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ベートーヴェン:交響曲第七番(クーベリック/バイエルン放送交響楽団)

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ベートーヴェン:交響曲第七番 イ長調 作品92
ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelik)(Conductor)
バイエルン放送交響楽団(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)
1970年3月31日~4月1日(Beethoven),1970年(Weber),ミュンヘン,ヘルクレス・ザール
ORG 1007 ※音楽之友社 レコード芸術企画盤 (国内盤)
好録音度:★★★★☆

レコード芸術誌の企画盤「レコード芸術 名盤コレクション 蘇る巨匠たち」(ドイツ・グラモフォン原盤)です。

オーケストラの録音に関して,「好録音」の観点ではなかなか満足できるものに巡り会えません。そんな中で,「これはいい!」と思える数少ない「好録音」の一つです。各楽器が直接音主体に明瞭に分離良く聴こえてきます。残響も控えめで必要最低限に抑えられ,楽器音をほとんど濁していません。クリアで見通しの良い録音です。マルチマイクによる録音だと想像しますが,その良さが活かされていると思います。最近の新譜でこのようなタイプの録音にお目にかかることが滅多にないのですが,その良さを見直して欲しいものです。

演奏は至極スタンダードな佳演です。特徴ある演奏が多数出てきている昨今においても輝きを失っていませんし,スタンダードであるが故に何度聴いても色褪せず飽きることもありません。このような素晴らしい演奏が「好録音」で残されたことに感謝です。

LP時代に最初に買ったベートーヴェン第七番が確かこの演奏で,レコード芸術誌の企画盤として出たときに「これだ!」と思って飛びついた記憶があります。入手できて幸運でした。この録音のすぐ後に録音された9つのオーケストラとの全集の第七番(オーケストラはウィーン・フィル)も聴いてみましたが,こちらの方が気に入っています。現役盤があるのかどうか把握出来ていないのですが,もしないならぜひ復刻して欲しいところです。

チャイコフスキー:後期交響曲集(ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

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チャイコフスキー:後期交響曲集
交響曲第四番ヘ短調作品36
交響曲第五番ホ短調作品64
交響曲第六番ロ短調作品74「悲愴」
エフゲニー・ムラヴィンスキー(Evgeny Mravinsky)(Conductor)
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(Leningrad Philharmonic Orchestra)
(第四番)1960年9月14-15日 ロンドン,ウェンブリー・タウンホール
(第五番)1960年11月9-10日 ウィーン,ムジークフェラインザール
(第六番)1960年11月7-9日 ウィーン,ムジークフェラインザール
UCCG-3312/4(459 529-2) (P)1961 Polydor International GmbH, Hamburg (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

このチャイコフスキーの後期交響曲集,超有名なのでもう説明の必要はないと思います。指揮者の無謀とも思えるテンポ要求にも一糸乱れず合わせてくる,その鍛え上げあれた軍隊的な統率感に背筋がゾクッとします。中でも第五番が屈指の出来栄えだと思います。愛聴盤です。

しかし,私がここで触れたいのはそういうことではなくて,もちろん録音についてです。一つ前のエントリで,音楽のエッセンスをいかに上手く抽出して収めているかが「好録音」のポイントだと述べましたが,この録音はまさにこの好例であると考えています。

この録音の良いところは,要所要所で「これは聞こえて欲しい」と思う楽器の音の動きがしっかりと聞こえてくるところです。金管が咆哮する場面で弦楽器がかき消されることもありません。個々の楽器の質感もそこそこ保たれています。音楽のエッセンスが詰まった情報量の多い録音とは,例えばこういう録音のことだと思うわけです。1960年の録音で音は古びていますし,「録音が良い」という評判は全く聞いたことがありませんが(まあ当然といえば当然ですが...),音楽を存分に楽しめるという点で間違いなく「好録音」です。

このCDをお持ちの方は,改めてこういう観点で聴いてみてください。

私が最初にこの演奏に触れたのは廉価版のLPでした。その後CD化されるのを待ちわびて買ったのが2枚組のCDでした(→HMV Onlineicon)。今はもう少し安いものがあるみたいです(→HMV Onlineicon)。最近はSHM-CD版もあるようです(→HMV Onlineicon)。ただ,2枚組だと一番好きな第五番の途中でCDを取り替えなければならず,これが嫌で3枚組の国内盤に買い換えました(→HMV Onlineicon)。(2枚組の国内盤がまた出るのかな???→HMV Onlineicon)。

ミカラ・ペトリ:リコーダー協奏曲集

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(a) リコーダー協奏曲集
ヴィヴァルディ:ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 RV.443
G.サマルティーニ:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調
テレマン:アルト・リコーダーのための協奏曲 ハ長調
ヘンデル:アルト・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調 作品4の5
日本語解説書の記載:1979.6.26-27, Henry Wood Hall
オリジナルの解説書の記載:London, 7/1980
Philips 32CD-42(400 075-2) (C)1980 Phonogram International (国内盤)
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(b) リコーダー協奏曲集
ベイベル:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 作品3の1
ヘンデル:アルト・リコーダーのための協奏曲 変ロ長調 作品4の6
バスタン:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲第二番 ニ長調
ジェイコブ:アルト・リコーダーのための組曲
1982年6月20-30日,ロンドン
Philips 32CD-433(411 056-2) (C)1983 Phonogram International (国内盤)
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(c) リコーダー協奏曲集
マルチェッロ:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ニ短調
ヴィヴァルディ:ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 RV.444
テレマン:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調
ノード:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ト長調 作品17の5
1984年6月8-10日,ロンドン,ヘンリー・ウッド・ホール
Philips 32CD-211(412 630-2) (C)1985 Phonogram International (国内盤)
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ミカラ・ペトリ(Michala Petri)(Recorder)
アイオナ・ブラウン(Iona Brown)(Conductor)(a)
ケネス・シリート(Kenneth Sillito)(Conductor)(b)(c)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Academy of St Martin in the Fields)

参考url: オフィシャルWebサイト,HMV Onlineicon

ミカラ・ペトリの初期の頃の協奏曲集です。完璧な技巧に加えて純粋無垢で透明な音色は何物にも代え難い魅力があります。もう何も言うことはありません。やっぱり特に素晴らしいのはソプラニーノ・リコーダーで演奏される(a)のヴィヴァルディです。曲も良いし演奏も最高! もう何百回聴いたかわかりません。あとは,親しみやすいメロディーが印象的な(a)のサマルティーニ,短いながらも愛らしい佳作の(b)のベイベル,楽しさ溢れる(c)のノード,などが気に入っています。

そしてこれらの録音がまた最高に良いのです。わずかに感じられる残響もほとんど邪魔にならず,リコーダーの澄んだ音色を余すところなく捉えているほか,バックの弦楽器も明瞭かつ自然な音でリコーダーの音を支えています。もう30年近く前の録音なんですねぇ...昔のフィリップスの録音は本当に良かった...(←年寄り臭いですなぁ) 好録音度は文句なしに最高です。

ということで,これらのCDは長い間私の愛聴盤になっています。

これらのCDは単体では現役盤はないようですが,リコーダー・ソナタ集と組み合わせた4枚組の企画盤「ミカラ・ペトリ:リコーダーの芸術」というセットが出ているようです(→HMV Onlineicon)。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(ショルツ/ベルリン室内管弦楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ヴァイオリン協奏曲第一番~第五番,アダージョK.261,ロンドK.373,ロンドK.269
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Berlin, Christuskirche, 10, 11/1997
BERLIN Classics 0184002BC (P)1998 (C)2006 edel records (輸入盤)
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参考url: HMV Onlineicon,Amazon.co.jpTower Records

ハイドンのヴァイオリン協奏曲があまりに良かったので,モーツァルトもきっと良いはずだ!と思って聴いてみました。結果,大当たりでした! ハイドンと録音時期は異なりますが,受ける印象はほぼ同じです。ショルツ氏の音色は輝いていて本当に美しいです。

演奏も素晴らしいのですが,録音も負けず劣らず素晴らしいです。残響を伴っていて若干音色に影響を及ぼしているので完璧に満足しているわけではないのですが,好録音度としてはあえて五つ星としました。ソロの音色の透明感,輝きがほとんど損なわれず極めて美しく聴こえてくること,そして,小編成オーケストラの内声の動きまで明瞭に聴こえてくる見通しの良さ,この二点に尽きます。オーディオクオリティもそこそこ高く,残響の質も悪くはないので,「優秀録音」としても通用するかもしれません。

めでたく愛聴盤の一枚に追加されました。

なおカデンツァは,第一番~第三番がショルツ氏自身,第四番・第五番がヨアヒムとのことです。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(カート・ラダーマー)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲
カート・ラダーマー(Kurt Rodarmer)(Guitar)
Recording: 1994.6-1996.1, Highland Studios, Los Gatos, California
Sony Classical SRCR-2230 (C)(P)1996 Pangaea Production (国内盤)
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参考url: HMV Onlineicon

この曲の演奏のために特注された2本のギター(リチャード・シュナイダー氏製作)を使い,多重録音(最大4重?)で実現された録音。ラダーマー氏は,この編曲のために10年の歳月を費やしたとのことです。

同曲のギターによる演奏は,1本で演奏されたものがいくつかありますが,編曲の点でも演奏の点でもかなり無理があると言わざるをえません(もちろんその挑戦意欲は認めます)。ラダーマー氏はこの問題を解決するために2本の特注ギターと多重録音という,クラシック音楽の録音では邪道とも思える手段を選択されました。しかし,その代わりに編曲と演奏には一切の妥協がありません。私が聴いた限りでは「ここは妥協したな」と思えるところはただの一カ所もありませんでした。ギターでは難しかろうというところでも果敢に鮮やかに弾ききっていますし,多重録音で余力が出来たところを音楽表現に振り向けられていますので,単にギターで弾いたということにとどまらない聴き応えのある音楽になっています。

この難曲をここまで立派な音楽に仕上げられた執念とその成果を素直に讃えたいと思います。

さて本題の録音についてですが,全く残響のない環境で直接音だけ捉えています。多重録音で音質を落とさないための措置ではないかと思いますが,それが功を奏し,極めてクリアで明瞭度・解像度の高い録音になっています。クラシック音楽の録音としては恐らく異端児であり,拒絶反応を示される方もきっとおられると思いますが,私にとっては非常に好録音度の高い素晴らしい録音です。

また,「優秀録音」と言えるかどうかはわかりませんが,オーディオ的なクオリティも十分に満足できるレベルです。

ということで,発売以来の愛聴盤になっています。

ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集(ショルツ/ベルリン室内管弦楽団)

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4, イ長調 Hob VIIa:3
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Jesus-Chistus-Kirche, Berlin-Dahlem, 30.06./01.07.2003
BERLIN Classics 0017652BC (輸入盤)
 æ„›è´ç›¤ ã€€å¥½éŒ²éŸ³åº¦ï¼šâ˜…★★★☆
参考url: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records

ヴァイオリンの音色がものすごく魅力的! 惚れ込んでしまいました。清らかでふくよかで甘美だけど品を失わない...モダン楽器の魅力がいかんなく発揮されています。バックのオーケストラも引き締まっていてアンサンブルも良いと思います。

録音がこれまた良くて,多少の響きを伴っていますが,ほとんど楽器音を濁していません。美しいヴァイオリンの音が全く自然に伝わってきます。響きを取り入れるならこういう風にやって欲しいと思います(個人的にはもう少し響きを抑えて欲しかったとは思っています)。オーケストラもすっきりとしており,ソロとのバランスもよく,この点も協奏曲の録音として好ましく思います。

演奏の美しさ,録音の良さから,ハイドンのヴァイオリン協奏曲集の中で最も気に入った一枚になりました。

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲(アバド/モーツァルト管弦楽団)

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
モーツァルト管弦楽団(Orchestra Mozart)
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)(音楽監督・指揮)
ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン),ミカラ・ペトリ(リコーダー),マリオ・ブルネロ(チェロ),アイロス・ボッシュ(コントラバス),ラインホルト・フリードリヒ(トランペット),オッターヴィオ・ダントーネ(チェンバロ),他
2007年4月21日 イタリア,レッジョ・エミリア,ヴァーリ市立劇場
Euroarts 2056738 (輸入盤) (DVD)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Online
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ミカラ・ペトリが演奏しているところを見たくて手に入れたDVD。私は特にアバドのファンというわけではありませんし,モーツァルト管弦楽団もどんな団体か全然知りませんでしたので,正直言って演奏自体は全然期待していませんでした。でもこれは本当に素晴らしかった! 演奏もいいし録音もいい! 大きな大きなうれしい誤算でした。

この演奏,いわゆる「ピリオドアプローチ」ということです(その言葉の意味するところを正しく理解しないまま使っています...)。ピッチは440Hz付近でしょうか。楽器はモダンとピリオドが入り交じっているように見えて何となく統一感がありません。しかし,この演奏の面白さはそんな楽器や奏法云々を越えたところにあるように思います。それぞれの奏者の芸人魂を感じます。とにかく理屈抜きに楽しいんです。音楽が生き生きと躍動しています。

録音がこれまた最高です! ホールでのライヴ録音ですが,奏者の前にマイクが立てられていて楽器の音が明瞭かつ自然な音で捉えられています。響きは多少あるものの,音楽を全く邪魔していません。(普通に録音すればこんな風に録音できると思うのですが,なんでみんなこんな風に普通に録音してくれないのかなぁ...と愚痴を言いたくなる今日この頃...)

演奏はもちろんのこと,録音も含め,何枚か持っている同曲の演奏の中で最も気に入った一枚になりました。あまりに気に入ったので,音声トラックをCD化して日常的に聴いています(実は映像の方はほとんど見ていないんです。CDでもぜひ発売して欲しい。絶対に買います!)。アンコール(第二番第一楽章)ではミカラ・ペトリがリコーダーをソプラニーノ・リコーダーに持ち替えて演奏しています。ペトリのソプラニーノ・リコーダーが好きな私にとってこれもちょっとしたプレゼントでした。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(イルマ・イサカーゼ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
イルマ・イサカーゼ(Irma Issakadze)(Piano)
2004年8月19-21日,トーランス,メディアハイペリウム・スタジオ
OEHMS Classics BVCO 38057-58
 æ„›è´ç›¤ ã€€ ãƒªãƒ•ã‚¡ãƒ¬ãƒ³ã‚¹éŸ³æº ã€€å¥½éŒ²éŸ³åº¦ï¼šâ˜…★★★★
参考url: HMV Online,Amazon.co.jp,Tower Records

私の中では,不本意ながら(^^; グールド新盤に並ぶ愛聴盤になりつつあります。ピアノの音と録音に惚れ込んでしまった,というのが最大の理由です。小気味よいハキハキした演奏でとても楽しい,というのがその次の中くらいの理由で,(おそらく)全てのリピートを律儀に行っている,というのがその次の小さな理由です。「不本意」と書いたのは,胸が苦しくなるようなリズムの崩しがいくつかの変奏でみられたり,装飾音符でリズムが崩れたりするのがあまり好きではないからです。

どのような環境で録音されたのかはよくわかりませんが,鬱陶しい残響は全くなく,適切な距離感で非常にクリアにピアノの音を捉えています。そしてこのピアノの音! 豊潤さはありませんが,音の芯がはっきりとしていて付帯的な響きによる雑味がほとんどなく非常にすっきりしています。粒立ちもとても綺麗です(解説書によると楽器はカワイ製ということです)。このあたりはグールド新盤を彷彿とさせます。オーディオ的なクオリティが優れている分,こちらの方が良いかもしれません。

このような優れた演奏が,ほぼ理想的な録音で現れたことをとてもうれしく思います。このディスクをきっかけに,このような良い音の録音がもっと増えてくること願っています。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(グレン・グールド新盤)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
グレン・グールド(Glenn Gould)(Piano)
1981年録音
Sony Classical SRCR 9239 (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

グールドのゴルトベルク変奏曲新盤(1981年録音)です。ご多分に漏れず私もこれが最も好きな演奏です。演奏については今更何も言うことはありませんが,強いて不満を挙げるなら,リピートの省略が多いことくらいでしょうか。テンポは意外なほどに整然としていて不自然に感じる揺らぎや『ため』はほとんどないことに改めて気がつきました。不自然なテンポの崩しは嫌いなのですが(身体が受け付けない),最初に聴き込んだのがこの演奏だったからかもしれません。

それで肝心の録音なのですが,これがまた素晴らしいのです。スタジオでの録音なので,楽器音を濁す残響はほとんどなく,ドライで粒立ちのはっきりしたピアノの音を適切な距離感でクリアに捉えています。私にとってはほとんど理想的で,私の所有しているピアノのCD(数は少ないですが)の中でも最も好きな録音の一つです(最も好きだといっても過言ではありません)。オーディオ的なクオリティは完全に満足レベルにまではなっていませんが,それでもまずまず良いと言えると思います。

こんなに録音が良いのに,その良さに言及したレビューがほとんどないのは不思議でなりません。それに,こんなに素晴らしい超名盤のお手本があるにもかかわらず,残響にまみれた不鮮明な録音がこれほどまでに横行しているのはなぜなのか,これも不思議でなりません。この演奏が名盤として君臨しているのは,この録音もそれなりに寄与していると思うのですが,そう思うのは私だけでしょうか? 録音という面でも改めて評価し見習って欲しい,そして,このような好録音が主流になって欲しいと切に願っています。といってもこの録音が発表されてからすでに30年弱,なんら状況が変わっていないことを考えると,この望みはかないそうにないですね...
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