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シューマン:交響曲第4番,ブラームス:交響曲第4番,他(アレクサンダー・シェリー指揮/カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団)

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シューマン:交響曲第4番ニ短調作品120
ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98,他
アレクサンダー・シェリー指揮
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団
2019-2023年
AN28884-5 (P)2023 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

シューマンとブラームスの交響曲を第1番から順に1曲ずつとクララ・シューマンの作品を収録する企画の第4弾。第1弾,第2弾第3弾は以前取り上げていました。今回で完結ということです。

交響曲以外は下記の作品が収録されています。

クララ・シューマン:3つのロマンス ~ ヴァイオリンとピアノのための 作品22(*)
クララ・シューマン:3つのロマンス ~ ピアノのための 作品11(**)
クララ・シューマン:ロマンス ロ短調(**)
クララ・シューマン:J.S.バッハの主題による3つのフーガ(**)
クララ・シューマン:前奏曲とフーガ 嬰へ短調(**)
クララ・シューマン:3つの前奏曲とフーガ 作品16(**)
スチュワート・グッドイヤー:クララ・シューマンの主題による即興(**)

(*)川崎洋介(Violin)/アンジェラ・ヒューイット(Piano)
(**)スチュワート・グッドイヤー(Piano)

今回も交響曲のみのコメントです。演奏はシリーズとして統一感があり,速めのテンポでスッキリと締まっており整った今どきのスマートな演奏です。どちらというとオーソドックスで強い主張のない癖のない演奏なので印象に残りにくいですが,私にとってはすんなりと受け入れられる好演奏というのも同じです。

録音についてもシリーズでほぼ統一感があります。残響感はありますが,楽器音への被りは少なめで,音色の癖も曇りも少ないので悪くありません。楽器の分離感,音のキレもそこそこあります。ステージ感,左右の広がり感はシューマンの第4番が少しだけ良くなったかなという印象です。オーケストラ録音として欠点が少ない好録音だと思います。

ブラームス:交響曲全集(ジョルジュ・プレートル指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団/ベルリン・ドイツ交響楽団/ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ジョルジュ・プレートル指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団/ベルリン・ドイツ交響楽団/ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
録音 1997年-2011年
2506 5616 Prominent Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★ (ただしDISC 3は問題あり)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

元々単売されていたものを集めてセット化されたようです。内容は下記の通りです。DISC 1と2はWeitblickレーベル,DISC 3はTobu Recordingsです。

DISC 1
交響曲第1番ハ短調作品68
ハンガリー舞曲集 第1番, 第3番, 第4番, 第5番
シュトゥットガルト放送交響楽団

2000年12月8日, 1997年10月29-31日 シュトゥットガルト,リーダーハレ
SSS0197-2 (P)(C)2106 Weitblick, Genuin classics

DISC 2
交響曲第3番へ長調作品90
交響曲第2番ニ長調作品73
ベルリン・ドイツ交響楽団

2008年10月27日, 2011年2月6日 ベルリン,フィルハーモニー
SSS0129-2 (P)2012 Weitblick

DISC 3
ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25(シェーンベルク編曲管弦楽版)
交響曲第4番ホ短調作品98
ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団

2009年3月17日, 2010年5月31日 ローマ聖音楽堂
TBRCD0028-2 Tobu Recordings

3枚のディスクでオーケストラがそれぞれ異なりますが,いずれもオーソドックスでスケールの大きな堂々とした演奏ですね。オーケストラをたっぷりと鳴らしきる指揮っぷりはこの指揮者の特長と言えるのではないでしょうか。昔ながらのブラームス演奏で,こういうのも聴き応えがあって良いと思います。

録音ですが,WeitblickとTobu Recordingsでかなり傾向が異なります。Weitblickの方はかなりオーケストラの音を濃厚に捉えていてこれはこれで良いのですが,中域に癖があり少し暑苦しくうるさい感じがあります。一方,Tobu Recordingsの方は,スッキリとしていてその点は良いのですが,吊りマイクだけで録ったような音響でまとまりはあるもののやや楽器の質感が弱くまた音の伸び感も今一歩という感じです。

そしてDISC 3のTobu Recordingsの録音は,左右が逆位相で収録されています。スピーカーでの再生ではあまり問題ないかもしれませんが,ヘッドホンで聴くと位相がおかしく頭がねじれそうになります。WaveSpectraというフリーソフトで再生しリサジュー波形を見ても,逆位相の傾向が見られました。波形操作ができるアプリで片チャンネルの波形を反転させて再生すると普通に違和感なく聴くことが出来るので,逆位相で収録されているというのはほぼ間違いないと思います。これはマスタリング(編集)のミスによるものだと思いますが,なぜこんなことになるのか,なぜこの欠陥に気がつかないまま発売されたのか,不思議でなりません。

もしこのセットを購入される場合はDISC 3に欠陥があることにご留意いただければと思います。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(ガリー・ベルティーニ指揮/東京都交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ガリー・ベルティーニ指揮/東京都交響楽団
2003年6月22日 サントリーホール(第1番, 第3番)
2003年6月17日 東京芸術劇場(第2番, 第4番)
TBRCD0140/0141-2 Tobu Recordings (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2003年6月の拍手の入るライブ録音。やや速めのテンポの引き締まった演奏で,どちらかと言えば伝統的なブラームスの演奏というイメージです。どこか懐かしく安心して聴くことの出来る演奏でした。第1番の第1楽章のリピートは省略されているのが残念ですが,第2番と第3番はリピートが実行されていました。

録音はライブの雰囲気を自然に捉えていることと,弦楽器が比較的聴き取りやすいため印象は悪くないのですが,吊りマイクだけで録ったような音響で全体のまとまりはあるものの楽器の捉え方や細部や質感が聴き取りづらく少しもどかしい感じがします。記録用に残していた音源なのかもしれません(違ったらすみません)。悪くはないのですが...惜しいです。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(久石譲指揮/フューチャー・オーケストラ・クラシックス)

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ブラームス:交響曲全集
久石譲指揮/フューチャー・オーケストラ・クラシックス
録音 2021-2023年 本文参照
OVCL-00820 (P)(C)2023 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2020年に第1番がライブ録音され以前取り上げていました(→こちら)。その後同様にライブ録音が継続されていたようです。そして第1番がセッションで新たに録音されセットとして発売になりました。録音は下記の通りです。

第1番 2023年5月10,11日 長野市芸術館メインホール(セッション)
第2番 2021年7月8日 東京オペラシティ コンサートホール/10日 長野市芸術館メインホール(ライヴ)
第3番 2022年2月9日 東京オペラシティ コンサートホール(ライヴ)
第4番 2022年7月14日 東京オペラシティ コンサートホール/16日 長野市芸術館メインホール(ライヴ)

演奏の印象は既発売の第1番とほぼ同じですが,こういう演奏に慣れてきたせいか,ネガティブな印象はなくなってきました。速めのテンポでかなり攻めていますね。そしてオーケストラがこの攻めた指揮者の要求にキッチリ応えています。ちょっと落ち着かない演奏ですが,良いですね。好きな演奏です。速い演奏は珍しくなくなってきましたが,軽いという感じはなく,ここまでくると独自路線を極めているなぁと感じます。好き嫌いは分かれそうです。

録音ですが,ホール音響を少し多めに取り入れる録音なので残響は少し多めですが楽器音への被りは少なく比較的クリアに聴こえます。音色は少し影響を受けていますが許容範囲です。マイク距離が少し離れているのか,全体のまとまりを重視したような音作りになっていて,個々の楽器の質感は弱くまた閉空間で鳴っている感じが強くて開放感に乏しく少しもどかしいです。悪くはないのですが,好録音と言うには少し物足りない感じがします。2020年の第1番の録音に比べると低域の圧迫感は緩和され帯域バランスは良くなっていると思いました。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲第3番「ライン」,ブラームス:交響曲第3番,他(アレクサンダー・シェリー指揮/カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団)

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シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90,他
アレクサンダー・シェリー指揮
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団

2020-2022年録音
AN28882 (P)2023 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

「クララ,ロベルト,ヨハネス」と題された,クララ・シューマン,ロベルト・シューマン,ヨハネス・ブラームスの三人の個人的・音楽的なつながりを探るシリーズの3巻。全4巻が計画され,2巻までは少し前に取り上げていました。今回はシューマン交響曲第3番「ライン」とブラームス交響曲第3番,そしてクララ・シューマンの作品が取り上げられています(曲目は参考に挙げたサイトをご参照ください)。

交響曲に関しては2巻までと同様で,速めのテンポで締まっておりスッキリと整ったスマートな演奏で変わりありませんでした。強い主張のない癖のない演奏なので印象には残りづらいものの,シリーズとして筋が通っていて好感が持てます。

録音も同様で2巻までと同傾向です。少し残響感があり,演出感があって生々しさには乏しいものの,残響が楽器音に大きくは被っておらず音色の癖も曇りも少なめで許容範囲です。もう少しスッキリと透明感があって,楽器の質感ももう少し出してくれたらとは思いますが,全体に欠点が少なく音楽を楽しむのに支障はありませんでしたので四つ星半の好録音としました。

ブラームス:交響曲全集(ミヒャエル・ザンデルリング指揮/ルツェルン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ミヒャエル・ザンデルリング指揮/ルツェルン交響楽団
2021-2022年 ルツェルン,オーケストラハウス
Warner Classics 5419748237 (P)(C)2023 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

交響曲4曲とシェーンベルク編曲のピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25が収録されています。輸入元情報にも記載されている「少し前までのブラームスの演奏のように重厚なサウンドで濃厚なロマンを描く」という演奏ですね。確かにテンポは中庸で厚みのある響きが特徴の伝統的演奏に近い感じがします。とはいえ昔風かというとそんなことはなく今の時代にも即した明晰さが感じられました。昔の演奏を好まれる方だけでなく,今どきの颯爽とした演奏を好まれる方にも受け入れられるのではないでしょうか。

録音ですが,残響は少し多めです。マイク位置が少し遠いのか,全体の音の溶け合い,まとまりは良いのですが,個々の楽器の質感は控えめで分離感もそれほどありません。中低域の響きが多く重心の低いバランスになっていますが,このため音の立ち上がりやスピード感が少し失われているように思います。残響が気にならない方や重厚なサウンドが好みの方には良い録音かもしれません。私としてはもう少し中低域を引き締め中高域のヌケの良さや輝きを持たせて欲しかったかなと思います。悪くはないのですが少し物足りない感じはありました。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲第4番(マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団)

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ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98,他
マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団
2018年4月20-22日 ピッツバーグ,ハインツ・ホール
FR-744SACD (P)2021 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower recordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

このディスクは2021年11月に一度取り上げていましたので再レビューになります(→こちら)。演奏に関しては同様な感想なのですが,このオーケストラの持つ音響的な能力を限界まで引き出す指揮者の手腕はなかなかのものだと思いました。以前聴いたときより印象は良いかなと思います。

そして録音なのですが,改めて聴いてみて,これは再生装置の再生能力を試されているのかなと思ってしまいました。響きの密度が高く音の情報量が半端なく多い気がします。これが上手く再生できないとフォルテで飽和感を感じたり歪みっぽく感じたりするのかもしれません。うまく再生するのが難しい音源です。リファレンス・レコーディングの録音はこのようなものが多い気がします。

前回のレビューでは四つ星評価でしたが今回聴き直して四つ星半としました。

ブラームス:交響曲全集,他(ベルナルト・ハイティンク指揮/ロンドン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集,悲劇的序曲,セレナーデ第2番
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
ベルナルド・ハイティンク指揮/ロンドン交響楽団
ゴルダン・ニコリッチ(Violin)/ティム・ヒュー(Cello)
録音 2003年, 2004年 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0570 (P)(C)2022 LSO Live (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

ハイティンクはブラームスの交響曲全集を3回録音していたと思います。1回目はロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1970年代前半),2回目はボストン交響楽団(1990-94年),3回目はこのロンドン交響楽団(2003,04年)です。2回目は以前取り上げていました。3回目は2005年に発売されていて所有していたはずなのですがディスクが行方不明... これは2022年の最新リマスター版ということでこの機会に再度聴いてみようと思い,まずApple Musicで聴いてみました。ディスクメディアの発売は2022年12月中旬ですね。

演奏は伝統的なブラームス演奏という感じでオーソドックスで風格を感じさせる堂々としたものでした。こういう安定感,安心感はさすがだと思います。

そして録音ですが,LSO Liveは残響が少なくドライなものが多いのですが,これもその一つになると思います。そして時々音が硬かったりちょっとトゲトゲしたりというものもあるのですが,これは比較的それが少なく,音色も整っていて,良い方の部類に入ると思いました。ただ,楽器の分離感や左右のステージ感,立体感という点ではややモノラル的で少し物足りなく思うところです。

バービカン・ホールの録音は,そのドライ過ぎる音質が今ひとつ評判が良くないようにも思うのですが,私は悪くないものもあると思っています。

ブラームス:交響曲全集・管弦楽曲集(トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集,管弦楽曲集
トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
2011, 2016-2018 スウェーデン,エレブルー・コンサートホール
BIS-2556 SACD (P)2012-2020 (C)2012-2021 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

第1番~第3番は以前取り上げていました(→こちら)。その後第4番が発売されていたのですが,購入していたはずの第1番,第2番のディスクが見つからずためらっているうちに昨年全集のボックスセットが発売されたので結局これを買ってしまいました... 収録の曲目は参考に挙げたURLでご確認いただけたらと思います。

全集として聴き直してみましたが,感想は以前と同じです。快速すぎてちょっと落ち着かない面もあるものの,「ため」がなく前に前に進んでいく音楽は本当に気持ち良いです。ダウスゴー流のブラームスを楽しめる面白い全集だと思いました。

録音ですが,これも昨今のBISレーベルのダウスゴー/スウェーデン室内管の録音と同傾向で,独特の音離れの良さのある録音でこれは良いのですが,マイクが少し遠いのか,楽器そのものの生々しさがなく質感が感じ取りにくいもどかしさがあります。また少し独特の癖のある響きがあってフォルテでややうるさく感じられるのも同傾向です。良いと思う面とちょっと残念な面があるので四つ星から四つ星半の中間くらいの好録音かなと思いました。

ブラームス:交響曲全集,ドヴォルザーク:交響曲第6番~第9番(ヤクブ・フルシャ指揮/バンベルク交響楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68,ハンガリー舞曲集(8曲)
ドヴォルザーク:交響曲第6番ニ長調作品60
ヤクブ・フルシャ指揮/バンベルク交響楽団
2020年9月21-24日,10月1日, 2021年1月22-25日 バンベルク,ヨゼフ・カイルベルト・ザール
TUDOR 1741 (P)(C)2022 Tudor Recording (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調作品70
ヤクブ・フルシャ指揮/バンベルク交響楽団
2019年5月6-8日, 2020年9月28日~10月1日 バンベルク,ヨゼフ・カイルベルト・ザール
TUDOR 1742 (P)(C)2022 Tudor Recording (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88
ヤクブ・フルシャ指揮/バンベルク交響楽団
2018年5月14-16日, 2018年2月28日-3月2日 バンベルク
TUDOR 1743 (P)(C)2019 Tudor Recording (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
ヤクブ・フルシャ指揮/バンベルク交響楽団
2017年5月3-5日, 10月28-30日 バンベルク
TUDOR 1744 (P)(C)2018 Tudor Recording (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

チェコ出身,まだ40歳台になったところの若いフルシャが首席を務めるバンベルク交響楽団と収録したブラームスとドヴォルザーク。ブラームス第4番とドヴォルザーク第9番,ブラームス第3番とドヴォルザーク第8番は既発売で以前取り上げていました。今回,ブラームス第2番とドヴォルザーク第7番,ブラームス第1番とドヴォルザーク第6番が発売になり,ブラームスは全集となりました。これで完結とのことです。メディアの発売は12月に入ってからですが,Apple Musicではだいぶ前からリリースされていましたので,一足先に聴きました。

演奏は既発売のものと変わらず一貫しています。感想も変わりません。編成の大きなオーケストラを存分に鳴らし重厚に響かせ堂々とした音楽を築き上げていて聴き応えがあります。良いと思います。

録音も既発売のものと統一感があります。残響は多めです。帯域バランス的に中低域の量感が多く重心が低いので,高域が少し物足りずヌケ感が今ひとつな感じはします。密度も高く濃厚でCDという器に可能な限りの情報量を詰め込んだという感じがして少し暑苦しい感じもあるかもしれません。正直なところ私の好きな録音とはだいぶ方向性が違うのですが,楽器の質感は悪くなく,またスケール感を上手く出している点や低域の響き方も良かったので,好録音評価としました。もう少しスッキリと録ってくれた方が好きではあるのですが。

ブラームス:交響曲全集(アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団
2021年5月10-18日,7月3-6日,9月23-25日,2022年2月12-14日
王立デンマーク音楽アカデミー コンサート・ホール
8.574465-67 (P)(C)2022 Naxos Rights (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

既存の演奏とはまるで違うと思いました。過去先人が積み上げてきた演奏様式を全否定して捨て去り,リセットして一から組み上げていったような印象すら受けました。音楽を朗々と響かせたり歌わせたりしません。速いテンポで音は短め,バサッバサッと切り刻んで進めていきます。キレ・推進力はありますが,せかせかとせわしない感じが強いです。ブラームスの渋さとは無縁で良くも悪くも強い違和感を覚えます。少なくとも既存の演奏の延長線上にはないと思います。

違和感の強い順でいうと,第4番,第2番,第1番,第3番で,第3番は意外にいいかもと思いました。こういう演奏は賛否が分かれると思いますが,賛より否の方が多そうな気がします。こういう演奏はどちらかといえば好きな方ですが,それでもこれはちょっと...と思うところが多かったです。

ただ何度も聴いていると違和感が薄れて良いところも見えてくるのでもう少し聴き込んでみようと思います。

録音ですが,残響は少しありやや音色に癖が感じられます。音のキレはそこそこあり演奏の特徴を活かす録音ではあると思いますが,高域が詰まっていてヌケが良くなくもどかしい感じがあります。また個々の楽器音は感じられるのに分離感が希薄で混然一体となっています。演出感も強めで実在感,生々しさが希薄です。悪い録音ではないとは思うものの今ひとつスッキリしない,惜しい録音だと思います。

Note:
Recording producer: John Frandsen
Recording, editing, mixing and mastering: Daniel Davidsen / 3C Sound

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全(ニコラス・ミルトン指揮/ゲッティンゲン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ニコラス・ミルトン指揮/ゲッティンゲン交響楽団
2021年1月26-29日, 2月2-5日 ドイツ,ロックホール・ゲッティンゲン
Prospero Classical PROSP0042 (P)(C)2022 Martin Korn Music Production (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ニコラス・ミルトンはオーストラリアの指揮者。ゲッティンゲンはブラームスが学生時代に滞在しヨアヒムと一緒に大学の授業も受けていたゆかりの地だそうで,ゲッティンゲン交響楽団はブラームスの生前から存在する歴史あるオーケストラということです。

演奏は力強く引き締まっており,重厚な響きを出しながら重くならず推進力が感じられるのが良かったです。

そして録音ですが,少し残響感があり演出感が強めで中高域に少し癖がありますが,弦楽器を中心に据えた音作りになっているところに好感を持ちました。低域の伸びもあります。音の密度が高くて多少暑苦しさはあるのですが,明瞭感や分離感は確保されていて,好みとは少し違いましたが悪くないと思いました。

ブラームス:交響曲全集(ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:悲劇的序曲作品81
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2019年9月, 2019年10月 ライプツィヒ,ゲヴァントハイス
PTC 5186 850 (P)(C)2020 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:大学祝典序曲作品80
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2019年10月 ライプツィヒ,ゲヴァントハイス
PTC 5186 851 (P)(C)2021 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90
ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2021年4月 ライプツィヒ,ゲヴァントハウス
PTC 5186 852 (P)(C)2022 PENTATONE Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

2019年に録音された第1番と第2番は既発売で昨年9月に取り上げていました(→こちら)。第3番,第4番は2021年の録音ということで,だいたい93歳くらいですね。無事全集として完結されたことは本当に喜ばしいことです。全集として改めて聴き直しました。

演奏ですが,以前第1番,第2番を聴いたときの感想と全く同じで,これだけ重厚でありながら濁りや雑味のない澄んだ響きなのが素晴らしいと思いました。一つ一つの音が丁寧に磨き上げられています。楽団員の指揮者に対する尊敬と敬愛の念がこの美しいサウンドを創り出しているのでしょうね。

録音も同様です。響きに厚みがあり低域の量感もある密度の高い録音なので再生機によっては中高域に被って聴きづらくなるかもしれません。低域を締めて少し大きめの音量で再生するといい感じになるのではと思いました。残響もそれなりにあるのですが,弦楽器の音を中心に据えて直接音成分のしっかりと捉えているので,意外に悪くないという印象でした。私の好みからするともう少しスッキリしている方が良いのですが,ブラームスの録音としては悪くないと思いました。

またここに素晴らしい全集が誕生したことを喜びたいと思います。

ブラームス:交響曲全集(朝比奈隆指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
朝比奈隆指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団
2000-2001年 サントリーホール
FOCD9206 Fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

先日取り上げた矢部氏とのブラームスのヴァイオリン協奏曲が良かった朝比奈氏と新日本フィルのブラームス交響曲全集です。今回はApple Musicで聴きました。拍手の入るライヴ録音です。

朝比奈氏のブラームスの交響曲全集は,大阪フィル(1979-80年),新日本フィル(1009-92年),大阪フィル(1994-95年),新日本フィル(2000-01年)の4種類がリリースされており,今回聴いたのは4回目の最後の全集です。なおいずれの全集もタワーレコード企画盤として現役盤として入手可能です(タワーレコード→1回目2回目3回目4回目)。

朝比奈氏の演奏はゆったりとした遅めのものが多いと何かで読んだのですが,この全集を聴いて,これには当たらないなと思いました。引き締まった演奏なのでそう思ったのかもしれません。そしてオーケストラの鳴り感も堂々としていて素晴らしいです。これは大変充実した内容の全集だと思いました。第一楽章提示部のリピートが全て実行されているのも良いですね。

録音ですが,残響感はそれなりにありますが,個々の楽器は明瞭とまではいかなくても質感が感じられる程度には捉えられており,細部が聴き取りづらいことはあれど,全体として良くまとまっていると思いました。不満はゼロではありませんが音楽を楽しむ上でライヴ録音としてはまずまずの出来と思いましたので四つ星半の好録音としました。

3回目までの全集も聴いてみたいところですが,ちょっと価格が高めなので躊躇してしまいますね...

ブラームス:交響曲全集,悲劇的序曲(ウィリアム・スタインバーグ指揮/ピッツバーグ交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集,悲劇的序曲
ウィリアム・スタインバーグ指揮/ピッツバーグ交響楽団
1961年11月(第1番), 5月(第2番), 1962年5月(第3番), 1965年6月(第4番) ピッツバーグ
486 1815 (P)2022 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

2020年に同顔合わせのベートーヴェン交響曲全集がドイツグラモフォンから復刻され取り上げていました。ベートーヴェンと同時期に録音されたブラームスの交響曲全集も同じくドイツグラモフォンからの復刻です。オリジナルテープからの復刻とのことです。

音質ですが,ベートーヴェンの方は曲によって結構ばらつきがあり印象があまり良くなかったのですが,このブラームスは第1番から第4番に時期が進むにつれてクオリティは少しずつ上がっているのですが,いずれも統一感のある音色に仕上げられていて好感を持ちました。残響が少し多めに取り入れられているものの,楽器の質感が良く感じられました。さすがにクオリティ面は時代なりで痩せて帯域バランスの崩れがあるのは仕方ありませんが,音楽を楽しむ上ではそれほど支障はなく大変楽しく聴くことが出来ました。上手く復刻されたと思います。

演奏は質実剛健で引き締まった辛口の硬派というところもベートーヴェンと同じですね。古い録音ですが演奏自体からはあまり古さは感じられず,時代を超えて生き続ける良い演奏だと思いました。第一楽章の提示部のリピートがいずれも省略されているのが少々残念ですが仕方ないですね。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲第1番,ヴァイオリン協奏曲(ステファニー=マリー・ドゥガン/ジェレミー・ローレル指揮/ル・セルクル・ドゥラルモニー)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ステファニー=マリー・ドゥガン Stéphanie-Marie Degand (Violin)
ジェレミー・ローレル指揮/ル・セルクル・ドゥラルモニー
2021年4月 エクサン=プロヴァンス大劇場
NMM101 (P)2021 Nomad Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ジェレミー・ローレル指揮/ル・セルクル・ドゥラルモニーの演奏はモーツァルトの交響曲第25番,第26番,第29番を取り上げていました。ステファニー=マリー・ドゥガンはパリ国立高等音楽院准教授を務めるベテランとのことです。以前,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の録音を取り上げたことがありました。

交響曲第1番ですが,編成の大きくないと思われるピリオド楽器オーケストラの演奏ということで,モダン楽器のフルオーケストラから出てくるサウンドと全く異なります。速めのテンポで極めてキレが良く,また楽器の響きが整理されて雑味がなく見通しがもの凄くいい感じです。ブラームスを聴いているという感じがしないサウンドです。こんなのブラームスじゃないと言う方もおられるかもしれません。私はこういうのも好きですが。

ヴァイオリン協奏曲は,巨匠的な節回しというか歌いっぷり・崩しっぷりが堂に入っています。音色も美しく伸びがあります。オーケストラのキリッと引き締まった演奏の上で自由闊達にのびのびと表現しているのが対照的でカッコ良くてとてもいいですね。これぞ協奏曲!です。

録音ですが,残響を控えめに直接音中心に明瞭に見通し良く捉えているのが良いです。このキレの良い演奏にふさわしい録音です。協奏曲はそれに加えてソロに少しフォーカスして際立たせるように録られていて,これも協奏曲の録音として好ましいと思いました。音色は少し硬めで少しキンキンする傾向があるので少し刺激的に感じられるかもしれません。もう少し低域のレンジ感も欲しい気はしましたが,私としてはそこそこ満足できる好録音でした。

この指揮者・オーケストラの録音はあまり数が多くなく,シリーズ化もないような気がしますが,このブラームスは良かったので全曲録音を期待したいです。ベートーヴェンやモーツァルトの後期も聴いてみたいですね。

ブラームス:交響曲第1番,第2番,シューマン:交響曲第1番「春」,第2番,他(アレクサンダー・シェリー指揮/カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団)

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シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
クララ・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調作品7
アレクサンダー・シェリー指揮
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団

2019, 2020年 カナダ,ナショナル・アーツ・センター,サウザン・ホール
AN28877 (P)2020 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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シューマン:交響曲第2番ハ長調作品61
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
クララ・シューマン:歌曲選集
アレクサンダー・シェリー指揮
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団

2018, 2021年 カナダ,ナショナル・アーツ・センター,サウザン・ホール
AN28880 (P)2021 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

「クララ,ロベルト,ヨハネス」と題された,クララ・シューマン,ロベルト・シューマン,ヨハネス・ブラームスの三人の個人的・音楽的なつながりを探るシリーズとのことで,全4巻が計画され,その2巻までリリースされました。ブラームスとロベルト・シューマンの交響曲,クララ・シューマンの作品,その他が収録されています。

今回は交響曲のみのコメントです。演奏は速めのテンポで締まっておりスッキリと整った今どきのスマートな演奏という感じで良かったです。強い主張のない癖のない演奏なので印象に残りにくいですが,私にとってはすんなりと受け入れられる好演奏でした。

録音ですが,残響感はありますが,楽器音への被りは少なく邪魔にならない感じなので許容範囲です。音色の癖も曇りも少ないので悪くありません。楽器の分離感,音のキレもそこそこあります。特に優れた録音ということはないとは思いますし,個人的にはもう少しスッキリと見通しよく録ってくれたらとは思いますが,オーケストラ録音として欠点が少ないと思いましたので四つ星半の好録音としました。

今後のリリースも楽しみです。

ブラームス:交響曲全集(ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)※ウラニア・レコーズの新リマスタリング盤

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ブラームス:交響曲全集(ウラニア・レコーズ 新リマスタリング盤)
ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1957年9月23,24日(#1), 1957年3月4-8日(#2), 1957年9月24,25日(#3), 1957年3月24,25日(#4)
WS 121.396 (P)(C)2021 URANIA RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

クーベリック/ウィーン・フィルのブラームス交響曲全集は,以前にタワーレコード企画盤を取り上げていました(→こちら)。元々はDECCAの録音で,1956-57年の録音としては悪くなく,タワーレコード企画盤はそこそこ聴ける音質に仕上がっていたので四つ星半の好録音としていました(もちろん1950年代の録音なので時代なりの品質です)。本盤はウラニア・レコーズの新リマスタリングということでどう変わったか聴いてみようと思い入手しました。なお輸入元情報では第4番は1957年3月の録音と記載されていますが,1956年3月の間違いではないかと思います。

このタワーレコード企画盤と聴き比べてみると,明らかに高域を強調していて,シャキッとした音質になっています。従来リマスタリングといっても基本的な帯域バランスはオリジナルを尊重してか,あまり変えずクオリティ向上を目指すものが多かった印象があるのですが,最近は積極的にイコライジングで補正して音質改善するケースも出てきているように思います。これもイコライザ補正されているようで,それ自体はもちろん構わないのですが,聴いた感じではちょっとやり過ぎ,過補正のように聴こえました。「古い録音をイコライジングで聴きやすくしました!」アピールが強すぎる感じで,かえって録音の古さが強調されてしまっている感じがします。過ぎたるは及ばざるがごとし,です。

これであればタワーレコード企画盤の方が良いかなと思いました。以下,タワーレコード企画盤情報再掲です。

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ブラームス:交響曲全集 (タワーレコード企画盤)
ヤナーチェク:シンフォニエッタ
ラファエル・クーベリック指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1957/9/23-24(No.1), 1957/3/4-8(No.2), 1957/9/28-29(No.3), 1956/3/24-25(No.4) ウィーン,ゾフィエンザール
1955/3/8-9(Sinfonietta) ウィーン,ムジークフェラインザール
PROC-1376/8 (P)Decca Music Group Limited (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records

TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION The Selection of Rafael Kubelik Vol.1

第1番 13:58/9:20/4:41/16:43 計44:53 提示部リピート省略
第2番 13:52/8:44/4:57/8:43 計36:16 提示部リピート省略
第3番 13:50/8:57/6:05/8:54 計37:46 提示部リピートあり
第4番 11:20/11:08/6:20/9:50 計38:38

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(クリストフ・エッシェンバッハ指揮/ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)

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ブラームス:交響曲全集
クリストフ・エッシェンバッハ指揮/ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団
2019年11月28-30日, 2020年10月5-7日, 2020年2月27-29日, 2020年11月7-9日
ベルリン,コンツェルトハウス
BC0302083 (P)2021 Berlin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

第1番と第3番は観客を入れてのライヴ録音,第2番と第4番は無観客ライヴ録音とのことです。それにしてもこの堂々としたスケールの大きい演奏は本当に素晴らしいです。オーケストラを朗々と鳴らしきり,密度の高い豊潤な響きで空間を満たしています。重厚なブラームスを突き詰めた感があります。

ただ一点だけ不満が... 第1番の第1楽章の提示部のリピートが省略されています。第2番,第3番は実行されているので,なんで第1番だけ省略なの?とちょっと残念に思いました。

録音ですが,残響はかなり多めです。発音から響きのピークがくるのがワンテンポ遅れるように感じるくらいあります。なのでキレのあるサウンドとは言えませんが,上記の演奏には合っていると思います(というか逆にこの録音がこの演奏を特徴付けている面もあると思います)。そして残響量の割に曇った感じも音色の崩れも少なく,ピラミッド型に帯域バランスがうまく整えられています。弦楽器の質感も悪くありません。私の好きなタイプの録音ではありませんが,残響が多い録音としては許せる方です。これなら多くの人に受け入れられる気がします。

ただ中低域の量感がすごくあるので,再生装置に中低域の締まりがないと聴き苦しくなるかもしれません。

ブラームス:交響曲第4番(マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団)

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ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98,他
マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団
2018年4月20-22日 ピッツバーグ,ハインツ・ホール
FR-744SACD (P)2021 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower recordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

これはまたブラームスにしてはかなり筋肉質の演奏ですねぇ。ダイナミックで迫力があります。第4番でこの演奏はアリなのか? 好みが分かれそうです。私としては...ちょっと微妙なかんじですね。

録音ですが,優秀録音で有名なリファレンス・レコーディングスということでちょっと期待して聴きました。残響は多めですが,響きは引き締まっていますので悪い印象ではありません。音の捉え方が中低域よりで太い少し癖のある音色です。ここまでは良いのですが,フォルテで少し飽和感があり音が歪んで濁っているように聴こえるのは惜しいです。これがなければもう少し全体に印象は良かったはず,と思いました。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(ジェラード・シュワルツ指揮/シアトル交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ジェラード・シュワルツ指揮/シアトル交響楽団
2007年2月~2010年5月 S. Mark Taper Foundation Auditorium, Benaroya Hall, Seattle, Washington.
(P)(C)2010 Seattle Symphony (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

おそらくシアトル交響楽団の自主制作盤。たまたまAmazonで見つけて興味が湧いたので聴いてみることにしました。演奏はオーソドックスでいかにもブラームスの交響曲という感じでしたが,厚みのある響きを出しながら重くならず,違和感なく受け入れられる良い演奏だと思いました。最近では普通になりましたが,第1楽章提示部のリピートもキッチリ実行している点も良かったです。

録音ですが,残響は少し多めに取り入れられていますが,楽器音への影響は少なめで聴きやすい録音でした。オーケストラの録音としては普通に良い部類に入ると思います。少し音は硬めでザラザラしたところがあるのは惜しいと思います。私としてはもう少し残響を抑え,スッキリと録って欲しかったと思いましたので好録音とはしませんが,全体的には悪くなかったです。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲第1番,第2番,悲劇的序曲,大学祝典序曲(ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:悲劇的序曲作品81
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2019年9月, 2019年10月 ライプツィヒ,ゲヴァントハイス
PTC 5186 850 (P)(C)2020 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:大学祝典序曲作品80
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2019年10月 ライプツィヒ,ゲヴァントハイス
PTC 5186 851 (P)(C)2021 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

1927年生まれということですので92歳くらいで録音されたようです。それにしてもこれだけ重厚でありながら濁りや雑味のない澄んだ響きなのが素晴らしいです。一つ一つの音が丁寧に磨き上げられているかのようです。楽団員の指揮者に対する尊敬と敬愛の念がこの美しいサウンドを創り出しているに違いない,と思ってしまいました。

そして録音なのですが,響きに厚みがあり低域の量感もある密度の高い録音なので再生機によっては中高域に被って聴きづらくなるかもしれません。低域を締めて少し大きめの音量で再生するといい感じになるのではと思いました。残響もそれなりにあるのですが,弦楽器の音を中心に据えて直接音成分のしっかりと捉えているので,意外に悪くないという印象でした。私の好みからするともう少しスッキリしている方が良いのですが,この録音だからこうなった,という気もします。

初めて第1番を聴いたときに私の好みとは少し違う録音だったので避けていたのですが,改めて聴いてみてこの音楽の素晴らしさに気がつきましたし,録音も悪くないと見直しました。第3番,第4番も楽しみです。待ち遠しいですね。

ブラームス:交響曲全集(イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番,ハイドンの主題による変奏曲
イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団
January 2009 Palace of Arts, Budapest
CCS SA 28309 (P)(C)2009 Channel Classics Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第2番,悲劇的序曲,大学祝典序曲
イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団
2012年2月 ブダペスト芸術宮殿(パレス・オブ・アーツ)
CCS SA 33514 (P)(C)2014 Channel Classics Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第3番,セレナーデ第2番
イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団
2020年8月30-9月2日 ムパ ブダペスト
CCS SA 43821 (P)(C)2021 Channel Classics Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第4番,ハンガリー舞曲集より
イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団
2013年4月 ブダペスト芸術宮殿(パレス・オブ・アーツ)
CCS SA 35315 (P)(C)2015 Channel Classics Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

第1番の録音が2009年,そして全4曲の最後となる第3番がコロナ禍の中録音され,先日発売になりました。この第3番以外は以前に入手していたのですが,交響曲が全集となりましたので,この機会に聴き直してみました。

演奏ですが,編成の大きなオーケストラによるオーソドックスで重厚で引き締まったブラームスですね。先に取り上げたノリントン/SWRの全集とは方向性が全く逆です。伝統的なブラームス演奏を突き詰めたような堂々とした立派な演奏で,オーケストラの技術力も高くとても良いと思います。

一方録音ですが,残響感はそれほど多くないものの,オーケストラの厚みのある響きを強調したような録り方で少しモゴモゴとした感じがあり息苦しさがあります。もう少しスッキリとヌケよく伸びのある音で開放感があると良かったと思いました。もっともオーケストラ録音としては標準的な範囲でこのような録音が好きな方もいらっしゃると思います。好録音というには少し違うと思いましたので四つ星としましたが悪くはないと思いました。

録音時期が長期にわたっていますが,演奏も録音もばらつきが少なく安定した一定の水準を維持していて,この点でも良いと思いました。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(ロジャー・ノリントン指揮/SWRシュトゥットガルト放送交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ロジャー・ノリントン指揮/SWRシュトゥットガルト放送交響楽団
2005年7月4日-6日 シュトゥットガルト・リーダーハレ・ベートーヴェンザール
SACD No. 93.267 (C)2006 SWR Media Services (P)2010 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

最初DVDで発売されていてそれを聴いて記事にしていました(→こちら)。この当時CDはなかったのですが,その後SA-CDで発売されたので買い直していました。

演奏はブラームスとしてはかなり軽妙で爽やかな仕上がりです。ノリントンが長年積み重ねてきた作曲当時の演奏の研究の成果をモダン楽器のオーケストラにつぎ込んだとのことですが,うまく結実していると思います。モダン楽器の機能性とキレの良さを活かしたノリントンらしい良い演奏だと思います。

録音ですが,DVDで聴いたときにはあまり印象が良くなかったのですが,改めて聴いてみると悪くありません。弦楽器が少し遠めで質感が希薄であり,バランス的に管楽器よりも弱いのは少し不満なのと,わずかにモゴモゴ感があるのが残念ですが(これはノリントン/SWRに共通する特徴ではありますが),残響が控えめで音色の曇りも少なく音のキレもあるのでまずまずかなと思います。

このSA-CDはすでに廃盤となってるようですが,ドイツ・レクイエムをカップリングしたセットとして再発売になるようです。

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ブラームス:交響曲全集,ドイツ・レクイエム
ロジャー・ノリントン指揮/SWRシュトゥットガルト放送交響楽団
2005年7月4-6日, 2014年2月20,21日 シュトゥットガルト・リーダーハレ・ベートーヴェンザール
SWR19529CD (P)2005,2014 SWR Media Services (C)2021 Naxos Deutschland (輸入盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
2021年9月23日発売予定

ブラームス:交響曲全集(尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲変ロ長調作品56a
尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年5月11日 大阪,ザ・シンフォニーホール
OVCL-00713 (P)(C)2019 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

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ブラームス:交響曲第2番,第3番
尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年10月2, 9月4日 大阪,ザ・シンフォニーホール
OVCL-00736 (P)(C)2020 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

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ブラームス:交響曲第4番,悲劇的序曲,大学祝典序曲
尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年11月20日,9月4日 大阪,ザ・シンフォニーホール
OVCL-00734 (P)(C)2020 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団によるブラームス・チクルスが完結しましたので,すでにレビューしていた第一弾も合わせて掲載します。ライヴ録音で第一弾のみ拍手まで収録されています。尾高氏はブラームスの交響曲初録音とのことです。演奏はオーソドックスで,大オーケストラによる重厚でスケールの大きい,これぞブラームスの交響曲!という堂々とした立派なものでした。

録音ですが,かなり残響を多めに取り入れていて濃く密度が高いのですが,音色のバランスの崩れは少なく,明瞭感も残響量の割には悪くないです。しかし,演出感が強く生々しい質感が失われ,現実味が薄れてしまっていることと,フォルテでわずかに飽和感があり歪んでいるように感じられるのが残念です。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲全集(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
2019年9月25,26,28,29日 ウィーン,ムジークフェラインザール
WS021 (P)(C)2020 Wiener Symphoniker (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。昨年秋にベートーヴェンの交響曲全集をリリースされていて取り上げていました(→こちら)。このベートーヴェンは「快速でメリハリを効かせた小気味よさが気持ちの良い演奏」でしたが,今回のブラームスは堂々とした引き締まった演奏ではありますが,よりオーソドックスにまとめているように思いました。なので,普通に良いと思う一方,印象に残りづらく物足りないという気もしました。もう少し何かこうグッとくるところがあれば...というのは欲張りすぎでしょうか。

録音ですが,中低域の残響感がかなり多く,楽器音がその響きの中に埋もれるような感じがになってややモゴモゴした音になってしまっています。そのため少し遠くで鳴っているように聴こえ,手が届きそうで届かないもどかしさを感じます。ベートーヴェンの録音よりもやや落ちると思いました。私の好みとはかなり遠く離れていて少々残念に思います。残響が許せる方なら問題ないかもしれません。

タグ: [交響曲] 

ブラームス:交響曲第1番(久石譲指揮/フューチャー・オーケストラ・クラシックス)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
久石譲指揮/フューチャー・オーケストラ・クラシックス
2020年2月12-13日 東京オペラシティ・コンサートホール(ライヴ収録)
OVCL-00733 (P)(C)2020 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

最初の数秒聴いて,なんじゃこりゃー!と絶句するような下品極まりないティンパニーで開始...(でもまあここまでひどいのは最初の30秒だけでしたが)。全体にもの凄く速く,全曲のトータル時間が39分42秒です。第1楽章は最初のティンパニーもありますが,軍隊の行進かと思うような勇ましいところもあり,いいのかこれ...ブラームスで...というところが随所に出てきます。まあこういう演奏は嫌いではないし,楽しませていただいたのですが,勢い任せでちょっとやり過ぎ,品がないと思いました(もちろん狙い通りなんでしょうけど)。もう少し颯爽と格好良くやってほしいです。なお,第4楽章はこのスタイルがそこそこはまっていて良かったです。

録音ですが,中低域寄りであり,低域楽器が鳴り始めると全体に被って圧迫感がものすごいです。狭い空間を大音響で満たすような密度の高い音作りになっていて疲れます。もっと開放感,音場の広がり,分離感,見通しの良さが欲しいです。そんなに編成の大きなオーケストラではないのに,その特徴を活かすような録音ではないように思います。私としては少々残念です。

さて第2番以降がどのような演奏になるのか楽しみではあるのですが...ちょっと想像がつきません。

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ブラームス:交響曲第2番(ピエール・モントゥー指揮/ロンドン交響楽団) タワレコ盤と豪エロクエンス盤

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ブラームス:交響曲第2番,大学祝典序曲,悲劇的序曲
ピエール・モントゥー指揮/ロンドン交響楽団
1962年11月29日-12月1日 ロンドン
PROC-2137 (P)(C)2018 Universal Music (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records *Tower Records Vintage SA-CD Collection Vol.10

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ブラームス:交響曲第2番,悲劇的序曲,大学祝典序曲
ピエール・モントゥー指揮/ロンドン交響楽団
録音 1962年11月 ロンドン
480 8911 (P)(C)1965 (C)2016 Universal Music Australia (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

豪エロクエンスシリーズのディスクは依然取り上げていました(→こちら)。録音についてのコメントは前回のコメントを参照いただきたいのですが,その際も五つ星の好録音としていました。1962年という古い録音であることを念頭に置いて読んでいただきたいのですが,それでも改めて聴いてみてもその評価は変わりません。

そして,タワーレコードの企画盤の方ですが,2018年の最新マスタリング音源使用ということで,これがどのように改善されているのか,とても興味深かったので,購入して聴いてみました。

その結果ですが...豪エロクエンスシリーズでも不満なく十分だったのですが,タワレコ盤の方は,鮮明さというか鮮度がさらに改善されているように思いました。ただし,一方でややカサカサした乾いた質感も強調されていて,ちょっと過補正気味か?とも思いました。もちろんタワレコ盤がある意味良くなっていることは間違いないのですが,バランス的に,聴く機器や環境によって評価が変わるかもしれません。

古い録音のリマスタリングの難しさを感じた一枚でした。

それにしても改めて聴き直してみて,古い録音ですが,全く不満なくストレスなく音楽を堪能出来る素晴らしい録音だなと思いました。昨今の録音は,クオリティこそ高いけど音楽として全然面白く聴こえないものが多いのはなぜなんだろうと思ってしまいます。いやほんとに。

ブラームス:交響曲第1番,ハイドンの主題による変奏曲(尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲変ロ長調作品56a
尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年5月11日 大阪,ザ・シンフォニーホール
OVCL-00713 (P)(C)2019 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpamazon musicHMV Onlineicon

尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団によるブラームス・チクルスの第一弾。拍手の入るライヴ録音。尾高氏はブラームスの交響曲初録音とのことです。演奏はオーソドックスで,大オーケストラによる重厚でスケールの大きい,これぞブラームスの交響曲!という堂々とした立派なものでした。

録音ですが,かなり残響を多めに取り入れていて濃く密度が高いのですが,音色のバランスの崩れは少なく,明瞭感も残響量の割には悪くないです。しかし,演出感が強く生々しい質感が失われ,現実味が薄れてしまっているのが残念です。

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ブラームス:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

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ブラームス:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2018年4月, 5月 パリ,シャンゼリゼ劇場
735004 (P)(C)2019 C Major Entertainment (輸入盤) (*Blu-rayディスク)
好録音度:★★★★
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パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのブラームスの交響曲のディスクはすでに一度発売されています(第1番第2番第3番,第4番)。これは2018年にパリ,シャンゼリゼ劇場で行われたコンサートのライヴ収録盤です。また,「ザ・ブラームス・コード」と題されたドキュメンタリーも収録されており,英独韓日の字幕が入っています(こちらは未視聴)。

それでその演奏なのですが,既発売のものと比べると,ライヴの高揚感,熱気がある一方で,表現はよりこなれてきていて,以前感じた違和感や独特さは薄れ,より普遍性をもった音楽へと進化したなぁと感心しました。一方でこの中規模編成のオーケストラの特徴や良さも薄れてきているようにも感じられ,でもそれはちょっとこの顔合わせに過度な期待をしすぎているのかもしれない,と思った次第です。

録音ですが,残響の質がいまいちで楽器音を濁している感が否めませんが,楽器音はしっかりと捉えられているので印象はそれほど悪くありません。TVでの鑑賞でも聴きやすいようにわずかにダイナミックレンジも狭めているかもしれません。もう少し音に伸びがあり濁り・雑味が少なければ良かったのにと思います。惜しいです。

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