2018/09/15

ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
ショーソン:歌曲「終わりなき歌」作品37
ヴァン・カイック四重奏団 Quatuor Van Kuijk
2016年12月19-22日 Conservatoire Darius Milhaud, Aix-en-Provence, France
ALPHA 295 (P)2016 (C)2017 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ヴァン・カイック四重奏団は以前にモーツァルトの弦楽四重奏曲集を取り上げていました。演奏も録音も良かったので,これも聴いてみました。物語を語るように表情豊かに,生き生きと息づいていて良かったです。技術力もありアンサンブルも優秀です。
録音ですが,やや残響が多めで,直接音が主体ながら残響の影響を受けて少し音色がくすみがちであり,モーツァルトの録音に比べると少し鮮度が落ちる印象です。また少し演出臭く現実感が薄いようにも思います。モーツァルトと同じように録ってくれなかったのは残念です。とはいえ,まあ録音の水準としては悪くありません。期待が大きかったので少し辛口になってしまいました。
2018/07/16

ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
ラサール弦楽四重奏団 LaSalle Quartet
1971年6月 スイス
PROC-1100 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol. 11
好録音度:★★★★☆
参考:
TOWER RECORDSで復刻されたラサール弦楽四重奏団の名盤の一つ。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集でも述べましたが,技術面だけで言えば現代にはもっと巧い四重奏団はあるので,古いモノクロ写真を見ているような感覚を持ってしまうのですが,真摯で学究的とも思えるストイックなアプローチはそれはそれで心を打たれます。何度も聴いているとこの団体が到達した境地に少しずつ近づくようにも感じられました。
そして録音なのですが,残響は控え目に抑えられていてそれぞれの楽器を明瞭に分離よく捉えた好録音です。少し演出感があって実在感が薄いようにも思いますが,その点はまあ問題ありません。1970年代のドイツ・グラモフォンの弦楽四重奏曲録音はこのような録り方をしているものがけっこうあると思います。この録音は結構好きなのですが,最近このような録り方が少ないのが残念に思います。
それにしてもTOWER RECORDSさんはいつも良い仕事をしてくれます。感謝!
2015/08/22

サン=サーンス:弦楽四重奏曲第1番作品112
ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
モディリアーニ四重奏団 Quatuor Modigliani
2012年4月,9月
MIR188 (P)2012 mirare (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音ですが,わずかに残響感はありますが,楽器音主体で明瞭感があり,それぞれの楽器の質感も良く捉えています。少し不自然さと演出感のある録音ですが,各楽器が分離良く明瞭に聴こえるので,音楽を存分に楽しめる好録音だと思います。
モディリアーニ四重奏団は2003年の結成で,いくつかのコンクールで優勝し,イザイ四重奏団やアルテミス四重奏団などからも指導を受けたという期待の若手四重奏団とのことです(といってもすでに10年のキャリアを積んでいるんですね)。この録音を聴くと確かにその実力の高さを感じることが出来ます。
このディスクでは,珍しいサン=サーンスの弦楽四重奏曲が収められています。2枚組で1枚目にドビュッシーとサン=サーンス,2枚目はラヴェルだけ,という贅沢な収録の仕方をしています。個人的にはもう一曲くらい収録しても良かったのでは?と思いますが...
2014/05/17

ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
メロス四重奏団 Melos Quartet
Stuttgart, Liederhalle, 2/1979
463 082-2 (P)1979 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音ですが,少し残響を伴っているものの,音色そのものはクリアでヌケもよく良好です。突出した良さはありませんが,そつなく商品に仕上げているドイツ・グラモフォンらしい録音とでも言いましょうか,その中でも良好な部類にはいると思います。これが好きな音の録り方かというと微妙ですが,マイナスポイントもほとんどないので結果として良い印象となっています。
演奏も録音も良く,愛聴盤候補に急浮上してきました(^^)。買ったときにもっとちゃんと聴いとくんだっだ...
2012/09/16

ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
カルミナ四重奏団 Carmina Quartet
1992年2月 ドイツ,ヴァン・ゲースト・スタジオ
COCO-70518 (P)2003 COLUMBIA MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online,Amazon.co.jp
録音ですが,スタジオ録音と書かれていますが,そうとは思えないほどの残響が感じられます。楽器音は比較的近接でしっかりと捉えられているのでそれなりに聴こえるのですが,全体にちょっと音をギュッっと詰め込みすぎていて整理されておらずごちゃごちゃ感が否めません。元々ドビュッシーの弦楽四重奏曲自体が分厚い響きを持っているので,録音はもっとすっきりさせて曲の構造を見通しよくはっきりと聴かせるように録って欲しいところです。演奏が良いだけにこの録音は少し残念なところです。
2009/10/16

ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
オルランド四重奏団(Orlando Quartet)
Philips 32CD-25(411 050-2) (P)1983 Phonogram International B.V. (国内盤)
好録音度:★★★☆
一番最初に買ったのがこの演奏で,長い間聴き続けてきた愛聴盤です。頭の中にこの演奏のテンポ,間合い,呼吸の取り方などが刷り込まれて,すっかりこれが私のリファレンスになってしまっています。技術的に優れているだけでなく,決してそれが前面に出ず,叙情的で懐の深さが感じられるところが気に入っています。
録音ですが,それぞれの楽器音はボディ感あるしっかりした捉え方をしていて基本的には悪くないものの,やや響きの取り込みが多くて暑苦しくすっきりしないところがあります。雰囲気はそれなりに感じられるのですが,私の好みではないです。超低域のノイズがあるようで,低域の出る密閉型ヘッドホンで聴くとやや鬱陶しく感じられますが,通常の聴取環境では問題ありません。
このディスクは今は廃盤になっているのでしょうか。HMV Onlineでは見つかりませんでした(amazon.comには中古が出ています)。優れた演奏だと思いますので,再発売して欲しいものです。
[ドビュッシー][ラヴェル][室内楽曲][弦楽四重奏][愛聴盤]
| Home |
プロフィール
Author: 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227)
主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
【関連サイト】
掲載ディスク一覧: 取り上げたCD一覧(休止中)
CD試聴記: バッハ無伴奏Vn/Vc聴き比べ
ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果
T.S. @tsy227: ツィッターアカウント
TS note: 音楽・オーディオ以外の記事
メールはこちらまで
最新記事
- バーンスタイン/ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲全集(タワレコ盤)に収録されているプロメテウスの創造物序曲の最後の音の抜けについて (12/09)
- シューマン:交響曲第1番「春」,第3番「ライン」(フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団) (11/25)
- ハイドン:後期交響曲集Vol.2 第96番「奇跡」,第97番,第98番(アダム・フィッシャー指揮/デンマーク室内管弦楽団) (11/25)
- ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」,第6番「田園」(アントネッロ・マナコルダ指揮/カンマーアカデミー・ポツダム) (11/24)
- ブルックナー:交響曲第5番(1878年 ノヴァーク版)(マルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団) (11/24)
最新コメント
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):ベートーヴェン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団) ※3種類の音質比較 (12/09)
- b.c.:ベートーヴェン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団) ※3種類の音質比較 (12/09)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴィキングル・オラフソン) (11/12)
- haydn2:バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴィキングル・オラフソン) (11/05)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲(戸田弥生) (09/24)
- 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227):ショパン:練習曲集 作品10 第4番 嬰ハ短調 快速ランキング! (09/24)
- Vasilevich:イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲(戸田弥生) (09/22)
カテゴリ
月別アーカイブ
- 2023/12 (1)
- 2023/11 (8)
- 2023/10 (4)
- 2023/09 (23)
- 2023/08 (7)
- 2023/07 (13)
- 2023/06 (16)
- 2023/05 (20)
- 2023/04 (7)
- 2023/03 (20)
- 2023/02 (36)
- 2023/01 (10)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (15)
- 2022/10 (18)
- 2022/09 (24)
- 2022/08 (11)
- 2022/07 (5)
- 2022/06 (17)
- 2022/05 (12)
- 2022/04 (11)
- 2022/03 (16)
- 2022/02 (15)
- 2022/01 (19)
- 2021/12 (12)
- 2021/11 (20)
- 2021/10 (9)
- 2021/09 (18)
- 2021/08 (21)
- 2021/07 (24)
- 2021/06 (13)
- 2021/05 (14)
- 2021/04 (7)
- 2021/03 (9)
- 2021/02 (11)
- 2021/01 (12)
- 2020/12 (14)
- 2020/11 (10)
- 2020/10 (8)
- 2020/09 (25)
- 2020/08 (8)
- 2020/07 (4)
- 2020/06 (8)
- 2020/05 (13)
- 2020/04 (7)
- 2020/03 (12)
- 2020/02 (13)
- 2020/01 (7)
- 2019/12 (9)
- 2019/11 (18)
- 2019/10 (18)
- 2019/09 (29)
- 2019/08 (12)
- 2019/07 (17)
- 2019/06 (12)
- 2019/05 (12)
- 2019/04 (11)
- 2019/03 (18)
- 2019/02 (11)
- 2019/01 (5)
- 2018/12 (9)
- 2018/11 (9)
- 2018/10 (19)
- 2018/09 (31)
- 2018/08 (14)
- 2018/07 (11)
- 2018/06 (6)
- 2018/05 (16)
- 2018/04 (18)
- 2018/03 (11)
- 2018/02 (12)
- 2018/01 (15)
- 2017/12 (11)
- 2017/11 (18)
- 2017/10 (22)
- 2017/09 (10)
- 2017/08 (9)
- 2017/07 (16)
- 2017/06 (6)
- 2017/05 (21)
- 2017/04 (11)
- 2017/03 (16)
- 2017/02 (13)
- 2017/01 (18)
- 2016/12 (10)
- 2016/11 (26)
- 2016/10 (16)
- 2016/09 (15)
- 2016/08 (19)
- 2016/07 (15)
- 2016/06 (20)
- 2016/05 (17)
- 2016/04 (12)
- 2016/03 (17)
- 2016/02 (34)
- 2016/01 (7)
- 2015/12 (17)
- 2015/11 (9)
- 2015/10 (20)
- 2015/09 (14)
- 2015/08 (17)
- 2015/07 (24)
- 2015/06 (22)
- 2015/05 (21)
- 2015/04 (14)
- 2015/03 (15)
- 2015/02 (8)
- 2015/01 (13)
- 2014/12 (10)
- 2014/11 (15)
- 2014/10 (12)
- 2014/09 (8)
- 2014/08 (12)
- 2014/07 (13)
- 2014/06 (17)
- 2014/05 (13)
- 2014/04 (14)
- 2014/03 (13)
- 2014/02 (8)
- 2014/01 (13)
- 2013/12 (15)
- 2013/11 (9)
- 2013/10 (5)
- 2013/09 (8)
- 2013/08 (4)
- 2013/07 (13)
- 2013/06 (17)
- 2013/05 (11)
- 2013/04 (4)
- 2013/03 (19)
- 2013/02 (11)
- 2013/01 (14)
- 2012/12 (15)
- 2012/11 (8)
- 2012/10 (13)
- 2012/09 (26)
- 2012/08 (14)
- 2012/07 (12)
- 2012/06 (14)
- 2012/05 (10)
- 2012/04 (15)
- 2012/03 (19)
- 2012/02 (21)
- 2012/01 (24)
- 2011/12 (11)
- 2011/11 (15)
- 2011/10 (21)
- 2011/09 (8)
- 2011/08 (6)
- 2011/07 (10)
- 2011/06 (8)
- 2011/05 (13)
- 2011/04 (5)
- 2011/03 (5)
- 2011/02 (13)
- 2011/01 (9)
- 2010/12 (14)
- 2010/11 (9)
- 2010/10 (18)
- 2010/09 (14)
- 2010/08 (18)
- 2010/07 (20)
- 2010/06 (14)
- 2010/05 (15)
- 2010/04 (18)
- 2010/03 (26)
- 2010/02 (18)
- 2010/01 (22)
- 2009/12 (26)
- 2009/11 (35)
- 2009/10 (28)
- 2009/09 (24)
- 2009/08 (14)
- 2009/07 (11)
タグ一覧
※各エントリに設定中です(未完)