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ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集(アイルブ・マクドナー/ジョン・オコーナー)

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ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集
アイルブ・マクドナー Ailbhe McDonagh (Cello)
ジョン・オコーナー John O'Conor (Piano)
2020年8月2-6日 St.Peter's Church, Drogheda, UK
STNS30181 (P)(C)2021 Steinway & Sons (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

アイルブ・マクドナーはアイルランドのチェリスト。このディスクは2020年のベートーヴェン生誕250年を記念して録音されたものとのこと。倍音成分まで綺麗に揃った美音で歌心に溢れる素晴らしい演奏でした。

録音もわずかな残響のまとわりつきが気になるものの,直接音を主体にこの美音を明瞭に自然な音色で捉えていて好感を持ちました。

たまたま見つけてふと聴いてみたディスクでしたが,演奏も録音も良く私にとっては掘り出し物でした。

シューベルト:弦楽四重奏曲第4番,第13番「ロザムンデ」(フェシュテティーチ四重奏団)

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シューベルト:弦楽四重奏曲第4番,第13番「ロザムンデ」
フェシュテティーチ四重奏団 Festetics Quartet
録音時期:1995年7月21-23日 フランス,ナント,オーディトリアム2000
ARCANA A907 (P)1996 (C)2020 Outhere Music France (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

フェシュテティーチ(フェステティチ)四重奏団といえば,だいぶ前にハイドンの弦楽四重奏曲全集を取り上げていました(e-onkyoの廉価でのリリースも紹介していました)。このハイドンのARCANAレーベルの録音は好きだったので,このシューベルトも聴いてみようと思い入手しました。なおこのディスクは同レーベルのシューベルトの弦楽四重奏曲全曲プロジェクトとしてスタートしたそうですが,途中で終わってしまったそうです(この1枚だけ?)。

それでその録音なのですが,期待通り,残響感はほとんどなく,適度な距離感でそれぞれの楽器を明瞭に分離良く質感良く捉えた好録音でした。弦楽四重奏の録音としてほぼ不満がありません。こういう録音で聴けるのは本当にうれしいです。

このピリオド楽器の四重奏団は技術的にはキレのある方ではありませんが,独特の温かさのある演奏が味わい深くて素敵です。

全くの蛇足ですが,第1ヴァイオリン奏者の名前が「イシュトヴァーン・ケルテース(István Kertész)」で,あの有名な指揮者と同姓同名ではないかと思います。全く関係ないと思いますが。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」,第14番(クァルテット・エクセルシオ)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」,第14番
クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
2019年12月18,19日 武蔵ホール(埼玉)
Live Notes WWCC-7939 (P)2021 NAMI RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

第12番,第16番,第7番~第9番「ラズモフスキー四重奏曲」,第1番~第6番,第11番「セリオーソ」,第15番に続くベートーヴェン・シリーズの第五弾。

ここに来て第2ヴァイオリンが交代されたとのことですが,今までの演奏と変わりないクオリティの高さ,完成度を達成していると思いました。個性的な演奏ではありませんが,日本人らしい(という言い方はあまり良くないかもしれませんが)生真面目さ,素直さ,そして技術力の高さが,曲の持つ本来的な美しさを最大限に引き出しているように思いました。

録音についてもこれまでと同様で,やや残響が多めに取り入れられ,楽器音に被って音色をくすませています。改善されることを望みましたが,許容範囲内ではあるので,まあここまで来たらこの録音で統一というのも全集としては良いかもしれません。

全集としては,いよいよ第13番と大フーガを残すのみとなりました。楽しみに待ちたいと思います。

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76「エルデーディ四重奏曲」(ロンドン・ハイドン四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76「エルデーディ四重奏曲」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
2020年2月27日-3月3日 ポットン・ホール(サフォーク)
CDA68335 (P)(C)2021 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

弦楽四重奏曲全集への第九弾。作品9,作品17,作品20,作品33,作品50,作品54,作品55,作品64,作品71,作品74はレビュー済みです。全集化もいよいよ大詰めで待ちに待ったエルデーディ四重奏曲です!

演奏はここまでリリースされてきたものと基本的に同じで,ピリオド楽器のガット弦の立ち上がりの遅さを逆に利用したような弦に吸い付くような弓遣いで独特の起伏のある表現を創り出しています。スピード感のある快活な演奏が多い昨今の傾向からは一線を画す独自のピリオド楽器らしいスタイルを確立していますね。技術的にも優れ完成度の高い音楽に仕上げているのも今までと同様です。

ただ一つだけ...五度の第1楽章はちょっと遅すぎるのと止まりそうになるテンポ感はいただけません。今までに聴いたことのないような表現ではあるのですが,これだけは良いと思えませんでした。

録音についてもこれまでと同様で,若干残響のまとわりつきで音色に影響が出ているのが気になりますが,音の伸び,楽器の質感もまずまずです。生録的なところも良いのですが,少し録音環境の雰囲気を残しすぎているような気はします。もう少し抑えてくれていたらなと思いましたが,好録音と言って良い出来だと思います。

全集完成まであと残り少し,楽しみに待ちたいと思います。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番,第5番「春」,第7番(ヴィクトリア・ムローヴァ/アラスデア・ビートソン)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番,第5番「春」,第7番
ヴィクトリア・ムローヴァ Viktoria Mullova (Violin)
アラスデア・ビートソン Alasdair Beatson (Fortepiano)
2020年7月20-21日 ワイアストン・コンサート・ホール(モンマスシャー,イギリス)
ONYX 4221 (P)(C)2021 Victria Mullova (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ムローヴァはおよそ10年前に第3番,第9番「クロイツェル」を録音していてこれがVol.2となります。ピアニストは変わっていますがいずれもフォルテピアノとの共演です。ヴァイオリンはグァダニーニにガット弦を張り,classical bowを使って演奏していると解説に記載されていました。ただ,私の聴いた感じではフォルテでガット弦の性能を超えた弾き方になってしまっていてわずかに音が潰れているように聴こえました。もちろん意図的なのでしょうけど,楽器が悲鳴をあげているようで,この点が少し残念に思いました。ムローヴァの要求をきちんと受け止められるモダン楽器の方が良かったんじゃないかと思いました。それを除けば,力強くダイナミックでとても良かったと思います。

録音ですが,少し残響が楽器音に被って音色に影響しているのですが許容範囲と思います。少し距離感があってニュアンスや楽器の質感が感じにくいかなというところはあって,もう一歩寄っても良かったのではないかと思います。少し不満はあるものの,音楽を楽しむ上ではそれほど影響がないのでまずまず良好と思います。

ブラームス:チェロ・ソナタ集,他(アシエル・ポロ/エルダー・ネボルシン)

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ブラームス:チェロ・ソナタ集
アシエル・ポロ Asier Polo (Cello)
エルダー・ネボルシン Eldar Nebolsin (Piano)
2-4th July 2018, Auditorio Manuel De Falla (Granada-Spain)
IBS82019 (C)2019 IBS Classical (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

アシエル・ポロは1971年生まれのスペインのチェリスト。4月の中旬にバッハ無伴奏チェロ組曲全曲が発売されるということで(配信系はすでに入手可能のようですが),検索してみるとブラームスのちぇろ・ソナタ集がリリースされていて,Apple Musicで聴いてみるとなかなか良かったのでディスクを入手しました。

いままで名前も聞いたことのないチェリストですが,すごく上手くて驚きました。隅々まで神経の行き届いた表現,低域から高域まで雑味がなく艶やかで張りのある音色も素晴らしく思いました。

録音ですが,残響は控えめで楽器音を素直に捉えており,明瞭感,音色の自然さなど良好でまずまずの好録音と思いました。チェロとピアノのバランスがわずかにピアノに傾いていて,もう少しチェロを前に出した方が良いかなとは思いました。

演奏も録音も良い,私としては掘り出し物のディスクでした。もうすぐリリースされるバッハ無伴奏チェロ組曲も楽しみです。

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集(エッシャー弦楽四重奏団)

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メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番,第4番,他
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2014年4月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-1960 SACD (P)2015 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番,第3番,他
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2014年9月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-1990 SACD (P)2015 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

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メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第5番,第6番,他
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2015年5月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-2160 SACD (P)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,e-onkyo,Apple Music

エッシャー弦楽四重奏団は以前にドヴォルザーク「アメリカ」,チャイコフスキー第1番,ボロディン第2番を収録したディスクを取り上げていました。演奏も録音も良い素晴らしいディスクでした。

同団体のメンデルスゾーンの全集が出ているというので聴いてみましたが,同様に溌剌とした躍動感と歌心のある演奏が大変魅力的であり,技術力,アンサンブル力が高く隅々までコントロールが行き届いていますし,各奏者の楽器の音色もニュアンス豊かです。

そしてその演奏を支える録音が良いですね。残響はあるものの楽器音にほとんど影響を与えておらず,明瞭感,音色の自然さ,楽器の質感,各楽器の分離感,ステージ感,見通しの良さ,突出したものはないにせよ,どれをとっても高い水準でバランスが取れています。全くストレスなく気持ち良く音楽に没入できます。こういう録音がもっと増えて欲しいという願いを込めて五つ星評価としました。

シューマン:弦楽四重奏曲第1番,第2番,第3番(エマーソン弦楽四重奏団)

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シューマン:弦楽四重奏曲第1番,第2番,第3番
エマーソン弦楽四重奏団 Emerson String Quartet
2018年12月19,20日, 2019年1月23,24日, 2018年5月16,17日, ニューヨーク州ブロンクビル,コンコーディア大学,ニュージャージー州マディソン,ドリュー大学
PTC 5186869 (P)(C)2020 Pentatone Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

エマーソン弦楽四重奏団はご存じの通りドイツ・グラモフォンに数多くの録音を残してきた弦楽四重奏団ですが,最近あまり録音がなかったように思います。久々の録音ではないでしょうか。また,第1番と第2番は初めての録音というのも意外です。

演奏はさすが一流のベテランです。細部まで表現が練られていて隙がありません。切れ味の鋭さを基調とした直線的な演奏ながら,個々の奏者のニュアンス豊かな音色,歌心のある生き生きとしたフレージングが曲を鮮やかに彩ります。こういったところがドイツ・グラモフォン時代より進化しているように思いました。

そして録音ですが,直接音を主体とし残響はその後でふわっと広がる程度であり,明瞭感,音色の帯域バランス,ヌケの良さなど申し分ありません。ステージ感,個々の楽器の分離感がもう少しあれば見通しが良くなると思いました。また,少し現実感に乏しく商品化された音楽という感じが強いので,もう少し生々しく録って欲しいところです。とはいえ,鑑賞の邪魔になる要素は少なく,まずまずの好録音と言えると思います。

演奏も録音もとても良かったので,今後も録音を続けて欲しいと思います。

ブラームス:チェロ・ソナタ集,他(ソニア・ヴィーダー・アサートン Vc/モージェン・クーパー P)

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ブラームス:チェロ・ソナタ集,他
ソニア・ヴィーダー・アサートン Sonia Wieder-Atherton (Cello)
イモージェン・クーパー Imogen Cooper (Piano)
2006年6月 La Ferme de Villefavard
88697 201872 (P)(C)2007 Sony BMG Music International (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

Apple Musicでブラームスの2曲のソナタを聴いて深々とした音色が大変魅力的で良かったのでディスクを探したところ,このディスクが見つかり入手しました。2枚組で,2枚目にヴァイオリン・ソナタ第1番のチェロ編曲版が収録されています。

濃く深い響きからダイナミックで激しい感情の表出まで,幅広い表現力が素晴らしいです。そして激しい表現であっても荒れない美音の持ち主です。大変魅力的なブラームス演奏でした。

録音ですが,わずかに距離感があって生々しさはあまり感じられないのですが,直接音主体に録られていて好ましいと思います。もう少し寄って楽器の質感をもう少し強くニュアンス豊かに捉えて欲しかったとは思いますが,この魅力的なチェロの音色は伝わってきます。まずまずの好録音だと思います。

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集(パシフィカ・クァルテット)

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メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集
パシフィカ・クァルテット Pacifica Quartet
2002年12月, 2003年10月, 2004年3月, 6月
CDR 90000 082 (P)(C)2005 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

少し前にHMV Onlineで在庫特価で出ていたので入手していました(現在はHMV Onlineでは入手不可になっていますね)。

若々しく明るく溌剌とした演奏がメンデルスゾーンの音楽にぴったりと合っていると思いました。技術的にも上手くアンサンブルも整っています。とても良いと思います。

そして録音ですが,残響は少しありますが,直接音主体に明瞭に録られていて明瞭であり,それぞれの楽器の質感も良く感じ取れます。弦楽四重奏曲の録音として好ましく,ストレスなく聴くことが出来ます。

これは演奏も録音も良いちょっとした掘り出し物でした。

モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク,音楽の冗談,ディベルティメントK.136-138(アマデウス弦楽四重奏団)

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モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525(弦楽五重奏版)
モーツァルト:音楽の冗談 K.522 「村の楽士の六重奏」
モーツァルト:ディベルティメント K.136-138
アマデウス弦楽四重奏団 Amadeus Quartet
1979年4月29日-5月2日 ミュンヘン,レジデンツ,プレナールザール,1974年9月24-29日 ウィーン,シェーンブルン宮殿
PROC-1368 (P)1980/1977 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records *Tower Records Vintage Collection +plus Vol.17

タワーレコード企画盤。ライナー・ツェペリッツ(コントラバス),ゲルト・ザイフェルト,マンフレッド・クリエール(ホルン)というベルリン・フィルの3人の奏者が加わっています。ディベルティメントは弦楽四重奏曲全集に収録されていたものと同じ演奏と思われます。

弦楽オーケストラで演奏されることの多いアイネ・クライネ・ナハトムジークが弦楽五重奏版で聴けるというのが,弦楽四重奏好きの私としては大変うれしいです。

アマデウス弦楽四重奏団というと,今や古めかしい感じにはなってしまいましたが独特のユルさが醸し出す温かで微笑ましい雰囲気が大好きなのです。これがハイドンやモーツァルトにはもの凄くはまるのです。そしてこれもあまりやる人がいなくなった気がしますが,完全に拍の前に出してキリッと締める重音奏法がカッコいいのです。古き良き時代の弦楽四重奏ですね。

録音ですが,いずれも残響を控えめに,楽器音を明瞭にニュアンス豊かに捉えていて良好です。アマデウス弦楽四重奏団の甘美な音色をストレートに伝えてくれる録音と思います。同じセッションでの録音と思われるアイネ・クライネと音楽の冗談ではアイネ・クライネの方が良く,音楽の冗談は若干残響が被り気味で明瞭感が落ちているのが残念です。

ということで,この楽しい音楽が良好な録音で残されたことに感謝です。

バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集(イザベル・ファウスト/クリスティアン・ベズイデンホウト)

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バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
クリスティアン・ベズイデンホウト Kristian Bezuidenhout (Harpsichord)
2016年8月18-24日 ベルリン,テルデックス・スタジオ
HMM 902256.57 (P)2017 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

前から気になっていたものの,買いそびれていたディスク。レコード芸術誌の2020年5月号の特集「新時代の名曲名盤500」で1位に選出されているのを見て,やっぱりちゃんと聴いておきたいと思い入手しました。

淡々と揺るぎなく地盤を築くチェンバロの上で,バロック楽器の特徴を活かした奏法で,自由に,伸びやかに,ニュアンス豊かに演奏されるヴァイオリンがとても印象的でした。

録音ですが,やや残響が多めで楽器音に被り音色に影響を与えているのですが,音の輪郭は比較的はっきりとしていて音の伸び,楽器の質感も感じられるため悪くありません。もう少し直接音主体に明瞭に録って欲しいところで,私の好みからは外れますが,これならギリギリ許容範囲かと思います。残響が許せる方なら問題ないと思います。オーディオ品質的にも良好と思います。少々オマケですが四つ星半の好録音としました。

ブラームス:チェロ・ソナタ集(ダニエル・ミュラー=ショット/フランチェスコ・ピエモンテージ)

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ブラームス:チェロ・ソナタ集
ダニエル・ミュラー=ショット Daniel Müller-Schott (Cello)
フランチェスコ・ピエモンテージ Francesco Piemontesi (Piano)
2018年1月7-10日 ミュンヘン,バイエルン放送第2スタジオ
C979201 (P)(C)2020 ORFEO International Music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴。私の中ではジャン=ギアン・ケラスと並ぶ美音チェリストと思っているダニエル・ミュラー=ショットのブラームス。第1番,第2番とヴァイオリン・ソナタ第1番のチェロ編曲版が収録されています。

演奏はふくよかで深々としたチェロの響きが期待通りです。特に低い音の美しさは格別です。彼の美質とブラームスはよく合っていると思います。

録音ですが,スタジオでの録音のようで,残響は控えめに抑えられていて,その点では好感が持てるのですが,少し捉え方が弱いというか,マイクが少し遠いのか,質感が意外に弱い気がします。もう少し寄ってボディ感を強く出して欲しかったところです。悪くはないのですが,好録音と言うには少し物足りません。惜しいです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番~第4番(フランク・ペーター・ツィンマーマン/マルティン・ヘルムヒェン)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集 第1番~第4番
フランク・ペーター・ツィンマーマン Frank Peter Zimmermann (Violin)
マルティン・ヘルムヒェン Martin Helmchen (Piano)
September 2019 at the Siemens Villa, Berlin, Germany
BIS-2517 (P)(C)2020 BIS Records AB (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

全曲録音に向けての第一弾とのこと。ツィンマーマンの弾く楽器は1711年製のストラディヴァリウス「レディ・インチクイン」で,クライスラーが所有していた銘器,一方ヘルムヒェンの弾くピアノは2013年にダニエル・バレンボイムがベルギーのピアノ製作者クリス・マーネに製作を依頼した平行弦ピアノとのことで,このあたりもちょっと興味深いところです。

演奏は,抜群のキレを誇るテクニックを活かした推進力と躍動感に溢れたもので,これは大変素晴らしい出来ですね。かなり速いテンポでグイグイと進んでいくのですが,直線的にならず,一つ一つの音の表現が細やかで起伏に富みダイナミックかつニュアンス豊かです。ワクワクが止まりません!

録音ですが,残響はかなり多めであとにだいぶ尾を引くのですが,楽器音への被りは少なめで,明瞭感とヌケの良さはなんとかあるため,残響量の割には印象は悪くありません。ただやっぱりこの残響は過剰でまとわりつきが鬱陶しく感じられ,好みの録音とは少し外れます。この録音であれば残響が許せる方には問題ないかもしれませんが。だいぶオマケの四つ星半ですが,好録音というには少し引っかかります。

ブラームス:弦楽四重奏曲全集,ピアノ五重奏曲(ベルチャ四重奏団,ティル・フェルナー)

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ブラームス:弦楽四重奏曲全集,ピアノ五重奏曲
ベルチャ四重奏団 Belcea Quartet
ティル・フェルナー Till Fellner (Piano)
16-17 November 2014(No.1), 6-7 March 2015(No.2), 16-17 May 2015(No.3), 21-22 December 2015(Piano Quintet), Aldeburgh Music, Britten Studio, Snape (United Kingdom)
ALPHA 248 (P)(C)2015 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

このディスク,以前一度検討して購入を見合わせていました。レコード芸術誌の2020年5月号の特集「新時代の名曲名盤500」で1位に選出されていて,Apple Musicで試聴してみて良かったので購入することにしました。

演奏ですが,個々の奏者の奏でる音が大変魅力的で,その絡み合いの結果生み出されるドラマティックな音楽にとても惹きつけられます。技術的にも上手いですし,キレも抜群,アンサンブルも隙がありません。さすが前述の通り1位に選出されるだけのことはあります。

そして録音ですが,残響感というか録音会場の響きの付帯音が少し多めですが,それぞれの楽器の質感はしっかり濃いめに捉えられていて好感が持てます。ただ,演出感も強めなため,現実感の薄い作り物という感じがしてしまうのが惜しいところです。とはいえ,弦楽四重奏曲の録音としてまずまずの好録音と思います。

これは買って正解でした。

クス四重奏団のクラウドファンディング(Kickstarter)出資へのリターンが届きました!

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先日取り上げたクス四重奏団の弦楽四重奏曲全集の収録にあたりクラウドファンディング(Kickstarter)で資金集めされており(→Kuss Quartett - The Beethoven Recording),私も€100出資しておりました。リターンである全集のボックスセットは今年1月発送予定でしたが一向に届かないので問い合わせてみたところ,新型コロナウイルスの影響で発送が遅れているとのことでした。それが先日ようやく届きました!

包装の箱はボコボコにへこんでいましたが,中身は無事でした。サントリーホール前で撮影されたポストカードが同封されていて,直筆で出資へのお礼の言葉が記されていました。

到着を待ちきれず購入してしまっていましたが,出資に対する約束が果たされたのでちょっとホッとしています。

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
クス四重奏団 Kuss Quartet
2019年6月2-13日 東京,サントリーホール,ブルーローズ(小ホール)
RCD1045 (P)2020 Kuss Quartet (C)2020 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music(初期, 中期, 後期)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(エベーヌ四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
エベーヌ四重奏団 Quatuor Ébène
2019-2020å¹´
0190295339814 (C)2020 Parlophone Records/Warner Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo

2019年4月から2020年1月にかけて行われたワールドツアー「ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド」の各ツアーの最終公演をライヴ録音した全集。

収録曲と収録地は下記の通りです。

第1番,第14番 (2019年5月6日 フィラデルフィア,キメル・センター)
第7番,第8番 (2019年6月11日 ウィーン・コンツェルトハウス,モーツァルトザール)
第9番,第13番,大フーガ (2019年7月16日 東京,サントリーホール,ブルーローズ)
第6番,第12番 (2019年9月18日 サンパウロ,サーラ・サンパウロ)
第2番,第10番,第11番 (2019年10月30日 メルボルン・リサイタル・センター)
第4番,第5番,第16番 (2019年12月8日 ナイロビ,Alliance francaise de Nairobi)
第3番,第15番 (2020年1月27日 フィルハーモニー・ド・パリ)

演奏ですが,集中力の高さと緊張感,そしてライヴの熱気と勢いに圧倒されます。技術のキレも抜群です。表現はどちらかといえば直球勝負してくる感じなのですが,ビシッビシッと決めてくるのが痛快です。しかしとにかくテンションの高い演奏なので聴いている側も緊張を強いられます。こういう演奏に久しぶりに出会った気がします。

そして録音なのですが,多くの会場に分かれているにも関わらず,全体的に統一感のある音作りになっています。オンマイク気味に各楽器の音を明瞭に捉えている一方で,残響の取り入れも多く,音色に影響しているほか,密度が高く暑苦しい感じがします。質感やニュアンスはよく捉えられているのですが。私としてはもっとすっきりと録って欲しかったと思いますが,まあ許容範囲ギリギリということで,ちょっとオマケですが四つ星半としました。

エベーヌ四重奏団が現代のトップクラスの団体であることがよくわかる素晴らしい全集でした。

なお,第13番は大フーガを終楽章に据えたバージョンで演奏されています。

ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

※2020/6/21 クス四重奏団(5:58)とエベーヌ四重奏団(5:40)を追加



「ブランデンブルク協奏曲第3番第3楽章 快速ランキング!」に続き,おバカ企画第二弾! ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品59-3「ラズモフスキー第3番」終楽章 快速ランキング! です(^^;。


■ラズモフスキー第3番終楽章 快速ランキング!

5:16 ニュー・ミュージック四重奏団(1950年代前半)
5:20 エマーソン四重奏団(1994-95)
5:21 グァルネリ四重奏団(1966 1回目)
5:28 ウィーン・ムジークフェライン四重奏団(1990-92)
5:28 上海クァルテット(2008)

5:30 ジュリアード四重奏団(1964-70)
5:32 ライプツィヒ弦楽四重奏団(1995-2006)
5:34 カルミナ四重奏団(1998)
5:35 メロス四重奏団(1983-1986)
5:37 ミロ・クァルテット(2012)
5:37 ベルチャ四重奏団(2012ライヴ)
5:39 ジュリアード四重奏団(1982)
5:39 オライオン四重奏団(2006-08)
5:39 タカーチ四重奏団(2001)
5:40 ヴォーチェス四重奏団(1998)
5:40 エベーヌ四重奏団(2019-2020)
5:41 ベルチャ四重奏団(2011,12)
5:41 グァルネリ四重奏団(1987-92 2回目)
5:43 東京クヮルテット(2005新録音)
5:46 ウィハン四重奏団(1996-2005)
5:48 ファイン・アーツ四重奏団(1969?)
5:48 ゴールドナー四重奏団(2004)
5:48 東京クヮルテット(1990-92旧録音)
5:48 プラジャーク四重奏団
5:49 アルテミス四重奏団(1998)
5:52 サイプレス弦楽四重奏団(2012-2014)
5:53 クリーヴランド四重奏団(1991-1995)
5:54 アルバン・ベルク四重奏団(1978-83旧録音)
5:54 ウィハン四重奏団(2007-2008)
5:55 エンデリオン弦楽四重奏団(2005-2008)
5:56 ヴラフ四重奏団
5:58 ゲヴァントハウス四重奏団(2002)
5:58 クス四重奏団(2019)
5:59 ロータス・カルテット
6:00 アマデウス四重奏団(1959-63)
6:00 アウリン四重奏団(2002-04)
6:02 シネ・ノミネ四重奏団
6:03 コロラド四重奏団(2001)
6:04 アリス四重奏団(2017)
6:04 バルトーク四重奏団(1969-72)
6:05 フィルハーモニア・クァルテット・ベルリン
6:05 ターリヒ四重奏団(1977-81)
6:06 アルバン・ベルク四重奏団(1989新録音)
6:07 フェルメール四重奏団(1983-91)
6:10 ヴァンブルー四重奏団(1996)
6:10 アルカン四重奏団(2008^2011)
6:11 ケッケルト四重奏団(1953-56)
6:36 クァルテット・エクセルシオ(2014)
6:38 ズスケ四重奏団(1967-80)
6:39 レナー四重奏団(1926)
6:40 メディチ弦楽四重奏団(1988-90)
6:40 ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団(2018)

HMV Onlineによると,ニュー・ミュージック四重奏団がものすごく速いということで,YouTubeにアップされている音源を実測してみました。5:17で今のところやはり最速でした。(YouTube情報有り難うございました)→CDを入手し実測し直しました。5:16でした。

今後も聴いて実測できたものがあれば随時追加していきます。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(クス四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
クス四重奏団 Kuss Quartet
2019年6月2-13日 東京,サントリーホール,ブルーローズ(小ホール)
RCD1045 (P)2020 Kuss Quartet (C)2020 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music(初期, 中期, 後期)

2019年6月に行われた「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2019」のライヴ録音。この録音された時期(ちょうど昨年の今頃ですね...)にクラウドファンディング(Kickstarter)で資金集めされていました(→Kuss Quartett - The Beethoven Recording)。サイトを見ると,39人が支援し,€6,136を集めたとあります。何を隠そう,私もその中の一人で€100出資しました(^^;。ディスクは2020年1月に発送,とされていたのですが,今日現在(6月7日)もまだ届いていません。4月初旬に問い合わせをしたところ「発売したんで今から送ります。」と連絡があったのですが,その後「新型コロナウイルスの影響で送れる状況ではなくなった。ちょっと待って欲しい。」とのことでした。そろそろ落ち着きを取り戻しつつあると思いますので,また状況を聞いてみようと思います。

で,結局待ちきれずに購入して聴いているわけですが...

輸入元情報によるとクス四重奏団は「1991年のドイツ,ベルリンでの結成以来,欧州を中心に世界を席巻し続けている世界屈指の弦楽四重奏団」とのことで,私自身はよく知らなかったのですが,実際にこのディスクを聴いてみると,その実力の高さと幅広い表現力に納得してしまいました。緩急強弱を駆使した大胆な表現から,細かい仕掛けまで,独自の表現を追求し,それを高い技術力とアンサンブル力で,隅々まで神経の行き届いた演奏を実現しています。拍の感じ方が合わないところがあって「ウッ」となる瞬間はありますが,個人の好みの範囲です。

録音ですが,ホールトーンの被りで音色への影響が少し気になるものの,演出感の少ない自然な雰囲気を残したライヴ録音としてまずまず良好と思いました。個人的にはもう少し寄って個々の楽器の質感と分離感を確保して欲しかったとは思いますが。不満は残るもののギリギリ好録音と言って良いかなと思います。

ということで,これはなかなか聴き応えのある素晴らしい全集でした。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,ボロディン:弦楽四重奏曲第2番(ドロルツ弦楽四重奏団)

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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調
ドロルツ弦楽四重奏団 Drolc Quartett
1967年10月5-9日 ベルリン,ドイツ・グラモフォンUFAスタジオ
PROC-1613 (P)1969 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records

タワーレコード企画盤。Tower Records Vintage Collection +plus ベルリン・フィル室内楽名盤選 Vol.2。世界初CD化。ドロルツ弦楽四重奏団は,1950年にベルリン・フィルの第1ヴァイオリン奏者だったエドゥアルト・ドロルツが結成した四重奏団。

解説書によると,「当時はスタイリッシュな演奏様式が全盛の時代で,ドロルツのロマンティックな芸風は時代遅れとみなされ,CD時代にはほとんど忘れられた存在となっていました。」とのことです。Vol.1のシューマン弦楽四重奏曲全集,ピアノ五重奏曲(ピアノはクリストフ・エッシェンバッハ)の評判に応えての復刻とありました。

聴いてみると確かに演奏は「ロマンティックな芸風」と言えるかもしれません。テンポはゆっくりしており,弾き方も丁寧でしっかりとしていますが,どちらかといえばおっとりした雰囲気を醸し出しています。特にボロディンに合っていると思います。第3楽章のノットゥルノの叙情的表現は素晴らしいと思います。一方チャイコフスキーはもう少し快活であって欲しいと思いますが,昨今こういうのは少ないのでかえって新鮮に聴こえます。

そして録音なのですが,1967年という50年以上前の録音ながらスタジオでの録音が功を奏していると思います。オンマイク気味に捉えられているそれぞれの楽器の音は極めて明瞭でニュアンス豊かです。分離感も良く各楽器の動きが手に取るようにわかります。音色も自然で癖がなく伸びがあります。スタジオの響きが自然に取り込まれていてデッドすぎることもありません。さすがにオーディオ品質は現代のクオリティに及ばないにしても,私としてはほとんど不満を感じません。私の好きなタイプの録音です。五つ星の好録音です。

シューマンの弦楽四重奏曲全集も聴いてみたくなりました。オンラインショップでの取り扱いはありませんが,店頭在庫はあるようなので探してみようと思います(このご時世,なかなか店に行けないのが残念です...)。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ダヴィド・オイストラフ Vn/レフ・オボーリン P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
ダヴィド・オイストラフ(David Oistrakh)(Violin)
レフ・オボーリン(Lev Oborin)(Piano)
Recorded: Le Chant du Monde, Paris, 1962.
好録音度:★★★★☆
参考: e-onkyo

LP時代からの愛聴盤で,ご存じの通りの名盤中の名盤。CDになってからも良く聴いていて,以前取り上げていました(→こちら)。

ハイレゾ音源でもリリースされているのを見つけたので,音質が改善されていることを期待してe-onkyoにて購入しました。

それでその音質なのですが...思った以上に改善されていて驚きました。元々音の捉え方は好きで,CDの音質でもそこそこ満足していたのですが,難を言えば少しくぐもった感じがありました。このハイレゾ音源はその不満を拭い去るもので,うっすらと薄曇りの雲がかかっていたものがすっきりと晴れ渡ったような印象です。本来の楽器の響きを取り戻したのではないでしょうか。

もっとも古い録音なので,オーディオクオリティが時代なりというのは否めませんが,より好ましい状態で復活したのはうれしいことです。

久しぶりにこの名盤を堪能しました。

CDの方はこちらです。まだ現役盤?として入手可能のようですね。

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
ダヴィド・オイストラフ(David Oistrakh)(Violin)
レフ・オボーリン(Lev Oborin)(Piano)
Recorded: Le Chant du Monde, Paris, 1962.
468 406-2 (P)1964 Philips Classics (P)(C)2001 Philips Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music
以前取り上げた記事

ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(ブロドスキー四重奏団)

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
ブロドスキー四重奏団 Brodsky Quartet
2017-2019年 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20114(3) (P)(C)2020 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

エルガーの弦楽四重奏曲でも紹介したとおりブロドスキー四重奏団は1972年結成のベテランの四重奏団。ベートーヴェン生誕250周年記念録音とのこと。後期ですが第11番「セリオーソ」も収録されています。

力強く熱のこもった演奏なのに滋味深くどこか優しく聴こえるのはベテランの味,一昔前のスタイルによるものでしょうか。こういう演奏にホッとするのは歳のせいかもしれません。

録音もエルガーの弦楽四重奏曲とほぼ同じで,少し距離感を感じるものの,残響は抑えられており,スッキリした聴きやすい録音です。明瞭感もまずまずなのですが,距離感があるので楽器の質感は少し弱めです。まあもう少し寄って各楽器の質感を強めに分離良く録ってくれればとは思います。だいぶオマケでの四つ星半です。

エルガー:弦楽四重奏曲,ピアノ五重奏曲(ブロドスキー四重奏団)

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エルガー:弦楽四重奏曲ホ短調作品83,ピアノ五重奏曲イ短調作品84
ブロドスキー四重奏団 Brodsky Quartet
マーティン・ロスコー Martin Roscoe (Piano)
2018年11月25-27日 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ブロドスキー四重奏団は結成が1972年というベテランの四重奏団。最近の若い四重奏団のクールでスマートな演奏と比べると古いスタイルを守っているなという印象です。情感豊かに良く歌う演奏が印象的で素晴らしく思います。弦楽四重奏曲の第2楽章のしっとりとした表現が特に良いと思いました。

録音は,少し距離感を感じるものの,残響は抑えられており,スッキリした聴きやすい録音です。明瞭感もまずまずなのですが,距離感があるので楽器の質感は少し弱めです。少しオマケですが四つ星半の好録音です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(クロエ・ハンスリップ Vn/ダニー・ドライヴァー P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
クロエ・ハンスリップ Chloe Hanslip (Violin)
ダニー・ドライヴァー Danny Driver (Piano)
2017年3月2日, 5月4日, 10月17日 イギリス,サウサンプトン,ターナー・シムズ・コンサート・ホール
RCDB1000 (P)(C)2019 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music(Vol.1,Vol.2,Vol.3)

ハンスリップは英のヴァイオリニスト。強い印象を残す演奏ではありませんが,表現が軟らかく上品で綺麗に整っているのが良いと思います。

録音ですが,少し距離感があり残響が被り気味ですっきりせず,ややもどかしさを感じます。少なくともヴァイオリンの方はもう少し寄って生々しさを残して欲しかったところです。惜しいです。

TVアニメ「この音とまれ!」~僕たちの音~

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TVアニメ「この音とまれ!」~僕たちの音~
KICA2572 キングレコード 2020年2月26日発売
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

また脱線で失礼します。弊ブログで何度か取り上げた高校の箏曲部のTVアニメ「この音とまれ!」の劇中曲ディスクが発売されるということで,通販ショップにも情報が上がっていました。収録曲を引用します。

<収録内容>
1. 龍星群 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
2. 六段の調(初段のみ) ★(演奏:倉田武蔵)
3. セピアの風に(演奏:鳳月さとわ)
4. 二つの個性(演奏:姫坂女学院箏曲部)
5. さらし風手事(演奏:永大附属高等学校箏曲部)
6. 百花譜(演奏:明陵高等学校箏曲部)
7. 久遠 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
8. Tone ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
9. 水の変態 ★(演奏:堂島 晶)
10. 無題 ~天泣原曲~ ★(演奏:鳳月さとわ)
11. 三つのパラフレーズ ★(演奏:姫坂女学院箏曲部)
12. 堅香子(演奏:珀音高等学校箏曲部)
13. 天泣 ★(演奏:時瀬高等学校箏曲部)
★...アニメ放送、本CDのための新レコーディング音源

「この音とまれ!」は元々コミックが原作で,アニメ化される2年前にもディスクが発売されており,以前取り上げていました(→こちら)。★が付いていない収録曲はその音源と同一と思われます。(「天泣」のアニメでの演奏シーンはYouTubeで公開されていました→こちら)

アニメで取り上げられた「龍星群」,「久遠」,「天泣」が新録されているのがうれしいですし,堂島晶先生が全国コンクールで演奏し一位を取った「水の変態」と,同コンクールでヒロインの鳳月さとわがエントリー曲の八重衣の代わりに演奏し失格となった「無題 ~天泣原曲~」が収録されているのが何よりうれしく本当に楽しみです。発売日が待ち遠しい!

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※2回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1987-1992 American Academy and Institute of Arts & Letters, New York, USA
93323 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

グァルネリ四重奏団の2回目の全集。1回目は1966-69年の録音で,先日レビューしました(→こちら)。原盤はPhilipsでブリリアント・クラシックスが廉価盤で復刻していたものを入手しました。これも確かPhilips盤を分売でコツコツ買い集めていたはずなのですが...どこにしまい込んだんだっけ(保管している意味全くなし(^^;)。

演奏は1回目に比べると随分と表現の幅が広がり,ニュアンスもとても豊かになり,推進力も普通になりました(^^;。失われたものもありますが,獲得されたものの方が多く,正常進化と言えるのではないでしょうか。(もちろん1回目はあれはあれでとても良かったと思います)

一方録音ですが,響きが少し被り気味で,音色が少し濁って聴こえるのが残念なところですが,明瞭感,楽器の質感もまずまずであり,音像感も違和感が少なく,悪くありません。四つ星半の好録音としましたが,私としては残響感と音色に不満が残るので少しオマケではあります。音の捉え方は1回目の全集の方が好きですが,クオリティ面を含めた全体的な出来としてはこの2回目の方が良いかもしれませんし,一般的にも受け入れられやすいと思います。

この全集,現在現役盤がないように思います。良い全集だと思いますので復刻して欲しいものです(→タワーレコード様)。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(グァルネリ四重奏団)※1回目の全集

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
グァルネリ四重奏団 Guarneri Quartet
1966年11月-1969年12月 ニューヨーク,ウェブスター・ホール
19075971162 (P)2003 (C)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

グァルネリ四重奏団は1964年結成,2001年まで同じメンバーで活躍したとのことで,同一メンバーによる弦楽四重奏演奏の記録保持者でもあるということです。この全集は結成から数年後に録音された1回目の全集です(1987-1991年にPHILIPSレーベルに2回目の全集録音)。

演奏は力強くそしてとても丁寧です。細部まで表現が練り込まれていますが基本的には素直でストレートです。ですが躍動感はあるのに推進力に乏しくちょっとおっとりしている?という何とも言えない独特な演奏になっています。音楽に謙虚に向き合っている姿がその音楽に現れているように思います。私としてはもう少し前に前に進んでいく演奏だったらなと思いました。

録音ですが,マルチマイクでそれぞれの楽器をきちんと捉えたような音作りになっていて,明瞭感や分離感,楽器の質感は申し分ないです。残響感はほとんどなくほんのわずかに音色がくすんだ感じがするものの許容範囲です(ただ中期は少し相対的にやや劣る感じでした)。また,マスターテープの劣化ではないかと思われる音の揺らぎも感じられました。このあたりの品質はやっぱり1960年代の録音ですね。音像はあまり自然さがあまりありませんが私としては気になりません。それぞれの楽器の音が引き締まっていてストレートに音楽が届くのが気持ちよい好録音でした。ちょっと迷いましたが四つ星半です。

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」,他(ロルストン弦楽四重奏団)

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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
ロルストン弦楽四重奏団 Rolston String Quartet
2019年1月2-4日, 6月18-20日 ベルギー,ワーテルロー,エリザベート音楽院ホール
Fuga Libera FUG757 (P)2019 Queen Elisabeth Music Chapel (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,HMV Onlineicon,Apple Music

国内12月26日発売とのことですが,Apple Musicで公開されていましたので試聴してみました。上記のほか子供のアルバム作品39(ドゥビンスキー編曲)から5曲収録されています。

ロルストン弦楽四重奏団は2013年にカナダのバンフで結成された若い弦楽四重奏団で,2016年の第12回バンフ国際弦楽四重奏コンクール,第31回イエロー・スプリング室内楽コンクールで優勝しているとのことです。

演奏は基本的にオーソドックスですが,響きが美しく溶けあう和音や若々しい溌剌とした表現はなかなかのものですし,例えば第一楽章のテンポの変わり目の入り方など,おぉ!というところもあります。技術的にも上手いですし,アンサンブルも優秀だと思います。チャイコフスキーの室内楽を楽しませていただきました。

録音ですが,やや距離感があり,少し響きが被って音色への影響が感じられるものの,音が曇るほどでもなく,楽器の質感やニュアンスも聴き取れるので,悪くないと思いました。もう少し寄って直接音主体に録ってくれたら良いのにとは思いますが。少々オマケですが四つ星半です。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(ミロ・クァルテット)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
ミロ・クァルテット Miró Quartet
2004å¹´-2019å¹´
好録音度:★★★★☆
PTC 5186 827 (P)2019 Pentatone Music (輸入盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ミロ・クァルテットのベートーヴェンは,作品18と作品59が既発売でレビューしていました(→こちら)。その後ずっと続きを待っていたのですが,またいきなり全集化かよ!と思ったら,実はMiro Quartet Mediaという自主レーベルで少しずつ発売されていたようです。完全に見逃していました。

録音データは下記の通りです。

作品18 2004年10月7-22日 アメリカン・アカデミー・オブ・アーツ&レターズ(ニューヨーク)
作品59 2012年5月12-25日 テキサス大学オースティン構内イエッセン講堂(テキサス)
作品74, 95 2015年3月15-19日 ペナロヤ・ホール内イルズリー・ポール・ノドストローム・リサイタル・ホール(シアトル)
作品12 2019年2月17-20日 パスタ大学構内パスタ・チャペル(ケンモア)
作品13 2017年9月26-29日 同上
作品14, 15 2016年9月28日-10月6日 同上
作品16 2018年10月8-12日 同上

ということで,約15年かけて全集を完成させています(ベートーヴェンが作曲した年齢に近い年齢で録音したいということだったので,もっとかかると思っていました(^^;)。

作品74以降を初めて聴きましたが,演奏は一貫しています。現代的で洗練された演奏ですが,基本的にはオーソドックスです。しかし,とてもキレの良い高い技術力で緻密なアンサンブルを形成していますし,ダイナミックで推進力があり,何のためらいもなく自信たっぷりに攻めてくる演奏は心にグッと突き刺さってきます。

そして録音の良さがこの演奏をさらに引き立てています。残響は最小限に抑えられ,直接音中心に,楽器の質感,ニュアンスをダイレクトに伝えてくれます。音色も自然ですし,音の伸びも十分にあります。

演奏も良く,録音の良さも兼ね備えた,最近聴いた中では特に感動した素晴らしい全集だと思いました。間違いなく同曲の愛聴盤の一つになるでしょう。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番(ロレンツォ・ガット Vn/ジュリアン・リベール P)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番,第7番,第8番
ロレンツォ・ガット Lorenzo Gatto (violin)
ジュリアン・リベール Julien Libeer (Piano)
2019年4月, 5月 ブリュッセル,スタジオ・フラジェー,スイス,ラ・ショー=ド・フォン,ロマンド大衆劇場音楽ホール
ALPHA 565 (P)(C)2019 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴。第1番,第5番「春」,第10番,第2番,第4番,第9番「クロイツェル」は既発売で取り上げていました。これは第三弾で全集が完結しました。これまでの演奏と同様,若い二人による生き生きとしたフレッシュな演奏が魅力的です。

そして録音なのですが,これまでの録音と場所が異なり,多少時間が経っていることもあって音質の傾向がわずかに違うものの,基本的な録り方はそう違わず似ています。少し残響があるので楽器音への影響はありますが,明瞭であり楽器の質感もよく捉えていて良好です。好録音です。
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