2023/06/26

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
沼尻竜典指揮/トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア
2000年9月30日 東京,三鷹市芸術文化センター
OVCL00815 (P)2023 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考:
2000年に三鷹市芸術文化センターで行われた公演「2大弦楽セレナードの夕べ」のライブ録音(拍手なし)。演奏はノーマルで中庸ですが,完成度が高く大変充実しています。アンサンブルも整っていますし音程が良くハーモニーも美しいです。ライブでここまで仕上げるとは素晴らしいと思います。
録音ですが,残響はありますが直接音が主体であり楽器音への影響はあるものの十分許容範囲です。明瞭で音色に癖もありません。高域のヌケ感も問題ありません。弦楽器の質感も良好です。欠点が少なく万人に受け入れられやすい録音だと思います。
演奏も録音も良いちょっとした掘り出し物でした。何度も繰り返し聴きたくなります。
2023/02/26

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデホ長調作品22
アラン・ロンバール指揮/ボルドー=アキテーヌ国立管弦楽団
録音不明
V4736 (P)1995 Auvidis Valois (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
ロンバールのチャイコフスキーをもう一つ。チャイコフスキーの弦楽セレナーデは大編成での演奏を想定して作曲されたような話をどこかで読んだ記憶があるのですが,これはその大編成の弦楽オーケストラの豊潤な響き・魅力を堪能出来る演奏だと思います。良いと思います。
一方で録音なのですが,残響は多めで収録場所の響きを多く取り入れているため,その残響の音色に与える影響が大きめです。分厚い弦楽器の響きは魅力ではあるのですが,すこし取り入れすぎと思います。演出感も強めでもう少し生の自然さが欲しかったところです。
これも後期交響曲集と同様Apple Musicで試聴しました。こちらの方は入手困難ではないかもしれませんが,ストリーミングで気軽に聴けるのは有り難いです。
2022/11/20

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲ニ短調作品70「フィレンツェの思い出」
ほか
ユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパ United Strings of Europe
12th—13th August 2020, 9th—10th November 2021
St Silas Church, Kentish Town, London, England
BIS-2569 (P)(C)2022 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパは英国のヴァイオリニスト,ジュリアン・アズクールが率いる,ロンドンを拠点とする団体で,国を問わず若い奏者を集めて結成されたそうです。弦楽セレナーデ以外はアズクールが編曲しているということです。編成は曲によって異なるようですが,だいたい4人から2人(コントラバスは1人)です。
それにしてもこのサウンドは素晴らしいです。人数は少ないですが,ミルフィーユのように何層にも折り重なった厚い響きがします。ですが大オーケストラの豊潤な響きとは全く異なる厚みです。一人一人のプレーヤーの個々の主張がビシッと統率されて積み重なっているイメージです。ただ音楽表現的には中庸なのでもう少し攻めてくれていたらなぁと思いました。でもとても良かったです。
録音ですが,残響は多めなのですが,各楽器の直接音がきちんと捉えられているのと,分離感も確保されているのでまずまず良好です。フォルテでも響きが混濁しないのも良い点です。少し圧迫感というか暑苦しい感じはあるものの,弦楽器の魅力をきちんと伝えてくれる好録音だと思います。
2020/09/27

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
柳澤寿男指揮/バルカン室内管弦楽団
2019年5月13-15日 長野県 軽井沢 大賀ホール
audite 20.045 (P)(C)2020 Ludger Böckenhoff (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
指揮者の柳澤寿男氏の公式Webサイトがあります。そこにバルカン室内管弦楽団について「日本人指揮者柳澤寿男が2007年にバルカン半島の民族共栄を願って設立したオーケストラ。」と説明されています。旧ユーゴスラヴィアという複雑な土地で日本人の指揮者がどのような思いでこの室内管弦楽団を設立されたのか,私には本当のところを理解することは正直難しいのですが,好きな曲なので聴いてみました。
このような団体なので技術面はどうなのかと失礼ながらちょっと心配したのですが,全くの杞憂でした。十分に上手いですしアンサンブルも整っています。オーソドックスで丁寧に誠実に仕上げられています。この団体の成立の経緯など抜きにして十分に良い演奏だと思いました。良かったです。
そして録音ですが,多少の残響感はあるものの,各楽器の音色を質感豊かに,分離良く,弦楽器の魅力を上手く捉えていると思います。若干中域の響きに癖があるように思いますが許容範囲です。優秀録音ではないかもしれませんがまずまずの好録音と思います。
2020/09/21

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
アニマ・ムジケ室内管弦楽団 Anima Musicæ Chamber Orchestra
2017年11月12, 13, 24-26日 ハンガリー,フンガロトン・スタジオ
HCD32764 (P)2019 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
アニマ・ムジケ室内管弦楽団 Anima Musicæ Chamber Orchestra
2017年11月12, 13, 24-26日 ハンガリー,フンガロトン・スタジオ
HCD32824 (P)2020 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
モーツアルトのディベルティメント,アイネ・クライネ・ナハトムジークが良かったアニマ・ムジケ室内管弦楽団の弦楽セレナーデ集。アンサンブルがとても上手くスマートに上品に仕上がっています。響きも透明で美しいです。フォルテでも熱くならず丁寧に澄まして弾いているのが良いところでもあり,ちょっと物足りないところでもあります。もう少し躍動感があればと思いますが,これがこの団体のカラーなんでしょうね。
録音ですが,残響控えめでスッキリと明瞭に録っているのですが,先に取り上げたモーツアルトの録音に比べると少しベールがかかったようで音のキレと生々しさは少し失われているように思います。十分に好録音ではあるのですが,少々惜しく思います。
弦楽セレナーデ集の第一弾,第二弾,ということですが,弦楽オーケストラの作品をもっと録音して欲しいですね。録音はモーツァルトの録り方で...期待しています。
2020/09/06

ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調 作品22
コリン・デイヴィス指揮/バイエルン放送交響楽団
1970年9月 ロンドン
PROC-1348 (P)1988 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
タワーレコード企画盤。これも定評のある演奏だと思います。大オーケストラによる豊潤なサウンドが魅力です。演奏はどちらかといえばゆったりと優しく柔らかいのが特徴です。
録音ですが,残響が多くやや遠くで鳴っている印象で,シルクのような質感がある一方,音の輪郭がモヤッとしていて明瞭感に乏しいです。こういう録音が好みの方もいらっしゃるとは思いますが,私の好みからはだいぶ離れている感じです。
なお,下記の曲がカップリングとして収録されています。初CD化とのことです。
ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲 K.620
(以上,BBC交響楽団)
2020/09/06

ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調 作品22
ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
1981年6月19-23日, 1982年2月12-14日 ロンドン
PROC-1788 (P)1982,1983 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
Tower Records Premium Classics Vol.2。これもご存じの通り同曲の定番中の定番。チャイコフスキーは一度取り上げていました(→こちら)。また同顔合わせで1968年/1970年にも録音されていました(→こちら)。
改めて聴いてみて,室内管弦楽団の編成にしてはかなり重厚な響きを出しているのに驚きます。それでいてキレがありテンポ良く音楽が進んでいくのが気持ち良いです。機動性のある演奏はさすがです。
一方録音ですが,先ほど述べた重厚な響きは録音によるところも大きいと思います。残響を多めに取り入れて響きを補完しているように思います。これがこの団体の演奏を活かす録音かというと,私は少し疑問に思いますが,まあ弦楽器の音色を楽しむという点では良いかもしれません。私としてはもう少し響きを抑えてスッキリと見通しよく,キレのある演奏を活かす録音にして欲しかったと思いますが。
本盤,タワーレコードの企画盤ですが,レーベルの現役盤はもしかしたらないかもしれません。こういう名盤でも廃盤になってしまうのは残念なことです。タワーレコードに感謝。
2020/09/06

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年9月 ベルリン,フィルハーモニー
UCCG-51051 (P)1981 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
皆様よくご存じの名盤。久しぶりに聴きました。良くも悪くもカラヤン/ベルリン・フィルの特徴が詰まっていると思います。プレーヤ全員の「俺の音を聴け!」と言わんばかりの自己主張の集合体のような分厚いサウンドを引き出すカラヤンの手腕に感嘆するも,一方で縦の線もバラバラ,音程が悪いどころか,明らかなミスと思える音程外しも放置する雑な仕上げが散見されます(ドヴォルザークの第2楽章4:06など)。この壮麗なサウンドの魅力を感じつつも,粗がどうしても我慢できないのも正直なところ。好き嫌いがはっきり分かれる演奏でしょうね。
録音ですが,残響感はそれほど多くないものの,少し高域の伸びが足らず,音色の曇りは感じられますが,ベルリン・フィルの弦楽器の魅力をキッチリ伝えてくれるだけの明瞭さは確保されていると思います。悪くはないと思いつつ好録音というには少しものたりないので四つ星です。
2020/03/15

アンサンブル・アレグリア Ensemble Allegria
2017年8月14-17日 バールム,ヤール教会
LWC1191 (P)(C)2019 LAWO CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
アンサンブル・アレグリアは2007年にノルウェー国立音楽アカデミーの学生たちによって創設されたオスロの室内オーケストラとのことです。編成は中規模と思われますが,キレと精度のあるアンサンブルと豊潤な響きが特徴です。表現そのものはノーマルですが,小気味よくスピード感もあり大変良いと思いました。出色の出来と思います。
録音ですが,少し多めの残響を伴っていますが,直接音成分がそこそこあって弦楽器の音色・質感への影響は少なく,私の好みとは少し異なりますが,これなら許せます。中低域の量感もありつつ締まっているので悪くないです。弦楽オーケストラの魅力を堪能出来る録音としてまずまず良いと思いました。
2018/03/17

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
グリーグ:2つの悲しい旋律作品34
長岡京室内アンサンブル(音楽監督:森悠子)
2016年11月7日 東京文化会館小ホール,2003年1月11日 IMAホール(光ヶ丘 東京都練馬区)
MF20109 (P)(C)2018 N&F Co. Ltd. Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
収録曲が大好きな曲ばかりなのでこれは聴かなければなりません。長岡京室内アンサンブルのチャイコフスキーは2回目の録音で,1回目は以前取り上げていました(→こちら)。編成はヴァイオリン8名,ヴィオラ2名,チェロ2名,コントラバス1名の小編成で,指揮者を置いていません。「耳を澄ませば 心が通じる」アンサンブルがこの団体の目指すところということです。
細かい音型で少しアンサンブルが流れてしまったり,緩急がぎこちなかったりするところがあり,指揮者なしの弊害ではないかと思われるところはあるのですが,トータルとしては良く仕上がっていると思いますし,オーソドックなアプローチでその曲の持つ美しさを最大限に引き出そうとするような演奏は好感が持てます。ソットヴォーチェのように始まるチャイコフスキーにはちょっとドキッとしましたが,そのあと,「ソットヴォーチェで始めちゃったけどどうしよう・・・」的な戸惑いと半端感が何とも微妙で微笑ましかったです(ごめんなさい^^;)。
若手を育てる役割も担っていて少しずつメンバーが入れ替わっているようで,アンサンブルの質を維持していくのは並大抵ではないと思いますが,今後も地道に頑張って欲しいと思います。
録音ですが,生録的で演出感がない点は好感が持てるのですが,やや演奏会場の音響の癖を入れすぎている感じがして,もう少し寄って直接音主体にすっきりと録って欲しかったというのが正直なところです。また,ヴァイオリンが右から聞こえているようにも感じられ,楽器の位置関係が把握しづらく少し違和感を感じるのも惜しいところです(ヘッドホンで聴く場合は左右を入れ替えた方が違和感が少なく感じられました)。N&Fの録音はあまり私には合わないのですが,これは悪くはないかなと思います。
2017/04/08

シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 作品56「親愛なる声」(弦楽合奏版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
2016年5月3-6日 クレルモン=フェラン,オーヴェルニュ管弦楽団施設
AP139 (P)(C)2016 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicで試聴して演奏も録音も大変良かったので,今年の1月に試聴レビューしていました。ディスクを買うかずっと迷っていたのですが,やっぱりこれは手に入れておきたいということでAmazonから入手しました。Tower RecordsとHMVでは5月の発売になっています。今聴きながら書いているのですが,これはやっぱり買って正解の盤でした。
Apple Musicでの試聴です。Amazon.co.jpでは2月17日の発売になっていて,HMVやTower Recordsにはまだ出ていませんでした。
おぉ,これはなかなかイイぞ! 演奏自体は真っ当なスタンダード路線であり,アンサンブルは優秀で,丁寧でニュアンス豊かで美しい。シベリウスの弦楽合奏版は初めて聴きましたが,違和感なく聴けました。
録音ですが,特に特徴があるわけではありませんgな,欠点らしい欠点がなく,弦楽器の魅力を上手く捉えた好録音だと思います。低域から高域までレンジ感もありますし,楽器の質感の捉え方も標準的で良好です。残響もそれなりにありますが,マイナス要素にはあまりなっていません。
これはディスクを入手してじっくり聴いてみたくなりました。
(記2017/01/08)
2015/03/01

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第2番(弦楽合奏版)
スコティッシュ・アンサンブル
Caird Hall, Dundee, Scotland, UK, 1-3 December 2013
CKD 472 (P)(C)2015 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
ジョナサン・モートンが芸術監督およびリーダーを務めるスコティッシュ・アンサンブルの演奏。ショスタコーヴィチはモートン自身の編曲。チャイコフスキーは流麗で速めのテンポで全く淀みなく流れていくモダンで美しく洗練された演奏です。アンサンブルも完璧,非の打ち所がありません。ここまで整った完璧な演奏もそうそうないです。一方で,見得を切るようなところも勿体ぶった表現も全くないので,素晴らしい演奏だと思いつつも,ちょっと印象が薄いかな,とも思います。
録音ですが,残響はやや多めですが,各パートの音は比較的明瞭に分離良く聴こえてきます。しかし,やや金属的でキンキンした響きが被り,下支えの弱い浮ついた,現実味の薄い音色になっているのはやはりこの残響の弊害だと思います。きめの細かい絹のような質感はLinn Recordsらしいと言えるかもしれませんが,楽器自体の質感は希薄です。優秀録音かもしれませんが,好録音とは少し違います。
演奏の印象を薄めているのはこの録音のせいかもしれません。私としてはだいぶ残念。
2015/01/01

バルトーク:ディベルティメント Sz.113
ロマン・シモヴィチ(リーダー)/LSO弦楽アンサンブル
2013年10月27日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0752 (P)(C)2014 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音ですが,弦楽器の艶やかな音色をLSO Liveらしく残響を抑え気味にドライに捉えた好録音です。全体としてまとまりすぎず,溶け合いすぎず,個々の奏者のそれぞれの音色が感じられそうな微妙な質感が弦楽オーケストラの録音として良いと思います。トップ奏者のブレスがやや(かなり?)大きめに入っているのはご愛敬ということで。
2014/06/26

チャイコフスキー:弦楽セレナーデハ長調作品48
ニールセン:小組曲作品1(弦楽オーケストラのための)
トロンハイム・ソロイスツ TRONDHEIMSOLISTENE
Selbu Church, Norway, May and October 2011
2L-090-CD-J (C)2013 Lindberg Lyd AS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
初めて入手した北欧の高音質レーベル2Lのディスク。これは通常のCDですが,Blu-ray Audio,LPでも発売され,
楽器の配置は基本的には二重の円状に並んで中央にマイクを設置しているようですが,楽器の並びは曲ごとに異なり,弦楽セレナーデでは不規則にバラバラに並んでいるようですが,特にどの曲でも違和感はありませんでした。
演奏自体はノーマルで,特に何か小細工や工夫を凝らした表現をしようという意図があまり感じられず,これはこれで良いのですが,もう少し何か光るものがあれば良かったのになぁ,と思います。水準は高いので,不満というほどのものではありません。
2013/06/23

チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 作品70
ピエール・アモイヤル指揮/カメラータ・デ・ローザンヌ
Salle de Musique, La Chaux de Fonds, Switzerland, 9-12 May 2012
2564 65218-2 (P)(C)2013 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online
カメラータ・デ・ローザンヌは,ピエール・アモイヤルがローザンヌ音楽院の協力のもと結成したアンサンブルで,編成は 3-3-3-3-1 という小編成。小編成の小気味よさ,透明感と,弦楽器の重厚なサウンドが共存しているのは,編成上低弦側が充実しているからかもしれません。この人数からは想像できない音が出てきて驚きます。弦楽セレナーデは,ここは盛り上がるところだろうというところでさらっと流れていったりするので,あれっ?と思うところが何カ所かありますが,まあこれはこれで楽しめます。どちらかといえばフィレンツェの思い出の方が充実度が高く聴き応えがあるように思いました。編成のバランスが曲に合っているのかもしれません。
録音ですが,弦楽器の質感を良く捉えているものの,やや濃すぎる感じがあるのと,中域に響きの癖があってややうるさい感じがします。録音もフィレンツェの思い出の方が癖が少なく聴きやすいです。私としてはもっと小編成の透明感と小気味よさを活かした軽く見通しが良く分離の良い録音にして欲しかったと思います。少し重厚に捉えすぎていると思います。
ということで,フィレンツェの思い出が思いのほか良かったのが収穫でした。
2012/12/23

ブリテン:シンプル・シンフォニー 作品4
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
宮本文昭指揮/オーケストラMAP'S
2012年4月1-2日 東京津田ホール(セッション)
KICC 1045 (P)2012 King Record Co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online
録音ですが,弦楽器の分厚い響きをしっかりと捉えていますが,やや混沌として質感が損なわれています。もう少し残響を抑え,見通し良く分離良く捉えて欲しいところです。惜しいと思います。
とまあ少し文句は書きましたが,全体的にはすごく良く仕上がっていると思います。今後のレコーディングにも期待したいですね。
2010/07/21

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 ニ短調 作品70
マルコ・ボニ指揮(Marco Boni)(Conductor)
コンセルトヘボウ室内管弦楽団(Concertgebouw Chamber Orchestra)
April 2002, Waalse Kerk, Amsterdam, The Netherlands
PTC 5186 009 (P)(C)2002 Penta Tone Music b.v. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
解説書にメンバーリストが載っています。6-6-4-4-1 という編成です。アンサンブル,音のまとまりがとても良く室内オーケストラの利点が活かされていると同時に,この編成にしては音がとても豊潤で規模の小ささを感じさせません。引き締まった演奏ですが,どちらかといえば美しさ,しなやかさに重点が置かれているように思います。突出したところや特徴のある表現はなくノーマルな印象を受けますが,水準の高い好演奏だと思います。
録音ですが,やや響きが多めに取り入れられていますが,残響量の割には楽器音への影響は少なく,音色の曇りもそれほど気になりません。私の好みの録音とは少し異なりますが印象は悪くありませんし,客観的に見てもまずまずの好録音ではないかと思います。
2010/07/10

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
レイモンド・レッパード指揮(Raymond Leppard)(Conductor)
イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)
London, 12/1975
420 883-2 (P)1976 Philips Classics Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: amazon.com
バッハのブランデンブルク協奏曲が良かったレッパード/イギリス室内管弦楽団のチャイコフスキー弦楽セレナーデを持っていることを思い出し,引っ張り出して聴いてみました。誠実で引き締まった表現が好印象なのですが,一方,躍動感を出しながらも情緒は抑え気味,緩徐楽章も速めのテンポで淡泊であり,このあたりで好みが分かれるかもしれません。
録音ですが,音の捉え方はまずまずで弦楽器の質感を良く伝えてくれるものの,高域のヌケがわずかに悪くいため音色に生彩が失われ,今ひとつすっきりしないのが残念なところです。
このCDですが,hmv.co.jpでは見つけることが出来ませんでした。amazon.comにはありました。
2010/01/08

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ウィーン弦楽ゾリステン (Wiener Streicher Solisten)
30-31 May, 1-2 Jun 2002, Angelika Kaufmannsaal (Schwarzenberg, Bregenzerwald, VORARLBERG AUSTRIA)
fontec FOCD3499 株式会社フォンテック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Online
解説書によると,ウィーン弦楽ゾリステンは1974年の結成で,ウィーン・フィルの首席奏者を中心として構成されているということです。編成は3-3-2-2-1の11人構成で,同曲演奏のぎりぎりのミニマム編成というところでしょうか。アンサンブルの良さ,音の美しさはさすがです。このあたりにミニマム編成の良さが出ています。
しかし,たとえばヴァイオリンは弦楽合奏的に響くのですが,チェロは室内楽のように単独の楽器の音が聴こえてきたりして少しアンバランスな印象で,ミニマム編成の弱点も見えてしまいます。ヴィオラ・チェロをヴァイオリンと対等に増やすか,あるいは弦楽八重奏にして思いっきり室内楽的に振るか,そういったなにか一工夫が欲しいところです。
録音ですが,残響を控えめにして各楽器を明瞭度高く捉えています。音色も自然ですし,各楽器の質感もそれなりにうまく収められています。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/12/12

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
モーツァルト:ディベルティメント K.136-138
長岡京室内アンサンブル(Nagaokakyo Chamber Ensemble in Kyoto)
森悠子(音楽監督)(Yuko Mori)(Music Director)
2000年5月29日(K.136) & 2001年1月9日(Tchaikovsky) 神戸朝日ホール
2001年7月17日(K.137,138) 三鷹市芸術文化センター
fineNF NF60102 (P)(C)2002 N&F Co., Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
どういう編成で演奏されているのか明記されていませんが,カバーピクチャーの人数からすると,4-3-2-2-1の12名ではないかと思います。チャイコフスキーの弦楽セレナーデとしてはかなり小編成です。指揮者は置いていないようです。
演奏はアクセントが抑えられ,柔らかで流麗。音程が良く,ノンビブラートのような透明感ある独特の響きを出しています。よく統率されていてアンサンブルも良好です(ただ,第一楽章でやや詰めの甘さが見られるのが残念ですが)。小編成の良さが活かされた美しい演奏です。
モーツァルトはスピード感があり,大変スマートに上品に仕上げられています。
さてこの録音ですが,音楽之友社のステレオ誌で優秀録音10.0の最高点をマークしたとあります。密度感があるとともにとてもなめらかで,オーディオクオリティはさすがに優秀です。残響を多く取り入れていますが,残響の質がまずまずであること,直接音とのバランスをうまく取っていることから,これだけの残響を含みつつもトータルとしての美しさを確保しています。
しかし,やっぱり私としては好きなタイプの録音ではありません。残響のまとわりつきが鬱陶しく,細かい音型がマスクされがちで明瞭に聴こえてきません。せっかくの小編成なのですから,もっとすっきりと見通しよく録音して欲しかったと思います。曇った感じがないので印象はそれほど悪くはないのですが,やっぱりfineNFの録音は私には今ひとつ合いません。
それにしてもこのディスク,4,500円とはべらぼうに高いです! 勘弁して欲しい...
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/11/19

グリーグ:ホルベルク組曲 作品40
グリーグ:二つの悲しい旋律 作品34
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
オルフェウス室内管弦楽団(Orpheus Chamber Orchestra)
Performing Arts Center, State University of New York at Purchase, 12/1986
Deutsche Grammophon 423 060-2 (P)1987 Polydor International GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: オルフェウス室内管弦楽団 公式Webサイト
長い間愛聴盤として聴き続けてきた演奏です。これを凌ぐ演奏が出てくるなんて到底考えられない,なんて本気で思っていました(今はそこまでは思っていませんが)。この演奏の良いところは強烈なアクセントを伴いながら抜群のアンサンブル力で疾走するその推進力にあると思います。
録音は,響きが楽器音に被って鮮明さが失われて少し冴えません。素晴らしい演奏だけに少々残念に思います。
このCDは廃盤のようですが,デュトワのチャイ5のカップリングとして弦楽セレナーデが収録されているものがあります(→HMV Online
(Side Bからの移行記事) [チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏][愛聴盤]
2009/11/14

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
グリーグ:ホルベルク組曲 作品40
グリーグ:2つのノルウェーの踊り 作品63
ユーリ・バシュメット(Yuri Bashmet)(Conductor)
モスクワ・ソロイスツ(Moscow Soloists)
Recorded in Berwald Halle, Stockholm, Sweden, March 20-22, 1989
RCA Victor RED SEAL 60368-2-RC (P)(C)1990 BMG Music (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Online
チャイコフスキーの弦楽セレナーデの感想です。それにしても巧い! ものすごく巧い! バシュメットは団員を完全に統率し,団員はその細かな要求に完璧に応えています。アンサンブルの精度の高さは超一級,一体感は気味悪いほどです。「どうだ!巧いだろう!」とでも言っているかのような巧さを鼻にかけた演奏がすごく嫌みですなぁ(^^;。
弱音を巧みに活かし,フォルテやアクセントはここぞというところだけで使われているため,全体を通してどことなく静かに進行していく印象を受けます(静寂感というか...この雰囲気を上手く言い表せないのですが...)。曲を大きなフレーズでとらえ,すごく息の長い起伏を持たせています。グッときて欲しいところでスーッと入ってきたりして何度も肩すかしを食らいますが,慣れるとこれが快感に変わってきます。他の多くの演奏とは全く違う,かけ離れたところに位置する演奏に思います。この曲をこの演奏から入った人は他の演奏を受け付けられなくなるかも... それは幸運なのか不運なのか... なんて思ってしまいます。
録音はちょっと距離感があって鮮明さが足りないかなと思います。取り立てて悪いというということはありませんが,良い印象でもありません。
(Side Bからの移行記事) [チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/11/14

チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲 作品71a
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)(Conductor)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Academy of St Martin in the Fields)
London, 2/1982
Philips 411 471-2 (P)1982 Phonogram International B.V. (輸入盤)
好録音度:★★★☆
弦楽セレナーデの感想です。1968年の録音と比べると,基本路線は同じものの,意欲あふれる若者から少し落ち着きのある大人になったというような感じで,少し角が取れてソフトな印象になっています。
録音は,残響の取り込みがやや多くて音色が少々くすんでおり,許容範囲ではあるものの,若干印象は良くありません。
1968年の録音とどちらが好きか微妙なところですが,録音の良さも含め,1968年の方がどちらかといえば私の好みに合います。
このCDは,国内は廃盤のようですが,amazon.comではマーケットプレイス含めてたくさん出ています。
(Side Bからの移行記事) [チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/11/13

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
シベリウス:悲しきワルツ 作品44の1
サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)(Conductor)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Academy of St Martin in the Fields)
1968年(Tchaikovsky),1970年(Dvorak),1978年(Sibelius)
UCCD-7041(468 741-2) (P)1969,1970,1980 Decca Music Group Limited (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
チャイコフスキーの弦楽セレナーデの感想です。もう文句の付けようのないくらい完成されているという印象です。小細工なしのストレートな表現で,スタンダード中のスタンダードと言ってよいのではないでしょうか。まさに百戦錬磨,覇気があり,自信に満ち,最高の音楽をやろうという気概が感じられます。中編成の小気味よさ,見通しの良さ,音の締まりと,大編成のような響きの厚みを兼ね備えているところも良い点です。強いて言うなら第二楽章が少しやかましく,もう少しエレガントさが欲しいなというところはありますが,元々そういう指向の演奏ではないのでしょう。
録音も,古い録音のためか高域の抜けが若干悪いのが残念ではあるのですが,音の捉え方が良いのでそれでも十分に鑑賞に堪えます。
同曲における一つの理想の姿がここにあると思います。ファーストチョイスにも十分お薦めできる内容です。
(Side Bからの移行記事) [チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏][愛聴盤]
2009/10/11

ブラームス:交響曲第三番 ヘ長調 作品90
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanislaw Skrowaczewski)(Conductor)
読売日本交響楽団(Yomiuri Nippon Symphony Orchestra, Tokyo)
2008年9月10日 サントリーホール(Brahms),2009年3月21日 東京芸術劇場(Tchaikovsky)
DENON COGQ-39 (P)2009 Columbia Music Entertainment, Inc.
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
前回のブラームスに続いてチャイコフスキーのコメントです。
大きな編成での弦楽セレナーデで,豊かな響きでありながら大味になることなくきちんとしたアンサンブルを聴かせてくれます。ブラームス同様,中庸の良さを感じさせてくれる佳演ですが,あまりにまとまりすぎていてあまり心躍らないというのが不満といえば不満です。大きな編成ゆえにやや小回りが利かないというか,表現が隅々まで行き届かない面があるのは致し方なしというところでしょうか。
録音会場は異なりますが,録音の傾向はブラームスと同じです。ブラームスで出過ぎていたと感じた低音も同傾向ですが,こちらの方が若干ましかなとは思います。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/09/16

チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 ニ短調 作品70
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
デニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)(Conductor)
シュトゥットガルト室内管弦楽団(Stuttgart Chamber Orchestra)
April, 20-23, 1999, Stuttgart
MDG 321 1008-2 (P)(C)2000 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Online
解説書の後ろに載っている写真を見ると,5-5-4-3-2 という編成のようです(Vnは6-4かもしれませんが)。とても意欲的・躍動的,かつアンサンブルも緊密で,この人数で密度感のある厚い響きを出しています。乱れたり見通しが悪くなったりすることがありません。見事です。
録音ですが,直接音もそれなりにあるのですが,それ以上に残響成分が多く,ちょっと暑苦しく高域の伸びも今ひとつです。低域のエネルギー感もやや多すぎるように思います。もう少しすっきりと爽やかに捉えて欲しかったと思います。残響の許せる方であれば決して悪くないレベルだとは思うのですが,私にはちょっと多すぎます。
演奏が素晴らしいだけに少々残念に思います。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/09/15

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 ニ短調 作品70
マルコルム・レイフィールド(Malcolm Layfield)(Conductor)
ゴルトベルク・アンサンブル(The Goldberg Ensemble)
Ribchester Church, Ribchester, Lancashire, 1992
CDE 84230 (P)(C)1992 Meridian Records (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考url: HMV Online
演奏はごく普通なのですが,ちょっとせかせかしていて落ち着きがなく,また,情緒表現がぎこちない印象です。指揮が上手くないのか,アンサンブルがついて行けていないのか,よくわかりません。
録音は教会で行われたようですが,少し遠目で音源までの距離を感じ,また,残響はそれほど多くないのですが,直接音よりも間接音の方がやや多いようで,癖のある響きが乗るとともに高域のヌケも良くなく,今ひとつ冴えません。
演奏も録音も今一歩という感じで残念ながらお薦めできるものではありませんでした。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
2009/09/11

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 ニ短調 作品70
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ(チェロ独奏編曲版)
チャイコフスキー:フルートと弦楽のためのラルゴとアレグロ
バイエルン放送室内管弦楽団(Kammerorchester des Bayerischen Rundfunks)
ウェン・シン・ヤン (Wen-Sinn Yang)(Cello)
ロベルト・ファブリチアーニ(Roberto Fabbriciani)(Flute)
Studio I Bayerischer Rundfunk - Munchen (Germany) 15-18/10/2000
ARTS 47633-2 (P)2001 (C)2007 ARTS MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Online
室内管弦楽団による演奏で,編成は 5-4-4-3-1 と小編成です。全然期待せずに聴いたのですが...これはよかった! 緩急や強弱はあくまで自然,柔らかく丁寧で決して荒れず勢い任せになることがありません。アンサンブルも非常によくまとまっていて,すごく見通しが良いのも特筆できます。個性的な表現があるわけではありませんし,どちらかといえば地味な演奏ですが,よい意味で本当に優等生的です。それを物足りなく思う人もいるかもしれませんが,私は大変気に入りました。聴けば聴くほど,実はこれはすごい秀演なんじゃないかと思うようになりました。
そして録音もこれまた良くて,残響控えめで直接音を主体に弦楽アンサンブルのシルクのような質感をとても美しく捉えています。演奏同様すっきりと見通しが良いのも好感が持てます。
演奏も録音も良く,愛聴盤候補として急浮上しました。ファーストチョイスとしても十分にお薦めできる内容です。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏][愛聴盤]
2009/09/09

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 作品70
ジェラール・コルステン(Gerard Korsten)(Conductor)
ヨーロッパ室内管弦楽団(The Chamber Orchestra of Europe)
Berlin, Philharmonie, Kammermusiksaal, 3/1992
D 110467 (P)1993 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: ArkivMusic.com,amazon.com
ヨーロッパ室内管弦楽団のチャイコフスキーの弦楽セレナーデ,これは絶対に良いに違いない!と大いに期待して聴きましたが,期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。絶妙で緊密なアンサンブルに加え,パートとしてきっちりと揃っていながらも奏者一人一人の主張がそれぞれ聴こえてくるような,そんな溶け合い過ぎない弦楽器の音色がとても魅力的です。オーケストラ,各奏者の主体性の集合体として見事な音楽が形作られています。
一点だけ...弦楽セレナーデの第二楽章のトリルを皆で揃えるのはやめて欲しかった...しかもヨタっている...これは絶対に変です! トリルを揃えられるなんて,それはそれですごいのですが(^^;。
録音ですが,残響を控えめにして弦楽器の芳醇で美しい響きを明瞭に捉えていて好印象です。やや分厚めに響きを捉えていますが,各パート,各演奏者の音が分離良く聴こえてきます。私としてはもう少しすっきりと見通しよくして欲しかったところですが,それでもこれはこれで弦楽器の魅力をよく再現しています。
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏][愛聴盤]
2009/09/09

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
レスピーギ:バレエ音楽《風変わりな店》組曲
デュカス:交響詩《魔法使いの弟子》
サー・ゲオルグ・ショルティ(Sir Georg Solti)(Conductor)
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(Israel Philharmonic Orchestra)
1958年4月(チャイコフスキー),1957年5月(レスピーギ,デュカス),テルアヴィヴ
UCCD-3784(436 5572) (P)1958/59 Decca Music Group Limited (国内盤)
発売元:ユニバーサルミュージック株式会社
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
ショルティの演奏はよく「筋肉質」と表現されますが,まさにその通り!と言いたくなる演奏でした。推進力がものすごく,量感があるにも関わらずビシッと引き締まっています。情緒もへったくれもない,身も蓋もないような演奏ですが,こういうの大好きです。第二楽章までこんな調子なので思わず笑みがこぼれてしまいます。これだけのスピード感でガンガン飛ばしながら全く乱れないオーケストラも立派です。
1958年の録音で,マスターテープの問題と思われるドロップアウトのような劣化が所々で感じられるのは残念ですが,過度の響きを抑え弦楽器の音をカラッとドライに捉えています。中低域の量感があまりなく,帯域バランスとしては良くないのですが,ヌケが良くてすっきりとしているため印象は悪くありませんし,極めて状態の良いSPレコードのような音質(あくまでイメージです(^^;)が弦楽器の音色をさらに魅力ある音として再現してくれているように思います。
以上のようにオーディオクオリティは良くありませんが,私としては好録音度が高く,かなり満足のいく録音と言えます。演奏の良さも含め大当たりの一枚でした。お薦めはしませんけど(^^;
で,当然現役盤だろうと思ったのですが,HMV Onlineでは廃盤ということでした...残念!
[チャイコフスキー][管弦楽曲][弦楽合奏]
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