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シューマン:交響詩全集(準・メルクル指揮/NHK交響楽団)

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シューマン:交響曲全集
準・メルクル指揮/NHK交響楽団
2006年7月12-15日 東京,すみだトリフォニーホール
OVCL-00321 (P)(C)2008 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo(Vol.1)/(Vol.2),Apple Music

録音のせいかもしれませんが,骨太の堂々としたシューマンだなと思いました。こういう演奏のためかオーケストラは少し音が粗めです。昨今のスマートなシューマンとは異なる,どちらかと言えば少し古い世代の演奏に聴こえました。これはこれで聴き応えがあり良かったです。また,埋もれがちな内声を少し強めに出して聴こえるようにしているのも面白いです(ヴィオラの努力が報われている!)。

録音ですが,残響はやや長めで,ややまとわりつきが鬱陶しく感じられることと,フォルテでサウンドの密度が高すぎて混沌とし暑苦しく感じられるところはあるものの,弦楽器がしっかりと聴こえること,やや誇張した音作りで聴きたい楽器の音が聴こえてくることなどから,トータルのイメージとしては悪くありません。もう少しスッキリと録って欲しいとは思いますが。少しオマケですが四つ星半の好録音としました。

シューマン:交響曲第1番「春」,第4番(フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団)

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シューマン:交響曲第1番「春」,第4番(1841年初稿)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
2018年12月16-18日,2019年6月16-18日 ケルン・フィルハーモニー
MYR028 (P)(C)2020 myrios classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

録音との相乗効果もあるとは思いますが,これは超軽量級と言える仕上がりです。シャリーンとガラス片が鳴っているかのようなサウンドも独特です。そして個々の楽器の音像が小さめで分離も良いため,見通しが良い,を通り越してスカスカという感じです。シューマンの交響曲の音数の少なさが際立ちます。天上的サウンドは美しいのですが個々の楽器の質感が希薄で現実感があまりありません。

おそらく狙い通りの演奏・録音なのでしょうし,今までにない透明感のある美しい響きを実現しているとは思うものの,弦楽器が奥まりすぎて生々しさが失われてしまっているのは少々不満に思うところです。好録音とは思いますが,もう少し弦楽器の質感を強めに生々しさを出して欲しかったなと思いました。

いろんな面で考えさせられる演奏,録音でした。

シューマン:交響曲全集(レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2/1984, 10/1984, 11/1985 Wien, Musikverein, Grosser Saal
453 049-2 (P)1985/1986 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

シューマンの交響曲第1番は唯一演奏したことがある愛着のある曲で,演奏した当時ちょうどこのバーンスタインのディスクが発売になって聴き込んだ記憶があります。それ以来このバーンスタインの演奏は私にとってのスタンダードなのです。颯爽とすっきりとした演奏が多くなった昨今においてはこの厚みのある壮大な響きは少し古くなったなと思いますね。でも聴き慣れたこの演奏は私の耳に良くなじんでくれます。

録音ですが,この時代のドイツ・グラモフォンの標準的な録音という感じがします。残響はあるもののそれぞれの楽器音はそれなりの音色で収められています。しかし少し演出感があり実在感,生々しさは希薄で,この点は不満が残ります。悪くはないのですが好録音というには少しもの足らないです。惜しいです。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲第1番,第3番「ライン」,マンフレッド序曲(ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団)

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シューマン:交響曲第1番,第3番「ライン」,「マンフレッド」序曲
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団

2019年2月10日, 2月7日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0844 (P)2020 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

交響曲第2番,第4番はすでに発売されていますので,これで交響曲全曲録音プロジェクト完結です。基本的に演奏も録音も交響曲第2番,第4番と揃っています。録音の良さもあるのですが,雑味のないスッキリとした綺麗なサウンドが大変魅力的です。音楽の見通しも良く埋もれがちな内声まで聴こえてくるところもいいですね。

演奏も録音も良く好みであり,お気に入りの全集になりそうです。

シューマン:交響曲第2番,第4番(フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団)

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シューマン:交響曲第2番,第4番
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/アントワープ交響楽団
2018年6月18-20日, 2018年4月17-19日 ベルギー,アントワープ,エリザベート王妃記念音楽堂
PHI LPH 032 (P)(C)2019 OUTHERE (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ヘレヴェッヘは1996年/2006年にシューマンの交響曲全集をピリオド楽器のオーケストラのシャンゼリゼ管弦楽団と録音しています。今回はモダン楽器のオーケストラです。Apple Musicで試聴してみました。これも録音についてのみコメントします。

残響は少し多めに取り入れられていて,しかも残響時間長めです。ですが,直接音もそれなりに感じられること,音色のバランスが絶妙に調整されていて曇りも少なく,高域の伸びもギリギリ確保されていることなどから,最初は「ん?」と思ったものの,聴き慣れるとまあ意外に聴けるというのが正直な感想です。弦楽器の質感が良いためかもしれません。好みの録音とはだいぶ違いますが,まあまあ許容範囲かなと思いました。この録音ならまぁ多くの人に受け入れられそうな気がします。音も滑らかで緻密であり,オーディオ品質も悪くありません。

残りの第1番,第3番も録音されて全曲盤となることを期待します。

シューマン:交響曲第2番,第4番,他(ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団)

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シューマン:交響曲第2番,第4番,序曲「ゲノフェーファ」
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/ロンドン交響楽団
2018年3月12日, 3月16日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0818 (P)2019 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ガーディナー指揮ロンドン交響楽団のシューマン交響曲全曲録音プロジェクトの第一弾とのことです。ガーディナーは1997年にオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークと全曲録音していますので20年以上ぶりとなります。第4番は1841年のオリジナル版で演奏しているとのことです。ロンドン交響楽団はモダン楽器オーケストラですが,弦楽器の響きがノンヴィブラートのようであり,それが独自の効果を出していてガーディナーらしさが出ているのではないかと思います。キレの良い推進力のある音楽作りも良いですね。

録音ですが,残響はそれなりにあるものの,響きはタイトに締まり,楽器音へのまとわりつきが少なく,明瞭で伸びがあり,見通しも良いと思います。ちょっと高域はきつめかもしれません。この録音も先日取り上げたシャイーのR. シュトラウスのようにフォルテの平均音圧が高めで,こういうマスタリングが普通になってきたのでしょうか。まあ違和感もそれほどなく許容できるかなと思います。

これは全曲録音完成が楽しみになってきました。期待して待ちたいと思います。

シューマン:交響曲全集(ジェームズ・レヴァイン指揮/フィラデルフィア管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ジェームズ・レヴァイン指揮/フィラデルフィア管弦楽団
録音 1977-78年 フィラデルフィア,スコティッシュ・ライト・カテドラル
88697771362 (P)1981 (C)2010 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

先日1987年と1990年にベルリン・フィルと録音された全集を取り上げましたがこちらはその約10年前に録音されたフィラデルフィア管弦楽団との全集です。レヴァインがまだ33,4歳の時の録音とのことです。演奏は,明るく快活で,そして響きが綺麗ですがすがしいです。この曲が持つ美しさを素直に表現しているようでいいと思いました。

録音ですが,残響は控えめで音にキレがあり,見通しが良くスッキリしています。この演奏の良さを引き立てる好録音です。

ディスク自体は入手しづらいようでちょっと残念な状況です。Apple Musicで聴けるのは有り難いことです。

シューマン:交響曲全集(ズービン・メータ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ズービン・メータ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1976, 80, 81年 Sofiensaal, Vienna, Austria
476 9771 (P)1977,81,83 (C)2007 Universal Music Australia (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ウィーン・フィルを力強くドライブした勇壮に攻める演奏ですね。こういうふうに演奏するならなにもウィーン・フィルでなくてももっとふさわしいオーケストラがあるのでは,と思うのですが(^^;。でもまあ嫌いではありません。まだ若いメータの挑戦的な演奏ということで楽しめました。

録音ですが,第1番と第4番はアナログ録音,第2番と第3番はデジタル録音ということで,アナログ完成期とデジタル黎明期の過渡期の録音になります。ただ聴いた感じではそんなに差はなくそれなりに統一感が保たれています。やや残響が多めのために,フォルテのところではちょっとガチャガチャとうるさく感じられ,細かい音がかき消されて聴き取りづらいように思います。もう少し残響を抑えスッキリと見通しよく録って欲しいところです。

タグ: [交響曲] 

ラファエル・クーベリック・コンダクツ・グレート・シンフォニーズ(バイエルン放送交響楽団)

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ラファエル・クーベリック・コンダクツ・グレート・シンフォニーズ (7 CDs)
ラファエル・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団
1978年-1980年 ミュンヘン,ヘルクレスザール
88697884112 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

収録曲は以下の通りです。

モーツァルト:後期交響曲集(No. 35, 36, 38, 39, 40, 41)
シューマン:交響曲全集
ブルックナー:交響曲第3番,第4番


一音一音をあるべき場所に丹念に配置していくような丁寧な演奏で,特にモーツァルトでその傾向を顕著に感じました。スピード感や推進力を感じる演奏ではない点,私の好みとは異なるのですが,これはこれで興味深く聴くことが出来ました。

録音ですが,オーケストラ録音としては標準的な部類に入ると思います。残響はありますが過剰にならず,楽器音が比較的明瞭に質感良く聴ける点でまずまずの好録音と言えます。ただし,欠点の少ない無難なまとめ方をしているのですが,個人的にはもっと楽器の質感を強めに出し,もう少し分離感良く録って欲しいとは思っています。少々オマケですが四つ星半です。

シューマンの交響曲を聴きたくて入手したボックスセットですが,その他の曲も好きなので楽しんで聴くことが出来ました。

シューマン:交響曲全集 "Complete Symphonic Works"より (ハインツ・ホリガー指揮/ケルンWDR交響楽団)

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シューマン:交響曲全集 "Complete Symphonic Works"より
ハインツ・ホリガー指揮/ケルンWDR交響楽団
録音 2012年 ケルン・フィルハーモニー
AU21450 Audite (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

Apple Musicで試聴。曲目は参考に挙げたURLをご参照ください。シューマンの交響曲では,第4番が,1841年原典版と1851年改訂版の両方が演奏されているのが興味深いです。明記されていませんが,第1番はマーラー版ではないかと思いました。ヴァイオリン協奏曲ではパトリツィア・コパチンスカヤがソロを務めています。ここでは交響曲のみのコメントです。

交響曲の演奏は,速めのテンポでキビキビとしていて,かつ,統率が行き届いているので音色が大変滑らかです。若干癖はありますが新鮮さを感じさせる演奏でなかなか良いと思いました。

録音ですが,少し残響があるのと少しオフマイク気味なのか楽器の質感が弱めで少し明瞭感は犠牲になっていると思いますが,基本的に音色のバランスは悪くなく,低域も量感があるにも関わらず締まっていて中高域に被らず悪くありません。全体として不満はあるもののまずまず良好で,少々オマケですが四つ星半としました。

シューマン:交響曲全集(ジェームズ・レヴァイン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ジェームズ・レヴァイン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1987年(第2番,第3番),1990年(第1番,第4番)
4429232 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,HMV Onlineicon

レヴァイン2回目の全集でしょうか(1回目は1970年代 フィラデルフィア管弦楽団)。第2番はマーラー版を使用しているとのこと。レヴァインらしい快活で明快な演奏だとは思うのですが,コントロールという面でベルリン・フィルをきちんとコントロールしきれていないというか,完成度の面で追い込みきれていないような気がしました。その結果,オーケストラの音がギスギスと荒れているようにも聴こえました。

録音ですが,この頃のレヴァインのドイツ・グラモフォンらしい明瞭さを持つ録音だと思います。が,この演奏においてはこの録音がオーケストラの粗が見えすぎてしまい,裏目に出てしまっているのではないでしょうか。まあ録音自体はもちろんそんなに悪くないと思うのですが。

ということで,これは少し残念でした。フィラデルフィア管弦楽団との全集も聴いてみたいと思います。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲全集(ジュゼッペ・シノーポリ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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シューマン:交響曲全集
ジュゼッペ・シノーポリ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
1992å¹´-1993å¹´ Dresden, Lukaskirche
00289 477 9782 (P)1995 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

シノーポリの指揮はあまり聴いた記憶がないのですが,時々独特の癖のある表現がみられて面白いと思いました。それにしてもこの録音は少し残響が多く,残響時間も長いため,細部が混沌として不明瞭であり良く聴き取ることが出来ず,私としてはあまり楽しむことが出来ませんでした。音色のバランスは意外に良いとは思うのですが。残響が気にならない方でもこれは少し多すぎではないでしょうか。せっかくのシュターツカペレ・ドレスデンの演奏なのに残念でなりません。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲第1番「春」,シューベルト:交響曲第3番(マリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送交響楽団)

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シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
シューベルト:交響曲第3番ニ長調D200
マリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送交響楽団
2018年3月21-22日,2015年1月26-30日 ヘルクレスザール
900176 (P)(C)2019 BRmedia Service (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

シューマンの交響曲第1番は好きな曲なのと,このシリーズは比較的録音が好みのものが多かったので入手しました。カバーピクチャのヤンソンスが急におじいちゃんになっちゃった感がありましたので演奏がちょっと心配になりましたが,若々しく溌剌とした推進力のある演奏で,この点は杞憂でした。少しオーケストラを派手に鳴らしすぎにも思いましたが,これだけの躍動感を得るためには仕方なかったのかもしれません。でも良いと思います。

録音ですが,やや残響が多めで中域に変な癖があり,やかましく感じられるのが惜しいです。直接音成分もそれなりにあって悪くはないのですが,やっぱりもう少し響きを整理してスッキリと見通しよく録って欲しいです。一方で中低域の締まりのある響きは充実感があって良いと思います。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲全集(クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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シューマン:交響曲全集
クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
2018年10月31日, 11月1日 東京,サントリーホール
19075943412 (P)2018 Unitel (C)2019 Sony Music Entertainment Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

昨年秋に東京,サントリーホールで行われた演奏会の録音です。

ティーレマンの指揮は巨匠風の独特の癖があるのでどちらかと言えば苦手なのですが,このシューマンはそういった癖はあまり感じられず,伝統的で落ち着いた風格のある演奏のように思いました。また,オーケストラから重心の低い充実した響きを引き出しつつ,重くなることなく整理された見通しの良さをも両立させている点も良いと思いました。オーケストラを良く掌握し持ち味を上手く引き出しているのだと思います。

録音ですが,残響の影響か音にキレがなくわずかにモゴモゴした印象を受けるものの,響きは締まっていて見通しも良く,また,音色にも色づけがなく自然であり演出感も少ないです。ライヴ録音として好ましくまずまずの好録音と言えると思います。

演奏も録音も良いディスクでした。

シューマン:交響曲全集(ポール・パレー指揮/デトロイト交響楽団)

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シューマン:交響曲全集,マンフレッド序曲
ポール・パレー指揮/デトロイト交響楽団
録音 1953-58年 デトロイト
PROA-247/8 (P)1954/1956/1957/1958 Decca Music Group (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.7
好録音度:★★★★☆(第1番),★★★★(第2番,第3番),★★★☆(第4番)
参考: Tower Records

タワーレコードの企画盤。古い録音なのですが,好録音が多いマーキュリーの録音ということで楽しみでしたが,ほぼ期待通りというところです。以下録音についてのみですがコメントします。

第1番は1958年3月の録音ということで,この中では最も新しい録音でした。もちろんオーディオ的なクオリティは時代相応という面は否めませんし,音色が古臭いのは仕方ありませんが,とはいえ低域から高域まで鑑賞にはぎりぎり不満のない帯域感と音の伸びがありました。また,残響の取り込みもかなり少なく各楽器の音を明瞭に分離よく捉えており,クオリティの問題を感じさせない出来です。これが本当に60年以上前の録音なのかと驚きます。

第2番は1955年12月,第3番は1956年11月ということで,1950年代半ばの録音ですが,音の録り方は第1番に近くて良好なのですが,クオリティ面で高域の帯域不足が否めず,また,特に1955年の第2番は大音量時の飽和感が古さを感じさせてしまいます。しかし,この年代にステレオでこれだけの音で録れたというのはやはり驚きです。

第4番は1953年12月のモノラル録音で,さすがにここまで古いと録り方が良くても古びたおとで鑑賞にはやや物足りないというのは仕方ないですね。

すべて第1番のクオリティだと良かったのですが,1950年代の録音技術・録音機材の進化がわかる面白い全集でした。

シューマン:交響曲全集(マーラー編曲版と通常版)(リッカルド・シャイー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集(マーラー編曲版)
リッカルド・シャイー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2006, 2007年 ライプツィヒ,ゲヴァントハウス
478 0037 (P)(C)2008 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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シューマン:交響曲第1番「春」,第4番
リッカルド・シャイー指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音 1990年代前半?
好録音度:★★★★
参考:Apple Music

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シューマン:交響曲第2番,第3番「ライン」
リッカルド・シャイー指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音 1990年代前半?
好録音度:★★★★
参考:Apple Music

いずれもApple Musicでの試聴です。おそらくいずれも現役盤はないと思います。マーラー編曲版のほうは若干在庫があるようですが,アムステルダム・コンセルトヘボウとの通常版?の方は入手不可能ではないにせよ手に入れにくいように思います。こういうものが気軽に聴けるというのは有り難いことです。

さてマーラー編曲版を第1番から聴いてみて,のっけからあれ?あれ?音の高さが低い?楽器が違う?という感じだったのですが,聴き進めていくと,いろいろと違うのはわかるのですが,何がどう違うのか具体的に示せと言われると困ってしまうというところです。まあこのあたりは分析的に聴く能力のない素人の限界ということで(^^;。

シューマンは一般的にオーケストレーションが下手と言われていると思います。マーラー編曲版を聴くと,確かに響きが整理されていたり,厚みを増して下支えがしっかりとしていたり,などと感じるところはありました。ただ,それは録音によるものかもしれないですし,オーケストラの違いによるものなのかもしれないし,その本質を感じ取れているのかはよくわかりません。また,マーラー編曲版と明記されていない演奏であっても,部分的にマーラー編曲版の成果を取り入れていたり,指揮者独自の判断で改変を加えているということも普通に行われていると聞きます。

まあいずれにしてもこれらの演奏を,わかる・わからないはあるにせよ,あれこれ考えながら聴くのがクラシック音楽の楽しみなのであって,個々人がそれぞれの思いで楽しめばいいんだよね,と思いました。この演奏に関してWebを検索すると,かなり細かく違いを考察されている方もいらっしゃるので,そういうのも拝見しながら聴くといろいろと発見があって楽しめました。

音楽愛好者の立場から勝手に言わせていただくと,出来ることなら,全く手を加えていない素の演奏と,マーラー編曲版の演奏を,同じ指揮者,同じオーケストラで,同時期に,同条件で録音するというような酔狂な企画があるとうれしいんだけど,どなたかやってくれないですかね?

最後に録音ですが,通常版の方は1990年代前半の録音と思われますが,残響が多めで各楽器の分離も良くなく,全体のまとまりはあるかもしれませんが,明瞭感に乏しくあまり良い印象ではありませんでした。その点,マーラー編曲版の方がやや分離感,楽器の質感は良くマシではあるのですが,かつての最も良い頃のデッカの録音からすると,それほど録音に魅力を感じません。特にマーラー編曲版と銘打ってリリースするような企画なのですから,明瞭で分離感の良い録音のほうがより楽しめると思うのですが。

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シューマン:交響曲全集(マイケル・ティルソン・トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団)

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シューマン:交響曲全集
マイケル・ティルソン・トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団
2015-2016年 サンフランシスコ,デイヴィス・シンフォニー・ホール
SFS 0071 (P)2017 San Francisco Symphony (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

拍手の入るライヴ録音。大オーケストラを存分に鳴らした重厚な堂々たる演奏。落ち着き払った風格を感じさせる一方で,昨今の軽めでスピーディな演奏に慣れた耳にはやや重く感じられます。個人的には軽量級のシューマンの方が好みなので,私の好みからすると少し外れているかなと思います。

録音ですが,曲毎に少しばらつきはあるものの,概ね揃っています。残響を多めに取り入れ,豊かな響きで大オーケストラのサウンドを演出しています。この演奏に合った録音ではあると思います。ライヴとしては少し演出が過ぎており,生々しさに欠け,ライヴの録音とは思えませんでした。豊かな残響が好みの方であれば問題ないかも知れませんが,私には少し演出過剰な録音と感じられました。

ということで,私の好みに合うものではなかったのが残念ですが,MTT&SFSに私の好みを求めること自体が間違っているのかもしれません。これはこれでありかと思います。

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シューマン:交響曲全集(パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)※映像作品

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シューマン:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2012年 ブレーメン,ピール2
711908 (C)(P)2012 C Major (輸入盤) ※DVD
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

HMV Onlineの解説によると,この映像作品の収録会場ピール2は,ブレーメン港にあるかつて造船所であった建物で,現在はロックコンサートなどが行われるイベントスペースで,ロックやポップス,ミュージックビデオで育った人々を感動させるドキュメンタリーを制作することを目的としたとのことです。

映像作品としてはテレビ番組でのスタジオライヴ的な撮り方で,一般的なクラシックのコンサートビデオとは趣がかなり異なります。カメラもアームで大きく移動させながら撮影するなど,その目的に合わせた撮り方をされているようです。凝ってはいますが,個人的にはちょっと落ち着いて鑑賞できないのであまり良いとは思いませんでした。

一方録音に関しては,邪魔になる残響がほとんどなく,直接音主体に明瞭感に優れ力強く締まっていて,そして,演出感のない極めて自然で生の質感を大切にした録音に好感が持てました。ライヴの録り方としてはかなり好みです。しかし一方でオーディオ的なクオリティはあまり良くなく,特にバックグラウンドのノイズのレベルが相当高く,弱音部ではブーンというハムノイズにも似たノイズが気になります。これはクラシックコンサートの会場でない以上仕方がないかもしれませんが,もう少し配慮が欲しかったところです。録り方が良いだけに惜しいと思います。

演奏は中規模の室内管弦楽団の機動力を活かしキビキビとしていると同時に,ダイナミックで躍動感があり,また,技術的にも申し分なく,心躍る素晴らしい出来だと思います。同時期に録音されたセッション録音よりも,録音含めたトータルとしてはこちらの方が好きかもしれません。

こういうのをセッション録音でキチッと録って欲しいものです。

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なお,このボックスセットにはドキュメンタリーのディスクも同梱されていました(未視聴です)。なお,私が入手したのはDVDですが,Blu-rayディスクもありました。

シューマン:交響曲全集(ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
Paris,the Cite de la Musique, November 2012
00280 479 2437 (P)(C)2014 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

中規模の編成によるシューマンの交響曲も珍しくなくなってきましたが,シューマンはこれぐらいの編成がちょうど良いと思う私にとってヨーロッパ室内管弦楽団はうってつけの団体です。そしてこの演奏はその期待を裏切りません。速めのテンポでキレのよい超軽量級の演奏です。ライヴですが演奏の精度も良くこのあたりはさすがです。

一方この演奏からはシューマンの一種独特な病的薄気味悪さはすべて排除されていると言って良いほどに軽く明るく躍動的で,私はこういうのが好きなのですが,シューマンらしさという点では賛否があるかもしれません。

そして録音なのですが,多少の残響はあり,中域に癖のある響きがのって少々うるさく感じられるところはありますが,サウンドにキレもありますし見通しも良好です。不満はゼロではありませんが,この団体の機動力を活かす好録音だと思います。

シューマン:交響曲全集(スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団)

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シューマン:交響曲全集
Stanislaw Skrowaczewski the complete oehmsclassics recordings - 90th birthday collectionより
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団
2007年3月20-23日, 11月 Großer Sendesaal des SR
OC 090 (P)(C)2013 OehmsClassics Musikproduktion (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

これも出来心で手に入れてしまったボックスセット(^^;。このボックス発売当時はまだご存命で90歳を記念して制作されたようです。以下の曲が収録されています。28枚組です。

ブルックナー:交響曲全集(第00番,第0番を含む)(1991-2001年)
ベートーベン:交響曲全集(2005-2006年)
シューマン:交響曲全集(2007年)
ブラームス:交響曲全集(2011年)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲,ディヴェルティメント(2002年)
ベルリオーズ:幻想交響曲作品14,ロメオとジュリエット作品17~愛の情景(2002-2003年)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(ピアノ:エヴァ・クピエツ)(2003年)
スクロヴァチェフスキ:ミュージック・アット・ナイト,ファンタジー「夜の横笛」,シンフォニー(2005-2008年)

オーケストラはザールブリュッケン放送交響楽団ですが,2007年にカイザースラウテルン南西ドイツ放送交響楽団を吸収合併してザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団という長ったらしい名前になったそうです。シューマンとブラームスの全集は合併してから録音されました。

今回はこの中からシューマンの交響曲全集のコメントです。スクロヴァチェフスキのシューマンってあんまり想像がつかなかったのですが,聴いてみてなるほど!と思う明快で格好のよい男前な演奏でした(多分に先入観の影響はあると思いますが(^^;)。

そして録音なのですが,残響控え目で内声も聴き取りやすい見通しの良さ,音切れの良さを持っているものの,音色はややくすんで冴えず,広がり感,分離感も今ひとつです。ちょっと音づくりが古臭いように思います。楽器音の捉え方がまずまず良いだけに,この音質は2007年の録音としてはいささか残念でした。

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シューマン:交響曲全集(ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団
2013年11月25日, 26日, 30日 & 12月1日-3日 パース・コンサート・ホール(イギリス)
CKD 450 (P)(C)2014 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo

室内管弦楽団ならではの小回りの利いた躍動感ある小気味よい演奏ですね。アンサンブルも良いと思います。先日取り上げたサヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデンとは対極にあるように思います。こちらは今風に仕上げられていますね。

録音ですが,残響は控え目で低域もだらしなく響くことがありません。タイトでややドライな仕上げです。マイク位置が少し遠いのか,良く言えばまとまりのある,全体が良く溶けあった音なのですが,その代償としてやや楽器の質感が希薄になって力強さ,実在感は失われています。これでも十分好録音だと思うのですが,あえて言わせてもらえば,もう少し個々の楽器の質感を強めに捉え,もう少し存在感のある音で録っていればなお良かったと思います。

シューマン:交響曲全集(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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シューマン:交響曲全集
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
1-12. IX, 1972, Lukaskirche, Dresden
0825646075942 (P)1973 (C)2015 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,HMV Onlineicon

この演奏は以前一度取り上げていました(→こちら)。シューマンでこれだけ豊潤で濃厚,スケールの大きな演奏を成り立たせているところに感心します。録音はちょっと残響が多すぎるのであまり好きではないのですが,これだけの残響を取り入れながらサウンドのバランスが大きく崩れることなくぎりぎりの明瞭感を保って聴こえるあたりは上手く録っていると思います。

現在発売されているものはARTリマスタリングのもののようですので買い直してみました。わずかながら鮮明さは改善されているように思いました。でもそこはやはり旧EMIの録音か... そして1972年の録音としてはマスターテープの保存状態があまり良くないような気もします。

それにしてもこの演奏のティンパニーの存在感はすごいですねぇ。何度聴いても惚れ惚れします。

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シューマン:交響曲全集(サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2013年2月,11月 ベルリン・フィルハーモニー
KKC 9083(BPHR 140011) (P)(C)2014 Berlin Phil Media GmbH (国内流通仕様盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,ベルリン・フィル・レコーディングス

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の自主制作レーベル“ベルリン・フィル・レコーディングス”から,すでにシベリウスの交響曲全集とベートーヴェンの交響曲全集,そしてシューベルトの交響曲全集を取り上げてきましたが,このシリーズの第1弾がこのシューマンの交響曲全集とのことです。

本パッケージは以下のものから構成されています。

(1) CD 2枚

(2) Blu-ray Disc 1枚
 Blu-ray Disc Audio
  2.0 PCM Stereo 24-bit/96kHz
  5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/96kHz
 Blu-ray Disc Video
  Full HD 1080/60i 16:9
  2.0 PCM Stereo 24-bit/48kHz
  5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/48kHz

(3) High-Resolution Audio Download Code
 Stereo 24-bit/192kHz WAV/FLAC
 Stereo 24-bit/96kHz WAV/FLAC
 5.0 Surround 24-bit/192kHz FLAC
 5.0 Surround 24-bit/96kHz WAV/FLAC
 ※全てのファイルを何度でもダウンロード可能

一連のシリーズを聴いていて思うのは,私が勝手に抱いていたベルリン・フィルのイメージとだいぶ違うな,ということで,このシューマンも同様。小編成かと思うほどの機動性を発揮,隅々までコントロールが行き届き,スリムかつ力強く俊敏な演奏を聴かせてくれます。特にこのシューマンではこの小気味よさが曲にとてもよくマッチしていると思います。

録音ですが,印象としてはほぼシューベルトの交響曲全集と同じで,むしろこちらの方がわずかに鮮度が高くさらに良い印象です。残響はあるものの,引き締まったタイトな楽器の響きで支配されているため好印象です。音色に癖がなく整っていますし,高域のヌケも悪くありません。欲を言えばもう少し弦楽器の質感を強めにし,音色に透明感と輝きを持たせてモゴモゴした感じをなくして欲しかったところです。しかし,やはりあらゆる要素でバランスの整った欠点の少ない録音だと思います。不満がゼロではありませんが,これも五つ星とします。

このディスクは演奏も録音も良いので,私の中ではシューマンの交響曲全集の決定盤になるかもしれません。これからもしばらく聴き続けて評価を固めていこうと思っています。

このベルリン・フィル・レコーディングスのシリーズ,今後も注目していきたいと思います。

シューマン:交響曲全集(ジモン・ガウデンツ指揮/オーデンセ交響楽団)

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シューマン:交響曲全集
ジモン・ガウデンツ指揮/オーデンセ交響楽団
録音 2011年,2013年
777 925-2 (P)2015 CPO
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,iTunes Music
いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で取り上げられているのを見て聴いてみたくなったディスクです(有り難うございます)。演奏者に関しては同サイトをご参照いただきたく。

せっかちなくらい速いテンポで颯爽と駆け抜ける気持ちの良い演奏で,新しい時代を開く現代的でスマートな演奏だと思いました。速いからといって決して勢い任せにならず,明晰で細部まで克明に描き出す分析的な演奏でもあると思います。がんばって弾いているのに普通は聴こえてこないシューマンの<素直でない>ヴィオラまで(^^;聴こえてきたりする(聴こえる気がする?)のも面白いです。こういう演奏は大歓迎です。

そして録音なのですが,少し音像が遠めで楽器の質感は弱く,スケール感はやや小さいものの,響きの美しさ,楽器の音色の輝きが感じられる好録音です。低域は弱めですが締まっています。見通しもまずまずです。残響はあるもののウェットにならず,むしろカラッとしているのが良い結果につながっています。私としてはもう少し寄って生々しさと分離感を出して欲しかったと,私の望む録音とは少し方向が違うのですが,まあこの録音ならいいかなと思います。

シューマン:交響曲全集(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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シューマン:交響曲第1番,第4番
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

1-12 September, 1972 Lukaskirche Dresden
CE28-5298 東芝EMI株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★
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シューマン:交響曲第2番,第3番
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

1-12 September, 1972 Lukaskirche Dresden
CE28-5299 東芝EMI株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:(第1番,第4番)HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records
参考:(第2番,第3番)HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records

シューマンの交響曲というと,最近はすっかり軽く爽やかで見通しの良い演奏を求め,この曲はそういうものだと勝手に思ってしまっていたのですが,これはその対極をいく演奏。フルオーケストラの豊潤な響きを最大限に生かした壮麗で格調高い演奏だと思います。かつてはこういう演奏が主流だったんだと逆に新鮮な思いで聴きました。

録音ですが,この残響はちょっとすごいです。多いを通り越してもう過剰としか言いようがありません。どこの洞窟で録音したんだろうと思ってしまいます(^^;。しかし,弦楽器の音の芯が輪郭を伴って,しかも音色のバランスがそれほど崩れずに聴こえるので,これだけの残響感があるにも関わらずそれほど印象が悪くないのです。もちろん私の好きな録音からは大きく外れますが,残響を取り入れ方の一つの参考になる録音ではないかと思います。こういう録音を薦めたいわけではないですが。

この演奏の評価が高いのは,オーケストラの濃厚な響きの魅力を助長し支えるこの録音も貢献しているに違いありません。

私の好みから言いますと,同じ顔合わせで録音されたシューベルトの交響曲全集の録音の方がずっと好きなのですが...

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シューマン:交響曲全集(サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューマン:交響曲全集
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1967年(No.3, 4),1969年(No.1, 2)
448 930-2 (P)1968,1970 (C)1999 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon,Amazon.co.jp,Tower Records
1970年前後のショルティのDECCA録音は好録音が多いので手に入れたディスク。それにしてもショルティのシューマンっていったいどんなんだ?と想像がつかなかったのでちょっと期待して聴いたのですが...いやぁ,期待を裏切りませんねぇ...ふふふっ...(^^;。デリカシーのかけらもないと言ったら言い過ぎか。こんなパワフルで吠えまくる,猛進するシューマンって...決してお薦めはしませんが,私は手許に置いておいて,時々取り出して一人ニヤニヤしながら聴いていそうな気が...それにしてもウィーン・フィルからこんなサウンドを引き出すとは,指揮者の統率力は大したものだと改めて思います。

で,肝心の録音ですが,サウンドの質感は期待通り,ただ,少し古くささがあり,鮮度がないというか,わずかながらすっきりしないところが残ります。1960年代後半ならもう少しスキッとした音で残して欲しかったところですが,仕方ないですかね。

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シューマン:交響曲第1番「春」,他(トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団)

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シューマン:交響曲第1番「春」,他
トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
Recorded in August 2007 at the Orebro Concert Hall, Sweden
BIS-SACD-1569 (P)(C)2007 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online,Amazon.co.jp,Tower Records
小編成の室内楽団によるシューマンの交響曲第1番「春」。他に,歌劇「ゲノヴェーヴァ」Op.81,序曲「メッシーナの花嫁」Op.100,序曲ツヴィッカウ交響曲(第1楽章),序曲・スケルツォとフィナーレといった曲が収められています。聴いたことのない曲ばかりです。

先日紹介した同楽団のベートーヴェン交響曲第3番「英雄」同様のキレの良い演奏。大胆な表情付けで小編成でありながらダイナミックな演奏を展開しています。管楽器,打楽器が優位なためか,フォルテでは勇壮さが強く出ていて,今まで聴いてきたシューマンとはまたひと味違う感じがします。印象としては,ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルの演奏に近いように思います。聴いていてワクワクする演奏です。いいですねぇ,これは。

録音ですが,残響をそれなりに取り入れつつも,音色が曇っていないので印象としてはなかなか良いです。しかし,やはり弦楽器の質感の捉え方が弱く,私としては不満の残る部分もあります。全体のサウンドとしては締まりもあって印象が良く,オーディオ的にもとてもなめらかで高品位に思うのですが,少しオフマイク気味でスカッとしきらないところがあり,好録音というには何か物足りなさも感じます。惜しいです。音は綺麗なんですけどね。

同顔合わせによるシューマンの交響曲は全集が完成しています。第4番は原典版と改訂版の両方が収録されています。そのため全部で3枚になっていますね(第2番・第4番(原典版)→HMV Online,第3番&第4番(改訂版)→HMV Online)。

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シューマン:交響曲第1番「春」,第3番「ライン」(パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

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シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
パーヴォ・ヤルヴィ指揮(Paavo Järvi)(Conductor)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)
2009年12月20-22日(第3番),2010年4月9-11日(第1番),ベルリン,フンクハウス・ケーベニック
SICC 10102 (P)(C)2010 Sony Music Japan International Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Online,Amazon.co.jp

室内管弦楽団によるシューマン。弦楽器の編成は 10-8-6-6-3 なので中編成というところでしょうか。解説書によれば,このシューマンの演奏ではピリオド楽器は用いていないということですが,「弦楽奏者は,高い方の2線でガット弦を用いている」とあります。

またシューマンのオーケストレーションについては「シューマンのポリフォニーは,中世の教会音楽やバロック音楽に関する該博な知識に基づいたものです。彼のオーケストレーションには難点があるとよく言われますが,それは間違っている。オーケストラの編成規模を作曲当時の40名程度に準拠すれば,何ら問題はない。」と述べています。室内管弦楽団での演奏を選ばれたのもこのような背景に基づくものということです。

国内盤CDの帯には「未曾有の衝撃」などと大げさな宣伝文句が書かれているのですが,実際に聴いてみて,この表現はやっぱり大げさだと思うものの,今まで聴いてきたいくつかのシューマンの交響曲とは一線を画す,ひと味もふた味も違うと思うのも確かです。

端的にはやはりピリオドアプローチの延長線上にあると言えると思います。小さめの編成を活かした精密なアンサンブルで起伏に富んだ演奏を展開しています。しかし決して鮮烈路線ではなく,キリッとした極めて見通しのよいアンサンブルの中に微笑ましさというか素朴な味わいを上手く織り交ぜて新しいシューマンらしさを表現しているといった感じなのです。私としてはピリオド風味なのがちょっとなのですが,全体にはすごく気に入りました。

録音ですが,今時の優秀録音の典型ではないでしょうか。音のなめらかさ透明さ(雑味・歪み感のなさ)は申し分ありません。残響は控えめですが,ややオフマイク気味で全体としての音場の自然さ,まとまりを重視したバランスのいい録音だと思います。

ただ私としては,これが好録音かと問われると,ちょっと違うのです。確かに綺麗な録音なのですが,それぞれの楽器の質感が希薄で個々の奏者の顔が見えてこないのです。綺麗なんだけど遠くで鳴っていて実在感がなく,手が届かない,肌触りが感じられないもどかしさがあるのです。紙一重のところはあるのですが,ベートーヴェンの交響曲と同じくあえて厳しめの三つ星半としました。世評は「優秀録音」かもしれませんし,それを否定するものではありません...が,積極的に肯定したくないという意味を込めて。

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