2023/05/02

ロランス・エキルベイ指揮/インスラ・オーケストラ
2021年3月4-6日, 2022年9月29,30日 パリ,ラ・セーヌ・ミュージカル
Warner Classics/Erato 5419752210 (P)(C)2023 Perlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
交響曲3曲と序曲2曲が収録されています。ルイーズ・ファランク(ファラン)(1804-1875)はフランスの女性作曲家で,女性で初めてパリ音楽院の教授職に就いた方とのことです。作風はドイツ・ロマン派の流れを汲むということで,確かにブラームスやシューマンをよく聴く耳になじみやすい作品です。長く顧みられなかった作品のようですが,近年の女性作曲家の作品の再発掘で演奏される機会が増えてきているとのことです。ディスクもすでにいくつか発売されてきていますね。初めて聴きますのでじっくりと楽しみたいと思います。
そして録音ですが,残響感は少しありますが,楽器音にあまり影響しておらず,立体感のある音響に一役買っていると思います。明瞭感や分離感も悪くありませんし,楽器の質感もそこそこ感じられます。一般的なオーケストラ録音という感じですが,欠点があまりなく,バランス良くまとめられていると思います。私の好みの録音とは少し違うかもしれませんが,良いと思います。
最後に...第1番,第3番は2021年7月に発売されていたものと同じです。第2番と序曲2曲が追加され全集として改めて発売されました。ブロムシュテットのモーツァルトもそうでしたが,先に発売されていたものを含めて買わないと新しい録音を聴けないような発売の仕方には疑問を呈しておきたいと思います。このようなやり方をせざるを得ない理由があるのかもしれませんが,熱心な音楽ファンの気持ちを逆なでするやり方です。もう少し音楽ファンに寄り添った発売の仕方を考えて欲しいと思いました。
2023/02/11

ヤニク・ネゼ=セガン指揮/フィラデルフィア管弦楽団
2021年5月7-12日 フィラデルフィア,キンメル・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ,ヴェライゾン・ホール
486 2029 (P)(C)2021 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
フローレンス・ベアトリス・プライス(1887-1953)はアメリカの女性作曲家。聴いたことがなく作曲家も知らなかったのですが,ヤニク・ネゼ=セガンの指揮といういうことで聴いてみました。近代の難解な曲ではなく,あっ,アメリカだ!という曲でしたが,ところどころで和の響きを感じたのが興味深かったです。
録音ですが,残響はあるものの,個々の楽器を比較的しっかりと捉えていて音楽がクッキリとした輪郭をもって聴こえてくるので良いと思いました。
本ディスクは,2022年4月の第64回グラミー賞で,最優秀オーケストラ・パフォーマンスにノミネートされたということです。
2022/09/27

クリスティアン・ツァハリアス指揮/ローザンヌ室内管弦楽団
2013年4月6-8日 ローザンヌ,メトロポール
MDG 940 1824-6 (P)(C)2013 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
ツァハリアス指揮/ローザンヌ室内管は少し前にシューマンの交響曲全集を取り上げていました。演奏も録音も良かったので,このディスクも聴いてみました。モダン楽器の室内オーケストラらしく明るく快活な演奏が爽やかで気持ち良いです。
そして録音ですが,残響は控えめで明瞭で見通しが良く,個々の楽器の分離感・質感も良好です。音色の癖も少なめで高域の伸び,開放感もあって良いと思います。何気ない録音ですが,こういうのが良いんですよね。
2021/09/05

リムスキー・コルサコフ:スペイン奇想曲作品34
リムスキー・コルサコフ:歌劇「皇帝サルタンの物語」~行進曲
ジャン・マルティノン指揮/ロンドン交響楽団
1958年3月 ロンドン、キングズウェイ・ホール
(P)1959 (C)2017 Decca Music Group Limited
好録音度:★★★★★
参考:
この録音ですが,以前,チャイコフスキーの交響曲第6番とのカップリングで収録されていたものを取り上げていましたが(→こちら),これと同じ録音ではないかと思います。次のようにコメントしていました。
「 残響を抑えた極めてキレの良い録音で,弦楽器をはじめ,各楽器の質感もしっかりと捉えられていますし,周波数バランスも申し分ありません(若干高域のヌケが悪いかもしれませんが)。」
たまたま
これが1958年の録音とは!と改めて驚いています。このサウンド感,本当に好きです。クオリティとしては時代なりのところはあるものの,今もって全く色褪せていません。最近のクオリティの高い録音でもこれだけワクワクする聴いて楽しい録音には滅多に出会いません。60年以上も前にこんな素晴らしい録音が出来たのに,こんな手本があるのに,何でだろうと残念な気持ちになります。こういう録音の良さを見習ってほしいものです。
2021/05/07

アントニオ・パッパーノ指揮/ロンドン交響楽団
2019年12月12日, 2020年3月15日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO0867 (P)2021 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
録音が好みのものが多いLSO Liveシリーズから。最近ではラトルのブルックナー交響曲第6番,ガーディナーのシューマン交響曲第1番,第3番,第2番,第4番などを取り上げていました。ディスクでの発売はもう少し先なので,Apple Musicで試聴しました。今回は録音についてのみのコメントです。
録音の傾向はラトルのブルックナーに近いと思いました。タイトで明瞭感のある録音自体は好きなのですが,音色が硬いというか,歪み感のような独特の色づけが感じられて今ひとつ綺麗ではありません。もしかしたらダイナミックレンジを少し圧縮していたりするのでしょうか。そういった弊害があるのかもしれません。ちょっと違う感じがしました。もう少し透明感のある魅力ある音色,サウンドに仕上げてくれたらなぁと思います。惜しいです。
タグ: [交響曲]
2020/09/27

パーヴォ・ヤルヴィ指揮/フランクフルト放送交響楽団
hr-Sendesaal, Frankfurt, 3/2013(No.2), 3/2017(No.1); Alte Oper, Frankfurt, 2/2014(No.3), 4/2018(No.4, Intermezzo)
483 8336 (P)2020 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
フランツ・シュミットの交響曲は聴いたことがありませんでしたので,パーヴォ・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団の演奏ということで,この機会に聴いてみることにしました。今回は録音のみのコメントです。
録音時期が2013-2018年,録音会場も2カ所での収録ですが,全体として似た音作りで統一感はあります。どちらかと言えばAlte Operで収録された第3番,第4番の方が良いように思いました。残響感は多すぎず少なすぎず,音は綺麗に整っています。若干全体を大きく捉えていてまとまりはあるものの個々の楽器の質感は弱めで実在感が薄くもどかしい感じはあります。ただ,ドイツ・グラモフォンとして標準的な録音という感じで悪くはないです。個人的にはもう少し楽器の質感を強めに生々しく録ってくれていたらと思いました。物足りなさを感じるところもありますが四つ星半の好録音としました。
2020/09/13

ロバート・トレヴィーノ指揮/バンベルク交響楽団
2019年1月2-5日, 7月8-12日 バンベルク,ヨゼフ・カイルベルト・ザール
cpo 555 252-2 (P)2020 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
先に取り上げたベートーヴェン交響曲全集の指揮者ロバート・トレヴィーノつながりで見つけたディスクです。Apple Musicで試聴しました。収録曲は次の通りです。
ブルッフ:
交響曲第1番~第3番
歌劇「ヘルミオーネ」作品40より前奏曲,葬送行進曲,間奏曲
歌劇「ローレライ」作品16より序曲
オラトリオ「オデュッセウス」作品4より前奏曲
初めて聴く曲ばかりなので,今回は録音についてのみコメントします。残響控えめでそれぞれの楽器の音を分離良く明瞭に捉えています。低域の量感があり,フォルテで低域が中高域に少し被って明瞭感を落としているところはありますが許容範囲です。音色も癖が少なく自然です。オーケストラ録音としてバランスが取れていて好ましく,ストレスなく聴くことが出来ました。
cpoは比較的好きな録音が多いのですが,このディスクの録音も良かったです。
2016/06/20

ネーメ・ヤルヴィ指揮/エーテボリ交響楽団
Göteborg, Konserthus, May 1985
415 502-2 (P)1985 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jp
これが発売された当時,レコード芸術の記事を見ながらこれ聴いてみたいなぁと思いつつ高価で買えなかった記憶があります。ほぼ30年ぶりにその願いが叶いました(^^;。ベルワルドの交響曲を聴くならこのディスクだと決めていたのでひたすら復刻を待っていたのですが,いっこうに復刻される気配がないので思い切って中古のディスクを入手しました。ということで初ベルワルド交響曲です。曲と演奏についてはコメントできないので,今回は録音についてのみです。
で,その録音ですが,少し遠くから録ったような音響で,残響過多ではありませんが,間接音の割合の方が多く,音色がくすみ,全体にモヤッとしていて明瞭感に乏しいです。また個々の楽器の質感も感じ取りにくいです。当時のオーケストラ録音はこういうものも多かったと思います。ぎりぎり許容範囲かとは思いますが,もう少し鮮明さが欲しいところです。
う~ん,録音はちょっと残念! でもやっと手に入れたディスクなので,しっかりと聴きたいと思います。
タグ: [交響曲]
2015/10/31

ブリテン:シンプル・シンフォニー 作品4
ビゼー:交響曲ハ長調
オルフェウス室内管弦楽団
Performing Arts Center, State University of New York at Purchase, 12/1987
423 624-2 (P)1988 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
こういう比較的小規模な曲はオルフェウス室内管弦楽団の得意とするところですね。小気味よくメリハリの効いた演奏はさすがです。
録音は若干残響が多めですが,締まりのある音響は同楽団の長所をよく捉えていると思います。1990年代前半のすっきりと透明感のある良好な録音に比べるとやや落ちますが,まあ許容範囲です。
このディスクも廃盤になって久しく入手がしづらい状況です。また,Apple Musicにもアップされていません。オルフェウス室内管弦楽団の本領が発揮された好演奏だと思うので,せめて音楽配信で復活させてくれたらいいのに,と思いますね。ちなみに私はamazon.co.ukから購入しました。
タグ: [交響曲]
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