2023/09/18

アンドレア・バッティストーニ指揮/RAI国立交響楽団
2016年7月6日 トリノ,RAIオーディトリアム
COGQ-104 (P)2017 Nippon Columbia (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
明快でわかりやすく,ツボを押さえた演奏だと思いました。躍動感があり聴き応えがあります。こういう演奏は好きですね。
録音ですが,残響は少しありますが,個々の楽器の音をしっかりと分離よく質感良く捉えていて,明瞭感で音色も自然で高域のヌケも良好です。特に弦楽器の質感が良く,弦楽器を中心に据えた音作りにも好感が持てます。低域から高域までのバランスも良く,低域も締まっています。オーケストラの録音として欠点が少なくかなり良いと思いました。
演奏も録音も良くちょっとした掘り出し物でした。
2023/09/04

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
アジス・ショハキモフ指揮/ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団
2022年10月13,14日 ストラスブール,Palais de la Musique et des Congres
5419753851 (P)(C)2023 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ショハキモフは1988年生まれウズベキスタン出身,2021年よりストラスブール・フィルの音楽監督,注目の若手指揮者とのこと。音楽に癖がなく,現代的で洗練されカッコ良く仕上げています。個性を前面に出すような演奏ではありませんが,推進力のあるダイナミックで引き締まった演奏は素晴らしいです。
録音ですが,残響をは控えめに楽器そのものの音色を質感良く捉えていると思います。サウンドにキレがあり中低域の響きも締まっていて伸びもあります。演出感も少なめで自然です。昨今の標準的なオーケストラ録音という感じで,欠点が少なくそつなく上手くまとめていると思います。好録音です。
2023/07/30

シュルホフ:弦楽四重奏のための5つの小品(ホーネック/イル編)
マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団
2022年6月17-19日 ピッツバーグ,ハインツ・ホール
FR752SACD (P)2023 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
チャイコフスキーのみのコメントです。ディスクは9月中旬の発売のようですが,Apple Musicではすでにリリースされていましたので聴いてみました。
演奏は緩急や強弱のコントラストが高くオーケストラが指揮者の細かい要求に忠実に応えていることがうかがわれます。その結果,ダイナミックで大変刺激的な演奏に仕上がっていると思います。金管の鳴り感も良いですね。これも魅力の一つになっています。
録音ですが,少し残響は多めでややホールトーンが強めですが,それぞれの楽器の質感は適度に感じられ,音色の曇りが少しあるものの許容範囲で,残響が多い割には良いと思います。低域の量感もありますがそこそこ締まりもあり中高域への影響も少ないため良いと思います。リファレンス・レコーディングスの録音は好みのものもあれば好きになれないものもあるのですが,これは良い方だと思いました。
2023/05/14

リスト:交響詩第6番「マゼッパ」
ズービン・メータ指揮/バイエルン放送交響楽団
2013年2月25日-3月1日 ミュンヘン,フィルハーモニー・イン・ガスタイク
900207 (P)(C)2023 BR Klassik (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
メータのチャイコフスキー第5番の録音は1977年のロサンゼルス・フィル以来とのことで少し驚きました(ロサンゼルス・フィルとの録音は以前取り上げていました→こちら)。
チャイコフスキーの第5番は基本的にはオーソドックスですが,落ち着いたテンポで堂々としておりここぞというところはダイナミックに鳴らしメリハリのある音楽を聴かせてくれますね。オーケストラの上手さ,安定感はさすがですね。良いと思います。
録音はライブ収録で,残響・間接音が直接音よりも多めなので少し明瞭感と音色に影響がありますが,ライブらしい雰囲気と音場の立体感は感じられるのでまずまずかなと思います。オーディオ品質的には特に良いという感じではありませんし,残響の影響が少し多めなのでその点は不満に思うところですが,全体には欠点は少なく音楽を楽しむという点ではそろほど問題ないと思いました。
2023/04/09

ウラディーミル・ヴァーレク指揮/プラハ放送交響楽団
2003-2005年 チェコ放送スタジオ
SU 3862-2 (P)(C)2005 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考:
ドヴォルザークの交響曲全集と同じシリーズでチャイコフスキーの交響曲全集もリリースされていました。こちらは第4番~第6番を聴きましたが,ドヴォルザークと同じくオーソドックスな演奏だと思います。あまり特徴はないかもしれませんし洗練された感じもありませんが素朴さがあってなんか安心感はありますね。
録音もドヴォルザークと同様で,残響感はあるものの直接音は感じられ,明瞭感もそこそこあって聴きやすいです。弦楽器の質感も良好です。やはり2000年代の録音にしては音色がやや古びた感じで1970年代のアナログ録音風というのも同様です。音楽を楽しむ点では問題なく良好な部類には入るのですが,この音色の古さは少し損しているように思います。
2023/02/26

アラン・ロンバール指揮/ボルドー=アキテーヌ国立管弦楽団
録音不明
V4723 (P)1995 Auvidis Valois (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
アラン・ロンバールはフランスの指揮者で,同じくフランスのボルドー=アキテーヌ国立管弦楽団の音楽監督を1988年から1995年にかけて務めていたということです。録音時期が不明ですがその期間に収録されたものと思われます。
演奏ですが,あまり小細工のないストレートで端正にまとめられた演奏だと思いました。第5番終楽章のAllegro vivaceなどテンポが速く,カッコ良くて気持ちの良い演奏だと思いました。(なお,この第5番ですが,湧々堂さんのWebサイトでは“今のところ史上最悪のチャイ5です”と酷評されていました→こちら)
録音ですが,残響は少し多めですが楽器音への被りは少なめです。しかし,全体に音色がくすみがちで伸びがなく詰まった感じです。明瞭感,分離感も今一歩というところです。またフォルテで弦楽器が管楽器にかき消されがちなので,もう少し弦楽器の質感を強めに録って欲しいところです。悪くはないと思うのですが,少しもどかしいです。
ディスクはすでに廃盤で入手も難しそうです。こういう演奏がApple Musicなどのストリーミングで聴けるのは有り難いことですね。
タグ: [交響曲]
2023/02/23

モーリス・アブラヴァネル指揮/ユタ交響楽団
1972~73年 ソルト・レイク・シティ,モルモン・タバナクル
CD5X 3603 (P)(C)2001 Vox Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
アブラヴァネル/ユタ交響楽団をもう一つ。チャイコフスキーも全集録音していたとは知りませんでした。ヴァンガード音源のライセンス盤です。収録曲は下記の通りです。
交響曲全集
マンフレッド交響曲作品58
スラヴ行進曲作品31
序曲「1812年」作品49
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32
幻想序曲「ハムレット」作品87a
幻想序曲「ロメオトジュリエット」
シベリウス同様,このあっけらかんとしたアメリカ的明るさがこの全集の魅力ですね。演奏の精度という点では今一歩というところはあるのですが,この演奏の面白さ・魅力に比べれば些細なことだと思えてしまいます。
そして録音も良いですね。各楽器をダイレクトに録っているので極めて明瞭で分離良く聴こえます。ちょっと誇張された感はありますが気になりません。映画音楽のサウンドに通ずるところがあると思いました。オーディオ品質的にはやはり粗があり,また若干帯域バランスが微妙に聴こえるところもありますね。
あと,交響曲第5番終楽章であからさまな編集のあとを残しているのはちょっといただけません。
まあ皆様にお薦めするような演奏ではないかもしれませんが,私は気に入りました。良かったです。もうすでに廃盤になっているのかディスクはあまり出回っていないように思います。ストリーミングで聴けるのは有り難いですね。
2023/02/18

クルト・ザンデルリンク指揮/ベルリン交響楽団
1978年6月7-9,12日, 1979年9月25-29日, 9月19-22日 旧東ベルリン,キリスト教会
TWSA 1144-5 (P)1984/1978/1979 NIPPON COLUMBIA (国内盤)
ドイツ・シャルプラッテンとの共同製作
タワーレコード企画盤「DENON原盤」ORTマスタリングSACDシリーズ第6回
好録音度:★★★★☆
参考:
タワーレコード企画盤。1978, 79年にDENONとドイツ・シャルプラッテンとで共同制作された最初期のデジタル録音で,ORTマスタリングによりSACD化されたということです。なおCD層もこのマスタリングに基づくということで,いつもの通りCD層で聴いています。
録音は,残響が多めというか,響きのためにやや分厚く濃い音響になっていますが,個々の楽器の音が比較的くっきりと分離良く明瞭に聴こえてくるので良いと思います。特に弦楽器の捉え方,質感が良いです。低域の量感もありますが響きが締まっているので悪くありません。ただサウンドが少し分厚すぎてやや重く暑苦しい印象は残ります。そして少しざらつきがあり,サウンド全体が1960年代のような古さを感じさせます。
音楽を楽しむ点では問題なく好録音と言えると思うのですが,初期デジタル録音とはいえ,1970年代後半の録音としてはちょっと音作りが古めだと思います。アナログ時代の雰囲気を残しているとも言えるかもしれませんが。
演奏はストイックで質実剛健です。ここぞというところではオーケストラから堂々としたスケール感のあるサウンドを引き出していて聴き応えがあります。


2022/10/24

リムスキー=コルサコフ:「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲
ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団
2019年11月3, 28日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO Live LSO0858 (P)(C)2022 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
チャイコフスキーの交響曲第4番の録音が良かったのでこの第5番の録音にも期待していました。結論から申し上げると,残念ながら第4番ほど良くはなかったです。残響が控えめでタイトに締まっているところや,生録的な質感があるのは良かったのですが,音色に精彩がなく曇っています。またサウンドにメリハリがなく平板な感じがします。楽器の分離感もあまりなく見通しも良くありません。
とまあ不満をいろいろと述べさせていただきました。そんなに悪くはないかもしれませんが,録音としては第4番のような魅力が感じられませんでした。第6番の収録ももう終わっているかもしれませんが,第4番のような録音であることを期待します。
[Note]
Nicholas Parker producer & editor * Classic Sound Ltd recording, editing and mastering facilities
Neil Hutchinson for Classic Sound Ltd balance engineer, editing & mixing
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd recording engineer, editing, mixing & mastering
タグ: [交響曲]
2022/10/01

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団
2017年10月29日&11月1日, 2018年6月3日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO Live LSO0810 (P)(C)2018 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
LSO Liveは残響が少なくドライな録音が多いので比較的好きかなと思うのですが,中には音が硬すぎたりドライ過ぎてカサカサしていたり,音に伸びがなかったり,ステージ感が希薄だったり...ちょっと違うなぁと思うものも多いです。そんな中でこの録音は少しその傾向はあるものの,かなり良い方かなと思いました。楽器音が締まっており,フォルテになっても弦楽器がかき消されるようなこともなく,また,ステージ感,分離感も適度にあります。エネルギーに満ちた迫力のあるサウンドがなかなか良いと思いました。
ノセダ指揮ロンドン交響楽団のチャイコフスキーはもうすぐ交響曲第5番が発売になるのでこれも楽しみです。
[Note]
Nicholas Parker producer & audio editor
Classic Sound Ltd recording, editing and mastering facilities
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd balance engineer, audio editor & mixing (Symphony No 4)
Neil Hutchinson for Classic Sound Ltd balance engineer, audio editor & mixing (Pictures at an Exhibition)
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd mastering
2022/07/10

ドミトリー・キタエンコ指揮/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
2009-2013年
OC 027 (P)2009-2013 (C)2015 OehmsClassics Musikproduktion (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考:
HMV Online
マンフレッド交響曲ロ短調作品58 (2009年3月29-31日)(*)
交響曲第1番ト短調作品「冬の日の幻想」(2009年11月8-10日)(*)
交響曲第2番ハ短調作品17「小ロシア」(2009年8月)(**)
交響曲第3番ニ長調作品29「ポーランド」 (2010年11月)(**)
交響曲第4番ヘ短調作品36 (2010年11月)(**)
交響曲第5番ホ短調作品64 (2011年3月20-22日)(*)
交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」 (2010年1月)(***)
交響曲第7番変ホ長調(ボガティレフによる補筆完成版)(2012年4月)(*)
劇付随音楽「雪娘」作品12より 序奏/メロドラマ/スコモロフたちの踊り (2011年12月)(**)
ロココの主題による変奏曲イ長調作品33 (2012年3月)(**)
弦楽四重奏曲第1番ニ長調より「アンダンテ・カンタービレ」弦楽合奏版 (2012年3月)(**)
組曲「眠りの森の美女」作品66aより序奏とリラの精/パ・ダクシオン/パノラマ/ワルツ (2011年12月)(**)
イタリア奇想曲 Op.45 (2011年12月)(**)
歌劇「スペードの女王」作品68より序曲 (2011年3月)(**)
ピアノ協奏曲第3番変ホ長調作品75 (2013年5月)(*)
(*)ケルン,フィルハーモニー
(**)ケルン,WDRストルベルガー通りスタジオ
(***)ケルン,ビューネン,プローベンザール
演奏は落ち着いたというか地に足の付いた堅実なもので,少し遅めのテンポでじっくりと丁寧に演奏されているように思いました。鳴らすところはしっかりと堂々と迫力のある音で鳴らしていますが,荒げるような表現ではありません。最初は少し物足りないようにも感じましたが,実は,これこそが正統派の演奏ではないだろうかと思いました。良かったです。
録音ですが,少し残響は多めですが,弦楽器の質感もきちんと感じられ,中低域も豊かでありながら締まっています。演出感も少なめで素朴な感じのする録音でありこの点も好感を持ちました。録音会場がいくつかに分かれておりケルン,フィルハーモニーで録音された第5番やマンフレッド交響曲などが,この中では比較的良かったと思いました。
2021/09/05

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
2019年11月, 2021年1月 チューリッヒ、トーンハレ・マーグ
ALPHA782 (P)2021 Alpha Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
2021年10月7日発売
パーヴォ・ヤルヴィのトーンハレ管弦楽団音楽監督就任記念のチャイコフスキー・ツィクルスの録音で,新型コロナウィルスの影響で1年遅れの完成とのことです。全集が発売されると同時に第6番は分売でも発売があり,Apple Musicではすでに公開されていましたので,先行して聴いてみました。なお第2番,第4番,第5番は既出,第1番,第3番は全集のみのリリースとのことです。
第5番は以前取り上げていましたが落ち着いたテンポで抑制気味に丁寧に表現されていたという印象でしたが,この第6番は丁寧に緻密に演奏しつつも全体に少し速めのテンポで攻めた表現をされているように思いました。チャイコフスキーはこういう感じが好きですね。良かったです。
録音は第5番と同じでした。高域のヌケ感がいまいちですっきりしないのと,音像というかステージ感というかこぢんまりと詰まりすぎていて開放感・スケール感に乏しいという感じです。音のキレがあるのは良かったのですが,やっぱりもどかしい感じがあります。惜しいです。
全集が発売されたら入手するかどうか,ちょっと迷っています。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
2019年10-11月, 2020年1月, 2021年1月 チューリッヒ、トーンハレ・マーグ
ALPHA778 (P)2021 Alpha Classics (輸入盤)
参考:
2021年10月7日発売
2021/05/01

イーゴル・マルケヴィチ指揮/ロンドン交響楽団,他
録音 1962-1967年
PROC-1172/6 *Tower Records Vintage Collection - Igor Markevitch 100th anniversary
好録音度:★★★★☆
参考:
タワーレコード企画盤。イーゴル・マルケヴィチ生誕100年記念盤(2012年発売)とのこと。交響曲の他に,フランチェスカ・ダ・リミニ,ハムレットが収録されています(ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)。
演奏は切れ味鋭く攻めていると思いますが,オーケストラが粗くなることなく指揮者の要求に余裕で応え鳴らしきるダイナミックレンジの広さはさすがに巧いなと思いました。
で,このディスクで特筆したいのはやっぱり録音です。1960年代前半の録音なので,クオリティ面では時代なりのところはあるものの,鑑賞には全く問題ないレベルであり,何よりも個々の楽器の音が分離良くクリアーに聴こえてくるところが良いと思います。昨今の録音からするとやや誇張があり多少の不自然さはあるかもしれませんが,音楽として大変気持ち良く聴くことができるという良さをこの時期の録音は持っていると思いますね。現代の録音が見習って欲しい点です。
2021/03/28

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」 (**)
ジークフリート・クルツ指揮(*)/クルト・ザンデルリング指揮(**)
シュターツカペレ・ドレスデン
1978/1/25-26, 28-29(*), 1960/12/12-15(**), Lukaskirche Dresden
0301779BC (P)(C)2021 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
タワーレコード企画盤。クルツのチャイコフスキーは以前10年以上前に取り上げていました(→こちら)。演奏は良く好きだったのですが,録音はそのときの印象はあまり良くありませんでした。
今回の復刻では,ETERNAオリジナル・アナログテープからのピュア・アナログ・リマスタリングということで,SA-CD層はアナログ・マスターテープから,アナログのままマスタリングし,ダイレクトにDSD化,CD層は同じようにアナログのままマスタリングし,96kHz/24bitでデジタル化したあと44.1kHz/16bitにコンバートしたとのことです。
ということで以前発売されていたものと聴き比べてみました(CD層です)。基本的な音作りはもちろん変わっていませんが,今回のリマスタリングで音が滑らかに緻密になっていると思いました。そのためか聴いた印象が少し地味になりました。レベルがほんのわずかに低いことも影響しているかもしれません。リマスタリングの効果は確かにありましたが,この差をどう捉えるかは人それぞれかなという程度と思いました。
前回は録音の印象がそれほど良くなく三つ星半評価でしたが,今回聴き直してみて前回感じた中域の癖はそれほど感じなかったのですが,高域の伸びとヌケがいまいちというのは変わらず,悪くはないと思うものの好録音と言うには物足りないため四つ星評価としました。
演奏の印象は前回と同じです。引き締まった推進力のある演奏ですが,ややストイックで淡泊というか感情を表に出していないところが特徴で,他の多くの演奏と一線を画すところかと思います。一点だけ蛇足ですが...第4楽章の3:15あたりからの緊張感のないオーボエ...着ぐるみを着たゆるキャラが出てきて演奏している姿が頭に浮かんできて脱力してしまいました笑。
タグ: [交響曲]
2021/01/31

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」~だったん人の踊り
外山雄三指揮/大阪交響楽団
2018年11月2日,7月7日 ザ・シンフォニー・ホール
KKC 2702 (P)2020 Osaka Symphony Orchestra (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考:
大阪交響楽団の創立40周年記念の第一弾,チャイコフスキー後期交響曲集の1枚。拍手の入るライヴ録音。同じく創立40周年記念のベートーヴェンの交響曲全集を聴いて興味が湧きましたので,チャイコフスキーの1枚を聴いてみることにしました。
これもベートーヴェンと同じく外山節全開という感じで,遅いテンポで堂々とした演奏が展開されています。第4楽章はところどころギアチェンジするところがありますが,そのたびに一瞬曲を見失ってしまうというか,落ち着かない気分になります。またこれもベートーヴェンと同じですが,あまりに遅いテンポに楽団員の戸惑いというか合わせづらいよーという心の声が実際に音になっているような気がして実に興味深い演奏でした。
録音の方ですが,基本的にベートーヴェンと同じなのですが,チャイコフスキーでは特に管楽器に対して弦楽器が明らかに負けていて,フォルテになると弦楽器が何やってるんだかわからなくなるところも多くありました。こういうところは録音でもう少し配慮があっても良いかと思います。弦楽器が好きな私としては欲求不満になる録音です。
ということで,これもベートーヴェンと同じくファン向けのアイテムですかね。
タグ: [交響曲]
2021/01/24

パーヴォ・ヤルヴィ指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
2019年10月, 2020年1月 チューリッヒ,マーク・ハレ
ALPHA 659 (P)(C)2020 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
チャイコフスキーの交響曲というとムラヴィンスキー/レニングラード・フィルのDG盤が頭に焼き付いているので,どうしてもあの演奏をリファレンスに比べてしまいます。
この演奏は終始落ち着いたテンポで推進力はありませんが,丹念に緻密に表現されていると思いました。ムラヴィンスキーの演奏とはだいぶ方向性が異なるので最初に聴いたときは「ん?」と思いましたが,これはこれでありなのかもしれません。第4楽章のラストだけは推進力・躍動感が素晴らしく熱くなりました。
録音ですが,高域のヌケ感がいまいちですっきりしないのと,音像というかステージ感というかこぢんまりと詰まりすぎていて開放感・スケール感に乏しく聴いていてすごくもどかしくなります。生々しさもあまりなく楽器の質感も感じ取りにくく,音色に魅力がありません。そんなに悪くはないとおもいつつも,いまいち冴えず,私としてはあまり好きな録音ではありませんでした。ちょっと残念です。
タグ: [交響曲]
2020/10/18

ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1961-1979年 アムステルダム,コンセルトヘボウ
PROC-1278/84 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
タワーレコード企画盤。収録曲は下記の通りです。
交響曲第1番~第6番(1974-1979年)
マンフレッド交響曲(1979年)
交響曲第4番(1969年) ※初CD化
交響曲第6番(1970年) ※初CD化
スラヴ行進曲 作品31(1972年)
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32(1972年)
イタリア奇想曲 作品45(1961年)
大序曲「1812年」作品49(1972年)
序曲「嵐」作品76(1977年)
幻想序曲「ロメオとジュリエット」(1964年)
今回は録音のみコメントします。アナログ期のフィリップス録音といえば,1970年代からのアナログ末期に至る年代のもので録音の良いものが比較的多いという印象を持っています。この録音はその一つに挙げても良いかなと思いました。
残響はやや多めですが,密度感があり,情報量の多さが特徴かと思います。私としてはもっとスッキリとした録音が好きなのですが,特に弦楽器の質感が上手く捉えられているので,これが全体の印象を良くしていると思います。
録音が多年にわたっているので音質のばらつきは結構ありますが,傾向的には似ています。年代があとになるほど良くなっているかというとそうでもありません。また,なぜか全体的に交響曲よりも管弦楽曲の方がわずかに明瞭感が高く印象が良かったです。
2019/12/08

ウラディーミル・ユロフスキ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 2004~2016年
LPO-0101 (P)2017 London Philharmonic Orchestra
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考:
ユロフスキ/ロンドン・フィルのチャイコフスキーは,第1番,第6番,第4番,第5番,マンフレッド交響曲を今まで取り上げてきています。第2番,第3番は新録音,フランチェスカ・ダ・リミニ,弦楽セレナーデは単独リリースがないとのことで,ほぼ弦楽セレナーデ聴きたさで入手したようなものです(^^;。
それでその弦楽セレナーデなのですが,大オーケストラの豊潤で厚みのある響きを活かしたスケールの大きな演奏で,しかも速めのテンポで自由自在にドライブする指揮にキッチリと反応し,音がぼやけることのない引き締まったオーケストラの演奏がなかなか聴き応えがありました。期待通りです。他の曲も聴き直してみましたが,推進力のある独特のテンポ感に引き込まれるものばかりで,やっぱりこの演奏は良いなぁと改めて思った次第です。
録音ですが,弦楽セレナーデは若干残響の取り入れが多めですが許容範囲かなと思います。録音年や場所もバラバラなので,善し悪しに多少のばらつきはあるものの,残響を控えめにして見通しよく,各楽器が分離して克明に聴き取ることができ,概ね良好という印象は変わりません。第4番が最も良くちょっとオマケですが五つ星,マンフレッド交響曲は前回聴いたとき少し劣る印象だったのですが,聴き直してみて,そこまで悪くはないな,という印象です。
ということで,演奏も録音も良い全集として愛聴盤となりそうです。
2019/09/08

セミョン・ビシュコフ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音 2015-2019年 プラハ
483 4942 (P)(C)2019 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
Apple Musicでの試聴です。輸入元情報によると,ビシュコフは2017年よりチェコ・フィルの首席指揮者とのことですが,2013年から「チャイコフスキー・プロジェクト」を開始し,その成果がこの7枚組のディスクに収められているとのことです。
収録曲は以下の通りです。
交響曲第1番~第6番
マンフレッド交響曲
交響的幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
弦楽セレナーデ
ピアノ協奏曲第1番~第3番(キリル・ゲルシュタイン Piano)
今回は,交響曲第5番,第6番,幻想序曲「ロメオとジュリエット」,弦楽セレナーデを聴きました。いずれの曲にも共通していたのは,丁寧で,フォルテでも声を荒げることなく,美しく表現しようとしているところです。チャイコフスキーらしくないのかもしれません。物足りなく思われる方もおられるかもしれません。好みは分かれそうです。まあこういうのもアリなのではないでしょうか。私は良いと思いました。
録音ですが,少し残響が多めで演出臭いところはありますが,音色への影響は限定的でギリギリ許容範囲です。私の好みとは少し外れますが,オーケストラ録音としては平均的で欠点が少なく,まずまずではないでしょうか。もちろん,私としてはもう少し残響を抑えてスッキリと質感強めに録って欲しかったところですが。悪くはありませんし,優秀録音の部類に入るかもしれませんが,好録音と言うには少し物足りなかったので四つ星とします。
2019/06/09

フィリップ・ジョルダン指揮/パリ・オペラ座管弦楽団
2017年10月12日 パリ,バスティーユ歌劇場,2018年3月27日,2018年5月15日 フィルハーモニー・ド・パリ
109379 (C)2018 Arthaus Musik (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Blu-ray Disc 3枚組の映像作品。同顔合わせによるベートーヴェンの交響曲全集のBlu-ray Discを以前取り上げていました。これが良かったので,ちょっと(だいぶ!)高価でしたが,このチャイコフスキーも聴いてみることにしました(私としては第5番と第6番が聴ければ良かったのですが...)。
演奏は力強く推進力に満ちていながら,品格を失わず泥臭くなることもなく端正に仕上げられていて,チャイコフスキーの演奏としてはかなり綺麗にまとめられているように思いました。とにかくカッコいいのです。これがオーケストラのカラーなのかもしれませんが。
録音ですが,少し残響が多めに取り入れられているものの,音色への影響は比較的少なく,明瞭感もそこそこ確保されているのでまずまず良好でした。もう少し細部が分離良くくっきりと見通しよく録って欲しいところですが,まあ許容できます。少しオマケですが四つ星半です。
カメラワークも違和感が少なく映像作品としても良いと思いました。
ベートーヴェンの交響曲全集のパッケージはバカでかくて閉口しましたが,これは通常のBlu-rayのパッケージ3つをまとめた大きさなので何とか許容範囲。個人的にはもっと小さくして欲しいと思いますが。
2019/05/26

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(リムスキー・コルサコフ編)
小澤征爾指揮/シカゴ交響楽団
1968年7月8日,8月9日 シカゴ・オーケストラホール
SICC 2010 (P)(C)1968 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ほぼ50年前の録音で若い小澤征爾氏の躍動感ある演奏が聴けるのがうれしいです。シカゴ交響楽団というと金管の鳴りっぷりがすごいという先入観があるのですが,その期待を裏切りません。良かったです。
録音ですが,1960年代の録音なのでさすがに音質も音作りも古臭い感じが残るのは否めませんが,個々の楽器音を分離良くボディ感をもって捉えられているのでほとんどストレスなく音楽に没頭できました。弦楽器の質感も良いです。もう少し高域側の帯域感,ヌケの良さがあると良かったのですが,古い録音なので仕方ありません。それでも好録音と言って良いと思います。
2019/05/26

キリル・ペトレンコ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2017年3月22,23日 ベルリン,フィルハーモニー
KKC6029 (P)2019 King International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
2019年8月にベルリン・フィルの首席指揮者に就任するキリル・ペトレンコの最初の録音とのこと。私はBerliner Philharmoniker Recordingsからダウンロード音源で入手しました。購入すると192kHz/24bit, 96kHz/24bitのWAVやFLAC,STEREOとマルチチャネルのファイル一式がダウンロード可能です。
演奏はもう少し聴き込みたいとは思いますが,まだこの指揮者のカラーがよくわかりませんでした。これからベルリン・フィルをどう乗りこなしていくのか,楽しみにしたいと思います。
録音ですが,傾向としては以前取り上げた内田光子さんのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集と同じで,悪くはないのですが,なんだかフェルト越しに聴いているようなキレのないモワッとした音がもどかしいです。もっとすっきりと透明感と伸びのある音で録って欲しいものです。もうだいぶ前からこの音作りで固まっているようなので今後の良化はもう期待できそうにないとちょっと諦めていますが...
タグ: [交響曲]
2019/05/06

リッカルド・シャイー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年12月 ウィーン,ゾフィエンザール
UCCD-9897(410 2322) (P)1981 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
久しぶりに愛聴曲であるチャイコフスキーの交響曲第5番を聴いてみたくなって見つけました。シャイーが27歳の時,初めてウィーン・フィルと録音したものだそうです。
演奏はオーソドックスで,丁寧に謙虚にウィーン・フィルの美質を引き出していると思います。特徴のある演奏ではないかもしれませんが,こういう品のあるチャイコフスキーも良いと思いました。
録音ですが,デッカのオーケストラ録音としては標準的な印象です。残響が多いわけではありませんが,マイク位置が若干遠めなのか,楽器の質感が少し弱めで(特に弦楽器),音もややシャキッとしていないと思います。悪くないとは思いますし,多く方には問題ないかもしれませんが,私としては好録音というには少しもの足らないと思いました。惜しいです。
タグ: [交響曲]
2018/09/29

ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団
録音 1981年 Masonic Hall, Cleveland
好録音度:★★★★☆
※ジャケット写真は解説書に掲載されているもの

ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団
録音 1981年 Masonic Hall, Cleveland
好録音度:★★★★☆
※ジャケット写真は解説書に掲載されているもの

ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団
録音 不明(記載なし)
好録音度:★★★★☆
※ジャケット写真は解説書に掲載されているもの
これはちょっと意外なチャイコフスキーでした。クールというか冷静というか(意地悪な見方をすれば幾分冷めている),上品にまとめているというか。ダイナミックで締まりのある演奏ではありますが,勢いに任せずコントロールを行き届かせながら細部にこだわってキッチリと描き出しています。あぁ,こんなアプローチもあるんだと目から鱗が落ちるような思いです。これはこれで面白いと思いました。
録音は先に取り上げた英雄の生涯とほぼ同じで,マルチマイク的に各楽器を分離良く質感高く捉えていますし,弦楽器中心のサウンド構成も好印象です。好録音です。

録音 1977~1999年
88697932382 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment (輸入盤)
参考:
少しずつ聴き進めています。なかなか一気に聴けないので,一言ずつにはなりますが,聴いたものからコメントを残していきたいと思います。(記2018/09/24)
レビュー済みディスク
[CD 7] ベルリオーズ:幻想交響曲(クリーヴランド管弦楽団)
[CD 10] ホルスト:組曲「惑星」,ラヴェル:ボレロ(フランス国立管弦楽団)
[CD 11] マーラー:交響曲第1番「巨人」(フランス国立管弦楽団)
[CD 19] R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40(クリーヴランド管弦楽団)
[CD 26-28] チャイコフスキー:後期交響曲集(クリーヴランド管弦楽団)
[CD 20-23] R. シュトラウス:管弦楽曲集(バイエルン放送交響楽団)
[CD 29-30] ワーグナー:管弦楽曲集(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
過去のレビュー記事
ベートーヴェン:交響曲全集(クリーヴランド管弦楽団)
シベリウス:交響曲全集(ピッツバーグ交響楽団)
(※今改めて聴くとだいぶ違うコメントになるような気がします...)
2018/09/01

ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
18-19. I. 1960. Musikvereinssaal, Vienna
WPCS-28008 (P)(C)1961 Parlophone Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:

ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
21-24. I. 1960. Musikvereinssaal, Vienna
WPCS-28009 (P)(C)1962 Parlophone Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:

ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
24-25 & 27-28. I. 1960. Musikvereinssaal, Vienna
WPCS-28010 (P)(C)1961 Parlophone Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
クーベリックが1961年にバイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任する直前にウィーン・フィルと録音したもの。ストイックに楽曲に向き合い推進力のある硬派な演奏を展開しています。オーケストラが若干暴れ気味だったり縦の線が乱れる場面はあるものの,聴き応えのあるなかなか良い演奏に思いました。
一方録音なのですが,この少し前に録音されたブラームスの交響曲全集が私の好みの録音だったので期待したのですが,少し期待とは異なりました。音の捉え方は基本的には悪くないのですが,まとまりはある一方で生々しい質感は少し薄まっていることと,中域から高域にかけて少し癖のある刺激的なやかましい音作りになっています。これは惜しいと思いました。2017年の最新リマスターとのことなのですが...やっぱりEMI(?)だから?(ブラームスはDeccaだった)
タグ: [交響曲]
2017/12/29

ヴァレリー・ポリャンスキー指揮
ロシア国立交響楽団(シンフォニック・カペレ)
2015年7月18日 東京芸術劇場コンサートホール
NF28801/2 (P)(C)2017 N&F Co. Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考:
注文していたこのディスクが届いたときに一目見て「しまった!」と思ったけと後の祭り... fine NFの録音はたいてい私に合わないので購入時に気が付いていれば買わなかったのに。とはいえ買ってしまったものは楽しまなければ,と思い,聴いてみましたが...

このディスク,「高音質CD」だそうです。帯,パッケージの裏面,ディスクのレーベル面,至る所にこのロゴが付けられています。あぁ,これが「高音質」なんだ,と思うとなんだか虚しくなってきました。「高音質」って一体何なんだろう...
タグ: [交響曲]
2017/11/11

テオドール・クルレンツィス指揮/ムジカエテルナ
88985404352 (P)(C)2017 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
話題の盤なので私も聴いてみました。すでに多くの方がコメントされており,私も同じような印象を持ちました。この聴き古された超有名曲をドラマティックで壮大な音絵巻として再現する演出力と,この怒濤ごとく押し寄せるサウンドを余すところなく捉えきった録音,これらが高度にかみ合うことでこの音楽作品を成功に導いていると思います。キワモノ路線ではなく真っ向勝負でこれを達成しているのが凄いところです。
あくまでも無数にある表現の一つに過ぎないのですが,ここまで極めたものが出ると,生半可な演奏では生ぬるいと見なされかねない,演奏においても録音においても標準的という基準のハードルを一段あげるのではないかと思うくらい画期的な演奏・録音ではないかと思います。
まあ幾分大げさに言ってはいますが,それくらいのインパクトは確かにありました。一聴の価値ありです。
このディスクは輸入盤で購入していたのですが,購入したショップから冒頭でノイズが発生するディスクなので交換するとの連絡がありました。交換を請け負う業者に送付していたところ,昨日交換品のディスクが送られてきました。ノイズの発生する該当部分を確認したところ,ノイズが解消されていました。これでまあ安心して聴くことが出来ます。
国内盤で発売されたものは最初からこの問題はないとのことです。
(追記2017/12/24)
2016/11/26

チャイコフスキー:バレエ組曲「白鳥の湖」より
クリスティアン・リンドベルイ指揮
アークティック・フィルハーモニー管弦楽団
2012年1, 2月,2013年2月 ノルウェー,ハルスタド文化会館
BIS-2018 SACD (P)(C)2013 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
指揮者のリンドベルイはトロンボーン奏者でもあるとのことです。交響曲の第1楽章はかなり速いテンポで颯爽と音楽が流れていくのは良いのですが,あっさりと薄味です。こういう演奏は好きな方なのですが,もうすこしコクがあっても良いかなと思います。第2楽章は冒頭の弦の響きがゾクゾクするほど素晴らしいです。第2楽章が一番出来が良いかもしれません。そして終楽章ですが...なんでこんなどっしりと落ち着いてるんだ?第1楽章の勢いはどこへ?という感じで私としてはちょっと納得いきません(^^;。オーケストラの力量はあるんですけどね。わたしにはちょっと合わない演奏でした。
そして録音なのですが,残響感はあまりなく締まりのあるサウンドなのですが,中域にやや癖のある付帯音が被っていて明瞭感を落とし,冴えない音色にしてしまっています。音場感もあまりなくこぢんまりとしていてスケール感がありません。そんなに大きな欠点はないにせよ,これは少々残念な録音です。
リンドベルイのチャイコフスキー後期交響曲集がこの12月に発売されるようです(→
タグ: [交響曲]
2016/11/08

ワシリー・ペトレンコ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ONYX 4150 (P)(C)2016 Royal Liverpool Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
速めのテンポでぐいぐいと押しまくる推進力のある演奏。硬派というか男性的というか,力強く甘さのない決然とした表現が良いと思います。
録音ですが,残響は控え目で,各々の楽器をしっかりと分離良く質感良く捉えているのが好印象です。ただ,演奏に比べて録音はややこぢんまりとしていてもう少しスケール感が欲しいですし,音色が硬く高域の伸び感が少し足りず,音色自体の魅力がやや欠けている感はあるのですが,タイトに引き締まったサウンドはなかなか聴き応えがあります。少々オマケですが,四つ星半評価です。
この12月に第3番,第4番,第6番のリリースが予定されていて,全集が完結するようです(→
2016/09/17

フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン放送交響楽団
1959年9月 ベルリン
UCCG-51028 (P)1996 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
これもドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiumからの1枚です。
この悲愴はランキング上位の常連盤なので興味を持っていたのですが,1950年代の録音ということもあって何となく今まで避けてきました。これもSHM-CDでHRカッティングな(^^;ディスクということで,この機会に聴いてみようと入手しました。
演奏時間が51分と結構遅めの演奏ですが,遅いという感じはありません。静かに込められた思いの強さが迫ってくる,ある意味凄まじい演奏ではないかと。良いと思うのですが少々しんどいですね。まあ曲自体がそうなので仕方ありませんが。
そして録音なのですが,1959年という古い録音なのでさすがに少々歪みっぽくクオリティ面で厳しいのは仕方ないところですが,曇りがなく意外にクリアですし,低域は薄いものの高域の伸びは不足なく,音色のバランスが崩れてわずかに癖があるもののそんなに気になりません。何より,残響を抑えて個々の楽器の音色をストレートに質感よく捉えているのが良いと思います。こういう録音は好きですね。好録音です。
プロフィール
Author: 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227)
主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
【関連サイト】
掲載ディスク一覧: 取り上げたCD一覧(休止中)
CD試聴記: バッハ無伴奏Vn/Vc聴き比べ
ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果
T.S. @tsy227: ツィッターアカウント
TS note: 音楽・オーディオ以外の記事
メールはこちらまで
最新記事
- バーンスタイン/ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲全集(タワレコ盤)に収録されているプロメテウスの創造物序曲の最後の音の抜けについて (12/09)
- シューマン:交響曲第1番「春」,第3番「ライン」(フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団) (11/25)
- ハイドン:後期交響曲集Vol.2 第96番「奇跡」,第97番,第98番(アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団) (11/25)
- ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」(アントネッロ・マナコルダ指揮/カンマーアカデミー・ポツダム) (11/24)
- ブルックナー:交響曲第5番(1878年 ノヴァーク版)(マルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団) (11/24)
最新コメント
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):ベートーヴェン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団) ※3種類の音質比較 (12/09)
- b.c.:ベートーヴェン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団) ※3種類の音質比較 (12/09)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴィキングル・オラフソン) (11/12)
- haydn2:バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴィキングル・オラフソン) (11/05)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲(戸田弥生) (09/24)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):ショパン:練習曲集 作品10 第4番 嬰ハ短調 快速ランキング! (09/24)
- Vasilevich:イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲(戸田弥生) (09/22)
カテゴリ
月別アーカイブ
- 2023/12 (1)
- 2023/11 (8)
- 2023/10 (4)
- 2023/09 (23)
- 2023/08 (7)
- 2023/07 (13)
- 2023/06 (16)
- 2023/05 (20)
- 2023/04 (7)
- 2023/03 (20)
- 2023/02 (36)
- 2023/01 (10)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (15)
- 2022/10 (18)
- 2022/09 (24)
- 2022/08 (11)
- 2022/07 (5)
- 2022/06 (17)
- 2022/05 (12)
- 2022/04 (11)
- 2022/03 (16)
- 2022/02 (15)
- 2022/01 (19)
- 2021/12 (12)
- 2021/11 (20)
- 2021/10 (9)
- 2021/09 (18)
- 2021/08 (21)
- 2021/07 (24)
- 2021/06 (13)
- 2021/05 (14)
- 2021/04 (7)
- 2021/03 (9)
- 2021/02 (11)
- 2021/01 (12)
- 2020/12 (14)
- 2020/11 (10)
- 2020/10 (8)
- 2020/09 (25)
- 2020/08 (8)
- 2020/07 (4)
- 2020/06 (8)
- 2020/05 (13)
- 2020/04 (7)
- 2020/03 (12)
- 2020/02 (13)
- 2020/01 (7)
- 2019/12 (9)
- 2019/11 (18)
- 2019/10 (18)
- 2019/09 (29)
- 2019/08 (12)
- 2019/07 (17)
- 2019/06 (12)
- 2019/05 (12)
- 2019/04 (11)
- 2019/03 (18)
- 2019/02 (11)
- 2019/01 (5)
- 2018/12 (9)
- 2018/11 (9)
- 2018/10 (19)
- 2018/09 (31)
- 2018/08 (14)
- 2018/07 (11)
- 2018/06 (6)
- 2018/05 (16)
- 2018/04 (18)
- 2018/03 (11)
- 2018/02 (12)
- 2018/01 (15)
- 2017/12 (11)
- 2017/11 (18)
- 2017/10 (22)
- 2017/09 (10)
- 2017/08 (9)
- 2017/07 (16)
- 2017/06 (6)
- 2017/05 (21)
- 2017/04 (11)
- 2017/03 (16)
- 2017/02 (13)
- 2017/01 (18)
- 2016/12 (10)
- 2016/11 (26)
- 2016/10 (16)
- 2016/09 (15)
- 2016/08 (19)
- 2016/07 (15)
- 2016/06 (20)
- 2016/05 (17)
- 2016/04 (12)
- 2016/03 (17)
- 2016/02 (34)
- 2016/01 (7)
- 2015/12 (17)
- 2015/11 (9)
- 2015/10 (20)
- 2015/09 (14)
- 2015/08 (17)
- 2015/07 (24)
- 2015/06 (22)
- 2015/05 (21)
- 2015/04 (14)
- 2015/03 (15)
- 2015/02 (8)
- 2015/01 (13)
- 2014/12 (10)
- 2014/11 (15)
- 2014/10 (12)
- 2014/09 (8)
- 2014/08 (12)
- 2014/07 (13)
- 2014/06 (17)
- 2014/05 (13)
- 2014/04 (14)
- 2014/03 (13)
- 2014/02 (8)
- 2014/01 (13)
- 2013/12 (15)
- 2013/11 (9)
- 2013/10 (5)
- 2013/09 (8)
- 2013/08 (4)
- 2013/07 (13)
- 2013/06 (17)
- 2013/05 (11)
- 2013/04 (4)
- 2013/03 (19)
- 2013/02 (11)
- 2013/01 (14)
- 2012/12 (15)
- 2012/11 (8)
- 2012/10 (13)
- 2012/09 (26)
- 2012/08 (14)
- 2012/07 (12)
- 2012/06 (14)
- 2012/05 (10)
- 2012/04 (15)
- 2012/03 (19)
- 2012/02 (21)
- 2012/01 (24)
- 2011/12 (11)
- 2011/11 (15)
- 2011/10 (21)
- 2011/09 (8)
- 2011/08 (6)
- 2011/07 (10)
- 2011/06 (8)
- 2011/05 (13)
- 2011/04 (5)
- 2011/03 (5)
- 2011/02 (13)
- 2011/01 (9)
- 2010/12 (14)
- 2010/11 (9)
- 2010/10 (18)
- 2010/09 (14)
- 2010/08 (18)
- 2010/07 (20)
- 2010/06 (14)
- 2010/05 (15)
- 2010/04 (18)
- 2010/03 (26)
- 2010/02 (18)
- 2010/01 (22)
- 2009/12 (26)
- 2009/11 (35)
- 2009/10 (28)
- 2009/09 (24)
- 2009/08 (14)
- 2009/07 (11)
タグ一覧
※各エントリに設定中です(未完)