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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番(大谷康子 Vn/広上淳一指揮/大友直人指揮/東京交響楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調作品61
大谷康子 Yasuko Ohtani (Violin)
広上淳一指揮/大友直人指揮/東京交響楽団
2010年9月19日 ミューザ川崎,2009年10月25日 サントリーホール
KICC-997 キングレコード (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

拍手の入るライヴ録音。ヴァイオリンの音色が素晴らしいです。ヴァイオリンという楽器の魅力,協奏曲の魅力が詰まっている好演奏。ライヴながら傷もほとんどなく技術的にも満足できる出来でした。とても良かったです。

一方録音ですが,残響はそれほど多くないものの楽器音に少し被って音色がややくすみがちです。音に伸びがありません。中低域の充実感はあるのですが,高域のヌケの悪さですごくもどかしいです。もう少し寄ってシャキッと捉えて欲しかったです。そんなに悪くはないのですがすごく惜しい録音です。

ベートーヴェン:交響曲全集,序曲全集,協奏曲集(クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集,序曲全集,協奏曲集(8 CDs)
クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
482 6042 (P)(C)2016 Universal Music Italia (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

フィリップス時代に録音されていたものをボックス化してまとめられたもの。収録曲と録音時期は下記の通りです。

・交響曲全集(1987-92年)
・序曲全集(1972-74年)
・合唱幻想曲ハ短調作品80(1993年2月)
・ピアノ,ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調作品56(1992年7月) ※ボザール・トリオ
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(1978年) ※サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)

今回は録音についてのみのコメントです。

交響曲全集は,やや残響が多めで全体に少し音色がくすんだ感じでフィリップス録音にしては冴えない感じでした。そして序曲全集とヴァイオリン協奏曲ですが,オーケストラの方に残響を盛りすぎていて音色がくすんだところを無理矢理イコライザで補正したような違和感があることに加えて,フォルテで飽和して音が潰れています。これはちょっといただけません。

フィリップス録音だからといって良いとは限らないという例で,録音の悪さが気になって音楽自体をあまり楽しむことができませんでした。残念です。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集,他(リチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番,第5番,協奏交響曲
リチャード・トネッティ Richard Tognetti (Violin)
オーストラリア室内管弦楽団
2010年2月, 2009年2月 シドニー,ACOスタジオ
BISSA17545 (P)2010 BIS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番,第4番,他
リチャード・トネッティ Richard Tognetti (Violin)
オーストラリア室内管弦楽団
2010年2月, 2009年2月 シドニー,ACOスタジオ
BISSA1755 (P)2011 BIS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

モーツァルトの交響曲第39番-第41番がとても良かったリチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集を見つけ,Apple Musicで聴いてみました。明るく溌剌としたソロが爽快な演奏で,ニュアンス豊かで音色も透明感があり美しいです。オーケストラの方はちょっと品格が今ひとつのかなというところもありましたが,ソロが良いので気になりません。

そして録音もこの美しいソロを直接音主体に明瞭にヌケよく伸びのある音で捉えています。ソロとオーケストラのバランスも良く,奏者の美質を上手く捉えた好録音と言えると思います。

BISの録音は以前は残響が多めであまり好きではなかったのですが,最近は直接音と間接音のバランスを上手く取ったものもあり,良い方向に変わってきたかなと思います。

リターン・トゥ・バッハ(日下紗矢子)

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リターン・トゥ・バッハ Return to Bach
日下紗矢子 Sayako Kusaka (Violin)
オリヴァー・トリエンドル Oliver Triendl (Piano)
ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ
Mori-no-Hall Hashimoto, Kanagawa, 19 July 2012 (Ciaconna), Konzerthaus Berlin, Kleiner Saal, 2-3 October 2012
COCQ-84998 (P)2013 NIPPON CLUMBIA CO., LTD. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

オールバッハのデビューアルバム。収録曲は下記の通りです。

シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV1004より)
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023
ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV1042
アリオーソ(チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調 BWV1056~第2楽章 ラルゴ)
リュートのための前奏曲 ハ短調 BWV999(コダーイ編)
G線上のアリア(管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068~第2楽章 エア)


Apple Musicで試聴してヴァイオリン協奏曲第2番の録音がとても爽やかだったのでディスクを入手しました。残響はあるのですが直接音が主でバックでふわっと広がるように響くので明瞭感や音色にほとんど影響を与えず,雑味の全くない綺麗な録音だと思いました。とても気持ち良く聴くことが出来ました。

なお,その他の曲の録音は悪くはないのですが協奏曲ほど感銘を受けませんでした。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲,懐かしい土地の想い出(ステファニー・マリー・デガン Vn/ヴァハン・マルディロシアン指揮/カーン管弦楽団)

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
チャイコフスキー:懐かしい土地の想い出作品42(*)
ステファニー・マリー・デガン Stéphanie-Marie Degand (Violin)
ヴァハン・マルディロシアン指揮/カーン管弦楽団
ヴァハン・マルディロシアン Vahan Mardirossian (Piano)(*)
June 21 2012 in Caen / August 2012 in Auditorium Jean Pierre Dautel
Vade-Mecum VM-MM16-04 (P)(C)2019 Maestria Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ステファニー・マリー・デガンはフランス,ノルマンディーのカーン出身ヴァイオリニスト。協奏曲は拍手の入るライヴ録音。ライヴということもあってかもう少し安定感が欲しいと思うところは散見されるのと,もう少し技術的なキレと推進力があればと思うところはありますが,概ね満足できる出来かと思います。

録音ですが,ソロとオーケストラのバランスからいうと,少しソロが小さめでフォルテではソロが聴こえづらくなることがあります。協奏曲の録音としてはもう少しソロにフォーカスしていても良いのではないかと思います。一方オーケストラの方は少し残響が多めなのですが,その残響がふわっと自然に広がり空間を感じさせるものになっていて,また,楽器音への被りが少なく音色への影響も少ないので好感が持てました。このようなオーケストラ録音なら残響も許せますし良いのではないかと思います。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(クロエ・ハンスリップ Vn/ダニー・ドライヴァー P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
クロエ・ハンスリップ Chloe Hanslip (Violin)
ダニー・ドライヴァー Danny Driver (Piano)
2017年3月2日, 5月4日, 10月17日 イギリス,サウサンプトン,ターナー・シムズ・コンサート・ホール
RCDB1000 (P)(C)2019 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music(Vol.1,Vol.2,Vol.3)

ハンスリップは英のヴァイオリニスト。強い印象を残す演奏ではありませんが,表現が軟らかく上品で綺麗に整っているのが良いと思います。

録音ですが,少し距離感があり残響が被り気味ですっきりせず,ややもどかしさを感じます。少なくともヴァイオリンの方はもう少し寄って生々しさを残して欲しかったところです。惜しいです。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(レナ・ノイダウアー Vn/ブルーノ・ヴァイル指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
レナ・ノイダウアー Lena Neudauer (Violin)
ブルーノ・ヴァイル指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団
2013年7月24-28日, 10月14-18日 カイザースラウテルン,SWRスタジオ
93316 (P)2014 SWR Classic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

素直で癖がなく聴きやすい良い演奏だと思いました。技術的にも上手いですし安定感があります。特徴のある演奏ではありませんが,こういうのは聴き飽きず何度でも聴きたくなります。

そして録音ですが,ソロにわずかな響きが被っているものの,比較的近い距離で明瞭に捉えていますし,オーケストラからも浮き上がるように録られていて協奏曲の録音として好ましいと思います。オーケストラも残響の影響が少なく,自然な音色,立体感があり好ましいです。

演奏も録音も良い素晴らしい出来の全集と思いました。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(カティ・デブレツェニ Vn/ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ)

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バッハ:ヴァイオリン・協奏曲集
カティ・デブレツェニ Kati Debretzeni (Violin)
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
2018年12月7-11日 ハムステッド,セント・ジュード教会
SDG732 (P)(C)2019 Monteverdi Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ソロを務めるカティ・デブレツェニはイングリッシュ・バロック・ソロイスツのメンバーであり,2008年よりエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団のリーダーも務める名手とのことです。このアルバムでは第1番,第2番のほか,チェンバロ協奏曲BWV1052, BWV1053からの復元版も収録されており,この復元版も演奏者自身が手がけています。

演奏ですが,バロック・ヴァイオリンであることをあまり意識させない素直な弾き方が好感が持てますし,力強い表現から柔らかい表現まで幅広くニュアンス豊かなのが良いです。オーケストラも含めて弾けるような躍動感のある演奏が素晴らしく思いました。

そして録音なのですが,残響は結構多めなのですが,響き自体は綺麗であることと,楽器音が極めてシャープに捉えられており,音色も残響の影響が比較的少なめです。見通しも良く残響量の割にスッキリとしたサウンドが好印象です。私の好きな録音とは少し違いますが,好録音です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番(ロレンツォ・ガット Vn/ジュリアン・リベール P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番
ロレンツォ・ガット Lorenzo Gatto (violin)
ジュリアン・リベール Julien Libeer (Piano)
2019年4月, 5月 ブリュッセル,スタジオ・フラジェー,スイス,ラ・ショー=ド・フォン,ロマンド大衆劇場音楽ホール
ALPHA 565 (P)(C)2019 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴。第1番,第5番「春」,第10番,第2番,第4番,第9番「クロイツェル」は既発売で取り上げていました。これは第三弾で全集が完結しました。これまでの演奏と同様,若い二人による生き生きとしたフレッシュな演奏が魅力的です。

そして録音なのですが,これまでの録音と場所が異なり,多少時間が経っていることもあって音質の傾向がわずかに違うものの,基本的な録り方はそう違わず似ています。少し残響があるので楽器音への影響はありますが,明瞭であり楽器の質感もよく捉えていて良好です。好録音です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ウート・ウーギ Vn/ラマール・クラウソン P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
ウート・ウーギ Uto Ughi (Violin)
ラマール・クラウソン Lamar Crowson (Piano)
録音 1978年
19075956262 (P)(C)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

イタリアを代表するヴァイオリニスト,ウート・ウーギによる全集。当初の発売はイタリア・リコルディで,今回初CD化とのことです。それにしてもこのアルテュール・グリュミオーを彷彿とさせるような(私だけ?)美音が素晴らしいです。こういう音色を出すヴァイオリニストは現代では少ないような気がします。この美音に触れられただけでも本当に良かった!と思える全集です。

録音ですが,曲により多少のばらつきがあるのですが,ヴァイオリンはかなりのオンマイクで,残響がほとんど感じられません。極めて明瞭でニュアンス豊かであり,楽器の質感も大変良く感じられ,このヴァイオリニストの美音を堪能するのにうってつけと言えます。一方で,ピアノは控えめで,ヴァイオリンが主,ピアノは従と,主従関係がはっきり分かれているような録り方です。私としてはヴァイオリンの音が良い捉えられ方なので問題ありませんが,ヴァイオリン・ソナタの録り方としてはちょっと極端であざといかなとは思います。

また,1978年の録音にしてはクオリティが今ひとつです。マスターテープの品質があまり良くない感じで,ブツブツというノイズや,ドロップアウトのような音の乱れがわずかではありますが感じられ,これだけが惜しいと言わざるをえません。

とはいえ,この貴重な録音がCD化されたのは喜ばしいことだと思います。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,二重協奏曲(ヤン・ティエンワ Vn/ガブリエル・シュヴァーベ Vc/アントニ・ヴィット指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,二重協奏曲
ヤン・ティエンワ Tianwa Yang (Violin)
ガブリエル・シュヴァーベ Gabriel Schwabe (Cello)
アントニ・ヴィット指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団
2017年7月5-7日 ベルリン,イエス・キリスト教会
8.573772 (P)(C)2019 Naxos Rights US (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ヤン・ティエンワ(Tianwa Yang 楊天堝)は中国出身,1987年生まれの若いヴァイオリニスト。私はあまり意識していなかったのですがNaxosで多数リリースがあり,サラサーテの一連の録音が高い評価を受けているとのことでした。

今回はヴァイオリン協奏曲のみのコメントです。

演奏はどちらかといえばオーソドックスですが,技術のキレが素晴らしく,力強く推進力のある曲運びとヴィブラートを絶妙に効かせた美音が印象的でした。個性的ではないので強い印象は残しませんが,真っ当な好演奏だと思います。

録音ですが,オーケストラは残響が少々多めで,ソロも少し遠い感じがありますが,直接音の比率が高めなので音色も曇ることなく,伸びがあり,印象は悪くありません。協奏曲なのでもう少しソロにフォーカスし,質感強めに出して欲しかったとは思いますが,ソロとオーケストラのバランスは誇張がなく自然でこれが適正なのかもしれません。全体にまずまず良好なのですが,でもまあちょっと惜しいかなと思います。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲,他(ダニエル・ロサコヴィッチ Vn/ウラディーミル・スピヴァコフ指揮/ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35,他
ダニエル・ロザコヴィッチ Daniel Lozakovich (Violin)
ウラディーミル・スピヴァコフ指揮/ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
2019年4月 モスクワ
483 6086 (P)2019 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

ダニエル・ロサコヴィッチは2001年スウェーデン生まれの若いヴァイオリニスト。収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
レンスキーのアリア(「エフゲニ・オネーギン」第2幕,アウアー編曲/マイケル・ロット管弦楽編曲)
ただ憧れを知る者のみが(6つのロマンス作品6より,ミッシャ・エルマン編曲)(*)
メロディ(なつかしい土地の思い出作品42 第3曲,エドゥアルト・ハーマン編曲)(*)
感傷的なワルツ(6つの小品作品51 第6曲)(*)
瞑想曲(なつかしい土地の思い出作品42 第1曲,アレクサンドル・グラズノフ編曲)
ワルツ・スケルツォ作品34

(*)スタニスラフ・ソロフィエフ(Piano)


なんというか風貌そのままに,往年の巨匠を彷彿とさせるヴィルトゥオーソ・スタイルですねぇ。チャイコフスキーの名協奏曲を朗々と歌い上げます。スマートな演奏をするヴァイオリニストが多い中,こういう自己主張の強いヴァイオリニストは貴重な気がします。これから先どのように成長していくのか楽しみです。

録音ですが,ソロがきちんとオーケストラから分離して前に出てくる点が良く,音質がやや中低域の支えが薄く,もう少ししっかりと捉えて欲しいところですが,明瞭感,質感もまずまずで悪くありません。オーケストラも左右に適切に広がりが持たせられていて,各楽器の分離,見通しも良く,オーケストラの録音としても良好です。協奏曲としてまずまずの好録音だと思います。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集Vol. 1(千住真理子 Vn/横山幸雄 Piano)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集Vol. 1
千住真理子 Mariko Senju (Violin)
横山幸雄 Yukio Yokoyama (Piano)
2019年6月 群馬県,笠懸野文化ホール
UCCY1101 (P)2019 Universal Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

これも2020年のベートーヴェン生誕250年に向けてのプロジェクトとのことです。このVol. 1は2枚組で,第1番,第2番,第3番,第9番「クロイツェル」,第10番が収録されています。それにしても...この美しくも危うい自由奔放なヴァイオリンを真面目で安定感抜群のピアノが一所懸命に支えるというこの構図が面白く楽しいですね。Vol. 2も楽しみです。

録音ですが,ヴァイオリンが少し前,ピアノが少し後に広がる位置関係で,残響は控えめなものの,やや距離感のあるこぢんまりした録音で,もう少し寄って質感豊かに録って欲しかったとは思うものの,ストレスなく聴きやすい録音ということで,少々オマケですが四つ星半としました。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集作品12(ジェームズ・エーネス Vn/アンドルー・アームストロング Piano)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集作品12
ジェイムズ・エーネス James Ehnes (Violin)
アンドルー・アームストロング Andrew Armstrong (Piano)
録音不明
ONIX 4177 (P)2019 PM Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。ジェームズ・エーネスのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集は,2017年に発売された第9番「クロイツェル」&第6番が発売されていたので,これは第二弾になります。

それにしても...のっけからエーネス節全開だぁ! パールマンを彷彿とさせる独特の美音で奔放に歌いまくる演奏がなんと楽しいことか! これはベートーヴェンを聴くディスクではなく,エーネスの至芸を楽しむディスクですね。最高に楽しいです。

録音ですが,少し残響があってまとわりつきが気になりますが,直接音主体で明瞭感はあり,ニュアンスもきちんと伝わってくるので,演奏者の個性を楽しむには問題ありません。演出感が少しあるのが私としては不満なところですが,まあ十分許容範囲です。

今後のリリースも楽しみです。

ベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(クリスティアン・テツラフ Vn/ロビン・ティチアーティ指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
クリスティアン・テツラフ Christian Tetzlaff (Violin)
ロビン・ティチアーティ指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団
2018年11月16,17日/10月30,31日 Philharmonie Berlin/Groser Sendesaal, Haus des Rundfunks Berlin
ODE1334 (P)2019 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music,HDtracks

私の中では中堅の位置づけであったテツラフですが,今や世界屈指といっても過言ではないヴァイオリニストになったのではないかと思います。そのテツラフのベートーヴェンとシベリウスの協奏曲ということであれば,これは聴かないわけにはいきません。国内発売はまだですが,Apple Musicで試聴したところ,期待通りのワクワクする大変素晴らしい演奏であったばかりか,録音も素晴らしかったので,国内発売を待ちきれずにHDtracksから音源を購入しました(48kHz/24bit FLAC)。

今回は録音についてコメントします。まずソロの音が直接音主体で明瞭かつ伸びやかで質感豊かなのが良いです。そして,ソロとオーケストラのバランスが絶妙で,若干ソロにフォーカスされ前に張り出してきます。さらにオーケストラのサウンドにキレがあり,キリッと締まっているのも良い点です。少し残響がありますがほぼ問題ないレベルです。少しソロを強調しすぎているかもしれませんが,協奏曲の録音としてはむしろこの方がソロを堪能できて好ましいと思います。あらゆる点において標準以上,ソロもオーケストラもほぼ欠点が見当たらない好録音です。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(アリーナ・イブラギモヴァ Vn/セドリック・ティベルギアン P)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
アリーナ・イブラギモヴァ Alina Ibragimova (Violin)
セドリック・ティベルギアン Cédric Tiberghien (Piano)
2018年5月9日-11日 ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン,イギリス)
CDA68200 (P)(C)2019 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

久しぶりに「これは絶対に聴きたい!」と思えるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集が発売になりました。細部まで神経の行き届いた繊細で情感豊かな表現,呼吸感が素晴らしいのですが,さらに溶けあう和音の響きの美しさなど,本当に上手いというのはこういうことなのか!と唸らされる演奏でした。

録音ですが,残響は控えめなのですが,うっすらと響きが直接音に被っていて少し音色をくすませています。とはいえ,弱音までニュアンス豊かに捉えている点では良好と言えます。室内楽の録音としては標準的で,オーディオ的な魅力は薄いものの,悪くないと思います。個人的にはもう少しヴァイオリンに寄って質感を強めに出して欲しかったところです。

ということで,演奏は素晴らしく,録音もまずまずの好録音で,期待通りでした。

ブラームス,リゲティ:ヴァイオリン協奏曲(アウグスティン・ハーデリッヒ Vn/ミゲル・アルト=ベドヤ指揮/ノルウェー放送管弦楽団)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
リゲティ:ヴァイオリン協奏曲
アウグスティン・ハーデリッヒ Augustin Hadelich (Violin)
ミゲル・アルト=ベドヤ指揮/ノルウェー放送管弦楽団
2017年5月30日-6月2日, 2018年9月3-7日 NRK Radio Concert Hall, Oslo
0190295510459 (P)(C)2019 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,HMV Onlineicon

ハイドンのヴァイオリン協奏曲やテレマンのファンタジア,シベリウスのヴァイオリン協奏曲の印象がそこそこ良かったハーデリッヒのブラームス。力強く濃厚で艶やかなヴァイオリンの音色が大変魅力的です。両端の楽章も良いのですが,緩徐楽章が思いのほか美しく歌い上げていて感銘を受けました。往年の巨匠的スタイルはこの曲でも発揮されていてこれが功を奏していると思います。好き嫌いはあるかもしれませんが,これぞ協奏曲の醍醐味という感じで私は気に入りました。

録音ですが,ヴァイオリンは響きが被ってわずかな濁りを感じるものの許容範囲で音色や質感を的確に伝えてくれます。オーケストラは若干残響の影響がありますが悪くありません。ソロとオーケストラのバランスも自然です。特に良い点もない代わりに悪い点も少なく,協奏曲の録音としてそつがなくまとまっていると思います。好録音と言って良いと思います。

なお,リゲティは未聴です...

バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集(ルノー・カプソン Vn/ダヴィッド・フレイ P)

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バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
ルノー・カプソン Renaud Capuçon (Violin)
ダヴィッド・フレイ David Fray (Piano)
2017年 パリ,ノートルダム・デュ・リバン教会
ERATO 0190295505783 (P)(C)2019 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。全6曲のうち,第3番,第4番,第5番,第6番の4曲が収録されています。近年はピリオド楽器で演奏されることが多い同曲ですが,ここではモダン楽器で,しかも徹底してモダン奏法で演奏されているのが特徴と言えるのではないでしょうか。モダン楽器が好きな私には大変うれしいディスクです。

録音ですが,若干残響が多めで付帯音が気になるものの,直接音もしっかりと捉えられており,明瞭で高域の伸びも感じられ,良好です。少々演出がかっていますがこの程度であれば問題ありません。好録音です。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(佐藤俊介 Vn/ゼフィラ・ヴァローヴァ指揮/イル・ポモ・ドーロ)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
佐藤俊介 Shunske Sato (Violin)
ゼフィラ・ヴァローヴァ指揮(+Vn)/イル・ポモ・ドーロ
12-18.II.2018, Lonigo, Italy
0190295633875 (P)(C)2018 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

収録曲は下記の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV1042
2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043
ヴァイオリン協奏曲ト短調 BWV1056R(チェンバロ協奏曲第5番の編曲/reconst. Johann Nikolaus Forkel)

バックを務めるイル・ポモ・ドーロの編成はヴァイオリン3,ヴィオラ1,チェロ1,ベース1,チェンバロ1というミニマムな構成です。発音や装飾にバロック楽器独特のニュアンスは感じるものの,あまりそれを強調しない比較的ストレートな演奏のように思います。またソロが控えめで突出することがなく全体として均整が取れた室内楽的な印象も受けます。個人的には協奏曲としてもう少しソロが主張しても良いかなとは思いました。技術的な上手さ,キレの良さはさすがです。

録音ですが,残響が多めで残響時間もかなり長く,間接音の割合の高い録音のため,音色がかなり影響を受けてすっきりしませんし,やや暑苦しい感じがします。残響の質は悪くないと思うのですが,少し距離感もあって楽器の質感も感じ取りにくくなっていてもどかしいです。もう少し直接音比率を多くして音色に透明感とヌケの良さを持たせて欲しいところです。残念ながら私の好きな録音とはだいぶ距離がありました。

ベートーヴェン,シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(庄司紗矢香Vn/ユーリ・テミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
庄司紗矢香 Sayaka Shoji (Violin)
ユーリ・テミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
2017年10月 サンクトペテルブルク
UCCG-1811 (481 7285) (P)(C)2018 Universal Music (国内盤)
好録音度:★★★★★(ベートーヴェン),★★★★☆(シベリウス)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

これは本当に良かった! 丁寧に思いを込めて朗々と奏でられるソロのなんと美しいことか。この落ち着いた優美で堂々たる演奏に器の大きさを感じます。彼女自身の手によるベートーヴェンのカデンツァも聴きものです。

録音ですが,ベートーヴェンはセッション録音,シベリウスはライヴ録音で,少し差があります。特にベートーヴェンの録音は,違和感の生じないギリギリのところまでソロにフォーカスし,ヴァイオリンの透明感と輝きのある音色,ニュアンスを明瞭に大変よく捉えていて協奏曲の録音としてほぼ不満がありません。ソロを引き立てる往年の巨匠の録音を思わせます。一方シベリウスの方は,こちらも同傾向で悪くはないのですが,音色に若干のくすみがみられ,透明感や高域の伸びがベートーヴェンに比べると明らかに落ちています。なぜベートーヴェンと同じ録り方をしてくれなかったのか,残念でなりません。

ということでこの好演奏・好録音をじっくりと堪能したいと思います。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集(ロレンツォ・ガット(Vn)/ジュリアン・リベール(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番,第5番「春」,第10番
ロレンツォ・ガット Lorenzo Gatto (violin)
ジュリアン・リベール Julien Libeer (Piano)
2017年12月3-5日 ヒルフェルスュム,ファン・デ・オンループ音楽会館第1スタジオ
ALPHA 407 (P)(C)2018 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第2番,第4番,第9番「クロイツェル」
ロレンツォ・ガット Lorenzo Gatto (violin)
ジュリアン・リベール Julien Libeer (Piano)
ALPHA 240 (P)(C)2016 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。ベルギー出身の若手二人によるデュオ。ヴァイオリンのガットはクレバースやデュメイに学び,リベールはピリスの弟子ということです。使用楽器は1698年製のストラディヴァリウス「ヨアヒム」と,バレンボイムも愛用していることで知られるクリス・メーン製造の平行弦ピアノとのことで,いろいろと注目点がありますね。

私としての注目は比較的好録音の多いALPHAレーベルの録音ですね。少し残響感があって楽器音への被りはあるものの,楽器音の美しさ,透明感,音の伸びは何とか保たれていて,まずまずの好録音でした。正直言うと,もう少し近めで楽器の質感を強めに捉えて欲しかったとは思いますが。

ということで,このフレッシュな演奏を良好な録音で楽しませていただきました。

ミスリヴェチェク:ヴァイオリン協奏曲集(レイラ・シャイエ(Vn)/ヴァーツラフ・ルクス指揮/コレギウム1704)

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ミスリヴェチェク:ヴァイオリン協奏曲集
レイラ・シャイエ Leila Schayegh (Violin)
ヴァーツラフ・ルクス指揮/コレギウム1704
Church of St Anne - Prague Crossroads (Czech Republic) in July 2017
Accent ACC 24336 (P)(C)2018 note 1 music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。ヨゼフ・ミスリヴェチェク(Josef Mysliveček)という作曲家は全く知らなかったのですが,チェコ生まれでイタリアで活躍した作曲家とのことです。モーツァルトの20歳年上でモーツァルトにも影響を与えたそうです。当然これらの楽曲も初めて聴くのですが,なるほど,いずれも軽妙で屈託のないラテン的な明るさ,爽やかさが印象的で素直に楽しめる曲ばかりでした。

録音ですが,残響はあるものの直接音が主体で残響も楽器音に被ることなくすっーと綺麗に減衰するので問題ありません。ちょっとあざとい感じの不自然さはありますが,各々の楽器の音が美しく透明感をもって聴こえるため気持ち良く聴くことが出来ます。こういう録音は好きですね。まずまずの好録音です。

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集(ブルック・ストリート・バンド)

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ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集
ブルック・ストリート・バンド The Brook Street Band
レイチェル・ハリス Rachel Harris (Baroque Violin)
タッティ・テオ Tatty Theo (Baroque Cello)
キャロリン・ギブリー Carolyn Gibley (Harpsichord)
2018年1月23日-26日 オックスニード・ホール(グレート・バーン,イギリス)
Avie AV 2387 (P)(C)2018 The Brook Street Band (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music
「CD試聴記」からの転載記事です。

良くも悪くもバロック楽器らしい演奏で,ふくよかなで素朴な楽器の鳴りが良い雰囲気を出しています。 ただ技術的には楽器の不自由さに少し負けている感じがして,そこがバロック楽器らしいところでもあり, 欲求不満が残るところでもあります。

録音ですが,残響は控えめですが,わずかに距離感があって,やや硬く刺激的な音がする反面,明瞭感が不足してすっきりしません。 もう一歩寄って伸びのある,ヌケの良い音で録って欲しかったところです。 惜しい録音です。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲,他(トビアス・フェルドマン/ジャン=ジャック・カントロフ指揮/リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ラウタヴァーラ:ヴァイオリン協奏曲
トビアス・フェルドマン Tobias Feldmann (Violin)/ジャン=ジャック・カントロフ指揮/リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団
2017年4月 Salle Philharmonique De Liege
ALPHA 357 (P)(C)2018 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

αレーベルの録音は比較的私の好みに合うものが多いのでこれも期待して聴いてみましたが,期待に違わず良好な録音でした。若干残響が付帯音として乗っていて楽器音をくすませて伸びやかさを欠いているのが少々残念に思うのですが,中央にきちんとソロを据え,その後方にオーケストラがステージ感をもって広がり,ソロとオーケストラが分離するように録られていて,協奏曲の録音としてはかなり均整が取れていて良いと思います。特にオーケストラの録り方が良いと思いました。少々地味な印象を受ける録音ではあり,また,やはり不満がゼロではないので少々オマケですが,五つ星としました。

演奏は少々控えめかなと思いましたが,謙虚に丁寧に表現されているのが好印象でした。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,スコットランド幻想曲(ジョシュア・ベル/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
ブルッフ:スコットランド幻想曲作品46
ジョシュア・ベル Joshua Bell (Violin)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
2017年9月8-9日 エアー・スタジオ(ロンドン)
19075842002 (P)(C)2018 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。特筆すべきはこの録音です。スタジオ録音のようなのですが,ヴァイオリン・ソロがオーケストラから一段浮き上がるようにキッチリとフォーカスされ,ベルの魅力を存分に引き出しています。音色を損ねる残響もほとんど感じられません。ヘッドホンで聴くと若干位相の不自然さを感じますが,まあ許します。オーケストラはやや立体感と各楽器の分離感が不足しているように思いますが,中低域の音の締まりも良好でまずまずです。

ホールで聴く音響とはかけ離れていてあざとい感じがするので全体のバランスや自然さを求める向きにはあまり好ましくない録音かもしれませんが,私のように奏者のヴァイオリンの音色を堪能したい人には好録音です。このヴァイオリンの美しく艶やかな音色には終始ワクワクしました。不満がゼロではありませんが,五つ星です。

バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集(レイチェル・バートン・パインVn/ジョリー・ヴィニクールChem)

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バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
レイチェル・バートン・パイン Rachel Barton Pine (Violin)
ジョリー・ヴィニクール Jory Vinikour (Harpsichord)
2017年9月5-8日 ニコルズ・ホール
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

もう相当昔にヘンデルのヴァイオリン・ソナタ集を録音されていましたが,それを思い出すような好演奏。特にAllegro楽章の軽快さというか爽やかなテンポ感が何とも気持ち良いのです。モダン楽器の良さ,この人の持ち味が活かされていると思います。こういうバッハのヴァイオリン・ソナタが聴きたかった!満足です。

録音ですが,残響感は少しあるものの適度にヴァイオリンにフォーカスされ,明瞭で伸びがあり,音色も自然で透明感もあり美しく捉えているのが好印象です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(桜井大士)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
桜井大士 Taishi Sakurai (Violin)
2018年1月30日,31日,2月1日 岩舟文化会館コスモスホール
LPDCD101-102 (C)2018 Laplace Records (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

「CD試聴記」からの転載記事です。

一つ一つの音に思いを込めて丁寧に紡いでいく, 起伏を付けず一定の緊張感で弾き進めていく, 日本語が聴こえてくる気がします(多分に先入観が入っていますが(^^;)。 技術的にもキレがあります。 バッハの音楽に対する真摯で謙虚な姿勢が伝わってきます。 今どきの演奏ではない古めかしさも感じますが,これはなかなか聴かせますね。

録音ですが,残響はやや多めで,音色の曇り,明瞭度への影響は少ないものの, 透明感,美しさは失われています。 残響の音楽性への寄与もあまり感じられません。 まあこの録音なら問題ないと思う方も多いとは思いますが, やはり得るものよりも失うものの方が大きいと思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ジョニー・ガンデルスマン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ジョニー・ガンデルスマン Johnny Gandelsman (Violin)
MSR Studios, NYC (January 4th-6th, 2015), Oktaven Studio, Mount Vernon (September 15th, 2017)
ICR010 (C)2017 In A Circle Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

「CD試聴記」からの転載記事です。

う~ん,技術的には結構巧いのですが,弾き方がぶっきらぼうというか愛想がないというか, 細かく表情付けしたりしようという気がないようです。 演奏者がどのような思いでこの曲を演奏しているのか,私には全く伝わってきませんでした。 これがこの演奏者のスタイルであり個性なのだとは思うのですが,ちょっと損していると思います。

録音ですが,スタジオでの録音のようなので残響はあまりありませんが, スタジオ内の反響の影響か,スタジオの響きの癖が音色に被っていて今ひとつ冴えない音になってしまっています。 基本的には好きな録音なのですが,このすっきりしない音色は惜しいところです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アナ・ゲッケル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アナ・ゲッケル Anna Göckel (Violin)
Église du Bon Secours, Paris, in May 2017
FF003 (P)(C)2018 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Amazon.fr,Apple Music

「CD試聴記」からの転載記事です。

端正で美しい好演奏。 音色も伸びやかで透明感があり,爽やかな響きをもたらしていて印象的です。 表現自体はオーソドックスで強く主張する演奏ではありませんが, 気持ちよく聴ける良い演奏でした。 技術的にも全く問題ありません。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に影響しているものの, 音の抜けや伸びは保たれていますし,楽器の質感やニュアンスも感じ取れるので, 十分良好と言える録音です。

アナ・ゲッケルは1992年生まれ,フランスのヴァイオリニスト。

ディスクはまだ日本では取り扱いがないようですが,Apple Music等のサービスで聴くことが出来ます。

(記2018/02/17)



Tower Records,HMV Onlineiconでも取り扱いが始まりました(5月20日発売予定)。名前の日本語表記を当初「アンナ・ゴッケル」としていましたが,これらの表記に合わせ「アナ・ゲッケル」に変更しました。

(記2018/04/15)

クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年)のハイレゾを聴いてみたら...

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギドン・クレーメル Gidon Kremer (Violin)
1980年2月,3月6月 オランダ,ハーレム,ルター教会
ファイルフォーマット FLAC 192kHz/24bit
参考: e-onkyo

e-onkyoの「バッハ生誕333年記念 プライスオフキャンペーン」でクレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年録音)が通常3,680円のところ2,070円になっていたので,愛聴盤ということもあり,購入してみました。それで早速聴いてみると,持っているCD(→こちら)とだいぶ印象が違ったため,少し調べてみました。

図1は,WaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1楽章分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは192kHzサンプリングであることを考慮して16384サンプルとしました。

kremer.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
パルティータ第2番 Gigue
■Hi-Res ■CD

音が違うはずです。可聴帯域の高域で結構なレベル差があります。この音の差は,ハイレゾというよりはマスタリング時のイコライジングの違いによる可聴帯域内の高域のレベル差が支配的でしょうね。まあCDの方はかなりマスタリングが古そうなので,これくらいの差は別におかしくないかとは思いますが。私としては,高域のヌケが良くなり,よりクリアに聴こえるようになったので,このハイレゾのマスタリングは悪くないと思いました。

なお,ハイレゾの方は約35kHzまで音声の成分が伸びていますが,それ以上はノイズシェーピングによるノイズが顕著になっていますね。時間波形でみると図2のようになっています。

wave_620.png
図2 CD vs Hi-Res 時間波形(上:Hi-Res,下:CD)
パルティータ第2番 Ciaccona冒頭

最初は無音なのですが,上段のハイレゾの方はかなりノイズレベルが高く見えます。44.1kHzにダウンサンプリングするとこのノイズがかなり減るため,これはノイズシェーピングによる超高域ノイズの波形ではないかと思います。この帯域は聴こえないのですが,波形でみるとちょっと気持ち悪いくらい入っているなと思いますね...
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