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メンデルスゾーン:交響曲全集,弦楽のための交響曲全集(トーマス・ファイ指揮/ハイデルベルク交響楽団)

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メンデルスゾーン:交響曲全集(*),弦楽のための交響曲全集(**)
トーマス・ファイ指揮/ハイデルベルク交響楽団
2002年~2009年
HC16098(P)2017 Hänssler Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★(*),★★★★☆(**)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

時々聴きたくなるメンデルスゾーンの弦楽のための交響曲。この全集は以前単売されていたものがセット化されたものです。このセットが発売される直前にApple Musicで聴いて取り上げていました(→こちら)。この機会に購入することに。

収録曲と録音情報は下記の通りです。

[CD 1]
交響曲第1番ハ短調作品11
弦楽のための交響曲第8番(管弦楽版),第13番
録音 2002, 2005, 2006年 プファッフェングルント,ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウス

[CD 2]
弦楽のための交響曲第7番,第12番
交響曲第4 番イ長調作品90「イタリア」
録音 2007年 プファッフェングルント,ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウス

[CD 3]
弦楽のための交響曲第1番,第2番,第3番,第4番,第9番
録音 2008年 バート・ドュルクハイム ナトゥールホルン・アカデミー,バルツフェルト ルートヴィヒ=エングレル

[CD 4]
交響曲第5番ニ長調作品107「宗教改革」
メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第5番,第6番,第10番
録音 2008年 プファッフェングルント,ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウス,バート・ドュルクハイム,ナトゥ

[CD 5]
交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」
メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第11番
録音 2009年 エッペルハイム,ルドルフ・ヴィルト・ハレ

[CD 6]
交響曲第2番変ロ長調作品「讃歌」
録音 2009年 ハイデルベルク,シュタットハレ・コング

演奏と録音についての印象は基本的に前回のレビューと同じなのでこちらを見ていただくとして,録音については交響曲と弦楽のための交響曲とは同じような録り方をしているものの,弦楽の方が響きの混濁がマシで聴きやすいため,少々オマケではありますが四つ星半評価としました。前回の「残響多めで演出が過ぎる」というところは今回聴き直しても同じで不満点ではあります。

チャイコフスキー,ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ(柳澤寿男指揮/バルカン室内管弦楽団)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
柳澤寿男指揮/バルカン室内管弦楽団
2019年5月13-15日 長野県 軽井沢 大賀ホール
audite 20.045 (P)(C)2020 Ludger Böckenhoff (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

指揮者の柳澤寿男氏の公式Webサイトがあります。そこにバルカン室内管弦楽団について「日本人指揮者柳澤寿男が2007年にバルカン半島の民族共栄を願って設立したオーケストラ。」と説明されています。旧ユーゴスラヴィアという複雑な土地で日本人の指揮者がどのような思いでこの室内管弦楽団を設立されたのか,私には本当のところを理解することは正直難しいのですが,好きな曲なので聴いてみました。

このような団体なので技術面はどうなのかと失礼ながらちょっと心配したのですが,全くの杞憂でした。十分に上手いですしアンサンブルも整っています。オーソドックスで丁寧に誠実に仕上げられています。この団体の成立の経緯など抜きにして十分に良い演奏だと思いました。良かったです。

そして録音ですが,多少の残響感はあるものの,各楽器の音色を質感豊かに,分離良く,弦楽器の魅力を上手く捉えていると思います。若干中域の響きに癖があるように思いますが許容範囲です。優秀録音ではないかもしれませんがまずまずの好録音と思います。

チャイコフスキー,ドホナーニ,ドヴォルザーク,スーク:弦楽セレナーデ集(アニマ・ムジケ室内管弦楽団)

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ドホナーニ:セレナーデ ハ長調 作品10(D. シトコヴェツキー編 弦楽合奏版
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
アニマ・ムジケ室内管弦楽団 Anima Musicæ Chamber Orchestra
2017年11月12, 13, 24-26日 ハンガリー,フンガロトン・スタジオ
HCD32764 (P)2019 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Hungaroton,Apple Music

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スーク:弦楽セレナーデ 変ホ長調 作品6
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
アニマ・ムジケ室内管弦楽団 Anima Musicæ Chamber Orchestra
2017年11月12, 13, 24-26日 ハンガリー,フンガロトン・スタジオ
HCD32824 (P)2020 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Hungaroton,Apple Music

モーツアルトのディベルティメント,アイネ・クライネ・ナハトムジークが良かったアニマ・ムジケ室内管弦楽団の弦楽セレナーデ集。アンサンブルがとても上手くスマートに上品に仕上がっています。響きも透明で美しいです。フォルテでも熱くならず丁寧に澄まして弾いているのが良いところでもあり,ちょっと物足りないところでもあります。もう少し躍動感があればと思いますが,これがこの団体のカラーなんでしょうね。

録音ですが,残響控えめでスッキリと明瞭に録っているのですが,先に取り上げたモーツアルトの録音に比べると少しベールがかかったようで音のキレと生々しさは少し失われているように思います。十分に好録音ではあるのですが,少々惜しく思います。

弦楽セレナーデ集の第一弾,第二弾,ということですが,弦楽オーケストラの作品をもっと録音して欲しいですね。録音はモーツァルトの録り方で...期待しています。

モーツァルト:ディベルティメントK136-138,アイネ・クライネ・ナハトムジーク(アニマ・ムジケ室内管弦楽団)

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モーツァルト:ディベルティメント K.136-138
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525
アニマ・ムジケ室内管弦楽団 Anima Musicæ Chamber Orchestra
2014年9月7-10日 ブダペスト,フンガロトン・スタジオ
HCD32752 (P)2015 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Hungaroton,Apple Music

アニマ・ムジケ室内管弦楽団は2010年にリスト音楽院の首席メンバーで創設された団体とのことで,これがデビュー盤とのことです。演奏も良かったのですが,録音が気に入ったので紹介します。

スタジオでの録音とのことですが,残響感は少し多めにあるのですが,楽器の直接音が支配的であり,明瞭感,音色も悪くありません。分離感も良好で,特に個々の楽器の弓が弦を擦って音を出している楽器の質感が感じられるところがとても良いです。適度な距離感で演奏を聴いているような生々しさ,左右のステージ感があります。これも私の聴きたい弦楽器の音ですね。気に入りました。

このディスクですが,Hungarotonのサイトからダウンロード購入しました(→アルバムのページ)。価格は2,899フォリントで日本円に換算すると約1,000円です(実際には何かの割引で2.630フォリントでした)。カード払いの換算レートがわかりませんが,日本でディスクメディアを購入するよりは安く手に入りました。なお,ハイレゾではなく44.1kHz/16bitのFLACでした。

グリーグ:弦楽オーケストラのための作品集(リチャード・トネッティ指揮/オーストラリア室内管弦楽団)

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グリーグ:弦楽オーケストラのための作品集
リチャード・トネッティ指揮/オーストラリア室内管弦楽団
2010年10月 シドニー,ユージン・グーセンス・ホール
BIS-SACD-1877 (P)(C)2012 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

比較的好きな録音が多いリチャード・トネッティのディスクを探していて見つけた一枚です。収録曲は下記の通りです。

グリーグ:
弦楽四重奏曲第1番ト短調作品27(トネッティ編)
2つの悲しい旋律作品34
恋愛詩作品43-5(トネッティ編)
ホルベルク組曲作品40

グリーグの弦楽四重奏曲の弦楽オーケストラ版は珍しいと思いますが,以前ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラの演奏を取り上げていました。弦楽オーケストラのレパートリーになりつつあるのでしょうか。しかし,元々弦楽四重奏でもちょっと響きが重く暑苦しいと思っていたのですが,弦楽オーケストラになってそれがさらに助長されています。これはちょっと苦手です。他の曲は良いですね。溌剌としていますし,弦楽器の豊潤で艶やかな響きがとても魅力的です。

録音ですが,残響はやや多めで楽器音への被りが少し気になるものの,弦楽器を自然な音色で質感豊かに捉えていて好印象です。私の聴きたい,好きな弦楽器,弦楽オーケストラの音に近いです。好録音です。

チャイコフスキー,ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ(コリン・デイヴィス指揮/バイエルン放送交響楽団)

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チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調 作品22
コリン・デイヴィス指揮/バイエルン放送交響楽団
1970年9月 ロンドン
PROC-1348 (P)1988 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records *Tower Records Vintage Collection +plus The Art of Sir Colin Davis

タワーレコード企画盤。これも定評のある演奏だと思います。大オーケストラによる豊潤なサウンドが魅力です。演奏はどちらかといえばゆったりと優しく柔らかいのが特徴です。

録音ですが,残響が多くやや遠くで鳴っている印象で,シルクのような質感がある一方,音の輪郭がモヤッとしていて明瞭感に乏しいです。こういう録音が好みの方もいらっしゃるとは思いますが,私の好みからはだいぶ離れている感じです。

なお,下記の曲がカップリングとして収録されています。初CD化とのことです。

ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲 K.620
(以上,BBC交響楽団)

チャイコフスキー,ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ(ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

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チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調 作品22
ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
1981年6月19-23日, 1982年2月12-14日 ロンドン
PROC-1788 (P)1982,1983 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

Tower Records Premium Classics Vol.2。これもご存じの通り同曲の定番中の定番。チャイコフスキーは一度取り上げていました(→こちら)。また同顔合わせで1968年/1970年にも録音されていました(→こちら)。

改めて聴いてみて,室内管弦楽団の編成にしてはかなり重厚な響きを出しているのに驚きます。それでいてキレがありテンポ良く音楽が進んでいくのが気持ち良いです。機動性のある演奏はさすがです。

一方録音ですが,先ほど述べた重厚な響きは録音によるところも大きいと思います。残響を多めに取り入れて響きを補完しているように思います。これがこの団体の演奏を活かす録音かというと,私は少し疑問に思いますが,まあ弦楽器の音色を楽しむという点では良いかもしれません。私としてはもう少し響きを抑えてスッキリと見通しよく,キレのある演奏を活かす録音にして欲しかったと思いますが。

本盤,タワーレコードの企画盤ですが,レーベルの現役盤はもしかしたらないかもしれません。こういう名盤でも廃盤になってしまうのは残念なことです。タワーレコードに感謝。

チャイコフスキー,ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ(ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年9月 ベルリン,フィルハーモニー
UCCG-51051 (P)1981 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

皆様よくご存じの名盤。久しぶりに聴きました。良くも悪くもカラヤン/ベルリン・フィルの特徴が詰まっていると思います。プレーヤ全員の「俺の音を聴け!」と言わんばかりの自己主張の集合体のような分厚いサウンドを引き出すカラヤンの手腕に感嘆するも,一方で縦の線もバラバラ,音程が悪いどころか,明らかなミスと思える音程外しも放置する雑な仕上げが散見されます(ドヴォルザークの第2楽章4:06など)。この壮麗なサウンドの魅力を感じつつも,粗がどうしても我慢できないのも正直なところ。好き嫌いがはっきり分かれる演奏でしょうね。

録音ですが,残響感はそれほど多くないものの,少し高域の伸びが足らず,音色の曇りは感じられますが,ベルリン・フィルの弦楽器の魅力をキッチリ伝えてくれるだけの明瞭さは確保されていると思います。悪くはないと思いつつ好録音というには少しものたりないので四つ星です。

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48(アンサンブル・アレグリア)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
アンサンブル・アレグリア Ensemble Allegria
2017年8月14-17日 バールム,ヤール教会
LWC1191 (P)(C)2019 LAWO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

アンサンブル・アレグリアは2007年にノルウェー国立音楽アカデミーの学生たちによって創設されたオスロの室内オーケストラとのことです。編成は中規模と思われますが,キレと精度のあるアンサンブルと豊潤な響きが特徴です。表現そのものはノーマルですが,小気味よくスピード感もあり大変良いと思いました。出色の出来と思います。

録音ですが,少し多めの残響を伴っていますが,直接音成分がそこそこあって弦楽器の音色・質感への影響は少なく,私の好みとは少し異なりますが,これなら許せます。中低域の量感もありつつ締まっているので悪くないです。弦楽オーケストラの魅力を堪能出来る録音としてまずまず良いと思いました。

グリーグ:ホルベルク組曲,弦楽四重奏曲(弦楽合奏版),シベリウス:ヴァイオリンと弦楽のための組曲(日下紗矢子/ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ)

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グリーグ:ホルベルク組曲(ホルベアの時代より)作品40
グリーグ:弦楽四重奏曲第1番ト短調作品27(弦楽合奏版)
シベリウス:ヴァイオリンと弦楽のための組曲ロ長調作品117
ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ
日下紗矢子 (コンサートマスター)
2017年5月11日,2018年11月15日 ベルリン,コンツェルトハウス
KKC4179(BS 010) (P)(C)2019 b-sharp (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団を母体とし,2009年に日下紗矢子とミヒャエル・エルクスレーベンの二人をリーダーとして結成されたとのことです。グリーグの弦楽四重奏曲は日下自身の編曲です。

全体として速めのテンポで力強く攻める演奏なので,ホルベルク組曲と弦楽四重奏曲はまあ良いとして,シベリウスは元気がありすぎてだいぶ曲のイメージが違うかなと思いましたが,こういうのも嫌いではありません。ホルベルク組曲など第1楽章から勢いがあってノリが良くワクワクしました。

録音ですが,残響が多めで音の密度が高くやや濃いめの捉え方なのでちょっと暑苦しい感じがありますが,弦楽器の質感は良くでておりまずまず良好です。私としてはもう少しスッキリと録って欲しいとは思いましたが。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽合奏版)(ヘンニング・クラッゲルード(Vn)/アークティック・フィルハーモニック室内管弦楽団)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽合奏版)
クラッゲルード:トペリウス変奏曲
ヘンニング・クラッゲルード(Vn)/アークティック・フィルハーモニック室内管弦楽団
2017年11月27日~12月1日,ノルウェー,トロムソ,Elverhoy kirke
PSC1353 (P)2018 Simax (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴しました。変奏によって,またリピートでもソロと弦楽合奏が組み合わされています。飛ばし弓が多用され,これ自体は良いのですが,技量がモロに出てしまっている気がします(^^;。意欲的で相当チャレンジしている演奏ですが,ちょっと下品なところはありますかね... でも弦楽器好きの私にとっては楽しめる演奏でした。

録音ですが,少し会場の響きを取り入れすぎていて音色がくすみがちなのが残念です。もう少し直接音主体にすっきりと録って欲しかったところです。

最後にリピートですが,省略が多く,また,後半だけ省略とか,前半・後半とも省略とか,それがどういう考えで行われているのかよくわかりませんでした。これだけリピート省略が多いとほんと残念です。

演奏時間 約60分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○× Var.02 ○○ Var.03 ××
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ○× Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ○○
Var.13 ×× Var.14 ○× Var.15 ○×
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○× Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ×× Var.24 ○×
Var.25 ○× Var.26 ○× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ○× Var.30 ○○
Aria da capo ××

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,グリーグ:ホルベルク組曲,2つの悲しい旋律(長岡京室内アンサンブル)

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グリーグ:組曲「ホルベアの時代から」(ホルベルク組曲)作品40
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
グリーグ:2つの悲しい旋律作品34
長岡京室内アンサンブル(音楽監督:森悠子)
2016年11月7日 東京文化会館小ホール,2003年1月11日 IMAホール(光ヶ丘 東京都練馬区)
MF20109 (P)(C)2018 N&F Co. Ltd. Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

収録曲が大好きな曲ばかりなのでこれは聴かなければなりません。長岡京室内アンサンブルのチャイコフスキーは2回目の録音で,1回目は以前取り上げていました(→こちら)。編成はヴァイオリン8名,ヴィオラ2名,チェロ2名,コントラバス1名の小編成で,指揮者を置いていません。「耳を澄ませば 心が通じる」アンサンブルがこの団体の目指すところということです。

細かい音型で少しアンサンブルが流れてしまったり,緩急がぎこちなかったりするところがあり,指揮者なしの弊害ではないかと思われるところはあるのですが,トータルとしては良く仕上がっていると思いますし,オーソドックなアプローチでその曲の持つ美しさを最大限に引き出そうとするような演奏は好感が持てます。ソットヴォーチェのように始まるチャイコフスキーにはちょっとドキッとしましたが,そのあと,「ソットヴォーチェで始めちゃったけどどうしよう・・・」的な戸惑いと半端感が何とも微妙で微笑ましかったです(ごめんなさい^^;)。

若手を育てる役割も担っていて少しずつメンバーが入れ替わっているようで,アンサンブルの質を維持していくのは並大抵ではないと思いますが,今後も地道に頑張って欲しいと思います。

録音ですが,生録的で演出感がない点は好感が持てるのですが,やや演奏会場の音響の癖を入れすぎている感じがして,もう少し寄って直接音主体にすっきりと録って欲しかったというのが正直なところです。また,ヴァイオリンが右から聞こえているようにも感じられ,楽器の位置関係が把握しづらく少し違和感を感じるのも惜しいところです(ヘッドホンで聴く場合は左右を入れ替えた方が違和感が少なく感じられました)。N&Fの録音はあまり私には合わないのですが,これは悪くはないかなと思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品95,第14番作品131(ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番作品95,第14番作品131(弦楽合奏版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
Little Tribeca in Vichy, September 2016
AP152 (P)2016 (C)2017 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの先行試聴です。チャイコフスキーの弦楽セレナーデが演奏も録音も大変良かったので,これも聴いてみました。なお,HMVとTower Recordsは8/10の発売,Amazonでは7/14の発売となっており,Amazonの方が若干早く発売されます。

演奏は期待通り,精緻で緊密なアンサンブルでこの弦楽四重奏曲の名曲を弦楽合奏で綴っていきます。弦楽合奏であることを活かし弦楽四重奏より幅の広い音楽を実現していて聴き応えがあります。曲としては作品131の方が弦楽合奏に向いている気がしますし,実際こちらの方が出来がよいと思います。

録音ですが,残響控え目で各パートを明瞭に質感豊かに捉えている点は良いのですが,前作のチャイコフスキーに比べると音色がやや金属的で自然さに欠けます。平均水準以上ではあると思うので四つ星半評価ですが,音色の面でちょっと納得できないところが残ります。前の録音に戻して欲しいところです。

とはいえ,トータルの出来はなかなか良いと思います。今後,弦楽合奏の名曲を一通り録音してくれることを期待します。(録音はチャイコフスキー同等に戻してぜひ欲しいですね)

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,シベリウス:弦楽四重奏曲「親愛なる声」(弦楽合奏版)(ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 作品56「親愛なる声」(弦楽合奏版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
2016年5月3-6日 クレルモン=フェラン,オーヴェルニュ管弦楽団施設
AP139 (P)(C)2016 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴して演奏も録音も大変良かったので,今年の1月に試聴レビューしていました。ディスクを買うかずっと迷っていたのですが,やっぱりこれは手に入れておきたいということでAmazonから入手しました。Tower RecordsとHMVでは5月の発売になっています。今聴きながら書いているのですが,これはやっぱり買って正解の盤でした。



Apple Musicでの試聴です。Amazon.co.jpでは2月17日の発売になっていて,HMVやTower Recordsにはまだ出ていませんでした。

おぉ,これはなかなかイイぞ! 演奏自体は真っ当なスタンダード路線であり,アンサンブルは優秀で,丁寧でニュアンス豊かで美しい。シベリウスの弦楽合奏版は初めて聴きましたが,違和感なく聴けました。

録音ですが,特に特徴があるわけではありませんgな,欠点らしい欠点がなく,弦楽器の魅力を上手く捉えた好録音だと思います。低域から高域までレンジ感もありますし,楽器の質感の捉え方も標準的で良好です。残響もそれなりにありますが,マイナス要素にはあまりなっていません。

これはディスクを入手してじっくり聴いてみたくなりました。

(記2017/01/08)

グリーグ:ホルベルク組曲,スクームスヴォル:ホルベア変奏(1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他)

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グリーグ:ホルベルク組曲(弦楽合奏版,ピアノ独奏版)
スクームスヴォル:ホルベア変奏(ピアノと弦楽合奏のための)
1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他
2014年1月2-5日,2月24-26日 ノルウェー,スタヴァンゲル・コンサートホール
Simax PSC1332 (P)2014 Grappa Musikkforlag AS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。

ホルベルク組曲はグリーグの中で最も好きな作品です。このディスクでは,原曲のピアノ独奏版と作曲者自身の編曲による弦楽合奏版,そして,このホルベルク組曲を題材に,ジャズシーンで活躍しているスクームスヴォルが主導して即興的な演奏を試みたという「ホルベア変奏」が収録されています。

ピアノ独奏版は初めて聴いたのですが,これがまたかっこいいですねぇ。前奏曲にワクワクしますし,第3曲のガヴォットとミュゼットも洒落ています。ピアノ曲としては有名ではないと思いますが,弦楽合奏版を知っていれば結構楽しめる曲ですね。弦楽合奏版もスピード感と勢いがあり良いと思います。ホルベア変奏は...少し聴いたのですがあまり興味が湧かずパスしてしまいました(^^;。

録音ですが,弦楽合奏もピアノもまずまずの録音で,残響は適度であり録り方も自然で悪くないのですが,少し雑味というか濁りがあり,透明感や音の伸びに欠けています。録音機材があまり良くないのかもしれません。惜しいと思います。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)(シュトゥットガルト室内管弦楽団)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)
シュトゥットガルト室内管弦楽団 Stuttgart Chamber Orchestra
録音不明(明記なし)
KICC 341 (P)2001 King Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

私の記憶では弦楽合奏版としては元祖のニュー・ヨーロピアン・ストリングス(NES)盤に続いて2つめの録音だと思います(違ったらごめんなさい)。編成は不明ですが,解説書の写真を見ると18名で,NESよりも4名ほど多いくらいなので,中規模の弦楽合奏ですね。なお,こちらの演奏ではハープシコードが加わっておらず純粋に弦楽器のみです。

こちらの演奏はNESに比べると随分と真面目できっちりと落ち着いており,躍動感や自由闊達さはあまりないものの,緻密なアンサンブルから生まれる柔らかく温かい響きはさすが名門というところです。NESとはかなり方向性が異なりますが,このような演奏もモダン楽器の弦楽オーケストラらしくて素敵ですね。

リピートはきっちり全部やっているかと思いきや,第13変奏の後半だけ省略されていました。おそらくCD 1枚に収めるために泣く泣くカットしたのではないかと思いますが,何とも惜しいことです。

録音ですが,少し残響を少し取り込んでいますが,残響というか収録場所の空間を感じさせるような音響で少し癖があります。ソロはまだ良く合奏の方が気になります。決して悪くはなく残響や響きが気にならない方にとっては問題ないレベルだとは思いますが,もう少しすっきりと抜けよく録ってくれれば良かったのにと少々残念です。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

さてこのディスク,廃盤となってから久しいようで,入手困難ではないようですが入手しづらいようです。良質な演奏だと思いますので,復刻して欲しいところですね。タワーレコードの出番だと思うのですが(^^; いかがでしょうか?>タワーレコード様。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)(ニュー・ヨーロピアン・ストリングス)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)
ニュー・ヨーロピアン・ストリングス NES Chamber Orchestra
ドミトリ・シトコヴェツキー Dmitry Sitkovetsky (コンサートマスター)
1993年10月 ハンブルク,フリードリヒ・エーベルト・ホール
WPCS-5004 (P)(C)1995 Nonesuch Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

シトコヴェツキー編曲の弦楽合奏版も今では何種類かの録音がありますが,これが元祖ですね。編成は[4-4-3-2-1]で,ハープシコードが加わっています。変奏毎に合奏になったり,パートトップによるソロになったり,繰り返しで編成を変えたりと変化に富んでいます。この演奏の良いところは何といっても音楽が生き生きとして喜びに溢れているところです。個々の演奏者の自発性・積極性がそのまま音楽に反映されているように感じられます。これがこの演奏の素晴らしいところですね。リピートの省略が多いのが少し残念なところです。

録音ですが,弦楽合奏の録音としては標準的ですが,個々の奏者の集合体としてサウンドが構築されているというのがわかるような,小編成の良さを活かす録り方は好感が持てます。残響は控え目に抑えられているものの,少し楽器音への被りがあってモゴモゴとして精彩がないのが本当に惜しいところです。

演奏時間 約60分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○× Var.03 ○×
Var.04 ○○ Var.05 ○× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ○× Var.09 ○×
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ○○ Var.15 ○×
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○×
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ○× Var.29 ○× Var.30 ○○
Aria da capo ××

このディスクはまだ現役盤として入手が可能のようです。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,弦楽五重奏曲(弦楽合奏版)(アンティエ・ヴァイトハース/カメラータ・ベルン)

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ブラームス:弦楽五重奏曲第2番ト長調作品111(弦楽合奏版)
アンティエ・ヴァイトハース(Voilin),カメラータ・ベルン
2014年12月 ベルン,カジノ(Op.77),チューリッヒ放送スタジオ(Op.111)
4260085533282 (P)2015 Decca Music Group Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicでの試聴です。

ヴァイトハースはアルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者で,1962年に設立された弦楽オーケストラのカメラータ・ベルンの音楽監督も務めているとのことです。ヴァイトハースのヴァイオリンはとてもクールな印象があるのですが,抜群の技術のキレで奏でられるきめ細やかなフレージングに力強く情熱的な表現が加わり,協奏曲としてとても魅力的な音楽に仕上がっています。

カップリングの弦楽五重奏曲第2番は,ヴァイトハースとカメラータ・ベルンのコントラバス奏者ケーティ・シュトイリによる弦楽合奏版とのことで,小編成の弦楽オーケストラの緻密なアンサンブルと,小編成とは思えないスケール感が素晴らしい秀演です。ヴァイオリン協奏曲が目的で聴いたこのアルバムですが,これは思わぬ掘り出し物です。

さて録音ですが,残響感はそれほどないものの,マイク位置が遠いのか,全体に響きが被って音色をくすませているのですが,それでも不思議なことに音は綺麗な印象を保っています。しかし,ソロ,オーケストラとも下支えの希薄でどことなく浮ついた音であり,楽器のとらえ方も弱く,ソロはオーケストラと同化して聴き取りづらく,欲求不満が募る音作りです。少なくともソロはもう少しボディ感・実体感のある音で録って欲しいところです。演奏が素晴らしいだけにこの録音はすごく惜しいと思います。

これに対して弦楽五重奏曲の方はオーケストラを豊潤に,濃く捉えていて,やや残響は多めですが,こちらの方がわずかながら良い印象です。弦楽合奏の録音としてまずまずだと思います。

メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲全集(ミヒャエル・ホーフシュテッター指揮/シュトゥットガルト室内管弦楽団)

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メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲全集
ミヒャエル・ホーフシュテッター指揮/シュトゥットガルト室内管弦楽団
2007年9月,11月, 2008年3月,9月,11月 シュトゥットガルト・ボートナング・リーダークランツハレ
C 763 093 D (P)(C)2009 ORFEO International Music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

この弦楽のための交響曲は,メンデルスゾーンが12歳から14歳にかけて作曲した作品で,第1番から第6番は演奏時間がだいたい10分程度の小曲ですが,第7番以降は20分を越え,第11番に至っては40分近くという大作です。中学生くらいの少年が書いた作品ですが,充実した立派な曲集ですね。

少し前にアヒム・フィードラー指揮/ルツェルン祝祭弦楽合奏団の全集を取り上げましたが,これも同時期にメンデルスゾーン生誕200年記念としてリリースされたもののようです。室内管弦楽団の比較的小編成の演奏ながら,小編成とは思えないシンフォニックでスケールの大きな響きを出しています。そして音楽が生き生きと躍動感にあふれているのが素晴らしいです。オーケストラも上手く完成度が高い全集だと思います。

録音ですが,かなり残響が多いのですが,直接音成分の比率がそこそこあるために音の曇りは少なく,弦楽器の魅力を十分に伝えてくれる録音だと思います。もしかしたらイコライジングで少し高域を持ち上げて音色のくすみを緩和しているかもしれません。そんなように聴こえます。私にとってはやはり残響が多すぎます。ただ多くの方には受け入れられる録音かもしれません。

オルフェウス室内管弦楽団の忘れ去られたディスク ~ 弦楽合奏のための英国音楽

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English Music for Strings
オルフェウス室内管弦楽団
New York, State University of New York at Purchase, Performing Arts Center, 12/1985 & 12/1987
445 561-2 (P)1986, 1988 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★

オルフェウス室内管弦楽団のディスクをさらにもう一つ。弦楽合奏のための英国の作曲家の曲を収録しています。

エルガー:序奏とアレグロ作品47(弦楽四重奏と弦楽合奏のための)
エルガー:弦楽セレナーデ作品20
エルガー:弦楽のためのエレジー作品58
ヴォーン・ウィリアムズ:グリーンスリーヴスによる幻想曲
ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲
ブリテン:シンプル・シンフォニー作品4

この中ではエルガーの序奏とアレグロのアグレッシブな演奏が圧巻,オルフェウス室内管弦楽団の機動力,アンサンブル能力の高さを如実に示す好演奏。弦楽セレナーデも美しい。シンプル・シンフォニーは第1楽章のゆっくりしたテンポ取りに不満が残る以外は期待通り。

録音ですが,やや残響が多めに取り入れられていて音色に影響し,また量感たっぷりに捉えられていますがややくどく暑苦しく感じます。同楽団の良好な録音と比較するとやや落ちる印象です。ただ,弦楽器の魅力は十分に感じられるので,弦楽合奏の録音としては普通からやや良い方だとは思います。もう少しすっきりと透明感のある音で残して欲しかったですね。

さてこのディスクですが,オリジナルではブリテンは別のカップリング(プロコフィエフ:古典交響曲,ビゼー:交響曲ハ長調)だったようです。どちらも今では入手性が悪く,また,Apple Musicでも公開されていません。メンデルスゾーンの弦楽のための交響曲集と同様,忘れられてしまったディスクです。もったいないことです。

メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲全集(アヒム・フィードラー指揮/ルツェルン祝祭弦楽合奏団)

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メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲全集
アヒム・フィードラー指揮/ルツェルン祝祭弦楽合奏団
January 26-29 & March 20, 2009, Stalden, CH
OC 740 (P)(C)2009 OehmsClassics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

オルフェウス室内管弦楽団のメンデルスゾーンを聴いてもっとこの曲を聴きたくなり,だいぶ前に買って棚の奥底に眠っていたのを引っ張り出してきました。

ルツェルン祝祭弦楽合奏団は1956年にヴォルフガング・シュナイダーハンとルドルフ・バウムガルトナーによって創設されたスイスの団体とのことで,1998年までバウムガルトナーが音楽監督を務め,その後,本盤の指揮をしているアヒム・フィードラーが後を継いだということです。この弦楽のための交響曲は,メンデルスゾーンが12歳から14歳にかけて作曲した作品で,中学生くらいの年齢でこれだけの作品を残したということが本当にすごいと思います。第1番から第12番まで少しずつ作曲が進化してきているのも感じられて興味深い作品です。

モダン楽器による小編成の弦楽合奏による演奏で,キレの良い整った見通しの良いアンサンブルが素晴らしいと思います。速めのテンポで溌剌としていて実に気持ちの良い演奏です。モダン楽器ですが,ヴィブラートは控えめで透明感のある響きを作り出していて,ピリオド的な奏法も取り入れているようです。

録音ですが,録音会場の響きの影響が強く出て音色はかなり癖があります。ただ音色の曇りは少なく,また,弦楽器の質感はよく感じられるため,癖が強い割には弦楽器の魅力を上手く捉えられていると思います。中低域の締まりがある,キレの良いサウンドもこの録音を救っています。ただやっぱりもっとすっきりと綺麗な音色で録って欲しかったなと思いますね。惜しい録音です。

なお本ディスクはやや入手しづらい状況のようですが,Apple Musicで聴くことができます。有り難いことです。

メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第8番,第9番,第10番(オルフェウス室内管弦楽団)

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メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第8番,第9番,第10番
オルフェウス室内管弦楽団
Performing Arts Center, State University of New York at Purchase, 12/1991
437 528-2 (P)1993 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
オルフェウス室内管弦楽団のディスクをもう一つ。メンデルスゾーン12歳から14歳の間に作曲されたという作品。全部で13曲あり,その中の3曲を収録しています。中学生くらいの年齢でこれだけ優れた作品を作曲したというのが信じられないですね。

これらの曲をオルフェウス室内管弦楽団はキレよく,小気味よく演奏しています。この曲はオルフェウス室内管弦楽団くらいの編成のシャキッとした,そしてノリの良いアンサンブルで聴くのが最高ですね。全曲録音されなかったのが本当に残念です。

録音ですが,シャハムやガロワのヴィヴァルディ協奏曲集と同様,弦楽器の魅力ある美しい音色を綺麗に質感良く捉えています。高域の伸びもあり,中低域も引き締まっています。各楽器の分離も良く見通しも良好です。実に気持ちの良いサウンド! 同楽団の良好な録音の一つと言えると思います。

しかしこの素晴らしい曲集は復刻もされず,Apple Musicにもアップロードされず,入手しづらい状態になっているのは残念です。(タワーレコードさん,出番ですよ(^^;)

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版/D. シトコヴェツキー編)(ブリテン・シンフォニア)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版)
ブリテン・シンフォニア Britten Sinfonia
April 2014 at All Hallows' Church, Gospel Ork, London
HMU 807633 (P)(C)2015 harmonia mundi usa (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
ドミトリー・シトコヴェツキー編曲の弦楽合奏版による演奏。弦楽合奏版ですが,ソロと合奏が効果的に組み合わされています。弦楽三重奏版に比べるとさらに原曲のイメージからは離れていくかもしれませんが,編曲版という枠を超えて独立した別物の作品と言えるくらい良くできた編曲だと思います。ディスクの数がまだまだ少ないのが残念です。

それでこの演奏なのですが,飛ばし弓を多用しているためか,音離れ?が良く大変小気味の良い躍動的な音楽に仕上がっています。アンサンブル蒙昧ですし,ソロを担当する奏者の技量もなかなかのもので,この弦楽によるゴルトベルク変奏曲の世界を存分に楽しむことが出来ました。一点だけ,第20変奏は原曲に近い編曲に戻して欲しかったかな...

録音ですが,やや残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが,楽器音自体は結構しっかりと捉えられていますので,残響量の割には印象は悪くありません。楽器の質感もそれなりにあって,弦楽器の魅力をうまく引き出していると思います。ソロも少しフォーカスしていますので聴きやすいです。残響をもう少し抑え気味にしてくれていたら文句なしだったのですが。惜しいです。まあ,残響の質も悪くなく,これなら優秀録音だと思う方もいらっしゃるかもしれません。

最後にリピート有無です。

Aria ○×
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○×

演奏時間 約1時間13分

ここまでリピートをしていてくれるのでまず不満はないのですが,ここまでしておいてなんで最初のアリアの後半のリピートを省略するの?と,これだけがほんと惜しいです。

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,他(スコティッシュ・アンサンブル)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第2番(弦楽合奏版)
スコティッシュ・アンサンブル
Caird Hall, Dundee, Scotland, UK, 1-3 December 2013
CKD 472 (P)(C)2015 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ジョナサン・モートンが芸術監督およびリーダーを務めるスコティッシュ・アンサンブルの演奏。ショスタコーヴィチはモートン自身の編曲。チャイコフスキーは流麗で速めのテンポで全く淀みなく流れていくモダンで美しく洗練された演奏です。アンサンブルも完璧,非の打ち所がありません。ここまで整った完璧な演奏もそうそうないです。一方で,見得を切るようなところも勿体ぶった表現も全くないので,素晴らしい演奏だと思いつつも,ちょっと印象が薄いかな,とも思います。

録音ですが,残響はやや多めですが,各パートの音は比較的明瞭に分離良く聴こえてきます。しかし,やや金属的でキンキンした響きが被り,下支えの弱い浮ついた,現実味の薄い音色になっているのはやはりこの残響の弊害だと思います。きめの細かい絹のような質感はLinn Recordsらしいと言えるかもしれませんが,楽器自体の質感は希薄です。優秀録音かもしれませんが,好録音とは少し違います。

演奏の印象を薄めているのはこの録音のせいかもしれません。私としてはだいぶ残念。

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,他(LSO弦楽アンサンブル)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
バルトーク:ディベルティメント Sz.113
ロマン・シモヴィチ(リーダー)/LSO弦楽アンサンブル
2013年10月27日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0752 (P)(C)2014 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
主にチャイコフスキーについてのコメントです。大きな編成の弦楽器の豊潤な魅力ある音色が堪能できる充実感のある演奏で,ダイナミックで表情豊かであり,同曲が持つ普遍的な魅力が伝わってくる好演奏です。どちらかといえばオーソドックスで,アンサンブル力を含め突出したところはなく,無難にまとめているという感じはありますが。どういうスタンスでこの演奏に接するかで評価は分かれるかなと思いますが,私は好きな方ですね。

録音ですが,弦楽器の艶やかな音色をLSO Liveらしく残響を抑え気味にドライに捉えた好録音です。全体としてまとまりすぎず,溶け合いすぎず,個々の奏者のそれぞれの音色が感じられそうな微妙な質感が弦楽オーケストラの録音として良いと思います。トップ奏者のブレスがやや(かなり?)大きめに入っているのはご愛敬ということで。

チャイコフスキー:フィレンツェの思い出,弦楽セレナーデ,ニールセン:小組曲(トロンハイム・ソロイスツ)

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チャイコフスキー:フィレンツェの思い出作品70(弦楽合奏版)
チャイコフスキー:弦楽セレナーデハ長調作品48
ニールセン:小組曲作品1(弦楽オーケストラのための)
トロンハイム・ソロイスツ TRONDHEIMSOLISTENE
Selbu Church, Norway, May and October 2011
2L-090-CD-J (C)2013 Lindberg Lyd AS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo

初めて入手した北欧の高音質レーベル2Lのディスク。これは通常のCDですが,Blu-ray Audio,LPでも発売され,e-onkyoでハイレゾ音源の配信もされています。「高音質」の評判通り,非常に解像感の高いサウンドは圧巻です。高域よりの帯域バランスで,やや金属的な固い音色でキンキンとやかましく感じることもありますが許容範囲です。録音会場の響きを少し多めに取り入れているためか,中域にクセがあります。低域は薄めですが,良く締まっています。また,意外に生々しいという感じでもないのはやはりこの響きのためでしょうか。とはいえ,弦楽オーケストラは弦楽器の集合体だという当たり前の事実がよくわかる録音で,良いと思います。

楽器の配置は基本的には二重の円状に並んで中央にマイクを設置しているようですが,楽器の並びは曲ごとに異なり,弦楽セレナーデでは不規則にバラバラに並んでいるようですが,特にどの曲でも違和感はありませんでした。

演奏自体はノーマルで,特に何か小細工や工夫を凝らした表現をしようという意図があまり感じられず,これはこれで良いのですが,もう少し何か光るものがあれば良かったのになぁ,と思います。水準は高いので,不満というほどのものではありません。

ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(弦楽合奏版)(テリエ・トンネセン指揮/カメラータ・ノルディカ)

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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(弦楽合奏版)
テリエ・トンネセン指揮/カメラータ・ノルディカ
2001年~2005年 スウェーデン,ヴィシェルム教会,アルグツルム教会(Op.127)
ALT1024(3) (P)(C)2006 Altara Music (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: Tower Records,HMV Onlineicon (※リマスター再発盤)
指揮者自身の編曲によるコンチェルト・グロッソ・タイプの編曲ということで,弦楽合奏とソロが混じった編曲になっています。第13番の終楽章は大フーガで,Op.130の終楽章は省略されています。

後期の全曲を弦楽合奏で聴けるのがうれしいのですが,一方で,これらの曲を弦楽合奏で本当に出来るの?と,その仕上がりがイメージ出来なかったのですが,聴いてみて,想像をはるかに超える出来映え,アグレッシヴな快演に驚きました。攻める演奏なのにアンサンブルもほとんど乱れませんし,ソロの入れ方も絶妙で聴き応えがありました。これもややキワモノ的で好みがあるでしょうからなかなか人に薦めづらいところですが,ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲が好きなら一度は聴いてみても良いのではないかと思いました。

録音ですが,やや残響過多で弦楽器の音色に精彩がないのが気に入りませんが,とはいえ,それなりに音の厚みと弦楽合奏としての質感は良く,何とかぎりぎり鑑賞には堪えるかなと思います。出来は少しばらつきがあり,Op.130, 133が比較的音に透明感があって良く,Op.135は残響が多すぎてあまり良くありません。

しばらく廃盤のようでしたが,もうすぐBISからリマスター盤として再発売されるようです。リマスター盤,聴いてみたいけど買い直すほどでもないかな...でも気になるなぁ...でも残響が多くて好録音の少ないBISだしなぁ...

弦楽オーケストラ名曲集(宮本文昭指揮/オーケストラMAP'S)

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パッヘルベル:カノン ニ長調
バッハ:G線上のアリア
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV1048
ジャゾット:アルビノーニのアダージョ ト短調
グリーグ:組曲「ホルベアの時代より」作品40
グリーグ:過ぎし春(2つの悲しい旋律作品34より)
宮本文昭指揮/オーケストラMAP'S
2013年3月4日-6日 稲城私立iプラザホール(セッション)
KICC 1097 (P)2013 King Record Co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records

元オーボエ奏者の宮本文昭氏とオーケストラMAP'S(コンサートマスターは矢部達哉氏)による第3弾(第1弾はモーツァルト,第2弾はチャイコフスキー,ブリテン,レスピーギ)。編成は6-5-4-3-2。「弦楽オーケストラ名曲集」ということで,パッヘルベルのカノンやG線上のアリア,アルビノーニのアダージョなど,ややライトな曲が中心です。グリーグの2つの悲しい旋律からは2曲目しか取り上げていないという中途半端なことをやってくれているのが残念ですが。

演奏は第1弾,第2弾と同じで,弦楽オーケストラの魅力に溢れています。特にホルベルク組曲は溌剌として勢いがあり,また緩徐楽章での熱のこもった歌も聴き応えがあります。小編成と思えない分厚い響きもすごいですね。今回も楽しませてもらいました。

弦楽オーケストラ曲はまだまだ良い曲がたくさんありますから,この調子で録音を続けて欲しいと思います。次回作にも期待! (私としてはドヴォルザーク,エルガー,ホルスト,ウォーロックあたりを期待してます)

録音ですが,前2作と会場は異なるものの,ほぼ録音の質は変わりません。弦楽器の魅力は十分に感じ取れますが,もう少し透明感と各楽器の分離感が欲しいところです。演出色がやや強いのも私としては不満に思います。

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,フィレンツェの思い出(ピエール・アモイヤル弾き振り/カメラータ・デ・ローザンヌ)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 作品70
ピエール・アモイヤル指揮/カメラータ・デ・ローザンヌ
Salle de Musique, La Chaux de Fonds, Switzerland, 9-12 May 2012
2564 65218-2 (P)(C)2013 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records

カメラータ・デ・ローザンヌは,ピエール・アモイヤルがローザンヌ音楽院の協力のもと結成したアンサンブルで,編成は 3-3-3-3-1 という小編成。小編成の小気味よさ,透明感と,弦楽器の重厚なサウンドが共存しているのは,編成上低弦側が充実しているからかもしれません。この人数からは想像できない音が出てきて驚きます。弦楽セレナーデは,ここは盛り上がるところだろうというところでさらっと流れていったりするので,あれっ?と思うところが何カ所かありますが,まあこれはこれで楽しめます。どちらかといえばフィレンツェの思い出の方が充実度が高く聴き応えがあるように思いました。編成のバランスが曲に合っているのかもしれません。

録音ですが,弦楽器の質感を良く捉えているものの,やや濃すぎる感じがあるのと,中域に響きの癖があってややうるさい感じがします。録音もフィレンツェの思い出の方が癖が少なく聴きやすいです。私としてはもっと小編成の透明感と小気味よさを活かした軽く見通しが良く分離の良い録音にして欲しかったと思います。少し重厚に捉えすぎていると思います。

ということで,フィレンツェの思い出が思いのほか良かったのが収穫でした。

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ,ブリテン:シンプル・シンフォニー,レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲(宮本文昭指揮/オーケストラMAP'S)

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ブリテン:シンプル・シンフォニー 作品4
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
宮本文昭指揮/オーケストラMAP'S
2012年4月1-2日 東京津田ホール(セッション)
KICC 1045 (P)2012 King Record Co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records
元オーボエ奏者の宮本文昭氏とオーケストラMAP'S(コンサートマスターは矢部達哉氏)による第2弾(第1弾はモーツァルト)。編成は6-5-4-3-2。アプローチは極めてオーソドックス,精巧かつ力強い演奏ですが,個性を主張するようなところは全くなく,曲そのものの魅力を最大限,素直に引き出そうというところに好感を持ちます。オーケストラも本当に上手いです。小編成とは思えない分厚い響きを出しながら,全く乱れずビシッと決めてきます。チャイコフスキーが最も良く,ブリテンはちょっと真面目すぎ(もっと前に前に転がっていくような感じを出して欲しい),レスピーギはもう少し軽く洒落た感じだと良かったのですが。

録音ですが,弦楽器の分厚い響きをしっかりと捉えていますが,やや混沌として質感が損なわれています。もう少し残響を抑え,見通し良く分離良く捉えて欲しいところです。惜しいと思います。

とまあ少し文句は書きましたが,全体的にはすごく良く仕上がっていると思います。今後のレコーディングにも期待したいですね。
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