2023/05/21

マリア・ドゥエニャス María Dueñas (Violin)
マンフレート・ホーネック指揮/ウィーン交響楽団
2023年1月25-28日 ウィーン,ムジークフェラインザール/Synchron Stage
2022年7月22日 ベルリン,マイスターザール
4863512 (P)(C)2023 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
マリア・ドゥエニャスはスペインのヴァイオリニスト。まだ20歳の若手で,これがドイツグラモフォンへのデビューアルバムということです。収録曲は下記の通りです。
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(カデンツァ:マリア・ドゥエニャス)
シュポア:ヴァイオリンとハープのためのコンチェルタンテ第1番ト長調より第2楽章アダージョ
イザイ:子守歌作品20
サン=サーンス:ハバネラ作品83
ヴィエニャフスキ:伝説曲 Op.17
クライスラー:愛の悲しみ
協奏曲ではヴァイオリニスト自身の作曲によるカデンツァが演奏されています。ベートーヴェンの協奏曲の他に5人の作曲家(シュポア,イザイ,サン=サーンス,ヴィエニャフスキ,クライスラー)の作品g演奏されていますが,同作曲家によるベートーヴェンの協奏曲のカデンツァの演奏も別ディスクで付属しています。
それにしても若いというのになんというかもの凄く堂々としてます。テンポはどちらかというとゆっくりですが,一つ一つの音を丁寧に,力強く,しっかりとヴィブラートをかけて歌い上げています。巨匠的でありながら若手らしいフレッシュさも持ち合わせています。颯爽としたスマートな演奏をする若手が多い中で異彩を放っていると思います。素晴らしいですね。
録音ですが,ソロは少し残響のまとわりつきが気になりますが,音色への影響は少なめで,音像に立体感があり,ニュアンスも感じられソロを堪能出来ます。オーケストラは少し残響が多めですが,こちらも音色への影響は少なめで,なおかつソロを邪魔していません。私の好みの録音とは少し違いますが,協奏曲の録音として好ましいと思います。好録音です。
2023/03/25

ヴェロニカ・エーベルレ Veronika Eberle (Violin)
サイモン・ラトル指揮/ロンドン交響楽団
March 2022, Jerwood Hall, LSO St Luke's, London
LSO5094 (P)(C)London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
2023年3月31日発売予定
ヴェロニカ・エーベルレは,録音がほとんどないためか私は知らなかったのですが,注目度の高いドイツの中堅ヴァイオリニストで,日本にも何度も来日もされているようです。
演奏はキリッとした品格を備えニュアンス豊かで生き生きとした表現と透明感のある音色が素晴らしいですね。そして特徴的なのがカデンツァで,クラリネット奏者で作曲家のイェルク・ヴィトマンが,この録音のために作曲したものを演奏されています。カデンツァとしてはかなり長大で,これが好きかどうかは別として(普段聴くにはちょっとしつこいかなとは思いました),興味深かったです。また,ベートーヴェンが1790年頃に書いたというヴァイオリン協奏曲の断片も補完せずに演奏されています。いろいろと聴きどころの多いディスクだと思いました。
録音ですが,LSOの自主レーベルらしく残響は控えめで締まりがあり,癖も少なくスッキリとした音響で捉えられていてい好印象です。ソロは少し細身ですが付帯音もなく美しい音でヴァイオリンの音色を堪能出来ます。オーケストラとのバランスも自然で,協奏曲の録音として好ましく思います。ほぼ不満のない好録音です。
なおディスクメディアとしてはこの3月末に発売予定のようです。
2022/10/17

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品8
ヴィルデ・フラング Vilde Frang (Violin)
ペッカ・クーシスト指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2022年1月26,27日, 7月9-11日 ブレーメン,カンマーフィルハーモニー
Warner Classics 9029667740 (P)(C)2022 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
ヴァイオリンの音色が伸びやかで,透明感のある澄んだ高域がとても美しいです。繊細でコントロールが行き届いたニュアンス豊かなフレージングも薫り高く爽やかです。
そしてこの録音がまた良いですね。ソロはわずかに残響が被って音色に影響はあるものの,気になるほどではなく,透明感のある美しい音色を質感良く聴かせてくれます。また,オーケストラより少し前に張り出すようにフォーカスされており,そのバランスも絶妙です。これ以上フォーカスするとあざとくなるギリギリのところでしょうか。実際のバランスからすると多少不自然さはあるかもしれませんが,録音としてはこれくらいが聴きやすいと思います。オーケストラはわずかにモゴモゴしていますが気になるほどではありません。
素晴らしい演奏が良い録音で届けられたことに感謝します。
2021/03/28

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ギル・シャハム Gil Shaham (Violin)
エリック・ジェイコブセン指揮/ザ・ナイツ
2019年8月17-19日 ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ,アーロン・コープランド音楽学校,レフラック・ホール
CC20 (P)(C)2021 Canary Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ギル・シャハムのベートーヴェン/ブラームスの協奏曲録音とあらばこれは聴かなければなりません!ということで迷うことなく入手しました。
演奏は,1ナノの隙もないテクニックはさすがですが,朗々と歌うことなくサクサクとテンポ良く流れていくところがシャハム流なのでしょうか。ちょっとせかせかしているように聴こえることもあって好みは分かれるところと思いますが。でもやっぱり技術的完成度の高い演奏はそれだけで聴いていて気持ちが良いものですね。
録音ですが,やや残響が多めであり,ソロは響きが被ってわずかに音色がくすんでいるのが惜しいです。オーケストラは響きが豊かで残響の質も悪くありません。私としてはもう少し残響を抑えてタイトに仕上げて欲しかったとは思います。とまあ少し辛口コメントでしたが,オーディオ品質も良いですし,ギリギリ好録音と言っても良いかなと思いました。
2021/02/12

ヴァイオリンのためのロマンス作品40, 作品50
レナ・ノイダウアー Lena Neudauer (Violin)
マルクス・ボッシュ指揮/カペッラ・アキレイア
May 11-13, 2018 Congress Centrum Heidenheim
777 559-2 (P)2019 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集が良かったレナ・ノイダウアーのベートーヴェン。比較的好きな録音の多いcpoレーベルからということもあって聴いてみることにしました。
それで演奏なのですが,力みがないというか軽く粘らない弓遣いで,軽やか爽やかですね。押しが強くなくグイグイ来ません。その点が物足りないかもしれませんが,こういう自然体の演奏も良いと思いました。音色も透明感があり美しく,技術的にも安定していて安心して聴けます。
録音ですが,残響はそれなりにありますが,音色や明瞭感を損なうほどのことはなく,十分許容範囲です。オーケストラのサウンドが演出感もほとんどなく自然で好感が持てます。ソロも綺麗な音で録られていて問題ありません。欲を言うと協奏曲の録音としてはもう少しソロにフォーカスして質感強めに捉えても良かったのではないかと思いました。とはいえ十分好録音と言えると思います。
2021/01/31

ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
イフォンネ・スムーラース Yvonne Smeulers (Violin)
ペーター・クーン指揮/フランクフルト・ブランデンブルク市立管弦楽団
2018年8月28,29日, 2019年10月21,22日 フランクフルト,オーダー
GEN 20702 (P)(C)2020 GENUIN classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
イフォンネ・スムーラースはオランダの中堅ヴァイオリニストとのこと。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をまるでロマン派のように情感豊かに表現しています。テンポは少しゆったりとしていますが,その時間をフルに使って丁寧に,最大限の感情を込めて(力強く躍動感をもって)歌い上げています。技術も確か,音色も美しく,魅力的な素晴らしい演奏だと思います。
録音ですが,残響がもの凄いです。残響時間も長いです。ただ,特にソロは直接音もしっかりと捉えられているため,これだけの残響があっても何とか明瞭感を保っていますし,これだけの残響量がありながら音色の劣化も少なめです。全く私の好きな録音ではありませんが,印象は悪くありませんでした。ソロにフォーカスしオーケストラから一段浮き出て聴こえるのも協奏曲の録音として好ましいと思います。残響が許せる方なら問題ないと思います。ちょっと迷いましたがオマケで四つ星半としました。
2019/10/31

レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Voilin)
バイエルン放送交響楽団
録音不明
19075929882 (P)2019 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴です。ディスクは2枚組で,収録曲は下記の通りです。
ヴァイオリン協奏曲に長調作品61
七重奏曲変ホ長調作品20
6つの民謡主題と変奏曲作品105より第3番
10の民謡主題と変奏曲作品107より第1番,第2番,第6番,第7番
今回はヴァイオリン協奏曲のみのコメントです。協奏曲は弾き振りのようです。この人のソロは少し線が細めで癖がなく,ガンガン攻めてくる主張の強いタイプではないので印象は弱めですが,美しく薫り高く,そしてオーケストラに良く調和していると思います。この人の美質が活かされた良い演奏だと思いました。
録音ですが,ソロが若干弱めで引っ込みがちであり,協奏曲のソロならもう少し質感を強く,前に出てくるように録って欲しかったところですが,それでもヴァイオリンの美音はそこそこ堪能出来るだけの明瞭感と音の伸びはあるので,少々オマケですが四つ星半の好録音としました。
2019/09/22

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
クリスティアン・テツラフ Christian Tetzlaff (Violin)
ロビン・ティチアーティ指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団
2018年11月16,17日/10月30,31日 Philharmonie Berlin/Groser Sendesaal, Haus des Rundfunks Berlin
ODE1334 (P)2019 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
私の中では中堅の位置づけであったテツラフですが,今や世界屈指といっても過言ではないヴァイオリニストになったのではないかと思います。そのテツラフのベートーヴェンとシベリウスの協奏曲ということであれば,これは聴かないわけにはいきません。国内発売はまだですが,Apple Musicで試聴したところ,期待通りのワクワクする大変素晴らしい演奏であったばかりか,録音も素晴らしかったので,国内発売を待ちきれずにHDtracksから音源を購入しました(48kHz/24bit FLAC)。
今回は録音についてコメントします。まずソロの音が直接音主体で明瞭かつ伸びやかで質感豊かなのが良いです。そして,ソロとオーケストラのバランスが絶妙で,若干ソロにフォーカスされ前に張り出してきます。さらにオーケストラのサウンドにキレがあり,キリッと締まっているのも良い点です。少し残響がありますがほぼ問題ないレベルです。少しソロを強調しすぎているかもしれませんが,協奏曲の録音としてはむしろこの方がソロを堪能できて好ましいと思います。あらゆる点において標準以上,ソロもオーケストラもほぼ欠点が見当たらない好録音です。
2018/10/04

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
庄司紗矢香 Sayaka Shoji (Violin)
ユーリ・テミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
2017年10月 サンクトペテルブルク
UCCG-1811 (481 7285) (P)(C)2018 Universal Music (国内盤)
好録音度:★★★★★(ベートーヴェン),★★★★☆(シベリウス)
参考:
これは本当に良かった! 丁寧に思いを込めて朗々と奏でられるソロのなんと美しいことか。この落ち着いた優美で堂々たる演奏に器の大きさを感じます。彼女自身の手によるベートーヴェンのカデンツァも聴きものです。
録音ですが,ベートーヴェンはセッション録音,シベリウスはライヴ録音で,少し差があります。特にベートーヴェンの録音は,違和感の生じないギリギリのところまでソロにフォーカスし,ヴァイオリンの透明感と輝きのある音色,ニュアンスを明瞭に大変よく捉えていて協奏曲の録音としてほぼ不満がありません。ソロを引き立てる往年の巨匠の録音を思わせます。一方シベリウスの方は,こちらも同傾向で悪くはないのですが,音色に若干のくすみがみられ,透明感や高域の伸びがベートーヴェンに比べると明らかに落ちています。なぜベートーヴェンと同じ録り方をしてくれなかったのか,残念でなりません。
ということでこの好演奏・好録音をじっくりと堪能したいと思います。
2016/12/10

ベートーヴェン:ロマンス第1番ト長調作品40,第2番ヘ長調作品50
サルヴァトーレ・アッカルド Salvatore Accardo (弾き振り)
オルケストラ・ダ・カメラ・イタリアーナ
2005年2月 トリノ
FONE143SA (P)(C)2015 Audiophile Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴です。アッカルドの弾き振りとのことです。2005年ということですので,64歳の時の録音ですね。かつてのキレはないかもしれませんが,明るく艶やかな音色は健在,円熟した素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
録音ですが,ソロは少し響きを伴いながらも明瞭で細やかなニュアンスまで伝えてくれる好録音です。オーケストラはその後で自然な広がりを持って聴こえ,ソロとの対比,分離もきちんと取れていて,協奏曲の録音として好ましく,私でもまずまず納得できる出来です。
2015/10/12

ベートーヴェン:ロマンスト長調作品40,ヘ長調作品50
クリスティアン・テツラフ Christian Tetzlaff (Violin)
デヴィッド・ジンマン指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
30 & 31 May 2005, Tonhalle Zürich, Switzerland
94857 (C)2014 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考:
ソロもオーケストラもものすごく熱い,挑戦的な演奏。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でここまで攻める演奏はそうないのではないでしょうか。特にオーケストラのスケールの大きさ,迫力には圧倒されます。それに負けないソロも立派。時折見せる激しい情熱のほとばしりに戸惑うところもありますが,面白い演奏であることは間違いないですね。
録音ですが,ソロはやや遠めの音像で,残響の被りもあり,質感が感じ取りにくいもどかしさがあります。一方オーケストラは残響もたっぷりと取り入れていますが,濃い音の捉え方で,協奏曲としては少し過剰感があります(オーケストラだけならこういう録音もありかもしれません...もちろん私の好みではありませんが...)。もう少しソロにフォーカスし,オーケストラをすっきりと見通しよく録って欲しかったと思います。演奏が面白いだけにこの録音は少し残念に思います。
2015/07/12

ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50(*)
アルテュール・グリュミオー Arthur Grumiaux (Violin)
コリン・デイヴィス指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
エド・デ・ワールト指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(*)
録音 1974年,1971年(*)
468 114-2 (P)1971,1974 Philips Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
グリュミオーは,ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の録音を3回録音しており,これはその3回目の録音になるということです。甘美で艶やかな彼独特の音色はこの演奏においても存分に発揮され,美しいヴィブラートの効いた輝かしい演奏は本当に素晴らしいです。この点に関してはピカ一です。これも名盤ですね。
録音ですが,残響時間の長い響きがオーケストラの重厚さをより強調し,ソロはそこから一段フォーカスされてくっきりと浮かび上がるように録られているので,協奏曲としてまずまず好ましいバランスだと思います。ソロにも響きがのっていてまとわりつきが気になりますが,輝かしい音色の劣化は少なく,許容範囲です。アナログ期の一番良い頃の録音ではないかと思いますし,残響が許せる方には優秀録音かもしれません。私としてはもう少し残響を抑えたすっきりした録音にして欲しかったと思うので四つ星評価ですが。
2015/07/12

カール・ズスケ Karl Suske (Violin)
クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
1987年9月2日~3日 ライプツィヒ新ゲヴァントハウス
TKCC-30627 (P)1992 徳間ジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
録音ですが,残響がかなり多く,また,ソロにも被っているために明瞭感は少し劣ります。また音像も少し遠めです。オーケストラも残響をかなり伴っているために重厚感が増強されています。ホールで聴くバランスに近いと言えるかもしれませんが,少なくともソロはもう一歩寄って明瞭に録って欲しかったところです。多くの方に好まれる録音かもしれませんが,私は少しもどかしく感じます。演奏が素晴らしいだけに少し残念に思います。
2015/07/09

“Kyung-Wha Chung Complete Decca Recordings[19CD+DVD]”より
チョン・キョンファ Kyung-Wha Chung (Violin)
キリル・コンドラシン指揮/ウィーン/フィルハーモニー管弦楽団
1979年9月録音
好録音度:★★★★☆
参考:

オーソドックスで個性を強く出そうとする演奏ではありませんが,堂々としているだけでなく,艶めかしささえ感じる薫り高い音色が何とも言えず素晴らしいです。ヴァイオリンという楽器のそのものの魅力が最大限に引き出されています。ヴァイオリン協奏曲はこうでなきゃ,と思わせますね。さすがです。
録音ですが,この当時のデッカ録音の良い例ではないかと思います。かなり多くの残響を伴っているものの,密度が高くタイトでスケール感がありながら明瞭さ,見通しの良さを失わないサウンドが実に気持ちの良い好録音です。ソロとオーケストラのバランスも自然さを失わないぎりぎりのところまでソロにフォーカスしていて聴きやすいです。ソロの響きをもう少し抑えていれば申し分なかったのですが。惜しいところです。残響が気にならない方には全く問題ないでしょう。
2015/07/04

ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50
ヘンリク・シェリング Henryk Szeryng (Violin) ベルナルド・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1973年4月,1970年9月
442 398-2 (P)1971,1974 Philips Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音ですが,ソロは残響感がなく明瞭,オーケストラは適度な響きを伴ってソロの後ろに展開し,コントラストがきちんと取られていて協奏曲として聴きやすい録音です。ソロにフォーカスされているため,自然なバランスではありませんが,細部やニュアンス,質感がしっかりと聴き取れるので好ましいと思います。
演奏も録音も良好なスタンダード盤として初めて聴く方にも安心してお薦めできるディスクだと思うのですが,適切な現役盤が見つかりませんでした。何とも残念な状況です。
2015/07/04

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(*)
ヤッシャ・ハイフェッツ Jascha Heifetz (Violin)
シャルル・ミュンシュ指揮/ボストン交響楽団
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団(*)
1955年11月27,28日 ボストン,シンフォニーホール,1955年2月21,22日 シカゴ,オーケストラホール(*)BVCC-37221 (P)1999 BMG ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★★☆,★★★★(*)
参考:
ベートーヴェンが38分,ブラームスが35分,2曲合わせても73分しかないという超快速演奏。この2曲をこんなに余裕でCD 1枚に収められるのはハイフェッツしかいないんじゃないでしょうか。オーケストラを置き去りにして前のめりに突っ走る王様の演奏。指揮者の方も無理に合わせようとせず,自由に弾かせておいて要所で手綱を引いてうまく辻褄を合わせています。結果としてソロが生かされ上手くいっているのでしょうね。賛否は分かれるようですが,これほど協奏曲の醍醐味を堪能できる演奏はそうないという点で気に入っています。
さて録音ですが,何も言われずに聴いたとしてこれが1955年の録音だとは絶対に思わないだろう,というくらい鮮明で音の伸びもある良好な録音です。残響感はあるものの直接音主体で明瞭感は問題なし,音にもキレがあります。ソロにフォーカスされた録音なので誇張された感があり,この面での自然さには欠けるかもしれませんが,協奏曲としてはむしろ好ましいと思います。現代の録音でもこれよりショボい,音楽を楽しめない録音があまりに多いのは本当に残念なことです。
なお録音としてはベートーヴェンの方が良く,ブラームスはソロの鮮明さが落ち,位相操作されたような違和感があって少し落ちます。
2015/06/28

ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50
フランク・ペーター・ツィンマーマン (Violin)
ジェフリー・テイト指揮/イギリス室内管弦楽団
1987年11月
好録音度:★★★☆
参考:
録音ですが,残響感はそれほど強くないものの,音が硬くまたソロの音色も若干ヌケの悪さが感じられます。ソロとオーケストラの分離も悪く,ソロの質感が埋もれがちでもどかしい場面が散見されます。この録音も残念ながらEMIの録音の悪さが出てしまっています。これはとても残念です。
何度か復刻されつつも現役盤がなかったようですが,この8月にWarnerから国内盤が再発売されるようです。
2015/06/28

アンネ=ゾフィー・ムター(Violin)/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1979年9月,1980年9月 ベルリン
POCG-50050 (P)1980,1981 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
録音ですが,やや残響が多めで,ソロは少し距離感があるために音色の艶が失われています。オーケストラも残響の影響はあるものの,こちらはタイトなサウンドが維持されていてソロに比べると良好です。このオーケストラのサウンドの上にフォーカスのピシッと合ったソロが前に来るともっと良かったのですが。まあホールで聴く音響のバランスには近いと言えるかもしれません。
なお,元々はベートーヴェンが単売,ブルッフはメンデルスゾーンとのカップリングだったようで,本盤のようなカップリングはSUPER BEST 101という企画のために特別に組み合わされたと思われます。
2014/07/26

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
ヴォルフガング・シュナイダーハン Wolfgang Schneiderhan (Violin)
オイゲン・ヨッフム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1959年4月29-30日 ベルリン イエス・キリスト教会(*)
1955年1月12-15日 ウィーン コンツェルトハウス・モーツァルトザールPROC-1444 (P)1955,1959 Deutsche Grammophon (輸入盤)
Tower Records Vintage Collection +plus Vol.18 タワーレコード企画盤
好録音度:★★★★☆(*),★★★☆
参考:
ここではベートーヴェンの協奏曲のみコメントします。
解説書によると,シュナイダーハンとヨッフムの顔合わせによるベートーヴェンの協奏曲は1962年録音のものが有名だが,これはその3年前に同じ顔合わせで録音されたもので,1959年8月にドイツで発売されて以来の初めての復刻ということです。カデンツァはベートーヴェン自身がピアノ協奏曲に編曲した際に書いたものをシュナイダーハン自身が編曲したものだそうです。演奏自体の素晴らしさに加えて,このカデンツァも聴き応えがあります。
このベートーヴェンは1959年の録音ですが最初期のステレオ録音とのことです。しかしこの録音には驚きました。ソロのヴァイオリンの音色がものすごく魅力的なのです。わずかに残響を伴っていますが楽器音への影響はほとんどなく,極めて明瞭で,極めてヌケの良い,まるですぐ近くで私のために弾いてくれているような音なのです。こんなに気持ちよくヴァイオリンの音色を楽しめる録音に出会ったのは久しぶりです。
オーディオ的には音が痩せ気味で中低域の厚みが不足し,粗さもありますが,1950年代という50年以上前の録音であるということを考えると十分に良好ですし,鑑賞に問題はありません。ただしこれはソロだけで,オーケストラの方は並で特筆すべきところはあまりありません。また,ホールで聴くような自然な音響では全くありませんのでこの点はご留意ください。
しかし! この録音には重大な問題があります。カデンツァになると,それまでの気持ちよい音色が一変して曇ってしまうので,おかしいと思って良く聴き直してみると,どうもカデンツァの部分だけ人工的に残響が加えられ,疑似ステレオ処理が強めにかけられているようなのです。当時制作されたマスターテープ自体にこのような処理が加えられてしまっていたのかは不明ですが,演奏家および音楽愛好家をナメた非常に頭にくる加工です(怒)。せっかくの透明感ある美音が台無しです。こういうことは本当にやめていただきたい。もし今回の復刻で手が加えられたのなら,無加工のもので出し直して欲しいものです。
なお,ステレオ録音との記載がありますが,確かに左右の音が若干異なるのですが,WaveSpectraというソフトでリサジュー波形を見る限りほぼモノラルに近いです。カデンツァの部分は左右の相関が明らかに低くなるのがリサジュー波形でもはっきりわかりますので,手が加えられているのは明白です。
こういう貴重な音源の復刻に力をいれているタワーレコードには本当に感謝するのですが,復刻の内容にも気を配っていただきたいと思います。
2014/07/21

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」
ヴェラ・ベス(Violin),ヨス・ファン・インマゼール(Fortepiano)
ブルーノ・ヴァイル指揮/ターフェルムシーク・バロック管弦楽団
Kursaal, Bad Tolz, Germany, September 8-10, 1997
SK 63365 (P)(C)1998 Sony Music Entertainment Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考(全集盤):
ピリオド楽器が好きな方にはたまらない演奏なのかもしれません。しかし,私が苦手とするピリオド楽器演奏の典型例とも言えます。ノンビブラートの音色は澄んでいて美しいのですが弦楽器としての魅力が薄いですし,オーケストラは勢いと推進力には溢れますが,リズムが切り立ちすぎでガチャガチャとうるさく感じられます。ヴァイオリンのソロは強拍以外ののばす音や細かいパッセージが弱々しく聴き取りづらくもどかしいです。苦手なら聴くなよ!と言われればその通り! 失礼しました。
録音ですが,やや遠目の音像で間接音が主体,響きの被りが気になりますが,ピリオド楽器特有の透明感は何とか感じられます。ただ,楽器の質感が掴みづらく現実感が希薄です。直接音主体でもう少し各楽器の質感を強めに出してくれると良いのですが。
このディスクは1枚ものとしては廃盤ですが,ピアノ協奏曲全集を含む限定盤ボックスセットとして最近復刻されたようです。まだ入手可能ですね。
2014/07/20

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
アーロン・ローザンド Aaron Rosand (Violin)
デリック・イノウエ指揮/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded in May, 1998, Salle Garnier, Monte Carlo
VXP 7902 (P)(C)1998 Vox Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
私にとってローザンド氏は愛すべきB級ヴァイオリニストの代表格なのですが(ゴメンナサイ...でも良い意味にとって欲しい(^^;),この演奏でもその期待を裏切りません。非常に明快でネアカなベートーヴェンとブラームス。彼だからこそ出来るとても楽しい演奏,いいですねぇ。オーケストラもそれに呼応するように元気があってとてもよろしい。思わずニヤニヤしながら聴いてしまいます。ベートーヴェンのカデンツァはハイフェッツによるもので,これも聴きものです。
録音ですが,ソロもオーケストラも残響を抑えて明瞭に捉えられていてますし,ソロが浮き出るように少しフォーカスされているので,協奏曲として聴きやすい録音です。自然さにはかけるかもしれませんが,私の好きな録音です。オーディオ的なクオリティは標準的ですが,もう少し高域の伸びがあると良かったとは思います。
2014/07/18

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
ローラ・ボベスコ Lola Bobesco (Violin)
エドガール・ドヌー指揮/ベルギー国立放送新交響楽団
録音不明
DOM 2910 501X (P)(C)1982/1995 Classic Talent (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
ヴァイオリンという楽器の魅力がたっぷりと詰まった演奏ですね。ブラームスのヴァイオリン・ソナタでもその香り高さが素晴らしかったのですが,この演奏でもそれに通じる色香が感じられます。この人の熱烈な支持者の方が結構いらっしゃるというのも頷けます。こういった魅力的な音色を持った演奏家が昨今すっかりいなくなってしまったように思うのは私だけでしょうか。
録音ですが,ソロは若干残響の影響が多く出て私の好みではありませんが,それでも魅力的な音を十分に堪能できるという点で,この録音はまずまず良好ということが出来るかもしれません。むしろオーケストラの方が残響が抑え気味で締まった音響で録音されていて好感が持てます。ソロがもう少しすっきりと録音されていたら言うことはなかったのですが。
このディスクも現在は入手性が良くないのが残念です。
2014/07/12

ベートーヴェン:ロマンスヘ長調作品50
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
アンドリュー・デイヴィス指揮/フィルハーモニア管弦楽団
St. Peter's Church, Morden. January 1988.
OS6080 (C)1992 Academy Sound and Vision (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
シュムスキーというヴァイオリニストはつくづく不器用なヴァイオリニストだと思ってしまうのですが,不器用であるが故に彼はより真摯に曲に向き合い,愚直に演奏をしてきたのだろうと思います。それが聴く者の心を捉えるのでしょう。このベートーヴェンを聴いて一層強くそう思うようになりました。そういう彼の持ち味が生かされた良い演奏だと思います。
録音は協奏曲としてはごく標準的です。残響もあり楽器音に被って少し音色を損なっていてすっきりしないところはあります。悪くはありませんが良くもない,少し半端な感じのする録音です。一応許容範囲ですが。
この録音は現在は少し入手しづらいようです。今年1月に発売されたシュムスキー・ボックスには残念ながら含まれていませんでした。
いつもお世話になっている読者の方から,録音年月を教えていただきました。有り難うございました。(2014/7/16)
2013/05/05

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
クララ・ジュミ・カン Clara Jumi Kang (Violin)
パスカル・ヴェロ指揮/仙台フィルハーモニー管弦楽団
2010年5月, 6月 第4回仙台国際音楽コンクールにおけるライヴ録音
Fontec FOCD9490 (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online
コンクールで優勝するだけあって大変上手いです(ライヴなので多少の傷はありますが)。音色もヴィブラートが綺麗ですし輝きがあり素晴らしいです。素性の良さを感じます。基本的には私はこういうフレッシュで擦れていない素直で懸命でひたむきな演奏は好きです。ただ,演奏家として第一線で活躍し続けるには,ここからどのように成長していくかが問われるのでしょうね。これからのご活躍を楽しみにしたいと思います。
録音ですが,これがまた良いのです。ほんのわずかに響きを伴っているものの,ソロは適度にフォーカスされてオーケストラから浮き上がり,ニュアンスまで明瞭に聴き取ることが出来ます。オーケストラも音にキレがありくっきりとしながらもソロを邪魔することがなくしっかりと下支えしています。これも協奏曲の録音としてはほぼ満足できる出来です。
なお,このディスクは読者の方からご紹介いただきました。本当に有り難うございました。
2013/03/09

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
イザベル・ファウスト Isabelle Faust (Violin)
クラウディオ・アバド指揮/オーケストラ・モーツァルト
2010年11月 Auditorio Manzoni, Bologna
HMC 902105 (P)2012 harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online
録音ですが,残響が多めで明瞭感,楽器の質感が少し失われていますが,高域の伸びは悪くありません。しかし,音色のバランスはやや崩れていて少しわざと高域を持ち上げて補正したような不自然さがあります。少しソロが遠めで質感を感じにくいもどかしさを感じますが,全体としては綺麗なサウンドで,まあ良いのではという印象です。もう少し残響を抑えてすっきりと,そしてもう一歩ソロに近寄ってくっきりと質感良く録って欲しかったとは思いますが。
2009/11/20

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第一番 ト短調 作品26
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin)
ミヒャエル・ザンデルリンク(Michael Sanderling)(Conductor)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
23-25.05.04, Jesus-Christus-Kirche, Berlin-Dahlem
Berlin Classics 0017712BC (P)(C)2005 edel CLASSICS GmbH Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online
最近贔屓のヴァイオリニストとなったショルツ氏。このベートーヴェン,ブルッフも期待通りの好演奏でした。歌心溢れるヴァイオリンの音色は凛としてどこまでも透明で美しく艶があります。この音色が聴けるだけで私としては大満足です(もちろん演奏自体も堅実で良いですよ)。
オーケストラはハイドンやモーツァルトに比べると少し編成を大きくしているようですが,ショルツ氏の美しい音に合うのはやっぱり小編成のすっきりしたオーケストラの音かなと思います。ハイドンやモーツァルト並みの編成なら,他にないもっと独自性のある演奏になったんじゃないかと思うのですが,ベートーヴェンやブルッフでは変ですかね...
ちなみにベートーヴェンのカデンツァは,第一楽章がヨアヒム,第三楽章がクライスラーです。
録音は,ヴァイオリンのソロは若干響きを伴っているものの,鮮明かつ透明感ある音で捉えられていてかなり良いと思います。オーケストラの方は残響の影響を受けて少し明瞭感が失われていますが,それほど悪くないです。
(Side Bからの移行記事) [ベートーヴェン][ブルッフ][室内楽曲][ヴァイオリン]
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