。まずます良好です。

一方ティルとドン・ファンはツァラトゥストラに比べると精彩に欠け,音が曇りがちで全体にこぢんまりとしています。こちらはわずかながら良くありません。

ブルックナー:交響曲全集(シモーネ・ヤング指揮/ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルックナー:交響曲全集
シモーネ・ヤング指揮/ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団
2006-2015年 ハンブルク,ライスハレ
OC 026 (C)2016 OehmsClassics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

10年近くの年月をかけて完成された全集で,改訂版の多いブルックナーの交響曲において基本的に初稿で構成され,習作の扱いを受けている第00番,第0番を含む,という特徴のある全集です。このあたりは皆様の方がよくご存じだと思います。この中で第4番は以前取り上げていました(→こちら)。私はブルックナーはほとんど聴かないのですが,このブルックナーは録音が結構良かったので,これを機会に全集を買って聴こうかどうしようかと長い間悩んでいたところ,たまたま少し価格が下がっているのを見つけたので思い切って入手することにしました。

まだほんの一部しか聴けていませんが,斜め聴きした限りでは,録音が長期にわたっているにもかかわらず概ね印象は揃っており,多少のばらつきはあるものの,そこそこ良好に思えました(このあたりは聴き進めていくうちに変わっていくかもしれません)。時間をかけて少しずつじっくりとブルックナーを味わってみようかと思います。

R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」,メタモルフォーゼン(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
R. シュトラウス:メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための習作)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団
2016年2月17,18日 東京,サントリーホール
SICC 10219 (P)2017 Sony Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

R. シュトラウスの交響詩ツィクルスの第3弾。第1弾第2弾も取り上げていました。ツァラトゥストラはR. シュトラウスの中で最も好きな曲なので,これがリリースされるのを楽しみに待っていました。そして期待を裏切らない見事な出来だと思います。統制の取れた弦楽器,鳴りと安定感の素晴らしい金管,この曲を演奏するのに不足はないですね。メタモルフォーゼンは弦楽器のみで演奏される曲で,弦楽オーケストラが好きな私なのですが,混沌としていて掴み所がなく,この曲はちょっと苦手です。

そして録音ですが,傾向的には前2作と共通しており,残響感を少し抑え気味にして密度高く音を詰め込みスケールの大きなサウンドに仕立てています。私としては少し音を詰め込みすぎていて見通しと分離が良くなく飽和感があり(実際に飽和はしてないと思いますが)伸びや透明感に欠け,もう少しすっきりしたサウンドに仕上げて欲しいとは思うのですが,これが今どきの優秀録音なのかもしれません。でもまあ良好な部類に入ると思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番,第12番(ウェールズ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番,第12番
ウェールズ弦楽四重奏団 Verus String Quartet
January 20 & 21, March 31, 2017, Kanagawa Prefectural Lake Sagami-ko Exchange Center
FOCD9752 (P)(C)2017 FONTEC Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ウェールズ弦楽四重奏団は2006年に桐朋学園の学生により結成され,2016年で結成10周年,現在メンバーは30歳代というまだまだ若い四重奏団です。技術力が高く,アンサンブルが整っており,和音の響きもとても美しいです。演奏にキレがあり,さらに情感豊かで,そういう点で今回のディスクの中では第12番の第2楽章が特に印象に残りました。とはいえ真面目一本槍で音楽がまだまだちょっと堅苦しいようにも思います。

録音ですが,残響は少しあるものの控え目であり,直接音主体に明瞭に録っています。特に優れているとは思いませんが,欠点もなく弦楽四重奏曲の録音としてまずまず良好と言えると思います。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集に向けての第1弾とのことで,今後の録音も楽しみに待ちたいと思います。

R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」,ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」(エマニュエル・クリヴィヌ指揮/ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
エマニュエル・クリヴィヌ指揮/ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
2015年録音
ALPHA 236 (P)2015 (C)2016 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

録音のみのコメントです。このディスクはまずまずの好録音でした。邪魔になる残響が少なく,各楽器の明瞭感,分離勘が良く,音の伸び,透明感も良好です。低域も伸びているのですが量感は少なめでもう少しあっても良いかなとは思います。こういうキレの良い録音は聴いていて気持ちが良いですね。

ツェムリンスキーの人魚姫は「アンデルセンの童話による全3楽章の幻想曲」という副題が付いているようで,初演後出版されずに約80年間埋もれており,1980年に楽譜が発見されたとのことです。このあたりの経緯がHMV Onlineの曲目紹介で詳しく触れられていましたので,ご興味があればご参照ください。もっと気味の悪い音楽かと思ったのですが,意外に聴けました。好きになれるかどうかは別ですが(^^;。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(リカルド・オドリオゾラ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
リカルド・オドリオゾラ Ricardo Odriozola (Violin)
Herdla Church Askøy, Norway, March 27th 2004 - September 30th 2006
品番なし Amethyst Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amethyst Records

CD試聴記」からの転載記事です。

意欲がよく伝わってくる,勢いのある演奏。 技術的にものすごく上手いというわけではありませんが, 自己の技術の限界を見極めて破綻寸前まで攻めてぎりぎりで踏みとどまっているという感じで, その結果なかなか聴き応えのある音楽に仕上がっています。 パルティータ第3番は弾き込み不足なのか少し粗が目立つのが残念ですが,それ以外の曲は良いと思います。

録音ですが,残響のまとわりつきがやや気になるものの, オンマイク気味で直接音が支配的なためニュアンスもしっかりと聴き取れるまずまずの好録音です。ただしオーディオ的な品質は「並」です。

リカルド・オドリオゾラ氏の詳細はよくわかりませんが現在ノルウェーにお住まいのようです。 自主制作盤のようで,Amethyst Recordsから注文して入手しました(支払いはPayPalのみ)。 ノルウェーからご本人の名前(サイン入りの送り状も同封)で送ってきました。

 バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(チェチーリア・ベルナルディーニ(Vn)/ジョン・バット指揮/ダンディン・コンソート)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
チェチーリア・ベルナルディーニ Cecilia Bernardini (Violin)
ジョン・バット指揮/ダンディン(ダニーデン)・コンソート
2014年11月17日~20日 グレイフライアーズ教会(エジンバラ)
CKD 519 (P)(C)2015 LINN RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

バロック・ヴァイオリンによる演奏。流麗で美しく技術的にもとても上手い演奏なのですが,協奏曲としては今ひとつ押しというか自己主張が弱く控え目すぎる感じがします。室内楽だと思って聴けば良いのかもしれませんが,う~ん,ちょっと物足りないです。

録音ですが,残響が多く基本的には私の好きな録音とは方向が違うのですが,楽器音の滑らかで伸びのある音色はそれなりに聴くことが出来るのと,残響がマイナス方向ではない取り入れ方になっていると思いましたので,少し甘い評価ですが四つ星半としました。LINN RECORDSは残響が多めであまり好きではないのですが,これを含め最近のものは好録音的に少し良くなってきているように思います。

モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」,「プロシア王」,弦楽五重奏曲集(メロス四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
メロス四重奏団 Melos Quartet
1976年2月(No.16,17),11月(No.14,15),1977年6月(No.18,19) シュトゥットガルト,リーダーハレ
F90G 50403/5(415 870-2) (P)1977/78 Polydor International (国内盤)
好録音度:★★★★☆,★★★★(No.18,19)
参考: Amazon.co.jp

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「プロシア王」
モーツァルト:弦楽四重奏曲K.499「ホフマイスター」
メロス四重奏団 Melos Quartet
Stuttgart, Liederhalle, 2/1979(K.589), 6/1980(K.590), 2/1981(K.499), Bamberg, Zentralsaal, 5/1983(K.575)
431 153-2 (P)1981,1984 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(K.589),★★★★
参考: Amazon.co.jp

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モーツァルト:弦楽五重奏曲全集
メロス四重奏団 Melos Quartet
Franz Beyer, Piero Farulli (Viola)
Bamberg, Zentralsaal, 7/1986 & 12/1987, Neumarkt, Reitstadel, 11/1989
431 694-2 (P)1987/1988 Polydor International (P)1990 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

メロス四重奏団のモーツァルトは,以前に第17番,第19番を収めた廉価盤を取り上げていました(→こちら)。堅実で高水準な演奏を聴かせてくれる同四重奏団の演奏は結構好きで,ここに挙げた弦楽四重奏曲集,弦楽五重奏曲集を手に入れて聴けたことは大変うれしいことなのです。とても残念なことに,同四重奏団の録音は現役盤が少なく,これらの中では弦楽四重奏曲の第17番,第19番,昨年1月に弦楽五重奏曲が限定盤の分売で発売されている程度ですね。こういうド直球の演奏はもうあまり好まれないのでしょうか。残念なことです。

録音ですが,この中では弦楽四重奏曲集の第14番~第17番と弦楽五重奏曲K.589が好録音です。少し音の捉え方が濃すぎるきらいはありますが,残響を抑え,極めて明瞭に楽器の音色を捉えています。それ以外の楽曲は少し音場成分が増えて楽器の音色が曇りがちです。好録音に共通しているのが,プロデューサがDr. ルドルフ・ヴェルナーという人ということで,やっぱりレコーディングを担当するプロデューサによって録音の音づくりが変わってしまうというのがよくわかりますね。1981年以降はデジタル録音に移行していますが,録り方の質に進歩が見られないのも残念なことです。

なお,実は「プロシア王」は先日取り上げた経年劣化?のCDです。貴重なディスクなのにCD2がまともに聴くことが出来ないのが残念でなりません。

ブログ読者様からの情報ですが(有り難うございました!),プロシア王の最初のディスクはドイツプレスで内周までメッキののある真空釜によるものだそうですが,私が持っているものは連続蒸着式のもので異なるようです。パッケージにはMade in West Germanyとあるのですが,ディスクレーベル面にはMade in U. K.とあり,イギリスプレスのもののようでした。なおハイドン・セットと弦楽五重奏曲は内周までメッキのある真空釜のものでした。これらは経年劣化はほとんど見られませんでした。

ブラームス:交響曲第2番,セーゲルスタム:交響曲第289番(レイフ・セーゲルスタム指揮/トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
セーゲルスタム:交響曲第289番“When a Cat Visited”
レイフ・セーゲルスタム指揮/トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
The Turku Concert Hall on 2-5 November 2015 & 4-7 January 2016
ABCD 403 (P)2017 ALBA classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ブラームスの4つの交響曲にセーゲルスタムの新作交響曲4曲を抱き合わせで収録していくというプロジェクトの第2弾。以前に第1弾をレビューしています(→こちら)。

演奏は第1番同様ゆったりしたテンポで進んでいくのですが,良く言えばのどかなのですが,さすがにこれは音楽が沈滞して前に進みません。私としてはもう少し若々しい推進力ある演奏が好きなので,これはちょっときついです。第1番は良かったのですが,この第2番は私には合いませんでした。

セーゲルスタムの交響曲は...ノーコメントということでやっぱりご勘弁を(^^;。猫役のヴァイオリンを日本人奏者が担当しているとのことです。

そして録音ですが,第1番と同日の録音のようで評価は変わりません。個々の楽器の音色を素直に,そして明瞭に質感良く捉えており,残響感はあるものの鑑賞の邪魔になるようなことはなく,トータルとしてよくまとまった好印象の録音です。欲を言えば,もう少しすっきりと見通しよく録ってくれていたら良かったのに,とは思いますが。だいぶオマケですが四つ星半です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(フランチェスコ・テオピーニ)(クラシック・ギター版)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
フランチェスコ・テオピーニ Francesco Teopini (Classical Guitar)
1967年7月 スイス
28 December 2014 - 14 January 2015, Palazzo di Assisi, Perugia, Italy
95424 (P)(C)2016 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

クラシック・ギターによる演奏。 実に生真面目に丁寧に仕上げています。 教科書的で遊びがなく,またギターを活かすような独自編曲もあまりされていません。 あまりワクワクする演奏ではないのですが,じっくり聴くには良いと思います。 技術的にもそつがなく全く問題ありません。

録音ですが,少し残響はあるものの,ギターそのものの響きを素直に捉えた好録音です。 これも特に優れているとは思いませんが,欠点が少なく,音楽の鑑賞を阻害する要素がほとんどないのが良い点です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品95,第14番作品131(ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品95,第14番作品131(弦楽合奏版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
Little Tribeca in Vichy, September 2016
AP152 (P)2016 (C)2017 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの先行試聴です。チャイコフスキーの弦楽セレナーデが演奏も録音も大変良かったので,これも聴いてみました。なお,HMVとTower Recordsは8/10の発売,Amazonでは7/14の発売となっており,Amazonの方が若干早く発売されます。

演奏は期待通り,精緻で緊密なアンサンブルでこの弦楽四重奏曲の名曲を弦楽合奏で綴っていきます。弦楽合奏であることを活かし弦楽四重奏より幅の広い音楽を実現していて聴き応えがあります。曲としては作品131の方が弦楽合奏に向いている気がしますし,実際こちらの方が出来がよいと思います。

録音ですが,残響控え目で各パートを明瞭に質感豊かに捉えている点は良いのですが,前作のチャイコフスキーに比べると音色がやや金属的で自然さに欠けます。平均水準以上ではあると思うので四つ星半評価ですが,音色の面でちょっと納得できないところが残ります。前の録音に戻して欲しいところです。

とはいえ,トータルの出来はなかなか良いと思います。今後,弦楽合奏の名曲を一通り録音してくれることを期待します。(録音はチャイコフスキー同等に戻してぜひ欲しいですね)

モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」(フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/シャンゼリゼ管弦楽団)

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モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/シャンゼリゼ管弦楽団
12-15 April 2012, MC2, Grenoble/France
PHI LPH 011 (P)(C)2013 Outhere (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

古楽器オーケストラによる演奏ですが,とても流麗でスマートであり,音色は古楽器のそれであってもモダン楽器オーケストラ以上にモダンな印象があります(もちろん私個人の勝手な感想ですが)。古楽器は苦手な方ですが,こういう演奏であればそういう私でも全く問題なく楽しめました。

そして録音ですが,残響は多めでやや遠くから全体のまとまりを重視したような録り方で,個々の楽器の質感は感じ取りにくく,また分離感もあまりないため,私の好きな録音とは少し異なります。中低域の量感が結構あるのですが,響きは締まっているので中高域への影響もあまりなく良好と言えます。もう少し弦楽器に音量と質感をもう少し強めに録って欲しいところですが,全体の音色は崩れておらず滑らかで伸びもあり,まあ許せるかなというところです。

モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集(ライプツィヒ弦楽四重奏団)

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モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.1
収録曲: KV 80, 155, 159, 169, 170
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
20.06.-22.06.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1975-2 (P)(C)2016 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.2
収録曲: KV 156, 157, 168, 173
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
21.11.-23.11.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1976-2 (P)(C)2017 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

モーツァルトの初期の弦楽四重奏曲から9曲です。まだ4曲ありますのでVol.3が近いうちに出ると思いますが,とりあえずこの2枚のレビューです。ライプツィヒ弦楽四重奏団のモーツァルトはハイドン四重奏曲とプロシア王四重奏曲はすでに発売されています。ホフマイスターは第14番~第23番まで収録したセットには収録されているようでした(これは1枚ずつ買い揃えてきた者としては少々腹立たしいですが)。初期のVol.3がリリースされれば全集が完結すると思います。

この四重奏団は結成からの歴史も長く,常に安定したスタンダード路線の高水準の演奏を聴かせてくれていますが,この演奏も同じ路線であり,個性を主張するようなところはなく,曲そのものの魅力を誠実に,そしてサラッと爽やかに表現して聴かせてくれます。長く付き合えそうな演奏で私は好きですね。

そしてこの録音がまた良いのです。残響感はそれなりにあり音場感もありますが,直接音が主であり,クリアで透明感のある音色が堪能できます。過去リリースされてきたモーツァルトのディスクよりも一段良くなっています。室内楽の録音として標準的な印象であり,その中で上手くまとめた好録音だと思います。

Vol.3のリリースが楽しみです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(杉江洋子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
杉江洋子 Yoko Sugie (Violin)
13-16 December 2016
LeavesHMO HMOC 17839/40 (P)2017 ヒビキミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

バッハだからといって何か特別なことをされているという感じではありません。 今まで長い年月をかけて積み重ねてこられた手法, すなわちベストパフォーマンスを発揮できるご自身のやり方でこの曲に向き合われたのではないかと思います。 その結果,ごく自然に語りかけてくるような,陰影に富む味わい深い演奏に仕上がっています。 ピリオド奏法を取り入れる演奏が多い昨今, モダン楽器の伝統的なスタイルの延長線上でこのような優れた演奏が生み出されたことを大変うれしく思います。

そして録音ですが,少し残響があり,やや距離感があるために残響の影響を受けているのですが, それでも直接音が主体であり,ニュアンスも伝わってきますし楽器の質感も感じ取ることが出来ます。 もう少し音色に透明感と伸びが欲しいところですが,それでもソロ楽器の録音としてかなり良好な部類に入ると思います。

ということで,演奏も録音も良い,長く聴き続けたいと思える良盤でした。

杉江洋子さんは京都出身,幼少の頃からコンクールで優秀な成績を収められ, 京都堀川音楽高等学校,東京藝術大学・大学院を卒業,神戸室内合奏団,大阪センチュリー交響楽団を経て, 現在は京都市交響楽団の第二ヴァイオリン副首席奏者を務められているとのことです。