2015/08/01

寺神戸亮 Ryo Terakado (Violin)
シーベ・ヘンストラ Siebe Henstra (Cembalo/Organ)
ルシア・スヴァルツ Lucia Swarts (Cello)
1994年8月8-10日 オランダ,デン・ハーグ,旧カトリック教会
COCO-73075 (P)2010 COLUMBIA MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
このディスクはおよそ10年前に「CD試聴記」で取り上げていましたが,改めて。このディスクは,1995年度のレコード・アカデミー賞(音楽史部門)を受賞した名盤で,コレッリの作品5の中では未だにダントツに好きな演奏であり,聴き続けている愛聴盤の一つです。
バロックヴァイオリンによる演奏で,第9番の装飾はジェミニアーニによるものと記載されていますが,それ以外は明記されていません。また装飾は,リピートのある曲では,1回目を楽譜通り,2回目に装飾を入れる,というスタイルが採られています。通奏低音は,第10番,第11番がポジティブ・オルガン,その他がチェンバロで演奏されています。
緩徐楽章は伸びやかに,情緒豊かに,そして静かに高揚し,急速楽章は生気に溢れています。控えめにさりげなく施される装飾は,まるで元々作曲されていたかのごとく曲の一部として同化し,そして,ピリッと効いています。音色も艶やかでクリア,テンポの微妙な揺らぎも絶妙。 純粋に音楽の喜びに満ちていて,何度聴いても新たな感動がわき上がってきます。素敵な演奏に感謝!
中でも長調の第9番,第10番,第11番が絶品ですね。寺神戸さんの美質は,こういうシンプルで明るく楽しい曲で最大限に発揮されていると感じます。
録音ですが,響きがたっぷりと取り入れられていてまとわりつきがかなり気になりますが,ヴァイオリン自体の音は比較的明瞭で,音色の劣化も少なく,好きなタイプの録音ではありませんが,悪い印象ではありません。背景に心地よい響きが広がり,その上にくっきりとしたヴァイオリンが浮かび上がる,響きを許せる方にとっては優秀録音と言えるかもしれません。響きを取り入れるなら,最低限こういう音の捉え方をして欲しいものです(それでもちょっと取り入れすぎと思いますが)。また,チェロやチェンバロの実在感が希薄でつかみどころがないところも少し不満に思うところです。
CD試聴記でも触れていますが,1995年に発売された最初のディスク(COCO-78820)にはちょっとしたエラーがありました。これについては別エントリーにて整理したいと思います。
2015/04/25

エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
イマジナリウム・アンサンブル
2012年10月27-30日 カッシーナ・ジャルディーノ(クレマ,イタリア)
UZCL-1027 (P)(C)2014 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:

エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
イマジナリウム・アンサンブル
2013年11月21-25日 カッシーナ・ジャルディーノ(クレマ,イタリア)
UZCL-1028 (P)(C)2014 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
バロック・ヴァイオリンによる演奏。ピッチはA=390Hzで約1音低い高さとのことです。 これぞ正統派ピリオド演奏と言わんばかりの演奏であり, もしかしたらコレッリが聴いていたのは本当にこのような演奏だったのかもしれない, と思える薫り高いピリオド風味が何とも言えません。 ピリオド演奏によくありがちな過度の粘りや鋭角さはあまりなく,軽快で伸びやかであるところが良いと思います。
録音: 残響は多めですが,各楽器の直接音がやや濃いめに捉えられているので明瞭度や高域の伸びがそこそこあり印象は悪くありません。 残響によって音色のくすみはどうしてもあるのですが,これなら許容範囲です。少しオマケではありますが四つ星半とします。
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