ショパン:練習曲集作品10,25,他(ヴァレンティーナ・リシッツァ)

valentina_lisitsa_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
シューマン:交響的練習曲作品13
ヴァレンティーナ・リシッツァ Valentina Lisitsa (Piano)
Reitstadel, Neumarkt, Germany, 18-21 June 2014
478 7697 (P)(C)2014 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ショパンの練習曲のみのコメントです。

このアグレッシブな演奏は圧巻。特に作品10。尋常ではないスピードで突っ走りながらも細かく表情を付ける余裕を見せているのは立派です。作品25はやや抑え気味でより豊かな表現に注力されていますが,作品10を聴いたあとだと少し拍子抜けします。ただはやり全体として攻めすぎている感じがあるので好き嫌いははっきり出そうです。曲間がやや短めで次々と次の曲に進みライヴを聴いているような感覚に陥るのも面白いと思いました。

録音ですが,少し残響が多めで音像も少し遠いため,明瞭感も良くありませんし,音色もかなり濁っています。細かい音がくっきりと聞こえてこないのでイライラします。こういう演奏は細部までキッチリ聞こえてこないと面白くありません。録音で相当損していると思います。残念です。

なおこのディスク,収録時間が約85分で,持っているディスクの中でおそらく最長です。最後まできちんと再生できるのか心配でしたが,大丈夫でした。

最後に,作品10-4の動画が公開されていましたので載せておきます。録音はこの動画の方がはるかに良く,この録音でディスクを作ってくれていたら良かったのに!と残念でなりませんね。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

ベートーヴェンの交響曲全集ピアノ編曲版を2セット聴いてみました

cyprien_katsaris_beethoven_liszt_symphonies_piano.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版をもとにしたカツァリス版)
シプリアン・カツァリス Cyprien Katsaris (Piano)
録音 1981-89年年
2564608652 (P)1982 Teldec Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第1番~第5番),★★★★(第6番~第9番)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

konstantin_scherbakov_beethoven_liszt_symphonies_piano.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版)
コンスタンティン・シチェルバコフ Konstantin Scherbakov (Piano)
8505219 (P)2006 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

リスト編曲のベートーヴェン交響曲ピアノ版といえばカツァリスの全集が有名でお聴きになった方も多いと思います。恥ずかしながら私は今まで全く聴いたことがなく,今回が初めてです。この編曲版の全集がもう一つあることもわかったので,この機会に一緒に聴いてみました。

カツァリスの全集は,リスト編曲からさらにその後のピアノ演奏技術の進歩で可能になったテクニックをつぎ込んだ独自の編曲を行っているということで,とにかく可能な限り音を詰め込んで派手に鳴らしまくり,絢爛なサウンドで躍動感のはじける音楽を作りあげています。彼は本当にエンターテナーですな。

一方シチェルバコフの方は,リスト編曲に忠実に従っているのか,カツァリスのあとに聴くと,ストイックで地味に聴こえてしまうのですが,技術の確かさもあってとてもくっきりと曲の構造が見通しよく浮かび上がってきますし,これはこれでベートーヴェンらしくて良いんじゃないかと思いました。

ピアノ編曲版といってもアプローチが正反対で,それぞれ楽しく聴かせていただきました。

さて録音ですが,カツァリスの方は第1番から第5番は残響が少なく,ピアノの音がダイレクトに届く感じがあって良好なのですが,第6番以降は残響が多く,音色が曇り,明瞭感が良くなく,音の抜けが悪くなってすっきりしません。せっかくのきらびやかな演奏なのにこの録音はそれを損なっていると思います。もったいないです。

シチェルバコフの方は,残響感はあまりないのですが,わずかに被る響きのせいでやはり音色がくぐもって硬くなり伸びを失いすっきりと音が抜けていきません。まあそんなに悪くはないのですが,ちょっと響きの扱いが半端で損をしていると思います。

ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(ボリス・ベレゾフスキー)

boris_berezovsky_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
ボリス・ベレゾフスキー Boris Berezovsky (Piano)
1991年 ベルリン
WPCS-21077 (P)1991 Teldec Classics (C)2000 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

技術的には申し分ありませんね。巧いです。技巧の誇示を抑え気味にして表現の追求に傾いているように思います(そうでない曲もありますが)。しかしこれが好きかというとちょっと微妙です。私としては技巧の誇示に走った演奏の方が好きかもしれないと思いながらこれを複雑な思いで聴きました(^^;。

録音ですが,直接音と間接音のバランスはまずまずで,響きで甘くなりすぎることなく,ドライになりすぎることもありません。逆に言うとちょっと半端な感じもあります。もう少しすっきり録って欲しかったと思いますね。ピアノ録音としては普通に入ると思います。一般的には受け入れられる方ではないでしょうか。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ジョニー・ガンデルスマン)

johnny_grandelsman_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ジョニー・ガンデルスマン Johnny Gandelsman (Violin)
MSR Studios, NYC (January 4th-6th, 2015), Oktaven Studio, Mount Vernon (September 15th, 2017)
ICR010 (C)2017 In A Circle Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

う~ん,技術的には結構巧いのですが,弾き方がぶっきらぼうというか愛想がないというか, 細かく表情付けしたりしようという気がないようです。 演奏者がどのような思いでこの曲を演奏しているのか,私には全く伝わってきませんでした。 これがこの演奏者のスタイルであり個性なのだとは思うのですが,ちょっと損していると思います。

録音ですが,スタジオでの録音のようなので残響はあまりありませんが, スタジオ内の反響の影響か,スタジオの響きの癖が音色に被っていて今ひとつ冴えない音になってしまっています。 基本的には好きな録音なのですが,このすっきりしない音色は惜しいところです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アナ・ゲッケル)

anna_gockel_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アナ・ゲッケル Anna Göckel (Violin)
Église du Bon Secours, Paris, in May 2017
FF003 (P)(C)2018 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.frApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

端正で美しい好演奏。 音色も伸びやかで透明感があり,爽やかな響きをもたらしていて印象的です。 表現自体はオーソドックスで強く主張する演奏ではありませんが, 気持ちよく聴ける良い演奏でした。 技術的にも全く問題ありません。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に影響しているものの, 音の抜けや伸びは保たれていますし,楽器の質感やニュアンスも感じ取れるので, 十分良好と言える録音です。

アナ・ゲッケルは1992年生まれ,フランスのヴァイオリニスト。

ディスクはまだ日本では取り扱いがないようですが,Apple Music等のサービスで聴くことが出来ます。

(記2018/02/17)



Tower RecordsHMV Onlineiconでも取り扱いが始まりました(5月20日発売予定)。名前の日本語表記を当初「アンナ・ゴッケル」としていましたが,これらの表記に合わせ「アナ・ゲッケル」に変更しました。

(記2018/04/15)

ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(若林顕)

akira_wakabayashi_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
若林顕 Akira Wakabayashi (Piano)
2017年5月22-24日,6月28日,8月28-29日,12月21-22日 埼玉・富士見市民文化会館(キラリふじみ)
TRITON OVCT-00144 (P)(C)2018 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピアニストには全く疎い私の中では若林氏は「デュオ職人」というイメージだったので(ごめんなさい),このショパンの練習曲集のリリースはとても意外に思えたのですが,実はソロ作品もたくさんリリースされていたのですね...失礼しました。ということもあって興味津々で聴かせていただきました。

それでこの演奏なのですが,とても丁寧でキッチリと正確に弾かれているように思ったのですが,何というか,とても説明的というか,「ここはじつはこうなっていてね,こう弾くんですよ」という言葉が聞こえてきそうな,曲の構造が見えてきそうな,ネタばらし的演奏のように思えて,そういう点で他の多くの演奏とは随分と違った印象を受けました。こういうのもとても良いと思いました。

それで録音なのですが,少し残響感があり響きのまとわりつきが気になるものの,音色自体は芯があって美しく伸びがあり,これはこれでまあアリかなと思いました。私としてはやはりちょっとウェットな感じがするので,もう少しドライに録ってくれた方が好きなんですけどね。ちょっとオマケですが四つ星半としました。多くの人に受け入れられやすい録音だと思います。

名盤ポリーニのショパン練習曲集のハイレゾ版を聴いてみました

pollini_chopin_etudes_flac.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
ファイルフォーマット FLAC 96kHz/24bit
参考: e-onkyo

ポリーニのショパン練習曲集をこのブログで取り上げるのは3回目です(→1回目2回目)。私がクラシックに興味を持つきっかけになったディスクなので思い入れがあります。ハイレゾ版があることに気が付いたので,古い録音なので意味あるかなとは思いつつも買って聴いてみました。

結論から言いますと,微妙です。CDと交互に聴き比べてみて,う~ん,違う気もするなぁ,という程度であり,ブラインドテストしたらまずわからないと思いました。あくまでも私の耳と装置では,ということです。

だからといって買って損した!とは思っていないところが自分のバカなところだなと正直思います(^^;。

最後に...クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリンと同じようにCDと周波数成分を比較してみました。「微妙...」というのがこの図からもわかると思います(^^;。ビット数の差に関しても,差があったとしても元々微妙ですので...この図を出すこと自体ほとんど意味がないとは思いましたが,せっかく作ったので載せました(^^;。

pollini.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
Chopin: Etude Op. 10 No. 1 in C major
■Hi-Res ■CD

この図の測定はWaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1曲分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは96kHzサンプリングであることを考慮して8192サンプルとしました。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

ショパン:練習曲集作品10,25(伊藤恵)

kei_itoh_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
伊藤恵 Kei Itoh (Piano)
14-16 Sep. 1990, YAMAHA Test Saal, Hamamatsu
FOCD3125 fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

この人のテクニックは本当に凄いですねぇ。積極果敢に攻める演奏でここまで淀みなく,一点の曇りもなく弾き切っているのは本当に立派です。表現はストレートで男性的であり,情緒的なところはあまりなく力で強引に突き進んでいく感はありますが,それがこの演奏の良いところでもあり,逆に物足りなく感じるところでもあるかもしれません。私はこういうのは大好きです。

さて録音ですが,残響は控え目で楽器自体の響きをダイレクトに捉えた好録音と言えると思います。少し高域の音色,響きに癖があり,きらびやかすぎるような気もしますが,まあ悪くはありません。不満はゼロではありませんが,フォンテックとしては良い方ではないでしょうか。

録音場所が「ヤマハ・テスト・ザール」とあり,楽器もヤマハ CF-IIIが使われていると書かれています。それにしてもテスト・ザールって...

クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年)のハイレゾを聴いてみたら...

kremer_bach_decca_cover.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギドン・クレーメル Gidon Kremer (Violin)
1980年2月,3月6月 オランダ,ハーレム,ルター教会
ファイルフォーマット FLAC 192kHz/24bit
参考: e-onkyo

e-onkyoの「バッハ生誕333年記念 プライスオフキャンペーン」でクレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年録音)が通常3,680円のところ2,070円になっていたので,愛聴盤ということもあり,購入してみました。それで早速聴いてみると,持っているCD(→こちら)とだいぶ印象が違ったため,少し調べてみました。

図1は,WaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1楽章分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは192kHzサンプリングであることを考慮して16384サンプルとしました。

kremer.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
パルティータ第2番 Gigue
■Hi-Res ■CD

音が違うはずです。可聴帯域の高域で結構なレベル差があります。この音の差は,ハイレゾというよりはマスタリング時のイコライジングの違いによる可聴帯域内の高域のレベル差が支配的でしょうね。まあCDの方はかなりマスタリングが古そうなので,これくらいの差は別におかしくないかとは思いますが。私としては,高域のヌケが良くなり,よりクリアに聴こえるようになったので,このハイレゾのマスタリングは悪くないと思いました。

なお,ハイレゾの方は約35kHzまで音声の成分が伸びていますが,それ以上はノイズシェーピングによるノイズが顕著になっていますね。時間波形でみると図2のようになっています。

wave_620.png
図2 CD vs Hi-Res 時間波形(上:Hi-Res,下:CD)
パルティータ第2番 Ciaccona冒頭

最初は無音なのですが,上段のハイレゾの方はかなりノイズレベルが高く見えます。44.1kHzにダウンサンプリングするとこのノイズがかなり減るため,これはノイズシェーピングによる超高域ノイズの波形ではないかと思います。この帯域は聴こえないのですが,波形でみるとちょっと気持ち悪いくらい入っているなと思いますね...

バッハ:無伴奏チェロ組曲全š曲(クセニア・ヤンコヴィッチ)

xenia_jankovic_bach_cello_suites.jpg
バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
クセニア・ヤンコヴィッチ Xenia Janković (Cello)
March 2006 at the Église Évangélique Saint-Marcel, Paris, France
MLS-CD-006/007 (P)(C)2015 Melism (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon MusicApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

少し速めのテンポで淀みなく小気味よく,そして躍動的に弾むリズムが気持ちのよい好演奏。 深い響きの低音から艶やかな高音まで音色も美しいです。 技術も確かで安心して音楽に浸ることが出来ます。 これはちょっとした掘り出し物でした。

録音ですが,少し残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが, ボディ感たっぷりにしっかりと質感をもって捉えているのは良いと思います。 不満はあるものの,チェロの録音としてはまだ良い方ではないかと思います。

ヤンコヴィッチはセルビア出身のチェリストとのことで, 1981年にはガスパル・カ サド国際コンクールに優勝したとのことです。 現在はデトモルト音楽大学の教授とのことです。他にはハイドンのチェロ協奏曲の録音などがあり,以前取り上げていました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番(土田越子)

etsuko_tsuchida_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番
土田越子 Etsuko Tsuchida (Violin)
2017年9月5-7日 神奈川・相模湖交流センター
EXTON OVCL-00656 (P)(C)2018 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器での演奏。どちらかといえば旧世代の演奏スタイルを継承したような古風な佇まいの演奏です。 全体に手堅くまとめているので強い印象は残さないものの,地味ながら隅々まで細やかに配慮され, 緩急や強弱が丁寧に織り込まれ,伸びやかに表現されているのが好感が持てます。 音に張りと伸びがあるのも良いと思います。

録音ですが,残響が少し多めでしかも間接音比率の方が高いため,せっかくの音色が濁りがちで, ヴァイオリン本来の美しい音色を聴かせてくれる録音ではありません。 明瞭感も今ひとつ,音のヌケも良くなく,もどかしさを感じます。 これは本当に残念に思います。 少々厳しめですが三つ星半です。 また,それほど気になるものではないものの,ホール?でのセッション録音にしては低域のノイズが少し大きめに感じられます。 もう少し配慮して欲しいところです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(デネス・ジーグモンディ)

denes_zsigmondy_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
デネス・ジーグモンディ Denes Zsigmondy (Violin)
1995年5月
CD JBS 1001/2 Juneau Bach Society (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

気力の漲る意欲的な演奏。 年齢からくる技術的な衰えか,キレが良くないところが散見されますが,ほとんど気になりません。 むしろ勢いのある演奏で味わい深く感じさせるところなど長年の積み重ねを感じさせます。

録音ですが,少し残響が多めなのですが,直接音が主であるため明瞭感の低下や音色への影響は少なく,印象は悪くありません。 もちろん残響を抑えてもっとクリアーに録って欲しかったところですが,これでも十分許容範囲です。

ジーグモンディ氏は1922年生まれ,ハンガリー出身,2014年に亡くなられたとのことです。 これは73歳くらいでの録音になります。

本ディスクは残念ながら現在は入手が難しい状態で,音楽配信も見つけることが出来ませんでした。

(記2017/05/13)



入手が難しい状態が長く続いていましたが,4月に再発売されるようです。少し前に米アマゾンで見つけていたのですが,国内でも輸入盤の取り扱いがされるようで,喜ばしいことです。リマスタリングされているそうですので,これは入手しなければ!
Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

(記2018/03/21)

チャイコフスキー:ピアノ曲全集(ヴィクトリア・ポストニコワ)

viktoria_postnikova_tchaikovsky_the_complete_piano_works.jpg
チャイコフスキー:ピアノ作品全集
ヴィクトリア・ポストニコワ Viktoria Postnikova (Piano)
1990-1992年録音
Warner Erato 0190295737740 (C)2018 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

チャイコフスキーのピアノ曲は,LPの時代にメロディアレーベルのものを何枚か持っていてよく聴いていました。もう演奏者は覚えていません。この全集を見つけたときに,懐かしい時代の思い出に浸れるのではないかと,値段もそんなに高くなかったので購入してみました。そんなに名曲はありませんが,素朴で微笑ましい作品が結構ありますね。

このディスク,記憶にある曲の印象とは多少違ってどちらかといえば上手くて洗練され過ぎてるかなという気はするのですが,これらの曲をよく聴いていた頃のことを懐かしく思い出せて,そういう意味では良かったと思います。音楽と記憶って結構結びついてますよね。

それで録音なのですが,好録音というには少し物足りなさはありますが,残響は少なめでまずまず良好です。少しマイク位置が離れているのか,鮮明さや音の伸びが今一歩足りないように思います。惜しいです。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(川田知子)

tomoko_kawada_1_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 30th & 31th March 2017
MM-4013 (P)(C)2017 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

tomoko_kawada_2_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第2番,第3番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 27th & 28th June 2017
MM-4026 (P)(C)2018 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

CD試聴記」からの転載記事です。2枚目が発売され全集となりましたので追記して再掲しました。

日本人の謙虚でストイックな真面目さ,技術力の高さを象徴するかのような演奏。 感情移入することなく厳しく作品と向き合っています。 恣意的な「ため」や頭拍に過剰に重きを置くこともなく淡々としたリズムで進行していくのも好感が持てます。 声部の描き出しも丁寧で音楽の構造が良く浮かび上がってきます。 この品格のある古風な佇まいが良いですね。

録音ですが,残響感はあまりなく直接音が主体のため基本的には好感が持てるのですが, 録音会場の反射音が強めで音色の濁りが気になります。 好ましい響きの取り入れ方ではなく,これならない方がずっとマシです。 演奏が良いだけにこの録音は本当に惜しいと思います。

2017年秋に1枚目が,そして2018年初めに2枚目が発売となり全集となりました。 録音時期は3ヶ月空いていますが全体として演奏・録音とも統一されています。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァージニア・ルケ)(ギター編曲版)

virginia_luque_bach_goldberg_variations_for_guitar.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ギター編曲版)
ヴァージニア・ルケ Virginia Luque (Guitar)
Recorded at Kaleidoscope Sound
IPCD007 beria productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: CD Baby演奏者Webサイト

私はギターについて技術的限界がどのあたりにあるのかよくわかっていないのですが,多重録音することなくギター1本だけで演奏しているなら大健闘で,1本で弾いているとは信じがたいところがしばしば現れます。正直なところやはりギター1本ではかなり無理があり,技術的困難が発音やリズムの崩れを引き起こしスムーズな演奏とは言い難いのは確かなのですが,それでもここまでやれるというのが私には驚異的に思えます。なので,CD 2枚組で演奏時間約98分に及ぶ演奏であっても全く退屈しませんでした。この困難な挑戦に拍手! ギターに興味のない方には全くお勧めしませんが,好きな方はサンプルを聴いてみて欲しいと思いました。

ギターによるゴルトベルク変奏曲は,カート・ラダーマーの特別仕様ギター多重録音による演奏は別格として,マルコ・サルチートのギター1本による演奏がありました。サルチートの方が安定感があり崩れの少ない演奏でしたが,原曲に対する忠実度はこちらの方が上のような気がしました。(もちろんかなり変更されていますが,相対的な印象としてということです)

録音ですが,スタジオでギターの前にマイクを1本だけ立てて録音したような誇張・演出感のない生録的な自然さが良いです。クラシック・ギターの録音としてほぼ不満はありません。結局こういう何もしていない録音が一番音楽を素直に伝えてくれますし,楽しめます。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されています。完璧です。

演奏時間 約98分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(若松夏美)

natsumi_wakamatsu_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
若松夏美 Natsumi Wakamatsu (Violin)
2014年3月18-20日,2015年8月12-14日,10月9-11日 コピスみよし,埼玉
ADJ 055 (P)(C)2017 Arte dell'arco (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。一音一音丁寧に確かめるように弾かれていて少々地味で渋く内省的です。 気負いや力みのない自然体の音楽はとても懐が深く味わいがあります。 技術も確かで安心して聴くことが出来ます。

録音ですが,残響というか会場の響きが楽器の音色を少し曇らせているのが少し残念なところですが, 音の伸びやニュアンス,質感はそれなりに感じられるのでまあ悪くはないです。 響きが心地よさよりも音色を損なう負の効果の方が大きく,これならない方がマシで, もっと透明感のあるクリアな音で録ってくれていたらもっと楽しめたのにと思います。

あと,ホールでの録音としてはバックグラウンドノイズが大きめで, それほど邪魔にはならないものの,もう少し録音環境に気を遣って欲しいと思いました。 まあ低域までフラットに捉えていてリアルさに一役買っている面はありますが。

サリー・ガーデン(バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他)(高橋和歌)

waka_takahashi2_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
高橋和歌 Waka Takahashi (Violin)
録音不明
NAT17181 (P)(C)2017 N.A.T co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。バッハのみのコメントです。

淡々とキッチリと,そして美しく整ったいかにも日本人らしい生真面目な演奏。 この控え目で清廉な感じにとても惹かれます。 技術力も全く問題ありません。

しかし,録音が今ひとつ良くありません。 残響が多く直接音よりも間接音が主として聴こえるため,明瞭感が落ち音色がくすみがちです。 せっかくの美しい音色を損なっているのが残念でなりません。 残響が多い割にはマシな方なので許せる方は多いと思いますが,私としては残念です。

高橋氏は2009年にソナタ第1番とシャコンヌを収録したディスクを発売されていました(→こちら)。

[併録曲]
ピゼンデル:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ イ短調
ダウランド(高橋和歌編):憂鬱なガイヤルド
ロージャヴェルジ:望郷 - ハンガリーの夢
パガニーニ:無伴奏ヴァイオリンソナタ イ長調 MS. 83
青森県民謡(藤本幸男編):津軽じょんがら節
アイルランド民謡(高橋和歌編):サリー・ガーデン

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ミリアム・フリード) ※2016年録音

miriam_fried_2016_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミリアム・フリード Miliam Fried (Violin)
Jerusalem Music Center, December 2016
Nimbus Alliance NI 6351 (P)(C)2017 Wyastone Estate Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

同氏20年ぶり2回目,70歳での録音。 速めのテンポで淡々と淀みなく演奏される点は1回目と同様ですが, ニュアンスが多彩な円熟した味わい深い音楽に仕上がっています。 技術的にも衰えはほとんど感じさせず,正確で安定しています。 インパクトはありませんが,聴く度に感銘を受ける好演奏です。 音楽的な深化と技術の衰えが交差するベストタイミングを狙って録音されたのでしょうね。

録音ですが,残響の影響でわずかながら音色にくすみが感じられるものの, 直接音が主体で細部も聴き取れますし,楽器の質感も感じられます。 もう少し透明感,ヌケの良さがあると良かったのですが,これでもまずまず良好です。少々オマケですが四つ星半です。

なお,本ディスクはレーベル公式のCD-R盤です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ミリアム・フリード) ※1997年録音

miriam_fried1_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミリアム・フリード Miliam Fried (Violin)
du 8 au 13 décembre 1997 à la SALLE BLACHIÈRE
LYR 187/188 (P)(C)1999 LYRINX (輸入盤)
好録音度:★★★☆

CD試聴記」からの転載記事です。

速めのテンポで淡々と,しかし淀みなく,そして生き生きと生気に溢れているのが良いですね(特にソナタ第3番,パルティータ第3番が秀逸)。 技術的にも万全で隙がありません。 50歳くらいでの録音ですが,フレッシュな印象を受けます。

録音ですが,少し残響が多めであり,楽器音に癖のある金属的な響きが重畳されて音色を損なっています。 この程度であれば問題ない方も多いとは思いますが,私としてはあまり良い印象ではありませんでした。 もっと楽器本来の透明感のある美しい音色を大切にした録音を望みたいところです。

ミリアム・フリードは1946年ルーマニア生まれ,イスラエル出身で, 1968年のパガニーニ国際コンクール優勝,1971年のエリザベート王妃国際コンクール優勝といったコンクール歴を持っています。

本ディスクは廃盤になってから久しく,少々入手がしづらい状況です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(五嶋みどり) Blu-ray & DVD

midori3_blu-ray_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
五嶋みどり Midori (Violin)
2016年8月8日-11日 ドイツ,ケーテン城
KKC-9261 (ACC10403) (C)2017 Accentus Music (国内流通仕様盤) *Blu-ray Disc
好録音度:★★★★☆(Sonata No. 2, 3, Partita No. 2)~★★★★★(Sonata No. 1, Partita No. 1, 3)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

midori3_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
五嶋みどり Midori (Violin)
2016年8月8日-11日 ドイツ,ケーテン城
ACC20403 (C)2017 Accentus Music (輸入盤) *DVD
好録音度:★★★★☆(Sonata No. 2, 3, Partita No. 2)~★★★★★(Sonata No. 1, Partita No. 1, 3)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

2017年5月5日にNHK BSプレミアムで放送された番組の感想を記事にし(→記事),ディスクメディアでの発売を期待する, と記載していましたが,この12月にようやくBlu-ray DiscとDVDで発売されました。

演奏も録音も素晴らしいこの人類の至宝とも言うべき映像作品がディスクメディアとして発売されたことを本当にうれしく思います。(私はBlu-rayとDVD両方買ってしまいました(^^;)。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(パトリス・フォンタナローザ)

patrice_fontanarosa_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
パトリス・フォンタナローザ Patrice Fontanarosa (Violin)
2016年5月 フランス,クルトンピエル
POL 118 130 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.esClic Musique!

CD試聴記」からの転載記事です。

年齢によると思われる技術の衰えでわずかにキレが悪いのは否めませんが, 終始速めのテンポで前向きで勢いがあり,音楽に淀みがありません。 そしてかつ得も言われぬ味わい深さがあります。 しかし,やはりもう10年早く録音してくれてたらなぁと思わざるを得ません。

録音ですが,残響はやや多めですが,比較的近い距離で録音されているためか,直接音もそれなりに感じられ, 楽器の質感もそれなりに保たれているため,悪い印象ではありません。 もちろんもう少しクリアに録って欲しかったとは思いますが,十分許容範囲です。

フォンタナローザ氏はフランスのヴァイオリニストで,1942年生まれで現在75歳とのことです。 いつ録音されたのか明記されていないのですが,もしここ数年で録音されたのなら, かなり健闘されていると思います。

蛇足ですが,デジパックの裏面に, 「偉大なバイオリニスト パトリス・フォンタナローサが世界中で演奏を重ねてきたバッハ無伴奏ソナタとパルティータの待望の録音である。」 と日本語だけで記載されているのがなんとも不思議な感じです。

patrice_fontanarosa_cd_back_picture.jpg

本ディスク,当初Amazon.es(なぜかスペインのAmazonでしか見つからなかった)に注文していたのですが,なかなか入荷しないので,しびれを切らして他のサイトを探しClic Musique!というサイトで見つけたので注文しました。そしてAmazon.esをキャンセルしようとしたら...発送された直後でキャンセル出来ず,結局2セット購入してしまいました(^^;。



Tower RecordsHMV Onlineiconで輸入盤が購入できるようになったようですね...

HMV Onlineiconの紹介に録音データが記載されていましたので,それを信じて記事を修正しました(HMV Onlineに感謝)。

(追記2018/01/12)

モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570(マリア・ジョアン・ピリス)

maria_joao_pires_mozart_piano_sonatas_k331_310_545_570.jpg
モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 K.331, K.310, K.545, K.570
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires (Piano)
1974年1月~2月 東京,イイノ・ホール
COCQ-85349 (P)2017 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

1974年に日本で録音されたモーツァルトのピアノ・ソナタ全集から4曲をセレクトされています。およそ15年後に録音された2回目の全集と比べるとずいぶんと素直でストレートであり,これはこれで若い時代のピリスの魅力に溢れています。また,これを聴くと,2回目の録音がいかに音楽的に進化を遂げているかがわかるという点でなかなか興味深いなぁと思いながら聴き入ってしまいました。

録音ですが,ホールで録音されていますが,ホールトーンは控え目であり,直接音を主体に比較的近い距離のイメージで親近感のある録り方をしています。ピアノ以外の余計な響きがほとんど感じられない点に好感を持ちます。こういう録り方をするならもう少し思い切って生々しさを出して欲しかったと思いますが,これでもまずまず良好と思います。2回目の全集と比べると,こちらの方が私の好みには合うかなと思います。

なお本ディスクですが,「このCDは,COCO-73105の原盤による再発売商品です。」と記載されていますが,UHQCD(Ultimate Hi Quarity CD)仕様で製造されているとのことです。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集(マリア・ジョアン・ピリス)

maria_joao_pires_mozart_piano_sonatas.jpg
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires (Piano)
1989-1990 Hamburg, Friedrich-Ebert-Halle
431 760-2 (P)1989,1990,1991 Deutsche Grammophone (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これも名盤中の名盤なので説明不要かと思います。ピリスのモーツァルトのピアノ・ソナタ全集は前から欲しいと思っていたのですが,どうせ買うならこのジャケット写真のが欲しい!とずっと探しておりましたが,先日立ち寄った中古店でようやく見つけ,念願のジャケ指名買いが叶いました。(パッケージがでかいのが難点...)

元々1枚だけ持っていたのでだいたい演奏の想像はついていたのですが,改めて聴いてみて,う~ん,完璧だ。あらゆる面で素晴らしい。上品で薫り高く愛らしい。そして隅々まで気配りが行き届いている。装飾・粒立ちの美しさ,テンポの良さ,非の打ち所がありません。じっくりと楽しみたいと思います。

一方録音はといえば...少し遠めでホールトーンを活かしステージの空間を演出する録り方をしていて,まあ悪くはないのですが,響きが楽器音をやや濁しており,ピアノ本来の透明感のある美しい音色が犠牲になっていると思います。ドイツ・グラモフォンのピアノ録音としては平均レベルもしくは良い方かもしれませんが,もう少し楽器そのものの音を大切にして欲しいと思わずにはいられません。演奏が素晴らしいだけに,この録音は本当に惜しいと思います。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

モーツァルト:ピアノソナタ集第2集(イリーナ・メジューエワ)

irina_mejoueva_mozart_piano_sonatas_vol2.jpg
モーツァルト:ピアノ・ソナタ集第2集
イリーナ・メジューエワ Irina Mejoueva (Piano)
2014-2015年 新川文化ホール(富山県魚津市)
WAKA-4189-90 (P)(C)2015 若林工房 (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ロシア出身で現在は日本を拠点に活動されているピアニスト。若林工房から数多くのディスクをリリースされています。今までにショパン:練習曲集バッハ:ゴルトベルク変奏曲を取り上げていました。今回はモーツァルトのピアノ・ソナタ集で,第9番 K.311,第14番 K.457,第16(15)番 K.545,第10番 K.330,第12番 K.332,第17(16) K.570,幻想曲 K.475,K.396が収録されています。

このモーツァルト,叩くような強いタッチで曖昧さのない明快で毅然とした音楽を奏でる硬派な演奏のように思いました。あまり「遊び」がなく,品格を重んじる姿勢が私の中にあるモーツァルトのイメージとだいぶ異なるのでちょっと戸惑ってしまうのですが,このまるでベートーヴェンのソナタのように演奏される音楽は私の中に強い印象を残しました。これが好きになれるかどうかはわかりませんが,しばらくこの演奏に付き合ってみようかと思っています。

さて録音なのですが...残響はあまりないのですが,マイクがやや遠めに設置されているのか,ホールの音色でかなり色づけされており,確かに雰囲気はあるものの,私にとっては音色を濁すマイナス効果の方が勝って聴こえるため,あまり良い印象ではありません。ピアノの音色ってもっと透明感があり美しいと思うのです。なんでわざわざ音を濁して録るのかって。まあそんなに悪いというわけではなくこのような録音を好む人もいるだろうなとは思うのですが,少なくとも私には今ひとつ合わず,これを好録音と呼びたくないということで,少し厳しめのコメントとさせていただきました。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アンティエ・ヴァイトハース)

antje_weithaas1_bach_sonatas_and_partitas.jpg
[Vol. 1]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

antje_weithaas2_bach_sonatas_and_partitas.jpg
[Vol. 2]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

antje_weithaas3_bach_sonatas_and_partitas.jpg
[Vol. 3]
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第1番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第4番,第6番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553381 (P)(C)2017 Deutschlandradio/Avi-Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,力強くキレがあり,速めのテンポを基調に緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 なおVol. 1はやや残響が多めでVol. 2, Vol. 3に比べると少し落ちます。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 Vol. 3でバッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作が完結しましたので,以前の感想と併せて再編しました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番(川田知子)

tomoko_kawada_1_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 30th & 31th March 2017
MM-4013 (P)(C)2017 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

CD試聴記」からの転載記事です。

日本人の謙虚でストイックな真面目さ,技術力の高さを象徴するかのような演奏。 感情移入することなく厳しく作品と向き合っています。 恣意的な「ため」や頭拍に過剰に重きを置くこともなく淡々としたリズムで進行していくのも好感が持てます。 この品格のある古風な佇まいが良いですね。

録音ですが,残響感はあまりなく直接音が主体のため基本的には好感が持てるのですが, 録音会場の反射音が強めで音色の濁りが気になります。 好ましい響きの取り入れ方ではなく,これならない方がずっとマシです。 演奏が良いだけにこの録音は本当に惜しいと思います。

Vol.2があるのかどうかわかりませんが,演奏は素晴らしいので全集として完結することを期待します。 是非!

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ヨゼフ・スーク)

cover picture
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヨゼフ・スーク Josef Suk (Violin)
Recorded: 1970, Abbey Road Studios, London.
5 73644 2 (P)1971 EMI Records Ltd. Compilation and digital remastering (P)&(C)1999 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆

josef_suk_2017_remasterd_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヨゼフ・スーク Josef Suk (Violin)
18-25. IX. 1970. Abbey Road Studios, London
Warner Classics WPCS-28097/8 (P)(C)1971 Remasterd (P)2017 Parlophone Records Limited. (国内盤) ※2017年リマスター盤
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

往年の正統派の演奏で,力強く張りのある芯の太い音色が印象的です。 折り目正しく丁寧であり,細部まで落ち着きを持って弾き込んでいます。 真摯で格調高く,そして個性を前面に出すことなく,この曲の本来の素晴らしさを見事に描き出していると思います。

録音ですが,残響はそれほど多くはないのですが,スタジオの響きが被ってやや曇っていると同時に, 変にキンキンした癖のある音色になっています。 EMIらしいといえばEMIらしいのですが,やっぱりすっきりしない録音です。 1970年の録音としてはクオリティはあまりよくないように思います。

このディスクは長い間廃盤で手に入りにくい状況でしたが,2014年にタワーレコードが復刻をされていました(現在は廃盤のようです)。 2017年になってリマスター盤として再び現役盤復帰しました。

リマスター盤の音質ですが,基本的な音質について大きく改善されたわけではありませんが, 特に低域のレンジ感が広がり,リアリティが増しています。 マスターテープに起因すると思われる音質の悪さは変わりがなく,この点が改善されなかった(出来なかった?)のは少々残念です。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(キット・アームストロング)

kit_armstrong_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
キット・アームストロング Kit Armstrong (Piano)
Concertgebouw Amsterdam, 13 March 2016
741704 (P)2017 Artwork & Edition (C)2017 C Major Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

聴きたいと思いながら映像ディスクでちょっと高かったので見送っていたのですが,いつも参考にさせていただいているクラシック音楽の感想で強力に推薦されていましたので,思い切って手に入れて聴いてみました。

なるほど! これは過去様々な演奏が存在する中で,それらの影響を一旦リセットし,先入観にとらわれない新鮮な感性で一つ一つの変奏をじっくりと吟味し,一から組み立て直しているという印象を受けました。折り目正しくずいぶんと落ち着いた,大人びた演奏であり,ピアノという楽器の持つ表現力を控え目ながら上手く活かし多彩な音色を引き出していますし,さらに上品な情緒感も漂わせています。グールドの演奏に慣れた耳にはあまりの方向性の違いに戸惑ってしまうのですが,グールドの演奏が感性を揺さぶる演奏とすれば,この演奏は知的好奇心をくすぐる演奏とでも言いましょうか,いずれにせよ同曲の新たなスタイルを築く画期的で現代的な演奏だと思います。なお,ライヴ収録なので多少の演奏上の傷はあります。

さて録音ですが,残響が多めでホールのキャラクターが少し音色に乗っていますが,ピアノの音自体はしっかりと捉えられており,自然さも損なわれていない,それほど悪い印象ではありません。基本的に私の好みの録音とは少し異なりますが,ホールトーンを活かしたピアノ録音として,また,演出感の少ないライヴ録音として,まずまず良いのではないでしょうか。残響が許せる方なら良好な録音に入ると思います。少々オマケですが四つ星半です。

会場がクラシック音楽専用ホールで綺麗であり,カメラワークも良く映像作品としても楽しめました。プロモーション映像がYouTubeにアップされていましたので紹介しておきます。



最後にリピート表です。Aria da capoを除いてすべてリピートしています。文句ありません。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(リカルド・オドリオゾラ)

ricardo_odriozola_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
リカルド・オドリオゾラ Ricardo Odriozola (Violin)
Herdla Church Askøy, Norway, March 27th 2004 - September 30th 2006
品番なし Amethyst Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amethyst Records

CD試聴記」からの転載記事です。

意欲がよく伝わってくる,勢いのある演奏。 技術的にものすごく上手いというわけではありませんが, 自己の技術の限界を見極めて破綻寸前まで攻めてぎりぎりで踏みとどまっているという感じで, その結果なかなか聴き応えのある音楽に仕上がっています。 パルティータ第3番は弾き込み不足なのか少し粗が目立つのが残念ですが,それ以外の曲は良いと思います。

録音ですが,残響のまとわりつきがやや気になるものの, オンマイク気味で直接音が支配的なためニュアンスもしっかりと聴き取れるまずまずの好録音です。ただしオーディオ的な品質は「並」です。

リカルド・オドリオゾラ氏の詳細はよくわかりませんが現在ノルウェーにお住まいのようです。 自主制作盤のようで,Amethyst Recordsから注文して入手しました(支払いはPayPalのみ)。 ノルウェーからご本人の名前(サイン入りの送り状も同封)で送ってきました。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ステファノ・モンタナーリ)

stefano_montanari_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ステファノ・モンタナーリ Stefano Montanari (Violin)
13-16 agosto 2011, Auditorium Modernissimo, Nembro
AMS 108-2/109-2 (P)(C)2012 PARAGON (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.it

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 かなり好き勝手にやっています。 意欲的に攻める演奏で,即興的にいろいろな表現を試しているのは良いのですが,正直ちょっとやり過ぎと思うところもあります。 面白いとは思うのですが,あまり好きになれる演奏ではありませんでした。 技術的にはかなり上手いと思います。

録音ですが,楽器音に残響がやや多めに被って音色を損なっており,中域の癖が強く, 高域に伸びない割に妙にキンキンしているなど,あまり好ましく思えませんでした。 まあそんなに悪くはないのですが,私の好きな録音ではありません。 もう少しすっきりと透明感のある音色で録音して欲しいものです。

Élite Amadeusというイタリアの雑誌の付属CD。いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Bar(シャコンヌ狂時代)で知ったディスク(有り難うございました)。海外のアマゾンで買えるとのことでしたので,早速Amazon.itに注文し,無事に入手しました。現時点で品切れになっているのでぎりぎり間に合ったようです。 ラッキーでした。