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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(ブロドスキー四重奏団)

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
ブロドスキー四重奏団 Brodsky Quartet
2017-2019年 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20114(3) (P)(C)2020 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

エルガーの弦楽四重奏曲でも紹介したとおりブロドスキー四重奏団は1972年結成のベテランの四重奏団。ベートーヴェン生誕250周年記念録音とのこと。後期ですが第11番「セリオーソ」も収録されています。

力強く熱のこもった演奏なのに滋味深くどこか優しく聴こえるのはベテランの味,一昔前のスタイルによるものでしょうか。こういう演奏にホッとするのは歳のせいかもしれません。

録音もエルガーの弦楽四重奏曲とほぼ同じで,少し距離感を感じるものの,残響は抑えられており,スッキリした聴きやすい録音です。明瞭感もまずまずなのですが,距離感があるので楽器の質感は少し弱めです。まあもう少し寄って各楽器の質感を強めに分離良く録ってくれればとは思います。だいぶオマケでの四つ星半です。

エルガー:弦楽四重奏曲,ピアノ五重奏曲(ブロドスキー四重奏団)

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エルガー:弦楽四重奏曲ホ短調作品83,ピアノ五重奏曲イ短調作品84
ブロドスキー四重奏団 Brodsky Quartet
マーティン・ロスコー Martin Roscoe (Piano)
2018年11月25-27日 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ブロドスキー四重奏団は結成が1972年というベテランの四重奏団。最近の若い四重奏団のクールでスマートな演奏と比べると古いスタイルを守っているなという印象です。情感豊かに良く歌う演奏が印象的で素晴らしく思います。弦楽四重奏曲の第2楽章のしっとりとした表現が特に良いと思いました。

録音は,少し距離感を感じるものの,残響は抑えられており,スッキリした聴きやすい録音です。明瞭感もまずまずなのですが,距離感があるので楽器の質感は少し弱めです。少しオマケですが四つ星半の好録音です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(クロエ・ハンスリップ Vn/ダニー・ドライヴァー P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
クロエ・ハンスリップ Chloe Hanslip (Violin)
ダニー・ドライヴァー Danny Driver (Piano)
2017年3月2日, 5月4日, 10月17日 イギリス,サウサンプトン,ターナー・シムズ・コンサート・ホール
RCDB1000 (P)(C)2019 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music(Vol.1,Vol.2,Vol.3)

ハンスリップは英のヴァイオリニスト。強い印象を残す演奏ではありませんが,表現が軟らかく上品で綺麗に整っているのが良いと思います。

録音ですが,少し距離感があり残響が被り気味ですっきりせず,ややもどかしさを感じます。少なくともヴァイオリンの方はもう少し寄って生々しさを残して欲しかったところです。惜しいです。

TVアニメ「この音とまれ!」~僕たちの音~

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TVアニメ「この音とまれ!」~僕たちの音~
KICA2572 キングレコード 2020年2月26日発売
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

また脱線で失礼します。弊ブログで何度か取り上げた高校の箏曲部のTVアニメ「この音とまれ!」の劇中曲ディスクが発売されるということで,通販ショップにも情報が上がっていました。収録曲を引用します。

<収録内容>
1. 龍星群 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
2. 六段の調(初段のみ) ★(演奏:倉田武蔵)
3. セピアの風に(演奏:鳳月さとわ)
4. 二つの個性(演奏:姫坂女学院箏曲部)
5. さらし風手事(演奏:永大附属高等学校箏曲部)
6. 百花譜(演奏:明陵高等学校箏曲部)
7. 久遠 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
8. Tone ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
9. 水の変態 ★(演奏:堂島 晶)
10. 無題 ~天泣原曲~ ★(演奏:鳳月さとわ)
11. 三つのパラフレーズ ★(演奏:姫坂女学院箏曲部)
12. 堅香子(演奏:珀音高等学校箏曲部)
13. 天泣 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
★...アニメ放送、本CDのための新レコーディング音源

「この音とまれ!」は元々コミックが原作で,アニメ化される2年前にもディスクが発売されており,以前取り上げていました(→こちら)。★が付いていない収録曲はその音源と同一と思われます。(「天泣」のアニメでの演奏シーンはYouTubeで公開されていました→こちら)

アニメで取り上げられた「龍星群」,「久遠」,「天泣」が新録されているのがうれしいですし,堂島晶先生が全国コンクールで演奏し一位を取った「水の変態」と,同コンクールでヒロインの鳳月さとわがエントリー曲の八重衣の代わりに演奏し失格となった「無題 ~天泣原曲~」が収録されているのが何よりうれしく本当に楽しみです。発売日が待ち遠しい!

ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

※2020/1/1 グァルネリ四重奏団(1回目,2回目)の情報を追加

久しぶりの更新です。なんと1回目の全集録音が5:21で第3位にランクインです!



「ブランデンブルク協奏曲第3番第3楽章 快速ランキング!」に続き,おバカ企画第二弾! ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品59-3「ラズモフスキー第3番」終楽章 快速ランキング! です(^^;。


■ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

5:16 ニュー・ミュージック四重奏団(1950年代前半)
5:20 エマーソン四重奏団(1994-95)
5:21 グァルネリ四重奏団(1966 1回目)
5:28 ウィーン・ムジークフェライン四重奏団(1990-92)
5:28 上海クァルテット(2008)

5:30 ジュリアード四重奏団(1964-70)
5:32 ライプツィヒ弦楽四重奏団(1995-2006)
5:34 カルミナ四重奏団(1998)
5:35 メロス四重奏団(1983-1986)
5:37 ミロ・クァルテット(2012)
5:37 ベルチャ四重奏団(2012ライヴ)
5:39 ジュリアード四重奏団(1982)
5:39 オライオン四重奏団(2006-08)
5:39 タカーチ四重奏団(2001)
5:40 ヴォーチェス四重奏団(1998)
5:41 ベルチャ四重奏団(2011,12)
5:41 グァルネリ四重奏団(1987-92 2回目)
5:43 東京クヮルテット(2005新録音)
5:46 ウィハン四重奏団(1996-2005)
5:48 ファイン・アーツ四重奏団(1969?)
5:48 ゴールドナー四重奏団(2004)
5:48 東京クヮルテット(1990-92旧録音)
5:48 プラジャーク四重奏団
5:49 アルテミス四重奏団(1998)
5:52 サイプレス弦楽四重奏団(2012-2014)
5:53 クリーヴランド四重奏団(1991-1995)
5:54 アルバン・ベルク四重奏団(1978-83旧録音)
5:54 ウィハン四重奏団(2007-2008)
5:55 エンデリオン弦楽四重奏団(2005-2008)
5:56 ヴラフ四重奏団
5:58 ゲヴァントハウス四重奏団(2002)
5:59 ロータス・カルテット
6:00 アマデウス四重奏団(1959-63)
6:00 アウリン四重奏団(2002-04)
6:02 シネ・ノミネ四重奏団
6:03 コロラド四重奏団(2001)
6:04 アリス四重奏団(2017)
6:04 バルトーク四重奏団(1969-72)
6:05 フィルハーモニア・クァルテット・ベルリン
6:05 ターリヒ四重奏団(1977-81)
6:06 アルバン・ベルク四重奏団(1989新録音)
6:07 フェルメール四重奏団(1983-91)
6:10 ヴァンブルー四重奏団(1996)
6:10 アルカン四重奏団(2008^2011)
6:11 ケッケルト四重奏団(1953-56)
6:36 クァルテット・エクセルシオ(2014)
6:38 ズスケ四重奏団(1967-80)
6:39 レナー四重奏団(1926)
6:40 メディチ弦楽四重奏団(1988-90)
6:40 ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団(2018)

HMV Onlineによると,ニュー・ミュージック四重奏団がものすごく速いということで,YouTubeにアップされている音源を実測してみました。5:17で今のところやはり最速でした。(YouTube情報有り難うございました)→CDを入手し実測し直しました。5:16でした。

今後も聴いて実測できたものがあれば随時追加していきます。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※2回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1987-1992 American Academy and Institute of Arts & Letters, New York, USA
93323 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

グァルネリ四重奏団の2回目の全集。1回目は1966-69年の録音で,先日レビューしました(→こちら)。原盤はPhilipsでブリリアント・クラシックスが廉価盤で復刻していたものを入手しました。これも確かPhilips盤を分売でコツコツ買い集めていたはずなのですが...どこにしまい込んだんだっけ(保管している意味全くなし(^^;)。

演奏は1回目に比べると随分と表現の幅が広がり,ニュアンスもとても豊かになり,推進力も普通になりました(^^;。失われたものもありますが,獲得されたものの方が多く,正常進化と言えるのではないでしょうか。(もちろん1回目はあれはあれでとても良かったと思います)

一方録音ですが,響きが少し被り気味で,音色が少し濁って聴こえるのが残念なところですが,明瞭感,楽器の質感もまずまずであり,音像感も違和感が少なく,悪くありません。四つ星半の好録音としましたが,私としては残響感と音色に不満が残るので少しオマケではあります。音の捉え方は1回目の全集の方が好きですが,クオリティ面を含めた全体的な出来としてはこの2回目の方が良いかもしれませんし,一般的にも受け入れられやすいと思います。

この全集,現在現役盤がないように思います。良い全集だと思いますので復刻して欲しいものです(→タワーレコード様)。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※1回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1966年11月-1969年12月 ニューヨーク,ウェブスター・ホール
19075971162 (P)2003 (C)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

グァルネリ四重奏団は1964年結成,2001年まで同じメンバーで活躍したとのことで,同一メンバーによる弦楽四重奏演奏の記録保持者でもあるということです。この全集は結成から数年後に録音された1回目の全集です(1987-1991年にPHILIPSレーベルに2回目の全集録音)。

演奏は力強くそしてとても丁寧です。細部まで表現が練り込まれていますが基本的には素直でストレートです。ですが躍動感はあるのに推進力に乏しくちょっとおっとりしている?という何とも言えない独特な演奏になっています。音楽に謙虚に向き合っている姿がその音楽に現れているように思います。私としてはもう少し前に前に進んでいく演奏だったらなと思いました。

録音ですが,マルチマイクでそれぞれの楽器をきちんと捉えたような音作りになっていて,明瞭感や分離感,楽器の質感は申し分ないです。残響感はほとんどなくほんのわずかに音色がくすんだ感じがするものの許容範囲です(ただ中期は少し相対的にやや劣る感じでした)。また,マスターテープの劣化ではないかと思われる音の揺らぎも感じられました。このあたりの品質はやっぱり1960年代の録音ですね。音像はあまり自然さがあまりありませんが私としては気になりません。それぞれの楽器の音が引き締まっていてストレートに音楽が届くのが気持ちよい好録音でした。ちょっと迷いましたが四つ星半です。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」,他(ロルストン弦楽四重奏団)

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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
ロルストン弦楽四重奏団 Rolston String Quartet
2019年1月2-4日, 6月18-20日 ベルギー,ワーテルロー,エリザベート音楽院ホール
Fuga Libera FUG757 (P)2019 Queen Elisabeth Music Chapel (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,HMV Onlineicon,Apple Music

国内12月26日発売とのことですが,Apple Musicで公開されていましたので試聴してみました。上記のほか子供のアルバム作品39(ドゥビンスキー編曲)から5曲収録されています。

ロルストン弦楽四重奏団は2013年にカナダのバンフで結成された若い弦楽四重奏団で,2016年の第12回バンフ国際弦楽四重奏コンクール,第31回イエロー・スプリング室内楽コンクールで優勝しているとのことです。

演奏は基本的にオーソドックスですが,響きが美しく溶けあう和音や若々しい溌剌とした表現はなかなかのものですし,例えば第一楽章のテンポの変わり目の入り方など,おぉ!というところもあります。技術的にも上手いですし,アンサンブルも優秀だと思います。チャイコフスキーの室内楽を楽しませていただきました。

録音ですが,やや距離感があり,少し響きが被って音色への影響が感じられるものの,音が曇るほどでもなく,楽器の質感やニュアンスも聴き取れるので,悪くないと思いました。もう少し寄って直接音主体に録ってくれたら良いのにとは思いますが。少々オマケですが四つ星半です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ミロ・クァルテット)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
ミロ・クァルテット Miró Quartet
2004å¹´-2019å¹´
好録音度:★★★★☆
PTC 5186 827 (P)2019 Pentatone Music (輸入盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ミロ・クァルテットのベートーヴェンは,作品18と作品59が既発売でレビューしていました(→こちら)。その後ずっと続きを待っていたのですが,またいきなり全集化かよ!と思ったら,実はMiro Quartet Mediaという自主レーベルで少しずつ発売されていたようです。完全に見逃していました。

録音データは下記の通りです。

作品18 2004年10月7-22日 アメリカン・アカデミー・オブ・アーツ&レターズ(ニューヨーク)
作品59 2012年5月12-25日 テキサス大学オースティン構内イエッセン講堂(テキサス)
作品74, 95 2015年3月15-19日 ペナロヤ・ホール内イルズリー・ポール・ノドストローム・リサイタル・ホール(シアトル)
作品12 2019年2月17-20日 パスタ大学構内パスタ・チャペル(ケンモア)
作品13 2017年9月26-29日 同上
作品14, 15 2016年9月28日-10月6日 同上
作品16 2018年10月8-12日 同上

ということで,約15年かけて全集を完成させています(ベートーヴェンが作曲した年齢に近い年齢で録音したいということだったので,もっとかかると思っていました(^^;)。

作品74以降を初めて聴きましたが,演奏は一貫しています。現代的で洗練された演奏ですが,基本的にはオーソドックスです。しかし,とてもキレの良い高い技術力で緻密なアンサンブルを形成していますし,ダイナミックで推進力があり,何のためらいもなく自信たっぷりに攻めてくる演奏は心にグッと突き刺さってきます。

そして録音の良さがこの演奏をさらに引き立てています。残響は最小限に抑えられ,直接音中心に,楽器の質感,ニュアンスをダイレクトに伝えてくれます。音色も自然ですし,音の伸びも十分にあります。

演奏も良く,録音の良さも兼ね備えた,最近聴いた中では特に感動した素晴らしい全集だと思いました。間違いなく同曲の愛聴盤の一つになるでしょう。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番(ロレンツォ・ガット Vn/ジュリアン・リベール P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番
ロレンツォ・ガット Lorenzo Gatto (violin)
ジュリアン・リベール Julien Libeer (Piano)
2019年4月, 5月 ブリュッセル,スタジオ・フラジェー,スイス,ラ・ショー=ド・フォン,ロマンド大衆劇場音楽ホール
ALPHA 565 (P)(C)2019 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴。第1番,第5番「春」,第10番,第2番,第4番,第9番「クロイツェル」は既発売で取り上げていました。これは第三弾で全集が完結しました。これまでの演奏と同様,若い二人による生き生きとしたフレッシュな演奏が魅力的です。

そして録音なのですが,これまでの録音と場所が異なり,多少時間が経っていることもあって音質の傾向がわずかに違うものの,基本的な録り方はそう違わず似ています。少し残響があるので楽器音への影響はありますが,明瞭であり楽器の質感もよく捉えていて良好です。好録音です。

ブラームス:弦楽四重奏曲第3番,ピアノ五重奏曲(ハーゲン四重奏団,キリル・ゲルシュタイン(P))

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ブラームス:弦楽四重奏曲第3番,ピアノ五重奏曲
ハーゲン四重奏団,キリル・ゲルシュタイン(Piano)
2014年12月, 8月 ブレーメン,ゼンデザール,ドイチュラントフンク室内楽ホール
MYR021 (P)2019, 2014 myrios classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

一聴してこの圧倒的な表現力に心が震えました。というのは少々大げさですが,この美しく深々とした響きに本当に魅了されました。ブラームスでこんな演奏に出会えるとは! 現役の弦楽四重奏団の中でも最高峰の団体の一つであろう,ということを改めて認識しました。録音が散発的にしかリリースされないのが本当に残念です。

録音ですが,若干残響のまとわりつきはあるものの,音色を損なうほどではなく,明瞭感,透明感,高域の伸び,そしてオーディオ的なクオリティ,音のきめの細かさ,いずれも及第点と思います。弦楽四重奏の録音としてまずまず良好な好録音と言えると思います。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ウート・ウーギ Vn/ラマール・クラウソン P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
ウート・ウーギ Uto Ughi (Violin)
ラマール・クラウソン Lamar Crowson (Piano)
録音 1978年
19075956262 (P)(C)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

イタリアを代表するヴァイオリニスト,ウート・ウーギによる全集。当初の発売はイタリア・リコルディで,今回初CD化とのことです。それにしてもこのアルテュール・グリュミオーを彷彿とさせるような(私だけ?)美音が素晴らしいです。こういう音色を出すヴァイオリニストは現代では少ないような気がします。この美音に触れられただけでも本当に良かった!と思える全集です。

録音ですが,曲により多少のばらつきがあるのですが,ヴァイオリンはかなりのオンマイクで,残響がほとんど感じられません。極めて明瞭でニュアンス豊かであり,楽器の質感も大変良く感じられ,このヴァイオリニストの美音を堪能するのにうってつけと言えます。一方で,ピアノは控えめで,ヴァイオリンが主,ピアノは従と,主従関係がはっきり分かれているような録り方です。私としてはヴァイオリンの音が良い捉えられ方なので問題ありませんが,ヴァイオリン・ソナタの録り方としてはちょっと極端であざといかなとは思います。

また,1978年の録音にしてはクオリティが今ひとつです。マスターテープの品質があまり良くない感じで,ブツブツというノイズや,ドロップアウトのような音の乱れがわずかではありますが感じられ,これだけが惜しいと言わざるをえません。

とはいえ,この貴重な録音がCD化されたのは喜ばしいことだと思います。

ハイドン:弦楽四重奏曲集(ハンソン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集
ハンソン四重奏団 Quatuor Hanson
2018年11月, 2019年3月 Little Tribeca at Théâtre d'Arras
AP213 (P)(C)2019 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ハンソン四重奏団は2013年に結成された若手の四重奏団。2016年ジュネーヴ国際音楽コンクール第2位,同年のヨーゼフ・ハイドン室内音楽コンクール第2位などの実績があるようです。これがデビューCDとのことです。収録曲は次の通りです。

弦楽四重奏曲ニ長調作品50-6「蛙」
弦楽四重奏曲ニ短調作品76-2「五度」
弦楽四重奏曲ハ長調作品54-2
弦楽四重奏曲ト長調作品33-5
弦楽四重奏曲ヘ短調作品20-5
弦楽四重奏曲ヘ長調作品77-2


生き生きとした躍動感のある演奏が印象的です。ちょっと大げさなところもありますが,これくらいユーモアをもって演奏してくれた方がハイドンの音楽としては楽しいですね。これは良かったです。

そして録音ですが,少し残響を伴っていますが,直接音が主体であり,明瞭で楽器の質感も良く感じられます。高域の伸びも問題ありません。わずかな残響の付帯音がなければもっと良かったのにとは思いますが,それでも好録音です。

選曲からするとハイドンの録音は当面なさそうですね。この演奏ならエルデーディ四重奏曲作品76はまとめて聴きたかったなぁとちょっと残念に思いいます。今後の活躍に期待!

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品20 Vol. 1 (No. 2, 3, 5)(アムステルダム・デュドック四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品20 Vol. 1 (No. 2, 3, 5)
アムステルダム・デュドック四重奏団 Dudok Quartet Amsterdam
2019年5月13-15日, Studio 1, Muziekcentrum van de Omroep, Hilversum, The Netherlands
RES10248 (P)(C)2019 Resonus Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

デュドック四重奏団はオランダの若手奏者で結成された四重奏団とのことです。収録曲は,作品20から3曲が収録されています。モダン楽器による素直でとても生真面目な感じの演奏です。技術的にも上手く,丁寧で音色や響きがとても美しいです。

録音ですが,少し残響が多めで,マイクも少し遠い感じがあって,残響が被って音色が少しくすんでいますし,明瞭感も落ちています。楽器の質感も感じ取りにくいです。もう少し残響を抑えてスッキリとクリアに録って欲しいところです。ちょっと惜しいです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集Vol. 1(千住真理子 Vn/横山幸雄 Piano)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集Vol. 1
千住真理子 Mariko Senju (Violin)
横山幸雄 Yukio Yokoyama (Piano)
2019年6月 群馬県,笠懸野文化ホール
UCCY1101 (P)2019 Universal Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

これも2020年のベートーヴェン生誕250年に向けてのプロジェクトとのことです。このVol. 1は2枚組で,第1番,第2番,第3番,第9番「クロイツェル」,第10番が収録されています。それにしても...この美しくも危うい自由奔放なヴァイオリンを真面目で安定感抜群のピアノが一所懸命に支えるというこの構図が面白く楽しいですね。Vol. 2も楽しみです。

録音ですが,ヴァイオリンが少し前,ピアノが少し後に広がる位置関係で,残響は控えめなものの,やや距離感のあるこぢんまりした録音で,もう少し寄って質感豊かに録って欲しかったとは思うものの,ストレスなく聴きやすい録音ということで,少々オマケですが四つ星半としました。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集作品12(ジェームズ・エーネス Vn/アンドルー・アームストロング Piano)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集作品12
ジェイムズ・エーネス James Ehnes (Violin)
アンドルー・アームストロング Andrew Armstrong (Piano)
録音不明
ONIX 4177 (P)2019 PM Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。ジェームズ・エーネスのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集は,2017年に発売された第9番「クロイツェル」&第6番が発売されていたので,これは第二弾になります。

それにしても...のっけからエーネス節全開だぁ! パールマンを彷彿とさせる独特の美音で奔放に歌いまくる演奏がなんと楽しいことか! これはベートーヴェンを聴くディスクではなく,エーネスの至芸を楽しむディスクですね。最高に楽しいです。

録音ですが,少し残響があってまとわりつきが気になりますが,直接音主体で明瞭感はあり,ニュアンスもきちんと伝わってくるので,演奏者の個性を楽しむには問題ありません。演出感が少しあるのが私としては不満なところですが,まあ十分許容範囲です。

今後のリリースも楽しみです。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV 988(弦楽三重奏版)(トリオ・ツィンマーマン)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏版)
トリオ・ツィンマーマン Trio Zimmermann
2017年8月,9月, 2018年6月 ノイシュタット,マンデルスロー,聖オスターグ教会
BIS-2347 SACD (P)(C)2019 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン),アントワーヌ・タメスティ(ヴィオラ),クリスチャン・ポルテラ(チェロ)の3人による演奏で,3人とも使用楽器がストラディヴァリウスという何とも豪華で贅沢なアンサンブルです。

編曲はシトコヴェツキー版ではなく,原曲の楽譜に立ち返って可能な限り「編曲 arrangement」も「書き換え transcription」もせず,バッハの楽譜そのままとなるようにしたとのことです。

それで演奏はというと,何というかそれぞれの奏者が思い思いに,自由闊達に,セッションを楽しんでいるのです。何と明るく軽快で爽やかなバッハなんだろうか。そしてサービス精神が旺盛というか,音楽が外に向かって皆に届けといわんばかりに広がっていくのです。こんな演奏は聴いたことがないです。手練れの成せる至芸の世界です。

一方録音なのですが,残響が多く,楽器音に被って明瞭感が落ち,音色も損ねています。あぁ!なんでこんな録り方なんだ!とため息が出てしまいます。演奏が素晴らしいだけにこの録音は残念でなりません。

最後にリピートですが,省略は最後のAria da capoだけでした。問題ありません。

演奏時間 約74分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

この音とまれ!(時瀬高等学校箏曲部)

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この音とまれ!
時瀬高等学校箏曲部
KICC-1349 (P)2017 King Records (国内盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo
TVアニメ「この音とまれ!」公式サイト
ジャンプSQ.「この音とまれ!」アミュー

※2019/10/14下部に追記あり

2019年4月~6月に第一クール,そして2019年10月から第二クールが始まったアニメ「この音とまれ!」の原作コミックに沿って製作されたディスク。なのでアニメの劇中歌集ではなく,それ以前に製作されていたものです。ただし,このディスクに収められている曲はアニメでも実際に使われていました。

この音とまれ!(Wikipedia)によると,原作者のアミュー氏の母は箏教室の主催者,姉はプロの箏奏者だそうで,アミュー氏自身も幼少の頃から箏に親しんでいたとのことです。このCDにはこの作品のためのオリジナル曲も収められており,「久遠」「堅香子」「セピアの風に」は母の作品,「龍星群」「天泣」は姉の作品と思われます。

いくつかYouTubeで公開されていましたので紹介します。

「セピアの風に」は独奏曲で,アニメの第二話で主人公が箏の家元の娘のヒロインが弾く箏に衝撃を受けた曲。このYouTube動画では作者の姉が弾いているようです。作曲者は前記の通り作者の母です。(アニメのシーン→YouTube)


「龍星群」は,箏曲部の存続をかけて1ヶ月で仕上げ,全校生徒の前で演奏した曲。初心者が1ヶ月で弾ける曲とは到底思えないのだけど,これはおぉ!カッコいいじゃないかと思ってしまいました。作曲者は作者の姉です。(アニメのシーン→YouTube)


「久遠」は,アニメ第一クールのラスト,関東邦楽祭で時瀬高等学校箏曲部が演奏した曲。作曲者は作者の母です。


そして,YouTube動画はなかったのですが,ディスクの最後に収録されている「天泣」は,おそらく第二クールのクライマックスで,全国大会出場をかけて予選で演奏される曲と思われます。アニメの中では,作曲者はヒロインで顧問が編曲したということになっているようです。実際の作曲者は作者の姉です。この曲がまた最初から最後まで感動を誘う,胸にグッと突き刺さるメロディーが連続していて,コンクールでこれはちょっとズルいだろうと思ってしまうのですが,良い曲です。

本当は,アニメ第七話でヒロインが全国コンクールでエントリー曲「八重衣」の代わりに自作曲を弾き「伝説の失格演奏」となったという設定の曲がとても良くて,この曲のフルコーラスが聴きたかったのですが,これはこのアニメのために作曲されたようで,このディスクには入っていませんでした。(アニメのこのシーンを動画でアップしている方がいました→ニコニコ動画) 劇中曲集が再度編集され発売されることを期待します。

これを聴いて,自分は自分の国の伝統楽器を1ミリも知らなかったんだな,と思ってしまいました(ただ,今も知ったとはとても言えないのですが)。きっかけをくれたアニメに感謝! 良質のアニメだと思います。

(記2019/10/12)



その後,コミックを読んでみました(^^;。第14巻にこのCDのメイキングの裏話が載っていました。作曲者については前述の通り作者の母と姉がされたとのことですが,一部引用すると...

作曲に関しては,『身内という強みを生かして無茶ぶりをしまくり「天泣」に関してはなんと着手してから完成までおよそ1年がかり…!』『何度も打ち合わせをしてリテイクを重ね,私が作中で天泣を書き終えるまでは完成も待ってもらうというわがままっぷり』。

演奏に関しては,『「どう演奏すればこの学校の演奏になるか」「より漫画の世界観を出せるか」たくさん意見を出し試し「これでもか!」というくらい漫画にそしてCDのコンセプトに寄せて弾いてくださいました。』。

という拘りの内容になっているとのことで,まさにその通りだと思いました。

コミックは全国予選の「天泣」以降も続いているので,そこで出てくる楽曲や演奏についても再現しCD化されることを期待します。

また,この第14巻では,「天泣」という曲について審査員が“聴かせやすい曲”についてどう評価するかについての言及もあって,私が先日書いた「この曲がまた最初から最後まで感動を誘う,胸にグッと突き刺さるメロディーが連続していて,コンクールでこれはちょっとズルいだろうと思ってしまうのですが…」についての答えも書いてありました。

(記2019/10/14)

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第2トスト四重奏曲集」,作品71, 74「アポニー四重奏曲集」(ロンドン・ハイドン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第2トスト四重奏曲集」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
2017年12月5日-10日 ポットン・ホール(サフォーク)
CDA68221 (P)(C)2018 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品71, 74「アポニー四重奏曲集」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
2018年10月1-6日 ポットン・ホール(サフォーク)
CDA68230 (P)(C)2019 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

弦楽四重奏曲全集への第七弾と第八弾。作品9,作品17,作品20,作品33,作品50,作品54,作品55はレビュー済み,作品64も以前取り上げていましたが,今回一つのレビューにまとめます。このプロジェクトも着々と進み,いよいよ大詰めに来ました。

演奏の内容はこれまでにリリースされている楽曲と基本的に変わりません。ピリオド楽器による演奏ですが,弦に吸い付くような弓遣いで密度の高い響きを創り出しているのが印象に残ります。楽器をたっぷりと鳴らすのでどちらかといえばテンポは遅めです。そして,結構揺れるのですが,自然な呼吸感で歌っているので違和感がありません。ピリオド楽器の良い面を活かしていると思います。技術的にも優れており,完成度の高い音楽に仕上げていて,全集を目指すにふさわしい内容となっていると思います。

録音ですが,若干残響のまとわりつきが気になるものの,音の伸び,楽器の質感など申し分なく,演出感の少ない生録的な音作りも好感が持てます。ちょっと濃厚すぎる感はありますが,間違いなく好録音です。

次はいよいよ作品76「エルデーディ四重奏曲集」ですね。本当に楽しみです。

ハイドン,モーツァルト,シューベルト:弦楽四重奏曲集(アキロン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲ハ長調作品20-2
モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番ハ短調D.703「四重奏断章」
アキロン四重奏団 Quatuor Akilone
2017年10月30日-11月3日 パリ音楽院
MIR388 (P)(C)2018 Mirare (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。アキロン四重奏団は2011年にパリで結成され,第8回ボルドー国際弦楽四重奏コンクール優勝したという,女性4人による若い弦楽四重奏団です。最近ディスクがリリースされる若手の四重奏団はいずれも上手いのですが,この団体も上手いですね。現代的で洗練された表現力を持っています。アンサンブルも優れていると思います。今後の活躍に期待します。

録音ですが,どのような会場で録音されたのかはよくわからないですが,残響感はほとんどなく,個々の楽器を明瞭に分離良く質感豊かに捉えています。高域のヌケも問題ありません。少し中高域に偏った腰高な印象ではありますが,間近で聴いているような生々しさ,リアルさがあって良いと思います。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集(アリーナ・イブラギモヴァ Vn/セドリック・ティベルギアン P)

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ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
アリーナ・イブラギモヴァ Alina Ibragimova (Violin)
セドリック・ティベルギアン Cédric Tiberghien (Piano)
2018年5月9日-11日 ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン,イギリス)
CDA68200 (P)(C)2019 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

久しぶりに「これは絶対に聴きたい!」と思えるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集が発売になりました。細部まで神経の行き届いた繊細で情感豊かな表現,呼吸感が素晴らしいのですが,さらに溶けあう和音の響きの美しさなど,本当に上手いというのはこういうことなのか!と唸らされる演奏でした。

録音ですが,残響は控えめなのですが,うっすらと響きが直接音に被っていて少し音色をくすませています。とはいえ,弱音までニュアンス豊かに捉えている点では良好と言えます。室内楽の録音としては標準的で,オーディオ的な魅力は薄いものの,悪くないと思います。個人的にはもう少しヴァイオリンに寄って質感を強めに出して欲しかったところです。

ということで,演奏は素晴らしく,録音もまずまずの好録音で,期待通りでした。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(バロック・アンサンブル編曲版)(リパスト・バロック・アンサンブル)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988(バロックアンサンブル編曲版)
リパスト・バロック・アンサンブル Repast Baroque Ensemble
5-7 September 2017 at the Staller Center Recital Hall, SUNY Story Brook, New York
MSR Classics MS 1661 (P)(C)2019 Repast/MSR Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ゴルトベルク変奏曲のこういう編曲ものにはついつい手を出してしまいます。リパスト・バロック・アンサンブルは5人編成で,ヴァイオリン/ヴィオラ,フラウト・トラヴェルソ,チェロ/チェロ・ピッコロ,バロック・バスーン,チェンバロ,で演奏されています。変奏毎にチェンバロ独奏からアンサンブルまで編成が変わっていきます。技術的にものすごく上手いというわけではなく,また,特にチェンバロ独奏ではリズムがギクシャクしたりしていますが(わざとだと思いますが),どこかおっとりとほのぼのとした雰囲気があってとてもいい感じです。こういう編曲,演奏は歓迎です。

録音ですが,軽く背景的に録音会場の残響が残りますが,直接音主体に明瞭に分離良く録られているのが好印象です。音色にも色づけがなく,高域のヌケも良好です。好録音。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番~第6番 作品18

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番,第2番,第3番
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2015年6月29日-7月1日 トロント,グレン・グールド・スタジオ
CORO COR16164 (P)(C)2018 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番,第5番,第6番
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2016年10月10-13日 トロント,グレン・グールド・スタジオ
CORO COR16174 (P)(C)2019 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

アイブラー四重奏団は「ターフェルムジーク・バロック管弦楽団や,ヘンデル&ハイドン・ソサエティ(HHS)で活躍する名手たちによって2004年に結成され,カナダ,トロントを拠点として活動しているアンサンブル」(輸入元情報)とのことです。

演奏はかなり速いテンポで駆け抜けていくのですが,何というか,軽くて可愛らしいのです(^^;。ピリオドスタイルでありながらモダンというか新しさがあります。以前,同四重奏団のハイドンのロシア史重奏曲を取り上げましたが,だいぶ印象が異なります。一皮むけたというか,独自のスタイルを確立してきているなと思います。

そして録音ですが,スタジオ録音ということもあってか,残響はほぼなし,楽器音が極めて明瞭に,分離感よく,見通しも良く,質感高く捉えられていて,私としては申し分ありません。特に第1番~第3番が良く,第4番~第6番も悪くはないのですが,わずかに雑味が感じられて少し落ちる印象です。

演奏も録音も良く,このままベートーヴェンの録音を継続して欲しいと願っています。(録音は第1番~第3番と同じでお願いしたい)

モーツァルト:歌劇「魔笛」より(弦楽四重奏編曲版),弦楽四重奏曲第14番(ツァイーデ四重奏団)

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モーツァルト:歌劇「魔笛」より(弦楽四重奏編曲版)
モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番ト長調 K.387
ツァイーデ四重奏団 Quatuor Zaïde
NMM060 (P)2019 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ハイドンの弦楽四重奏曲集作品50「プロシア四重奏曲」が良かったツァイーデ四重奏団のモーツァルト。歌劇「魔笛」の弦楽四重奏編曲版と第14番。Apple Musicで試聴しました。

こういう編曲ものは「ふ~ん」で終わってしまうことも多いのですが,これは,音楽が跳ね回ったり駆け抜けていったり...本当に舞台で役者が演じているような生き生きとした躍動感が素晴らしく大変楽しめました。上手いものです。そして第14番,ちょっと落ち着きがないというか,せわしないというか,そういった面はあるものの,現代的な新しさを追い求めたような挑戦的な演奏で,こちらも良かったです。

そして録音ですが,残響は多めで残響時間も長めですが,直接音成分がそれなりにあるため,残響の影響を受けつつもぎりぎり明瞭で伸びのある音質を確保しています。若干音色がきつくうるさく感じられることもありますが十分許容範囲です。このような録り方なら多くの人に受け入れられるのではないでしょうか。

この延長線上でハイドン・セット全曲録音を期待します。

ハイドン:弦楽四重奏曲第32番,第58番,第66番(ジュビリー四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲第32番,第58番,第66番
ジュビリー四重奏団 Jubilee Quartet
2018年8月2-6日 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
RCD1039 (P)2019 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。ジュビリー四重奏団は2006年にロンドンの王立音楽アカデミーで結成されたとのことで,これがデビューアルバムとのことです。

良い意味で教科書的な素直な演奏かなと思います。丁寧で細部にまで神経が行き届いていますし,緩急強弱が絶妙で癖がほとんど感じられず個性の押しつけもありません。技術力もありますしアンサンブルも優秀です。良いと思います。あまりに落ち着き過ぎている感があり個人的にはもう少し推進力があればと思いますが。でもまあこれがかえってユーモラスに聴こえないでもないですが。

録音ですが,残響が付帯音としてわずかにまとわりついて気になるものの,直接音が主体であり明瞭感,高域の伸びともに良好で好録音と言えると思います。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)(トリオ・アムステルダム・ベルリン)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)
トリオ・アムステルダム・ベルリン Trio Amsterdam-Berlin
録音不明
287600605 (P)(C)A&O Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。HMV Onlineiconで注文していたのですが,なかなか入荷しそうになく,他の通販サイトも取り扱いすらなさそうでしたので入手は一旦諦めました。

演奏はどちらかといえば無難で安全運転に徹しているように思いました。破綻することなく上手くまとめていますが,弾くのにいっぱいいっぱいで表現を追求するところまで到達していないのではないかと思います。悪くはないのですが今ひとつワクワクしませんでした。リピートの省略が多いのも残念です(演奏時間約54分,リピート表は今回は省略します)。

録音ですが,生録的な手作りの自然さは良いものの,残響というか録音会場の響きの影響で音色がくすみ精彩がありません。もう少し奏者に寄って直接音主体にクリアに透明感をもって録って欲しかったところです。

タグ: [室内楽曲] 

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品50「プロシア四重奏曲」(ツァイーデ四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品50「プロシア四重奏曲」
ツァイーデ四重奏団 Quatuor Zaïde
(P)2015 NoMadMusic
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ツァイーデ四重奏団は2010年結成のフランスの四重奏団で,2012年のハイドン国際コンクールで優勝したとのことです。Apple Musicで試聴しました。海外の通販サイトではディスクの販売が確認できましたが(amazon.fr),国内の通販サイトでは見つかりませんでした。(→2019年8月に発売になりました 追記2019/8/17)

表現のダイナミックレンジが広く,力強さと細やかさを兼ね備えたなかなかに聴き応えのある演奏です。技術力も確かでアンサンブルも良く,隅々まで神経が行き渡っていますし,ニュアンスも豊かです。良いと思います。

録音ですが,直接音主体に明瞭に捉えられていて好印象です。わずかな響きの影響からか少し音色に濁りが感じられるのが惜しいところですが,まあ許容範囲です。少々おまけですが四つ星半です。

モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集,ディベルティメントK. 136-138(カザルス四重奏団)

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モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集,ディベルティメントK. 136-138
カザルス四重奏団 Cuarteto Casals
録音 2004-2005年
HMI 987060.62 harmonia mundi (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

カザルス四重奏団は現在ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の企画が進行中でVol. 1は取り上げていました。モーツァルトはハイドン・セットから3曲が録音されリリースされていますが,初期の録音があるとは知りませんでした。しかもK. 136-138も含まれているとはうれしいセットです。カザルス四重奏団1997年の結成とのことなので,結成後まだ7-8年後の録音ですね。速めの颯爽としたテンポで駆け抜ける現代的で洗練された胸のすく演奏でした。

録音ですが,それほど残響は多くないものの,少しオフマイク気味なのか,録音環境の響きの影響が感じられ,かつ楽器の質感が弱めで,高域のヌケも少し不足していてすっきりしません。悪くはないのですが,ちょっともどかしさが残ります。惜しいです。

もう廃盤になってから久しいのか,中古では少し値段が高くなっているようです。私はAmazon.comから入手しましたが,やはり少し高めでした。Apple Musicでも公開されていないようです。こういう貴重な録音をApple Music等で聴けるようにしてくれたら良いのに,こいうかこういうのこそアップして欲しいですね。

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品71「第1アポーニー四重奏曲」(マクスウェル四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品71「第1アポーニー四重奏曲」
マクスウェル四重奏団 Maxwell Quartet
2018年4月11-14日 UK,サリー,ストーク・ダバノン,メニューイン・ホール
CKD602 (P)(C)2019 LINN RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴。マクスウェル四重奏団は2010年にイギリスで結成された若い四重奏団で,これがデビュー盤とのことです。モダン楽器によるスマートな演奏で,良い意味で教科書的で,癖がなく,綺麗で美しく,個性よりも理想を追求したような演奏です。

録音ですが,さすがLINN RECORDS,残響はそれなりにありますが,直接音に被りすぎず,音色の劣化も少なめに抑えられています。オーディオ品質も高いです。強いていうと,個人的にはもう少しマイクを寄せて楽器の質感をもう少し強めに出して欲しかったところですが,それでもまぁ好録音と言って良いと思います。

カプリングとして,スコットランドのトラッド音楽を弦楽四重奏曲に編曲したものがそれぞれの曲のあとに挿入されています。これも良かったです。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品59「ラズモフスキー」(ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品59「ラズモフスキー」
ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団 Nicolai Quartet
2018年5月13日~19日 スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)
CMCD-15147-8 (P)(C)2018 Camerata Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ウィーン・フィルのメンバーで構成された2012年創設の弦楽四重奏団による演奏。若い演奏家たちの演奏ですが,その演奏スタイルはどちらかといえば古風で伝統的と言えるのではないでしょうか。ある意味ウィーン・フィルのカラーを受け継いでいるようにも思います。推進力やキレのある演奏ではありませんが,丁寧で落ち着いた佇まいにどこかホッとさせる温かさを感じます。

録音ですが,少し残響が多めで音色への影響と演出感の強さにつながっているものの,響きの癖は少なく,また楽器音の捉え方がしっかりとしていて明瞭感と質感はそれなりに保たれているので印象は悪くありません。私の好きな録音とは少し違いますが,まあこれならぎりぎり許せます。少しオマケですが四つ星半です。
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