2023/06/11

パブロ・エラス=カサド指揮/フライブルク・バロック・オーケストラ
2021年11月 Festspielhaus, Baden-Baden (Allemagne)
HMM 902694 (P)(C)2023 harmonia mundi musique (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ちょっと変なたとえですが,4Bの鉛筆で描かれた絵のような印象です。太く濃く力強いタッチでコントラストが強くくっきりしており,なおかつ微妙なかすれが織りなすグラデーションが音楽に絶妙なニュアンスを与えています。印象に残りやすいはっきりした演奏だと思います。
録音もこの演奏にふさわしく楽器音を明瞭に捉えていて良いと思います。中域にわずかに癖がありフォルテで少しうるさく感じられるのが惜しいところですが,それ以外はまずまず良好です。
2023/05/31

シューベルト:交響曲第9番ハ長調「グレート」
マレク・ヤノフスキ指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
2020年11月 ドレスデン,クルトゥーアパラスト(文化宮殿)
PTC 5187065 (P)(C)2023 Pentatone (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
未完成は深く柔らかく陰影に富み,グレートは速めのテンポで若々しく溌剌としています。特にグレートの終楽章は胸が熱くなりますね。スタンダードな路線ですが極めていると思います。良かったです。
録音ですが,残響は少しあるものの,楽器音への被りは少なく,明瞭感,分離感,そして音色もまずまず良好だと思います。突出した特徴はないものの,平均的に良く出来ていて欠点の少ない好録音です。
2022/10/26

トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
Oct. 2006, Dec. 2007 the Örebro Concert Hall, Sweden
BIS-SACD-1656 (P)2009 (C)2010 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
快速の演奏です。未完成で快速というのはあまりないと思いますがとにかく快速です。特に未完成の第一楽章は違う曲かと思ってしまいます。アクセントの効いた躍動する演奏なのにサラサラっと駆け抜けていく感じがします。この曲の持つ深みが感じられる演奏ではありませんが,これはこれで面白いと思いました。グレートの方がこの演奏との親和性はありますね。こちらは素直に楽しめました。特徴のはっきりした面白い演奏です。
録音ですが,残響は少なめで楽器の響きも美しくシャリーンというような軽快なサウンドが特徴です。ですが,中低域は薄く下支えが弱いのと,楽器の質感が弱めなので手が届きそうで届かないもどかしさもあります。悪くはなくけっこう好きな感じの録音ではあるものの,好録音というには少し物足りないと思いましたので四つ星としました。もう少し楽器に寄って録ってくれたらと思いました。
ダウスゴーのシューベルトは全集が完成していて,今年全集のセットが発売になっていました。他の曲も聴いてみたいと思います。
[Note]
Producer: Marion Schwebel
Sound engineers: Martin Nagorni (Unfinished), Andreas Ruge (Great C major)
全集は下記を参照いただければと思います。

トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
2006-2013 the Örebro Concert Hall, Sweden
BIS-2514 (P)2009—2014 (C)2022 BIS Records (輸入盤)
参考:
タグ: [交響曲]
2022/10/23

ジョルディ・サヴァール指揮/ル・コンセール・デ・ナシオン
2021年9月26-29日 カタルーニャ
AVSA9950 (P)(C)2022 Alia Vox (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
サヴァールの最近の録音ではモーツァルトの後期交響曲集やベートーヴェンの交響曲全集を取り上げていました。モーツァルトのあまりにもアバウトなティンパニーはベートーヴェンではやや陰を潜めましたがそれでも演奏を特徴付ける重要な役割を果たしていました。このシューベルトでもティンパニーの活躍は変わりませんが,きちんと節度をわきまえていてホッとすると同時にちょっと残念だったりもします。キレのいいダイナミックな演奏は本当に聴き応えがあります。これは良かったです。
そして録音なのですが,残響はそれなりにあるのですが,直接音主体でシャキッとしています。フォルテでも弦楽器がかき消されることもなくしっかり聴こえます。分離感も良好です。また,中低域の締まったサウンドもスケール感を演出しています。左右の広がり,音場感,ステージ感もしっかり出ています。高域の伸び感も申し分ありません。これは私にとってほぼ欠点がない好録音です。
キレの良い演奏にキレのある録音,胸のすく素晴らしい演奏・録音でした。
2022/08/20

シューベルト:交響曲第9番ハ長調D.944「グレート」
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2021年11月 ライプツィヒ,ゲヴァントハウス
4863045 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ブロムシュテット氏94歳での録音ということで,この年齢でなお現役でご活躍を続けられているとは本当に素晴らしいことです。
演奏ですが,未完成は全体に響きが柔らかく味わい深い仕上がりです。グレートは響きの柔らかさはそのままに溌剌とした息吹を感じました。オーケストラの指揮者への尊敬と敬愛の念が感じられ,両者の信頼がこの素晴らしい音楽を生み出しているのではと思いました。
録音ですが,かなり響きを多く取り入れていて音色と高域の伸び感に影響を与えていて私の好きな録音のタイプとはだいぶ異なるのですが,弦楽器の質感は悪くなく,響きがうまく音楽に柔らかさを与えているように思いました。中低域の響きも音楽にスケール感をうまく与えています。いいと思います。
Note:
Produced, Edited and Mixed by Bernhard Guettler
Recording Engineers: René Möller, Toni Schlesinger & Eike Böhm
Mastering: Christoph Stickel
2022/08/18

ルネ・ヤーコプス指揮/ビー・ロック・オーケストラ
2020年12月 アントワープ,デ・ジンゲル
PTC 5186 894 (P)(C)2022 PENTATONE Music (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
ビー・ロック・オーケストラ(B'Rock Orchestra)は2005年設立のベルギーのピリオド楽器オーケストラ。ルネ・ヤーコプスとのシューベルトの交響曲は,これまでに第1番・第6番(2018年),第2番・第3番(2019,20年),第4番・第5番(2019,20年)の3枚が発売されており,この第8番・第9番で全集として完結しました。
演奏についてはこれからじっくりと聴かせていただこうと思いますが,録音が良かったので取り上げました。残響はあるのですが,直接音主体に音の輪郭がシャープでクッキリとしており,音の伸び,締まりも申し分ありません。各楽器の分離感,左右のステージ感もまずまずです。音色は少し中域がうるさく感じられることがありますが許容範囲です。不満はゼロではありませんが,十分に好録音と言えると思いましたので,五つ星としました。
既発売の録音は聴いていなかったので,またそれらも聴いてみようと思います。
別記事のコメントで録音エンジニアやプロデューサについて触れて欲しいとうリクエストを読者の方からいただきました。今まで注目してこなかったのでコメントすることは難しいのですが,さしあたりメモとしてこれらの情報を載せておきたいと思います(余力があるときだけになるとは思いますが)。
Production Team:
Executive producer: Renaud Loranger
A&R Manager: Kate Rockett
Recording producer, Balance engineer & Editor: Erdo Groot (Polyhymnia International B.V.)
Recording engieer: Carl Schuurbiers
2021/07/22

ニコラウス・アーノンクール指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
1988年7月3-10日 グラーツ,シュテファニエンザール(シュティリアルテ音楽祭)
ICAC 5160 (P)2020 ORF (C)2020 ICA Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
アーノンクールのシューベルト交響曲全集は,1992年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団,2003-2006年のベルリン・フィル(→レビュー記事)がありました。これはオーストリア放送協会が1988年のシュティリアルテ音楽祭を収録していた音源とのことで,楽団員立ち会いのもとリマスターし「アーノンクールが振ったときのサウンド」を甦らせた,とのことです。
演奏ですが,輸入元情報で
「楽団員が「人生が変わった」と振り返るほどのリハーサルを経て,小振りの編成による機敏さとクリアな響きを活かした,アーノンクールの解釈が存分に発揮されたシューベルトを紡ぎ出すことに成功しています。」とあるように,確かにヨーロッパ室内管弦楽団の機動力を存分に活かした演奏であるということは全くその通りと思います。ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏は好きなので,このような録音が残されたことに感謝です。
それで録音なのですが,残響は多めでライヴ会場の雰囲気を強めに出しているように思います。やや演出がかっているのが少し気になります。しかし残響が多いにも関わらずドライな音質でさらに少しキツい感じがします。残響でくすんだ音をイコライザで無理矢理整えたような音質に感じられます。本当にそうなのかはわかりませんが,この不自然な音色はちょっと惜しいですね。
ヨーロッパ室内管弦楽団のシューベルト交響曲全集は,以前,アバド指揮のものをレビューしていました(→こちら)。こちらは1986-87年の録音ということで,このディスクの直前の録音ですね。
タグ: [交響曲]
2018/10/21

シューベルト:劇付随音楽「魔法の竪琴」 D.644より序曲
ハインツ・ホリガー指揮/バーゼル室内管弦楽団
2017年11月15-17日 スイス,バーゼル,ラントガストホフ・リーエン
19075814382 (P)(C)2018 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
オーボエの名手で作曲家でもあるハインツ・ホリガーの指揮によるシューベルトの交響曲全集の第一弾とのことです。バーゼル室内管弦楽団はピリオド楽器も使うことがあるとのことですが,ここではモダン楽器を使っているようです。室内管弦楽団を活かした緻密で隅々まで練り上げられ統制の行き届いた演奏となっています。
録音ですが,少し中域にクセがあってうるさい感じがしますが,それを除けばサウンドは締まっていて,なおかつ見通しよくすっきりと仕上げられているところに好感を持ちます。まずまずの好録音です。
2017/11/26

フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
2015年4月11-12日(グレート),2014年11月15-16日(未完成) ウィーン,ムジークフェラインザール
WS009 (P)(C)2015 Wiener Symphoniker (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ベートーヴェンの交響曲第1番,第3番が良かったので,同顔合わせのこのシューベルトもApple Musicで聴いてみました。
この演奏もベートーヴェン同様のダイナミックで引き締まった演奏で期待通り。録音はベートーヴェンに比べると少し残響を控え目ですが同傾向であり,私の好きな録音とは少し違うのですが悪くありません。こういう録音であれば残響があってもストレスなく聴けるので,残響を多めにするならせめてこのように録って欲しいと思いますね。
ベートーヴェンを含め,今後の録音も楽しみにしたいと思います。
蛇足ですが,このディスクではグレートが先で未完成が後に収録されているのですが,グレートを聴いたあとに未完成はちょっと...と思うので,未完成を先に収録して欲しかったと思いました。もっとも自分で曲順を入れ替えて再生すれば良いだけの話だけなのですが。
また,参考サイトでは未完成が第8番,グレートが第9番と紹介されているのですが,ジャケット上では未完成が第7番,グレートが第8番となっていました。世界的に後者のナンバリングが一般的になったということでしょうか。まあどっちでも良いのですが,今は混在しているので副題や調性等を見ないと曲が判別しづらい状況というのはちょっと面倒ですね。
2017/10/03

シューベルト:ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調 D.345
シューベルト:ヴァイオリンと弦楽合奏のためのロンドイ長調 D.438
シューベルト:ポロネーズ変ロ長調 D.580
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
2016/1/22-24 ソンバトヘイ,バルトーク・コンサート・ホール
HCD 32794 (P)2017 Hungaroton (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴です。前エントリーのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集に続いて,同じ演奏者によるシューベルトです。ヴァイオリン独奏の曲は聴いたことのない曲ばかりです。いずれも屈託のない明るさがまるでパガニーニを聴いているようで楽しいです。ヴァイオリニストの個性にも合っていますね。まあ全体にちょっと粗削りのところはあります。
録音も前エントリーのモーツァルトとほぼ同じです。若干残響があり,ソロにも少し被りが感じられますが,楽器の音色はそれほど損なわれておらず響きの美しさを保っています。張りのある力強い録音で良いと思います。やはり少し誇張から不自然さが出てしまうものの,プラス面の方が多いと思います。フンガロトンらしい好録音ですね。
2017/05/28

シューベルト:交響曲第9番ハ長調D944「ザ・グレイト」
イシュトヴァン・ケルテス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1963年10月7,8,11日,11月5-8日 ウィーン,ゾフィエンザール
UCCD-7223 (P)1964 Decca Music Group Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音のみのコメントです。「新世界より」の録音からおよそ2年後の1963年の同顔合わせによる録音。新世界に比べてわずかに及ばないところはあるにせよ,これもほぼ同じ傾向の好録音でした。未完成よりもグレイトの方がほんのわずかですが良好のように思いました。
もちろんオーディオ的なクオリティは現代の録音の方がずっと高いのですが,音楽をより魅力的に伝える録り方をしているという点でこれらの録音は大変優れていて,それは音楽を収めるメディアのクオリティ以前の問題としてずっと大切なことだということを教えてくれているように思います。現代の録音は録り方の方向性がちょっと違う方に向いてしまっている気がしてなりません。と,これらの録音を聴いて思ってしまいました。
過去の優秀録音から全く学ぼうとしていないように思えるのですが,なぜなんでしょうね...
2016/08/28

ニコラウス・アーノンクール指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded live at the Philharmonie Berlin, 2003-2006
BPHR 15006 (P)(C)2015 Berlin Phil Media GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
収録曲は,交響曲全集に加えて,ミサ曲第5番D 678,第6番D 950,歌劇「アルフォンゾとエストレッラ」D 732,が収録されています。本パッケージは以下のものから構成されています。
(1) CD 8枚
(2) Blu-ray Disc
2.0 PCM Stereo 24-bit/48kHz
5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit
(3) High-Resolution Audio Download Code
Stereo 24-bit/48kHz WAV/FLAC
5.0 Surround 24-bit/48kHz WAV/FLAC
※全てのファイルを何度でもダウンロード可能
今回はパッケージの購入ではなく,ベルリン・フィル・レコーディングスからのダウンロード購入としました。€ 59.00でした。なお,以下,交響曲に関してのみのコメントです。
録音は2003年から2006年にかけて行われたもので,少し前の音源になりますが,アーノンクール氏70歳代の録音とのことです。ですが,この若々しく覇気に満ちた生命力溢れる音楽は本当に素晴らしい! 音楽の喜びがストレートに伝わってきます。それが勢い任せではなく細部まで神経が行き届いた細やかさをもって実現されているところが指揮者の統率力とオーケストラの技量の高さを示していると思います。
そして録音なのですが,残響が多めに取り込まれているものの,ウェットに傾きすぎることなく引き締まったサウンドで聴かせてくれます。残響は音色を濁すなど鑑賞の邪魔となる悪影響は最小で,むしろ潤いを持たせるプラス方向の効果の方が上回っています。音色の色づけや癖なども排除され,録音会場のキャラクターもほとんど前に出てきていない点も良いです。高度にバランスの取れた欠点の少ない万人向けの一つの理想を体現した録音として評価できると思います。正直なところ,もう少し残響によるモゴモゴ感を抑え,個々の楽器の質感を強めに出して音色に輝きを持たせ,スケール感と見通しの良さを出して欲しいとは思いますが,私の好きな録音とは方向が少し違うとはいえ,これは十分に納得のいく録音でした。少し甘い評価ですが五つ星です。
これは演奏も録音も素晴らしい全集でした。個人的には交響曲とその他の曲はパッケージを分けて,交響曲全集として入手しやすくして欲しかったです。
2013/03/05

サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Sofiensaal, Vienna, June 1981(No.9); September 1984(Nos 5 & 8)
448 927-2 (P)1982,1985 (C)1996 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online
録音ですが,残響もほどほどに抑えられ,個々の楽器の質感を良く捉えた明瞭感のある好録音で,突出したところはありませんが,マイナスポイントもほとんどない,普通に良い録音と言えると思います。中低域が締まっていてキレが良いのも特筆できるところです。
2012/12/11

ブルーノ・ワルター指揮/コロムビア交響楽団
Recorded at American Legion Hall, Hollywood, California, 1959
MBK 44828 (C)1988 CBS Records Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online
ワルター/コロムビア交響楽団の演奏は,今までにベートーヴェン交響曲全集やブラームス交響曲全集を取り上げてきましたが,いずれも好録音でした。この録音も同様に個々の楽器の質感を分離良くうまく捉えた好録音なのですが,いかんせんこの録音に関してはやや古さが先に立って少し印象が落ちます。1959年の録音なので仕方ありませんが,ベートーヴェンやブラームスが同年代であることを思うと,少し残念に思います。
タグ: [交響曲]
2012/12/08

録音年不明(1970年前後?) ドレスデン
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online

録音年不明(1970年前後?) ドレスデン
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online
シューベルトの交響曲はあまり聴かないので,ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンとアバド/ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏も録音も良い2つの全集で満足しているのですが,親しい友人からこの全集をお借りして聴く機会を得ました(ありがとうございます)。
演奏についてはきちっと真面目に仕上げていて,同じシュターツカペレ・ドレスデンでもブロムシュテットとは随分と趣が異なるように思いました。これはこれで好きですね。
そして録音ですが,おそらく1970年前後の録音なので,オーディオ品質的には現在の録音に比べれば劣るものの,アナログテープのヒスノイズが若干大きい程度であり,問題はありません。残響は控えめですっきりと見通しが良く,各々の楽器の分離感もあって,とても聴きやすいです。帯域バランス的に低域が弱いのも欠点になっていません。フォルテでも弦楽器が管楽器にかき消されることもなくしっかりと質感をもって聴くことができます。好録音と言えるでしょう。
2012/07/14

ジェームズ・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団
Chicago, Orchestra Hall, 7/1983
429 983-2 (P)1984 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp
録音がこれまたなかなか良いですねぇ。残響も適正量に抑えられ,比較的すっきりとバランス良く捉えられています。低域の量はそれほど多くありませんが,引き締まっています。突出したところはありませんが,欠点の極めて少ない良好な録音と言えると思います。
レヴァインの録音は,好録音と言えるものが多いですが,これもその一つに入ると思います。このディスクは現在は廃盤のようで入手性が良くないのが残念です。
2012/05/26

クラウディオ・アバド指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
1986-87年 ウォトフォード・タウンホール,ウィーン・コンツェルトハウス
00289 477 8687 (P)1988 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV Online,Amazon.co.jp
録音ですが,残響が多めなのですが,音質のバランスとしては均整が取れていて,音色がくすんだり曇ったりせず,自然さが保たれ,比較的すっきりしています。私としてはやはりもう少し残響を抑えて見通しよくして欲しいと思うのですが,密度の高いサウンドは充実感があってまあ悪くはないかなと思いました。個々の楽器の質感もまずまず良好です。録音としてはブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンよりもこちらの方が私の好みには合います。
同じ顔合わせによるハイドンの交響曲集も素晴らしかったのですが,この全集も気に入りました。シューベルトの交響曲は,ブロムシュテット盤とこの全集があれば満足できそうです。
2012/05/24

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
録音 1978-1981年 ドレスデン,ルカ教会
Berlin Classics 0300037BC (P)1982-1984 VEB Deutsche Schallplatten (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV Online,Amazon.co.jp
録音ですが,残響が多めで,そのためにややくすんだ印象を受けるのですが,それぞれの楽器の質感がよく感じられて悪くはないです。オーケストラの魅力を十分に伝えてくれる録音ではあると思います。こういう録音が好きな方もきっと多いことでしょう。もちろん私の好みからは外れますがその点は認めたいと思います。
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プロフィール
Author: 𝕥𝕤𝕪𝟚𝟚𝟟 (@tsy227)
主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
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