バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ジョニー・ガンデルスマン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ジョニー・ガンデルスマン Johnny Gandelsman (Violin)
MSR Studios, NYC (January 4th-6th, 2015), Oktaven Studio, Mount Vernon (September 15th, 2017)
ICR010 (C)2017 In A Circle Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

う~ん,技術的には結構巧いのですが,弾き方がぶっきらぼうというか愛想がないというか, 細かく表情付けしたりしようという気がないようです。 演奏者がどのような思いでこの曲を演奏しているのか,私には全く伝わってきませんでした。 これがこの演奏者のスタイルであり個性なのだとは思うのですが,ちょっと損していると思います。

録音ですが,スタジオでの録音のようなので残響はあまりありませんが, スタジオ内の反響の影響か,スタジオの響きの癖が音色に被っていて今ひとつ冴えない音になってしまっています。 基本的には好きな録音なのですが,このすっきりしない音色は惜しいところです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アナ・ゲッケル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アナ・ゲッケル Anna Göckel (Violin)
Église du Bon Secours, Paris, in May 2017
FF003 (P)(C)2018 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.frApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

端正で美しい好演奏。 音色も伸びやかで透明感があり,爽やかな響きをもたらしていて印象的です。 表現自体はオーソドックスで強く主張する演奏ではありませんが, 気持ちよく聴ける良い演奏でした。 技術的にも全く問題ありません。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に影響しているものの, 音の抜けや伸びは保たれていますし,楽器の質感やニュアンスも感じ取れるので, 十分良好と言える録音です。

アナ・ゲッケルは1992年生まれ,フランスのヴァイオリニスト。

ディスクはまだ日本では取り扱いがないようですが,Apple Music等のサービスで聴くことが出来ます。

(記2018/02/17)



Tower RecordsHMV Onlineiconでも取り扱いが始まりました(5月20日発売予定)。名前の日本語表記を当初「アンナ・ゴッケル」としていましたが,これらの表記に合わせ「アナ・ゲッケル」に変更しました。

(記2018/04/15)

クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年)のハイレゾを聴いてみたら...

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギドン・クレーメル Gidon Kremer (Violin)
1980年2月,3月6月 オランダ,ハーレム,ルター教会
ファイルフォーマット FLAC 192kHz/24bit
参考: e-onkyo

e-onkyoの「バッハ生誕333年記念 プライスオフキャンペーン」でクレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年録音)が通常3,680円のところ2,070円になっていたので,愛聴盤ということもあり,購入してみました。それで早速聴いてみると,持っているCD(→こちら)とだいぶ印象が違ったため,少し調べてみました。

図1は,WaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1楽章分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは192kHzサンプリングであることを考慮して16384サンプルとしました。

kremer.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
パルティータ第2番 Gigue
■Hi-Res ■CD

音が違うはずです。可聴帯域の高域で結構なレベル差があります。この音の差は,ハイレゾというよりはマスタリング時のイコライジングの違いによる可聴帯域内の高域のレベル差が支配的でしょうね。まあCDの方はかなりマスタリングが古そうなので,これくらいの差は別におかしくないかとは思いますが。私としては,高域のヌケが良くなり,よりクリアに聴こえるようになったので,このハイレゾのマスタリングは悪くないと思いました。

なお,ハイレゾの方は約35kHzまで音声の成分が伸びていますが,それ以上はノイズシェーピングによるノイズが顕著になっていますね。時間波形でみると図2のようになっています。

wave_620.png
図2 CD vs Hi-Res 時間波形(上:Hi-Res,下:CD)
パルティータ第2番 Ciaccona冒頭

最初は無音なのですが,上段のハイレゾの方はかなりノイズレベルが高く見えます。44.1kHzにダウンサンプリングするとこのノイズがかなり減るため,これはノイズシェーピングによる超高域ノイズの波形ではないかと思います。この帯域は聴こえないのですが,波形でみるとちょっと気持ち悪いくらい入っているなと思いますね...

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番(土田越子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番
土田越子 Etsuko Tsuchida (Violin)
2017年9月5-7日 神奈川・相模湖交流センター
EXTON OVCL-00656 (P)(C)2018 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器での演奏。どちらかといえば旧世代の演奏スタイルを継承したような古風な佇まいの演奏です。 全体に手堅くまとめているので強い印象は残さないものの,地味ながら隅々まで細やかに配慮され, 緩急や強弱が丁寧に織り込まれ,伸びやかに表現されているのが好感が持てます。 音に張りと伸びがあるのも良いと思います。

録音ですが,残響が少し多めでしかも間接音比率の方が高いため,せっかくの音色が濁りがちで, ヴァイオリン本来の美しい音色を聴かせてくれる録音ではありません。 明瞭感も今ひとつ,音のヌケも良くなく,もどかしさを感じます。 これは本当に残念に思います。 少々厳しめですが三つ星半です。 また,それほど気になるものではないものの,ホール?でのセッション録音にしては低域のノイズが少し大きめに感じられます。 もう少し配慮して欲しいところです。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(タスミン・リトル Vn/ピアーズ・レーン P)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
タスミン・リトル Tasmin Little (Violin)
ピアーズ・レーン Piers Lane (Piano)
2017年6月13日-15日 ポットン・ホール(サフォーク)
CHAN 10977 (P)(C)2018 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

深くヴィブラートをかけて熱く艶っぽく情感豊かに歌う演奏が印象的です。往年の巨匠にも通じるようなスケールの大きさと堂々とした存在感があります。さすがです。

録音ですが,残響がやや楽器音に被って音色をくすませていて今ひとつすっきりせず,もどかしさを感じるのですが,まあギリギリ許容範囲です。残響の取り入れ方としてはプラス面よりマイナス面の方が大きく好ましいとは思えません。もっとすっきりとクリアに伸びのある音で録って欲しいものです。これはちょっと残念です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(デネス・ジーグモンディ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
デネス・ジーグモンディ Denes Zsigmondy (Violin)
1995年5月
CD JBS 1001/2 Juneau Bach Society (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

気力の漲る意欲的な演奏。 年齢からくる技術的な衰えか,キレが良くないところが散見されますが,ほとんど気になりません。 むしろ勢いのある演奏で味わい深く感じさせるところなど長年の積み重ねを感じさせます。

録音ですが,少し残響が多めなのですが,直接音が主であるため明瞭感の低下や音色への影響は少なく,印象は悪くありません。 もちろん残響を抑えてもっとクリアーに録って欲しかったところですが,これでも十分許容範囲です。

ジーグモンディ氏は1922年生まれ,ハンガリー出身,2014年に亡くなられたとのことです。 これは73歳くらいでの録音になります。

本ディスクは残念ながら現在は入手が難しい状態で,音楽配信も見つけることが出来ませんでした。

(記2017/05/13)



入手が難しい状態が長く続いていましたが,4月に再発売されるようです。少し前に米アマゾンで見つけていたのですが,国内でも輸入盤の取り扱いがされるようで,喜ばしいことです。リマスタリングされているそうですので,これは入手しなければ!
Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

(記2018/03/21)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(川田知子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 30th & 31th March 2017
MM-4013 (P)(C)2017 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第2番,第3番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 27th & 28th June 2017
MM-4026 (P)(C)2018 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

CD試聴記」からの転載記事です。2枚目が発売され全集となりましたので追記して再掲しました。

日本人の謙虚でストイックな真面目さ,技術力の高さを象徴するかのような演奏。 感情移入することなく厳しく作品と向き合っています。 恣意的な「ため」や頭拍に過剰に重きを置くこともなく淡々としたリズムで進行していくのも好感が持てます。 声部の描き出しも丁寧で音楽の構造が良く浮かび上がってきます。 この品格のある古風な佇まいが良いですね。

録音ですが,残響感はあまりなく直接音が主体のため基本的には好感が持てるのですが, 録音会場の反射音が強めで音色の濁りが気になります。 好ましい響きの取り入れ方ではなく,これならない方がずっとマシです。 演奏が良いだけにこの録音は本当に惜しいと思います。

2017年秋に1枚目が,そして2018年初めに2枚目が発売となり全集となりました。 録音時期は3ヶ月空いていますが全体として演奏・録音とも統一されています。

エルガー:ヴァイオリン協奏曲,ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番(レイチェル・バートン・パインVn/アンドルー・リットン指揮/BBC交響楽団)

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エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調作品61
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
レイチェル・バートン・パイン Rachel Barton Pine (Violin)
アンドルー・リットン指揮/BBC交響楽団
2017年1月9日-11日 BBCメディア・ヴェール・スタジオ(ロンドン)
AVIE AV2375 (P)(C)2018 RBP Music (輸入盤) 国内流通仕様
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ブルッフはバートン・パインの濃厚でエモーショナルな表現がこの曲に良く合っていると思います。一方エルガーの協奏曲は...何枚かディスクを持っているのですが,今ひとつ掴み所がわからず,いまだに面白さを理解できていないのでちょっとコメントが難しいです(すみません(^^;)。

録音ですが,ソロ,オーケストラともに残響は控え目で直接音主体にクリアに録音されています。オーケストラは締まりとキレがあり,弦楽器主体に密度感のあるサウンドで構成されている点も好印象。ソロはその上にややフォーカスされて乗ってくるので聴きやすいバランスになっていると思います。協奏曲の録音としてほぼ不満がなく,かなり良いと思います。

最初Apple Musicで試聴して録音が良さそうだったので,この演奏・録音でエルガーをじっくりと聴いてみようと思い,ディスクを入手しました。それにしても...このエルガーの協奏曲,重厚長大で真剣に聴き出すと相当消耗しますね...(^^;。時間が半分くらいだともっと聴くと思うのですが。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(若松夏美)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
若松夏美 Natsumi Wakamatsu (Violin)
2014年3月18-20日,2015年8月12-14日,10月9-11日 コピスみよし,埼玉
ADJ 055 (P)(C)2017 Arte dell'arco (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。一音一音丁寧に確かめるように弾かれていて少々地味で渋く内省的です。 気負いや力みのない自然体の音楽はとても懐が深く味わいがあります。 技術も確かで安心して聴くことが出来ます。

録音ですが,残響というか会場の響きが楽器の音色を少し曇らせているのが少し残念なところですが, 音の伸びやニュアンス,質感はそれなりに感じられるのでまあ悪くはないです。 響きが心地よさよりも音色を損なう負の効果の方が大きく,これならない方がマシで, もっと透明感のあるクリアな音で録ってくれていたらもっと楽しめたのにと思います。

あと,ホールでの録音としてはバックグラウンドノイズが大きめで, それほど邪魔にはならないものの,もう少し録音環境に気を遣って欲しいと思いました。 まあ低域までフラットに捉えていてリアルさに一役買っている面はありますが。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(フランク・ペーター・ツィマンマーマン Vn/ベルリン・バロック・ゾリステン)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
フランク・ペーター・ツィマンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
ベルリン・バロック・ゾリステン
2017年4月 イエス・キリスト教会
HC17046 (P)(C)2017 hänssler CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

このディスクでは,ヴァイオリン協奏曲第1番BWV 1041,第2番BWV 1042と,原曲がヴァイオリン協奏曲とされるチェンバロ協奏曲第1番BWV 1052をヴァイオリン協奏曲として再構築したもの,ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲BWV 1060を2つのヴァイオリンに編曲したもの,が収録されています。最後の曲は息子のセルゲ・ツィンマーマンとの共演とのことです。

スピード感のあるキレの良いスリリングな演奏ですねぇ。バッハの演奏としてはちょっと刺激的すぎる感はありますが,この痛快な演奏は結構好きです。こういうモダン楽器バリバリ(死語?(^^;)の演奏もアリじゃないかと。

録音ですが,残響はあるものの直接音主体に明瞭に録られた好録音です。まるでスタジオで録られたような感じであり,少々実在感が薄いようにも思いますが,残響で曇った録音よりははるかに良いと思います。このシャープな録音が演奏のキレの良さをさらに際立たせていますね。密度が高く息苦しい感じもあるので,もう少しすっきりと見通しが良かったら言うことなしなのですが,まあそれでもかなり良い方だと思います。

サリー・ガーデン(バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他)(高橋和歌)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
高橋和歌 Waka Takahashi (Violin)
録音不明
NAT17181 (P)(C)2017 N.A.T co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。バッハのみのコメントです。

淡々とキッチリと,そして美しく整ったいかにも日本人らしい生真面目な演奏。 この控え目で清廉な感じにとても惹かれます。 技術力も全く問題ありません。

しかし,録音が今ひとつ良くありません。 残響が多く直接音よりも間接音が主として聴こえるため,明瞭感が落ち音色がくすみがちです。 せっかくの美しい音色を損なっているのが残念でなりません。 残響が多い割にはマシな方なので許せる方は多いと思いますが,私としては残念です。

高橋氏は2009年にソナタ第1番とシャコンヌを収録したディスクを発売されていました(→こちら)。

[併録曲]
ピゼンデル:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ イ短調
ダウランド(高橋和歌編):憂鬱なガイヤルド
ロージャヴェルジ:望郷 - ハンガリーの夢
パガニーニ:無伴奏ヴァイオリンソナタ イ長調 MS. 83
青森県民謡(藤本幸男編):津軽じょんがら節
アイルランド民謡(高橋和歌編):サリー・ガーデン

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ミリアム・フリード) ※2016年録音

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミリアム・フリード Miliam Fried (Violin)
Jerusalem Music Center, December 2016
Nimbus Alliance NI 6351 (P)(C)2017 Wyastone Estate Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

同氏20年ぶり2回目,70歳での録音。 速めのテンポで淡々と淀みなく演奏される点は1回目と同様ですが, ニュアンスが多彩な円熟した味わい深い音楽に仕上がっています。 技術的にも衰えはほとんど感じさせず,正確で安定しています。 インパクトはありませんが,聴く度に感銘を受ける好演奏です。 音楽的な深化と技術の衰えが交差するベストタイミングを狙って録音されたのでしょうね。

録音ですが,残響の影響でわずかながら音色にくすみが感じられるものの, 直接音が主体で細部も聴き取れますし,楽器の質感も感じられます。 もう少し透明感,ヌケの良さがあると良かったのですが,これでもまずまず良好です。少々オマケですが四つ星半です。

なお,本ディスクはレーベル公式のCD-R盤です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ミリアム・フリード) ※1997年録音

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミリアム・フリード Miliam Fried (Violin)
du 8 au 13 décembre 1997 à la SALLE BLACHIÈRE
LYR 187/188 (P)(C)1999 LYRINX (輸入盤)
好録音度:★★★☆

CD試聴記」からの転載記事です。

速めのテンポで淡々と,しかし淀みなく,そして生き生きと生気に溢れているのが良いですね(特にソナタ第3番,パルティータ第3番が秀逸)。 技術的にも万全で隙がありません。 50歳くらいでの録音ですが,フレッシュな印象を受けます。

録音ですが,少し残響が多めであり,楽器音に癖のある金属的な響きが重畳されて音色を損なっています。 この程度であれば問題ない方も多いとは思いますが,私としてはあまり良い印象ではありませんでした。 もっと楽器本来の透明感のある美しい音色を大切にした録音を望みたいところです。

ミリアム・フリードは1946年ルーマニア生まれ,イスラエル出身で, 1968年のパガニーニ国際コンクール優勝,1971年のエリザベート王妃国際コンクール優勝といったコンクール歴を持っています。

本ディスクは廃盤になってから久しく,少々入手がしづらい状況です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(五嶋みどり) Blu-ray & DVD

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
五嶋みどり Midori (Violin)
2016年8月8日-11日 ドイツ,ケーテン城
KKC-9261 (ACC10403) (C)2017 Accentus Music (国内流通仕様盤) *Blu-ray Disc
好録音度:★★★★☆(Sonata No. 2, 3, Partita No. 2)~★★★★★(Sonata No. 1, Partita No. 1, 3)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
五嶋みどり Midori (Violin)
2016年8月8日-11日 ドイツ,ケーテン城
ACC20403 (C)2017 Accentus Music (輸入盤) *DVD
好録音度:★★★★☆(Sonata No. 2, 3, Partita No. 2)~★★★★★(Sonata No. 1, Partita No. 1, 3)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

2017年5月5日にNHK BSプレミアムで放送された番組の感想を記事にし(→記事),ディスクメディアでの発売を期待する, と記載していましたが,この12月にようやくBlu-ray DiscとDVDで発売されました。

演奏も録音も素晴らしいこの人類の至宝とも言うべき映像作品がディスクメディアとして発売されたことを本当にうれしく思います。(私はBlu-rayとDVD両方買ってしまいました(^^;)。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(リサ・ジェイコブス Vn/ザ・ストリング・ソロイスツ)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
リサ・ジェイコブス Lisa Jacobs (Violin)
ザ・ストリング・ソロイスツ
April 19 & 21, 2017 Cunerakerk, Rhenen, The Netherlands
COBRA 0061 (C)2017 Cobra Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ハイドンのヴァイオリン協奏曲も見つけると手に入れてしまう好きな曲の一つです。リサ・ジェイコブスはオランダの若手ヴァイオリニスト。このハイドンの愛らしい曲をモダン・ヴァイオリンで美しく奏でているのですが,ちょっと控え目で大人しく枠にはまりすぎている気もします。協奏曲なのでもう少しはじけても良いのではと思います。なおカデンツァはすべて本人によるものとのことです。

録音ですが,ソロは少し残響を伴っていてまとわりつきが気になりますが,透明感があり音の抜けもまずまず良好で悪くありません。バックのアンサンブルはさらに残響が多いのですが,直接音と分離しており,響きが周囲にふわっと広がり空間性を上手く演出していて,残響が多い割に印象は悪くありません。残響を取り込むならこんな風にして欲しいという好例です。ソロがもう少し前に張り出してくれるとなおよかったのですが,まあこれでも十分に良好です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(パトリス・フォンタナローザ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
パトリス・フォンタナローザ Patrice Fontanarosa (Violin)
2016年5月 フランス,クルトンピエル
POL 118 130 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.esClic Musique!

CD試聴記」からの転載記事です。

年齢によると思われる技術の衰えでわずかにキレが悪いのは否めませんが, 終始速めのテンポで前向きで勢いがあり,音楽に淀みがありません。 そしてかつ得も言われぬ味わい深さがあります。 しかし,やはりもう10年早く録音してくれてたらなぁと思わざるを得ません。

録音ですが,残響はやや多めですが,比較的近い距離で録音されているためか,直接音もそれなりに感じられ, 楽器の質感もそれなりに保たれているため,悪い印象ではありません。 もちろんもう少しクリアに録って欲しかったとは思いますが,十分許容範囲です。

フォンタナローザ氏はフランスのヴァイオリニストで,1942年生まれで現在75歳とのことです。 いつ録音されたのか明記されていないのですが,もしここ数年で録音されたのなら, かなり健闘されていると思います。

蛇足ですが,デジパックの裏面に, 「偉大なバイオリニスト パトリス・フォンタナローサが世界中で演奏を重ねてきたバッハ無伴奏ソナタとパルティータの待望の録音である。」 と日本語だけで記載されているのがなんとも不思議な感じです。

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本ディスク,当初Amazon.es(なぜかスペインのAmazonでしか見つからなかった)に注文していたのですが,なかなか入荷しないので,しびれを切らして他のサイトを探しClic Musique!というサイトで見つけたので注文しました。そしてAmazon.esをキャンセルしようとしたら...発送された直後でキャンセル出来ず,結局2セット購入してしまいました(^^;。



Tower RecordsHMV Onlineiconで輸入盤が購入できるようになったようですね...

HMV Onlineiconの紹介に録音データが記載されていましたので,それを信じて記事を修正しました(HMV Onlineに感謝)。

(追記2018/01/12)

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(パトリシア・コパチンスカヤVn/テオドール・クルレンツィス指揮/ムジカエテルナ)

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
パトリシア・コパチンスカヤ Patricia Kopatchinskaja (Violin)
テオドール・クルレンツィス指揮/ムジカエテルナ
2014年5月 ペルミ国立チャイコフスキー・オペラ&バレエ劇場
88875190402 (P)2016 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Musice-onkyo

2016年度 第54回レコード・アカデミー賞の協奏曲部門の受賞ディスクなのでご存じの方も多いと思います。クルレンツィスつながりApple Musicで聴いてみました。

奇異に感じられる演奏も,彼女の身体に染みついた東欧の民族音楽スタイルを持ち込んだのかと思えばなるほどと思います。まぁこれが好きかどうかは人によりますね。聴き比べには大変面白いのですが,愛聴盤になるかといえばどうかなと思います。ただ,終楽章のラストにはちょっと興奮を覚えました。

さて録音ですが,残響控え目で,すっきりと見通しの良い,明瞭感の高い好録音でした。サウンドにも締まりがあり,ほとんど欠点が見当たりません。全くストレスを感じることなく聴くことが出来ました。強いて言うならもう少し寄って楽器の質感を高めに,そして左右のサウンドステージの広がりが感じられればもっと良かったと思うのですが,これでも十分です。好録音の一つの見本になる録音です。少し音が痩せ気味にも感じられるので芳醇な響きが好みの方には合わないかも知れませんが。

カップリングはストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」という曲ですが,最初の0.5秒で,これは私には無理だ,と思ったので聴いていません(^^;。

ポーツ・オブ・コール(アラスデア・フレイザー fiddle/ナタリー・ハース cello)

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ポーツ・オブ・コール PORTS OF CALL
アラスデア・フレイザー Alasdair Fraser (Fiddle)
ナタリー・ハース Natalie Haas (Cello)
CUL125D (P)(C)2017 Culburnie Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

スコティッシュ・フィドラーのアラスデア・フレイザーとチェリストのナタリー・ハースのデュオ。おそらく5枚目のアルバム。今までの4枚もすべて取り上げてきました(→1枚目2枚目3枚目4枚目)。最初のアルバムが2004年なので,もう13年以上も続いているのですね。

一つ前のアルバムが少しポップな仕上がりになっていたのに対し,今回はデュオ中心にトラッドの香りの強い本来の姿に戻ったのではないかと思います。じっくり聴かせる曲が多いように思います。好きですね~こういうの。甘美な旋律を奏でるフィドルとキレの良いリズムを刻むチェロ,たまりませんなぁ。クラシック演奏家に比べると腕前はたかが知れていますが,そんなことはこの楽しい音楽の前ではほんとどうでも良くなります。

こういう音楽で録音云々はあまり意味がないようにも思いますが,スタジオ録音なので当然ながら邪魔になる残響や,響きによる音色の曇りはなく,楽器音をストレートに堪能できます。ちょっと人工的な響きは付け加えられているようですが問題ありません(もちろんない方が良いのですが)。クラシックと同じ生楽器なのになんでこうも違うんでしょうね。

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最後に,収録曲ではありませんが,最近のYouTube動画から演奏を紹介します。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アンティエ・ヴァイトハース)

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[Vol. 1]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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[Vol. 2]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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[Vol. 3]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第1番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第4番,第6番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553381 (P)(C)2017 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,力強くキレがあり,速めのテンポを基調に緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 なおVol. 1はやや残響が多めでVol. 2, Vol. 3に比べると少し落ちます。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 Vol. 3でバッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作が完結しましたので,以前の感想と併せて再編しました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番(川田知子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 30th & 31th March 2017
MM-4013 (P)(C)2017 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

CD試聴記」からの転載記事です。

日本人の謙虚でストイックな真面目さ,技術力の高さを象徴するかのような演奏。 感情移入することなく厳しく作品と向き合っています。 恣意的な「ため」や頭拍に過剰に重きを置くこともなく淡々としたリズムで進行していくのも好感が持てます。 この品格のある古風な佇まいが良いですね。

録音ですが,残響感はあまりなく直接音が主体のため基本的には好感が持てるのですが, 録音会場の反射音が強めで音色の濁りが気になります。 好ましい響きの取り入れ方ではなく,これならない方がずっとマシです。 演奏が良いだけにこの録音は本当に惜しいと思います。

Vol.2があるのかどうかわかりませんが,演奏は素晴らしいので全集として完結することを期待します。 是非!

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ヨゼフ・スーク)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヨゼフ・スーク Josef Suk (Violin)
Recorded: 1970, Abbey Road Studios, London.
5 73644 2 (P)1971 EMI Records Ltd. Compilation and digital remastering (P)&(C)1999 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヨゼフ・スーク Josef Suk (Violin)
18-25. IX. 1970. Abbey Road Studios, London
Warner Classics WPCS-28097/8 (P)(C)1971 Remasterd (P)2017 Parlophone Records Limited. (国内盤) ※2017年リマスター盤
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

往年の正統派の演奏で,力強く張りのある芯の太い音色が印象的です。 折り目正しく丁寧であり,細部まで落ち着きを持って弾き込んでいます。 真摯で格調高く,そして個性を前面に出すことなく,この曲の本来の素晴らしさを見事に描き出していると思います。

録音ですが,残響はそれほど多くはないのですが,スタジオの響きが被ってやや曇っていると同時に, 変にキンキンした癖のある音色になっています。 EMIらしいといえばEMIらしいのですが,やっぱりすっきりしない録音です。 1970年の録音としてはクオリティはあまりよくないように思います。

このディスクは長い間廃盤で手に入りにくい状況でしたが,2014年にタワーレコードが復刻をされていました(現在は廃盤のようです)。 2017年になってリマスター盤として再び現役盤復帰しました。

リマスター盤の音質ですが,基本的な音質について大きく改善されたわけではありませんが, 特に低域のレンジ感が広がり,リアリティが増しています。 マスターテープに起因すると思われる音質の悪さは変わりがなく,この点が改善されなかった(出来なかった?)のは少々残念です。

シューベルト:交響曲第5番,ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲,他(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

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シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
シューベルト:ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調 D.345
シューベルト:ヴァイオリンと弦楽合奏のためのロンドイ長調 D.438
シューベルト:ポロネーズ変ロ長調 D.580
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/1/22-24 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32794 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリーのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集に続いて,同じ演奏者によるシューベルトです。ヴァイオリン独奏の曲は聴いたことのない曲ばかりです。いずれも屈託のない明るさがまるでパガニーニを聴いているようで楽しいです。ヴァイオリニストの個性にも合っていますね。まあ全体にちょっと粗削りのところはあります。

録音も前エントリーのモーツァルトとほぼ同じです。若干残響があり,ソロにも少し被りが感じられますが,楽器の音色はそれほど損なわれておらず響きの美しさを保っています。張りのある力強い録音で良いと思います。やはり少し誇張から不自然さが出てしまうものの,プラス面の方が多いと思います。フンガロトンらしい好録音ですね。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ジョルト・カッロー(Vn)/ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/9/17-19,2017/2/3-6 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32761 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。ピリオド楽器による演奏で,ハイドンのヴァイオリン協奏曲が録音が良かったので,これも期待して聴きました。演奏はやはり同じように素直で実直で素朴な魅力がある佳演です。なお,この演奏に名手の技量を要求してはいけません(^^;。このあたたかな雰囲気を楽しみたいものです。

それで肝心の録音なのですが,傾向的には前述のハイドンと同じで,ソロはわずかな響きを伴っているものの,きちっとフォーカスされ,明瞭に聴くことができます。オーケストラも同様に残響を抑えた明瞭感のある録音なのですが,少し音色のバランスは崩れているように思います。この点が惜しいです。また,やや誇張された録音のため自然さには欠けますが,私としては十分に許せます。

録音が良いと音楽が活き活きと伝わってきて楽しさが倍増しますね。

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲,フィンガルの洞窟,交響曲第5番「宗教改革」(イザベル・ファウストVn/パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ)

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メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)」作品26
メンデルスゾーン:交響曲第5番ニ短調作品107「宗教改革」
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ
2017年3月19-22日 バルセロナ,オーディトリウム第1ホール「Paul Casals」
HMM 902325 (P)2017 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器による演奏。ここに収録された協奏曲と管弦楽曲,交響曲,どれも良いですね。この聴き慣れた超有名協奏曲が溌剌とした躍動感に満ちて実に新鮮な印象をもたらしますし,交響曲も快活で引き締まっていて聴き応えがあります。

一方で,特に協奏曲におけるヴァイオリンのソロに関して,フォルテのところでは楽器が悲鳴をあげているような,限界を越えて鳴らそうとしているかのような音のつぶれも感じられ,大ホールにくまなく音を行き渡らせようとするような前提での演奏になっているのではないか,というようなピリオド楽器の限界のようなものも同時に感じました。

これはこれでもちろん素晴らしいと思うのですが,ピリオド楽器がやや苦手な私は,こういう演奏をモダン楽器でやってくれたらなぁ,と毎度のことながら思ってしまいます。

録音ですが,残響はそれなりにあるものの,直接音が主体ですっきりと見通しよく録っているのが好印象です。高域の伸びも申し分ありません。一方で低域は控え目で,全体のバランスとして高域に寄っていて刺激的に感じられるところもありますが,軽量級の演奏を活かす好録音だと思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(リカルド・オドリオゾラ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
リカルド・オドリオゾラ Ricardo Odriozola (Violin)
Herdla Church Askøy, Norway, March 27th 2004 - September 30th 2006
品番なし Amethyst Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amethyst Records

CD試聴記」からの転載記事です。

意欲がよく伝わってくる,勢いのある演奏。 技術的にものすごく上手いというわけではありませんが, 自己の技術の限界を見極めて破綻寸前まで攻めてぎりぎりで踏みとどまっているという感じで, その結果なかなか聴き応えのある音楽に仕上がっています。 パルティータ第3番は弾き込み不足なのか少し粗が目立つのが残念ですが,それ以外の曲は良いと思います。

録音ですが,残響のまとわりつきがやや気になるものの, オンマイク気味で直接音が支配的なためニュアンスもしっかりと聴き取れるまずまずの好録音です。ただしオーディオ的な品質は「並」です。

リカルド・オドリオゾラ氏の詳細はよくわかりませんが現在ノルウェーにお住まいのようです。 自主制作盤のようで,Amethyst Recordsから注文して入手しました(支払いはPayPalのみ)。 ノルウェーからご本人の名前(サイン入りの送り状も同封)で送ってきました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ステファノ・モンタナーリ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ステファノ・モンタナーリ Stefano Montanari (Violin)
13-16 agosto 2011, Auditorium Modernissimo, Nembro
AMS 108-2/109-2 (P)(C)2012 PARAGON (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.it

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 かなり好き勝手にやっています。 意欲的に攻める演奏で,即興的にいろいろな表現を試しているのは良いのですが,正直ちょっとやり過ぎと思うところもあります。 面白いとは思うのですが,あまり好きになれる演奏ではありませんでした。 技術的にはかなり上手いと思います。

録音ですが,楽器音に残響がやや多めに被って音色を損なっており,中域の癖が強く, 高域に伸びない割に妙にキンキンしているなど,あまり好ましく思えませんでした。 まあそんなに悪くはないのですが,私の好きな録音ではありません。 もう少しすっきりと透明感のある音色で録音して欲しいものです。

Élite Amadeusというイタリアの雑誌の付属CD。いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Bar(シャコンヌ狂時代)で知ったディスク(有り難うございました)。海外のアマゾンで買えるとのことでしたので,早速Amazon.itに注文し,無事に入手しました。現時点で品切れになっているのでぎりぎり間に合ったようです。 ラッキーでした。

 バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(チェチーリア・ベルナルディーニ(Vn)/ジョン・バット指揮/ダンディン・コンソート)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
チェチーリア・ベルナルディーニ Cecilia Bernardini (Violin)
ジョン・バット指揮/ダンディン(ダニーデン)・コンソート
2014年11月17日~20日 グレイフライアーズ教会(エジンバラ)
CKD 519 (P)(C)2015 LINN RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

バロック・ヴァイオリンによる演奏。流麗で美しく技術的にもとても上手い演奏なのですが,協奏曲としては今ひとつ押しというか自己主張が弱く控え目すぎる感じがします。室内楽だと思って聴けば良いのかもしれませんが,う~ん,ちょっと物足りないです。

録音ですが,残響が多く基本的には私の好きな録音とは方向が違うのですが,楽器音の滑らかで伸びのある音色はそれなりに聴くことが出来るのと,残響がマイナス方向ではない取り入れ方になっていると思いましたので,少し甘い評価ですが四つ星半としました。LINN RECORDSは残響が多めであまり好きではないのですが,これを含め最近のものは好録音的に少し良くなってきているように思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ヘンリク・シェリング 1967年)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヘンリク・シェリング Henryk Szeryng (Violin)
1967年7月 スイス
F66G 20001/2 (419 307-2) (P)Polydor K.K., JAPAN (国内盤)
好録音度:★★★★

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヘンリク・シェリング Henryk Szeryng (Violin)
1967年7月 スイス
UCCG-9719/20 (453 0052) (P)1968 Deutsche Grammophon (C)2007 Universal Classics & Jazz (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。15年ぶり2回目の記事の更新です。

思わず居住まいを正して聴きたくなるオーソドックスで格調の高い演奏。 技術的な完璧さはもとより,重音や複数の声部が絡み合う表現など,考え抜かれ,磨き抜かれていて,聴くほどにこの演奏の凄さに感心してしまいます。 しかし,いまだに輝きを失うことのない名演奏だと思う一方で,どっしりと構えた動感の乏しい演奏はさすがに時代を感じさせる古いスタイルだなぁと思うのも正直なところです。

録音ですが,残響感が少なく細やかなニュアンスまで聴き取ることのできる好ましい録音ではあるのですが, やや録音会場の響きがのって音色に癖があり,透明感や音の伸び,ヌケが阻害され,古臭い音色になってしまっているのが残念に思います。

この演奏はシェリング2回目の全集録音で,LPの時代に最初に購入して聴き込んだ思い出深いものです。 当時から高評価を得ていた名盤で,現代でもその高評価が続いているのも頷けます。 メジャーレーベルということもあって,何度も再発売され続けていますね。

現在現役で流通しているのはOIBPリマスタリングされたものだと思います。 CD化当初の盤と聴き比べてみると,それなりに鮮明さが改善されていました。 買い直した価値はあったかなと思います。

イェルーン・デ・グルートのバッハ無伴奏ヴァイオリンの本(CD付属)がやっと届きました

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
イェルーン・デ・グルート Jeroen De Groot (Violin)
録音不明(2016年と思われる)
ISBN 978-90-389-2557-8 (P)2016 Jeroen De Groot (輸入盤)
参考: Apple MusicAmazon.co.jp公式Webサイトbol.com

本ディスクは2017年5月17日に取り上げていました(→こちら)。そのときはApple Musicでの試聴だったのですが,やはりディスクを手に入れたいと思い,公式Webサイトからbol.comという通販サイトへ飛んで,そこから注文していました。

そして注文してから待つこと約2ヶ月,運送途中で行方不明になったのではないかと諦めかけていた頃にやっと届きました。 立派な装丁のハードカバーの本で,全集を収めたCD 2枚とドキュメンタリーのDVD 1枚が付属していました。 ドキュメンタリーは2016年3月21日に行われた教会でのコンサートの一部とインタビューが収録されています。 CDはこのコンサートのライヴではなく,おそらく同時期にセッションで収録されたものと思われます。

本自体は結構分厚いのですが,オランダ語,英語,ドイツ語,フランス語,イタリア語,スペイン語,中国語の7カ国語で記載されていて, 分量的には一般的なCDに付属している解説書程度でした。

以下,付属DVDのキャプチャ画面です。

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これはDVDのメニュー画面です。なんちゅう行儀の悪い格好で弾いてるんでしょうか!(^^;

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コンサート会場の教会です。

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楽器のボティにマイクを付けて演奏していますね。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(杉江洋子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
杉江洋子 Yoko Sugie (Violin)
13-16 December 2016
LeavesHMO HMOC 17839/40 (P)2017 ヒビキミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

バッハだからといって何か特別なことをされているという感じではありません。 今まで長い年月をかけて積み重ねてこられた手法, すなわちベストパフォーマンスを発揮できるご自身のやり方でこの曲に向き合われたのではないかと思います。 その結果,ごく自然に語りかけてくるような,陰影に富む味わい深い演奏に仕上がっています。 ピリオド奏法を取り入れる演奏が多い昨今, モダン楽器の伝統的なスタイルの延長線上でこのような優れた演奏が生み出されたことを大変うれしく思います。

そして録音ですが,少し残響があり,やや距離感があるために残響の影響を受けているのですが, それでも直接音が主体であり,ニュアンスも伝わってきますし楽器の質感も感じ取ることが出来ます。 もう少し音色に透明感と伸びが欲しいところですが,それでもソロ楽器の録音としてかなり良好な部類に入ると思います。

ということで,演奏も録音も良い,長く聴き続けたいと思える良盤でした。

杉江洋子さんは京都出身,幼少の頃からコンクールで優秀な成績を収められ, 京都堀川音楽高等学校,東京藝術大学・大学院を卒業,神戸室内合奏団,大阪センチュリー交響楽団を経て, 現在は京都市交響楽団の第二ヴァイオリン副首席奏者を務められているとのことです。