2023/02/09

“いま”を反映する必聴ディスクはこれだ!
「レコード芸術」編
音楽之友社
2023年2月1日発行
参考:
皆様よくご存じの企画本と思いますので説明の必要はないと思いますが...「レコード芸術」誌で2020年から2022年に掲載された特集「新時代の名曲名盤500」と,2022年9月,11月号に掲載された特集「新時代の名曲名盤プラス100」を1冊にまとめたものということです。
順位づけはともかく,眺めていると「あっ,これ聴いてみたいな」とか「こんな演奏があったのか!」というように未知の音楽や演奏との出会うきっかけを作ってくれる,私の音楽の世界を広げてくれる本だと思っています。楽しく拝見させていただこうと思います。
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2020/08/16

山田陽一 (編・聞き手)
春秋社
参考: Amazon.co.jp,HMV Online
京都市立芸術大学教授の山田陽一氏が,「グルーヴ」について著名な10名の音楽家と対談した内容をまとめたものです。目次は次の通りです。
「音楽を造り込む」堀米ゆず子(ヴァイオリン)
「響きのかたちをイメージする」鈴木学(ヴィオラ)
「インテグラル(統合された)ヴルーヴ」上野真(ピアノ)
「みんな、ぼくの手のひらの上で踊ってる」池松宏(コントラバス)
「ティンパニは子音の響き」岡田全弘(ティンパニ)
「音楽で大切なのは遊びだ」池上亘(トロンボーン)
「ハーモニーがグルーヴを生む」吉田將(ファゴット)
「いい響きを作るには?」矢部達哉(ヴァイオリン)
「響きのあいだを人が繋ぐ」下野竜也(指揮)
「音楽を共有すること、繋がること」小曽根真(ピアノ)
音楽における「グルーヴ groove」とは何か,について,まえがきで次のように触れられています。
「グルーヴ」をごく簡潔に(それゆえ荒っぽく)表現するならば,「音楽演奏のプロセスにおいて現れ出るダイナミックで心地よい感覚」
私自身の「グルーヴ」は一種の「ノリ」と思っています。そして,この本の帯に書かれている「クラシック音楽に「グルーヴ」は存在するのか――?」については,私自身はクラシック音楽で「グルーヴ」を意識することはまずありません。まだ読み始めたばかりなのですが,この本の内容はもう少し大きな意味で「グルーヴ」を捉えているように思いました。そして,「グルーヴ」についてというよりは,それぞれの音楽家の方々が演奏にどういう思いを込めているのか,ということについて語られているのではないかと思いました。
日頃音楽を聴くときにあまりこういうことは意識しないので,いろいろと得るものがありそう,と興味深く読み進めているところです。
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2019/09/29

音楽之友社
参考:

音楽之友社
参考:

音楽之友社
参考:

音楽之友社
参考:
今やインターネットを検索した方が早いのですが,こういう本をパラパラとめくりながら読むのも良いものです。
以前は近くの図書館で借りていたのですが,手許に置いておきたくて購入しました。バッハの方は中古で買ったのですが,ある学校の図書館に所蔵されていたものが放出されたもののようでした。新品同様の綺麗な状態でした。ベートーヴェンは最近購入しましたが,2017年第20刷発行となっていて,まだ現役のようです。ただし,一部作曲家(ブルックナー,ストラヴィンスキー,ショスタコーヴィッチなど)はHMVでは販売終了となっていました。こういう本を買う人ってやっぱり少ないんでしょうね。
あとブラームスとハイドンは買っておこうかなと思っています。
(記2019/02/17)
ということで,ブラームスとハイドンを入手! 追記しました。
(記2019/09/29)
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2016/06/30

マイクロホン,スピーカ,イヤホンの基本と現代技術
日本音響学会編 音響テクノロジーシリーズ17
大賀寿郎(著)
コロナ社 2013年3月 ISBN978-4-339-01118-0
参考: Amazon.co.jp
【目次】
1. オーディオトランスデューサの基礎知識
2. 種々のオーディオトランスデューサ
3. トランスデューサの機械音響振動系と回路
4. 電気音響変換器の理論と定量化
5. 感度と周波数特性
6. トランスデューサの音場と音響放射
7. 音波の伝送
8. 音波の反射と回折
9. 多点送受音と指向性の制御
10. オーディオトランスデューサの設計技術
11. オーディオトランスデューサの測定
12. オーディオトランスデューサを用いる音響システム
本書は,マイクロホン,スピーカ,イヤホンといったオーディオトランスデューサ(電気音響変換器)に関する基本的な技術および音響工学の基礎を体系的に広く浅く学べる入門書です。エンジニアがこれらの技術的な内容を理解する取っかかりとしてなかなか上手くまとめられていると思います。理系でない方には少々専門的すぎるとは思いますし,書かれている数式まではなかなか理解できるものではありませんが,概念を把握したり基本原理をざっと理解するには良い書籍だと思いました。このあたりは枯れたローテクのアナログ技術ですが,奥深さを感じますね。
著者の大賀寿郎氏は,大学卒業後は日本電信電話公社や富士通の研究所に在籍された後,現在は,芝浦工業大学名誉教授,東京電機大学講師,日本音響学会代議員,電子情報通信学会フェロー,IEEE(米国電気電子学会) Fellowとのことで,この分野の権威ですね。
コロナ社の音響テクノロジーシリーズは興味をそそられる書籍が多くあります。以前紹介した超広帯域オーディオの計測もシリーズは違いますがコロナ社でした。機会があればまた読んでみたいと思います。
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2014/05/01

河合 一(著)
誠文堂新光社 2011年12月25日発行 ISBN978-4-416-11113-0
参考: Amazon.co.jp
副題として「アマチュアからプロまで,21世紀のデジタル・オーディオ技術を網羅」と記載されています。著者はオーディオ機器メーカーの山水電気から外資系半導体メーカーのバー・ブラウン,テキサスインスツルメンツに転職し,技術サポートを行ってきたエンジニア,ということで,本書も技術者視点の実践的な内容です。以前紹介した「超広帯域オーディオの計測」がどちらかといえば学術的であったのとは対照的ですが,主要デバイスのデータシートの最初のページを引用して実例を示したりと,デバイス視点での記述が中心になっていて,エンジニアには読みやすいのではないかと思います。
タイトルの通り,デジタル・オーディオの基本となる各種特性について解説されているほか,本書でもジッターについて一つの章が割かれ,約50ページにわたって特性や対策などについて記載されています。
まだ斜め読みレベルなのでこれからじっくりと読みたいと思いますが,ん?と思う記述がないことはないですが(^^;,デジタル・オーディオの様々な技術が比較的わかりやすく実践的に記載されているので参考になりそうです。理系でない方には少々取っつきにくく難しいかもしれませんが,風説や思い込みや誤解がまかり通っているオーディオで,こういったことに流されず正しく見極めて判断していくために知っていて損はない最低限の知識が書かれていると思います。
ただ一方で,示されているデータなどが実際に聴感上どれくらいのものなのかを体験しなければ結局何もわからない,「オーディオは実際に聴いてなんぼ」という面もあるので,難しいところです。
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2014/04/19

蘆原郁(編著),大久保洋幸,小野一穂,桐生昭吾,西村明(共著)
コロナ社 2011年8月 ISBN978-4-399-00824-1
参考: Amazon.co.jp
本書で言う「超広帯域オーディオ」とは,一般的なオーディオCDと比較して周波数帯域,ダイナミックレンジが広いデジタルオーディオのことを指す,としています。そして本書の目的は,「高品位オーディオが置かれている現状,課題を整理し,新しい時代のオーディオ技術を切り開くための基礎知識を共有しようというものである」とまえがきに書かれています。
「計測」と書かれていますが,計測や実験,評価を切り口に俗に言うハイレゾオーディオを含めたオーディオ技術に関する概論書となっており,まえがきに書かれている通り,現在のオーディオ技術を俯瞰するのに役に立つであろうと思われます。専門書なので数式なども出てきますが,それを読み飛ばしてもそれなりに知識が得られるように書かれていますが,本書の性格上,あまり深くまで突っ込んだ記述はないですし,いわゆる迷信的なことに対して断定的な言い方は避けられていますので,少し物足りないところはありますが,これはまあ仕方ないと思います。
本書の構成は次のようになっています。
1.超広帯域オーディオまでの道のり
オーディオの技術面からみた歴史について書かれています。
2.サンプリングと量子化
デジタルオーディオの基礎知識となる内容が書かれています。
3.ハイサンプリングのメリットとデメリット
メリットとしては,波形忠実度の向上,量子化雑音レベルの低減,デメリットとしては,非線形ひずみの増大,タイムジッタの影響などが挙げられています。SACDの量子化雑音についてもデメリットの項として述べられています。
4.ハイビットとダイナミックレンジ
ダイナミックレンジの求め方,ハイビット化で何が期待できるのか,などが書かれています。
5.超広帯域のマイクロホン技術
超広帯域マイクロホンを開発するための技術について書かれています。
6.室内音響と超広帯域オーディオ
残響時間や室内音響の周波数特性,騒音,再生環境などについて書かれています。
7.オーディオ信号の劣化およびその計測
オーディオ機器を評価する指標の説明と,これを超広帯域オーディオに適用する場合の課題について書かれています。
8.タイムジッタ
なんとジッタに1章まるまる割いています。しかもかなりのページ数を使っています。インターフェースジッタとサンプリングジッタの説明,また,理論上のジッタ許容量,および音楽信号聴取時のジッタの主観的な検知限に関する近年の研究が紹介されています。
オーディオ機器で発生しうるジッタは,実験で確認された検知限よりもはるかに小さいレベルのようで,メディアの素材の違いなどで発生する音の差はジッタが影響していると言い切れるほど単純なことではないように思いました。
9.聴覚からみたオーディオ周波数帯域
可聴帯域下限,上限に関する実験結果が紹介されています。22kHz以上の高い音を確実に聴き取るには音圧レベルとして80dB以上が必要であることや,音楽信号などの複合音で高レベルの高周波が含まれている場合は,スピーカの非線形性に起因する可聴域の混変調ひずみ音を聴いて違いを感じている可能性の指摘なども書かれています。
10.主観評価実験を行うには
聴取実験による主観評価も重要であるとし,主観評価を行う上での注意点が書かれています。また,ラボノートに記録を残すことの重要性,認知的バイアス(プラシーボ効果やヒツジ・ヤギ効果(これは初めて知りました),盲検法など),有意差検定の注意点などが書かれています。
深く知るには物足りないと思いますが,デジタルオーディオ技術全般の基礎の入り口としては参考になると思いますので,ご興味のある方は読んでみられても良いかと思います。実はまだ斜め読みしかしていないので,もう少しじっくりと読んでみようと思います。
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Author: 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227)
主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
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CD試聴記: バッハ無伴奏Vn/Vc聴き比べ
ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果
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