バッハ:ゴルトベルク変奏曲(塚谷水無子,ポジティフオルガン)

minako_tsukatani_bach_goldberg_variations_positev_organ.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ポジティフ・オルガン)
塚谷水無子 Minako Tsukatani (Organ)
May 4, 5 & 6, 2013 at Kusakari Organ Kobo, Kobuchizawa
PCD-1305 (P)(C)2013 Pooh's Hoop (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
パイプオルガンによる演奏。使われているのはポジティフ(ポジティブ)オルガンといって,ホールなどに据え付けられている大きなオルガンとは違い,ケースに入っていていくつかの部分に分解すれば移動可能なオルガンのことだそうです。膝載せ(卓上)のオルガンよりは大きく本格的な演奏にも使えるようですが,大きさは据え付け型の大きなものよりもずっと小さいため,出る音は軽く可愛らしいと言えます。このディスクではオルガン製作者の草苅徹夫氏が2004年に製作されたものが使われています。

この演奏は,このポジティフオルガンの可愛らしい音色の特徴をフルに生かし,曲に応じて低い音から相当高い音まで自在に使い分けられ,様々な表情が付けられていてとても魅力的な音楽に仕上がっています。個人的には大きなオルガンよりもこのような小さなオルガンの音色が好きなので,この演奏はとても嬉しいです。

しかし! この演奏には私にとって2つの大きな問題があります。一つ目は,こともあろうか全てのリピートが省略されているのです。正直言って私には致命的欠陥です。ゴルトベルク変奏曲を心から楽しむための最低限の要件を満たしていません。従ってリピート表は全て綺麗に×です。これは本当に残念でなりません。

リピート表 演奏時間 約42分
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ×× Var.05 ×× Var.06 ××
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ××
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ×× Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ××
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ××
Aria da capo ××

そして二つ目は,リズムの崩れです。もちろん意図的に崩していると思うのですが,ビートを身体で感じ,演奏者と呼吸と合わせようとするのですが,これがことごとく外されるため全く音楽を身体で感じることが出来ず,呼吸を合わせることが出来ず,ものすごく息苦しく,胸が痛くなります。生理的に身体が受け付けません。西山まりえさんの演奏に比べればまだマシですが,それでも苦痛を感じます。ゴルトベルク変奏曲を聴いて苦痛を感じるとは!!

音色が好きなだけに,本当に残念でなりません。

そして録音ですが,あまり演出臭さのない自然な音の捉え方は好感を持つのですが,やや録音場所の空間を意識させる反射音が多めに入っていて,これが自然で素朴な雰囲気を出しているものの,音の輝きを失わせる原因になっていると思います。悪くはないのですが,もう少し楽器音のみをクリアに録って欲しかったものです。惜しいです。

塚谷さんは大オルガンでのゴルトベルク変奏曲の録音もされており(→Amazon.co.jp),また,“バッハを知る バロックに出会う「ゴルトベルク変奏曲」を聴こう!”という著書もあります(→HMV Onlineicon)。著書の方は先日入手したので,これはこれでじっくり読もうと思っています。