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ベートーヴェン:交響曲全集,序曲全集,協奏曲集(クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集,序曲全集,協奏曲集(8 CDs)
クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
482 6042 (P)(C)2016 Universal Music Italia (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

フィリップス時代に録音されていたものをボックス化してまとめられたもの。収録曲と録音時期は下記の通りです。

・交響曲全集(1987-92年)
・序曲全集(1972-74年)
・合唱幻想曲ハ短調作品80(1993年2月)
・ピアノ,ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調作品56(1992年7月) ※ボザール・トリオ
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(1978年) ※サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)

今回は録音についてのみのコメントです。

交響曲全集は,やや残響が多めで全体に少し音色がくすんだ感じでフィリップス録音にしては冴えない感じでした。そして序曲全集とヴァイオリン協奏曲ですが,オーケストラの方に残響を盛りすぎていて音色がくすんだところを無理矢理イコライザで補正したような違和感があることに加えて,フォルテで飽和して音が潰れています。これはちょっといただけません。

フィリップス録音だからといって良いとは限らないという例で,録音の悪さが気になって音楽自体をあまり楽しむことができませんでした。残念です。

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,エグモント序曲(レミ・バロー指揮/クラングコレクティフ・ウィーン)

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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,エグモント序曲
レミ・バロー指揮/クラングコレクティフ・ウィーン
2019年3月23日 ウィーン,Lorely-Saal
GRAM99210 (P)(C)2020 Gramola (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,amazon music,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。輸入元情報によると,レミ・バローはウィーン・フィルのヴァイオリン奏者で,「ウィーン最前線のオーケストラで活躍する名手たちによって結成」したのがクラングコレクティフ・ウィーンとのことです。そして「ウィーン古典派の音楽と正面から向き合い、現代楽器でその様式美の魅力を伝えようという同団の演奏理念」に基づき制作されたのがこのディスクで,第一弾のシューベルトの交響曲第8番「未完成」,第1番に続く第二弾です。第1ヴァイオリンが6名という規模の編成で演奏されているようです。

演奏はとても丁寧で,キチッとしたアンサンブルで整理された響きが美しいと思いました。全体に速めのテンポではありますが,表現も奇を衒うことなくシンプルにまとめているのも好印象です。

そして録音ですが,残響はあるものの楽器音へのまとわりつきは少なく,すっきりと見通しよく捉えているのが良いと思います。ライヴ録音で演出感もほとんどなく自然な雰囲気を残しているところも良いです。

演奏も録音も良い,私としてはちょっとした掘り出し物でした。

蛇足ですが...カバー写真が1970年代のプログレッシブロックのアルバムを想起させますね。

ブルックナー:交響曲第8番,シューマン:交響曲第4番(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
シューマン:交響曲第4番ニ短調作品120
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1988年11月,1987年5月 ウィーン,ムジークフェライン
UCCG-4737/8 (P)1989/1990 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ブルックナーの交響曲はどちらかというと苦手な方なので普段あまり聴かないのですが,時々あの響きに包まれたくなることがあります。カラヤンはベルリン・フィルとの全集が有名だと思いますが,今回は第8番をカラヤン晩年のウィーン・フィルとの演奏で聴いてみました。

カラヤンの演奏および録音は,わずかにデフォルメさせることで曲の特徴をクッキリと浮かび上がらせるところではないかと思っています。それが明快でわかりやすいと同時にあざとい感じにも聴こえるので,好き嫌いがはっきりと分かれてしまうのかなと。私自身はこういうのは嫌いではありません。このブルックナーでもそういう特徴が出ているように思いました。

録音については,クオリティ的には少し緻密さ,繊細さが足らず粗削りな感じがしますが,カラヤンの演奏の特徴をよく捉えていると思うのでその点では良好だと思います。全体のまとまりもありますが,私としてはもう少し個々の楽器の分離感があっても良いかなとは思いますが,ブルックナーとしてはこれで良いのかもしれません。だいぶオマケですが四つ星半とします。

シューマン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2/1984, 10/1984, 11/1985 Wien, Musikverein, Grosser Saal
453 049-2 (P)1985/1986 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

シューマンの交響曲第1番は唯一演奏したことがある愛着のある曲で,演奏した当時ちょうどこのバーンスタインのディスクが発売になって聴き込んだ記憶があります。それ以来このバーンスタインの演奏は私にとってのスタンダードなのです。颯爽とすっきりとした演奏が多くなった昨今においてはこの厚みのある壮大な響きは少し古くなったなと思いますね。でも聴き慣れたこの演奏は私の耳に良くなじんでくれます。

録音ですが,この時代のドイツ・グラモフォンの標準的な録音という感じがします。残響はあるもののそれぞれの楽器音はそれなりの音色で収められています。しかし少し演出感があり実在感,生々しさは希薄で,この点は不満が残ります。悪くはないのですが好録音というには少しもの足らないです。惜しいです。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」(リチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」
リチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団
481 9075 (P)(C)2020 Australian Broadcasting Corporation (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。ディスクのタイトルが「ベートーヴェン」となっており,ベートーヴェン生誕250周年の企画盤ではないかと思います。交響曲第5番,第6番のほか,弦楽四重奏曲作品130, 133の弦楽合奏版,ヴァイオリン・ソナタ第8番,第9番「クロイツェル」,その他リチャード・トネッティが過去に関わったと思われるベートーヴェン関連の曲の一部が収録されています。今回は交響曲のみのコメントです。

先に取り上げたモーツァルトの交響曲と同様,室内管弦楽団らしい機敏さと自在で柔軟な表現力を活かした演奏で,基本的には好きな部類の演奏なのですが,やり過ぎというかあざというというか,勢い任せでちょっと下品かなと思うところもありました。難しいところです。こういう演奏にスマートさ,上品さの両立を求めるのは欲張りなのですかね。

録音ですが,残響を抑え気味にして響きを締め,明瞭で力強いサウンドには仕上がっているのですが,ややごちゃごちゃ詰め込みすぎで雑味が感じられ汚く聞こえてしまうのが惜しいと思います。これも先に取り上げたモーツァルトの交響曲のような録り方をしてくれたら良かったのにと少々残念です。

タグ: [交響曲] 

モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」(リチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団)

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モーツアルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」
リチャード・トネッティ/オーストラリア室内管弦楽団
City Recital Hall, Sydney
481 2880 (P)(C)2016 Australian Broadcasting Corporation (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp,Apple Music

リチャード・トネッティがヴァイオリンと指揮を務めるオーストラリア室内管弦楽団の演奏。拍手の入るライヴ録音。中規模のオーケストラらしく軽快で機動性があり,引き締まっているのが良いと思います。室内管弦楽団の良さを上手く引き出した演奏と言えると思います。

そして録音も,残響を取り入れつつも直接音を主体にすっきりと伸びのある音で捉えられており,見通しも良く,明瞭で気持ち良く聴けるサウンドにまとめられています。この演奏にふさわしい好録音と思いました。

演奏も録音も好みで,ちょっとした掘り出し物でした。

ブラームス:交響曲第1番,ハイドンの主題による変奏曲(尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲変ロ長調作品56a
尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年5月11日 大阪,ザ・シンフォニーホール
OVCL-00713 (P)(C)2019 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,amazon music,HMV Onlineicon

尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団によるブラームス・チクルスの第一弾。拍手の入るライヴ録音。尾高氏はブラームスの交響曲初録音とのことです。演奏はオーソドックスで,大オーケストラによる重厚でスケールの大きい,これぞブラームスの交響曲!という堂々とした立派なものでした。

録音ですが,かなり残響を多めに取り入れていて濃く密度が高いのですが,音色のバランスの崩れは少なく,明瞭感も残響量の割には悪くないです。しかし,演出感が強く生々しい質感が失われ,現実味が薄れてしまっているのが残念です。

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第7番(アンドルー・マンゼ指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
アンドルー・マンゼ指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
2019年1月21日-23日,3月11-14日 NDRハノーファー,放送局スタジオ大ホール
PTC 5186 814 (P)2019 Norddeutscher Rundfunk (C)2019 Pentatone Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

アンドルー・マンゼはバロック・ヴァイオリン奏者として有名ですが,指揮者としても活躍し,2014年からはハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めているとのことです。

そのオーケストラをしっかりと統率し,颯爽とした引き締まった音楽に仕上げていて良いと思いました。もう少し尖った演奏かと思っていたので意外に丸く抑えているなという印象ではありしたが(^^;。

録音ですが,少しマイク位置が遠めの印象で残響の影響を受けて音色と明瞭感に影響があるものの,楽器の質感は意外に保たれており,各楽器の分離感もあり,左右の広がり,ステージ感もあって悪くないと思いました。不満はあるもののこの録り方であれば許容範囲かなと思います。少しオマケですが四つ星半です。

ブラームス:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

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ブラームス:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2018年4月, 5月 パリ,シャンゼリゼ劇場
735004 (P)(C)2019 C Major Entertainment (輸入盤) (*Blu-rayディスク)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのブラームスの交響曲のディスクはすでに一度発売されています(第1番,第2番,第3番,第4番)。これは2018年にパリ,シャンゼリゼ劇場で行われたコンサートのライヴ収録盤です。また,「ザ・ブラームス・コード」と題されたドキュメンタリーも収録されており,英独韓日の字幕が入っています(こちらは未視聴)。

それでその演奏なのですが,既発売のものと比べると,ライヴの高揚感,熱気がある一方で,表現はよりこなれてきていて,以前感じた違和感や独特さは薄れ,より普遍性をもった音楽へと進化したなぁと感心しました。一方でこの中規模編成のオーケストラの特徴や良さも薄れてきているようにも感じられ,でもそれはちょっとこの顔合わせに過度な期待をしすぎているのかもしれない,と思った次第です。

録音ですが,残響の質がいまいちで楽器音を濁している感が否めませんが,楽器音はしっかりと捉えられているので印象はそれほど悪くありません。TVでの鑑賞でも聴きやすいようにわずかにダイナミックレンジも狭めているかもしれません。もう少し音に伸びがあり濁り・雑味が少なければ良かったのにと思います。惜しいです。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲第1番,第3番「ライン」,マンフレッド序曲(ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団)

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シューマン:交響曲第1番,第3番「ライン」,「マンフレッド」序曲
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団

2019年2月10日, 2月7日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0844 (P)2020 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

交響曲第2番,第4番はすでに発売されていますので,これで交響曲全曲録音プロジェクト完結です。基本的に演奏も録音も交響曲第2番,第4番と揃っています。録音の良さもあるのですが,雑味のないスッキリとした綺麗なサウンドが大変魅力的です。音楽の見通しも良く埋もれがちな内声まで聴こえてくるところもいいですね。

演奏も録音も良く好みであり,お気に入りの全集になりそうです。

シベリウス:交響曲全集,他(ウラディーミル・アシュケナージ指揮/フィルハーモニア管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第1番,第2番,第4番,フィンランディア,カレリア組曲
ウラディーミル・アシュケナージ指揮/フィルハーモニア管弦楽団
録音 1979-1985年
455 402-2 (P)1980, 1981, 1986 The Decca Record Company (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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シベリウス:交響曲第3番,第5番,第6番,第7番,エン・サガ,タピオラ
ウラディーミル・アシュケナージ指揮/フィルハーモニア管弦楽団
録音 1980-1984年
455 405-2 (P)1981, 1983, 1985 The Decca Record Company (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

皆様ご存じの通り,先日アシュケナージ氏引退が発表されました。現在82歳ということで,引退は致し方なしと思いますし,我々一般人の多くが60~65歳で定年退職して引退することを考えると,ものすごく頑張られたのだなと心より尊敬します。今まで素敵な音楽の数々を本当に有り難うございました。

というわけではないのですが,たまたま昨年末にシベリウスの交響曲全集を入手していましたので,聴いてみました。アシュケナージの指揮は今までそれほど多く聴いてきたわけではないのですが,どちらかといえば少しせっかち気味に速い演奏が多いという印象はあるものの,過度に個性を主張することのないオーソドックスで堅実な演奏が多いという印象でした。このシベリウスも改めて聴いてみて,同様の感想を持った次第です。突出した特徴はないものの,速めのテンポながら手堅く仕上げる手腕は素晴らしいと思いました。また,特に印象に残ったのが金管で,フォルテの鳴りの美しさと音の伸びに感心しました。これはオーケストラの上手さでしょうね。

録音ですが,1970年代から80年代にかけてのデッカらしい好録音で,残響を適度に抑えつつ,各楽器の音色を分離良く的確に捉えていると思いました。少し演出感があり現実味が薄れているので,もう少し生々しさがあったら良かったなと思うのですが,ストレスなく聴けましたので良かったと思います。

チャイコフスキー:交響曲全集,他(ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:交響曲全集,他
ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 2004~2016年
LPO-0101 (P)2017 London Philharmonic Orchestra
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ユロフスキ/ロンドン・フィルのチャイコフスキーは,第1番,第6番,第4番,第5番,マンフレッド交響曲を今まで取り上げてきています。第2番,第3番は新録音,フランチェスカ・ダ・リミニ,弦楽セレナーデは単独リリースがないとのことで,ほぼ弦楽セレナーデ聴きたさで入手したようなものです(^^;。

それでその弦楽セレナーデなのですが,大オーケストラの豊潤で厚みのある響きを活かしたスケールの大きな演奏で,しかも速めのテンポで自由自在にドライブする指揮にキッチリと反応し,音がぼやけることのない引き締まったオーケストラの演奏がなかなか聴き応えがありました。期待通りです。他の曲も聴き直してみましたが,推進力のある独特のテンポ感に引き込まれるものばかりで,やっぱりこの演奏は良いなぁと改めて思った次第です。

録音ですが,弦楽セレナーデは若干残響の取り入れが多めですが許容範囲かなと思います。録音年や場所もバラバラなので,善し悪しに多少のばらつきはあるものの,残響を控えめにして見通しよく,各楽器が分離して克明に聴き取ることができ,概ね良好という印象は変わりません。第4番が最も良くちょっとオマケですが五つ星,マンフレッド交響曲は前回聴いたとき少し劣る印象だったのですが,聴き直してみて,そこまで悪くはないな,という印象です。

ということで,演奏も録音も良い全集として愛聴盤となりそうです。

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」(マレク・ヤノフスキ指揮/WDR交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」
マレク・ヤノフスキ指揮/WDR交響楽団
2018年9月24-29日 ケルン・フィルハーモニー
PTC 5186 809 (P)2019 Pentatone Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

速めのテンポで力強く推進力のある演奏を展開しています。大オーケストラですが,一糸乱れぬアンサンブルで指揮者の要求にしっかりと追従し引き締まった,そしてスケールの大きな音楽に仕上げています。ただ第6番はちょっと威勢が良すぎる感もありますが(^^;。

録音ですが,残響はやや多めですが,中低域の響きが締まっており,音のキレが良いため,音色や明瞭感への影響は少なめで印象は悪くありません。音の密度は高めで,もう少しスッキリと見通しよく伸びのある音で録って欲しかったとは思いますが,大オーケストラの魅力は十分に捉えられており,これでもまあ好録音としても良いかなと思いました。

シューマン:交響曲第2番,第4番(フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団)

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シューマン:交響曲第2番,第4番
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団
2018年6月18-20日, 2018年4月17-19日 ベルギー,アントワープ,エリザベート王妃記念音楽堂
PHI LPH 032 (P)(C)2019 OUTHERE (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ヘレヴェッヘは1996年/2006年にシューマンの交響曲全集をピリオド楽器のオーケストラのシャンゼリゼ管弦楽団と録音しています。今回はモダン楽器のオーケストラです。Apple Musicで試聴してみました。これも録音についてのみコメントします。

残響は少し多めに取り入れられていて,しかも残響時間長めです。ですが,直接音もそれなりに感じられること,音色のバランスが絶妙に調整されていて曇りも少なく,高域の伸びもギリギリ確保されていることなどから,最初は「ん?」と思ったものの,聴き慣れるとまあ意外に聴けるというのが正直な感想です。弦楽器の質感が良いためかもしれません。好みの録音とはだいぶ違いますが,まあまあ許容範囲かなと思いました。この録音ならまぁ多くの人に受け入れられそうな気がします。音も滑らかで緻密であり,オーディオ品質も悪くありません。

残りの第1番,第3番も録音されて全曲盤となることを期待します。

ブルックナー:交響曲第6番(サイモン・ラトル指揮/ロンドン交響楽団)

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ブルックナー:交響曲第6番イ長調
サイモン・ラトル指揮/ロンドン交響楽団
2019年1月 ロンドン、バービカン・ホール
LSO0842 (P)2019 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ロンドン交響楽団の自主レーベルLSO Liveから。Apple Musicでの試聴です。ガーディナーのシューマンの録音が結構好みだったので,同じレーベル,同じホールでの録音ということで聴いてみました。録音のみのコメントです。

聴いた瞬間の録音の印象はガーディナーのシューマンに似ていると思ったのですが,なんかどうも魅力がありません。残響を抑え気味にして直接音比率高めに録ってはいるのですが,音色に艶がなく詰まった感じなのです。ドライなのはまあ良いとしてカサカサしているのが良くないように思います。同じようでありながらほんのわずかな音の質感の差でこうも印象が変わるものなのかと。単に残響が抑えられていたら私の好みになるのか,という単純な話ではありませんでした。楽器そのものの音色がいかに魅力があるのかが大切ということを改めて感じました。

ブルックナーという音楽がその傾向を助長しているのかもしれません。

タグ: [交響曲] 

シベリウス:交響曲全集,他(コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集,管弦楽曲集
コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
1992-2000å¹´
88765431352 (P)2013 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

コリン・デイヴィスのシベリウス交響曲全集2回目の録音。1回目はボストン交響楽団でした。3回目は2002年から2008年にかけて同じロンドン交響楽団で録音されました。

収録曲は次の通りです。今回は主に交響曲についてのコメントです。

交響曲全集
クレルヴォ交響曲作品7
組曲「恋人」作品14
交響詩「伝説」作品9
4つの伝説曲作品22
交響詩「ポホヨラの娘」作品49
交響詩「吟遊詩人」作品64
「カレリア」組曲作品11
交響詩「大洋の女神」作品73
交響詩「フィンランディア」作品26
「悲しきワルツ」作品44-1
交響詩「タピオラ」作品112
交響詩「夜の騎行と日の出」作品55


演奏ですが,基本路線は1回目の録音と似ていますが,1回目がどちらかと言えばストレートであったのに対し,2回目はそれぞれの曲の表情の彫りが深くなっているように思います。そして3回目の録音とほぼ同じ印象です。1回目はそれはそれで素晴らしかったのですが,2回目は別の良さが出ています。再録音された理由がわかる気がします。

そして録音ですが,残響はあるものの,それぞれの楽器が明確に分離し,質感豊かに,適度なステージ感で聴こえること,高らかに鳴る金管を飽和感なく捉えていること,など,なかなか良いオーケストラ録音だと思いました。

演奏の質も高く,録音の品質も良好な,良い全集だと思いました。さすが「シベリウスの演奏をライフワークと位置づけてきた」というだけのことはありますね。この全集,入手困難ではないと思いますが,現役盤ではないような気がします。良い全集だと思いますので,現役盤復帰を願います。

ベルリオーズ:幻想交響曲(フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエクル)

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ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
ベルリオーズ:序曲「宗教裁判官」作品3
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエクル
2019年7月16,17日 アルフォールヴィル
HMM 902644 (P)2019 harmonia mundi (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ロト/レ・シエクルのベルリオーズ幻想交響曲は2009年にリリースされていて以前取り上げていました(→こちら)。これは10年ぶりの再録音となります。いずれもライヴ録音であり,表現の方向性はあまり変わっていないように思いましたが,オーケストラの表現力の向上が印象に残りました。特に中低音域の楽器の大胆でコクのある表現は前回録音から大幅に良くなっていると思いました。ヴァイオリンの透明感のある響きとは対照的で面白いです。

録音ですが,ホール音響をやや多めに取り込み,ライヴの雰囲気を感じさせますが,残響がやや楽器音に被りながらも生々しさが残っているため,意外に印象は悪くありません。私の好きな録音とは少し違いますが,良いと思いました。こういう残響の取り込み方ならギリギリOKというところでしょうか。

ブラームス:交響曲第1番,第3番(エドワード・ガードナー指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番,第3番
エドワード・ガードナー指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
2018年10月2-5日 ノルウェー,ベルゲン,グリーグホール
CHSA 5236 (P)(C)2019 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ブラームス交響曲全集プロジェクトの第一弾。演奏はオーソドックスで手堅い印象を受けました。録音せいもあると思いますが,力強く重厚で豊潤だけれども清廉さを失わない美しい響きをオーケストラからうまく引き出していると思います。

録音ですが,中低域の量感がものすごくあり,また全体に密度の高い,濃い録音です。オーディオ的にも情報量が豊富な録音だと思います。私としてはもう少しスッキリと見通しよく,また,高域のヌケを良くした方が好みではあるのですが,まぁまずまずというところでしょうか。再生装置の低域再生能力にも若干左右されると思いますが,低域が少し弱い再生装置の方がバランス良く聴こえるように思います。

今後のリリースも楽しみです。

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
2017年5月21,22日 ウィーン,ムジークフェラインザール
WS017 Wiener Symphoniker (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

第1番,第3番「英雄」,第4番,第5番「運命」と第2番,第7番,第6番,第8番が既発売で取り上げていました。残るはこの第9番のみで,Apple Musicではすでに聴ける状態になっていましたので,少しフライング気味ですが,聴いてみました。

演奏に関しては基本的にすでに取り上げたものと同じ印象であり,快速でメリハリを効かせた小気味よさが気持ちの良い演奏に変わりありません。

さて録音なのですが,今までリリースされてきた楽曲に比べて,平均レベルが下がっているせいもあるかもしれませんが,距離感がやや遠くなり,残響感も増えているように感じられました。一方で帯域バランスだけはギリギリ許容範囲内に整えられているので何とか聴けるのですが,これはちょっと残響過多で明瞭感や楽器の質感が失われすぎのように思います。問題ないと思われる方もいるとは思いますが,私はこれはちょっと苦手な録音です。演奏は好きなのでこの録音は少々残念です。

それで,これで全集となったわけですが,amazonで検索してみると,全集セットがアップされていました。2019年10月22日時点で公式Webサイトにも情報がないので真偽がわかりませんが。発売日は11月1日となっています。

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ベートーヴェン:交響曲全集
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
参考: Amazon.co.jp(MP3)

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シベリウス:交響曲全集,他(コリン・デイヴィス指揮/ボストン交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集,他
コリン・デイヴィス指揮/ボストン交響楽団
1975-80年 ボストン,シンフォニーホール
478 3696 (P)2012 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

コリン・デイヴィスはシベリウスの交響曲全集を3回録音しており,1回目が1975-1980年にボストン交響楽団,2回目は1992-2000年にロンドン交響楽団,そして3回目は2002-2008年に同じくロンドン交響楽団でした。これは1回目の録音です。収録曲は下記の通りです。

交響曲全集
交響詩「フィンランディア」作品28
交響詩「ポホヨラの娘」作品49
交響詩「タピオラ」作品112
トゥオネラの白鳥作品22-2
悲しきワルツ作品44-1
交響詩「伝説」作品9
「カレリア」組曲作品11
ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47(*)

(*)サルヴァトーレ・アッカルド(Violin),ロンドン交響楽団


今回は交響曲のみのコメントです。演奏は,シベリウスの交響曲のシンフォニックな側面をストレートに押し出したもので,もう少し情緒感が欲しいとも思いましたが(特に第6番),これはこれで大変充実した内容となっていると思います。

そして録音なのですが,残響はそれなりにあるものの,各楽器の質感をよく捉えており,明瞭感,分離感,音の伸びなど良好です。やや大人しめで特徴のある録音ではありませんが,欠点の少ないアナログ後期の好録音だと思います。

ベートーヴェン:交響曲全集(アンドリス・ネルソンス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
アンドリス・ネルソンス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2017年3月-2019年4月 ウィーン,ムジークフェラインザール
483 7071 (P)(C)2019 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

2020年のベートーヴェン生誕250年に向けたアニバーサリー企画の一つと思われます。同じくこの企画の一つと思われるヤン・リシエツキのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集はすでに取り上げていました。

演奏はオーソドックスで癖が少なく,現代的で洗練されています。大オーケストラを堂々とならしつつ引き締まっていて品格を備えています。アニバーサリー企画にふさわしい出来ではないでしょうか。

一方録音なのですが...ドイツ・グラモフォンのオーケストラ録音としては標準的で悪くないと思うのですが,残響が多めであり,楽器音に響きが被って明瞭感と音色が損なわれ,楽器の質感が感じ取りにくく,見通しも良いとは言えません。もどかしい感じです。問題ないと思う方も多いかと思いますが,私としては悪くもないけど良くもない少々残念に思う録音でした。アニバーサリー企画としてはもう少し録音に配慮が欲しかったなと思いました。

なお上記の感想はApple Musicを聴いてのものです。録音が良ければディスク購入をと考えていたのですが,散々迷った挙げ句,録音の面で満足できそうになかったので購入断念しました。

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シューマン:交響曲第2番,第4番,他(ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団)

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シューマン:交響曲第2番,第4番,序曲「ゲノフェーファ」
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団
2018年3月12日, 3月16日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0818 (P)2019 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ガーディナー指揮ロンドン交響楽団のシューマン交響曲全曲録音プロジェクトの第一弾とのことです。ガーディナーは1997年にオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークと全曲録音していますので20年以上ぶりとなります。第4番は1841年のオリジナル版で演奏しているとのことです。ロンドン交響楽団はモダン楽器オーケストラですが,弦楽器の響きがノンヴィブラートのようであり,それが独自の効果を出していてガーディナーらしさが出ているのではないかと思います。キレの良い推進力のある音楽作りも良いですね。

録音ですが,残響はそれなりにあるものの,響きはタイトに締まり,楽器音へのまとわりつきが少なく,明瞭で伸びがあり,見通しも良いと思います。ちょっと高域はきつめかもしれません。この録音も先日取り上げたシャイーのR. シュトラウスのようにフォルテの平均音圧が高めで,こういうマスタリングが普通になってきたのでしょうか。まあ違和感もそれほどなく許容できるかなと思います。

これは全曲録音完成が楽しみになってきました。期待して待ちたいと思います。

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,R. シュトラウス:メタモルフォーゼン(エサ=ペッカ・サロネン指揮/シンフォニア・グランジュ・オ・ラック)

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ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
R. シュトラウス:メタモルフォーゼン
エサ=ペッカ・サロネン指揮/シンフォニア・グランジュ・オ・ラック
2018年7月 フランス,エヴィアン,ラ・グランジュ・オ・ラック
ALPHA 544 (P)(C)2019 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

好録音が多いという印象のαレーベルの新譜をApple Musicで聴きました。輸入元情報によると,毎年夏にフランスのエヴィアンで開催される「ランコントル・ミュジカル・デヴィアン」という音楽祭の2018年のライヴで,音楽祭の終盤に,ヨーロッパ各地の有名オーケストラから優秀な奏者を集めて結成されたオーケストラの結成コンサート,とのことです。「シンフォニア・グランジュ・オ・ラック」は音楽祭が行われたホールの名称から取っているようです。

ベートーヴェンの「英雄」は推進力があり,優秀なアンサンブルで快速で引き締まった音楽に仕上がっていて良いと思いました。唯一,なんで第1楽章の提示部のリピートを省略してるんだ!と思ってしまいましたが。(メタモルフォーゼンは今ひとつ苦手な曲なので未聴(^^;)

録音ですが,ややホール音響の取り込みが多めで,楽器音に被って音色を濁しがちです。また残響によって明瞭感も少し損なっています。もう少し直接音比率を上げてスッキリと見通しよく録って欲しかったところです。こういうキチッと統制の取れた演奏は克明に聴き取りたいと思うのです。悪くはないのですが,好録音というにはちょっと物足りませんでした。惜しいです。

シベリウス:交響曲全集,他(サカリ・オラモ指揮/バーミンガム市交響楽団)

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シベリウス:交響曲全集,他
サカリ・オラモ指揮/バーミンガム市交響楽団
録音 2000-2003年
2564 60294-2 (P)(C)2003 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

フィンランド出身のサカリ・オラモが30歳代後半に録音したシベリウスの全集。推進力があり壮大な響きをオーケストラから引き出していますが,どちらかといえばスッキリとしてすがすがしく,若手らしい意欲と丁寧で謙虚さのある良い演奏だと思いました。

録音ですが,少しマイクポイントが遠めなのか,全体のまとまりを重視したような録音になっていて各楽器の質感や分離感はやや希薄です。私としてはもう少し生々しい質感が欲しかったところですが,残響が控えめに抑えられていますので,それでも聴きやすい録音になっていると思いました。こういう録音は少し大きめの音量で聴くとすごく良い感じに聴くことができます。ちょっとオマケかなと思いましたが四つ星半の好録音としました。

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(チョン・ミュンフン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
チョン・ミュンフン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
2004年11月27日 ドレスデン,ゼンパーオーパー
PH15050 (C)2004 MDR KULTUR (P)2016 Profil Medien (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

シュターツカペレ・ドレスデンのベートーヴェンということで思わず手が出てしまいました(^^;。拍手の入るライヴ録音。第1楽章,第2楽章は比較的落ち着いたトーンで進行するのですが,第3楽章から徐々に弾けてきて,第4楽章はかなり攻めた熱い演奏です。オーケストラも指揮者の要求に応えて良くついていっています。なかなか良かったです。

録音ですが,残響はやや多めですが,直接音がそこそこ感じられ,また,響きが比較的スッキリしているので残響量の割にスッキリとしていて,音色の崩れもあまりありません。弦楽器を始め,各楽器の質感が良好なのも好印象です。密度の高い録音ですが,上手くまとめています。演出感が少なくライヴらしい自然さがあるのも良いです。好録音です。

チャイコフスキー:交響曲全集,他(セミョン・ビシュコフ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:交響曲全集,他
セミョン・ビシュコフ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音 2015-2019年 プラハ
483 4942 (P)(C)2019 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music,e-onkyo

Apple Musicでの試聴です。輸入元情報によると,ビシュコフは2017年よりチェコ・フィルの首席指揮者とのことですが,2013年から「チャイコフスキー・プロジェクト」を開始し,その成果がこの7枚組のディスクに収められているとのことです。

収録曲は以下の通りです。

交響曲第1番~第6番
マンフレッド交響曲
交響的幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
弦楽セレナーデ
ピアノ協奏曲第1番~第3番(キリル・ゲルシュタイン Piano)

今回は,交響曲第5番,第6番,幻想序曲「ロメオとジュリエット」,弦楽セレナーデを聴きました。いずれの曲にも共通していたのは,丁寧で,フォルテでも声を荒げることなく,美しく表現しようとしているところです。チャイコフスキーらしくないのかもしれません。物足りなく思われる方もおられるかもしれません。好みは分かれそうです。まあこういうのもアリなのではないでしょうか。私は良いと思いました。

録音ですが,少し残響が多めで演出臭いところはありますが,音色への影響は限定的でギリギリ許容範囲です。私の好みとは少し外れますが,オーケストラ録音としては平均的で欠点が少なく,まずまずではないでしょうか。もちろん,私としてはもう少し残響を抑えてスッキリと質感強めに録って欲しかったところですが。悪くはありませんし,優秀録音の部類に入るかもしれませんが,好録音と言うには少し物足りなかったので四つ星とします。

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第7番(フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第7番
フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1960年10月3-5日(第7番),1961年9月25,26日(第5番) ベルリン,イエス・キリスト教会
PROC-2194 (P)1962 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records ※タワーレコード企画盤

タワーレコードVintage SA-CD Collection 第15弾より。フリッチャイのベートーヴェンは同じくタワーレコード企画盤で交響曲選集が2013年にリリースされていました(→Tower Records)。

これは,独Emil Berliner Studiosによる2018年最新リマスタリングということで,選集を買うか迷ったのですが,録音への興味も大きいので,こちらにしました。

演奏は,往年の巨匠の堂々たるものですが,テンポ設定に時代を感じるといいますか,例えば13分以上かけて演奏される第5番の第2楽章など,今にも止まりそうで永遠に終わらないんじゃないかと思ってしまいました。

録音ですが,1960, 61年の録音のため,クオリティ面では時代なりであり,歪みっぽくやや古臭い音色なのは仕方ありません。残響はやや多めですが,特に弦楽器の捉え方が良く,なかなか良い質感で魅力的です。この点を評価してだいぶオマケですが四つ星半としました。この時代の録音としては中低域の充実感があるのはリマスタリング時の音作りによるものかもしれません。リマスタリング前のディスクと聴き比べていないので何とも言えないのですが,ちょっとやり過ぎなのでは?というような気はします。

とはいえ,およそ58年前の録音がこの音質で聴けるというのはなかなかのものではないかと思います。

ベートーヴェン:交響曲全集(1966年東京文化会館ライヴ)(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1966年4月12-16日 東京文化会館
KKC2176/80 (P)2019 NHK SERVICE CENTER (国内盤?)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

1966年4月12日から5夜連続,東京文化会館で行われた演奏会の録音。放送用に収録されていたものでしょうか。よく今頃こんな音源が発掘されたものだと感心します。カラヤン/ベルリン・フィルのライヴ録音というと,1977年東京普門館ライヴがありました。その11年前の来日時の録音です。

演奏についてはカラヤン/ベルリン・フィルそのものですが,この演奏会にかける意気込みがひしひしと感じられる熱い演奏であることは間違いありません。勢い余ってアンサンブルが乱れるのはご愛嬌ということで。

録音ですが,基本的にはライブ録音として自然で音の捉え方も悪くないのですが,品質という点ではマスターテープの劣化ではないかと思われるヒスノイズや乱れが散見されるものもありましたし,フォルテではやや飽和気味に歪んでいるのが感じられました。高域のヌケもあまり良くなく,やや詰まった感じがあり,今ひとつ品位が良くありません。

まあこれはカラヤン/ベルリン・フィルの来日時の貴重な録音ということで,コレクターズアイテムということですね。

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シューマン:交響曲全集(ジェームズ・レヴァイン指揮/フィラデルフィア管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ジェームズ・レヴァイン指揮/フィラデルフィア管弦楽団
録音 1977-78年 フィラデルフィア,スコティッシュ・ライト・カテドラル
88697771362 (P)1981 (C)2010 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

先日1987年と1990年にベルリン・フィルと録音された全集を取り上げましたがこちらはその約10年前に録音されたフィラデルフィア管弦楽団との全集です。レヴァインがまだ33,4歳の時の録音とのことです。演奏は,明るく快活で,そして響きが綺麗ですがすがしいです。この曲が持つ美しさを素直に表現しているようでいいと思いました。

録音ですが,残響は控えめで音にキレがあり,見通しが良くスッキリしています。この演奏の良さを引き立てる好録音です。

ディスク自体は入手しづらいようでちょっと残念な状況です。Apple Musicで聴けるのは有り難いことです。

ベートーヴェン:交響曲全集(アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:交響曲全集
アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団
録音 2016年~2019年 王立デンマーク音楽アカデミーコンサート・ホール,デンマーク放送コンサート・ホール第2スタジオ(第5番)
8505251 (P)2019 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★☆,★★★★(第9番)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ハイドンの交響曲全集,モーツァルトの交響曲全集を録音しているアダム・フィッシャーがデンマーク室内管弦楽団を指揮して今度はベートーヴェンの交響曲全集を録音しました。今回はApple Musicでの試聴です。

同じデンマーク室内管弦楽団を指揮したモーツァルトと同様,速いテンポで疾走感があり大変キレのある演奏が痛快です。モーツァルトの時よりもアクセントや強弱が一層極端に付けられています。モダン楽器の小編成オーケストラによるピリオド・アプローチの演奏を突き詰めた感があります。ただ,音が全体に短めな上に,音の抜きも極端になされるため,急に弱音になって聴き取りづらくなったりしますし,弦楽器の音があまり持続しないため,弦楽器の魅力が出づらく,弦楽器が好きな私としてはちょっと欲求不満になるところもありました。結構極端に振った演奏なので,好き嫌いははっきり分かれそうです。

録音ですが,残響が多めですが,直接音もそれなりにあるため,それぞれの楽器の質感も感じられ,音色もそこそこ自然で伸びがあるので,まずまず良好です。もう少し残響を抑えて音のキレと見通しの良さを出して欲しかったところですが,まあ許容範囲内でしょうか。少しオマケですが四つ星半です。なお第9番は少し残響音の比率が高く音色の曇りが感じられてやや落ちます。
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