モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ジェームズ・エーネス/モーツァルト・アニヴァーサリー・オーケストラ)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ジェームズ・エーネス James Ehnes (Violin)
モーツァルト・アニヴァーサリー・オーケストラ
2005年8月18-21日 トロント芸術センター,ジョージ・ウェストン・リサイタル・ホール
ONYX 4164 (P)2016 Onyx (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これは上手い!さすがです。技術的にも文句の付けようがないですし,モダン楽器を活かした伸びのある音色とキレの良いはきはきした発音で音楽が生き生きしています。カデンツァもすべて演奏者自身によるものということで,これも聴きものです。そして演奏者自身が選抜した特別に編成されたオーケストラも良いですね。あえて一言いうとすれば,少しモーツァルトを意識して抑え気味に演奏しているように感じられるので,全開で演奏してくれていたらなぁとは思います。でもこれは良いです。

録音ですが,ソロもオーケストラも豊潤でニュアンス豊かに捉えているのは良いのですが,少し残響が多く演出感が強すぎて,もうちょっと生々しさを残して欲しかったと思います。悪くはないのですが,私の好きな録音とは少し違いました。

この全集,2006年のモーツァルト生誕250周年の年に向けて録音され,2007年の「カナダ版グラミー」と言われるジュノー賞を受賞したそうです。納得です。オリジナル盤は廃盤になったようですが,Onixから復刻リリースされました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(浦川宜也)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
浦川宜也 Takaya Urakawa (Violin)
2015/12/16, 2016/1/30, 2/26, 3/28, 4/14-15
HMOC 17836/8 (P)(C)2016 HIBIKI MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

浦川氏34年ぶり2回目の録音で,75歳くらいの録音になります。 年齢からくる技術の衰えはいかんともし難く,相当キレはなくなり音程を含めて不安定です。 しかし,年齢の積み重ねから来る得も言われぬ味わいがあるのも確か。

録音ですが,少し残響が取り入れられていて音色に影響を与えているものの, 楽器の質感もそれなりに感じられて,まずまず良好です。 ソロヴァイオリンの録音として標準的で悪くありません。 もちろん個人的にはもっと残響を抑えてすっきりした音で録って欲しいと思っています。

でもやはりこれは浦川氏とご縁がある方に向けたアイテムなのでしょうね。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(浦川宜也)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
浦川宜也 Takaya Urakawa (Violin)
1979年-1982年
FOCD 2505/6 FONTEC RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

旧世代の古めかしい演奏スタイルを頑なに守り続ける職人気質の頑固オヤジ的演奏(^^;。 遅めのテンポで一音一音力を込め,ヴィブラートをしっかりかけて弾いています。 弓の圧力が強くひたすらハイテンションで音が少々ギスギスしています。 技術的なキレが良いとは言えませんが,地に足の付いた音楽を聴かせてくれます。 渾身のシャコンヌは一聴の価値ありです。 リピートの省略があるのが少々残念です。

録音ですが,比較的オンマイクで残響を抑え気味にしていますが,響きの質があまり良くなく楽器音が少し濁っています。 惜しいと思います。 ソナタ第3番,パルティータ第3番は少し良い状態です。

浦川氏1回目の録音で,40歳頃の録音と思われます。 15年ほど前に1回目のレビューを載せていましたが,久しぶりに聴いてみてだいぶ印象が異なりました。 再レビューです。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲集(ラース・ウルリク・モルテンセン指揮/コンチェルト・コペンハーゲン)

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
ラース・ウルリク・モルテンセン指揮/コンチェルト・コペンハーゲン
2011年3月31日~4月3日 コペンハーゲン,ガルニソン教会
cpo 777 904-2 (P)2014 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。私の好みの録音の多いcpoレーベルということで試聴してみました。

ソリストはコンチェルト・コペンハーゲンのメンバーと思われます。数多あるバロック楽器によるバッハのヴァイオリン協奏曲のディスクの中では特に特徴があるというわけではありませんが,ソリストの腕前も確かであり,アンサンブルも良い優良な演奏だと思います。

録音ですが,残響はやや多めながら後方の空間にふわっと広がる感じで取り入れられていて,明瞭感や音色への影響は少なく良好と言えます。残響を取り入れるのならこんな風にして欲しいという見本になると思います。やはり私の好きな録音とは少し違いますが,この透明感と伸びのある綺麗なサウンドはなかなか良いと思います。好録音です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(イ・ソンイル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
イ・ソンイル Sungil Lee (Violin)
録音データ記載なし
WMED 0520(P)(C)2016 Arcade 9 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器の伝統的なスタイルによるオーソドックスな演奏。 技術的にものすごくキレるわけではありませんが,安定感はあって安心して聴けます。 特徴のある演奏ではありませんが,真摯に音楽に向き合う姿勢が伝わってくる良い演奏だと思います。

録音ですが,やや残響が多めで楽器音へのまとわりつきが少し気になりますが, その影響は少なめで許容範囲です。 ソロ・ヴァイオリンの録音としては標準的だと思います。 もちろん私としては残響をもっと抑えてすっきりと伸びのある音で録って欲しかったとは思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(チョン・キョンファ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
チョン・キョンファ Kyung-Wha Chung (Violin)
19-21.II, 24-26.III, 3-5.IV & 30.V-1.VI.2016, St George's Brisol
0190295944162 (P)(C)2016 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

人間的な魅力に溢れる快演! 力を抜くことで音楽的な表現の幅が格段に広がっています。 陰影に富み情緒豊かであり,彼女自身の言葉でバッハに対する思いが語りかけられているようで大変魅力的です。 かつてのあらん限りの情熱を注ぎ込んだ演奏とは目指す方向性が明らかに変わった,まさに新境地の演奏と言えると思います。

録音ですが,やや残響が多めであり,その影響で少し音色がくすみ,まとわりつきですっきりしません。 旧EMI的音づくりが少々不満ですが,それでも楽器の音はしっかりと捉えられている方なので,許容範囲ではあります。

満を持しての全集録音が素晴らしい出来でホッとする気持ちがある一方で, やはり全盛の時期に全曲録音がされなかったことを残念に思う気持ちが余計に強くなります。 ファンとしては満を持すことなくその時々の姿を残していってくれたらそれが一番うれしいと思うのです。

ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第3集(アンティエ・ヴァイトハース(Vn)/ヘルマン・ボイマー指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第3集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, February 24-27, 2015
cpo 777 847-2 (P)2016 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第1集第2集が良かったヴァイトハースのブルッフ,待望の第3集が発売されました!! 収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第3番ニ短調作品58
ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲嬰へ短調作品84
ロマンス イ短調作品42

どれもほとんど馴染みのない曲ばかりです。これでこのシリーズは完結とのことです。力強く張りのある,そして情感豊かなヴァイオリンが素晴らしいです。第1番ばかりが有名なブルッフの協奏曲ですが,こうして聴いてみると,第2番,第3番は幾分渋いとはいえ,どちらも劣らぬ名曲と思います。もう少し演奏されたら良いのにと思いますね。

さて録音ですが,第1集第2集と変わらぬ好録音です。ヴァイオリンの透明感ある美しい音色が堪能できます。ソロが少々遠めで線が細くボディ感に欠けるところがあるので,もう少し寄ってしっかりと捉えて欲しい気はしますが,これでも十分に良好です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ロマンス第1番,第2番(サルヴァトーレ・アッカルド/オルケストラ・ダ・カメラ・イタリアーナ)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ベートーヴェン:ロマンス第1番ト長調作品40,第2番ヘ長調作品50
サルヴァトーレ・アッカルド Salvatore Accardo (弾き振り)
オルケストラ・ダ・カメラ・イタリアーナ
2005年2月 トリノ
FONE143SA (P)(C)2015 Audiophile Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。アッカルドの弾き振りとのことです。2005年ということですので,64歳の時の録音ですね。かつてのキレはないかもしれませんが,明るく艶やかな音色は健在,円熟した素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

録音ですが,ソロは少し響きを伴いながらも明瞭で細やかなニュアンスまで伝えてくれる好録音です。オーケストラはその後で自然な広がりを持って聴こえ,ソロとの対比,分離もきちんと取れていて,協奏曲の録音として好ましく,私でもまずまず納得できる出来です。

チャイコフスキー,シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(リサ・バティアシュヴィリ/ダニエル・バレンボイム指揮/シュターツカペレ・ベルリン)

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
リサ・バティアシュヴィリ Lisa Batiashvili (Violin)
ダニエル・バレンボイム指揮/シュターツカペレ・ベルリン
Berlin, Funkhaus Nalepastraße, 6/2015(Tchaikovsky), 7/2016(Sibelius)
00289 479 6038 (P)(C)2016 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

どちらの協奏曲も非の打ち所がありません。技術面の完璧さはもちろんのこと,表現においてももうこれ以上望むことがないくらいです。チャイコフスキーは技術の誇示に走ることなく,力強くも美しさと歌心が追求されていますし,シベリウスではさらにスケールの大きな演奏が展開されています。オーケストラもソロに合わせて変幻自在な表情を見せていて良いと思います。

さて録音なのですが,やや残響が多めであり,その響きがソロに付帯音としてまとわりついて音色を曇らせ,透明感を奪っています。生々しさがなく,微妙な質感も失われて少しもどかしさを感じます。オーケストラを含めて演出されパッケージングされた音楽としてちょっとまとめ過ぎと思います。音の滑らかさ,ダイナミックレンジ感などオーディオ的なクオリティは高いと思いますが。せめてもう少しソロをクリアに,生々しい質感を残して録って欲しかったと思います。一般的な評価は高いかもしれませんが,私としてはこの冴えない録音は少し残念です。

カーネギー・ホール・リサイタル(五嶋みどり)

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カーネギー・ホール・リサイタル
五嶋みどり Midori (Violin)
ロバート・マクドナルド Robert McDonald (Piano)
1990年10月21日 ニューヨーク,カーネギー・ホール
SICC-2007 (P)(C)1991 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ライヴ・アット・カーネギー・ホール
五嶋みどり Midori (Violin)
ロバート・マクドナルド Robert McDonald (Piano)
1990年10月21日 ニューヨーク,カーネギー・ホール
D4158 (P)(C)1991 Sony Music Entertainment (輸入盤) (*DVD)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これももう説明の必要がない有名盤だと思います。五嶋みどりさんが19歳の誕生日を迎える数日前のリサイタルとのことです。DVDは発売当時に購入していましたがCDでは持っていなかったので,先日再発売盤が出たのを機会に購入することにしました。

収録曲は以下の通りで,DVDの方が収録曲が多いです。

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番ト長調K.301 (*DVDのみ)
R. シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
エルンスト:練習曲第6番「夏の名残りのばら」
ショパン:ノクターン第20番嬰ハ短調遺作
ラヴェル:ツィガーヌ
ドビュッシー:美しい夕暮れ
サラサーテ:スペイン舞曲集よりサパテアード (*DVDのみ)

この中ではエルンストの夏の名残のばらが大好きで何度も何度も鑑賞しました。この曲の他の奏者の演奏を幾つか聴いてみたことはありますが,テクニックが追いついていなかったり,テクニックの誇示に走りすぎたりしていて,この演奏のように完璧なテクニックを音楽表現に余すところなく活かした演奏は他になく,私にとってのベストの座は揺らぎませんでした。映像で観ることが出来るのもうれしいですね。

CDには収められていないアンコールのサパテアードも楽しい演奏なのですが,これは映像がないと楽しさ半減かもしれません。それもあって割愛されたのかもしれないですね。

さて録音なのですが,残念ながらこれがあまり良くありません。残響はそれほど多くはないのですが,やや明瞭感に乏しく,高域の伸び感も今ひとつで冴えないのです。そんなに悪くはないのですが,もう少し質感豊か伸びのある音で録って欲しかったですね。再発売盤で音質改善がされているかと期待したのですが,改善はされていないようでした。残念です。

エルンストの夏の名残のばらの映像がYouTubeにありましたので,未聴の方はぜひこの素晴らしい演奏に触れていただければと思います。

シベリウス,ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲(イダ・ヘンデル(Vn)/パーヴォ・ベルグルンド指揮/ボーンマス交響楽団) タワーレコードDefinition Series

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
イダ・ヘンデル Ida Haendel (Violin)
パーヴォ・ベルグルンド指揮/ボーンマス交響楽団
7, 8 July 1975(シベリウス), 12, 13 June 1977(ウォルトン) Guildhall, Southampton
TDSA-31(WQGC-43) (P)2016 Warner Music japan (国内盤) TOWER RECORDS Definition Series
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

歴史的名盤をSACDハイブリッドで復刻するタワーレコードの企画盤 Definition Series。このシベリウスもイダ・ヘンデルの代表盤で,シベリウスの協奏曲の演奏としても名盤として有名ですね。すでにCDを持っていたのですが,これは聴いてみなければと思い,入手しました。

この復刻は,「本国より取り寄せた96kHz/24bitのWAVデータを基本にSACD層用としてDSDに変換した後,マスタリングを行い,それとは別にCD層用としてもPCMでマスタリングを行いましたので,SACD層,CD層,それぞれ独立したマスタリングとなっております。」とのことで,CDやSACDの特徴を重視した個別のマスタリングが行われているそうです。なお今回の試聴はCD層です。

従来のCD(2002年に発売されたもの)と比較すると,中域の癖のある音色が軽減され,中低域の厚みが増し,より自然な音色となっていました。また,雑味が少なくなり滑らかになっており,クオリティの改善もなされているように思いました。

しかし... 元々の録音自体が良くないですね。さすがEMIという音質です。1975年といえばアナログ録音は十分成熟している時期ですが,それでこの音質はちょっと残念としか言いようがないです。名盤が可能な限り良い状態で残されるということは喜ばしいことに間違いなく,この点はタワーレコードに感謝したいと思うのですが,いくらリマスタリングを頑張っても素材の品位はカバーできないですね。

テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア(ファビオ・ビオンディ)

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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
ファビオ・ビオンディ Fabio Biondi (Violin)
2015年6月18-20日 サンテウヴァミーア教会(ニゴリネ・ディ・コルテ・フランカ,イタリア)
Glossa GCD 923406 (P)(C)2016 note 1 music gmbh (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 かなり自由に装飾や編曲を入れた演奏です。 大胆に変化に富んだ表現を即興的に次々に繰り出してくるところが聴きものです。 技術的にも大変上手く,音色も綺麗だと思います。 ただし,録音の影響でそれが満足に楽しめないのが残念なところです。

録音ですが,残響が多く残響時間も長く,楽器音への被りがかなりあって音色は大きく影響を受け, 明瞭感に乏しく,細部も聴き取りにくく,ヌケも良くありません。 ただ,オーディオ的なクオリティは良く,音は滑らかであり, 残響が許せる方であれば優秀録音なのかもしれません。 ただやはりこれは好録音ではありません。

ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第2集(アンティエ・ヴァイトハース(Vn)/ヘルマン・ボイマー指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第2集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, March 31 - April 4, 2014
cpo 777 846-2 (P)2015 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第1集が良かったヴァイトハースのブルッフ,第2集も聴いてみました。収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
セレナーデ イ短調 作品75
アダージョ “イン・メモリアム” 作品65

ヴァイオリン協奏曲第1番は有名ですが,他の2曲は初めて聴く曲です。ヴァイトハースの演奏は第1集と同じく美しく情感に溢れています。奏者の個性が強く前面に顕れることはなく,ヴァイオリンの素晴らしさ,これらの曲の素晴らしさを素直に表現した普遍的な魅力を持った演奏ではないかと感じます。確かな実力を持った中堅ヴァイオリニストらしい好演奏だと思います。

録音も第1集と同様で,ヴァイオリンの美しい音色を堪能できますし,オーケストラとのバランスも適正範囲内です。残響感も適度であり,音色をくすませたり明瞭度を落としたりすることがありません。やはりもう少しソロにフォーカスして欲しいとは思いますが。

これは本当に第3集が楽しみです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(イザベル・ファン・クーレン(Vn)/ハンネス・ミンナール(P))

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
イザベル・ファン・クーレン Isabelle van Keulen (Violin)
ハンネス・ミンナール Hannes Minnaar (Piano)
2014年8月30日~9月5日,ベルギー,メヘレン,Motormusic Studio
CC72650 (P)(C)2014 Challenge Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

オランダを代表するヴァイオリニストの一人,イザベル・ファン・クーレンが2014年に録音したベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集。比較的好みの録音が多いChallenge Classicsのディスクを物色していて見つけました。

モダン楽器による演奏ですが,大胆にピリオド的な奏法を現代的な感性で取り入れた極めて個性的な演奏と思いました。楽器を存分に鳴らし切るような弾き方ではなく,モダン楽器の良さをあえて殺しているようなところもあるので,モダン楽器が好きな私としては少し微妙でもどかしさを感じるところもあります。一般的な評価も大きく分かれそうな演奏です。とはいえ,もちろん技術的には優れていますし,一つのポリシーを貫いた演奏として楽しむことが出来ますね。

それで肝心の録音なのですが,ヴァイオリンもピアノも直接音を主体に透明感のある綺麗な音色で録られているのでかなり良い印象です。この点は期待通りで好録音と言えます。バランスとしてヴァイオリンが対等からやや弱めに感じられ,少し距離感もあるので,もう少し近寄って質感高く捉えてくれていれば文句なしだったのですが,惜しいところです。

ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第1集(アンティエ・ヴァイトハース(Vn)/ヘルマン・ボイマー指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第1集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, June 24-28, 2013
cpo 777 833-2 (P)2014 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

バッハの無伴奏ヴァイオリンが素晴らしかったので他の演奏も聴きたくなり見つけたのがこのブルッフのディスク。収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調作品44
スコットランド幻想曲作品46
アダージョ・アパッショナート作品57

ヴァイオリン協奏曲第2番は第1番に比べるとずっと演奏される機会が少ない曲で,実は私も聴くのが初めてなのですが,作品としては別に劣っているわけでもなく,もっと演奏されても良いのではと思いました。そしてこのヴァイトハースの演奏は,期待に違わぬ美しく情感豊かな佳演だと思いました。技術的にも万全です。

録音ですが,協奏曲らしくソロ・ヴァイオリンを明瞭かつ美しい音色で捉えており,またオーケストラもソロを邪魔しない絶妙のバランスで,広がりとスケール感のある録り方で収められています。多少の残響感はありますが,悪影響は最小です。ヴァイオリン協奏曲の録音としてかなり良いと思います。個人的にはソロをもう少しフォーカスしても良かったのではないかと思うのですが,誇張のない自然なバランスなので,これでも十分納得できます。cpoレーベルの録音は比較的私の好みに合うものが多いと思います。

このディスクはブルッフのヴァイオリンと管弦楽のための作品全集のVol.1とのことで,続編として有名なヴァイオリン協奏曲第1番を収めたVol.2がすでに発売になっています。今後ヴァイオリン協奏曲第3番を収めたVol.3がリリースされるのではないかと期待しています。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第2番,第3番(アンティエ・ヴァイトハース)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。 全集の完成が楽しみです。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 第1弾の録音よりもずっと良いと思います。

本ディスクは,バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第2弾。 以下に,2014年12月23日の第1弾のレビューを併記しておきます。

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

音楽の流れが極めてスムーズで,和音の響きも大変美しく,フレージングもきめ細やかにコントロールされています。 卓越した技術と表現力で完成度の高い音楽に仕上げています。 主張の強い演奏ではありませんが,誇張のない自然さが魅力の素晴らしい演奏だと思います。

録音ですが,残響はやや多めで,音色を損なっていて,音楽性にあまり寄与していません。 それでも高域の伸び感はあり,まあ何とか我慢の範囲内ではあるのですが, 中低域の充実感がなく,実在感が希薄で質感に乏しいこぢんまりとした録音になってしまっています。 悪くはないものの,美しい音色を活かす透明感のある録音でないのが本当に残念でなりません。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第1弾とのこと。 完結が楽しみです。

(記2014/12/23)

シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品全集(ユリア・フィッシャー Vn/マーティン・ヘルムヘン P)

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シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
ユリア・フィッシャー Julia Fischer (Violin)
マーティン・ヘルムヘン Martiin Helmchen (Piano)
2009年1月3-5日,7月3-5日 オランダ,ファルテルモント
PTC 5186 519 (P)(C)2014 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

シューベルトのヴァイオリン曲はLPの時代にヤープ・シュレーダー/クリストファー・ホグウッドの演奏を聴いていましたが,それ以降全く聴くことなく今に至っていたように思います。久しぶりに聴きたくなり,イブラギモヴァにするか,このフィッシャーにするか迷った挙げ句,このディスクを選びました。

力強くメリハリのある演奏なのにあくまでも上品で繊細であり,綺麗にまとめているのはさすがです。強い印象を残す演奏ではありませんが,元々そんな曲でもありませんし,このような控え目で整った演奏で聴くのも良いものです。

録音ですが,少し残響はあるものの,楽器音主体に明瞭に捉えていて好印象です。少しマイク距離があるのか,質感は弱めで,もう少し寄って質感を強めに出しても良いのでは,と思います。ピアノはヴァイオリンよりも多めに響きが取り入れられ,音像も大きめで,ヴァイオリンを浮き立たせる効果はあるものの,こちらももう少し寄ってキリッと締まった音で録って欲しかったところです。

とまあ不満は残るものの,それでもヴァイオリンとピアノの録音としては良い方だと思いますので,少しオマケですが四つ星半としました。

この録音は,過去分売で発売されていたものが,1セットにまとめられて再発売となったもののようです。演奏も録音も良いので,シューベルトのヴァイオリン曲は当面このディスクで楽しませてもらおうと思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第2番,第3番(エドゥアルド・メルクス)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第2番,第3番
エドゥアルド・メルクス Eduard Melkus (Violin)
Karlskirche, Vienna, August 1975
(C)2015 Particleboard Productions (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考: MARAIS MUSIC STUDIO

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 1975年のライヴ録音。 あと,ソナタ第3番から第3楽章 Largoも収録されています。

ライヴらしい勢いのある演奏であり,その勢いに身を委ねているというか, 赴くままに即興的に表現を展開していっているような演奏です。 一方で,細部にこだわらない粗削りな演奏なので,つきつめたような完成度はありません。 これもライヴならではの1回限りの演奏を楽しむ,というところでしょう。 シャコンヌの演奏時間が10:26というところからもその勢いが想像できると思います。

録音ですが,残響が多い上に,まるでラジカセで録ったような音であり, 環境ノイズもかなり多く,全く録音状態は良くありません。 中低域が薄く帯域バランスも大きく崩れています。 高域がまずまず出ているので曇りは少なく,この点だけは救いと言えますが, 商用の音源としては全くもって不足と言わざるを得ません。 同氏の貴重な演奏の記録として捉えるべき録音なのでしょうね。

あと,カップリングとして,フーガの技法からCONTRAPUNCTIS XIV (Completion - Eduard Melkus)も収録されています。 このディスクはMARAIS MUSIC STUDIOというサイトで販売されているのを見つけました。 ほとんど自主制作のような感じです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番(キャロライン・アドメイト)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,他
“BACH to TANGO”より
キャロライン・アドメイト Caroline Adomeit (Violin)
録音不明
(P)2011 Caroline Adomeit (輸入盤) *Apple Musicより
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp(MP3)Apple Music
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
“BACH to JAZZ”より
キャロライン・アドメイト Caroline Adomeit (Violin)
October 2 & 3, 2011, at Großer Konzertsaal, Hochschule für Musik und Theater, München
(P)2011 (C)2012 OehmsClassics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。“BACH to TANGO”,“BACH to JAZZ”と題されたアルバムからで,バッハはそれぞれ1曲ずつ収録されています。バッハのみコメントします。他の曲については上記の参考に挙げたURLをご参照ください。

モダン楽器による演奏。 淀みのない軽快なテンポで進行する気持ちのよい演奏。 技術的にもキレがあり安定しています。 表現自体は高いレベルでバランスが取れており,ノーマルで癖がなく聴きやすいのですが, ごく標準的な感じなので少し印象には残りにくいかなと思います。

録音ですが,少し残響が多めですが,直接音もしっかりと捉えられているので明瞭感はあり,印象は悪くありません。 もう少し残響を抑えて透明感のある音で録ってくれていれば良かったのですが,これでも十分許容範囲でしょう。 屋外の車の往来のノイズが少し気になります。 鑑賞の邪魔になるほどではありませんが,外来ノイズにはもう少し気を遣って欲しいところです。

公式Webサイトがあります。キャロライン・アドメイトはドイツ系の英国人で,ハンブルクとミュンヘンに留学,オランダでは名手ヘルマン・クレバースから教えを受けたとのことです。

それにしても...何だろう...この健康的お色気は...アメリカ人かと思ってしまいました(失礼 (^^;)。

チョン・キョンファ(鄭京和)のバッハ無伴奏ヴァイオリン全曲リリース?!

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チョン・キョンファ(鄭京和)のバッハ無伴奏ヴァイオリン,待望の全曲盤リリース?! Amazon.co.jpによると9月2日の発売。レーベルはワーナーミュージックジャパン。これは楽しみです!

Tower Recordsにも情報が載っていました。2016年4月にワーナーとの録音契約を締結,第1弾としてバッハ無伴奏ヴァイオリンの全曲をリリース,録音はブリストルのセント・ジョージ教会,とのことです。

HMV Onlineiconのカタログにも載りました。2015年のセッション録音とあります。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(フランク・ペーター・ツィンマーマン/ラドスラフ・スルク指揮/バイエルン放送室内管弦楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番,第3番,第4番
フランク・ペーター・ツィンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
ラドスラフ・スルク指揮/バイエルン放送室内管弦楽団
2014年3月6-8日 ミュンヘン,ヘルクレスザール
CD 98.039 (C)2015 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第2番,第5番
モーツァルト:協奏交響曲K.364
フランク・ペーター・ツィンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
アントワーヌ・タムスティ Antoine Tamestit (Viola)
ラドスラフ・スルク指揮/バイエルン放送室内管弦楽団
2015年6月28日 ミュンヘン,ヘルクレスザール
HC15042 (C)2015 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

第1番,第3番,第4番のディスクは以前取り上げていました。第2番,第5番が発売となり,全曲が揃いました。ツィンマーマンは20歳台前半にハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団との競演でEMIに全集録音をしていますが,これはおよそ28年ぶりの全集ということになります。

モダン楽器による演奏で,気品の感じられる,そして透明感ある音色がとても美しい,歌心溢れる表現に胸のすく思いのする素晴らしい演奏です。モダン楽器の良さ,らしさを最大限に発揮しているところが最高に良いです。1回目の全集に比べて硬さが取れ,ずいぶんと柔軟であり,また生命力に溢れています。どちらかというとモーツァルトを楽しむというよりはツィンマーマンの個性的な演奏を楽しむディスクだと思います。

録音も良好です。ソロはわずかに残響のまとわりつきがありますがほとんど気にならないレベルであり,明瞭かつ透明感があり,高域のヌケも良く気持ちよく聴くことが出来ます。バックのオーケストラはもう少し残響感が多めですが,この差がソロを浮かび上がらせる効果を持っています。各楽器の分離も悪くありません。協奏曲の録音として良くまとまっていると思います。バランス的には高域寄りでサウンドとしては少し軽く腰高な感じがしますが,全く問題ありません。

演奏も録音も良い全集です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,他(伊藤亜美) ※アルバム「A」より

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番よりラルゴ
伊藤亜美 Ami Ito (Violin)
2015年10月26-27日 聖ヨハネ ネポムク教会(ウィーン)
TCR2016A (C)2016 TC Records (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。コメントはパルティータ第2番に対してのものです。

モダン楽器による演奏。 端正で大変美しい。 自然体であり,伸び伸びとした表現が気持ちの良い好演奏です。 技術的にも上手く,隅々まで気配りが行き届き,高いレベルで仕上げているのはさすが日本人演奏家と言いたいです。 今後のご活躍にも期待します。 是非全曲録音を。

さて録音ですが,教会で録音されているということもあり,ものすごく残響時間が長いです。 ここまで残響時間が長いのも滅多にないと思います。 しかし,直接音が比較的きちんと捉えられているので, これだけの残響がありながら残響の被りによる音色への影響は少なめで,私の感覚でもぎりぎり許容範囲です。

しかしながら,やはり楽器音へのまとわりつきが鬱陶しく,本来の音色の伸びやかさが阻害されていると思いますし, あまりに残響時間が長いため,過去の響きが混じり合って混沌とし,これは音楽的にどうなんだ?という気もします。 実際にその会場で聴くには良いにしても,録音にした場合には「過ぎたるは及ばざるがごとし」ではないかと。 確かに雰囲気はありますし,残響の取り入れ方としては良くできている方だと思いますが, 私は楽器から放出される音をもっとストレートに聴きたい!と強く思います。

アルバムのタイトルは「A」(バッハ バルトーク ヴァイオリン無伴奏作品集)。 併録曲として,バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117と, バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番から第3楽章ラルゴが収録されています。

なお,このラルゴだけは東京の紀尾井町スタジオで録音されたものですが,教会で録音されたようなものすごい残響が付加されています。 他の収録曲と印象を揃えるために人工的に残響を付加したものと想像します(違ったらごめんなさい)。 実際,ちょっと聴いた印象ではかなり似た音響になっています。 しかし,この響きは教会の響きとは全く異なり,ものすごく演出色が強く,また中高域の成分が不自然に多めで極めて不快です。 この演出はこのアルバムの品位,価値を著しく貶めています。 こういうのは本当にやめていただきたい。

伊藤亜美さんの公式Webサイトがあります。 昨年ご結婚され,2016年よりアーティスト名を「尾池亜美」から「伊藤亜美」に変更して活動されているとのことです。

なお本ディスクは,いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で知りました。いつもいつも有り難うございます!

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(マーク・キャプラン 2011年録音)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マーク・キャプラン Mark Kaplan (Violin)
The American Academy of Arts and Letters, December 10-12 and 16-18, 2011
BRIDGE 9460A/B (P)(C)2016 Bridge Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

キャプラン氏のほぼ10年ぶりとなる2回目の全集録音。 演奏の基本的な解釈は1回目からあまり変わっていないように思います。 そして,技術力の高さ,キレの良さはそのままに,細やかな緩急強弱によって, 柔らかくそして深みのある陰影に富んだ音楽に進化しています。 1回目のストレートな演奏も大変魅力的でしたが, この演奏も大変素晴らしいです。

録音ですが,わずかに残響感があるものの,楽器音をしっかりと捉えているので印象は悪くありません。 ただ少し高域の伸びが不足してモゴモゴしているのが惜しいです。 1回目の録音と今回の録音の中間くらいの録音が良かったのですが。

キャプラン氏は2005年からインディアナ大学ジェイコブズ音楽院の教授とのことです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(マーク・キャプラン 1991,92年録音)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マーク・キャプラン Mark Kaplan (Violin)
Recorded at Concordia College: 1/1991, 6/1991, 1/1992
MMM 14630-2 (C)1995 Mitch Miller Music (輸入盤)
好録音度:★★★★

CD試聴記」からの転載記事です。本ディスクは2004年に一度レビューしており,今回少し改訂しております。

一聴しただけで情感溢れる表現に魅了されてしまいました。 技術力の高さ,抜群の切れ味にも脱帽! 奇を衒わないストレートな表現と相俟って,この曲の造形的美しさをくっきりと浮き彫りにしています。 気持ち良いくらいにシャープなのに,緊張感よりもむしろ暖かさを感じる, そんな豊かな表現力が本当に素晴らしい。 細身で透明感ある音色もとても美しいです。 感動しました!

録音ですが,残響感はあるものの,直接音が主であり,残響の被りの影響は少ないです。 明瞭感,解像感が高く,演奏の細部までしっかりと聴こえてきて好印象です。 帯域バランスが高域に偏っていて音色のバランスがやや崩れているのは惜しいところですが, 残響による音色への影響は最小限で,全体として良いとは言えませんが,これならまあ納得できます。

キャプラン氏は2004年のレビュー当時はUCLAの教授とのことでした。レビュー当時にはすでに廃盤で入手が困難で,残念ながら今も入手しづらい状況に変わりはないようです。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲,他(オーガスティン・ハーデリッヒ/ハンヌ・リントゥ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団)

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アデス:ヴァイオリン協奏曲「同心軌道」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
シベリウス:ユーモレスク作品87-2, 作品89-2, 3
オーガスティン・ハーデリッヒ Augustin Hadelich (Violin)
ハンヌ・リントゥ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
2013年6月21-24日 リヴァプール,ザ・フライアリー
AVIE AV2276 (P)(C)2014 Augustin Hadelich (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ハーデリッヒはハイドンのヴァイオリン協奏曲テレマンのファンタジアのモダン楽器らしい演奏が印象に残っています。このシベリウスはスケールの大きい巨匠的というか伝統的?なスタイルで,ちょっとコテコテ感のある濃い表現がなされていて聴き応えがあります。シベリウスよりも演奏者の個性がやや勝っている気がします。昨今のクールでスマートな演奏とはだいぶ印象が違いますが,これはこれで良いかと。オーケストラも良いのですが,時折気の抜けたように緩んでしまうところがありますね(もっともこれは好みの問題ですが)。

アデスの協奏曲は現代曲で面白さが今ひとつわかりませんでした(^^;。これはちょっと苦手です。

さて録音ですが,ソロがやや遠めで,響きで音の濁りが感じられるものの,オーケストラより一段明瞭に捉えられていてはっきり聴き取れるのは良いと思います。しかし,やはり響きの影響で高域の伸びがなく詰まった感じに聴こえるのは残念です。もう少し寄ってクリアーに録って欲しいところです。さらにオーケストラではごく一部の箇所で,フォルテッシモで飽和して歪みで汚くなってしまっているところがあります。惜しい録音です。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ユリア・フィッシャー/フランツ・ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団)

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JOHANNES BRAHMS CYCLE
収録曲: ブラームス/交響曲全集,ハイドンの主題による変奏曲,大学祝典序曲,悲劇的序曲,ヴァイオリン協奏曲,ピアノ協奏曲第1番・第2番
ユリア・フィッシャー Julia Fischer (Violin)
イェフィム・ブロンフマン Yefim Bronfman (Piano)
フランツ・ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団
Belvedere Label BELVED08005 (輸入盤) (*DVD)
好録音度:★★★★☆(ヴァイオリン協奏曲)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴェルザー=メスト指揮/クリーヴランド管弦楽団による2014年から2015年にかけて収録されたブラームス・ツィクルスのライヴ映像です。クリーヴランド,ウィーン,ロンドンの3つの会場で収録されています。Blu-ray Disc版とDVD版の2種類リリースされており,私が聴いたのはDVD版の方です。

今回はユリア・フィッシャーがソロを務めるヴァイオリン協奏曲へのコメントです。映像で見る彼女の演奏は端正で全く無駄のない動きが美しく,また一点の迷いもなく自信に満ちていて堂々としています。そしてそこから出てくる音は見た目以上に力強く推進力があり,熱がこもったライヴらしい高揚感を持っています。さらに卓越した技術で正確無比に弾ききっています。このような素晴らしい演奏が映像で鑑賞できるというのは本当にうれしいことです。

録音ですが,少し残響を伴いながらも,ソロは明瞭でニュアンスが豊かであり,またオーケストラはステージの広がり感とそれぞれの楽器の質感が良く感じられます。またソロとオーケストラのバランス,分離感も適切に感じられ,協奏曲の録音としてまずまず良好と言えると思います。ライヴ録音としても自然で演出感も控え目であり,映像との違和感もありません。オーディオ的に魅力のある録音ではありませんが,クオリティは悪くないと思いますし,欠点が少ない好録音だと思います。

他の収録曲はまた別途...

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ジル・コリャール/トゥールーズ室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ジル・コリャール Gilles Colliard (Violin)
トゥールーズ室内管弦楽団
Studio Elixir du 28 au 30 octobre 2009
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

ハイドンのヴァイオリン協奏曲も,見つけると手を出してしまう大好きな曲です(^^;。

バックを務めるトゥールーズ室内管弦楽団の弦楽器の編成は[3-3-2-2-1]と少人数です。ソロを務めるジル・コリャールは2004年から音楽監督とのことです。

モダン楽器による演奏と思われますが,バックを含めてピリオド奏法を取り入れているのではないかと思います。躍動感があり,溌剌としていて気持ちの良い演奏です。技術的にも問題ありません。ニュアンスが豊かで,また,前向きで推進力があるところが良いと思います。バックのアンサンブルも引き締まっていてこの点でも好印象です。

録音ですが,残響は控え目であり,演出感のない生録的な親近感のあるリアルな雰囲気が好印象です。直接音主体に分離感も良く,明瞭感もあるのですが,なぜか若干高域の帯域が狭く感じられます。バランスの問題だと思うのですが,わずかにヌケが悪く感じられるのが本当に惜しいと思います。バックも個々の楽器の質感が感じられ,また,ステージの広がりも感じられます。繰り返しになりますが,帯域感の不足だけが残念でなりません。私としては好きな録音です。

ディスクは入手困難ではありませんが,少々入手しづらい状況です。Apple Musicでも見あたりませんが,Amazonの音楽配信での扱いはありました。

テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア(エルファ・ルーン・クリスティンスドティル)

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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
エルファ・ルーン・クリスティンスドティル Elfa Rún Kristinsdóttir (Violin)
録音不明
品番なし (C)2014 Elfa Rún Kristinsdóttir (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Apple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 透明感のある,伸びのあるトーンと,キレの良い発音でコントラストのはっきりした, 美しくまた溌剌とした音楽に仕上げています。 バロック楽器ながらモダン楽器のようなスマートさを持ち合わせているところが良いと思います。

録音ですが,残響が多く,また,残響時間がながいため,まとわりつきと音色への影響が気になります。 なんとか楽器の音色の透明さは感じられるのと,くすんではいるものの音色の伸びは感じられるので, ぎりぎり許容範囲です。 せっかくの美しい音色をもっとすっきりと透明感をもって録って欲しいとは思いますが。

公式Webサイトがあります。音楽配信のみでディスクでの販売はないようです。今回はApple Musicでの試聴です。CD BabyというサイトではMP3 320kbpsとFLACで販売されているようです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番(アニコ・コヴァーチュ)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番
アニコ・コヴァーチュ Anikó Kovács (Violin)
録音不明
品番なし (C)2008 TON 4 RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考; Apple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 無骨で不器用なくらい生真面目な印象を受ける演奏で,少し一本調子な気がします。 決して技術的に下手ではないのですが,ちょっとキレに欠けるかな思うところが散見されます。 カップリングのイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタが意欲的な演奏で, それに比べるとバッハは少しかしこまり過ぎのように思います。

録音ですが,残響感がほとんどなく,演出感もほとんどない生録的な録音で, 目の前で(しかし適切な距離感で)弾いているような生々しい感じがすごく良いです。 細かいニュアンスまで聴き取れる,私の好きな録音です。 ただ,オーディオ的なクオリティが良くなく,特にパルティータ第2番ではブツブツといったノイズが乗ることがあったり, 編集の痕ではないかと思われるような不自然な音のつながりがあったりします。 これはとても残念です。

“Masterpieces for Solo Violin”と題されたアルバムで,イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,第3番がカップリングされています。 今回はApple Musicでの試聴であり,ディスクの発売があるかどうかは確認できませんでした。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集(エルファ・ルーン・クリスティンスドティル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
エルファ・ルーン・クリスティンスドティル Elfa Rún Kristinsdóttir (Violin)
録音不明
品番なし (C)2016 Elfa Rún Kristinsdóttir (輸入盤) ※自主制作?
好録音度:★★★★
参考; Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 すっきりとしたスムーズな表現が良いと思います。 技術的にも上手いですし,細やかで神経が行き届いた整った演奏です。 音色も透明感があり美しいです。 インパクトの強い演奏ではありませんので印象が残りにくいですが, そつなく上手くまとめた佳演だと思います。

録音ですが,やや残響が多めで残響時間も長め,まとわりつきが気になり, 音色も少しくすんでしまっていますが,ヌケが悪いところまでは行かず,ぎりぎり許容範囲というところです。 残響が許せる方なら問題ないと思います。 もちろん私としてはもっと残響を抑えてすっきりと録って欲しかったと思いますが。

公式Webサイトがあります。 今のところ配信のみでディスクでの販売はないようです。 私はAmazonで入手しました。MP3 256kbps(VBR)でした。なお,CD BabyというサイトからはMP3 320kbpsまたはFLACでダウンロード購入できるようです。