ショパン:練習曲集作品10,25,他(ヴァレンティーナ・リシッツァ)

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ショパン:練習曲集作品10,25
シューマン:交響的練習曲作品13
ヴァレンティーナ・リシッツァ Valentina Lisitsa (Piano)
Reitstadel, Neumarkt, Germany, 18-21 June 2014
478 7697 (P)(C)2014 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ショパンの練習曲のみのコメントです。

このアグレッシブな演奏は圧巻。特に作品10。尋常ではないスピードで突っ走りながらも細かく表情を付ける余裕を見せているのは立派です。作品25はやや抑え気味でより豊かな表現に注力されていますが,作品10を聴いたあとだと少し拍子抜けします。ただはやり全体として攻めすぎている感じがあるので好き嫌いははっきり出そうです。曲間がやや短めで次々と次の曲に進みライヴを聴いているような感覚に陥るのも面白いと思いました。

録音ですが,少し残響が多めで音像も少し遠いため,明瞭感も良くありませんし,音色もかなり濁っています。細かい音がくっきりと聞こえてこないのでイライラします。こういう演奏は細部までキッチリ聞こえてこないと面白くありません。録音で相当損していると思います。残念です。

なおこのディスク,収録時間が約85分で,持っているディスクの中でおそらく最長です。最後まできちんと再生できるのか心配でしたが,大丈夫でした。

最後に,作品10-4の動画が公開されていましたので載せておきます。録音はこの動画の方がはるかに良く,この録音でディスクを作ってくれていたら良かったのに!と残念でなりませんね。

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ベートーヴェンの交響曲全集ピアノ編曲版を2セット聴いてみました

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ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版をもとにしたカツァリス版)
シプリアン・カツァリス Cyprien Katsaris (Piano)
録音 1981-89年年
2564608652 (P)1982 Teldec Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第1番~第5番),★★★★(第6番~第9番)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版)
コンスタンティン・シチェルバコフ Konstantin Scherbakov (Piano)
8505219 (P)2006 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

リスト編曲のベートーヴェン交響曲ピアノ版といえばカツァリスの全集が有名でお聴きになった方も多いと思います。恥ずかしながら私は今まで全く聴いたことがなく,今回が初めてです。この編曲版の全集がもう一つあることもわかったので,この機会に一緒に聴いてみました。

カツァリスの全集は,リスト編曲からさらにその後のピアノ演奏技術の進歩で可能になったテクニックをつぎ込んだ独自の編曲を行っているということで,とにかく可能な限り音を詰め込んで派手に鳴らしまくり,絢爛なサウンドで躍動感のはじける音楽を作りあげています。彼は本当にエンターテナーですな。

一方シチェルバコフの方は,リスト編曲に忠実に従っているのか,カツァリスのあとに聴くと,ストイックで地味に聴こえてしまうのですが,技術の確かさもあってとてもくっきりと曲の構造が見通しよく浮かび上がってきますし,これはこれでベートーヴェンらしくて良いんじゃないかと思いました。

ピアノ編曲版といってもアプローチが正反対で,それぞれ楽しく聴かせていただきました。

さて録音ですが,カツァリスの方は第1番から第5番は残響が少なく,ピアノの音がダイレクトに届く感じがあって良好なのですが,第6番以降は残響が多く,音色が曇り,明瞭感が良くなく,音の抜けが悪くなってすっきりしません。せっかくのきらびやかな演奏なのにこの録音はそれを損なっていると思います。もったいないです。

シチェルバコフの方は,残響感はあまりないのですが,わずかに被る響きのせいでやはり音色がくぐもって硬くなり伸びを失いすっきりと音が抜けていきません。まあそんなに悪くはないのですが,ちょっと響きの扱いが半端で損をしていると思います。

ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(ボリス・ベレゾフスキー)

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ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
ボリス・ベレゾフスキー Boris Berezovsky (Piano)
1991年 ベルリン
WPCS-21077 (P)1991 Teldec Classics (C)2000 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

技術的には申し分ありませんね。巧いです。技巧の誇示を抑え気味にして表現の追求に傾いているように思います(そうでない曲もありますが)。しかしこれが好きかというとちょっと微妙です。私としては技巧の誇示に走った演奏の方が好きかもしれないと思いながらこれを複雑な思いで聴きました(^^;。

録音ですが,直接音と間接音のバランスはまずまずで,響きで甘くなりすぎることなく,ドライになりすぎることもありません。逆に言うとちょっと半端な感じもあります。もう少しすっきり録って欲しかったと思いますね。ピアノ録音としては普通に入ると思います。一般的には受け入れられる方ではないでしょうか。

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ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(若林顕)

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ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
若林顕 Akira Wakabayashi (Piano)
2017年5月22-24日,6月28日,8月28-29日,12月21-22日 埼玉・富士見市民文化会館(キラリふじみ)
TRITON OVCT-00144 (P)(C)2018 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピアニストには全く疎い私の中では若林氏は「デュオ職人」というイメージだったので(ごめんなさい),このショパンの練習曲集のリリースはとても意外に思えたのですが,実はソロ作品もたくさんリリースされていたのですね...失礼しました。ということもあって興味津々で聴かせていただきました。

それでこの演奏なのですが,とても丁寧でキッチリと正確に弾かれているように思ったのですが,何というか,とても説明的というか,「ここはじつはこうなっていてね,こう弾くんですよ」という言葉が聞こえてきそうな,曲の構造が見えてきそうな,ネタばらし的演奏のように思えて,そういう点で他の多くの演奏とは随分と違った印象を受けました。こういうのもとても良いと思いました。

それで録音なのですが,少し残響感があり響きのまとわりつきが気になるものの,音色自体は芯があって美しく伸びがあり,これはこれでまあアリかなと思いました。私としてはやはりちょっとウェットな感じがするので,もう少しドライに録ってくれた方が好きなんですけどね。ちょっとオマケですが四つ星半としました。多くの人に受け入れられやすい録音だと思います。

名盤ポリーニのショパン練習曲集のハイレゾ版を聴いてみました

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ショパン:練習曲集作品10,25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
ファイルフォーマット FLAC 96kHz/24bit
参考: e-onkyo

ポリーニのショパン練習曲集をこのブログで取り上げるのは3回目です(→1回目2回目)。私がクラシックに興味を持つきっかけになったディスクなので思い入れがあります。ハイレゾ版があることに気が付いたので,古い録音なので意味あるかなとは思いつつも買って聴いてみました。

結論から言いますと,微妙です。CDと交互に聴き比べてみて,う~ん,違う気もするなぁ,という程度であり,ブラインドテストしたらまずわからないと思いました。あくまでも私の耳と装置では,ということです。

だからといって買って損した!とは思っていないところが自分のバカなところだなと正直思います(^^;。

最後に...クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリンと同じようにCDと周波数成分を比較してみました。「微妙...」というのがこの図からもわかると思います(^^;。ビット数の差に関しても,差があったとしても元々微妙ですので...この図を出すこと自体ほとんど意味がないとは思いましたが,せっかく作ったので載せました(^^;。

pollini.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
Chopin: Etude Op. 10 No. 1 in C major
■Hi-Res ■CD

この図の測定はWaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1曲分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは96kHzサンプリングであることを考慮して8192サンプルとしました。

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ショパン:練習曲集作品10,25(伊藤恵)

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ショパン:練習曲集作品10,25
伊藤恵 Kei Itoh (Piano)
14-16 Sep. 1990, YAMAHA Test Saal, Hamamatsu
FOCD3125 fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

この人のテクニックは本当に凄いですねぇ。積極果敢に攻める演奏でここまで淀みなく,一点の曇りもなく弾き切っているのは本当に立派です。表現はストレートで男性的であり,情緒的なところはあまりなく力で強引に突き進んでいく感はありますが,それがこの演奏の良いところでもあり,逆に物足りなく感じるところでもあるかもしれません。私はこういうのは大好きです。

さて録音ですが,残響は控え目で楽器自体の響きをダイレクトに捉えた好録音と言えると思います。少し高域の音色,響きに癖があり,きらびやかすぎるような気もしますが,まあ悪くはありません。不満はゼロではありませんが,フォンテックとしては良い方ではないでしょうか。

録音場所が「ヤマハ・テスト・ザール」とあり,楽器もヤマハ CF-IIIが使われていると書かれています。それにしてもテスト・ザールって...

チャイコフスキー:ピアノ曲全集(ヴィクトリア・ポストニコワ)

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チャイコフスキー:ピアノ作品全集
ヴィクトリア・ポストニコワ Viktoria Postnikova (Piano)
1990-1992年録音
Warner Erato 0190295737740 (C)2018 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

チャイコフスキーのピアノ曲は,LPの時代にメロディアレーベルのものを何枚か持っていてよく聴いていました。もう演奏者は覚えていません。この全集を見つけたときに,懐かしい時代の思い出に浸れるのではないかと,値段もそんなに高くなかったので購入してみました。そんなに名曲はありませんが,素朴で微笑ましい作品が結構ありますね。

このディスク,記憶にある曲の印象とは多少違ってどちらかといえば上手くて洗練され過ぎてるかなという気はするのですが,これらの曲をよく聴いていた頃のことを懐かしく思い出せて,そういう意味では良かったと思います。音楽と記憶って結構結びついてますよね。

それで録音なのですが,好録音というには少し物足りなさはありますが,残響は少なめでまずまず良好です。少しマイク位置が離れているのか,鮮明さや音の伸びが今一歩足りないように思います。惜しいです。

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ブラームス:交響曲全集,ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集より4曲(ネーメ・ヤルヴィ指揮/エストニア国立交響楽団/カレ・ランダルPiano)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37
ネーメ・ヤルヴィ指揮/エストニア国立交響楽団
カレ・ランダル(ピアノ)
January 27th, 2012, November 13th, 2015, Estonia Concert Hall, Tallinn
ERP9416 (P)(C)2016 ERSO, ERP (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58
ネーメ・ヤルヴィ指揮/エストニア国立交響楽団
カレ・ランダル(ピアノ)
February 3rd, 2012, March 25th, 2016, Estonia Concert Hall, Tallinn
ERP9516 (P)(C)2016 ERSO, ERP (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73
ネーメ・ヤルヴィ指揮/エストニア国立交響楽団
カレ・ランダル(ピアノ)
April 26th, 2012, November 13th, 2015, Estonia Concert Hall, Tallinn
ERP9616 (P)(C)2016 ERSO, ERP (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Amazon.co.jp

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ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19
ネーメ・ヤルヴィ指揮/エストニア国立交響楽団
カレ・ランダル(ピアノ)
May 4th, 2012, October 3rd, 2014, Estonia Concert Hall, Tallinn
ERP9016 (P)(C)2016 ERSO, ERP (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

拍手の入るライヴ録音。ブラームスの交響曲全曲演奏会とベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会をカップリングしてリリースされています(ピアノ協奏曲第1番は別の曲とカップリングされていて未購入)。以下,ブラームスの交響曲についてのコメントです。

特に両端楽章が全般に速い演奏で,指揮が強引過ぎるのか,オーケストラの技量不足なのか,乱れが散見され,音楽も滑っているように感じられて地に足が付いていないというか,全く落ち着かない演奏でした。音楽に勢いを持たせるのは良いのですが,これはちょっと度が過ぎていると思いました。

そして録音なのですが,かなり遠くから録っているイメージであり,まるで3階席の後ろにある二重扉の中で聴いているようであり,また,カッティングレベルの低い超長時間収録のLPを聴いているような,不明瞭で細部を全く感じ取ることができない,もどかしい録音でした。

う~ん,これは演奏も録音もちょっと私には合わず残念です。

なお,交響曲第3番のディスクだけなぜかTower RecordsでもHMV Onlineでも取り扱いがなく,手に入りにくい状況です。

藤井郷子ソロ

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藤井郷子ソロ
藤井聡子 Satoko Fujii (Piano)
2017年7月9日 八幡浜ゆめみかん(愛媛県)
201-046 (P)(C)2018 LIBRA RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ジャズのピアノソロ。録音が良いというブログ記事を見かけて聴いてみたくなり購入。多少のホールトーンは含まれていますが,基本的には直接音主体に極めてクリアに録っていて録音に関してはほぼ不満はありません。音像が少し不自然な感じはしますが,問題ありません。ジャズでは特に特殊な録り方ではないと思います。クラシックではこんな録り方はまずしてくれないですよね。クラシックでもこんな風に録ってくれたら良いのにと思います。

さて音楽はというと...私の苦手なタイプの現代音楽風即興ジャズでした...なので最後まで聴き通せませんでした。ごめんなさい。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(ジャン=フランソワ・エッセール(弾き振り)/新アキテーヌ室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
ジャン=フランソワ・エッセール(弾き振り)/新アキテーヌ室内管弦楽団
2014年11月, 2015年3月
MIR374 (P)2017 Mirare (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴。国内での輸入盤発売は1月末のようですが,Apple Musicで公開されていましたのでフライングで聴いてみました。今回は録音のみのコメントです。

室内管弦楽団との協奏曲ということですが,録音を聴いてみると室内管弦楽団とは思えないスケール感で捉えられています。しかし,そういう録音に仕立てるためか,比較的楽器の近くにマイクが設置されているようで,各楽器の質感が分離感良く聴こえてきます。残響が多めで響きに癖があり少しうるさく聴こえるのは好みとは異なりますが,サウンドも比較的締まっていてトータルの印象は悪くありません。ピアノももう少し響きを整理してすっきりしたサウンドにして欲しいところですが,まあ許容範囲です。少しオマケですが四つ星半です。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570(マリア・ジョアン・ピリス)

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires (Piano)
1974年1月~2月 東京,イイノ・ホール
COCQ-85349 (P)2017 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

1974年に日本で録音されたモーツァルトのピアノ・ソナタ全集から4曲をセレクトされています。およそ15年後に録音された2回目の全集と比べるとずいぶんと素直でストレートであり,これはこれで若い時代のピリスの魅力に溢れています。また,これを聴くと,2回目の録音がいかに音楽的に進化を遂げているかがわかるという点でなかなか興味深いなぁと思いながら聴き入ってしまいました。

録音ですが,ホールで録音されていますが,ホールトーンは控え目であり,直接音を主体に比較的近い距離のイメージで親近感のある録り方をしています。ピアノ以外の余計な響きがほとんど感じられない点に好感を持ちます。こういう録り方をするならもう少し思い切って生々しさを出して欲しかったと思いますが,これでもまずまず良好と思います。2回目の全集と比べると,こちらの方が私の好みには合うかなと思います。

なお本ディスクですが,「このCDは,COCO-73105の原盤による再発売商品です。」と記載されていますが,UHQCD(Ultimate Hi Quarity CD)仕様で製造されているとのことです。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集(マリア・ジョアン・ピリス)

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires (Piano)
1989-1990 Hamburg, Friedrich-Ebert-Halle
431 760-2 (P)1989,1990,1991 Deutsche Grammophone (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これも名盤中の名盤なので説明不要かと思います。ピリスのモーツァルトのピアノ・ソナタ全集は前から欲しいと思っていたのですが,どうせ買うならこのジャケット写真のが欲しい!とずっと探しておりましたが,先日立ち寄った中古店でようやく見つけ,念願のジャケ指名買いが叶いました。(パッケージがでかいのが難点...)

元々1枚だけ持っていたのでだいたい演奏の想像はついていたのですが,改めて聴いてみて,う~ん,完璧だ。あらゆる面で素晴らしい。上品で薫り高く愛らしい。そして隅々まで気配りが行き届いている。装飾・粒立ちの美しさ,テンポの良さ,非の打ち所がありません。じっくりと楽しみたいと思います。

一方録音はといえば...少し遠めでホールトーンを活かしステージの空間を演出する録り方をしていて,まあ悪くはないのですが,響きが楽器音をやや濁しており,ピアノ本来の透明感のある美しい音色が犠牲になっていると思います。ドイツ・グラモフォンのピアノ録音としては平均レベルもしくは良い方かもしれませんが,もう少し楽器そのものの音を大切にして欲しいと思わずにはいられません。演奏が素晴らしいだけに,この録音は本当に惜しいと思います。

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モーツァルト:ピアノソナタ集第2集(イリーナ・メジューエワ)

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ集第2集
イリーナ・メジューエワ Irina Mejoueva (Piano)
2014-2015年 新川文化ホール(富山県魚津市)
WAKA-4189-90 (P)(C)2015 若林工房 (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ロシア出身で現在は日本を拠点に活動されているピアニスト。若林工房から数多くのディスクをリリースされています。今までにショパン:練習曲集バッハ:ゴルトベルク変奏曲を取り上げていました。今回はモーツァルトのピアノ・ソナタ集で,第9番 K.311,第14番 K.457,第16(15)番 K.545,第10番 K.330,第12番 K.332,第17(16) K.570,幻想曲 K.475,K.396が収録されています。

このモーツァルト,叩くような強いタッチで曖昧さのない明快で毅然とした音楽を奏でる硬派な演奏のように思いました。あまり「遊び」がなく,品格を重んじる姿勢が私の中にあるモーツァルトのイメージとだいぶ異なるのでちょっと戸惑ってしまうのですが,このまるでベートーヴェンのソナタのように演奏される音楽は私の中に強い印象を残しました。これが好きになれるかどうかはわかりませんが,しばらくこの演奏に付き合ってみようかと思っています。

さて録音なのですが...残響はあまりないのですが,マイクがやや遠めに設置されているのか,ホールの音色でかなり色づけされており,確かに雰囲気はあるものの,私にとっては音色を濁すマイナス効果の方が勝って聴こえるため,あまり良い印象ではありません。ピアノの音色ってもっと透明感があり美しいと思うのです。なんでわざわざ音を濁して録るのかって。まあそんなに悪いというわけではなくこのような録音を好む人もいるだろうなとは思うのですが,少なくとも私には今ひとつ合わず,これを好録音と呼びたくないということで,少し厳しめのコメントとさせていただきました。

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(キット・アームストロング)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
キット・アームストロング Kit Armstrong (Piano)
Concertgebouw Amsterdam, 13 March 2016
741704 (P)2017 Artwork & Edition (C)2017 C Major Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

聴きたいと思いながら映像ディスクでちょっと高かったので見送っていたのですが,いつも参考にさせていただいているクラシック音楽の感想で強力に推薦されていましたので,思い切って手に入れて聴いてみました。

なるほど! これは過去様々な演奏が存在する中で,それらの影響を一旦リセットし,先入観にとらわれない新鮮な感性で一つ一つの変奏をじっくりと吟味し,一から組み立て直しているという印象を受けました。折り目正しくずいぶんと落ち着いた,大人びた演奏であり,ピアノという楽器の持つ表現力を控え目ながら上手く活かし多彩な音色を引き出していますし,さらに上品な情緒感も漂わせています。グールドの演奏に慣れた耳にはあまりの方向性の違いに戸惑ってしまうのですが,グールドの演奏が感性を揺さぶる演奏とすれば,この演奏は知的好奇心をくすぐる演奏とでも言いましょうか,いずれにせよ同曲の新たなスタイルを築く画期的で現代的な演奏だと思います。なお,ライヴ収録なので多少の演奏上の傷はあります。

さて録音ですが,残響が多めでホールのキャラクターが少し音色に乗っていますが,ピアノの音自体はしっかりと捉えられており,自然さも損なわれていない,それほど悪い印象ではありません。基本的に私の好みの録音とは少し異なりますが,ホールトーンを活かしたピアノ録音として,また,演出感の少ないライヴ録音として,まずまず良いのではないでしょうか。残響が許せる方なら良好な録音に入ると思います。少々オマケですが四つ星半です。

会場がクラシック音楽専用ホールで綺麗であり,カメラワークも良く映像作品としても楽しめました。プロモーション映像がYouTubeにアップされていましたので紹介しておきます。



最後にリピート表です。Aria da capoを除いてすべてリピートしています。文句ありません。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

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シューマン:幻想曲,幻想小曲集(マルタ・アルゲリッチ)

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シューマン:幻想曲作品17
シューマン:幻想小曲集作品12
マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich (Piano)
録音 1976年
SICC 1843 (P)(C)1976 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はシューマンのピアノ曲をほとんど聴かないのですが,唯一聴くのがこの幻想小曲集作品12です。誰の演奏だったのかは定かではないのですが,高校生の時にFMのエアチェック(もう死語か(^^;)でたまたまカセットテープに録音していた同曲を長い間聴いていました。シューマンの作品の中ではあまり顧みられない作品かもしれませんが,これが好きなんですよね。ものすごく久しぶりに聴きたくなり,Apple Musicで物色して見つけたのがこのディスクです。昔聴いていた曲のイメージとは少し異なり随分と力強くダイナミックなシューマンだよなぁと思いつつも,この曲の面白さを存分に楽しませてくれる演奏だと思いました。

録音ですが,この力強い演奏を柔らかい響きで包んで聴きやすくしているように思います。ただそのせいで音色がくすんで透明感が失われているのは惜しいと思います。また演出感も強いです。まあピアノの録音としては標準的で悪くはないと思うのですが,やっぱりもっとクリアにすっきりと録って欲しいと思いますね。

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ラミン・バーラミ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ラミン・バーラミ Ramin Bahrami (Piano)
録音不明
4762820 (P)2004 DECCA (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。これがバッハの演奏なのか?と思うほど力強くたたきつけるようなタッチに驚くのですが,まるでAIが弾いているのかと思うほど高速でメカニカルな正確さにも目を見張りますし,奇妙な装飾にもニヤッとしてしまいます。そして第26変奏以降のラストに向けて一気にたたみかけるモーレツな演奏! 好きかどうかは別として,間違いなく楽しめます。ここまでぶっ飛んだ演奏はそうないと思います。

さて録音ですが,残響控え目でピアノの音をしっかりと捉えていますが,ちょっと音が硬質です。そしてこれはApple Musicだからかもしれませんが,エンコード歪みっぽいノイズが時折気になり,やや品質が良くないように思います。これはCDで確かめてみたいところなのですが...

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

蛇足ですが,このディスクをある中古ショップで見かけたのですが,そのときは別に欲しいものがあり見送りました。こんなに面白いとわかっていたら入手していたのに! ちょっと後悔。

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(小山実稚恵)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
小山実稚恵 Michie Koyama (Piano)
2017年2月7-10日 軽井沢大賀ホール
SICC 19032 (P)(C)2017 Sony Music Japan International (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2017年はアルバム・デビューから30周年で,通算30枚目のアルバムで,初の全曲バッハ,とのことです。私自身は小山さんのディスクはおそらく初めて聴きます。情緒的表現,感情移入は極力抑え,音は短く歯切れ良くはっきりと,上品ですがどちらかといえばストイックに淡々と弾いているように思います。この点,先日取り上げたベアトリーチェ・ラナの演奏とは対照的です。そのせいもあってか,バッハの曲の構造が浮き彫りのようにはっきりと見えてくるようです。気に入りました。

録音ですが,残響は控え目で楽器の音を明瞭に捉えている点は良いのですが,うっすらとベールが被ったようにわずかに音色がくすみ,すっきりと伸びと透明感ある音になっておらず,また,少し音が硬いのが不満です。マイナスポイントが少ないので四つ星半としましたが,正直言うともう少し何とかならなかったのかととても惜しく思います。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約75分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ベアトリーチェ・ラナ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ベアトリーチェ・ラナ Beatrice Rana (Piano)
2016年11月 ベルリン,テルデックス・スタジオ
Warner Classics 9029588018 (P)(C)2017 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

とても評判の良い演奏なので聴いてみました。明瞭なタッチと流れるようなスムーズなフレージング,そして,自然な強弱のうねりなど,モダンピアノの特性を最大限に生かした現代的で洗練された演奏でした。何より感心したのは細かい音型の正確さと淀みのなさで,ここまで滑らかでビシッとテンポにはまった演奏はそんなにないと思います。一方,ゆっくりした変奏でのリズムの意図的な崩しは自然な呼吸感から外れていてちょっと生理的に受け付けないなぁと思うところもありました。とはいえ,これは出色の出来ですね。久しぶりにワクワクする演奏に出会いました。

録音ですが,比較的楽器音をしっかりと捉えているのですが,音色が今ひとつモヤッとしていて立ち上がりの明瞭さ,透明感にやや欠けます。十分許容範囲だとは思うのですが,もう少し付帯音のないクリアな音で録って欲しいものです。惜しいです。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

雨だれのプレリュード~ショパン名曲集(横山幸雄)

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雨だれのプレリュード~ショパン名曲集
横山幸雄 Yukio Yokoyama
Ishibashi Memorial Hall on 29-30 August 2016
MECO-1036 (P)(C)2017 Muse Entertainment Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

横山氏のデビュー25周年記念アルバムとのことです。横山氏のピアノはあまり聴いたことがなく,一度聴いてみたいと思っていたところ,ショパンの比較的好きな曲が多く収録されていましたのでこの機会にと思い聴いてみました。収録曲は下記の通りです。

1. アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
2. バラード第1番
3. ノクターン第20番
4. ノクターン第2番
5. 華麗なる大円舞曲
6. 別れの曲
7. 革命のエチュード
8. マズルカ第13番
9. 幻想即興曲
10. 雨だれのプレリュード
11. マズルカ第32番
12. 小犬のワルツ
13. 英雄ポロネーズ
14. 別れの曲によるお別れの作品(2台ピアノによる8手連弾) 横山幸雄(編曲)

まあ想像通りというか,力強い男性的な演奏であり,ショパンの優美な面が希薄なのでちょっとイメージが違うかなと思いながらも,ストレートで明快な演奏を楽しませていただきました。

肝心の録音なのですが,オフマイク気味でホールトーンを豊かに取り入れているために直接音よりも間接音が主であり,演出感が強いです。当然ながらピアノの音色はくすみ気味でクリアさに欠け,ヌケもあまり良くなく,私の好きな録音ではありませんでした。ピアノ録音としては良くあるタイプでまあこんなところかとは思うのですが,個人的には少し残念に思います。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」,第12番,第14番(エドナ・スターン(P)/アリー・ファン・ベーク指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団)

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モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」,第12番,第14番
エドナ・スターン Edna Stern (Piano)
アリー・ファン・ベーク指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
ZZT100901 (P)2009 Zig-Zag Territoires (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリからのオーヴェルニュ室内管弦楽団つながり&ジャケ聴きです(^^;。

まず録音のコメントです。すっきりとした癖のない自然なサウンドが魅力の好録音です。残響が適度に抑えられ,見通しが良く,そこそこキレもあります。録音自体はあまり主張しませんが,演奏を邪魔せず音楽を素直に伝えてくれるこういう録音が良いのです。いつまでも音楽に浸っていたくなります。

そして演奏なのですが,端正で上品です。粒立ちの美しいタッチが印象的ですが,あくまでも控え目です。オーケストラも若干音の長さを短めに刈り込んで整然と見通しよく演奏し,ソロの美しさを引き出しています。良いと思います。

グリーグ:ホルベルク組曲,スクームスヴォル:ホルベア変奏(1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他)

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グリーグ:ホルベルク組曲(弦楽合奏版,ピアノ独奏版)
スクームスヴォル:ホルベア変奏(ピアノと弦楽合奏のための)
1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他
2014年1月2-5日,2月24-26日 ノルウェー,スタヴァンゲル・コンサートホール
Simax PSC1332 (P)2014 Grappa Musikkforlag AS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ホルベルク組曲はグリーグの中で最も好きな作品です。このディスクでは,原曲のピアノ独奏版と作曲者自身の編曲による弦楽合奏版,そして,このホルベルク組曲を題材に,ジャズシーンで活躍しているスクームスヴォルが主導して即興的な演奏を試みたという「ホルベア変奏」が収録されています。

ピアノ独奏版は初めて聴いたのですが,これがまたかっこいいですねぇ。前奏曲にワクワクしますし,第3曲のガヴォットとミュゼットも洒落ています。ピアノ曲としては有名ではないと思いますが,弦楽合奏版を知っていれば結構楽しめる曲ですね。弦楽合奏版もスピード感と勢いがあり良いと思います。ホルベア変奏は...少し聴いたのですがあまり興味が湧かずパスしてしまいました(^^;。

録音ですが,弦楽合奏もピアノもまずまずの録音で,残響は適度であり録り方も自然で悪くないのですが,少し雑味というか濁りがあり,透明感や音の伸びに欠けています。録音機材があまり良くないのかもしれません。惜しいと思います。

Barry Douglas: NPR Music Tiny Desk Concert

私にとって理想的な録音を多く提供してくれるNPR Music Tiny Desk Concertでバリー・ダグラスの演奏がアップされていたので紹介します。演奏曲目は下記の通りです。

"The Coolin (arr. Douglas)"
"Planxty Dillon (arr. Douglas)'"
"The Raggle Taggle Gypsy (arr. Douglas)"
"My Lagan Love (arr. Douglas)"



アップライトピアノの音を極めて明瞭に,クリアに聴かせてくれます。ちょっとマイクポイントが近いかなとも思いますが,それでも私にとってはかなり理想的なピアノ録音です。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(アンジェラ・ヒューイット) 新旧録音

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
Henry Wood Hall, London, on 28 August - 1 September 1999
CDA67305 (P)2000 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
2015年12月14日~17日 キリスト教会(オーバシェーネヴァイデ,ベルリン)
CDA68146 (P)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アンジェラ・ヒューイットのゴルトベルク変奏曲の1999年の録音は名盤としての地位を獲得していると思いますが,それから16年,同じハイペリオン・レーベルでの再録音盤が発売されました。

彼女の演奏は,全体として控え目で落ち着いた上品さが美点だと思っています。そしてピアノという楽器の特徴を活かした細やかで豊かな表情。各声部がそれぞれ別の表情を持ちながら絡み合っていくところが素晴らしく思いました。旧録音と新録音は,演奏の基本的な解釈や表現のスタイルは大きく変わっていないと思います。ちょっと聴くと,あれっ?すごく似ているなと。しかし,まるで個々の指が個別の意志を持っているかのごとく,一つ一つの音の弾き分けがより細やかにコントロールされ,より深みのある音楽へと進化しているように感じられました。16年の積み重ねがこういったところに顕れているのでしょう。

さて録音ですが,旧録音の方は残響の被りですこしモヤッとした不明瞭さが気になるものの,それでも比較的すっきりとした音響でまとめられていると思います。対して新録音の方は,ピアノの音をより豊潤に,濃い音で捉えています。残響も多めに入っているために音色が少しぼってりとしつこい感じがします。いずれも一長一短であり,もっとすっきりとクリアに透明感のあるヌケの良い音色で録って欲しいものです。せっかくの素晴らしい演奏が,この録音では最大限には活きてこないと思います。惜しいです。

最後にリピートですが,新録音も旧録音も最後のAria da capo以外は実行されていて,この点でも全く問題ありません。新録音は収録時間が82分を越えていますね。最近は82分越えも当たり前になってきたように思います。私の環境では再生に全く問題はありませんでした。

演奏時間 約79分(1999年録音) 82分14秒(2015年録音)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集(ルドルフ・ブッフビンダー)

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder (Piano)
2010年9月19日~2011年3月27日 ドレスデン,ゼンパーオパー
88697875102 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment Austria (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はピアノ曲は特定の曲を除いてほとんど聴いてきませんでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタもほとんど聴いてこなかった曲に入ります。特に理由はないのですが,ここらでちょっと聴いてみようかと思い(^^;,Apple Musicで新しめの録音で,演奏も録音も良さそうな全集を物色して選んだのがこの全集です。最近のApple Musicは曲名で検索しても対象が全ては出てこず,限られた中での選択でしたので,特に録音に関して満足が得られるものを選べたかというと必ずしもそうではないのが少々残念なところではあるのですが。まあ価格も安い部類に入るので良しとしました。

この全集は,およそ半年にわたって7回に分けて行われた全曲演奏会のライヴ録音とのことです。まだ全てを聴けてはいないのですが,テクニックのキレが素晴らしく,また比較的速いテンポで甘さを廃した淀みのない音楽が私の好みには合いそうでした。

そして肝心の録音なのですが,少し癖のあるホールの響きが付帯音としてまとわりつき音色に影響を与えてはいるものの,その影響は少なめで,芯のあるピアノの音色が良く伝わってきます。正直言うともう少し近めでクリアで透明感ある音で録って欲しかったところですが,まあストレスなく聴けるので許容範囲に入るかなとは思います。少し甘い評価ですが四つ星半です。7回に渡る演奏会のライヴということですが,統一感は確保されています。

探せばもっと気に入るものはあるだろうとは思いつつ,まずは曲をよく知るところからということで,この全集をしっかりと聴いてみようと思います。

グレン・グールド 日本企画の音匠仕様SACDハイブリッド盤 ~ ベートーヴェン,ブラームス,ワーグナー編曲

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」,第14番「月光」,第23番「熱情」
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1966年(第8番),1967年(第14番,第23番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10199 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:間奏曲集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1959年, 1960年 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10204 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ワーグナー:グレン・グールド編によるピアノ・トランスクリプションズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌(オリジナル編成による演奏)(*)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
グレン・グールド指揮/トロント交響楽団員(*)
1973年 トロント・イートン・オーディトリアム,1982年 トロント,セントローレンス・ホール(*)
SICC 10205 (P)1990 (C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先日紹介したモーツアルト:ピアノ・ソナタ全集バッハ録音と同じシリーズです。バッハは2012年の発売でしたが,こちらはモーツァルトと同じ2014年の発売でした。

ブラームスが1959年から1960年,ベートーヴェンが1966年から1967年,ワーグナー編曲が1973年の録音と,上記3枚の録音時期は離れていますが,今までの紹介でも触れてきたように,録音のポリシーは一貫しており,全てスタジオでの録音,残響は全くなくピアノの音色を極めて明瞭に捉えた私にとって最高のピアノ録音です。さすがにブラームスはクオリティ面で若干落ちますが,ほとんど気になりませんし,ワーグナー編曲の録音はもう全くクオリティ面で問題ありません。

グールドは一部のバッハ録音以外はあまり聴いてこなかったので,じっくりと楽しませてもらおうと思います。

グレン・グールドのバッハ録音 日本企画の音匠仕様SACDハイブリッド盤

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バッハ:インヴェンションとシンフォニア(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1964年3月18,19日 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10168 (P)1964 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
[第1巻]1962, 63, 65年,[第2巻]1966, 67, 69年 ニューヨーク,30丁目スタジオ/1971年 トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10162-5 (P)1972 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:パルティータ(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1957年(第5番,第6番),1959年(第1番,第2番),1962年(第3番),1962, 63年(第4番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10166-7 (P)1969 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:イギリス組曲(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第2番),1973年(第1番),1974年(第3番),1974, 76年(第4番,第5番),1975,76年(第6番) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10169-70 (P)1977 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:フランス組曲(全曲),フランス風序曲
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第6番),1972年(第1番,第2番),1972, 73年(第3番),1973年(第4番),1971, 73年(第5番,フランス風序曲) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10171-2 (P)1982 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先に紹介したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集と同じ企画盤です。これが発売された2012年は,グレン・グールド生誕80年,没後30年ということでの日本独自の企画盤とのことです。SACDであることに加え,音匠仕様レーベル・コートが採用されています。

これらのバッハの録音は,1957年から1976年という長期にわたって録音をされています。録音機材の進歩に従って音質は徐々に向上しているのはもちろんですが,録音のポリシーは当初からほぼ一貫しているので,聴いた印象がぶれません。1960年代前半までの録音は,さすがに古くて歪み感が気になるものもありますが,1960年代後半以降の録音はクオリティ面でもほぼ不満がありません。

何度も申し上げているとおり,グールドの録音はスタジオで全く残響のない環境でピアノの音色をストレートに克明に質感高く録った超好録音と言えるものです。これらの一貫した録音はグールドが録音に拘り直接コントロールしていたからこそ実現したんですよね。素晴らしい演奏が最高の状態で残されたことに本当に感謝したいと思います。

なぜこのような録り方をする人が出てこないのかほんと不思議でなりません。

グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造 - ZENPH RE-PERFORMANCE

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グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造
- ZENPH RE-PERFORMANCE

September 25-26, 2006 at Glenn Gould Studio, Tronto, Ontario, Canada
SICC 10043 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グレン・グールドの有名なデビュー盤,1955年のバッハ:ゴルトベルク変奏曲の演奏を自動演奏で再現したもの。ちょっと古いディスクですが,久しぶりにグールドのディスクを引っ張り出してきた中にあったので,この機会に取り上げたいと思います。

「ゼンフによる“再演”とは?」ということで,次のように説明が書かれています。

グレン・グールド・スタジオに腰を下ろし,グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」の名演を目の前で聴いている自分を想像してみよう。ゼンフの“再演(Re-Performance)”による本作は,そのような状態をサラウンド・サウンド,ステレオ,またはヘッドホンで体験できるよう工夫を特別に凝らした新録音である。

ゼンフZENPHは録音時の音を精緻に再現することにより,録音物を生演奏へと還元する。ソフトウェア・ベースのこのプロセスは,一つ一つの音符に関し,音量,アーティキュレーション,ペダルの動きなど,演奏時の詳細を抽出し記号化する。その記号化された音を高性能のコンピューターやハードウェアを搭載したアコースティックなグランド・ピアノで再生すると,もとの録音が行われた部屋で聴いているかのような音を体験することができる。この“再演”は最新鋭の録音技術により,当時の様子を改めて録音したものである。その結果,20世紀を象徴する録音を音響的に再発見することができるのだ。

使用されたピアノは,ヤマハのDisklavier Proというグランド・ピアノで,家庭用Disklavierの10倍の精度で再生することが出来るとのことです。ソフトの開発は米の音楽系テクノロジー企業,ゼンフ・スタジオで,ピアノ演奏の録音を解析することによって得られる音楽的属性(音程,音符の長さ,打鍵や離鍵の速度など)を周りの雑音と分離し,その属性をデジタル処理でエンコーディングしたということです。

そしてこのディスクはSACDハイブリッドで,SACD層にはステレオと5.1chマルチ,CD層にはステレオとバイノーラル録音が連続して収録されています。録音にも拘りがみられますね。

それで演奏なのですが,これ本当に自動演奏?というほどオリジナルの演奏をよくトレースしていると思います。何も知らせられずに聴いたら自動演奏とは思わないのではないでしょうか。しかし,グールド自身が残した録音と比較して聴いてみると,やっぱりどこか生気に乏しいというか生き生きとしていないというか,自動演奏の限界も感じてしまいます。多分に先入観もあるとは思いますが,人間特有のゆらぎが表現しきれていないのではないかという気がします。また,やっぱり機械であらかじめ決められたタッチでしか再現できないというのもあるのかもしれません。試みは面白いと思いますし,今後の技術の進化とプログラマの創造力で,“再演”ではなく,グールドを超える架空のピアニストをデビューさせたりといったことが可能になるかもしれないですしね。

さて肝心の録音なのですが,スタジオで録音されているにもかかわらず,なぜか音の濁り・曇りがひどくて全く冴えない音色なのです。スタジオでどうやったらこんな録音になるのか不思議です。グールドが残した数々の録音の方がよっぽど鮮明で音に輝きがあります。グールドが聴いたらきっと許さないに違いない,と思ってしまいます。この企画は録音でこれを提供するというなら録音が命のはずなのに。残念でなりません。

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HR(High Resolution)カッティングでSHM-CDな(^^; ポリーニのショパン練習曲集

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ショパン:12の練習曲作品10・作品25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
UCCG-51087 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

言わずとしれた名盤中の名盤。すでにこのブログでも取り上げていました(→こちら)。このディスクが私にとって特別な存在であることは繰り返し述べてきた通りです。今所有しているディスクがだいぶ古く,少し前から最新のマスタリングのものに買い換えたいと思っていたのですが,買いそびれていました。

たまたま昨日立ち寄ったタワーレコードで,発売日当日のこのディスクを見つけ,これは何かの縁と思って購入しました。DSDマスターということなので,私が持っているものより新しいマスタリングであることは間違いありません。

よく見てみると,SHM-CDというのはまあいいとして,HR(High Resolution)カッティングという聞き慣れない原盤の作り方?をしているようで,DSDマスターから一旦176.4kHz/24bitのマスターを作り,そこからダイレクトに?原盤を作っているようです。どういうことかさっぱり理解できませんが(^^;。

肝心の音質ですが,旧ディスクに比べると,わずかに鮮明さが増し,うっすらとかかっていたベールが取り払われたような音質の向上が感じられました。とはいってもそれはわずかであり,もっと劇的な改善を期待していたのですが,そこまでではなかったです。過剰に期待しすぎました(^^;。とはいえ,音質改善はあったので買い換えて良かったと思います。

なお,前回レビューでは好録音度は三つ星半としていましたが,少し辛すぎたと思い,今回四つ星にしています。やや音質が硬く癖のある音質なのですが,邪魔になる残響等はわずかであり,それほど悪くはないなと再評価しました。

ちなみに,これはユニバーサルミュージックのドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiunの中の一枚で,クライバーのベートーヴェン第5番・第7番ムラヴィンスキーのチャイコフスキー第5番フリッチャイのチャイコフスキー第6番なども聴いてみようと今手配しているところです。名盤揃いなので,もっと手を出してしまいそうです(^^;。入手したらまたレポートしたいと思います。

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(アレクシス・ワイセンベルク)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
アレクシス・ワイセンベルク Alexis Weissenberg (Piano)
1981年6月1-4日 パリ,サル・ワグラム
6387222 (P)1982 EMI Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Barで紹介されていたディスク。全くノーマークでした。強靱なタッチ,正確無比で抜群のキレを誇るテクニック,そしてこの自由奔放さ! 颯爽としたテンポで駆け抜けていく爽快さ! これは強烈な演奏者の個性を楽しむディスクだと思います。グールドの2回目と同じ年に録音されたという同氏2回目の録音,面白いですね! バッハらしくないかもしれませんが,これはアリでしょう。今の時代,このような演奏はなかなか聴けないんじゃないでしょうか。

そして録音ですが,残響感はそれほどなく,楽器音を中心に明瞭に捉えているのはすごく良いのですが... 音色に少し癖がのり,そして硬いです。このあたりはさすがEMI録音,というところでしょうか。基本的に悪くないと思うのですが,この硬質な音色ちょっと残念なところです。

最後にリピートについてですが,完璧にすべて行っていますね。文句なしです。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

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ショパン:練習曲全集(小菅優)

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ショパン:練習曲全集
小菅 優 Yu Kosuge (Piano)
August 1999 at Stadthalle Braunschweig
SICC 754 (P)1999 (C)2007 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

小菅さん16歳の時の録音で,「小菅優の才能を認めた指揮者が自身のレーベルramに録音させたもの」であり,「ヨーロッパの権威ある最大の音楽専門誌フォノフォルムで5つ星をもらった記念碑的アルバム」とのことです。2007年にSony Musicから発売されました。作品10,作品25に加え,“3つの新しい練習曲”を含む練習曲全集です。

ショパンの練習曲集というと,私がクラシック音楽の世界に足を踏み入れるきっかけとなったポリーニの名盤で耳が出来上がってしまっていて,他の演奏者の演奏がなかなか受け付けられないのですが,この小菅さんの演奏は,そんな私にもすんなりと聴くことの出来る演奏でした。裏を返すと,あくまで個人的な印象ですが,ポリーニの演奏にかなり近いと思います。細部までコントロールが行き届き,まったく淀みなく,力強く突き進んでいく音楽が爽快です。16歳にしてこの完成度の高さ,素晴らしいです。今の小菅さんならもっと違う表現をされるのではないかと思いますが,16歳の小菅さんの無垢でストレートな演奏が残されたことをうれしく思います。

さて録音ですが,演出感の少ない素直な録音なので基本的には印象は悪くないのですが,わずかな残響というか響きによって音色がモワッと曇ってスカッとしておらず(こんな言い方ですみません(^^;),質感やニュアンスが感じ取りにくくなっているのは残念です。ピアノの録音としては標準的で悪くないとは思いますが,惜しいと思います。

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