2023/03/27

ファニー・メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲変ホ長調
2012年7月11-14日, 11月1-4日 Ferme de Villefavard en Limousin, France
4645462 (P)(C)2013 Virgin Classics/EMI (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
最近ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の素晴らしい全集(CD,DVD)や,先日取り上げたモーツァルトの弦楽五重奏曲集が良かったエベーヌ四重奏団が2013年頃にリリースしていたメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲集です。フェリックス・メンデルスゾーンの作品の他に,姉でピアニスト,作曲家,指揮者(!)のファニー・メンデルスゾーンの作品も収録されています。
それにしても,なんて緊張感の高い熱い演奏なんだろうか! 全力投球,全身全霊で曲と対峙していますね。圧倒されます。アンサンブルも隙がありません。個々の奏者の技術も完璧ですし何より歌心に溢れる音色が素晴らしいです。さすが世界の第一線で活躍する四重奏団です。
そして録音も良いですね。残響はほとんどなく直接音が主体で明瞭感が高く音にも伸びがあります。それぞれの奏者の細やかなニュアンスまでストレートに伝わってきます。ちょっと音像が近くて濃いので圧迫感はありますが。
あと平均音圧がやや高めです。多少ダイナミックレンジを圧縮しているかもしれません。エベーヌ四重奏団の録音は総じてこういう傾向があるように思います。違和感はなく問題はないのですが,あまり度が過ぎないようにはお願いしたいところです。
ということで演奏も録音も素晴らしいディスクでした。
2023/02/05

ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2017年12月12-14日 サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20122(2) (P)(C)2018 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:

ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2020年9月,12月 サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20257(2) (P)(C)2021 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:

ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2021年5月13-15日 サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20218 (P)(C)2022 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
ドーリック弦楽四重奏団のメンデルスゾーンは弦楽四重奏曲第1番,第5番,第6番(Vol.1)を取り上げていました。その後第2番,第3番,第4番(Vol.2)が発売されて全集となり,さらに弦楽五重奏曲も発売されていることに気がつきましたので,Vol.1も含めて改めて聴いてみました。
Vol.1の時にも思ったのですが,「メンデルスゾーンの曲は細かい動きが多くせかせかとせわしない感じのする曲が多いですが,それを生真面目に演奏するものですから,それがかえってユーモアを感じさせますね。」というのはVol.2,そして弦楽五重奏曲でも同じでした。弦楽五重奏曲はあることすら知らなかったのですが初期の第1番,晩年の第2番,ともにメンデルスゾーンらしい充実した,そして弾けるような作品でとても良かったです。
そして録音なのですが,残響はほとんど気にならず,直接音主体で明瞭に録音されています。若干各楽器の捉え方も分離感も弱めなので少々地味な印象なのですが,欠点が少なく弦楽四重奏の録音としては普通に良い部類に入ると思いましたので少しオマケですが五つ星の好録音としました。
ドーリック弦楽四重奏団は演奏も録音も良いものが多いと思いますので,今後の録音にも期待したいと思います。
2022/12/18

プソフォス四重奏団 Quatuor Psophos
2003年5月26-30日 パリ11区,ボン・セクール教会
ZZT 030702 (P)(C)2003 Zig-Zag Territoires (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
ハイドンの弦楽四重奏曲集作品54が良かったので他の録音も聴いてみたくなり見つけたのがこれです。Apple Musicで聴きました。20年近く前の録音でメンバーも異なっています(日本人の田中綾子さんがヴァイオリンを担当されています)。
演奏ですが...あまりの緊張感の高さ,激しさに圧倒されます。特に第6番。そして第3番は溌剌としており勢いがあります。一点の曇りもない技術力の高さ,アンサンブル力にも目を見張るものがあります。デビュー当時,コンクールで高い評価を得ていたというのも頷けます。
録音ですが,各楽器の音をオンマイクで極めて明瞭に捉えています。細やかな表現やニュアンスがつぶさに伝わってきます。少し圧迫感がありキツい感じがするのと,それぞれの楽器が寄りすぎて窮屈な感じがして,少し不自然さはありますが,演奏者の発する魅力的な音色がダイレクトに伝わってくるのでとても良いと思います。
2021/07/22

ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2017年12月12-14日 サフォーク,ポットン・ホール
CHAN 20122(2) (P)(C)2018 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
ドーリック弦楽四重奏団をもう一つ。最近よく聴くようになったメンデルスゾーンを録音されていたので。メンデルスゾーンの曲は細かい動きが多くせかせかとせわしない感じのする曲が多いですが,それを生真面目に演奏するものですから,それがかえってユーモアを感じさせますね。そういったところがこの四重奏団らしいと思います。
録音ですが,先に取り上げたモーツァルトのプロシア王四重奏曲集で感じた質感の弱さがなく,こちらの方がよりいい感じですね。これならほぼ不満がありません。若干地味な感じはしますが,弦楽四重奏の録音としてかなり良いと思います。モーツァルトのシリーズもこの感じの録音でお願いしたいところです。
2021/02/14

エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2014年4月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-1960 SACD (P)2015 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:

エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2014年9月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-1990 SACD (P)2015 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:

エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2015年5月 イギリス,サフォーク,ポットンホール
BIS-2160 SACD (P)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考:
エッシャー弦楽四重奏団は以前にドヴォルザーク「アメリカ」,チャイコフスキー第1番,ボロディン第2番を収録したディスクを取り上げていました。演奏も録音も良い素晴らしいディスクでした。
同団体のメンデルスゾーンの全集が出ているというので聴いてみましたが,同様に溌剌とした躍動感と歌心のある演奏が大変魅力的であり,技術力,アンサンブル力が高く隅々までコントロールが行き届いていますし,各奏者の楽器の音色もニュアンス豊かです。
そしてその演奏を支える録音が良いですね。残響はあるものの楽器音にほとんど影響を与えておらず,明瞭感,音色の自然さ,楽器の質感,各楽器の分離感,ステージ感,見通しの良さ,突出したものはないにせよ,どれをとっても高い水準でバランスが取れています。全くストレスなく気持ち良く音楽に没入できます。こういう録音がもっと増えて欲しいという願いを込めて五つ星評価としました。
2021/01/18

パシフィカ・クァルテット Pacifica Quartet
2002年12月, 2003年10月, 2004年3月, 6月
CDR 90000 082 (P)(C)2005 Cedille Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
少し前にHMV Onlineで在庫特価で出ていたので入手していました(現在はHMV Onlineでは入手不可になっていますね)。
若々しく明るく溌剌とした演奏がメンデルスゾーンの音楽にぴったりと合っていると思いました。技術的にも上手くアンサンブルも整っています。とても良いと思います。
そして録音ですが,残響は少しありますが,直接音主体に明瞭に録られていて明瞭であり,それぞれの楽器の質感も良く感じ取れます。弦楽四重奏曲の録音として好ましく,ストレスなく聴くことが出来ます。
これは演奏も録音も良いちょっとした掘り出し物でした。
2015/07/11

ミネッティ・クァルテット Minetti Quartet
2011年4月19-20日,2011年6月7-8日,ウィーン王宮礼拝堂
CD 98 645 (P)(C)2012 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
録音ですが,残響が少しのっているものの明瞭感も高く,音色も自然で伸びがあり,楽器の質感もそれなりに感じられる良好な録音です。録音会場の雰囲気はほとんど感じられず,また,作為的なところや演出感もないためあまり特徴がない録音なのですが,それが良いとも言えます。個人的にはやはりもっと残響を抑えて生の質感を強く出してくれたらと思っていますが,まあこれでも十分納得できますね。
2014/06/22

メロス四重奏団 Melos Quartet
1976年~1981年 シュトゥットガルト,モーツァルトザール
UCCG-4333/5(480 1732) (P)1978/1982 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
そして,録音がこれまた素晴らしいのです。モーツァルトの弦楽四重奏曲と同じく,極めて明瞭で,個々の楽器の分離も良く,音色も自然,残響がほとんどないので透明感もあります。この頃のドイツ・グラモフォンの弦楽四重奏曲の録音は本当に好きです。
やはりこのディスクももう廃盤となり入手しにくくなっているようです。このような良質な演奏をカタログから外すとは! これもタワーレコードの企画盤で復刻して欲しいところですね。
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主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
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